定例記者会見録 2004年8月
8月31日
○橋本元総理に続き、青木議員、野中元議員を政治資金規正法違反で告発
○日歯連問題:自民党の自浄作用として、調査し解決策を提案するのは当然
○沖縄ヘリ事件:運用だけでなく地位協定自体の見直しを、自分も沖縄に行く
○迂回献金を問わないとすれば、規正法の趣旨を失わせる重大な問題
○自民党内で規正強化の議論が出ないのは組織崩壊過程の表れ
○地方議員の拡大:候補者擁立など県連単位でプランを策定することが重要
○新潟知事選:県連でまだ議論中、党本部の判断はその結論を待ってから
○党規約改正:政権戦略委、常幹の位置付け、両院総会の開催要件などを検討
青木参院議員・野中元衆院議員の告発
【代表】私からは、1つは日本歯科医師連盟疑惑について、後ほどこの会見が終了したあと、永田議員らから引き続いて会見が行われると思います。今、永田議員らは司法クラブで会見をしていると思いますが、永田さん他合計3名で、青木参議院議員と野中元衆議院議員を告発したということです。
すでに橋本元総理の告発は行っていますが、その場に同席したということで、同様に政治資金規正法の虚偽記載、ないしは不記載の罪ということで告発しました。詳細は永田議員らから説明があると思います。
私から申し上げることは、昨日もNHKのテレビで申し上げましたが、この件について、自民党の執行部、小泉総理・総裁、あるいは安倍幹事長が口を閉ざしているのは全く理解しがたいことだと思っています。
1億円の問題自身も、これは新聞報道ですが、自民党の事務局長に意見を聞いたということが伝えられていますし、それから迂回献金のほうはまさしく国民政治協会、自民党そのものの話ですから、自民党ぐるみの話と言っていいと思います。
そういったことについて、もし幹事長や総裁が知っていたとすれば、それは共犯と言いますか、自らが責任を犯しているわけですし、知らなかったというのであれば、責任を持って調べる務め、責任があると思います。
まるで他人事で済ましているのは全く理解しがたいことで、1億円の問題についても、迂回献金の問題についても、党としての責任ある対応を自民党に求めていきたいと考えています。
もちろん、次の国会で我々として当然この問題を追及しますし、あるいは政治資金規正法の改正なども提案することになるだろうと。与党の中からもそういう声が出ていますが、そういったことの前に、自らが自浄作用として、きちんと調査をし、説明責任を果たし、解決策を提案する。そういった政党として当然のことを是非求めたいと考えています。
もちろん、何度も言いますが、民主党は第三者監査、監査法人の監査を入れて、そして党の政治資金の入りと出について透明にしています。これも、そういったことを導入するにはかなりの決断が必要でしたが、政治とカネの問題、古くて新しい問題ですが、小泉さんも「改革」と言うのなら、そういったことも思い切って民主党レベルのところまではしっかりおやりになったらどうかと思っています。
沖縄米軍ヘリ問題
【代表】それから、沖縄の問題ですが、昨日、今日と、政調会長をヘッドとする調査団を派遣しています。昨日、現地で記者会見も行い、私も報告を受けていますが、例えば、事件直後の米軍と警察との関係について、前回、事故直後の民主党の調査団に対しては、そういった協議が行われる状況ではなかった、警察は事故発生日は現場の混乱で協議できない状況だったという説明でしたが、その後、13日の19時半に協議が行われたと。そして今回は、13日の15時半ごろ行ったと説明がなされたようです。
次第にそういう形で、恐らく政府といろいろ話し合いをするなかで、つじつま合わせをしているとしか思えないわけでして、事故があった直後の物言いが一番真実を表しているんであって、その後、さすがに協議が行われていないということではまずいということで、協議が行われたことにしたということではないかと思います。
本来、米軍が勝手に警察や消防を排除するとうことは出来るはずもないことで、そういう意味で、これは日米地位協定そのものの運用としても極めて問題ですし、そして従来から我が党が主張している日米地位協定そのものの見直しも迫るものだと考えています。
これから国会における委員会審議もあります。そういったことを踏まえて、我が党としての考え方をきちんと整理し、私もここ2週間の間には沖縄に行って、知事や関係者とお会いをして、我々の考えを伝え、あるいは沖縄側の考え方をお聞きしたいと考えているところです。
<質疑応答>
日歯連問題についての国会対応
【記者】日歯連の話ですが、国会対応についてどうお考えでしょうか。また、青木参議院会長ついてどういう説明責任を求めていくお考えでしょうか。
