小泉政権は、「総論」あって「各論」なし。特に外交・安保政策に 不安
岡田委員 民主党の岡田克也です。菅幹事長に引き続きまして、きょうは一時間、質問させていただきたいと思います。
まず、小泉総理、小泉さんが自民党総裁選挙に当選をされて、その直後の記者会見、大変印象的でありました。小泉さんは、そのときに、自民党を変えてくれという期待が私の当選に結びついたということを言われたわけであります。
そして、それに引き続いて、自民党の派閥政治についてお話しになりました。どういうふうにお話しになったか、覚えておいででしょうか。
小泉内閣総理大臣 今までの派閥秩序にとらわれない組閣をやってみたいということを言ったはずであります。
岡田委員 実は小泉さんがおっしゃったのは、それもおっしゃったかもしれませんが、こういうことをおっしゃっているんです。お忘れなのはちょっとがっかりですけれども、派閥あって党なし、派閥あって国なしと、国民の多くは自民党に怒りを感じている、そう思っている方々の声に今こそ真剣に耳を傾けなければいけないと思っている、そういうふうにお答えになったと思いますが、思い出されましたか。
小泉内閣総理大臣 そう思ったからこそ、実行に移して、組閣人事を断行したわけであります。
岡田委員 ちょっと総理の方は先走りして言われているんですが、それでは、それだけ派閥政治というものが自民党の政治を、あるいは日本の政治をゆがめているということであれば、具体的に、まず派閥を解消されることが総理がやられるべき第一のことじゃありませんか。いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 まず第一に、党三役人事にしても組閣人事にしても、今までの派閥にとらわれない人事を断行したと思っております。
そして、私がこれから政治を行っていく上において、だんだん派閥があっても余り意味のないようなものにしていくのがこれまた私の一つの責任だと思っていますから、時間をかけて見ていただきたいと思います。
岡田委員 その時間をかけてというのがよくわからないわけですけれども、かつて、自民党が大きなピンチに直面したことが何回かありました。一つはロッキード事件、あるいはリクルート事件。そのたびに党改革が叫ばれて、そして議論がされて、改革案が出された。今回も、KSD事件あるいは機密費の問題、同じような大きな事件がある中で、党改革についての具体的な議論が始まろうとしていない。それはなぜなんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これから、今始めているんですよ。まだ一カ月たっていないんですよ。スタートに立ったばかりなんですよ。余り性急に考えないでください。
岡田委員 例えば一九九四年に、これは自民党が野党の時代、河野総裁の時代でありますが、派閥を解消するということを党議決定していることがあります。ですから、過去にはそういうこともあった。 それでは、あなたがそれだけ、派閥政治が日本の政治をゆがめている、あるいは自民党の政治をゆがめているとおっしゃるんなら、どうして同じことが今決められないのか。時間をかけて次第にやっていく、それは派閥が残ることが前提の議論ですよね。そうじゃなくて、やめる、どうしてそれが言えないんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、派閥があったとしても、今までの派閥を意味のないものにしたいと言っているんですよ。今までこのような人事をした総裁がありますか。なかったじゃないですか。一歩一歩しなきゃいかぬ。一挙に変えることはできませんよ。変えるべきものを一歩一歩、実績を積んでやっていきたい。これから見ていればわかります。
岡田委員 なかなか小泉さんはお上手に言われますから、ついだまされてしまうわけですが、それでは、今回のこの内閣、そこは私は認めます、今までの派閥均衡ではなくて。もちろん、一国の内閣を派閥の推薦によって形成するというのはまことにばかげたことで、そんなことが今まで続いてきたことが本当に信じられない、国民からすればそういうことだと思います。
国を背負っているのが内閣でありますから、その内閣、その時点における最も能力のある、最も適材を配置する、当たり前のことだと思います。それが今まで、当選回数主義とかあるいは派閥の推薦によって総理ですら自由に組閣ができなかった、それは本当に異常なことだと思うんですね。それを乗り越えられた小泉さんに対しては、私は敬意を表します。
しかし、では、それが本当に今回貫徹しているのかどうかということを私はまず申し上げなければいけないと思います。 お手元に資料も配らせていただきました。つまり、これは内閣の問題でありますけれども、総理は、確かに閣僚については今おっしゃったような形で、旧森派が多いとかいろいろな話もありますが、基本的には派閥を乗り越えておつくりになった、そこは評価する。
それでは、お手元に紙もありますが、副大臣や政務官は一体どうなっているんだと。結局、比較をすると、森内閣と小泉内閣で、見事に派閥が均衡しているじゃないか。もちろん、森派は遠慮した。だから、森内閣から小泉内閣、副大臣は二人減りました。しかし、その分が江藤・亀井派と堀内派に行った。政務官についても、森派は二人減った。その分が橋本派と江藤・亀井派に行った。結局、これは従来と何ら変わらないじゃないですか。
あなたがもし本当に派閥を超えて組閣をしたとおっしゃるのであれば、副大臣だって政務官だって、同じように大事な政府のメンバーであります。そこについて、どうしてあなたはそれを変えよう、みずからのリーダーシップで決めようというふうにされなかったのか、ぜひお答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 一つの政党の長として、独断専行に陥ってはいかぬな、できるだけ多くの方の協力を得て改革を進めていかなきゃならないというときには、大事争うべし、些事構うべからずという言葉があります。大事なことは争う、細かいことに余りとらわれない。
私のまずやるべき大事は、党三役と閣僚人事だと思います。あとは、党内のいろいろな方々の融和を図って、やるべき改革をするような体制を組むのが大政党の党首の責任だろうと思いまして、あとの人事は幹事長にお任せしました。
岡田委員 今の御発言ですと、副大臣や政務官、その人事は些事ですか。
小泉内閣総理大臣 それは言葉の揚げ足取りというものです。そういうことわざがあるだろう、組閣人事に比べればそれほどこだわることはないであろうと言ったのです。余り揚げ足取りに終始しないでいただきたい。
岡田委員 今のことが揚げ足取りとは私は全く思いません。副大臣それから政務官というポストは、新しい体制の中でできたわけであります。そして副大臣、政務官というのは、まさしく大臣を補佐して、場合によっては大臣にかわって重要な役割を持っている。昔みたいな、一時盲腸とか言われた、そういう時代の政務次官じゃないわけです。その大事な人事について、例えばあなたが幹事長に対して、派閥にとらわれずにやれ、そういうふうに言ってもよかったわけですね。
それから今、私は本当に理解できない一言を聞いたと思うのですが、幹事長にとおっしゃったけれども、政務官や副大臣というのは内閣の人事であります。それを幹事長に任せ切ったというのは、私には理解できないわけであります。
小泉内閣総理大臣 これも一々言葉の先々をとられると困るのですが、それは副大臣も政務官も重要ですよ。しかし、大臣に対してしっかりと補佐できる人を決めてくれということはもう前提として知っているわけですから、当然官房長官を初め、党内の情勢もあるから、私が一々これをしろあれをしろということをやるとまた党内秩序を壊すことになるし、これから先の党の挙党体制をつくる意味においても、余りそういう人事まで総裁が口出しするのはよくないと思って、官房長官を初め幹事長とよく相談してくれと言ったまででありまして、決して副大臣とか政務官が瑣末な人事とは思っていません。 今言ったのは、大事争うべし、些事構うべからずというのは、これは一つのことわざですよ。その辺は岡田さん、良識ある、見識ある方だから、その辺は御理解いただきたい。○岡田委員 言葉を失うわけですけれども。
もう一つ言わせていただければ、例えば副幹事長の人事というのがありました。副幹事長の人事についても、当初は、これは期別に代表者を選ぶということを言われたはずですね。ところが、実際に見てみると、これも前回と変わらず各派からの代表になっている。結局、あなたの言っていることすらできていないじゃないですか。それなら最初から期別に選ぶなんて言わなきゃいいわけです。
ですから、そこで私は、国民の皆さんはだまされていると思うんですね。大臣はそういう形で選んだ、そのことに目を奪われて、全体がそういう趣旨が貫徹しているかというと、実態は何も変わっていない。頭の部分だけ変わっているけれども、胴体以下は従来と同じだ。それで本当に改革できるのか、その懸念を持つわけですが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 これは一朝一夕に変わるわけではありません。時間をかけてあるべき姿に持っていくのが、政治家として大事ではないでしょうか。
岡田委員 小泉さんは、所信表明演説の中でも、維新というお言葉をお使いになったんですね。時間をかけて微温的に変えていくということじゃなくて、思いきって変える、そのことに対して国民はみんな拍手しているんじゃないですか。今の、時間をかけて、秩序を重んじて、挙党体制でなんて言っていたら、結局、従来の総理とどこが違うんですか。いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 まだ一月たっていないんですよ。これから変えていくんじゃないですか。まず変わったじゃないですか、やり方。私を総裁にしたということ自体、自民党では平時では考えられないようなことでしょう。このような組閣も、みんな予想を覆した。だんだん変わってきているんですよ。これは発言においても、今まで私がこんなことを言ったら、つるし上げで与野党大変ですよ。それが変わってきている。全然今までと違うじゃないですか。
余り党利党略に走らないということも、この予算委員会でも大事じゃないですか。私は民主党を敵と思っていませんから。そういう考えはないです。協力できることは協力したい、民主党のいいことは取り入れたい。それが小泉内閣の、自公保連立政権ですけれども、大事だと思っていますから、あなたを敵だなんか一つも思っていません。これからは、協力できることは協力したい。
ですから、いいものは賛成していますよ。受け入れるべきものはこれから考えたいと言っているじゃないですか。その点でも随分違ってきたんじゃないですか。その辺御理解いただきたい。
岡田委員 私も総理を敵だとは思っておりません。ですから、後押ししようと思ってこういう質問をしているわけです。 それでは、ちょっと話題を変えますが、私は、派閥というのは、基本的には人事権とそして資金だと思うんですね。では、派閥の資金について、総理はどういうふうにお考えなのか。私は、派閥が主催する政治資金パーティー、そういうものは禁止されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、今後とも私は大変重要な問題だと思うんです。政党として、政治家として、あるべき政治資金、どうやって調達するか。すべて企業献金、団体献金を禁止すればいいというものではないと思っています。
問題は、その政治のコストを国民がどう負担すべきか。すべて税金で負担するのは私は感心しません。企業についても団体についても、政治的な意見を展開したい、政治に参加したい、あるいは資金的に協力したいというのはあるんですから、これは民主主義の国だったら大体どこでも許されているということで、私は、もっと忌憚のない、政治資金の調達方法がどうあるべきかというのは、もっとオープンに議論してもいい問題だと思っています。 そういう中で、各政治団体が法にのっとって資金を調達するためにパーティーを開くというのは悪いことではないというふうに思っております。
〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
岡田委員 今おっしゃった前段の話と後段の話は、大分飛躍があるんですよね。 ですから、企業・団体献金を政党にするということは今も認められていますけれども、私が今申し上げたことは、政党じゃなくて各派閥がそれぞれパーティーを主催してやることが、そこに、派閥にお金が入るわけですから、そのお金を使ってばらまく、小泉さんも森派の総裁として衆議院選挙の前にはばらまかれたことだと思いますけれども、そういう形でやることが結局派閥の形を残すんじゃないか、それをやめるべきだというふうに申し上げているんですが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 今、派閥が金をばらまくなんていう時代じゃありませんよ。パーティーを開いても、そんなにパーティー券をみんな買ってくれない。むしろ、事務所の経費とか、毎週の政治活動のためには食事もしなきゃならない、講師もお招きしなきゃならない、講演料ただで来てくれる講師は少ない、いろいろかかるんです、経費が。それをお互い分担して支えていこうというのがいわゆる政策研究集団とかいって、新聞では派閥と言っていますけれども、これは、派閥が資金を配るような潤沢な資金の調達ということはもう困難になってきている。だからこそ、今が派閥重視の政治から派閥脱却の政治のチャンスだと言っている。
特に、選挙制度も変わりました。各候補者、衆議院においても参議院選挙においても、一派閥の支援だけで当選できる候補なんかほとんどいないと言ってもいい、全党的な支援を受けないと。恐らくどの政党も同じだと思います。自民党もだんだん変わってきています。
そういう点において、私は、今後、今まで俗に言われる派閥主導政治から全党的な、近代的な政党に変えるいい時代にしたな、またそういう方向に持っていかなきゃならないなと思って、このチャンス、風を有効に改革の方に向けて生かしていきたいというのが私の趣旨でございます。
岡田委員 小泉総理が派閥による金集めをやめるつもりがないということはよくわかりました。 これは、リクルート事件の後で自民党が平成元年に出した政治改革大綱、お亡くなりになった伊東正義さんやあるいは後藤田先生が、後藤田先生はもちろん今お元気ですけれども、中心になっておつくりになったものであります。その政治改革大綱の中では、派閥主体の政治資金パーティーは禁ずるということにしていたんですね。それが当時の自民党の良識ある考え方だったんです。今の小泉総理は、そのことを明確に否定された。
それじゃ、総理が目指す派閥解消に向けての具体的なやり方というのは一体何なんですか。人事権も大臣以外は自由にさせる、そして金集めもやる。じゃ、一体何をもって派閥を変えると国民に向かっておっしゃるのか、そこを明確にしていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 これは我が党内のことでありますけれども、派閥順送り人事はやめる、そして、これから徐々に始まっていくと思いますけれども、もう派閥で資金を配る時代じゃありません。派閥でそんな資金は集まりません。全党で、全党所属の議員が政治活動に必要な資金は党で集めなきゃならない。そして議員個人の政治活動に支障がないように、党として十分そういう政治活動に配慮するような資金提供を全党でどうやって行っていくか。
まず、派閥の弊害といえば、人事権と資金供給、そして選挙応援ですね。これがもうだんだん党中心になってきます。そういう方向に向けて一歩一歩、今はいろいろ派閥会合を開いていますけれども、開いたとしても大して意味がないような改革に向けて今全党挙げて努力をしていこうというんですから、まだ一カ月もたっていないのにすぐやれやれと言ったって、徐々にやっていくんですから、これはもう少し時間をかけて見守っていただきたいと思います。
岡田委員 小泉総理におかれては、ぜひ総裁就任のときのみずからの言葉、派閥あって党なし、派閥あって国なしという、国民の多くは自民党に対して怒りを感じている、そう思っている方々の声に今こそ真剣に耳を傾けなければならない、そうみずからおっしゃったことをお忘れにならないように、もう一度申し上げておきたいと思います。
次に、自民党の政治資金の問題について二、三聞きたいと思います。 KSDの事件、これはもちろんまだ終わったものではありません。そして、先ほど幹事長の方からも、これに関して、現状についてどうなっているのかという質問がありました。私がお聞きしたいのは、このKSD事件で古関理事長に対して、いわば自民党をトンネル機関として政治家に献金が行われた、古関さんから行われたということについてであります。
もう少し具体的に言いますと、古関理事長が国民政治協会に献金をし、五千万円寄附した、そして、国民政治協会はそれを自民党に寄附をした、自民党は逮捕された村上前参議院議員に一億円渡した、そのうちの約五千万はこの古関さんのお金が回っていったのではないか、こういうふうに言われているわけであります。 こういうことはほかにもあるのだろうと思うのです。なかなか立証は難しい。しかし、今や個人に対する企業・団体の献金は禁止されている、そういう中で、自民党というトンネル機関を使って、現実には個人に対する、政治家に対する企業・団体献金が行われてきているとすれば、これはやはり重大な脱法行為であり、問題だと思うのです。そういうことがないように、自民党総裁としてしっかり見ていく、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 このKSDの問題では、架空党員とかあるいは立てかえ党員とかというのが問題になりました。そういうものはほかの団体でもないようにしていかなきゃならない。同時に、これから比例代表候補には、かつては党員の二万人をまず集めるということが比例代表候補の一つの公認基準になっていましたけれども、もうそういうことはやめよう、もう強制的に党員に加入してもらったり、あるいは立てかえをしてもらったりするのをなくそうという趣旨から、そういう基準もやめました。
これから、かつてそういう比例代表候補にどういう疑いの持たれるような資金提供があったということも含めて、今改善方向を党幹事長に指示を出しておりますので、これについても、政治改革に資するような形で改めていくべき面は改めていきたい、そう思っております。
岡田委員 今のお話は、KSDの架空党員の問題は今調べておられるということだけれども、同じような話がこれからあるかもしれない、あるいは過去にあったかもしれない、そういうことは自民党総裁として許さない、自民党としてやらない、そういう決意だとお伺いしてよろしいですか。
小泉内閣総理大臣 もう立てかえ党員とか架空党員のこういう問題は二度と起こさないようにしようということで、今、改革案を検討するように、鋭意しかるべき今の党の組織の中で検討しております。そして、政治資金の調達方法も、これは党としてしっかりと、政治資金を公明といいますか、そういう形で進めていかないと政治活動はできませんから、あるべき政治資金の調達方法、これについても真剣に検討を進めていきたいと思っております。
岡田委員 KSDの架空党員の問題は、御案内のように、九年間で六十三万人、金額で約十五億円が自民党に行っていた、こういうふうに言われる事件であります。今、山崎幹事長のもとでお調べだということでありますが、基本的に、中小企業者の方が自分のために役に立つと思って月二千円の会費を払っていたら、それがこういう形で自民党に十五億円も流れていたというとんでもない話であります。
今調べておられるということだけれども、これが従来型のやり方だと、調べる、調べると言って半年、一年たっていつの間にか消えてしまう、そういうことにならないように、期限を切って、そしてきちんとした答えを国民に対して示していただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。 政治資金についていろいろ申し上げましたが、若干具体的になりますけれども、もう一つだけ申し上げたいと思います。 私は、政治資金の収支報告をもう少しわかりやすくした方がいい、そういうふうに思っています。情報公開法ができましてコピーは可能になりましたが、総務省に先日、ある党の、自民党ですが、政治資金収支報告書を情報公開法に基づいてコピーさせてくれ、こう言ったら、一週間かかると言われました。これはやはり非常に不便ですし、しかも、全国各地、都道府県にばらけてあったりすると、実際にはこれは集められないわけですね。
そういう意味では、私は、例えばインターネットでどこでもだれでもアクセスできるようにする、そうすれば非常に便利じゃないかと思うんですね。わざわざ役所に足を運んでコピーさせてもらう必要なんかないわけです。そういうことを総理はどういうふうにお考えなのか。
それから、もう一つお伺いしますが、その書類の保存期間を、我々かつて法律も出したことがありますが、刑法の時効期間である五年に延長する。つまり、刑事的に問題にしようとしても実際にもう書類の方はなくなっている、こういうこともありました。その点についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 今岡田委員御指摘の点は、前から私も耳にしておりまして、事務方から言わせるといろいろ理屈はあるんです、理由は。ただ、お気持ちもよくわかりますので、できるだけ早く交付するようにいたします。
それから、最後の点も検討させていただきます。
小泉内閣総理大臣 この政治資金収支報告書を実際に扱っている秘書さんとか事務の方に聞くと、実に煩瑣過ぎるという声もありますね。だから、公開と違反した場合の措置については、今岡田委員指摘されたような視点も大事ですが、同時に、煩瑣な手続をもっと省略して措置できるようなことも必要ではないか、それも含めて私は検討していく必要があると思っています。
岡田委員 議員によってはわざと複雑にしてわかりにくくしている人もいるやに聞きますが、インターネットでそれを公開する、そこまでいけばわざわざコピーをする必要もないわけで、お役所の手間も省けるわけですから、そこも含めて、我が党もその法案を用意しておりますので、ぜひ政府においても御検討いただきたいと思います。
さて、政策論の方に入っていきたいと思います。
まず、小泉総理の代表質問に対する答弁を聞いておりまして、やはり総論あって各論なしだなと。もちろん個別に、郵政のところなどは非常に具体的におっしゃっていたと思いますが、基本的には各論が非常にまだ準備されていないな、そんなふうに感じました。きょうは、私の方で民主党がどう考えているかということも御提案申し上げながら、議論を進めていきたいというふうに思っています。 始める前に、総理、こういう冊子を御存じですか。これは民主党の政策集であります。ぜひこれもまた勉強していただきたい、こう思いますので、ちょっとお渡ししておきます。そこから採用しても盗まれたと言うつもりはありませんから、どんどん採用していただきたいと思います。
さて、まず財政構造改革について少し議論したいと思っています。財政構造改革と景気回復の関係であります。 この点は、私は、小渕元総理の時代に本会議の代表質問で、小渕さんは、二兎を追う者は一兎をも得ずだ、だから景気回復に今は力を入れるんだとおっしゃった。それに対して私は、いや、そうじゃないんだ、二兎を追わなければ二兎は得ないんだ、つまり、財政の構造改革と景気回復というのは、同時に追求して初めて二つの目的が達成できる、逆に言いますと、二兎を追わない限り一兎すら得られないんだ、そういうことを申し上げた記憶がございます。
小泉総理のお話を聞いておりますと、構造改革なくして景気回復なし、こういうことでありますから、その構造改革には財政の構造改革も入っているというお話ですので、まさしく二兎を追わなきゃいけないんだ、でないと、景気回復すらあり得ないんだということをおっしゃっているように思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 全く同じじゃないですか。表現が違うだけであって、二兎を追う者は一兎をも得ずということだったから、それは違うんじゃないかと。構造改革と景気回復というのは矛盾しないんだ、二者択一じゃないんだということで、二兎を追えと言うのでは、これはちょっと受け取り方はどう思うかというので、私は表現を変えて、構造改革なくして景気回復なしと。言っている趣旨は似ているというか、同じじゃないですか。
