民主党の対案─4月に考え方は出した、批判だけというのは間違い
月曜日(27日)から、いよいよ場所を参議院に移して、安全保障法制の議論が始まりました。これから約2カ月、熱い夏を過ごすことになるだろうと思います。
国民の皆さんの関心も極めて高くなっており、かつ政府は説明不十分と、8割の国民の皆さんが言われているなか、是非いい議論を期待したいと思います。
民主党も、衆議院でもそうでしたが、何が問題かということを論理的に、しっかりと議論していきたいと思います。
衆議院の審議で明らかになったことは、あまりにも政府・与党側が準備不足、いろんな質問に答えられない、あるいは議論が二転三転するということです。
総理が2つの事例として取り上げた、ホルムズ海峡の機雷掃海の問題が、「これは典型的な例ではない」ということになってしまったり、そして、委員会の審議が終わったあとで、イラク特措法に基づく自衛隊の活動、特に陸上自衛隊の活動についての報告書が公開されたり、非常にちぐはぐぶりが目立ちました。
ちなみに、航空自衛隊のイラクにおける活動については、いまだに報告書は出されていません。
そういう中で、与党のほうは、民主党には対案がないということを集中的に攻撃しています。先般のNHK「日曜討論」でも、自民党の稲田政調会長はそのことを強調されていました。
そのことについて、一言申し上げておきたいと思います。
まず、我々の「対案」ということに意味ですが、「考え方」という意味では、すでに4月に我々の考え方は出ています。したがって、対案なく批判だけしているというのは間違いです。
周辺事態法についても、PKO法についても、我々がどう考えるかということは、その中に明らかにしています。
第2に、しかし集団的自衛権の行使に関しては、我々は対案を持ちません。それは、集団的自衛権の行使が違憲の疑いが濃いということで、我々は基本的に個別的自衛権で対応する、あるいは周辺事態法で、自衛権の行使に至らない、後方支援で対応するということにしているからです。
したがって、この部分について、当然のことながら対案は作ってありません。
それは当然のことで、対案があるということは、集団的自衛権の行使を一部認めるということですから、私たちはそういう立場には立っていないということを申し上げておきたいと思います。
周辺事態法やPKO法に関しては、「考え方」が4月にまとまり、法案化の作業も粗々整ってきています。
したがって、必要があれば、いつでも提出できる状況に来ているということも申し上げておきたいと思います。
ただ、それを参議院の委員会審議の冒頭から提出するということは、私は避けるべきだと考えています。
まず、国民の皆さんの8割が、政府の説明は不十分というなかで、しっかりと政府案の疑問点、問題点を指摘し、議論するということが、我々野党に求められた役割だと考えるからです。
したがって、最初からPKO法や周辺事態法の対案を出すということはありません。今後、参議院で議論していく中で、タイミングを計るということになります。
これは、もっぱら国会戦術上の問題でもあり、先般のNC(『次の内閣』)において、私、参議院議員会長の郡司さん、特別委員会筆頭理事の北澤さん、細野政調会長、高木国対委員長、この5名に出すか、出さないか、出すとしたらタイミングをどうするかということは、一任を受けました。
これは党として決定したことです。したがって、早く出せとか、出さないとか、そういう議論は党の中で、個人的なご意見はあるかもしれませんが、すでに方針は党として決定している、その方針に基づいて、粛々と対応していくということは申し上げておきたいと思います。
いずれにしても、「対案」を出せ、出せということしか言えない政府・与党は非常に残念に思います。
まずは、政府が責任を持って出した法案を、きちんと説明しきる。聞かれたことにきちんと答える。「そんなことはありません、リスクは高まりません」ということで強弁したり、答弁が二転三転したりする、そういう姿勢を国民の皆さんは見ていて、政府の説明は不十分と言っておられる。
何も分からないで言っているのではなくて、安倍総理はじめ政府の答弁をしっかりと見たうえで、不十分だと言っておられるということを、総理をはじめ政府側もきちんと認識されたほうがいいと思っています。
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