国際結婚の離婚後の親権問題―早急に何らかの対応が必要
先日、フランスやイギリス、アメリカなど8カ国
の大使や臨時大使がお見えになり、子の親権をめぐる問題に関して意見交換を行いました。ただ、意見交換というよりは、むしろ、日本に対して「対応をよくしっかりとしてください」という趣旨でお見えになったわけです。
離婚した両親の子どもの親権がどうなるかという問題で、いま問題になっているのは、外国人と結婚した日本の女性に関するものです。
例えば、アメリカの男性と結婚した日本の女性に子どもができ、その後離婚に至ったというときに、その女性が子どもを勝手に日本に連れて帰るというケースが結構あるわけです。
日本的な感覚で言うと、女性が子どもを引き取って、子どもの親としてしっかりと養育をするというのは、あまり不思議ではない現象だと思いますが、欧米ではどちらの親もきちんと会えるようになっているので、勝手に日本に子どもを連れて帰ってきますと、これは誘拐になってしまうということです。
いま、国際的には、ハーグ条約(「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」)というものがあり、日本はまだこれに加入していないので、「早く加入してください。何とかしてください」と言われました。
条約に加盟するには少し時間がかかるにしても、現にいま、自分の子どもに会いたい男親が、それぞれの国にかなりの数いて、お母さんは日本人で日本にいる。しかし、それを会わせる手段がない。もちろん、任意で会っていただくにはいいのですが、強制する手段がないということで、それに対する善処を求める会合でした。
これは非常に難しい問題を含んでいまして、ハーグ条約の加入も検討課題ではありますが、日本と欧米の司法制度の違いも考慮に入れなければなりません。
日本では、家庭のことに関しては、子どもの虐待の場合を別とすれば、基本的に公権力は介入しないという考え方に立っています。したがって、強制する手段がないということです。
しかし、欧米から見るとそれはおかしな話で、子どもの立場に立てば、どちらの親にも会えるような仕組みをきちんと作るべきだということになります。
日本の司法制度の根幹というか、かなり根っこの部分に関わってくる話であり、しっかりとした検討が必要な問題だと思います。
しかし同時に、自分の子どもに会えないというのはいかがなものかと思いますし、逆のケース、日本の男性が外国の女性と結婚して、その女性が自分の国に子どもを連れて帰り、日本人である父親が子どもに会えないというケースも、これから増えてくることが考えられます。
このことについて、やはり何らかの対応が必要であり、外務省の中でも、政府の中でも、急いで検討する必要があると思っています。
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