定例記者会見録 2001年4月
4月24日
○テレビの字幕の義務化とアルコール燃料の税制優遇について今後検討
○ 小泉新総裁──自民党ではなく、日本を改革するという熱意が感じられぬ
○検定済教科書について、我々の歴史認識と異なるものには政党として意見を述べる
NC(ネクストキャビネット)報告
【政調会長】本日のNCのご報告ですが、まず教科書問題について、文部科学部門会議で今日も議論してもらいまして、まだもう少し議論が残っ たということで、明日(25日)やられるという報告がありました。
私のほうからはですね、木曜日(26日)のNCで、最終的に党としての考え方をまとめる必要があるので、もし明日まとまらなければ、まとまらないということでNCに報告をしてくださいということを申し上げてお きました。大体方向としてはそろってきたというふうにも聞くんですが、私は会議には出ておりませんので詳しいことはよく分かりません。
今日申し上げておいたことは、検定をパスした教科書について、政党 としてあまりものを言うべきでないんじゃないかという発言もあると山 谷文部科学ネクスト大臣が言われましたので、それは党の考え方とは違うと。
検定されたものについても、これから教育委員会の採択が始まるわけですから、党の考え方と違うものがあれば、我々としては「お薦めできない」と言うことは可能だし、むしろ言うべきである。そのことは、代 表も含めて決めてることなので、そういう前提で議論をしてくださいと いうことを申し上げておきました。
それから、「農業共同組合法等の一部を改正する法律案」および「農林中央金庫法案」の農協改革2法案についても議論いたしました。
これは政府提出法案でありますが、いろいろ具体的な問題がありそうだということで、環境・農林水産部門会議のほうからも指摘がありまし た。
それを受けて、例えば農協の会計の情報公開とチェックを一般の株式会社並みにするとかですね、県信連(都道府県信用農業協同組合連合 会)の位置付けについて住専(住宅金融専門会社)問題のときに随分議論がされたのに、まだ十分それが進んでいないということなどについて意見が出まして、さらに詰めるということになりました。
あと、「NC in NET オフライン意見交換会」の報告が、島政調副会長のほうからありまし た。
これから、「NC in NET」に寄せられたご提言の中で、特に耳の不自由な方のためのテレビの字幕の義務化と、それから、アルコール燃料の税制優遇について、この二つは今まで 我々が取り組んでいない案件ですので、少し具体的に詰めてみようということになりました。
小泉自民党総裁
【政調会長】今度の自民党総裁選挙で、小泉さんが新総裁に決まりまし て、私もテレビを見ておりましたが、まあ自民党の総裁選挙ということもあったんだと思いますが、小泉さんの挨拶を見ておりまして、非常にがっかりいたしました。
自民党をこうしたいという発言はいろいろあったんですが、日本をこうしたい、国民のためにこうしたいという発言はゼロでありまして、当 選した途端に自民党のごく当たり前の、歴代総裁と同じような人になってしまったのかなあと。改革に賭ける熱意というものは、総裁就任に当 たっての演説からは全く感じられなかったというふうに思っております。
これから連休が明ければ代表質問、予算委員会とありますし、それ以前に組閣があり、そして総理としてのいろいろな場での意見表明があると思いますが、ま あ一つは「いろいろ言ってるけど、じゃあ本当にできるの?」と。「自民党の中はまとまるのか」ということが一つ。
そしてもう一つは、「言ってるだけじゃないのか」と。自分はやりたいけどもできないというだけじゃなくて、自分自身もやる気がないん じゃないかと。総論でいろいろ格好いいこと言ってるけども、各論になった途端にガタガタになるんじゃないのかというふうに今日の演説を見ていて思ったところであります。
具体的なことは、もう少し新総理になってご発言がいろいろあると思いますから、それを踏まえて進めていきたいと思っておりますが、集団 的自衛権とか靖国神社公式参拝とか、もうすでにいろんな発言が飛び出しておりますので、これからの論戦が非常に楽しみであるというふうに思っております。
教科書問題
【記者】教科書問題で込み入ってる、いろんなことっていうのはどんなことなんですか。
【政調会長】一つ大きいのは、意見を言わないほうがいいという発言が 大分あったようですね。検定をパスしたんだから、もう意見は言わないほうがいいと。
