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2010.02.22|TALK-ABOUT [ブログ]

豪州訪問(1)―捕鯨問題で2国間関係を損なってはいけない

金曜日(2月19日)の夜に成田を発って、月曜日(2月21日)の朝に戻ってくるという急な日程ではありましたが、例によって「弾丸外交」でオーストラリアに行ってきました。

今回はラッド首相、スミス外相と日豪間の課題について、あるいは地球温暖化や核といった、もう少しグローバルな問題について議論をしました。
核の問題については、外相同士でステートメントを出し、核なき世界に向かって、日豪両国政府が緊密に連携を取りながら、これから世界に対して働きかけていこうという、非常に良い中身のステートメントができました。

ただ、マスコミに取り上げられたのは、核の問題も記事にはなりましたが、テレビなどは捕鯨の問題が中心。捕鯨に関しては、オーストラリア側からは、「日本の調査捕鯨は違法であり、これについて話し合いがつかなければ、国際司法裁判所に提訴することも視野に置く」というものでした。

私からは、「それは非常に残念なことである。しかし、もちろん現実に提訴ということになれば、我々の正当性を主張していく。ただ、提訴の前に、なるべく2国間で、そしてIWC(国際捕鯨委員会)で議論することが先ではないか」ということを申し上げました。

これだけ捕鯨の問題でオーストラリア側が強硬なのは、1つは、やはりオーストラリア側の国民感情にあります。「クジラは特別だ。それを捕ったり食べたりするということはとんでもない」と思っている人たちが、オーストラリアには多いということです。

そして、オーストラリアでも前回の選挙で政権交代があったのですが、そういった調査捕鯨について、「これはけしからん、場合によっては国際的な裁判で争う」ということを選挙で約束し、政権交代がなされたという与党の状況も、その背景にはあると思います。

選挙のときに約束したことを、あとから野党や世論から「どうなっているのか」と問われるのは、これはオーストラリアだけの話ではありませんが、大事なことは、お互い冷静にやっていくということです。

日本とオーストラリアは、多くの問題で非常にうまくいっていますし、相互補完関係にある2国間関係ですから、捕鯨の問題は感情的になりやすいわけですが、これが両国の関係全体を損なうことがないようにしなければいけません。

そのことについては、ラッド首相やスミス外相と私との間で、完全に合意したところです。

◎岡田外務大臣の豪州訪問(外務省HP)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_okada/australia_10/index.html
◎日豪外相共同ステートメント「核兵器のない世界に向けて」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_okada/australia_10/pdfs/1002_ks.pdf

※ブログの動画版はこちら



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