守屋氏の逮捕――シビリアンコントロールが効く仕組みを
今日は守屋前防衛事務次官の逮捕について、申し上げたいと思います。
守屋前次官の逮捕は時間の問題だと言われていたわけですが、とうとう昨日逮捕に至りました。私がこのことで感じるのは、まず第1に、事務次官という事務方のトップの逮捕という異常事態です。
私が初めてショックを受けたのは、リクルート事件のときに当時の文部事務次官と労働事務次官が逮捕された。当時の霞ヶ関ではあり得なかったことが起こった。自らの私腹を肥やすようなことを事務方のトップがやっていたということに、私は大変大きなショックを受けました。当時は私も官僚でした。
今回、守屋前次官の直接の逮捕の原因は、過剰な接待攻勢、それを夫婦で受けていたということです。しかし、今回の守屋前次官の逮捕は、それにとどまることなく、さらに事態は深刻だと思います。
つまり、守屋氏は事務次官であり、事務次官であるということは自衛隊員でもあるということです。自衛隊員の行動、つまり武力を持った実力部隊をいかにコントロールしていくかということがシビリアンコントロールですが、つまり、守屋次官以下をしっかりとコントロールしていくのが防衛大臣の役割であり、内閣の役割であり、そして国会の役割です。
そういったことがほとんど機能していなかったということをこのことは示しています。
そもそも、4年間も次官をやったということが霞ヶ関の常識では異常ですが、そのことがなぜなされたのか。そして、これだけの接待を受けながら、なぜそのことが伝わらなかったのか、あるいは伝わったけれども放置されたのか。
そして、さらにいろいろな疑惑が言われています。過重な見積もりに対する関与が言われたりしているわけですが、とにかく、この国の最後の砦、国民の命、財産を守る最後の砦である自衛隊という実力組織、その実力組織に対して、しっかりと政治が、つまり政府や国会がコントロールするということができていないということが、今回はっきりしたと思います。
この件は徹底的に解明しなければいけません。もちろん、後ろにいる政治家の関与も極めて重要な点です。
同時に、シビリアンコントロールがどうやったらきちんと効かせることができるのか、そのことを、これは与野党を超えてしっかりと議論していかなければならないと思います。
私は1つの大きな決め手は情報公開だと思います。米空母キティホークの航海日誌がほとんど黒く塗られることなく情報公開されました。
それに対して、自衛隊の補給艦の航海日誌は、なかったり、出てこなかったり、あるいは、出てきても真っ黒だったり、全く情報開示がなされていません。
「防衛機密」の名の下に、様々な情報開示がなされずに、そういう中でいろいろな不正が行われた可能性が高い。それがこの問題の本質だと思います。
これをどうやって乗り越えていかなければならないのか。私は新しい仕組みも含めて、例えば、国会の中に秘密会を設けて、防衛機密、重要な外に出せない情報は国会の中でコントロールしながら、しかし、きちんとチェックできるような仕組み、そういったものも含めて、これからしっかりとした議論が必要であると思います。
いずれにしても、この不祥事は本当に残念ですし、国民の皆さん、そして現場の自衛官の皆さんに申し訳ないことだと思っています。
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