そこは我々が考えていることとは違いますので、改めて「違う」ということを申し上げておきました.意見を言うべきだと。
【記者】木曜日に党の見解をまとめたいということですが、それを鳩山 代表が訪韓したときの会談で、「民主党としてはこうだ」というふうに伝えるという段取りなんですか。
【政調会長】そうですね。鳩山さんが国内でまずお話になったうえで韓国に行かれるのか、そのまま行って向こうでお話しになるのか、そこは ちょっと私分かりませんが。
しかし訪韓の前に記者会見か何かやられるんじゃないですかね、教科書問題に対する一般論として。その中で質問が出ればお答えになるんだとは思いますが、私は具体的スケジュールを承知しておりませんので。
できれば韓国に行ってポッと出るよりは、日本できちっと言われて、 それから韓国に行かれたほうがいいのかなと個人的には思いますけれども。
【記者】中間報告のポイントをちょっと教えていただけますか。
【政調会長】まだまとまってないから、僕が言うのはおかしいでしょ。
【記者】意見を言わないほうがいいっていうのは、どういう理由からで すか。
【政調会長】検定をパスしたからっていうことのようですね。合格したものについて、政治が介入すべきじゃないと。
しかし、それは代表も私も違うと。介入するんじゃないと。権限はないわけですから。教育委員会が採択権を持っているわけですから、それに対して政党として、我が党はこう考えるということは介入でも何でもないと。
【記者】最終的には、「新しい教科書とつくる会」の教科書に対してどういうスタンスで臨むかということになるんですか。
【政調会長】それが中心だと思いますが、一方でその他の教科書についても大分勉強しておりまして、例えば、原爆投下一つに限れば日本は被害を受けたわけで すけれども、そのモチーフが足りないんじゃないかとか、そういう議論も出てるみたいですね。最終的にどうなるか分かりま せん。「つくる会」の教科書以外もかなり勉強してますので、いろんな意見があるということです。
しかしその中で、あえて政党としていわなければ行けないことってい うのは限られていると。細かく言い出したら切りがないわけでして、それはもう少し限定があるんだろうと思っています。
【記者】木曜日に出されるものというのは、党の歴史認識をまず確定させて、それに合わない教科書については、「推薦できない」というような何らかの……
【政調会長】党の歴史認識は、もう代表や幹事長が海外に行かれたときなどに述べておりますから、それを改めて確定するという作業は必要ありません。
【記者】これまで出している歴史認識に沿わない教科書については、党としては教科書として相応しいと思わないというような……
【政調会長】まあ、僕は「お薦めできない」という表現が一番適当じゃ ないかと思ってるんですけどね。「推薦できない」っていうかね。
採択は教育委員会が決めるわけですから、我々が決めるわけじゃないんでね。「絶対駄目だ」とか、そういったことは言えないと思ってるんです。 【記者】検定自体をやり直せっていうのが、韓国などが言ってることで すよね……
【政調会長】そういう議論は今、少なくともNCの中にはありません。
社民党さんなんか聞いてると、そういうご意見が出てるようですけれ ども、一方で家永訴訟のときには、国の介入は最低限のネガティブ チェックにすべきだと言いながら、また一方で違うことを言うっていうのは、私は政党のあり方として正しいと思いませんので、検定制度の趣旨から言うと、かなりの幅を持って合否が決められるべきだというふう に思っています。
ただ、合格したものについて、お薦めできるかできないかということ は、政党として当然言える。そういうふうに考えています。これは代表も同じ認識だと思います。
4月17日
○個人情報保護法――マスコミに対する規制の問題性を分かりやすく主張していく
○公務員問題とセーフガード問題についてPTを設置して議論
○李登輝前総統の訪日問題については、党3役と外交・安保NC大臣とで対応を協議
○代表の訪韓前には、教科書問題について結論を出す
○自民党総裁選――各候補者の主張を十分フォローし、次なる国会論戦に備える
NC(ネクストキャビネット)報告
【政調会長】まず「個人情報保護に関する法律案」ですが、今までの部門会議の議論について報告がありまして、政府提案法案にはいろいろ問題があるという認識で一致いたしました。
