代表質問――国家目標はいまの日本の政治にはそぐわない
昨日で衆議院の代表質問が終わり、いまは参議院の代表質問中です。これで一当たり本会議は終わり、これからは予算委員会ということになります。
予算委員会の日程は、私は衆議院予算委員会の筆頭理事ですから、前原理事とともに、与党の議員といま折衝中です。(23日午後時点)
私たちとしては、いま一部に言われるような、1月に租税特別措置法改正案を強行採決してしまう、3月一杯までに法案を通すためにそういう強硬手段に出る可能性があるときに、補正予算の審議にすんなり入っていくわけにはいかない。
少なくとも、そういうことはない、月内に租税特別措置法改正案について採決することはないということを明確にすべきであるといったことを申し上げながら、いま日程の協議をしているところです。
基本的にはしっかりとした良い議論をしたいと思っていますが、すぐ近くで強硬手段に出る可能性が取り沙汰されているときには、やはり、その可能性を排除したうえで、きちんとした議論をすべきだと、当たり前のことを申し上げているつもりです。
さて、代表質問ですが、我が党は衆議院は鳩山幹事長と古川元久さん(税調副会長)が非常に良い議論をされたと思います。そういう中で、あまり報道されていないことで、私が割と面白いなと思った点が1つあります。
それは、自民党の伊吹幹事長が福田さんに「総理としての国家観を語れ」ということを大上段に最初に質問しました。それに対する福田さんの答弁が非常に面白いなと思って聞いていました。
福田さんが言われたのは、「明治維新のときのような、国家として欧米列強の攻勢の中で生き残っていかなければいけない、富国強兵という国家目標、あるいは戦後敗戦の中で豊かになろう、国民が一致して豊かさを目指した高度成長期のような、そういった単純明快な国家目標というのはすでに豊かになってしまった日本においては難しい」ということをはっきりと言われたことです。
大上段に振りかざした伊吹さんから見ると、完全に肩すかしを食らわされた思いだったかもしれませんが、統一的な国家目標を政治が掲げて、そして国民を鼓舞して同じ方向を向かせて進んでいく、いまやそういう政治ではないんじゃないか。成熟した、多様な価値観を認めていくいまの日本にあっては、そういう国家目標というのは適切ではないんじゃないかという趣旨のことを、福田さんはおっしゃったと思いますが、これは私の感覚ともかなり近いものです。
もちろん、国の政治ですから、日本が将来どういう日本になっていくのか、その方向性を示すことは大切だと思いますが、それで国民が皆同じ方向を向いて進んでいくべきだという、いわば「国家目標」というようなものはいまの政治にそぐわないと私は常々思っていましたので、福田さんの答弁を、ある意味非常に共感を持って、面白く聞いていました。伊吹さんとは相当考え方が違うなと感じたわけです。
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