岡田委員 ですから、私が申し上げているのは、小泉首相のおっしゃっていることは、民主党が言っていることを追認されたんですね、今まで間違っていた、自民党の言っていることは間違っていた、民主党の言っていることは正しいというふうにおっしゃったんですねということを確認しているわけです。
小泉内閣総理大臣 いや、私は、よその政党が言っているからだめだとか、自分の政党が言っているからいいとかいうよりも、いいものはどんどん取り入れていく、それが大事じゃないかと。
たまたま私の言っていることと今岡田さんが言っていることと一致した、一緒だったということで、民主党が主張していたからこれを取り入れたということよりも、たまたま似たような考えだった。そういう主張をしていた小泉を自民党が受け入れてくれたということ自体、随分自民党も変わったなということの一つのあらわれではないかと私は思っているのですが。
岡田委員 小泉さんがどうというよりも、自民党として、従来は小渕総理、森総理のもとで、二兎を追う者は一兎をも得ずという考え方をとってこられたわけですね。
ただ、森さんだって、ことしの一月の所信表明でもこう言っているのですよ。引き続き、景気に軸足を置いて、経済を本格的に回復軌道に乗せることが最重要課題である、財政構造改革については、その実現に向けて議論を進めると、明らかにウエートを景気回復にかけていたわけですね。その自民党の政策が、あるいは政府の政策が、小泉さんにかわって、小泉さんは持論だったかもしれませんが、政府としては政策が変わった、民主党と同じ政策になりましたねと、そのことを先ほど申し上げたわけであります。 そこで、官房長官、よろしいですか。官房長官とそれから経済産業大臣、お二人とも経済財政諮問会議のメンバーですね。今総理がおっしゃった、二兎を追う者は一兎をも得ずから、いや、構造改革なくして景気回復なしだ、そういうふうに路線転換をしたことについて、お二人はそれぞれどういうふうに感じておられるんですか。今まで経済財政諮問会議のメンバーとして、まさしく森総理の言われた二兎を追う者は一兎をも得ずの考え方でやってこられたんじゃないんですか。いかがですか。
平沼国務大臣 確かに、小渕政権のときには、今岡田委員御指摘のように、二兎を追う者は一兎をも得ず、そういう形で、国の膨大な借金を返していくのも経済の成長率を高めることが必要だ、こういうことでありました。
森内閣も、当初は軸足は御指摘のようにそういう形でありましたけれども、今御指摘がございましたことしの一月の経済財政諮問会議、この中で、やはり景気を持続的に安定状況にしていく、その上で、国や地方の財政まで踏み込み、あるいは社会福祉、そういった公的な分も総合的勘案をして、そして六月ぐらいまでには骨太の一つの方策を出そう、森内閣の中でそういう一つの作業が進みました。
したがいまして、私もそれにのっとって前森内閣から行動を継続してまいりまして、今度小泉新内閣におきましてさらにそこのところを強く打ち出していこう、こういう形でありますので、私としては、森内閣の一月の経済財政諮問会議の中でそういう作業が現実に進んでおりますから、そういう中で矛盾を感ぜずに、さらに私どもとしては一生懸命に財政の面も含めて検討していくことが必要だ、このように思っています。
岡田委員 それでは、官房長官もお聞かせいただきたいと思います。
福田国務大臣 確かに、森内閣のときに、一兎を追いかけるんだ、こういうふうなことでありました。そういうことで、景気回復というものに重点を置いたいろいろな施策をやったこと、これは事実であると思います。 今度、その後、経済の情勢というものも踏まえて、小泉内閣においては構造改革と景気、こういう問題を提起したわけでありますけれども、先ほど竹中大臣が非常にうまく言ってくださって、私も、これはどういうふうに表現したらいいのかな、こういうことはずっと考えておったのでありますけれども、二つ合わせて一匹のウサギというのは大変いい表現だというふうに思っておりまして、この考え方を実現するということに全力を挙げる、これが小泉内閣の経済構造改革だ、こういうふうに思っております。
そういう意味で、両方を追いかけるということでありますけれども、しかし、コンセプトはやはり構造改革をするということに重点があるのではないのかなということを私は感じております。○岡田委員 先ほど、森総理も当初はとおっしゃったけれども、先ほど私が言いました、引き続き景気に軸足を置いて経済を本格的な回復にというその演説は、ことしの一月三十一日の本会議における森さんの演説でありまして、昔の話じゃないんですよね。
ですから、それがどこかでころっと変わった。つまり、小泉さんが総理になることで変わった。本来であれば、森政権のもとで森政権の政策を正しいとしてやってこられた経済閣僚は全部かわるべきだった、そういうふうに思うのです。それがそのまま続いていくところが、日本のあいまいな、摩訶不思議なところかもしれませんが、私はかなりいいかげんだというふうに御指摘を申し上げておきたいと思います。 これは坂口先生、公明党はどうなんですか。公明党も同じようなことを私はおっしゃっていたように思うのですが、いかがでしょうか。
念のために申し上げますと、これは四月二十八日の公明新聞の中で、冬柴幹事長がこういうふうに言っておられるのです。私たちは二兎を追う者は一兎も得ずとの立場で今日まで踏襲してきた、小泉首相が構造改革をまず進めましょうと言っても、それは絵にかいたもちになる、そういうふうに四月二十八日の段階で冬柴幹事長が言っておられます。これで本当に連立が組めるのですか。
坂口国務大臣 小泉内閣も景気対策を進めておみえになることには間違いないと思うのです。ただ、その景気対策を進めるのに、それはやはり構造改革をやることによって景気対策を進める、こういうことになってきている、私はそう思っています。
岡田委員 これ以上この議論を進めても仕方がないと思いますので、次に行きたいと思いますが、しかし、本当は政策というのはもっと大事なもので、そして、閣僚として政策について発言をしてきたのなら、その大方針が変わったらそこでやめる、そのぐらいの責任は持っていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
さて、三十兆円の話であります。 本会議で、我が党の鳩山代表の方から小泉総理に対して、三十兆円に国債の発行を限るような法案を出したらどうするか、出てこないとわからないというふうに小泉総理はおっしゃいました。ですから、我々は、金曜日に衆議院に法案を提出いたしました。
中身は、今年度、来年度、再来年度の三年間、国債の発行額は三十兆円以内にそれぞれする、こういうものであります。この法案に対して小泉総理は賛成されますか。
小泉内閣総理大臣 趣旨は賛成でありますが、なぜ三年間に区切ったのか。十三、十四、十五と言っていますよね、大ざっぱに中身を見たところによると。
私は、別に法律にしなくても、小泉内閣の基本方針ですから、あえて法律にする必要はないんじゃないか。その趣旨どおりに私はやっていきますよ。かえって法律で縛ってしまってやるよりも、内閣で方針を決めればできるんですよ。だから、私は、趣旨を生かすような予算編成をしたい、そういう点で協力できるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
岡田委員 法律にすることで、総理としての、あるいは内閣としての意思がはっきりと示せるわけですね。 総理みずから本会議で、鳩山代表の答弁の中で、法律を出してきなさい、それを見て判断するとおっしゃったじゃないですか。今さら何で出したんだと言われても、我々も困ってしまいます。
小泉内閣総理大臣 私は、できたら、三年度に限りませんから、もっと継続して三十兆円以下に抑えていかないとこれは大変なことになるし、財政再建の道に進んでいきませんし、ただ、この中で、五年でプライマリーバランスを回復するということですが、これはちょっと厳し過ぎるのではないか、私はそう思いますね。
ですから、基本方針はわかる。そういう点で、別に法律で明記しなくても、縛らなくても、内閣の方針として示せばこれは十分やっていけるのではないかな、そう思います。
岡田委員 我々はもう既に法案を出しております。ですから、それに対して、それじゃ総裁は反対するのですか。
小泉内閣総理大臣 賛成しなければ反対するかというものでもないでしょう。反対しなくても、趣旨には賛成できるという点がたくさんあるのではないですか。 現にあの本会議の質問でも、私の三十兆円以内を目標とするというのに対して、中身がない、中身がないと批判している人が結構いましたよ。民主党の案も中身がないじゃないですか。私と同じじゃないですか。(発言する者あり)大事でしょう。方針が大事なんです。中身はこれから考えるんですよ。趣旨は同じなんですよ。この方針を出すことすら大変だったんじゃないですか。
政治というのは大方針を提示することが大事じゃないですか。あとは、中身はみんなでこれから考えよう。自民党としては、内閣としては、二カ月、この大方針、基本方針の中身をつくるのにどういう重点予算を組むかという骨太の方針ぐらいは、これから二カ月かけて、経済財政諮問会議で十分いろいろな意見を聞いて具体案を提示するということですから。
恐らく、私が三十兆円を目標にする、同じく民主党も三十兆円以下にする法案を出す、中身はなくてもこれから検討するという点では一致しているわけですから、これはお互い似たようなもので、今後の配分構造の中であるべき財政構造改革を考えていこうということだと私は思うのです。
岡田委員 法案の賛否は、突然素早く出されて、どきっとされて、まだ答えができていないということであれば少しお待ちしますから、最後はこれは採決しなければいけませんから、それまでにぜひ考えておいていただきたい。私は、反対する理由はないだろうというふうに思いますよ。
そこで、その三十兆円。来年度は約三兆円ぐらい削減しなければいけない。本会議の中で、今も言われましたが、経済財政諮問会議で検討する。私はこれは絶対おかしいと思うんですよ。そんな、来年度の予算のことについていまだに答えがないのか。我々もないとおっしゃいましたが、我々はありますよ。公共事業を初め、公共事業で五年間で三割カットと言っているわけです。公共事業とその裏打ちになる地方交付税交付金を削減すれば、三兆円ぐらい出てきます。
小泉総理は、では方向性だけでも結構ですから、経済財政諮問会議といったってこれは総理が中心で、メンバーの大部分は閣僚ですから、それに学者の方と民間が入っているだけですから、そこにどういう形で総理としては諮られるのか、方向性だけでも国民にわかりやすく言っていただけませんか。○小泉内閣総理大臣 これは毎年度の予算編成を見ればおわかりだと思うんですよ。いつも十二月に決めるんですよ。これを今回、概算要求の段階から基本的な方針は決めていかなければならないなということで、ふやすべき予算、減らすべき予算、まず総論を決めていこう、それに従って十二月までで各論の整理をしていこうというのですから、今の段階でどこに何兆円、どこに何割削減という段階は言う方が無理であって、無責任でも何でもないですよ、今言う方がおかしい。
予算執行を四月にしたばかり、これから状況も変わってくる。どれが必要か、どれがむだかというのは私の独断専行ではできません。各省庁の意見も聞かなければならない、識者の意見も聞かなければならない、野党の意見もあるでしょう。そういうのを聞いて、多くの方の知恵をかりながら基本方針をつくっていこうというのですから、まだ十二月までにはたっぷり時間があるのですよ。それは、なさ過ぎるというどころじゃない。むしろ、今やっちゃった方がおかしいですよ、そんながちがち。十分時間があるのですから。