そのうえで私が申し上げたことなんですが、この法案は基本的には個人のプライバシーを保護するということで出来てる法案でありますが、それに対して、マ スメディアについては、ある意味で例外だということになるわけで、そこがきちんと説得力を持って語られないと、なぜマスコミだけが特別扱いなのかという議 論が国民のほうから出るんじゃないかと。
方向性は私も同意してるんですけれど、そういうことについてもう少し深めた議論をしたうえで、明確に反対ということを述べていったほうがいいんじゃないかというふうに申し上げておきました。
これからいろんな形でヒアリングもし、そして場合によってはシンポジウムなどもやりながら、なぜマスメディアに対する規制というものが問題なのかという ことを分かりやすく伝え、理解を得ていくということが大事であると思います。
次に、財政構造改革について少し議論いたしました。これまで、我々は5年でプライマリーバランス(公債費を除く歳出と租税収入との財政収支)を均衡させ るということで作業を積み上げてきておりますが、もう少し具体的に詰める必要があると。
議論していると、我が党も一律カットみたいな話になってしまいがちでありますので、制度の主旨に踏み込んで、予算を削減するということについて、私と峰 崎さん(財務金融ネクスト大臣)のほうで関係大臣からヒアリングをして、具体的なお願いをしようと。全大臣ではありませんで、主なところについてそういう ふうにしたいと考えておりますので、その旨お願いをしたところであります。
それから、政治改革について話がありまして、中選挙区制の復活等、いろいろ与党サイドの動きもありますので、政治改革推進調査会を設置し、会長に鹿野道 彦先生になっていただき、積極的に活動していただくということにいたしました。
明日(18日)、政治評論家の屋山太郎さんをお呼びして話をすることになっておりますが、来週も時間を取って、特に政治改革が終わったあとで当選された 当選1回・2回の先生方に、当時のことについて、我々がどういうことでこの問題に取り組んできたのか、その理解を深めるための勉強会を何回か開催したいと 思っております。
あと、公務員問題についてのプロジェクトチーム(PT)の設置、セーフガード(緊急輸入制限)についてのプロジェクトチームの設置が確認をされました。
公務員問題は上田行政監視ネクスト大臣の下でやってきたわけですが、テーマとして大きいということもありますし、橋本行革担当大臣が一生懸命やってる テーマでもありますので、恐らく今後さらに後半国会の重要テーマとして出てくるであろうということで、専門のPTを置いて、議論を進めるということにいた しました。
セーフガードに関しましては、去年繊維についてプロジェクトチームで少し議論いたしましたが、今回ネギ、生シイタケ、イグサについて発動するという結論 が出て、今後続々と農産物あるいは工業製品についてもセーフガードの申請が出てくる可能性があるということで、この問題に対する考え方を整理しておこうと いうことであります。
最後に、多少時間を取りまして、台湾の李登輝前総統の訪日のビザの申請について、議論をいたしました。今日は各NC大臣から意見を聴くというかたちでそ れぞれ述べていただきまして、7?8人からご発言がありましたが、賛成・反対両論ありました。
今日のところは時間が限られておりましたので、ご意見をいただいたということですが、そんなに長く結論を先送りできる問題じゃないと考えておりまして、 木曜日のNCで決めるということも一つの考え方ではありますが、場合によってはもう少し早いタイミングで詰めたほうがいいかもしれないと。
そういう意味で、代表、幹事長、政調会長、そして伊藤外交・安全保障ネクスト大臣の4名に一任をするということを決めさせていただきました。明日にでも もう1回集まって、あるいは個別に議論をして、党としての結論をまとめたいと考えております。
李登輝さんの訪日問題はNCが責任を負うべきだと考えておりまして、今朝の国会役員会でもそのことを確認いたしましたので、私のほうから議題として出させていただいたということであります。
李登輝・台湾前総統訪日問題
【記者】ビザの発給の件ではですね、大まかな方向性はどんな感じになりそうですか。政府のほうは、何か今日の夕方頃には動きがかなり早くなってますけど。
【政調会長】今日の夕方に出るって?
【記者】という方向でやってるという話は伝わってますが……。
【政調会長】それはデマだという説もあるけど。
【記者】それは次の内閣の課題っていう説もありますけども……民主党としての方向性は?
