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1/30 予算委員会質疑(中長期の財政、原発政策の転換、反撃能力、存立危機事態概念のあいまいさ)


【委員会】衆議院 予算委員会

【日 時】1月30日(月)14:12~15:12(60分間)
 ネット動画はこちら ⇒ You tube 【岡田かつや国会論戦】2023.1.30

【質問要旨】
 

  1. 中長期の財政
    • 43兆円の妥当性
    • こども政策予算
    • 財政の中長期見通し

  2. 原発政策の転換
    • 新たな原発建設
    • ミサイル攻撃と原発

  3. 反撃能力
    • 武力攻撃の着手
    • 専守防衛と反撃能力行使
    • 存立危機事態における反撃能力行使

  4. 存立危機事態概念のあいまいさ


議事録

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
 今日は基本的な問題について、総理を中心に議論させていただきたいと思います。
 まず、四十三兆円の妥当性であります。
 さきの参議院選挙で、自民党はGDP比二%、目指すということを言われました。総理は、選挙の期間中、私の記憶ではその数字は言われなかったと思います。むしろ、防衛力強化の内容と予算と財源をセットで考えなきゃいけないというふうに言われてきました。ただ、結局、終わってみると、五年後にGDP比二%、四十三兆円という数字になりました。これは国民の貴重な税金です。
 もちろん私も、今の安全保障環境が厳しくなってきている、いろいろな環境が変わってきている、そのことは認識していますし、余り総理と認識において違いはないんだろうというふうに思っています。アメリカの抑止力も、相対的には、対中国とか比べると、落ちてきていることも事実。そういう中で日本が何をしなきゃいけないのか、そういう議論だというふうに思っています。
 しかし、それにしても四十三兆は巨額ですから、やはりこれをきちっと精査する、その責任があるというふうに思っております。
 今日は限られた時間ですから基本的な幾つかだけ聞きたいと思いますが、その四十三兆の中で、スタンドオフ防衛機能として五兆円という数字が出ています。一つの柱は、トマホークミサイル、アメリカから買う。これは、艦船、自衛艦に設置をして、そして艦対地、地上を狙う、こういうものだと私は認識しています。来年度予算で、購入費それからその周辺も含めて、約三千二百億円の予算が計上されています。
 このトマホークですけれども、これを五年間で一体何発買って、トータル幾らぐらいになるのかということを、簡単で結構ですから説明していただけませんか。
浜田国務大臣 トマホークミサイルの取得数については、これを明らかにすれば我が国の具体的な防衛能力を明らかにすることとなるため、お答えできないところでありますが、我が国への侵攻を防ぎ、阻止するための、抑止するための必要数を整備する計画であります。
 令和五年度予算案では、現時点で構想しているトマホークミサイルの総取得数に要する経費約二千百十三億円に、関連経費千百四億円を合わせ、計約三千二百十七億円を計上しているところであります。
 また、これ以外に、イージス艦の改修経費等が必要となりますが、所要の調査をした上で、令和六年度以降に関連経費を計上していく予定であります。
岡田委員 何発か言えないということですが、多くのメディアは五百発と書いていますよね。それが正しいかどうかは分かりませんが、その程度のことも言えないというのはどういうことですか。
 そして、トータルの費用。トータルの費用を言えなければ、どうやってこの四十三兆円が正しいかどうか検証できるんですか。中身をきちんとある程度説明して、国民に理解を求めて、これは大変な負担ですから、最低限の説明というのは私は絶対すべきだと思いますが、総理、いかがですか。
岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、我が国の防衛力を抜本的に強化するに当たって、国民の皆さんに丁寧に説明をしなければならない、この御指摘はそのとおりだと思います。ですから、安保三文書を明らかにし、その中でできるだけ具体的な内容については明らかにしていく、こうしたことを行っております。
 ただ、具体的に、何発等、その詳細まで明らかにすることは安全保障上適切ではないということを防衛大臣も説明させていただいたと認識をしています。
 できるだけ日本の手のうちを明らかにしない、防衛、安全保障上の配慮をした上で最大限の説明努力をする、三文書の公表を始めとして丁寧な説明を行うことは重要であると考えています。
岡田委員 トマホーク以外のその他のことは、三文書には細かい数字は書いてありませんが、防衛省の資料としてはかなり細かいところまで書いているものもあるんですね。なぜトマホークが書けないのかなと、私、非常に不思議に思っているんです。
 では、もう一つ、一二式対艦ミサイル能力向上型。これは、量産に五年間で一兆円、そのうち地上発が七千億というふうに防衛省の資料には書いてあります。ここは割と詳しく書いてあるんですね。この地上発射型については、技術開発を二〇二五年に終わって、二六年から配備をするというふうに書いてあります。
 そこで、二つお聞きしたいんですが、一つは、これはかなり技術開発が要ると思うんですよ。今、二百キロぐらいと言われていますよね。それを千キロに延ばす。そうすると、燃料代も、それだけたくさん燃料を積まなきゃいけませんし、当然、スピードが落ちないようにエンジンも大きくしなきゃいけないとかいうことで、私は技術開発の難易度というのはかなり高いと思うんですね。それが本当にこんな短期間で確実にできるのかということを、これは防衛大臣に是非お聞きしたいと思います。