岡田委員 小泉総理が総裁の任期が長い方なら私は言いませんよ。九月までしか任期のないあなたが今きちんと方針を出さなければ先がどうなるかわからないから言っているわけであります。
あなたが三兆円と明確におっしゃったのであれば、やはり中身についてもきちんと示す責任があります。では、中身は何も決まっていなくて、三兆円というのをいきなり出したのですか。その三兆円の根拠は何なんですか。そこをきちっとおっしゃるべきだと私は申し上げているのです。
小泉内閣総理大臣 今までの予算編成方針に従って歳出規模を見ると、来年は、増税をしない限り、増税なしの状況では、三十兆円の枠を超えて、三兆円か四兆円ふえる前提なんです、今の見通しだと。だから、一方では、三十兆円以内にするというのは厳し過ぎるという意見があると同時に、他方では、ことし二十八兆円なんだから甘いじゃないかという両方意見がある、本会議の質問でも。しかし、今までの予算編成を知っている方が見れば、これは三兆円から四兆円削らなきゃならないのだから相当きついなという見方が与党内では強いのは事実であります。
そういう中で、では、どこを切ってどこをふやすかというのは、まさにこれからの問題なんですよ。それを今決めろという方が私はおかしいじゃないかと。編成は十二月なんですから。その審議を来年の通常国会で御審議いただくのですから。それは、三兆円から四兆円を削る、それから、これからの景気状況を見なきゃならない、そういう点をやはり総合的に勘案してやっていくのが総理としての責任ではないか。
決して私は独断専行はしたくない。いろいろな意見を聞きながら、ふやすべき予算と減らすべき予算を、今まで役人に任せていたのを政治家同士で考えていこう。ふやす方は政治家は楽だけれども、カットする方は抵抗があって大変だ。それを役人に任せないで、政治家も一緒になって考えていこうというのがこれから大事な仕事だと私は思っております。
岡田委員 だんだん、小泉総理と私の基本的考え方が違うことがわかってきました。つまり、私だったら、基本的な方向性が何もないときに、いきなり三兆円削るとか三十兆にするなんて言わないですよ。普通はそうだと思うのです。やはり、三十兆にするんだとおっしゃる以上は基本的な方向が示されるべきだ、私はそう考えているというふうに申し上げておきたいと思います。
では、最後に一言だけ聞いておきますが、来年度三十兆に抑えるという前提で、よく今までやってきたやり方というのは隠れ借金方式ですね。本来計上しなきゃいけないものをいろいろな形で潜り込ませてつじつまを合わせる、そういうやり方は少なくともしないとここでお約束いただけませんか。
小泉内閣総理大臣 これも行政改革の一つの方針として情報公開、隠れ借金というものをできるだけ明らかにしていこうと思います。そういう中で、私は、今までの予算編成方針にしたら三十兆円におさめるし、そして、これからどういう隠れ借金が出てくるのかわかりません、そういう点も明らかにして、明らかに今までの予算編成と違うな、財政配分も違ってきたなという形を示して、御理解を得られる方法を模索していきたいと思います。
岡田委員 私が聞きたかったのは、新たに隠れ借金方式で、本来きちんと計上しなければいけないものを隠して三十兆円のつじつまを合わせることはしませんね、こう聞いているのです。いかがでしょう。
塩川国務大臣 岡田さんの質問をいろいろ聞いていましたら、断定的に物をおっしゃるからなかなかお答えしにくいと思うのですよ。そうではなくて、私たちは三十兆円に抑えるということの一つの目標を立てて、その中にはいろいろな要素を入れていかなきゃなりません。ただ数字の上だけで有意義なものができるものではございませんで、例えばあなたがおっしゃるように、公共事業を三割切れ、そして地方交付税を何ぼか切れ、そんな単純なことで政治は動くものではございませんで、私たちはそこにもっと知恵を働かせたいと思うております。
その一つとして予算の配分をどうするかということをもっと真剣に考えて、景気対策に役立つような方向にやはり変えていかなきゃいかぬし、そしてまた一方において、財源の使途の方法もいろいろ言われております。 例えば、道路特定財源がございますね。あれなんかは、私が言っておりますのは、何も道路だけに限ることじゃないじゃないかと。例えば、道路が原因、あるいは石油化が起こってくる原因というものを見るならば、環境の面にも使ってもいいじゃないか、低公害車の方に使ってもいいじゃないか、あるいは生活道路の方にもっと使っていいじゃないか。そういう方法をすることによって一般財源の節約にもなってくるだろう。
そしてまた、PFIの考え方を導入して、民間資金をそこへ導入する。そういうことをすることによって、景気対策にも役立つ。景気とそれから財政とを一体として考えなきゃいかぬ。 今まで二兎論を盛んに言っておられますが、私はコインだと思っておるんです、コイン。裏と表だと思うのです。だから、我々は今、表に景気対策というのを置いておるんです。しかし、裏を見たらやはり構造改革なんです。これは一体のものですから、そうはっきり分離して考えたら私はかえってわかりにくくなってしまうと思うのです。○岡田委員 総理は三十兆円の国債発行ということを言われたわけですが、実は三十兆円というのは本当の第一歩にすぎないということですね。
お手元に紙でも配らせていただいていますが、これから財政構造改革をどうしていくか。
第一段階が、先ほど総理が例えばおっしゃった、国債発行額を三十兆円に抑える。これは、例えば来年度予算で見れば約三兆円、自然体に比べて削減しなければいけない。今議論していた話であります。
じゃ、次の段階としての、これも総理もおっしゃったプライマリーバランスの均衡、これは大変な話でありまして、我々も五年と言っているのは、我々が政権とって、本格的に改革を始めて五年かかると言っているんです。十五兆円です、来年度予算ベースで。国債発行額ゼロ、つまり、次の世代に負担を持っていかないという意味で国債発行額ゼロだと三十三兆円です、来年度予算ベースで。それに加えて、今までの借金を、例えば四百兆以上ある借金を返していくということになると、これに十兆、二十兆。すると、八十兆の予算で、借金返すだけで三十兆どころか四十兆、五十兆になってくるという、今これだけ財政は悲惨な状況にあるということであります。
ですから、私は、この三十兆円の問題というのは小さな一歩にすぎないんだ、そういうふうに考えますが、総理は、このプライマリーバランス均衡に向けて具体的にどういう道筋をお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 手元にいただいた資料、そっちの資料を拝見しますと、確かに三十兆円以下は手ぬるいという批判がありますけれども、一方では、このままの予算慣行に従ってやっていくと十四年度、来年度も三十三兆円を超える。十五年度は三十五兆円を超えるという予想が出ていますよ。だから、三十兆円以下でも結構きつい。甘いと言っている人もいますけれども、結構きついんです。今までの慣行を相当見直さないとできないんです。
そういう中で、今、むだな部分をなくすということにおいて、今まで予期し得ない効果も出てくるんじゃないか。そこをやはり見る必要があると思います。税金のむだ遣いの機構を直していこう、あるいは民間に任せるところは民間に任せることによって、今まで税金を使っていた部分が税金を納めてくる部分もある。そういうのも少し見て、それからプライマリーバランスを何とか立て直していこうということでもいいんじゃないか。今言っている五年以内でプライマリーバランスを何とか回復するというのは相当きつい作業だと思いますよ、率直に言うと。
これは与党になればわかると思いますけれども、これは野党だから言えるかもしれないけれども、これは五年以内というのは相当きついんじゃないか。 だから、私はまだそこまで言う自信はありません。まず第一歩を踏み出す、そして、その状況を見て本格的な財政再建に乗り出す、いわゆる二段階方法、これを与党・政府としてはとっていきたい、そう思います。
岡田委員 我々は野党ですけれども、責任野党ですから、実は、この五年間でプライマリーバランスということに非常に苦しんでいます。党内的にも、なかなか具体策をつくろうとしても、従来の発想の延長じゃこれは無理です。だから、相当考え方を変えなきゃいけない。つまり、それは、官と民の役割分担というものを根本的に変えない限り、これはできないわけですね。特に、増税なしでやろうとすればできない、こういうことでございます。
そこで、今、それは先に考えるとおっしゃって、具体案を言っていただけなかったのは残念なんですけれども、こういう財政状況の中で、私は総理に一言申し上げたいのは、今年度の予算に対して、あなたはこれを聖域と考えているのかどうかということです。今年度予算は確かに森内閣でできたものであります。しかし、まだ五月です。これから減額補正というやり方もあります。 例えば、整備新幹線の新規着工路線、これは森総理が御執心で、お決めになりました。新聞報道では、四月二十五日に国土交通省が実施計画を認可して、五月から着工だと。これは凍結すべきだと思いませんか。この整備新幹線はずっと、自民党の中でも推進論もあったけれども慎重論もあってとめてきたものを、森内閣のもとで、北陸新幹線を中心に新規着工路線を決めてしまった。しかし、これは一年で終わる話じゃなくて、これからずっと、全体では一兆円近いお金がかかる話ですよ。
そういうものに対して、勇気を持って、今ここでぴしっと凍結する、そしてやがて補正のときに減額補正する、そういう、国民に対して、今の財政状況が厳しい中で、小泉内閣としてわかりやすいメッセージを送るべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは全体の予算の中で聖域なく見直すということで、継続すべきものは継続しますけれども、この予算編成の中で私は考えていきたい、状況を見ながら、予算配分を見ながら、今後、検討課題だと考えております。
岡田委員 ちょっと私の言ったことがわかっていただけないのですが、新規着工路線でことしの五月から工事が始まりますよ、とめるならもう今しかありません、工事が始まったらもうとめられません、これから何年間も続いて、膨大なお金がかかる話ですよ、それを今、総理のリーダーシップでまずは凍結して、もう一回見直すお考えはありませんかということを申し上げているわけです。
小泉内閣総理大臣 そういう点も含めて検討させていただきたいと思います。
岡田委員 そういう点ということは、整備新幹線の新規着工路線を凍結するお気持ちがおありだということですか。
小泉内閣総理大臣 今までの継続性も考えながら、そういう御意見もあるということを考えながら、検討させていただきたいということであります。
岡田委員 もう一つ、静岡空港というのもあるのです。これはもう、ことしの予算はわずか十五億ということですが、これも、東京、羽田もあれば名古屋もある、新幹線も通っているし、高速道路も通っている、そういう中でつくっても、ほとんど黒字になる可能性は少ないだろうと言われている。こういうものもおとめになるおつもりはありませんか。
扇国務大臣 あらゆるところの公共工事を見直すというのは、私は、国民的世論の中で大事なことだと思っております。
むだ、丸投げ、すべてのものを公共工事から、正しい公共工事というもの、国民が喜ぶ公共工事をするために、昨年の臨時国会で、自民党から共産党まで賛成していただいて、公共工事の入札と契約に関する適正化法を通していただきました。それによっても、公共工事のあり方というものは、私は、一つの公共工事だけではなくて、今おっしゃったような静岡も、あるいは北海道も九州も、いろいろなところに空港がございますけれども、今までの政治家は、ずっと一県一空港と言い続けてきた政治家もたくさんいらっしゃいます。けれども、二十一世紀になって、それらも含めて検討していこうということでございますから、小泉内閣において全部見直していく、聖域を認めないということですから、そういう意味では、私たちも皆さんと討論していきたいと思っております。
