予算委質問①─格差を認め、正面から取り上げるのが政府本来の姿勢
2月19日の予算委員会で、安倍総理と90分議論しました。
2回に分けて、この間の議論をご紹介したいと思います。今日はまず第1回ということで、格差問題について、どういう議論があったかということをご紹介します。
まず私は、政府、特に安倍総理が私の代表質問(16日)に対して、答弁したことを捉えて議論しました。
「格差の拡大というものは認められない。確認できない」という答弁です。総理は、格差を示す1つの指標の「ジニ係数」を用いて言われたと思います。もちろん本会議の答弁では、ジニ係数ということは言わずに、一般論として言われたわけです。
ジニ係数についても、実は若年層については格差の拡大が見られる、というのが数字から導き出される結論で、そのことは言わずに、一般論として言われたということは問題がある、ということをまず申し上げました。
あわせて、政府の出している「経済財政白書」でも、ジニ係数を見ても80年代後半から格差は拡大しているということを指摘している。非常に部分だけを取って、「格差は拡大していない」と言うことは、ミスリーディングだということを申し上げました。
あわせて、これからのほうがより重要なのですが、「相対的貧困率」という考え方、これはジニ係数と並んで、格差の拡大を論ずる際に非常に重要な指標ですが、このことについて全く言及されていない、ということを申し上げました。
相対的貧困率は過去20年ぐらい上がっていますし、そのことは明らかです。
そのことについて指摘をしますと、ちょっと驚いたのですが、相対的貧困の数字は、日本もOECDに報告をしていて、政府として認識しているはずですが、「厚生労働省の数字で見ると上がっているが、総務省の数字で見ると上がってない」と、そういう言い訳を始めました。
「なぜそうなっているのか調査しないといけない」と甘利大臣が言われましたので、私は「今頃、調査はないだろう」と。そして、重要な相対的貧困率の数字が悪化しているということであれば、やはり正面から格差問題を取り上げるというのが、本来、政府の取るべき姿勢ではないかということを申し上げました。
もう1つ取り上げたのが、ひとり親(母子家庭や父子家庭)で子どもがいる、そういう家庭の相対的貧困率が5割を超えている。これはOECD諸国の中で最悪だという問題です。
私は、これは国の恥だ、国家としての恥だということを本会議でも予算委員会でも申し上げました。
こういうことを放置しておいてはいけないと。もちろん、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」というのは議員立法ですでに成立して、それなりのことは進んでいるのですが、最大の問題は現金給付、児童扶養手当、そのかさ上げが必要であると申し上げました。
具体的には、今は18歳までですが、これを20歳まで延長できないか。
そして、第2子はプラス5,000円、第3子はプラス3,000円という月額です。例えば第3子になると、1日100円しかプラスされていないと。これは一体何なのかということを申し上げ、財政が厳しいことはよく分かる。しかし、例えば相続税や所得税を増税するというところから財源を導き出て、こういうところに付けられないかということを申し上げました。
もう1つ、具体的に申し上げたことは、この相続税、所得税の話です。今年の1月から所得税の最高税率は45%になりました。しかし、課税所得4000万円以上の人に限る話で、適用対象はごくわずかであります。
相続税も最高税率が55%になりましたが、適用対象は亡くなった方の従来4%だったのが6%に増えたということで、決して対象は大きいわけではありません。そういう意味で、もう一段増税の可能性はないのか、そういうことを検討するべきではないのか、ということを申し上げました。
総理はそれに対して、否定的なことを述べられたのですが、この辺が自民党と民主党と違いなのではないかと思います。
私も税率が高ければ高いほどいいとは思いませんし、かつて日本の所得税の最高税率が75%の時代が随分ありましたが、そういったところに戻せということではありません。
しかし、所得再分配という観点から、あまりにもフラット化しすぎた、税制を見直すべきだということを申し上げたところです。
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