【代表】まず、国会は予算委員会や厚生労働委員会を開催するということを求めていきたいと考えています。これは恐らく、国対委員長がそういった話もすでに伝えたのではないかと思います。そういう中で、必要に応じて証人喚問ということも必要かと思います。その辺はまずは現場に任せていますので、私からは以上にしておきたいと思います。
【記者】日歯の事件に関係してなんですが、橋本派の1億円の問題について、会計責任者の立件にとどめている検察の対応、規正法の解釈についてはどのようにお考えですか。
【代表】これは今後どうなるか分かりませんので、予断を持って言うのはどうかと思いますが、いずれにしても1億円というお金が、そういった事務局だけの判断で記載しないとか、虚偽の記載をするということがなされたとは、常識では考えられないことですので、私たちはこれに対して告発をしているということです。
それから質問にはありませんが、迂回献金の問題も、このことについてもし問わないということになれば、これは合法だということになりますので、政治資金規正法が政党支部、あるいは政治家に対する献金について、多くの規正をしているなかで、国民政治協会や党本部という、ろ過装置を使えば何でも出来るということは、これは明らかに法の趣旨を失わせるものであって、そういうことをもし検察が認めたということになれば、これは重大な問題だと考えています。
政治資金規正法改正の中身
【記者】政治資金規正法の改正を次の臨時国会に提出するということでしたが、どういう中身を盛り込んだものが必要とお考えですか。
【代表】これからいろいろ議論していきますが、当然こういう事態ですから、抜け穴をふさがなければならないと思いますが、今回の問題は法律以前の問題ですね。さっきの迂回献金もそうです。
そういうものを改めないといいますか、「それが罪でない」と言うなら、罪であるようにしなければなりませんが、そういう意味での改正は当然必要だと思います。
それから不実記載、未記載についても、明らかなうっかりミスとは違うわけですから、そういうことについて、より罰則の強化も含めて、政治資金規正法の改正が必要だと思います。
ただその前に、先ほどから言ってますように、まず政党としての自浄作用、政党には政党交付金も入ってますし、多くの個人献金を含む献金が入っているわけですから、そういった多くの方から金銭的な支援、税金も含めて得ている、そういう組織である政党が、こういった訳の分からない資金の運用をやっていると。裏金とかそういったことを平然と行っているということについて、まず組織としての自浄作用をしっかり示すべきだと思っています。
前にも言ったかもしれませんが、リクルート事件のときにはまさしく政治資金についての透明化、あるいは規正の強化ということを党の中で、反対もありましたが議論をして、そして政治資金規正法の強化につながったわけですね。
今回、全くそういう議論が出て来ないというのは、私は自民党という組織がすでに崩壊過程にあることの1つの表れだと思っています。少なくとも小泉さんや安倍さんはリーダーとしてこういったことについて自ら率先して改革をしていく、少なくとも説明責任を果たす責任があると思います。
地方組織の強化と地方議員の発掘
【記者】代表は今後の衆院選に向けて、地方組織の強化が必要と言われてますが、労組などもあって幅が広がらないという指摘もあります。現実問題として乗り越えていく壁は厚いと思いますが、地方組織の強化を長期的スパンも含めてどうお考えですか。
【代表】壁は厚くありません。本人の努力が足りないだけです。ですから、それは候補者、現職も含めて、政治家によって状況は全く違いますから、自らそういう支持者の幅を広げる努力をしている政治家・候補者と、それを怠って、そして選挙のときだけ労組頼りになっている候補者・政治家と、これははっきりしてますから、そういう努力をしてない人に対してきちんと努力を促していくと。
そして候補者の中で、努力を怠っている人に対しては、それは当然差し替えも含めて必要な措置を取っていくことが必要だと思います。
【記者】地方議員の発掘についてはどうお考えですか。
【代表】地方議員の問題は、現職の議員が守りに入って、同じ党から候補者が出ることを抑制する、抑えにかかるという傾向がないわけではありません。ですからそういうことのないように、この前、原則を立てましたので、1人区ち2人区では1人、3人区以上では複数。「過半数」と言う人もいますが、いずれにしてもそういった候補者をきちんと立てていくということが重要だと思います。