岡田委員 私は、今年度予算という具体的な問題について、具体的な整備新幹線、そして静岡空港というものを挙げてお話をさせていただいたわけですが、今のお答えは、総理も大臣も一般論に終始した。私は、これではやはり国民の皆さんが小泉総理に期待していることとは大分違うのじゃないか、結局従来の手法と同じじゃないか、そういう懸念を持ったということを申し上げて、私のきょうの質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
野呂田委員長 次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時散会5月15日
岡田委員 きょうは、外交問題から質問をしていきたい、議論したいというふうに思っています。 まず、総理にお尋ねしたいと思います。
アメリカのブッシュ新政権が発足をいたしまして、政権がかわったから当然なんですけれども、新しい幾つかの注目すべき動きがあるというふうに私は思っております。総理も六月には日米首脳会談を考えておられるという報道もありますけれども、現時点において、日米首脳会談が行われたとすれば、何を一番ブッシュ新大統領とお話しになりたいというふうにお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 まだいつ会談が実現するか決まっておりませんが、サミット前には、できたら直接話し合いの機会を持ちたいとは思っております。
その中で私が第一にお話ししたいことは、戦後の平和と発展は日米友好関係の基礎に成り立っている、今後とも日米安保条約を堅持して、この日米安保条約が有効に機能し、日米協力が緊密であればあるほど、隣国を初め各国との協力関係が発展できるのではないか、日本の国益を考えた場合、日米友好関係こそ最も大事な外交関係である。一部には、日米関係が多少損なわれても、ほかの関係国との協力関係を深めていけばいいのではないかという議論がごく一部にありますが、私はそういうことは断じて考えていない。日米友好関係がよければよいほど、他国ともよりよい友好関係が築けるものだ、私はそういうふうに考えているということを申し述べるつもりであります。
岡田委員 日米重視であるという総理のお考えはよくわかりましたが、ただ、今総理の答弁を聞いていて、私は気になりました。言葉が非常にあいまいであります。
つまり、三つの言葉があったと思います。今おっしゃった中でも二つあった。日米安保条約が有効に機能する、そして日米友好関係。所信表明演説では、同じコンテクストの中で、日米安保体制が有効に機能するように努めると言われた。今は、日米安保条約がと言われた。これは従来、違う意味で言われてきたと私は思いますが、どちらが真意でしょうか。
小泉内閣総理大臣 大枠の中で考えていただきたい。日米友好関係の中には、安保条約が有効に機能しないと友好関係は保てない、友好関係は大事だということを重点的に言ったということを御理解いただきたいと思います。
岡田委員 それじゃ、この所信表明演説の中で、総理は日米安保体制がより有効に機能するように努めるというふうに言われておりますが、そのことの具体的意味をお教えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 日米安保体制というのは日本とアメリカの安全保障を考える上において最も重要なものでありますから、これが有効に機能するようにその場その場でお互い協力していく。
具体的な点と言われたが、どういう事態において具体的な点かということを御指摘いただければお答えいたしますが、総合的に有効に機能されるように各省庁と連絡をとりながら判断するという基本方針に私は変わりないと思っております。
岡田委員 この中で述べられているのは、日米安保体制がより有効に機能するよう努めるということでありますから、現状よりも変えたい、そういう総理の何か具体的な意図が含まれているのか、こういうふうに思って質問したわけですが、今の御答弁ですと、むしろそういうものは具体的に考えていない、こういうことでよろしいんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 いろいろ細かいことまで言われますが、それは日米友好関係がより発展するという意味と同じですよ。日米安保体制がより有効に機能する、日米友好関係、もういろいろな分野で協力関係を進めていきたい、そういう意味で使っているわけであります。
岡田委員 今の細かいという表現は取り消していただきたいと思いますが、具体的な話はないというふうに理解をしておきます。これは本当は大事な話ですよ。
それじゃ、次に外務大臣にお尋ねしたいと思っています。 先般、アーミテージがやってまいりました。それにお会いにならなかったことについてはきのう説明を聞きましたので、きょうは申しません。ただ、ブッシュ大統領の唱える新たな戦略的枠組み、これは私は非常に重要な内容だというふうに思っています。
簡単に申し上げると、一つは、脅威の概念を変える。従来のソ連、ロシアの大量破壊兵器じゃなくて、一部の無責任な国の少数のミサイルが脅威であるというふうに認識を変える。そしてそのための、ミサイル防衛を可能にするための枠組みが必要である。三番目に、従来の戦略核について大幅な削減をする。こういう一つのパッケージであります。
このことについて外務大臣は、アーミテージの方は同盟国である日本と協議するために来日したということでありますが、外務大臣、お出にならなかったようですが、このブッシュの新しい提案に対してどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
田中国務大臣 お答えいたします。 私も、日米の関係は大変重要だというふうにずっと考えてきております。
それから、お尋ねとはあれですけれども、どのようなメッセージを持ってアーミテージさんが来られたか、お目にかかっておりませんので、まだ事務方からも、報告を早く上げてくれというふうにお願いをしてありますが、中身を聞いておりません。したがって、もう少し時間をいただいてからでないと、中身を吟味してからでないとお答えいたしかねます。
岡田委員 ちょっと今のお言葉は、私には理解しがたいことであります。
このブッシュの提案は、冷戦後の枠組みを大きくがらりと変える、非常に大事な提案だと私は思っています。 もちろん、問題はいろいろあります。日本にとっても、例えばミサイル防衛というのは本当に技術的に可能なのか、あるいはこれに参加するときに今の憲法のもとでできるのかという問題もあります。
しかし、私はこの提案に対して非常に魅力を感じるのは、冷戦時代の象徴であった米ソ両国の、何回でも人類を殺せるという大量破壊兵器を、それを下げていこう、そういう考え方のもとで組み立てられている。私は、それだけの大量破壊兵器を持つということは極めて非人間的であるというか、あるいは反人間的であるというふうに思っておりますが、そういうものを変えるという可能性を持った提案でありますから、これは、我が国としてもどういうふうに対応していくかということは重要な課題であります。それを外務大臣が御存じないということは、御存じないというか事務方から上がっていないということは、この国の外交が動いていないということを意味しているんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
田中国務大臣 岡田委員のおっしゃっている趣旨は十二分によく理解しておりますけれども、まだ詳しく、最終的な決定も何も出ておりませんので、内閣一体となって協議をしてからまたお答え申し上げる機会があればというふうに考えます。
岡田委員 それでは、もう少し具体的に聞きますが、この中で、ABM条約を新たな枠組みに変える、そのために米ロが協力しなければいけないという提案が含まれております。この点について、外相はどういうふうにお考えでしょうか。
田中国務大臣 ロシア、中国等の対応もはっきりいたしておりませんし、事務方からまだ上がってきておりませんで、きのうもおとといも、私は北米局長に……(発言する者あり)そうなんですよ。ところが、新米なものですから、北米局長に今ほども三回目の、早目にということを申しておりますので、それを見て検討させていただきます。
岡田委員 私は、これは事務方が議論する話ではなくて、アーミテージは政治家として議論をしに来たと思うんですね。あなたがいろいろな御都合でお会いになれなかったことはさておくとして、それでは、副大臣がお会いになっているわけで、事務方がという話じゃないはずであります。副大臣からはお話は聞いていないんでしょうか。
田中国務大臣 先生方がおっしゃる趣旨は私も全く同じ思いがしておりまして、したがって、私が、ちょっとこれは別件ですが、議員立法をやっておりますのも、役所のところで官僚ばかりが情報を掌握していて、殊に幹部がですね、それによって政治家に情報が上がらないことによって国益があるいは世界との関係がミスリードされて損なわれてしまうことはならぬという観点で議員立法を、もう法制局ででき上がっておりますけれども、そこでちょうど拝命をいたしましたので、それをまさしく事務方に指示をしておりますけれども、なかなか、百三十年も歴史のある官僚制度というものは、まだ二週間ぐらいの内閣では動きませんので、頑張っておりますので、ぜひ応援をしていただきたいと思います。
岡田委員 私は、今のお話を聞いていて、本当に日本の外交というものが動いているのかどうか懸念をするわけであります。 事務方がとおっしゃるが、アーミテージに御都合でお会いになれなかった、それなら即座に、どういう議論があったのかということを、事務方でも副大臣でも結構です、まず事実をはっきりと押さえて、そして、今何も御答弁できなかったわけですけれども、こういう大事な問題について、外務大臣としてのきちっとした見解をお持ちになっていないということは、私は信じられないわけです。
田中国務大臣 全く同感でございます。
それで私は、副大臣と、それから、ほかの方はわかりませんが、総理とどのような、親書の中身も、すべて少しでも早く知りたいと思って、そこはすぐに速やかに上げてきました。 ところが、事務方が、朝一時間半ぐらい会ったんでしょうか、副大臣がお会いになる前に、それから、お昼も一緒に一時間半ぐらい幹部がしております。それから、最後は、きのうになって次官が、実は私飯食っていますとおっしゃったので、それらの話の中身を、骨を何度私が言ったらあなた方出すんですかということを言っております。
ですから、思いは同じですので、お互いに共通ですので、与野党の対立図式に持ち込むのではなくて、みんなお互いバッジをつけている者同士として、やはり共闘できるところはぜひお願いをしたいと思います。今も私、部屋に入ってきて、まだなのということを秘書官に言ってあります。○岡田委員 私は、機密費の問題など徹底的に解明していこうという外務大臣の姿勢には敬意を表しております。ただ、今のお話は、私は、今、日本に外交がない、そういうふうに理解をせざるを得ません。事務方が事務方がとおっしゃるが、それはあなたの責任です。そのことを認識していただきたいと思います。 それでは、総理に聞きます。
総理もアーミテージとお会いになっているようですが、この提案に対して、例えばABM条約をどうするか、あるいは戦略核の大幅な削減の提案、そういうものについてどのようにお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私も、ブッシュ大統領の演説というものを理解する上において、主要点については私なりにブッシュ大統領の情勢認識を勉強しておりますが、まず、核兵器の一層の削減を表明したということは歓迎すべきことだと思っております。そして、弾道ミサイル、この拡散が安全保障上の深刻な脅威となっていることにつきまして、私はアメリカと共通の認識を持っております。米国がこれに対処するため各般の外交努力を行っておりますので、今後ミサイル防衛計画をアメリカが検討していることを我が国としても理解しているということを既に表明しております。
我が国は、このミサイル防衛問題が軍備管理、軍縮努力を含む国際安全保障環境の向上に資する形で扱われていくことを望んでおりまして、米国側が、関係国、特にロシアや中国等と十分協議したいと言っていますので、我々としてもそういう方向は歓迎すべきだと思いまして、この問題につきましても引き続き米国と緊密に協議をしていきたいと思っております。
