オバマ新大統領――1つの時代が終わり、新しい政治へ
オバマ新大統領の就任演説をお聞きになったでしょうか。私が聞いていて特に感じたのは、語りかけるような静かな口調で、しっかりと中身のあることを言われたということです。いままでの選挙演説とはまた違う、大変魅力のある演説だったと思います。
この中で様々なことを言われたわけですが、特に私がいままであまり気づかなかった話として、核の問題を取り上げられました。
核の不拡散あるいは核軍縮の話というのは、私がこの3年間、議連(民主党核軍縮促進議員連盟)をつくって取り組んできた、非常に関心の高い、そして非常に重要だと思っている課題です。
このことに、アメリカ合衆国大統領がその就任演説で正面から言及して、これから取り組んでいくという熱意を示されたことは、大変重いことだと思います。
米国含め各国の中で、この核軍縮・核不拡散の問題に改めて取り組んでいこう、将来、核のない世界を目指してやっていかなくてはいけないと、そういう風潮が1つ出てきたことは、大変嬉しいことです。日本も単にお題目として唱えるだけではなくて、実際の行動が求められていると思っています。
そして、地球温暖化の問題も取り上げられました。こういったグローバルな問題、核の問題や、地球温暖化、あるいは貧困といった問題に正面から取り組んでいく、そういう米国大統領が誕生したことを、率直に喜びたいと思っています。
そして、演説の中身全体は、米国民に対して語りかける、つまり、この厳しい時代にあって、ともにしっかりと責任を果たしていこう、そういったニュアンスの強く出た演説だったと思います。
「誰かがやってくれるのではなく、1人ひとりが本気になったときに政治は動く」と私はよく演説で申し上げるのですが、まさしく今回のオバマ大統領の演説は、米国民1人ひとりに、新しいオバマ大統領とともに困難な課題に取り組んでいこう、そういう呼びかけを行ったものだと思います。素晴らしい演説だったと思います。
そして、就任式の式典そのものが、歴代の大統領が同席し、そして素晴らしい歌や音楽があり、国民を1つにする非常に重要なセレモニーなんだなと、改めて感じさせられました。長い就任式典でしたが、あっという間に終わってしまったというのが私の感じです。
そして最後に、すべて終わったあと、ブッシュ前大統領ご夫妻が、エアフォースワン(大統領専用機)を使わずに、ヘリコプターで会場から飛び立ちました。私は、そのヘリコプターが飛んでいく姿を見て、1つの時代が終わったなと改めて感じました。
考えてみれば、あの9月11日のテロ以来、ブッシュ前大統領は「テロとの戦い」「テロとの戦争」を叫び、それによって求心力をつけ、この8年間、大統領としてやってこられたわけです。
ほとんど失敗続きだったと私は思いますが、しかし、一時期米国民は熱狂的にブッシュ前大統領を支持しました。そして、そのブッシュ前大統領と盟友関係にあった小泉元総理の人気も、いろいろありますけれども、ブッシュ大統領と近い関係にあるということも小泉さんの人気を押し上げた大きな要因だったと私は思います。
あのテロに始まる、少し普通ではない、そういう8年間の時代がここに幕を下ろし、そして、ブッシュ大統領と小泉総理という、ある意味ではこの8年間の主役を務めた2人が華やかにもてはやされた、そういう時代が過ぎて舞台を去り、そして米国も日本も今年新しい政治が始まる――。そういうふうに改めて感じた次第です。
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