 そして、もう一つは、来年度の予算の中で、九百三十九億円、量産開始予算として計上されていますね。まだ二〇二五年まで開発が終わらないものを、一方で量産開発予算を計上するというのは、これはどういうことなんでしょうか。説明していただけませんか。
浜田国務大臣 防衛力を抜本的に強化するためには、可能な限り早期に部隊に装備を届ける必要があります。こうした早期装備化のために、これまでの研究開発のやり方を踏まえ、研究開発のめどが立ったところで速やかに量産に着手する必要があります。
 この観点から、地上発射型の一二式地対艦誘導弾能力向上型については、令和三年度から継続している研究開発のこれまでの成果、既存の対艦ミサイル技術やノウハウの蓄積等によって量産のめどが立ったことから、研究開発が完了してから量産を開始する従来のやり方を変更して、研究開発と並行し、令和五年度から量産に着手することとしております。
 こうした取組を通じて、開発完了後に量産を開始する場合に比べて配備時期をおおむね三年前倒しすることを目指しておりますが、量産と研究開発双方が適切に進捗するよう、事業を計画的かつ着実に進めていくところであります。
岡田委員 よく分からないんですが、普通は、研究開発して、それが大丈夫だということが確定された上で量産の契約に入るんじゃないですか。まだ研究開発が終わっていないのに、もう量産の契約しちゃっているんですか。
 もし研究開発がうまくいかなければ、それじゃ、国産にこだわらずに海外のものを買うという選択だってそこにはあるわけですね。もう最初から決め打ちして、これはうまくいくはずだと、量産のお金も一年間で九百何十億もつぎ込んで。
 だって、契約していないはずでしょう、量産についての契約は、研究開発段階なんだから。していたらおかしいですよね。その辺はどうなっているんですか。
浜田国務大臣 例えば、研究開発事業で作成した物づくり用の詳細な設計を量産事業での製品の設計に活用する等、研究開発事業の成果を量産事業にタイムリーに反映することを考えております。
 また、遅延、失敗等の可能性というものについては、これらのミサイルに係る研究開発事業については、これまで実施した試験やシミュレーションを通じて、所要の性能を達成する一定の見通しを得ております。
 その上で、研究開発事業について、リスク管理を行いつつ着実に進捗しているところでありますが、仮にリスクが顕在化した場合であっても、速やかに対処していく予定であります。
岡田委員 対処できるような程度のものであればいいと思いますけれども、そのことも全く保証はありませんよね。私は明らかに急ぎ過ぎだと思いますよ。普通のやり方じゃないです、これは。だって、まだできていないのに量産の契約に入っているわけですから。
 というようなことで、今二つの事例を挙げましたが、一つ一つ見ていくといろいろな疑問が湧いてくるんです。だから、四十三兆円について、やはりきちんと、私たちも検証したいと思いますが、是非、政府の方ももっと説明責任をしっかり果たしてもらいたい、そうでないと国民は納得できないと思いますよということをまず申し上げておきたいと思います。
 もう一つ。先般、本会議で、二十六日ですが、順番が逆じゃないかという話がありました。つまり、日本で国会の議論もやっていない、予算の審議もやっていないのに、アメリカに行ってバイデン大統領とか2プラス2で説明している、それはおかしい、そういう指摘に対して、総理はこう答えられたんですね。米国に対しては日本の現状について説明したものであり、国会と米国への説明の順序が逆ということではありませんと。
 つまり、説明しただけだということですね。そういうことでいいんですか。アメリカには説明しただけなんですか。
岸田内閣総理大臣 先日の答弁のとおりであります。
 我が国の現状、このような安保三文書について明らかにしたということ、政府として、閣議決定を行い、こういう方針でいるということ、この現状についてアメリカに説明を行った、こうしたことであったと認識をしております。
岡田委員 これは林外務大臣に聞いた方がいいかもしれないんだけれども、2プラス2でこういう表現があるんですね。日米双方は、米国との緊密な連携の下での、日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間で協力を深化させることを決定した。つまり、反撃能力を前提に、日米で深化させましょうということを決めているじゃないですか、2プラス2では。
 それと、今の総理の発言は明らかに矛盾します。どっちが正しいんですか。
林国務大臣 今、岡田委員から御質問がありましたけれども、2プラス2では、総理がおっしゃったように、我々としても、我々の今の状況を御説明し、それを前提に、今おっしゃったようなことも含めて議論したということでございますので、総理との間で今お話のあったことについて何かそごがあるというふうには考えておりません。
岡田委員 協力を深化することを決定したと書いてあるんです。まだ私たちは予算の審議もしていません、説明もしっかり聞いていません、議論もしていません。そこで米国と決定したというのは、それはやはりおかしいんじゃないですか。順序が逆じゃないですか、総理。
岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、アメリカには日本の今の現状について説明をしました。そして、政府としての考え方、今後の取組について説明をしたということであります。そして、それを前提として、日米で今後どういった協力が考えられるか、こうしたことについて確認をした、決定をしたということであると理解をしています。今の現状の考え方を前提とした取組ということであります。
 これはもちろん、そうした決定について実現するためには、こうした内容を今の令和五年度予算案ですとか関係法案の中に盛り込んでいるわけですから、これを実行することは、これは国会の審議をいただかなければ実行に至らない、これがその考え方であると思っています。
 是非こうした、段階を踏んで実行に向けて取組を進めていく、この厳しい安全保障環境、複雑な安全保障環境、迅速に対応しなければいけない、こういった問題意識の中で、今申し上げました取組を一歩一歩進めていく、こうした姿勢は重要であると考えています。
岡田委員 総理の御説明は分かりますが、効果的運用に向けて日米間で協力を深化させることを決定したというふうに書いてあるんですね。私はやはり、いろいろ言われても、どんどん日米で進めてしまっているということがこういう表現にもなったと思うんですよ。やはり国会無視であり、国民無視なんですよ。四十三兆円も使いながら、きちんと説明もせず、審議もしないままで、日米間でどんどん先に走っているということだと思います。
林国務大臣 先ほど岡田委員から、日米双方は、米国との緊密な連携の下での、日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させることを決定したと御紹介があったとおりでございます。
 その前段として、日本側から、新たな戦略の下で防衛予算の相当な増額を通じて、反撃能力を含めて防衛力を抜本的に強化する決意、これを改めて説明をし、米側からは、日本の新たな国家安全保障政策を、同盟の抑止力を強化する重要な進化であるとし、強く支持する旨表明があった、そして今御紹介のあったところに続いていくということでございますので、先ほど申し上げたとおりでございます。
岡田委員 今、文章を読まれたんですが、何の説明にもなっていませんよね。
 次に行きます。子供政策予算。
 昨日、いろいろありましたけれども、所得制限について、茂木幹事長が、過去に所得制限を入れたことについて反省していると言われました。
 総理にお聞きしたいのは、総理はこの所得制限を入れたことについてどう考えているのか。所得制限はもう入れないというふうに茂木幹事長が言っておられますが、同じ考えなのかどうか、確認したいと思います。
岸田内閣総理大臣 今の御指摘の茂木幹事長の発言については、今この児童手当をめぐって様々な議論が行われている、その中で一つの意見であると認識をしております。
 政府としては、従来から申し上げております。児童手当については、この見直しが、前回見直しが行われてから十年が経過しています。さらに、少子化が進展するなど社会経済状況が大きく変わるとともに、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的に、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容、これも変化しているということで、今、内容の具体化に取り組んでいるところです。
 政府としては、現状をしっかり受け止めつつ内容を具体化していく、これが今の政府の立場でありますので、その議論の中で児童手当の在り方についても判断をしていきたい、こう考えております。
岡田委員 与党幹事長の意見を、一つの意見であるというふうに切って捨てたわけですから。それは、それなら幹事長にもよくそれを伝えてくださいよ。全然、与党第一党の幹事長と総裁の、総理の意見が食い違っているというのは、これは非常に誤解を招きますから、よく注意をしておられた方がいいと思いますよ。
岸田内閣総理大臣 政府として、今、その様々な政策、内容を具体化しよう、そういう作業をしているところであるということを説明させていただきました。
 その中で、与党、野党それぞれの立場でいろいろな意見があるということ、それはそれぞれ尊重しなければなりません。そうした意見もしっかり踏まえた上で、政府としてもしっかり議論を深めて、そして判断、決定をするということが大事だと思います。
 その過程において、この一つの意見が出たこと、決して切って捨てたというものではありません。一つの意見が出た、それもまた一つ政府として受け止めながら、今、内容の具体化を進めている、この作業を行っていきたい、このように申し上げております。
岡田委員 実は、この子供対策で、私、非常に気になったフレーズがあるんですよ、総理。
 総理は、これも一月二十六日の衆議院本会議で、社会全体で子供、子育てを応援するような、中略ですが、次元の異なる少子化対策を実現したいと。つまり、次元の異なる少子化対策というのは、社会全体で子供、子育てを応援するようなものであるという趣旨のことを述べられたと思うんですが、これをよく説明していただけませんか。
岸田内閣総理大臣 その趣旨は、まず、子供、子育て政策において、個別の政策の内容、また、それぞれの政策の程度、数字的なものももちろん大事でありますが、個別の政策を並べただけではなかなか結果につながってこなかった、こうしたことも振り返りながら、やはり、こうしたことについて今まで関与が少なかったと言われている男性ですとか企業、こういった方々にもしっかり意識を持ってもらう、また、高齢者であっても、また独身であっても、この問題は自分たちの未来に関わる問題であるという意識を持ってもらう、さらには、地域社会においても子供政策を共に考えてもらう、こういった社会の雰囲気、こうしたものをつくっていくことが大事であるということを申し上げています。