岡田委員 今のお話の中で、ABM条約について、新たな枠組みに変えるという方向でロシアと議論を始めるということについては、日本としてそれで基本的に結構である、そういうお話だったのでしょうか。
小泉内閣総理大臣 その点については、日本も歓迎すべきだと思っております。ロシアとその削減条約、協議してもらいたいという方向で、我々は歓迎しております。
岡田委員 歓迎するというか、アメリカが話し合って、ロシアはそれに対して必ずしも今その方向に賛成をしているわけではありませんので、私は歓迎という話じゃないと思うんですけれども、ただ、ロシアときちんと話ができるのであれば、そういう方向で議論することは私は結構なことだと。別にABM条約が金科玉条ではなくて、新しい枠組みに向かって議論していくことは、私は一つの可能性として後押しをしていいんじゃないか、そんなふうに思っているところでございます。
それではもう一つ、集団的自衛権の問題について一言お聞きしておきたいと思います。 先般の本会議の代表質問で、自民党の山崎幹事長は、日本の平和と安全に重大な影響を与える周辺事態に限って国会決議を行うことで集団的自衛権の行使を容認していいんじゃないか、そういう提案をされました。それに対して総理ははっきりお答えになっていなかったように私は思いますが、この山崎提案に対してどのようにお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、私は、いろいろ状況の変化、時代の変化に応じて研究するのはいいことではないかと言っております。山崎自民党幹事長が国会で決議したらどうかという御発言をしているようでありますが、それも一つの方法ではないかなと。議論をよく見きわめていく必要があると思っております。
岡田委員 そういたしますと、国会決議をもって解釈改憲をする。しかも、山崎さんの言っていたことは、周辺事態において集団的自衛権の行使を容認するということですから、解釈改憲というより集団的自衛権をはっきり認めるわけですから、かなり今の憲法の解釈をがらっと変える。本来、こういうものは、私は、やる必要があるかどうかは別にして、もしやる必要があるのであれば憲法改正でやるべきだという総理の従来の見解、そちらの方が正しいように思うのですが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私も基本的には同じ考えです。 しかし、いろいろ研究についてまで否定することはない。特に、憲法の改正については十分な配慮が必要ですし、国民的な議論も見きわめなきゃならない。私自身も常々申し上げておりますように、政府の解釈については、長年国会の審議等積み上げられたものがあります。これをもし変えるというのであれば、よほど慎重な十分な配慮がなされなければなりませんし、そういう点も含めまして、私は、幅広い議論が行われることが必要であり、もしも変えるということがあったとしても、これは十分に慎重に検討しなきゃならない。
本来望ましいあるべき姿は、そういう――賛否両論があります。また、解釈によってもいろいろ違いがあります。ということで、望ましい姿を言えば、それはきちんとそういう誤解のないような形で憲法改正という手続をとってやった方がより好ましいというのは、岡田議員と同様の考えを持っていると私は認識しております。
岡田委員 私は、武力行使、集団的自衛権というのは武力行使するということであります。これは、憲法九条の根幹の問題であります。
私は、基本的に、今までの解釈の積み上げ、これは非常に大事だというふうに、そこは総理もおっしゃいましたけれども、思っておりまして、もし集団的自衛権というものを一般的に憲法が認めているという考え方、解釈に立ちますと、じゃ憲法九条の存在価値は何だろうか。それは、結局侵略戦争を禁じているにすぎないということになる。そうすると、日本の憲法というのは、いわば手を縛ってきたわけです。みずからの手を縛ってきた。そのことをいわば否定することになってしまう、こういうことだと思います。
それはそれで一つの我が国の選択かもしれません。普通の国になる。しかし、それを解釈改憲でやるのは私は絶対反対であります。もし必要であれば、それはきちんと議論して、国民的理解を得て憲法を変えるということなら、それは可能性としてはわかりますが、憲法の解釈でそこまで認めてしまうということは私はあり得ない、そういうふうに思っておりますが、そこの基本認識は総理は同じだと考えてよろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 基本認識は同じと言ってもいいと思います、やるべきことは。 日本の憲法には非常に制約がある。その中で、いろいろ苦労しなきゃならない点もある。現実の状況が変化しておりますので、憲法の範囲内の中で何が可能か、そういう点については研究してもいいのではないか。しかし、今言ったように、きちんとやれるというためには、根本的に憲法を改正した方がいいのではないかという基本認識は、私と共有する面がかなり多いと思っております。
岡田委員 それじゃ、次に参ります。 緊急経済対策に関して、幾つかお聞きしていきたいというふうに思っております。
まず、与党三党の合意の中で、連立政権の継続の三党合意の中で、今国会で所要の予算措置、法整備を行うというくだりがございます。予算措置というのは補正を考えておられたのではないか、こういうふうに思いますが、聞くところによると、この国会で補正は出ない、こういうことであります。 そうしますと、三党合意はこの時点で変更した、こういうことでしょうか。自民党総裁である小泉総理に聞きたいと思います。
小泉内閣総理大臣 変更したということではなくて、今のところ補正予算を組んでやる必要はないのではないかというふうに私は考えております。
岡田委員 ですから、合意の中で今国会で所要の予算措置を講ずると書いてありますから、予算措置というのは補正しか私はあり得ないと思うのですが、それが補正をやらないということであると、この合意はその部分は変わったのですねということを聞いているわけです。
塩川国務大臣 予算の必要な措置といいますのは、何も補正予算だけが措置じゃございませんで、予算の配当並びに使用、そういうものにつきましても予算の必要な措置ということになってくる。ですから、当面のところ、補正は考えてはおりません。
岡田委員 ちょっと何を言ったかよくわからないのですが、予算はすべて箇所づけされていますから、それを今さら変えるということではなかろうと思うのですが、趣旨不明でありますが、次に参ります。
株式買い取り機構についてお尋ねしたいと思います。
株式買い取り機構については、九月まで法案の提出は見送る、そういうことだと聞いておりますが、少なくとも株式買い取り機構の骨格だけはお示しをいただけないでしょうか。というのは、かなり具体的な話が前政権で、例えば亀井政調会長のもとで議論されておりましたし、報道もされておりました。それはどうなったのか。九月に検討する、あるいは経済財政会議で検討する、総理のお得意の言葉でありますが、しかし、やはりこれも基本的な枠組みぐらいはお示しいただけないか、そう思って質問させていただきます。
柳澤国務大臣 金融機関の保有する株式は当然価格変動をするわけでございますし、そういう中で十三年度一番最初に来るのはこの九月末ですけれども、そこから時価会計が導入される、そういうようなことを考えまして、これはもう明らかに金融機関の財務の安定性というものを損なうので、まずこの金融機関の保有する株式というものをどう考えるか、これをやはり一定の規制のもとに置くべきじゃないか、こういう問題意識が生じているわけでございます。
そして、その保有制限と保有規制というものを考えた場合に、仮に数字的な目標を決めた場合に一体いつまでにそれを実現されるか、これもまだ検討をさせているわけでございますけれども、そのいつまでにという期限との関係で、大量にいわば規制をオーバーした部分については市場なりなんなりに放出をさせなければいけない、こういうことを考えますと、一時的に市場の需給に非常に大きな影響を与える。
これを何とか、もうちょっと緩やかな形で、通常あるようなそういう市場の需給関係というものを実現しながらうまくこの保有規制の実現を図っていくという方法はないだろうか、そこに買い取り機構というものを一つショックアブソーバー的に置いたらどうだろうか、こういう発想で先般の緊急経済対策におけるこの保有制限と買い取り機構がワンセットとして実は規定された、こういういきさつでございます。
我々は、小泉内閣になってからは殊にそうだと私は認識をしておりますけれども、もう市場原理というものをできるだけ生かしていきたいということを考えているわけでございまして、しかし、この保有規制にしても、あるいはそれの受け皿としての買い取り機構にしても、やや扱い方によっては市場をゆがめるということは否めません。そこで、これを一体どうやって両立させるのかということを非常に思い悩むわけでありまして、私も今本当に苦悩をしているわけでございますけれども、何とかそういったものを考えたいというふうに思っているわけでございます。 骨格を示せということでございますけれども、緊急経済対策の中に言っていることは、まず基本的には、出資というものには銀行自体が参加することが必要ではないか、こういうことを言っている。それからもう一つは、買い取りの資金については、これについては政府保証をするというような形で公的な支援というものが、結果として非常に最小限に抑えなきゃならぬけれども、そういうものを考えていくということではないかというようなことが「等」というような若干のゆとりを持った表現でそこにされておるわけでありまして、私ども、現在鋭意そういうラインに従って検討をしておる、こういう状況でございます。
岡田委員 ちょっと答弁が長いものですから、もう少し端的にお答えいただければありがたいと思いますが、今のお話の中で一つ気になることがあります。これは総理にお聞きしたい。 損失補償について考慮するという、もちろん検討中であるという前提ではありますが、補償すべきではないか、そういうお話がありました。私は、これは容認できません。今言われているスキームは、仕組みは、基本的に銀行を中心にその保有機構の株主になる、そしてそこに銀行の株を移す、五年間に売却していく、細かいことはまだ決まっていないということでありますが。
そうしますと、それで売却益が出たときには、最終的には株主たる銀行にその利益は行く。では、損したときはどうか。そこで、今の柳澤さんの話では、最終的にそれを補償する、つまり税金で穴埋めをするという可能性を否定されなかった。しかし私は、それは絶対におかしなことだと。損したときも得したときも国に帰属するというならわかる、あるいは損したときも得したときも銀行に帰属するということならわかる。しかし、得は銀行で、損は国民の税金で負担をするという考え方は、私は断じて容認できませんが、総理、いかがなんでしょうか。そこだけ明確に否定しておいていただけませんでしょうか。になるということ、それから、損をしたときは政府保証で政府の負担になる、今我々が決めるスキームが一義的にそういうことになるということにはなっておりませんので、それらのことを含めて今検討しているということで、御理解を賜れないでしょうけれども、一応現在段階の状況はそういう状況だということを報告申し上げるという意味でございます。
岡田委員 御理解はできません。きょうは明確な答えはなかった。場合によっては税金投入の可能性がある、そういうことだというふうに理解をしますが、それは私どもは理解をいたしません。そのことをはっきり申し上げておきたいと思います。
総理から明確な答弁がなかったのは非常に残念なことであります。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 私より柳澤さんの方がはるかに詳しいんですよ。柳澤さんが言っているとおりでありまして、今、得したら金融機関、損したら税金で補償する、そういうことに必ずしもならないようなことを検討していると言うんですから、その検討状況をよく見て判断したいと思います。