私は具体的にはやはり県連単位で、そういった統一地方選に向けて、具体的プランを作って実現していくということが重要ではないかと思っています。当面、政令指定都市や都議選での選挙が予定されていますので、まずそういうところでモデルケース的にしっかりやっていくことが重要だと思います。
新潟知事選
【記者】10月の新潟知事選についてお伺いします。自民との相乗りの是非についてどうお考えですか。候補者について県連が分裂している状況ですがどうお考えですか。県連代表の推す候補者が推薦要請をしてきた場合どう対応されますか。
【代表】個別の話ですので、代表である私がコメントすることが適切かどうかという感じはします。幹事長あるいは選対委員長のレベルで、まず粗ごなしをしてもらうべきだと思いますが、最初の質問は、一般論で答えれば、それは極力相乗りではない形で選挙したほうが望ましいと思います。これは参議院選挙のときにも新潟県における記者会見で申し上げました。一般論としてはそういうことだと思います。特に、現職が退いて新しい知事が選ばれるときには、対立の構図でやったほうが望ましいと考えています。
ただ、そのときにも申し上げましたように、それぞれの選挙における事情もありますから、基本的には県連において、その基本方針の下によく議論をしてまとめていただくことのほうが望ましいと。党本部が介入する問題では基本的にはないということです。
したがって、2番目のお話ですが、現時点で県連の中で2つの意見があることは承知していますが、県連の中における議論もまだ続いていると聞いていますので、県連として意見集約をしっかりとしていただいて、党本部に上げてくると。党本部としては、それを待って判断をするといういことだと思っています。3番目の質問についても合わせて答えたつもりですが。
臨時党大会に提案する党規約改正案
【記者】今度の党大会で党規約の改正案を出す、と昨日おっしゃいましたが、具体的に、政権戦略委員会を設置する改正案、常任幹事会の議長を新設する改正案を提案するのかお聞かせください。
【代表】これは私ひとりで決める問題では必ずしもありませんので、党大会で承認事項ですし、手続きを重んじる私としては、役員会とか常任幹事会にもあらかじめかけて、その上で党大会に提案しようと思っています。したがって、今の時点では全く未定です。
しかし今、私が考えている規約改正事項として、代表直属の機関である政権戦略委員会、これは代表が委員長ですが、それを設置するということを規約にきちんと書いたらどうかと思っています。検討事項です。
常任幹事会については、今までの執行機関かあるいは議決機関かという性格が曖昧であったのを、実態に合わせて議決機関にするという性格を明確にしたうえで、その議決機関としての位置付けを明確にするために議長を置いて、今は幹事長が主宰してますから、議長をおいて、代表指名のメンバーと、一定の範囲の地域とか年齢とか期別とか、まだ決めてませんが、それを代表する人とで常任幹事会を構成すると。あるいは多数決で最終的に決定するとか、そういうことをきちんと規約に書いてはどうかというふうに思っています。これも1つの検討事項です。
その他、民主党の運営する政治スクールの設置、あるいは両院議員総会の開催要件として、一定割合の、私の改革案では3分の1と書きましたが、要請があれば議員総会を速やかに開かなければならないという規定とか、そういったところが規約改正の検討事項で、これから役員会や常任幹事会で議論していただいて、その了解を得られれば党大会に提案するということになると思います。
「透明性」というキーワードの具体的イメージ
【記者】昨日の記者会見で、透明性をキーワードにして党の運営をしていきたいとおっしゃってますが、透明性の具体的イメージをお願いします。
【代表】先ほどの常任幹事会の位置付けなどもその1つで、執行部、特に代表にこの党は強い権限を認めています。そのことは必要なことだと私は思っていますが、それに対するチェック機関としての常任幹事会の役割も明確にして、チェック・アンド・バランスで、しっかりと間違いのない党運営ができるようにするということも透明性ということの1つ、つまり運営の透明性ということですね。
それから、これまで政治資金のことは今まで進めてきましたが、例えば、インターネットを通じた広報とか、そういったことも透明性ということになると思います。そういうことをひっくるめて申し上げています。別の言葉を使えば、分かりやすさ、説明責任ということになると思います。
8月24日
○沖縄米軍ヘリ墜落事故:地位協定や基地問題等も含めPT立ち上げを指示
○中身の濃い代表3カ月間だった、参院選で自民を上回ったことは感慨深い
沖縄米軍ヘリ墜落事故