【政調会長】民主党としての方向性はこれからですから、4人で議論します。
【記者】あの、賛成・反対両論あったということなんですが、賛成の人はこういうことで、反対の人はこういうことで、という具体的な説明っていうのは……
【政調会長】みんなが一緒の論理というわけじゃないもんですから……ただ賛成の人は、法律に則って淡々と進めるべきだという意見が多かったと思います。反 対の人は、日中関係に与える影響、それから、今議論になるということ自体が非常に政治的ではないかというような議論がほとんどです。
【記者】明日じゃあ会合を開いて、4人で協議するんですか。
【政調会長】まあ会合になるか、個別の話し合いになるかはまだ分かりませんが。明日の代表の記者会見までには結論出そうと思ってます。じゃないとまた何か言われちゃう。(笑)
教科書問題
【記者】歴史教科書問題についてですが、この前、検定制度そのものに関する中間報告が大筋で了承されたという話があったと思うんですけど、その後、扶桑社(新しい歴史教科書をつくる会)の本も含めて、議論はどういうふうになったんですか。
【政調会長】まず、検定制度そのものについては今のお話のとおりなんですが、出来たら木曜日(19日)にもう1回最終的なものとして、NCに報告してもらったほうがいいのかなと思っています。
多少、表現で注文が付いたり、そもそもWT(ワーキングチーム)の報告として上がってきましたので、その辺整理されたものが木曜日に示されたほうが望ましいと思っています。
それから、具体的な検定をパスした教科書の扱いについては、今週、文部科学部門会議で議論していただこうと思っています。代表が5月に韓国に行かれると いう前提ですので、それまでにはNCとして方向性を出さなきゃいかんと。そんなふうに考えています。
【記者】部門会議とWTの棲み分けというのはどういう……
【政調会長】ちょっと基本的知識に欠けてんじゃないのかな?(笑) WTっていうのは部門会議の下に置いてあるものでして、事実関係を整理したり、たたき台を作ったりするのが役割であります。WTで物事を決めることはあ りません。決めるのは、まず一次的に部門会議。その結果がNCに上がってきて、NCで決まればそれが党の考え方になる。こういうことです。
【記者】教科書問題について、代表のほうから何かこう注文というかね、検討に当たってはこういうことを何かやって欲しいというようなことは……
【政調会長】これは平野さん(教科書問題検討WT座長)も十分踏まえておられることですが、党として今まで述べてきたこと、例えば先の戦争に対する考え方 は代表が中国に行かれたときとか、いろんな場で言われてるわけですね。そういうことはやっぱり踏まえなきゃいけないというふうに思っています。代表からも そういうお話がありました。
韓国では金大中大統領にもお会いするわけで、党としての考え方を持たずに行くということはあり得ないですよね。それ以上は今の段階では私の口からは言わ ないほうがいいと思います。私の個人の考えというのは、朝日新聞に書かれたとおりです。党がそういう方向にまとまるかどうかは分かりませんが。
検定制度は教科書に一定の幅を認めるものですから、つくる会の教科書が合格しただけでけしからんというものではないと。しかし、教科書を採択するという ことをこれから教育委員会がやっていくなかで、そのことについて政党として、望ましい教科書かそうでないかということは述べるべきだというのが私の考えで あります。
自民党総裁選
【政調会長】最近は自民党総裁選にメディアのスペースを取られて、民主党への関心は下がってますが、やっぱりマスコミに登場しないとなかなか支持率が上がりませんので。
各候補者それぞれ随分幅がありますし、いろんなことを言っておられるんで、次なる国会論戦が楽しみだと思いますね。景気の問題についても、小泉さんとあ との3人とじゃ随分違いますし、いろんな論戦の材料を提供してもらってるということですから、テレビ・新聞その他での発言はしっかりフォローしてですね、 次なる論戦に備えたいというふうに思っています。
あまりレベル高くないけどね。NCの議論のほうが高い気がするね。(笑)
4月10日
○セーフガード――諸手を挙げて賛成というわけではないが、今回はやむを得ない
○野党3党の連立協議――理念よりも具体的政策の共有を
○自民党総裁選――消費税率の引き下げは、責任政党のとるべき途にあらず
○教科書問題――代表の訪韓までに検定通過本を検証し、党の見解を表明
セーフガード
【記者】政府が、中国産農産品に対するセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動する方針を決めましたが、それに対する党の見解は何か出ましたでしょうか。
【政調会長】NCでは議論しました。部門会議での議論は、まだこれからということですが、もうすでに発動が決まりましたので、我々として、代表もおられましたので、議論をいたしました。
結論を申し上げるとですね、ルールに則って今回の措置が取られているわけで、諸手を挙げて賛成というわけではないが、やむを得ないことだと考える。こういう結論になりました。