 こうした個別の政策レベルにとどまらず、日本の国全体として、子供、子育て政策、これはそれぞれの国民が自分たちの未来に関わるものだという意識を持って取り組む、こうした雰囲気をつくることが大事だということを申し上げた、これが発言の趣旨であります。
岡田委員 社会全体で子供、子育てを応援する。私はすばらしい言葉だと思いますよ。
 我々、民主党政権のときに言ってきたのが、社会全体で子供、子育てを支援する、そういう社会を目指しますと言ってきたんです。
 それに対して当時の自民党は、そのイデオロギーは駄目だ、家庭中心だ、こういうことを言ったのは安倍総理ですけれども、それは極論としても、やはり家庭中心じゃないか、社会全体で支えるということじゃないと激しく批判されたんですね。
 これは、やはり、子供、子育て政策をやる際の基本的スタンスの問題ですから、私、はっきりさせておきたいんですよ。総理が今言われたように、社会全体で支えるということが、応援するということが大事なんだと。これが子供政策を考えるときの基本スタンスですね、総理は。よろしいですね。
岸田内閣総理大臣 家族という存在、これは引き続き重要な存在であると思います。しかし、その家族であっても、従来、男性の方々、我々男性は関与が薄いと言われてきました。こうしたことについてもしっかりと目を向けることによって社会の雰囲気を変えていくことは大事であり、そして、みんなで個別の政策を支えていくべく努力をしていくことが大事だということを申し上げています。
 家族か社会かという二者択一で物事を考えるという考え方は取りませんが、こうした、従来、関与が薄い方々にも我が事として感じてもらう、こうした雰囲気を日本としてつくっていくことは重要だということを申し上げております。
岡田委員 家族が大事なことは当然です。だけれども、それだけじゃどうしようもないような事態になっているから、社会全体でそれを支えていこう、私たちが十数年前に申し上げたのはそういうことなんですよ。それを、いや、家族第一だ、社会全体で支えるとか育てるとか、それはおかしいと自民党の多くの議員が言いましたよ。議事録を見てくださいよ。もちろん、若い議員とか女性議員の中にはそういう議員じゃない人もいましたよ。私、答弁をずっとしていましたから。でも、あのことが、やはり今回の事態を私は招いてしまったんじゃないかというふうに思うわけですね。
岸田内閣総理大臣 平成二十四年度の児童手当への見直し、これは、当時の民主党、そして自民党、公明党、これは三党合意に基づいて法改正が行われたわけですが、その目的規定において、父母その他の保護者が子育てについての一義的責任を有するということを基本認識としてという文言が記載されております。家族という存在、第一義的な責任を担うという意味で重要だという認識、これは今でも重要な認識であると思います。
 その上で、こうした子供、子育て政策を今まで関与の薄い方々まで広げていく、こうした努力が大事である、こうした認識に立って、これからの政策を考えていきたいと思っております。
岡田委員 ですから、そういう認識に立つのが十数年遅れたんですよ。恐らく自民党の中にもいろいろな議論はあることだと思いますが、やはり、社会全体で子育てを支援する、その基本認識に立って、これから具体的な政策を議論していきたいというふうに思っております。
 さて、総理は、防衛費倍増、それから子供対策倍増、こう言われます。それぞれ重要な政策であることは間違いありませんが、私が非常に奇異に感じるのは、ほかにもあるはずですよね。例えば、二〇二五年問題で、社会保障費、これからも高齢者の割合が増えることで増えていくことはもう間違いのない事実。それから、先般の金利の上昇がありましたが、これから国債費の支払いも確実に増えていくだろう。
 いろいろな歳出を増やす要因がある中で、どこにどれだけ予算を配分していくのか、その財源をどうするのか、それをしっかり全体を見ながら決定していくのが政治の重要な役割だと私は思うんですね。それを、何か防衛費四十三兆円まずありきで、これはもう触りませんよ、そういう議論が私は全くおかしいと思うんですよ。
 やはり、国の将来を考えたときに、何にどれだけ、もちろんいろいろな議論が出るでしょう。それをきちんと説明し、説得しながら、減らすところも出てくるでしょうし、もっとつけなきゃいけないところも出てくるでしょう。そして、そのための財源をどうするのか。ちゃんとした議論をしませんか、総理。何か、何で四十三兆円まずありきなんですか。是非説明してください。
岸田内閣総理大臣 まず、四十三兆円につきましては、まず数字ありきという御指摘は当たらないと思っています。先ほど来申し上げてきたように、一年以上にわたって議論を積み重ね、現実的なシミュレーションを行って、必要とされる防衛力の内容を積み上げ、規模を導き出した、こういったことであります。
 そして、その防衛力についても、これは、最大限、行財政改革を行い、そして足りない分については国民の皆さんにもお願いしなければいけない、こういったことを申し上げているわけですが、歳出改革、行財政改革、これは法律に書いてありますが、社会保障関係費以外の経費を対象とする、こうした整理をさせていただいています。子供、子育て対策についても、幅広い社会保障の問題としてしっかり取り組んでいかなければなりません。
 いずれにせよ、委員御指摘のように、全体を考えながら様々な予算を考えていかなければいけない、これは当然のことであり、全体の経済、財政、しっかりと見通すことによって、日本の財政の市場あるいは国際社会における信頼をしっかり維持していくこと、これが何よりも重要だと思います。こうした、我が国の財政の信頼の維持、持続可能性の信頼におけるその維持、こういった点は、全体を考える上で大変重要な考え方であると認識をいたします。