【代表】今日も役員会、常任幹事会を開きまして、特に沖縄における米軍ヘリの墜落事故の問題について、もちろん事故直後に我が党として関係者を沖縄に派遣し、そして現場を見て、あるいは関係者との意見交換などを行ってきたわけです。
そして私自身も、私の名前でベーカー大使宛て、あるいは外務大臣、防衛庁長官宛てに、民主党の考え方を抗議という形で表すために、考え方を明らかにしたものを手渡しさせていただいたところです。
ただ、その後、ヘリの運航が再開されるなど、当初考えていたよりも問題がさらに広がりを持ってきていますので、この問題はヘリの墜落事故をきっかけとして、例えば地位協定の見直しの問題、あるいは普天間基地そのものの問題、そういうことに広がりを持たせて、党内で幅広く検討しようということで、仙谷政調会長にお願いをして、プロジェクトチームの結成を、多分今日ないしは明日には、行われるものだと考えています。
私自身も沖縄に行きたいという気持ちは非常に強いんですが、代表選挙も間近に控えていますし、今週金曜日には北海道に年金の問題で行かなければなりませんので、当面沖縄に行く具体的な予定はありませんが、代わりに政調会長に行っていただこうと考えているところです。
いずれにしても、非常に重要な問題ですから、しっかりとした対応を党としてもしていきたいと考えています。
代表就任3カ月
【代表】今日が代表として最後の会見になると思われますので、3カ月経って、私自身結して望んだわけではない代表就任でしたが、その後、参議院選挙あるいは国会と、3カ月間、非常に中身の濃い3カ月を過ごしてきたと考えています。
3カ月間の評価は、私自身が何かものを言うべきではないと思いますが、党を挙げての大変な一致協力態勢の中で、選挙についても、政権交代に向けた途中のプロセスとはいえ、自民党を上回る議席という目標を達成することができたことは、非常に感慨深いものがあります。
この党のまとまりというものを大切にして、我々の国民の皆さんに対する責任である、政権交代を成し遂げていくということが非常に重要ではないかと。そのために3カ月間、充実した時間を過ごすことができたと考えているところです。
8月10日
○美浜原発事故:対策本部を設置、現地派遣など十分調査し再発防止策を検討
○地方自治体議員フォーラムを開催し活発に質疑・意見交換
○夏休みはいろんな構想を練ったり読書をしたりして鋭気を養いたい
○現職議員の支持基盤拡大、地方議員増によって民主党の足腰を強化
○憲法改正前の国際貢献のあり方について、党内論議を早くスタートさせたい
○総選挙で過半数を取れば自分が総理、常に緊張感を持って努力する必要
○代表選:立候補の意思はある、いまの挙党一致態勢はできるだけ大事にしたい
○志を持ち民主党の考え方に共鳴する候補者なら擁立、政治経歴は問わない
○アジア杯での混乱はスポーツの場として好ましくなく、日中友好の観点からも残念
美浜原発事故
【代表】まず、美浜の原発の事故についてですが、今日の常任幹事会で、対策本部を設けて党としてきちんと対応をすることを決めたところです。現地にも派遣をして、実情の把握に努めていきたと考えているところです。
今回は、現在分かっている範囲では原子力発電所に固有の問題というよりは、もう少し幅広いといいますか、原子力発電以外でも起こりうる事故ということですが、ただ、尊い人命が失われた重大な事故ですので、しっかりとした調査を行い、そういったことが再発しないように、党としても対応していきたいと考えているところです。
地方自治体議員フォーラム
【代表】それから、昨日の女性議員フォーラム、今日の地方自治体議員フォーラム、そして明日の全国幹事長会議等々、一連の会議がいま始まっています。参議院選挙の総括、そして次の総選挙の勝利に向けての方向合わせ、意思統一をする重要な場でもあると思っています。
先ほど私も、地方自治体議員フォーラムに出てまいりまして、あそこまで代表が全部答えるべきかというのは少しどうかと思いましたが、たまたま私のその講演に関する質問という形で出てまいりましたので、私のほうで、その場で幹事長、政調会長ともご相談をしたんですが、「なるべく代表がやってください」という感じだったので、お答えをさせていただきました。
非常にいい質問、それから本当に代表が答えるのかという質問、いろいろ取り混ぜてあったと思いますが、しかし、皆さん関心を持って質問していただくことは大変ありがたいと思いますので。
インフォーマルな意見交換などは、また今日もパーティーがありますし、そういう場でもまたいただければと思っています。しっかりと、いろんな皆さんのご意見をいただきながら、次の政権交代に向けて、しっかりとしたプランをつくっていかなければいけないと感じています。