【記者】セーフガードの主旨から言うと、その間に対抗力をつけるということが主旨だと思うんですが、今回の措置はそれに適っていると考えるのか、そうじゃないと考えるのか、その辺は議論になりましたか。
【政調会長】それはこれからの問題でもありますのでね、今日のところはそこまで議論しておりません。 もちろん、消費者の利益ということも考えなきゃいけないし、今おっしゃったセーフガードの主旨も踏まえなきゃいけないということは事実で、今後同じよう な問題が出てくるんだろうと思いますが、慎重に一つひとつ吟味しながら決めていく必要があると思っています。そういう意味で、「諸手を挙げて」ということ ではないということです。
【記者】仮に民主党が政権を取った場合に、対抗力を備えて国内産業を強くする、そういう対抗策のためにどうしようかというところまで議論はまだ行ってない……
【政調会長】そこまで行ってません。はい。
【記者】消費者の利益を守ることも大事であるということについてですね、担当大臣からその種の発言は何かあったんでしょうか。
【政調会長】佐藤さん(環境・農林水産ネクスト大臣)からはありません。ただ、私のほうで、そういうことも申し上げて、こういうトーンで今日もし質問が出ればお話ししますよということは申し上げました。
【記者】「慎重に対処する」というのはどういうことなんですか。例えば対象品目を広げるとかですね、どういうことをおっしゃっているんでしょうか。
【政調会長】先程言ったように、今回のことはもう決まったことだしね、いろんな経緯からもやむを得ないことだと思いますが、しかしこれがどんどん出てくる ということになったときに、自由貿易の原則との関係はどうなるのか、消費者の利益が損なわれるのではないのか、それから報復の問題も当然出てきます。
そういう意味で、「慎重に」という意味は、一つひとつの案件について、そういうこと全体を勘案しながら決めていくべきで、駄目だと言ってるわけではない んですよ、そういうこと全体を勘案しながら、慎重に決めていくべき話であるということです。
一つの先例として突破口が開かれたんで、やれ行けドンドンで同様に認めていっていいということではないということです。
野党3党の政策理念
【記者】鳩山代表が週末の記者会見で、野党3党で政策理念を重ね合わせることを提案したいという発言をして、月曜日の党首会談でも話題になったようですが、政調(政策調査会)の立場から見て、この取り組みをどのようにご覧になりますか。
【政調会長】それについては、今朝の国会役員会で議論が出ましたが、代表のお話でも、すぐ出すとか、そういうことではないと。一部には代表がそういったも のをたたき台的に提案するというような報道もあったようですが、そういうことではないというご説明でした。
若干、国会役員会でも議論になりましたが、私の意見を言わせていただくと、これから我々が、自由党、社民党と連立政権を目指していくというのは過渡期の 措置で、基本的には民主党の単独政権を、その後には展望するわけですね。そのことは代表も言っておられるわけです。そういう意味で、過渡期の政権として、 どこまでそういった理念とか政策というものを詰める必要があるのかと。そういうことだと思います。
私は、理念というよりは、過渡的なものですから、具体的な政策で合意したほうがいいんじゃないのか。それは政策の体系というよりは、細川政権のときに、 政治改革をやる政権というふうに位置付けたように、我々3党が政権を取れば、こういう政策は少なくともやりますよということを分かりやすく示したほうがい いんじゃないかと申し上げておきました。
それ以上は議論しておりません。結論を今日出したということではありませんでした。
自民党総裁選
【記者】自民党の亀井さん(政調会長)がですね、総裁選への出馬を表明されたときに、消費税の税率を3%に下げることを打ち出したのをどう思われますか。
【政調会長】亀井さんらしいなとは思いますが、今の財政の状況を見れば、日本をこれ以上無茶苦茶にしないでくれと、申し上げたいですね。
彼はずっと大きな誤解をしているんですが、与党の経済対策が決まったときに、「政調会長が辞任する」ということを最初に書けば、経済対策として非常に意味があるんじゃないかと、この前も私は申し上げました。
つまり、マーケットに強く介入することでマーケットを支える、例えば株とか土地とかを支えるという考え方そのものが、マーケットの信頼感を損なっている と。株主から見れば、政治が介入できるとんでもないマーケットだというふうに思われてるわけですから、そういう考え方の人が辞めると言えば、株は上がるだ ろうと私は思ってるんです。
亀井さんが候補者として立たれるということは、ある意味じゃ自民党の政策の、今まで中心になってきた方が立つわけですから、分かりやすいと言えば分かり やすいですね。ただし、彼が総理・総裁になれば、日本経済は無茶苦茶になるだろうというふうに思います。
もし、今回の経済対策を中心になってまとめた亀井さんが総裁選に出て敗れれば、経済対策は全部チャラになるんですかね(笑)?