岡田委員 そして、その前に徹底した歳出構造改革、これをやることは大前提ですよね。私は、そういったことも含めて、現在の財政健全化目標、これは二〇二五年度がゴールになっていますね。しかし、まあ、これはできないだろうと多くの人が認めていると思います。
 新たな財政健全化目標をきちんと作って、そして、そこで、徹底的な歳出構造改革も、必要な経費の算出も、そのための財源をどうするかという議論も含めて、今年の六月までに新たな計画を作るということをお約束いただけませんか。
岸田内閣総理大臣 まず、今の経済財政目標、これは到達不可能であるから見直せという御指摘でありますが、先日、一月二十四日の経済財政諮問会議において報告された中長期的な試算においては、成長現実ケースで示された成長率が実現し、これまでの歳出改革努力を継続した場合には、足下の税収増にも支えられ、国と地方を合わせた基礎的財政支出、これは二〇二五年度に黒字化する、こういった姿が示されました。
 この前提となる実質二%、名目三%、この成長自体が非現実的ではないか、こういった御指摘があります。委員もその点を指摘されているんだと理解をいたしますが、こうした目標、確かに大変高い目標ではありますが、しかし、現状を考えますと、歳入歳出両方で様々な変化が今生じています。
 今までの財政の状況を見た場合、感染症対策あるいは物価高騰に対する対策、これを何とかして経済的に下支えするための支出、これが大幅な赤字の大宗を占めています。今後、新型コロナを乗り越え、そして物価高騰を乗り越え、そして経済を再生させていく。この歩みの中で、従来、多額に必要とされたコロナ対策費等は、これは当然減額していくことになります。こうした歳出における変化。
 そして、歳入における変化。これは既に、令和三年度から税収の増加、三年度は九・六兆円の上振れ、また、四年度は三・一兆円の上振れを見込んでいます。こうした経済の回復の中で税収が増加している、こういった要素もあります。
 確かに、二%、三%という成長目標、これは高い目標ではありますが、今言ったように、歳出歳入両方において今変化が生じていき、今後の見通しを考えますときに、是非、これに政府の歳出改革努力をしっかり積み重ねることによって、今、目標とされている基礎的財政収支、二〇二五年度黒字化、この目標に向けて努力を続けていきたいと考えております。
岡田委員 総理、答弁を読むのはいいですけれども、誰も信じない計画を言ったって、国の信用が下がるだけですよ。もっと深刻に考えるべきだと私は思いますよ。
 次、原発に行きます。
 原発政策の大転換。従来は、可能な限り原発依存度を低減する、これは去年作ったエネルギー基本計画ですよね。それから、歴代政権は新たな原発の建設は想定しないと言ってきたのを、将来にわたって持続的に原子力を活用する、次世代革新炉への建て替えを考える。これは大転換されました。
 どうしてですか。これは説明がほとんどないんですよ。
岸田内閣総理大臣 まず、大転換とおっしゃいますが、まず、一昨年決定した第六次エネルギー基本計画では、御指摘のように、原発依存度は可能な限り低減していく、こうした記載をする一方で、原子力について必要な規模を持続的に活用していく、こういった記載も併せて行っています。この点は、GXに向けた基本計画においても、方針は変わらないと認識をしています。
 今、去年の二月以降、ロシアによるウクライナ侵略によって世界的なエネルギー危機が生じていると言われる中で、世界各国、少なくとも先進国は皆、エネルギーの安定確保と、そして気候変動との対応、この両立をしていくのが国家的な課題であるという認識の下に取組を続けています。
 GX実行会議でも、エネルギーの安定供給と、そして気候変動対策、脱炭素、これをどう両立させるのか、そのためには、安定的な供給体制を構築するためにあらゆる選択肢を確保していく、こうした方針を明らかにしているということであります。
 是非、このGX基本計画において示したエネルギー安定供給と、気候、温暖化対策の両立のために、今後とも原子力について必要な規模を持続的に活用していく方針を続けていきたいと思っています。
岡田委員 ウクライナの問題はここ数年続く可能性はあります。だけれども、新しい原発を造るという話は五年や十年の話じゃないじゃないですか。だから、時間軸が全然違うわけです。この機に乗じて、原発を造るということを言ってこなかったのをひっくり返して、では、原発やりますと。
 そして、総理も言っておられるように、ゼロリスクはないと総理は言っていますね、原発について。確かにそのとおりですよ。今の原発、いろいろな、規制委員会もできて、従来と比べれば安全性は高まっていると思いますが、でも、リスクゼロとは言えない。
 じゃ、本当に、冷却水が供給できなくなったときに、どうやって、原発、例えば水素爆発とか、あるいはメルトダウンとか、そういうことが起こらないための対策って、どうやって講じるんですか。
 私たちは、それは東日本大震災のときに本当に苦しい思いをした。やはり、核エネルギーというのは暴走したときに止めるすべがないんじゃないかと私は思っているんですよ。そこは何かいい手はあるんですか、総理。
岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、先ほど申し上げました世界的なエネルギー危機の中で安定的にエネルギーを確保しなければいけない、こういった点を考えましたときに、我が国の置かれている立場、先進国でも最低レベルのエネルギー自給率、そして世界の中でもかなり高い中東依存度、さらには再エネ適地が大変限られている、山と深い海に囲まれた我が国の地形、こうした状況を考えましたときに、あらゆるエネルギーを確保していくことが将来を見通すために大事だという基本的な認識に立っています。
 そして、あらゆる選択肢を用意する際、原発であったならば、次世代の革新炉一つ開発するにしても、これは二十年レベルの大変長いスパンが必要とされます。こうした取組に向けて人材や技術を維持していくことが大事だという考え方に基づいています。
 その上で、今、質問としては、リスクの問題、御指摘がありました。
 原子力については、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故、この反省を踏まえて、いかなる場合もゼロリスクはないという認識に立ち、世界で最も厳しい水準の新規制基準の策定など、措置を講じてきました。この点については、今後とも高い独立性を持った原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく、この方針は変わりありません。
 そして、今の、現在の原発、この再稼働に当たっては、福島第一原発のような事態に至らないように、電源の多重化などの電源確保策の抜本強化、あるいは、電源喪失時にも外部から原子炉の冷却ができる設備の導入、また、水素除去装置や放射性物質の大気中への放出を抑制する装置の導入など、原子力規制委員会の厳しい基準に従って対応し、そして、地元の理解を得た上で再稼働していく、こういった方針は堅持するものでありますし、また、検討されている次世代革新炉の中においては、万が一外部電源を喪失した場合にも人の操作を介せず自動的に燃料棒を冷却させるシステム、仮に炉心溶融に至った場合にも溶融燃料を自然冷却させるコアキャッチャーを導入するなど、最新の技術、これが検討されている、こうしたことであります。
 こうしたことを一年間にわたり、関係省庁の専門家会合で百回以上の会議を行う中で議論を積み重ねてきました。今申し上げた再稼働における安全対策、また次世代革新炉における安全対策、こうした議論を積み重ねてきたわけであります。是非、この積み重ねの上において、確定したGXの基本方針について、国民の皆さんに丁寧に説明を続けていきたいと考えております。
岡田委員 私が議事録を読む限り、GX実行会議で、最悪の事態、これを避けなきゃいけないということは言っているけれども、どうやって最悪の事態に対応するかということは議論されていませんよ。結局、原発推進の人を多く入れている、最初から結論ありきだったと私は思いますね。
 それから、もう一つ言っておきます。
 諸外国がと言われましたが、例えばドイツはどうですか。ドイツは、今年の四月まで原発廃止の期限を延長しました、確かに。だけれども、同時に何を決めているか。二〇三〇年までに電力に占める再生可能エネルギーの割合を、従来六五%だったのを八〇%に引き上げるという決定も行っています。そして、二〇五〇年には全て自然エネルギーで賄う。水素やアンモニアも、グリーン水素、グリーンアンモニアでやる。そういう道筋をしっかり描いてやっていますよ。私は日本も同じ道を行けるはずだというふうに思っているんですね。そのことをまず申し上げておきたいと思います。
 では、その原発のリスクの中で、ミサイル攻撃というものについてこの前も議論させていただきました。これはどうするんですか。
 議論をちょっと省略するために、総理の答弁を持ってきました。
 ミサイル攻撃については、規制委員会は、その対象ではないというふうに言っています、これは民間事業者で防ぎようがないんだということを言っています。
 では、政府はどうするか。ここに書いたとおり、ミサイルによる武力攻撃に対しては、イージス艦やPAC3など我が国の防衛力によって対処する、加えて日米で共同して対処する、そうした事態であると認識していますと。
 でも、これじゃ対処できないミサイルがあるとさっきも議論に出ていたじゃないですか、超々高速とか変則軌道とか。対応できないから、今、反撃力の議論になっているわけでしょう。そういうミサイルに対して対応できないわけですね。
 聞かれて、総理は、事態対処法や国民保護法の枠組みの下で原子力施設の使用停止命令あるいは住民避難等の措置、こうしたことを準備しています、こう答えられました。
 だけれども、ミサイルが飛んできてから止めたって遅いんですよね。あるいは、察知して止めたって、やはり一週間ぐらいは冷えませんから。そして、結局、逃げるしかないということですよ、これは。逃げるしかない。
 そういう状態で、原発そのものはちょっと横に置きましょう。だけれども、私が少なくともこれだけはちゃんとやってくださいと言っているのは、使用済燃料、これはエネルギー供給と何の関係もありません、使用済燃料を原発建屋の中のプールに大量に保存しているという事態は、これは国の責任でしっかり早く解消しなければ、ここに当たったときにどうするんですかということを私は言っているんですよ。いかがですか。
岸田内閣総理大臣 ちょっと幾つかまとめて発言されたので、一言だけ触れますが、まず、原発の安全性についてGX会議で議論した形跡がないということですが、それについては、まさに先ほど答弁させていただきましたように、一年間にわたり、各省庁の専門家会合で百回以上にわたって安全性について議論を積み重ねてきて、その上においてGX会議というものが存在いたします。
 そして、ドイツと違うのではないか、こういった指摘がありました。