岡田委員 それでは次に、雇用の問題について一言申し上げたいと思います。
二年ないし三年で不良債権を思い切って処理する、これは我々の考えと一緒であります。ただ、我々は、不良債権はもっと多いと思っていますから、もっと大変なことになるというふうに認識しています。そして、そのときに最低限やっておかなくてはいけないことは、失業者がふえる、そのことに対するセーフティーネットを張っておく、こういうことだと思います。
このことは本会議でも何回も議論されていますが、実はここも雇用対策についての具体策がございません。いろいろ答弁されますけれども、これもこれから検討するというお答えに終始していますが、私は、情勢認識が甘過ぎるのじゃないか。本気で不良債権の処理をするのであれば、ここをパッケージでしっかりやっておかないと大変なことになる。逆に言いますと、そこをないがしろにして不良債権処理というふうに言っておられるのを見ると、不良債権の処理は実は本格的にはやられないのかな、そういうふうにうがって見てしまったりもするわけであります。 雇用対策について、具体案をぜひお話をいただきたいと思います。
坂口国務大臣 御指摘のように、不良債権の処理が進みますと雇用の問題が大変重要になることは御指摘のとおりでございます。それで、その不良債権の処理の規模、そしてそのスピードによってそれはかなり違うというふうに思っておりますが、しかし、いずれにいたしましても、この雇用に対する準備は、セーフティーネットはしておかなければならないというふうに思います。
一つは、やはり日本の中でまだまだこれから雇用の開拓のできる分野というのは、第三次産業だというふうに思っております。第三次産業に対して、アメリカは七〇%まで行っておりますけれども、日本はまだ六〇%台でございますから、まだまだここは開拓ができるわけでございますので、この分野における雇用の開拓ということをまず目指して、そして具体策をやっていくというのが一つ。
それからもう一つは、ミスマッチでございます。ミスマッチの問題もいろいろ言われておりますが、しかし、若い皆さん方の場合のミスマッチの一番最初にまいりますのは賃金の格差、賃金に対する一致が見られない。それから、中高年にまいりますと年齢制限でございます。入り口のところでストップしている。賃金が合わないというのはなかなか難しい面がございますけれども、中高年の年齢格差ということにつきましては、取り払う努力を早くしておかないといけないというふうに思います。これが二番目。そうしてやっていかなければならない。
そして三番目は、不良債権を抱えます業界というのは、かなりこれは限定されていると申しますか、建設業でございますとか流通業でございますとかサービス業でございますとか、大体決まっているわけでございます。そうしたところ、個々の分野におきますところの個々の雇用対策を一体どうしていくかということも検討しなければならない。この分野につきましてまだ今のところ十分でございませんので、早急に個々の分野につきましても手をつけていかなければならない。
その三点に絞り込んで雇用対策をやっていかなければならないと考えているところでございます。
岡田委員 今の坂口大臣のお話でありますが、不良債権の処理の規模やスピードによって変わるとおっしゃいましたが、実は、もうこれは決まっているんですね。総理の所信表明演説の中でも、「二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指します。」つまり、二年から三年で不良債権は一掃する、こういうふうに言っておられるわけですから、そういう前提で考えていただきたい。今までいろいろな対策が本会議等で語られておりますが、それはすべて不良債権の処理を本格的にやると決める前の対策であります。状況が変わった、そういう中で本格的な雇用対策を考えていただきたいと思っています。
今、三点について大臣から御説明がありましたが、民主党が考えているのは、そういったことも大変大事なことだと思いますが、同時にやはり、我々が考えているのは、一つは、雇用保険を安定させる。今の状況は赤字であります。これを安定させるために一般会計から二兆円つぎ込もう、こういうことが一つであります。
そしてもう一つは、雇用保険が切れた後、なお職がない人がたくさん出るだろう、そこに対して最低限の生活費を二年間に限って保障していこう。もちろん、そのためには教育訓練、職業訓練を受けていただくことが前提になります。そして、この失業対策の中で、そのネットからこぼれている廃業した自営業者の方も、その制度に乗せていこう。合計で四兆円ぐらいのお金がかかる大変な話でありますけれども、これを三年間、不良債権処理の期間とセットで時限措置でやっていこうというのが我々の提案であります。
ぜひ、政府におかれても、こういう我々の提案についても真剣に取り上げ、検討していただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。
それでは次に、規制改革の話、一言申し上げたいと思います。
総理も、規制改革というのは非常に大事であるということを強調されているわけですが、いろいろな議論がある中で、具体的な規制改革の考え方が出てきても、それが結局、いろいろな既得権その他、もちろん規制改革をすれば痛みを伴うわけですからそういう動きが出ることはわかりますが、しかし、そういう動きに押し戻されてしまって一度決めたことがころころ変わるようでは、規制改革は進んでまいりません。
そういう意味で、一つの例を挙げて総理の規制改革に対する態度というものを確認したいと思いますけれども、私が申し上げたいことは、お酒の免許のことでございます。
これについてはもう既に閣議決定もなされて方向性は出ておりますけれども、それに対して、酒販店に酒販管理者を置くということを義務づける法案が自民党の中で検討されているというふうに伺っております。そして、その中身を見ますと、例えば夜の十一時から翌朝の五時までは売り場にその人がいなきゃいけない。ほかの時間はその人は売り場にはいなくていい。ということを見ると、これは明らかにコンビニをターゲットにした法案であるというふうに言わざるを得ません。
こういうことに対してはっきりノーと言う、決めたことはしっかりやっていく、そういう姿勢を示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 その話は、自由民主党だけではなくて、民主党の中の方も一定のそういう法案を考えておられることも聞いております。
私たちは、規制緩和した以上は、その執行についてはやはり十分に方針どおりやりたいと思っておりますが、しかし今、酒販の実態を見ますと、乱れておることも事実でございます。そうでございますから、いろいろと検討は進めておりますけれども、まだ管理士の方向で意見がまとまったということは私は聞いておりませんし、またそのような事実はございません。
岡田委員 今、民主党もというお話がありましたが、では、具体的に名前を挙げてください。
塩川国務大臣 民主党の方のどなたと私はわかりませんが、うわさで聞いておりまして、民主党の方でもそういう検討を進めていくということは聞いております。
岡田委員 これは驚きでありますが、答弁の中で、うわさをもとに大臣が答弁されるというのは前代未聞であります。取り消してください。取り消してください。
野呂田委員長 この扱いにつきましては、お昼の理事会でちょっと……。(発言する者あり) それでは、財務大臣塩川正十郎君。
塩川国務大臣 いや、民主党のどなたということは申しません。けれども、そういううわさがあったということも、私は取り消しておきます。
岡田委員 もちろん、未成年者に対して酒を売るということは規制されなければなりません。しかし、そのことは、例えば罰則の強化、そういったことでできるわけですから、単に管理者を置いたからそれができるということではもちろんありません。社会的規制に名をかりた経済的規制の強化の典型例でありますから、こういうことに安易に乗らないように、小泉内閣としてぜひしっかりとした対応をお願いしておきたい、そういうふうに思います。
それでは、次に参ります。 総理は、所信表明演説の中で、保育所の待機児童ゼロ作戦、あるいは放課後児童の受け入れ体制整備、こういうことを言われました。私は非常に評価をいたします。
具体的に、こういったことを進めるためにどのようなスケジュールを考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 これは、男女共同参画会議の専門調査会において今審議をいただいております。その中で、仕事と子育てを両立する上において、今言いました、保育所待機児童をゼロにするというのに対して非常に要望が強い、放課後児童の受け入れ体制整備、これは重点的に取り上げるということで、近いうちに、これはどのぐらい時間がかかるかわかりません、時期も明示して、所信表明どおり、実施に向けて着実な整備を進めていきたいと思います。
その具体的な時期とか目標につきましては、もう少し時間をいただきたいと思います。方針ははっきりしております。
岡田委員 またまた具体案がないのは残念ですが、私ども、基本的方向は賛成ですから、もしいいものが出てくればもちろん協力していきたいというふうに思っています。
その上で、我が党の提案を二つ申し上げたいと思います。 一つは、無認可保育の話なんです。 これは、スマイルマム事件というのがありましたけれども、無認可保育について、できたものについては、今、厚生省の方でも無認可施設に対する指導基準というのをおつくりになっていろいろ指導されている。しかし、あるかないかというところの把握ができない仕組みになっております、無認可保育が存在するのか存在しないのか。そういう意味で、我々は今、児童福祉法の一部改正によって届け出を義務づける、こういうことを考えているわけですけれども、その考え方について賛成いただけるでしょうか。
坂口国務大臣 無認可保育所の問題につきましては、御指摘のように、私も問題意識を持っております。現在のところ、これは届け出をしなくてもいいということになっているわけでございますから、岡田議員がおっしゃいましたように、どこでやられているかということがわからないケースもあるわけでございます。したがいまして、それらの点につきましては、もう少しやはり全体で把握ができて、指導すべきことは指導がきちっとできるような体制にしていかないといけないというふうに思っておりまして、事務当局の方に、その無認可保育所と言われております保育所のあり方について早急に検討するように今言っているところでございます。 名案がございましたら、またお聞かせをいただきたいと思います。
岡田委員 届け出を義務づけるということはそう難しいことではございませんので、急いで検討していただきたいと思います。我々、法案を出しますので、ぜひ賛成をしていただきたいと思います。 もう一つは、育児休業制度の充実の話であります。
一つは、政府の方も法改正をお考えのようですが、子供の看護休暇の問題であります。政府の御提案は、これを、事業者に対する努力規定を置いているにすぎないということでありますが、我々は、年間十日程度の看護休業というものを認めるべきだという法案を用意しております。
そしてもう一点は、同じ法案の中で、今までの育児休業制度は一歳までですね、一回きり。しかし我々は、もう少しそこを弾力的に、小学校に上がるまでの期間で複数回とれるような制度に変えるべきだ、こういう主張をしております。 この二つの点について、どのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 政府の方も、御指摘のように、育児・介護休業法の改正法案というのを今国会に提出しているわけでございます。今お話しいただきましたように、これは努力義務でございます。
ただ、これも、強制的にそういうふうにできるようにしようというのには、なかなか、そこの合意を得るのにはもう少し時間がかかるというふうに私は思っておりまして、やはり第一歩を踏み出すことが第一。そして、何はともあれ、気兼ねをして休まなければならない、休みをとらなければならないということではなくて、みんながそのことに応援をしてもらうような雰囲気がその職場に出てくるということが大事だというふうに私は思っております。そうしたことを含めて、まずスタートをするということが一番ではないかというふうに思います。
