道路問題――より深い議論のためには審議のボイコットも
いま、予算委員会の真っ最中ですが、昼休みで中断しています。この予算委員会は2月から始まり、随分議論を重ねてきました。非常に良い議論、中身のある議論が続いたと思います。
とりわけ、道路の問題は様々な疑問が明らかになりました。
まず、中期計画です。これから59兆円を投じて、10年間で(道路整備を)やるということですが、そのことについての問題が具体的に指摘されました。
1つは高規格幹線道路、一言で言えば高速道路ですが、20年前に作った1万4000㎞の計画を引き続きやることの問題。時代も変わり、人口も減ったにもかかわらず、計画だけが一人歩きしています。
そして、いまでも採算に合う、便益がコストを上回るということを繰り返し冬柴大臣は主張していますが、その前提としているのは随分古い数字(1999年道路交通センサスなど)です。いまある5カ年計画を作ったときと同じ数字を用いて計算をしています。
本来であれば、とっくに新しい数値が出ていたはずですが、今年の秋になるまでそれは揃わない、数字は揃わないんだ、だから古い数字でやるんだと言っています。
新しい数字であれば、採算に合わないものが続出することは確実です。人口も減り、車の通行量も減っています。ですから意図的に古い数字でやったとしか思えないわけです。これは新しい数字で計算をし直すべきだと思います。
そして、開かずの踏み切り除去とか通学路の歩道整備とか様々なことを言っていますが、ここ4年間の実績で見ると、そういったことにほとんど予算は投じられていません。それが1桁も2桁も違うような、10カ年計画になっています。
本当に必要なら、どうしていままでできなかったのでしょうか。しかも、その多くは地方で自らがやれるものが多いわけですから、本来であれば地方にお金を色を付けずに渡して地方の判断でやっていけば済む話です。
そして、もう1つの疑問は、そもそも最初は65兆円必要だと言っていたのが、59兆円に急きょ変わったことです。
その内訳として、国交省は3つのことを示しました。節約・コストダウン、これがまず2兆円です。しかし、簡単にコストダウンできるような計画というのは果たして何なのでしょうか。
わずか数カ月前には65兆円必要と言っていた。しかし、節約でその内の2兆円は減らせると言っているわけです。計画そのものがデタラメだったと、数字先にありきだと言わざるを得ないと思います。
あるいは、6兆円の減額の中で、1兆円分は高速道路の料金を下げたり、インタンチェンジを増やすことでバイパスなどの必要性がなくなったりと言っています。
じゃあ、具体的にどこの部分についてそうするのかということを問いましたが、その答えをありません。結局、単なる数字のつじつま合わせをしているとしか思えないわけです。
その他、予算委員会の質疑の中で次々に明らかになった様々な天下り、ムダづかい、そういったことも特定財源でお金が先にあるからこそ起きることです。一般財源化する、その民主党の主張の正当性が新ためて裏付けられたと思います。
私が特に強く主張したいことは、中期計画を見直すことです。秋には数字が出る、基になるデータが揃うというのであれば、そのデータが揃ったところでもう1回全体計画を見直す。かなりの規模縮小になるでしょう。
そして、その計画見直しに国会がもっときちんと関与して、官僚が勝手に作るのでなくて、1つひとつの前提についてきちんと、この予算委員会で行ったような吟味を国会が行い、私は予算委員会でやればいいと思いますが、そして多くの人が納得できる中期計画を作り直す。そのことが最も求められることだと思います。
福田総理に予算委員会の中でも申し上げましたが、まず中期計画を全面的に見直すということを、総理がきちんと決断をする。そのことで、じゃあ当面こういった、我々は一般財源化と暫定税率の廃止を言っていますが、こういったことについて、この1年間をどういうふうに考えていくのか、より突っ込んだ議論ができるようになるのではないのでしょうか。
いずれにしても、この道路の問題はますます議論を深めていかなければなりません。にもかかわらず、そういう状況を察知した、つまり議論すればするほど不利になると思ったのか、与党のほうは委員会での採決、予算の採決ということを言っています。今週中に採決するということをはっきり言い始めました。
私たちとしてはそれは認められませんので、これから今週末から来週にかけて、激しい攻防を行っていかなければならないと思います。
私は本来、きちんと審議すべきだという信念で今日までやってきましたが、採決先にありきということであれば、場合によっては審議に参加しないと、より深い議論をするために、当面の作戦として審議のボイコットということも含めて、残念ながら考えていかなければならないだろう――。予算委員会の責任者としてそう思っています。
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