 確かに、ドイツとは違います。ドイツとは置かれている状況が違う。エネルギーの安定供給という観点から考えましても、日本の置かれている自給率の低さ、中東依存度の高さ、そして再エネ適地の少なさ、これは置かれている状況が違うわけですから対応が違う、これはそのとおりだと思っています。
 その上で、原発へのミサイル攻撃について御質問をいただきました。
 おっしゃるように、ミサイルからの安全ということにつきまして委員とはこれまで随分と議論をしてきましたが、極超音速滑空兵器やあるいは変則軌道のミサイル等を考えますと、これは迎撃がより難しくなっている、これは事実だと思います。だからこそ、我が国として国民の命を守るために防衛力を抜本的に強化しなければならない、こういった問題意識に基づいて、防衛力の強化について議論を行ったわけであります。
 こうした脅威に対応するために、三文書においては、イージス艦やPAC3に加えて、警戒管制レーダーや地対空誘導弾能力の向上、イージスシステム搭載艦、SM6、新しい迎撃ミサイルですが、こうした整備をするなど、ミサイル迎撃能力の更なる向上に努めた。そしてさらに、それに加えて、統合防空ミサイル防衛能力によって、反撃能力によってミサイル攻撃そのものを抑止していくことを考えていく。さらには、日米同盟の抑止力、対処力を強化することによって、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させる。こうした取組が重要であるということで議論を進め、政府として、この三文書という形で方針を決定したということであります。
 こうしたミサイルに対しての安全性ということについても、政府として、真剣に防衛力の強化という観点で取り組んでいかなければならない、こういった認識で取り組んできたということだと思っております。(発言する者あり)
 いっぱい、いろいろ聞かれたので、あれです。
 使用済燃料についてありましたが、この使用済燃料の保管方法については、原子炉等規制法に基づいて、原子力規制委員会が最新の科学的な知見あるいはIAEA等の安全基準を参考にしつつ必要な基準を策定し、それに照らして厳密に安全性を確認している、このように承知をしています。この原子力規制委員会の厳しい審査を経て、認可を受けなければ運転ができない、このことについては従来と全く変わっておりません。
岡田委員 原子力規制委員会は、ミサイル攻撃で原子炉の建屋が破壊されたということも審査に、対象にしているんですか。それはしていないという前提で、だから政府しかそれは何とかできないということで私は申し上げているんですよ。
 どうして、明らかにリスクがある、それはミサイル迎撃でいろいろなことができるでしょう、抑止力もあるでしょう。だけれども、そういうのを打ち破られたときに、建屋の中のプールにある使用済燃料がばらけて、そして、場合によっては日本の国土の何割かが失われるかもしれないんですよ。
 それだけのリスクがありながらそれを放置して、やろうとすればできるわけですよ、プールから移せばいいんですから。乾式に移して、もう少し安全なところに持っていけばいいわけですよ。業者に任せておけばそれはやらないかもしれないけれども、政府ができるのにやらなければ、私は、福島第一原発のときに、津波は来ないと言って放置して、そしてあれだけの甚大な被害を招いた。同じ責任を総理自身が取らなきゃいけなくなりますよ。
 国民のために、もう少しそこは何とか考えてくれませんか。
岸田内閣総理大臣 使用済燃料の保管方法については、今の保管方法に代えて何かほかの方法をという御指摘でありますが、例えば、使用済燃料プールによるものではなくして乾式キャスクによる保存ですとか、様々な議論はありますが、いずれにせよ、どういった方式を取っても、原子力規制委員会の厳しい審査を経て、認可を得なければならない、この点については変わりはありません。
 ですから、ミサイル攻撃については、我が国の防衛力強化、国民の命や暮らしを守る観点から、どういった装備を充実させるべきなのか、これが重要だということを申し上げています。だからこそ一年間かけて議論を続けてきた、こうした重要な課題であると認識をしております。
岡田委員 もし総理がそういうことをおっしゃるんだったら、今、航空機の衝突までは規制委員会が対応することになっていますよね。じゃ、ミサイル攻撃も規制委員会の対応項目に加えたらどうですか。でも、規制委員会は、それはできません、それは民間事業者ではどうしようもないことなんです、政府の問題なんですと言っているわけですよ。ここは政府の中でお互い責任の押しつけ合いになっているんですよ。だけれども、重大なことなんですよ。国民の命が懸かっているんですよ。
 だから、今日はこの辺にしますが、是非検討してもらいたいというふうに思います。国民の命の問題です。
 時間が限られていますが、ちょっと最後、反撃能力について。もう余り時間がございません。
 私が想定する、政府が言う存立危機事態における反撃力の行使というのはこういうことかなというふうに思って、作ってみました。私はこれに賛成しているわけじゃありませんよ。
 日米が共同ミサイル防衛をやっている、そのときに、米国の艦船にある国がミサイル攻撃を加えた、存立危機事態の要件に該当するということで、日本がそれに対して反撃をする、そのミサイル基地に。こういう場合を想定しておられると考えていいですか、一つのケースとして。
岸田内閣総理大臣 実際のところ、個別具体的な事案に即して対応を考えなければいけませんが、基本的な考え方として、存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態であり、そして、なおかつ、他に適当な手段がなく、必要最小限度の行使にとどまる、こうした条件を満たすものであります。