年齢の問題、一歳まででありますとかあるいは学校に行きますまでの問題でありますとか、年齢の問題もございますが、まずはともあれ第一歩を踏み出させていただいて、そして順次それを充実させていくという手順を踏ませていただきたい、そんなふうに思っているところでございます。
岡田委員 私はそこを、基本的考え方は異なります。第一歩を踏み出して順次やっていくというやり方ではなくて、ここは思い切って大きな一歩を踏み出す、こういうことじゃないかと思います。
どうして先進国の中で日本だけが、育児期間の女性の就業率ががくんと落ちて、いまだにM字型カーブを維持しているのか。先進国はみんなそういうのはもうなくなって台形になっている。つまり、子供ができても就業率は落ちない。それはよっぽど思い切ったことをしないと変わらないというふうに私は思っております。 そこの基本的考え方について、総理、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 女性の仕事は家事、育児というのはかなり前のことで、最近は女性も男性も家事、育児をしないとやっていけないということについては、もう若い世代では当たり前になってまいりました。
しかし、私以上の世代になると、育児で仕事を休むということに対して、必ずしも一般社会の理解度がそれほどでないというのが現実の中であると思います。それをどう変えていくかというのが、これから男女共同参画社会を実のあるものにしていく上において大事だと思っています。
こういう点は、今できるだけ、育児で仕事を休むにしても、一般が、男も、ああそれは大事なことだなと快く理解を示すような環境を整備していくのも大事だと思っております。
岡田委員 私は、日本経済の活性化という点から見ても、能力ある女性がその能力に応じてきちんと働ける仕組みをつくるということは非常に大事なことだというふうに思っております。一歩一歩も大事ですけれども、そこはぜひ大きな一歩が踏み出せるように御努力をいただきたいというふうに思っております。
それでは、時間も非常に限られておりますけれども、医療制度の改革について一言申し上げたいと思います。 実は、私が厚生委員会で野党側筆頭理事をしておりましたときに、小泉総理は厚生大臣でありました。いろいろな議論をさせていただきました。特に、医療制度の抜本改革の時期でありまして、総理からも、例えば当時の厚生省は「二十一世紀の医療保険制度」、総理、これを覚えておいでかどうかわかりませんが、そういうものをお出しになって、そして医療制度の抜本改革をやるということを何度も答弁をされました。
例えば、平成十年六月十一日の予算委員会で、私が、当時の二兆円の負担増と構造改革はセットである、政府も負担増の前提として構造改革をやると言ったじゃないか、ちゃんとできるのか、こういうふうに言いましたが、総理の方は、法案の国会提出は確かにおくれているが、平成十二年度を目途に実施するという基本方針は変えていないということを二回にわたって答弁されました。
あるいは薬価の問題について、私が、これは厚生委員会、平成九年でありますが、価格メカニズムが生きる形での薬価の決め方について抜本的検討をやるよう厚生大臣の決意を聞きたい、こういうふうに言いました。厚生大臣、小泉大臣は、薬価の問題についても思い切って現行制度を改正したい、その際、市場取引の実勢にゆだねるという原則に立って踏み込んだ改革案を出してみたい、こういうふうに答弁をされているわけです。
しかし、残念ながら、今振り返ってみると、そういった改革は何一つ実現していないと言っても過言ではありません。これはなぜなんでしょうか。私が懸念するのは、同じことが今起きようとしているのではないか、そういう心配をしておりますから、なぜ、ではあのときはできなかったのか、そして今回はできるのか、そのことについて明確に御答弁いただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 岡田議員の質問、よく覚えています。私も、あの岡田議員の質問に対して、当時の厚生大臣としてかなり評価した上で答弁した記憶がございます。
実際やってみて、この医療関係の利害関係の調整、大変なものがあるということがわかりました。しかし、薬価制度の改定にしても診療報酬の改定にしても、言った方向は、あの当時決めた状況は基本的に正しい。それについて、我々としても努力が足りなかったなと反省しております。
何とか、あるべき改革、当時提案された方向に向けて、せっかく総理大臣に就任したわけですから、その実現に向けて全力を尽くしていきたい、御協力もお願いしたいと思います。
岡田委員 今の御発言はかなり重い発言だと私は理解をいたします。この小泉大臣がおつくりになった厚生省案、その後、いろいろな提案もありますが、基本的にそういう方向で医療制度の抜本改革を総理として進めていく、そういうふうに理解をしてよろしいですね。
小泉内閣総理大臣 そういう方向で進めていきたいと思います。
岡田委員 厚生委員会の中で、私、もう一つ聞いたことがあります。それは中医協の話です。中央協議会の話であります。結局、総額三十兆円の医療費を、これは保険料の部分と税金の部分と自己負担の部分がありますが、全体をどういうふうに分配していくかと決めるのが中医協であります。
この中医協の構成について、現在では、支払い側が八名、医療提供者側が八名、中立委員が四名という構成になっております。これはいろいろな経緯があってそうなりました。しかし、私は、これは絶対おかしい。当時も申し上げたわけですが、国民の税金あるいは保険料をどのように有効に使っていくかということを決める場が、そういった利害関係者が多数を占めているという状況は絶対におかしい、だから中立委員を過半数以上にすべきだ、そういうふうに私は主張をさせていただいたところでございます。平成九年八月二十六日の厚生委員会であります。
そのときの小泉大臣の答弁は、国民の信頼を高めていくとの観点から現在のあり方を見直していきたい、よりよい構成にしていきたいと、かなり踏み込んだ答弁をされたわけですが、ここも先ほどの答弁と同じというふうに理解してよろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 答弁は同じだと思って結構です。
岡田委員 ということは、中医協の構成の見直しに着手をするということですね。
小泉内閣総理大臣 より透明性、信頼性、中立性を高めていく意味において検討を進めるべきだという認識であります。
岡田委員 ちょっと後退したんじゃないですか。前の答弁は、よりよい構成にしていきたい、つまり構成を変えると言っているんですよ。先ほど言った人数、八人、八人、四人、構成というのはそういうことですから、それを変えるというふうにおっしゃった。ここはどうなんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、今の御意見を踏まえまして、厚生労働大臣とも相談して、どういう今よりも進んだいい方法があるか、もう少し検討の時間をいただきたいと思います。
岡田委員 今の総理の答弁に典型的にあらわれていると思いますが、詰めないと非常に前向きなことを言われますから、それで、ああ、私の意見が通ったのかなと思うと、詰めていくと、いや、もう少し時間をくださいと言う。これは決まったパターンで、よほど国会質疑は気をつけて詰めていかないと、何か表現だけでごまかされてしまったんじゃないか、そんな感じもいたします。
私は、この問題でやはり日本医師会の存在というものをどう考えるかということ、そこを避けては通れないと思います。
まず、日本医師会自身は、例えば政治献金はできない。だから日本医師連盟をつくっておられます。しかし、日本医師連盟というのは、日本医師会と同じ建物にあって、会長も同じ人、つまりダミーであります。そして、そういう中で、例えばここ三年間で約二十億ぐらいの献金が自民党に対してなされている。そういう状況の中で本当にそういった医師会の意向と違う改革ができるんだろうか。私は、小泉厚生大臣の時代にいろいろ提案されながら結局できなかったのもそこに帰着をする、こういうふうに思いますが……(発言する者あり)
我々がいろいろ言うと今のやじが出てくるのは、やはりそれだけ痛いから出てくるわけですね。自民党にとって痛い。そういう痛みを伴う改革を本当に総理はできるのか、医師会との関係を基本的にどう考えていくのか、御答弁いただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この医療改革というのは、診療側も支払い側も国民の医療、治療を受ける立場も総合的に勘案しなきゃなりませんから、医師会の役割も重要であります。しかし、医師会の言い分が全部通るわけではない。当然それぞれが支え合っていくのが社会保障制度ですから、その点も含めまして、私は、医師会の言い分は聞きますけれども、医師会の言い分が全部通ると思ったらこの改革はできませんから、支払い側の立場も考えなきゃいけません。いろいろな利害関係者は多いんですから。そういう点も含めて、私は、一特定団体に左右されないような、より公正な改革を進めていかなきゃ国民の理解は得られないと思っております。
岡田委員 もちろん、お医者さんの中にも国民の健康を本当に考える立派なお医者さんもたくさんいらっしゃいます。しかし、どうも医師会の過去の活動を見ておりますと、国民の健康のためにという観点から言っているんではなくて、自分たちの利害で言っているんじゃないかと思われる節がある。そういうものはやはりきちっと排除していかなきゃいけない。そして、プロフェッショナルとしての、国民の健康を守る立場からの意見について耳を傾けるのは当然でありますが、みずからの利益のために言っているとしたらそれは排除していく、そういう姿勢が非常に大事だと思いますが、果たしてこれだけの献金を受け取っていてそれができるのか、国民は見ています。
総理がかわったから簡単にできることじゃないと私は思いますが、もう一度総理の決意を聞かせていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは私も、厚生大臣をやってみて、簡単にできるものではないと思っていますが、この医療改革というのは社会保障制度の根幹をなすものでありますから、持続可能な制度のために、医師会の理解も求めて何とか改革に着手したい、また実現させたいと思っております。
岡田委員 私は、この点が一つ小泉総理のリトマス試験紙だというふうに思っています。どこまでできるか、そのことで小泉総理の基本的姿勢が決まるというふうに私は考えております。
時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、二時間お話をさせていただいて感じることが二つあります。
一つは、やはり具体論がない。それはまだ一カ月だからというのもわかりますけれども、しかし、やはり総理として基本的な方向をきちんと示して、その上で具体論を議論していく、その基本的方向すら余り示されなかったのは非常に残念なことであります。そのことを一つ申し上げておきたいと思います。
そして第二は、特に、きょう最初に聞きました外交であります。今の外交の状況は大変私は問題がある、つまりこの国に外交が存在していない、先ほどの外務大臣の答弁を見ていてそう思いました。これは、早急にそういう状態を正常にしていただきたい。もちろん、機密費の問題その他、官僚が問題であればそこをきちっと正していく、あるいは制度を抜本的に変えていく、そのことは大事なことであります。しかし、そのことと、今大臣と事務方が全く切れてしまって機能していないということは別の問題でありますから、そこをきちんと、総理のリーダーシップで日本に外交がきちんと機能する状態を取り戻すように御努力をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。 以上です。