【記者】消費税率の引き下げという部分についてはどういうふうに思われますか。
【政調会長】3年近く前ですが、前回の参議院選挙のとき社民党と自由党がそういうふうに主張しましたね。民主党はそうは主張しなかったわけです。それは やっぱり責任政党として、財政の現状を見たときに、そういう無責任な、ポピュリズム的な行動はとれないということで、消費税は下げないということを主張し たわけです。
そこの基本的な、政治に対する責任感というものは今回も同じである、つまり税率を下げるということは財政を取り返しのつかない状態に持っていく、むしろ 財政の建て直しに向けて展望の持てる政策を合わせてやっていく必要があるというふうに思っています。そういう意味では、全く逆方向であると。
今のは増税を言ったわけじゃありませんからね。「逆方向」っていう意味はね。
教科書問題
【政 調会長】代表のほうから、NCの冒頭の挨拶で、連休中に韓国に行く可能性があるということを言われ、教科書問題について党の見解を早くまとめて下さいとい うお話がありまして、そのあとNCで少し議論をいたしました。ただ、詳細はまだワーキングチームで議論しておりまして、木曜日に部門会議に上がる予定に なっております。
中身は大きく言って二つありまして、一つは検定制度そのもののあり方についての議論、そしてもう一つは今回の検定をパスした教科書についてどう考えるかという具体的な話です。
前者の、検定制度そのもののあり方については木曜日の部門会議に恐らく掛かると。そして、やがてキャビネットにも上がってくるということになると思いま すが、具体的な今回パスした教科書についての党の見解は、まだ作業中であるということです。
作業中であるという意味は、出来上がった結果を我々まだ見てないんですね。個々の問題になった箇所について、ここがこう直ったということは、我々もう入 手しておりますし、それから、白表紙の、検定前の物も非公式には入手してますから、その二つを重ね合わせると、今どうなってるかというのは大体想像できる んですが、しかしまだ完全な形のものは持っていないということで、それをきちんと入手して、通して読んだうえでコメントすべき話ではないかと思っておりま す。そういうこともあって我々は、検定作業が終わったのちもコメントは控えてきたと。そういう経緯があります。
ただ、韓国に代表が行かれる可能性があるという事態を踏まえて、やはり4月中には、具体的な検定をパスした教科書に対する考え方についてもまとめなければいけないと思っています。
4月3日
○官房機密費改革WTを設置し、党の提案を具体化した法案を準備
○民主党経済対策――セーフティ・ネットを整備したうえで不良債権処理を断行
○教科書問題については、十分に精査して党内で議論し、問題があれば指摘
NC報告
【政 調会長】今日のNC(ネクストキャビネット)のご報告をいたします。まず「PKOの改革案」についてですが、これは何度か中間報告をいただいてきました が、改めて伊藤英成外交・安全保障ネクスト大臣のほうからお話がありました。ただ、先に申し上げますと、今日は結論は出ませんでした。
いくつかの提案をされてるわけですが、内容的にはいいと。例えば、「武器の使用」についてもですね、自分だけではなくて、選挙監視要員とかNGO要員と かボランティア、避難民などを防衛するための武器の使用を容認すべきだというようなことは、内容的にはいいんだけど、ただ、今の憲法との関係で、上手く説 明がまだできていないんじゃないかということになりまして、再度議論をしていただくということになりました。
自分を守るために武器を使用することは、自己保存のための自然権的権利だから憲法の禁ずる武力行使にあたらない、というのが従来の考え方だったわけです が、自分を守るんじゃなくて周りの人を守るということになると、果たして自然権的権利ということで説明できるんだろうかというところについて、今日十分納 得のいく説明がなかったということで、保留になったということであります。
それから「官房機密費改革ワーキングチーム」。機密費について、我々は改革案をすでに提示しておりますが、後半国会に備えてですね、もう少し議論を深め たうえで、法案の形で提出をするということで、島聡議員を座長とするワーキングチームが内閣部門会議の中に置かれたということです。