 よって、この存立危機事態、これは図をお示しいただきましたが、米国を始めとする他国に対する武力攻撃が発生したからといって、無条件で認定されるものではありません。個別具体的な状況に即して、攻撃国の意思ですとか、能力ですとか、事態の規模ですとか、こういったものを総合的に考慮するわけですが、基本的に、我が国の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態において、こうした存立危機事態の発動を考えていく、これが基本でありますので、全く我が国とは関係ない事態で米軍が攻撃を受けたとしても、我が国として対応することは考えられないということであります。
岡田委員 総理はいろいろおっしゃったので、存立危機事態そのものも、とても曖昧な概念なんですよ。
 これは安倍さんの答弁をお示ししたいと思いますが、新三要件の判断に当たっては、事態の個別的、具体的な状況に即して、主に攻撃国の意図、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなります。
 何を言っているか分かりませんよね。すごくこれは政府に大きな裁量権が与えられているに等しいんですよ。
 存立危機事態に当たるかどうかというのは、総理、集団的自衛権を行使する際に、存立危機事態に当たれば、政府の考え方によれば合憲だ。存立危機事態に当たらなければ違憲ですよね。だから、合憲と違憲を切り分ける大事な概念なのに、定義そのものも曖昧だし、その運用に当たっては更に。こんなことを言われたら、政府が勝手に決められるに等しいですよね。
 だから、私は、存立危機事態の概念そのものがおかしいし、その運用も明確にしないと、もし認めるとしても、結局何でもやってしまう、集団的自衛権の行使というのは限定なくやられてしまうことになるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
 その上で、今日議論したかったのは、存立危機事態における反撃力の行使の話なんですね。
 先ほどの図を見ても、日本から相手国本土にミサイルを撃ち込むわけですから。これはどういう場合があるんでしょうか。日本自身は攻撃を受けていないんですよ。だけれども、米艦が攻撃を受ければ相手国本土にミサイルを撃ち込む。私は、およそちょっと想像できないんですね。
 だから、総理に、もう時間ですから、求めたいのは、安倍さんと安全保障法制を議論したときに、いろいろなポンチ絵を政府は出されました。ほとんど使えなかったけれども、こういう場合は存立危機事態だとかいうようなことをいろいろ説明されましたよね。だから、存立危機事態における権力の行使について、反撃力の行使について、具体的にこういう場合は可能性があるということを、幾つか具体例を挙げて説明してもらいたいんですよ。抽象論の世界ではないんですよ。私は非常に危ないと思いますよ。
 日本が攻撃を受けたときに、それに対して一定の条件の下で反撃するというのは、それはあるかもしれません。だけれども、日本が攻撃を受けていないときに、例えば米軍が戦っている、日本は攻撃を受けていないのに相手国の本土に撃ち込むわけですからね、ミサイルを。これはどういう場合でしょうか、教えてもらいたいですよ。
 これが専守防衛なんでしょうか。私は一線を越えていると思いますよ。だから、きちんと具体的例を示して御説明ください。
岸田内閣総理大臣 まず、存立危機事態の概念が曖昧だということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、存立危機事態とは、我が国の存立が脅かされ、国民の命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態。我が国の安全に関わる場面であるということはしっかり確認した上で、もしこの存立危機事態に至ったときは、政府は、その事態の認定、その前提となった事実、武力の行使の必要性が認められる理由などを明記し、この対処基本方針について、国家安全保障会議の審議を経て、閣議決定し、直ちに国会の承認を求める、こういった手続になっています。
 これは、曖昧だということでありますが、そういった国会手続をしっかり経ることで国会の承認を得る、こうした手続になっているということであります。
 そして、具体的な事態を説明するべきだというお話がありました。
 基本的な考え方を分かりやすく図式等で説明することはあり得ると思いますが、具体的な事態を細かく説明する、こういった場合はこうする、こういった場合はこうするという細かいことを具体的に説明するということについては、これはもう安全保障の世界の常識でありますが、我が国の国民の命や暮らしを守る手だてを、手のうちを明らかにするということになるわけですから、そうした細かい具体的な説明までは行うことを控えなければならないということだと思います。基本的な考え方については、丁寧に説明することは重要だと認識をいたします。
岡田委員 少なくとも安倍政権の下で安全保障法制を議論したときのような、幾つかのケース、極めて不十分だったとは思いますが、具体的なケースについて、細かいことを言っているんじゃないですよ、こういう場合は該当し得るということでいいんです。それをきちんとこの予算委員会の場で説明してもらいたいし、国民に対して納得させるためにも、それだけのことは是非お願いしたいというふうに思います。
 終わります。




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