民主党経済対策
【政調会長】ペーパーをお配りした「民主党経済対策」ですが、まず対策の1番目として、鳩山由紀夫代表もいつも言われる「強い経済の再生」ということが、我々の目指すものであるということです。
そしてそのためには、経済構造改革と財政構造改革を断行するということであると。経済構造改革というのは、我が国産業全体の生産性を向上させ、競争力を 強化していくことである。財政構造改革に着手し、財政健全化への道筋を示すべきである、ということをまず述べたうえで、具体的に、従来参議院選挙政策等で も我々が提示していることですが、新規企業・ベンチャー企業への支援、規制改革、産業基盤技術の強化、知的財産戦略の強化、中小企業に対する金融システム の再構築、というようなことを述べております。
対策の2番目は「セーフティ・ネットの整備」です。我々はですね、不良債権の処理を進めていくなかで、雇用の問題が非常に重要になるということで、第一 に「雇用保険制度の充実」を図ると。現在の雇用保険制度を前提に、全国延長給付の発動要件を引き下げたり、広域延長給付の適用要件の改正を検討するという ことで、従来の雇用保険が悪化をしているということも合わせてですね、全体で2兆円規模の一般財源からの基金というものを考えるということであります。
第二に、「職業能力開発支援制度の創設」ということですが、これは二つの中身からなっております。 一つ目は、「再チャレンジ生活支援制度の創設」ということで、雇用保険の給付が終了した非自発的失業者と廃業した自営業者を対象に、最長2年間、日額 3430円を給付するという制度であります。これは失業給付基本手当の日額最低額に相当する額です。
二つ目は、「再チャレンジ教育支援制度の創設」ということでありまして、雇用保険の給付期間、あるいは再チャレンジ生活支援制度の給付期間のいずれにお いても、職業訓練にかかる費用をですね、原則として国庫負担をするということで、1人につき年間60万円まで国庫から負担する制度を創設するということで あります。
両方の再チャレンジ支援制度を合わせますと、これも2年間で約2兆円のお金がかかります。ですから、雇用保険と職業能力開発支援の双方合わせて最大4兆円の予算措置ということになります。
ただし、職業能力開発支援のほうは、3年間の時限措置になります。不良債権の処理を進めていくなかで、失業率が高まる可能性が強まる期間、不良債権処理 を進める3年間の時限措置として、こういうものを考えるということです。
対策の3番目は「不良債権の抜本処理」ということであります。我々は2年以内に不良債権の抜本処理を完成させるという前提で、制度を組み立てているわけ ですが、まず「システミック・リスクへの対応」ということで、大手銀行等の一斉検査を行う。そして有価証券の評価方法も時価評価を先取りするというような ことを進めていくと。
そういうようなことをやっていくなかで、システミック・リスク(金融システム危機)があると認められる場合には、株主・経営者の責任の明確化、徹底した 経営合理化を前提として、公的資金による資本注入も検討するということであります。
そして次に、「不良債権の直接償却の促進」ということで、不良債権の直接償却としては、ルールが明確な法的整理を基本にするということを我々は考えてお ります。特に、公的資金を受けた金融機関については、法的整理を中心とするということで、企業が再建確実で、かつモラル・ハザードを招くことがないものを 除いて、安易な債権放棄は認めない方針です。債権放棄をする場合には、企業の再建が確実で、かつモラル・ハザードを招くことのない場合に限るということで す。
それから、不良債権の直接償却を促進するために、RCC(整理回収機構)への不良債権の売却を可能とするほか、不良債権の売買市場を整備すると。税制措 置も、土地流動化に資する税制改正を行うという考えです。
その他に、一定の経過期間を経て、決済業務を行う金融機関の株式保有を原則として禁止する措置を講ずるというようなことも述べております。
政府が検討中の公的資金による銀行保有株式買い上げ機構の設立は多くの問題をはらんでおり、特に公的資金による損失補償については明確に反対するという ことであります。政府案が実際にどういったものになるのか分かりませんが、税金で損を補填するというようなものについては、我々は反対であるということで す。
それから、「金融政策の適切な運営」を確保すると。さらに、構造改革と不良債権処理を断行するなかで、デフレ対策として一定水準の円安を容認するということにも触れております。
そして、対策の5番目が「生命保険会社の破綻に備えたセーフティ・ネットの見直し」。 6番目が「証券市場の信頼回復と活性化」ということで、まず「日本版SEC(証券取引委員会)の設置による公正な証券市場の整備」を進める。
政府がいろいろやってますけど、株式市場に対する信頼感というのが一番大事だと。それを、むしろ政治が介入することで、そういうものを却って損なっているんじゃないかというのが我々の基本認識です。 我々は、不公正取引に対する罰則を厳格化するとともに、証券取引等監視委員会を金融庁から独立させて日本版SECを作るというようなことを述べております。
次に「コーポレート・ガバナンスの充実」、そして「証券税制の見直し」ということで、かなり具体的に踏み込んで案を出させていただいています。
以上が、我々の経済対策でありますが、明日(4/4)、恐らく政府の経済対策が出てきますので、それを踏まえたうえで、政府案に対する我々の意見を追加 的に形にするということはあるだろうと思っております。
株式買い上げ機構や産業再生法の活用等について、もう少し相手の具体像が見えたところで、改めて我々の意見を申し上げたいと思っております。
ただ、株式買い上げ機構については、損失を税金で補填することには反対であるというのは、今の時点で明確に申し上げているところです。損も得も補填する ということであれば分かりますが、損だけ補填するというものは反対ということであります。
不良債権とシステミック・リスク
【記者】「システミック・リスクへの対応」について、経営の健全性が確保できない金融機関は破綻処理に移行するとありますが、何を基準にするんでしょうか。
【政調会長】基本的に債務超過ですよね。
【記者】中間報告の段階ではですね、自己資本比率が0?6%の間で3段階に分かれて対応が決まってるという感じでしたが……
【政調会長】まあ、そこまで詳しく言うのもいかがなものかと。政府は、「いや大丈夫ですよ」と言ってるわけですから。不良債権もね、「表に出てるものしか ありませんよ」と、そう言ってるときに、「いや、もっとある」ということを前提に詳しく述べる必要はないだろう、いざというときは資本注入も検討するとい うこと言っておけば十分であろうということであります。あまりそこばかりが取り上げられるのは、我々も好むところではありませんので。
【記者】今日の段階で、NCで何か異論はないんですか。
【政調会長】特にありません。かなりもう議論をしてきましたので。 雇用のところはかなり特徴的だと思います。ここを厚くすることで、思い切った不良債権の処理を進めるということで、ペーパーの表題にありますが、「不良債 権問題の一気解決とセーフティ・ネットの整備」という言葉に尽きるのかなというふうに思っています。
教科書問題
【記者】「新しい教科書をつくる会」のですね、教科書がいろいろな検定意見による修正を経て合格することになったんですけれど、それについて何か感想というか……
【政調会長】ちょっとまだ見ておりませんので……今日もNCで申し上げたんですが、現在党の「教科書問題検討ワーキングチーム」で議論してもらっていると ころでして、「つくる会」だけではなくて、その他のものも含めてですね、合格した教科書についてよく精査をしていただいて、出来れば1週間ぐらいでNCに 上げてください、そこでもう1回議論します、ということを申し上げております。
そこで議論をして、教科書の内容に問題があるようであれば、民主党の考え方として指摘をいたしますし、概ね問題がないということであれば、特に申し上げないということになります。
今の段階では、まだ中身を精査しておりませんので、コメントは控えたいと思っております。