それから、昨日の女性議員フォーラム、今日の地方自治体議員フォーラム、そして明日の全国幹事長会議等々、一連の会議がいま始まっています。参議院選挙の総括、そして次の総選挙の勝利に向けての方向合わせ、意思統一をする重要な場でもあると思っています。
広島と長崎の平和祈念式典
【代表】それから、広島と長崎に行ってまいりました。広島は、平和祈念式典には4〜5年前、出席をさせていただきましたので、式典に出るのは2回目。その前、前日のセミナーなどに出席したこともありますから、そういう意味では3回目と言ってもいいかもしれませんが、長崎は初めてでした。
時間が十分なくて、資料館も病院も駆け足で見ざるを得なかったのは、少し残念に思いました。次回来るときにはもう少し時間をかけて、もう一度資料館も拝見させていただきたいと話をしていたところです。
先ほどちょっと挨拶の中で申し上げましたが、高校生の皆さんが署名を一生懸命集めておられる姿は、やっぱり「若い」っていうことは素晴らしいなと改めて思いました。我々も初心を忘れることなく、しっかり核の軍縮・廃絶に向けて取り組んでいかなければならないと思っているところです。
夏休み
【代表】なかなか休みが取れなくて、どこで取ろうかと一生懸命考えているんですが、今週の土曜日は地元に戻れるのではないかと期待をしています。
日曜日には、終戦記念日ですから東京に戻りますが、土曜日1日、それからお盆の間は、3日ぐらい一応予定を空けていますので、その間、いろんな構想を練ったり、あるいは本を読んだり、そういうことで鋭気を養うことができればと思っています。
<質疑応答>
地方議員増
【記者】地方議会で議員を増やす意義と、具体的に党としてどうやって増やすんでしょうか。例えば、財政支援とかモデル地域を指定するとか、足腰を鍛えるための具体策はありますか。
【代表】先ほど申し上げましたが、「民主党は足腰が弱い」ということが言われています。今回の参議院選挙も最後の1週間、党本部としてはいろいろ最後頑張っていただけるように鼓舞したつもりですが、やっぱり何といいますか、足腰の部分が弱いと、そこの最後の頑張りがきかないわけですね。
そういう意味で、これは毎回選挙のたびに言われることですが、足腰をもっと強くしなければいけないと思っています。
今日申し上げたようにやり方は2つ。1つは小選挙区の候補者、あるいは現職を中心に、現職の国会議員が自らを支持してくれる組織をきちんとつくり上げること。私の経験ではこれは10年かかります。それをまずしっかりつくり上げることが、1つだと思います。そのためにはもっと地を這う努力をしなければなりません。
それからもう1つは、地方議員の数を増やしていくということです。地方議員の数を増やすためにどうやったら増えるか、ということですが、まず候補者を立てないと増えません。そういう意味で、今日は参議院選挙の総括の中の表現を使って申し上げましたが、1人区、2人区は必ず候補者を立てると。3人区以上は複数候補者を立てるという方針をまず、これは党の中でまだ決めていません。
今日の総括の中では出てきますが、正式決定していませんので、まず党の本部でそういう方針でいいかどうかをきちんと議論をして、その上で各県連とご相談していくと。
もちろん、なかなか立てるに立てられないところもあると思いますので、すべてというわけにはいかないと思いますが、原則としてそういったものをつくっていくことが必要ではないかと。
ただし、その際にそれは公認である必要は私は必ずしもないと思います。推薦議員あるいは他の政治団体であっても、神奈川ネットワークですとか、東京もそうですが、そういう民主党と近い存在も含めて数を増やしていくということだろうと思っています。
「増やす」と言うと、すぐ支援の話が出てきますが、それは都道府県連で行う支援と、党本部で行う支援、あるいはもちろん自前でやることが基本ですから、そういうことをトータルで考えていかなければなけない問題だと考えています。
【記者】その関連ですが、党本部が行う支援というのは何かお考えですか。
【代表】民主党ということで推薦、公認ということが1つの看板にはなるわけですね。そして、それに加えて資金的な問題をどうするかというのが課題としてあると思っています。
従来は公認した場合に都道府県、政令指定市の議員については、公認料として確か10万円出すということだったんですが、あまりにも少ないではないかと。もう少し日常的なものも含めて見るべきだという、当然のことながらそういう意見が地方議員の皆さんからは来ています。
それに対して、自民党も含めてそういう例はあまりないのではないかと。少なくとも都道府県連レベルで期待すべき話ではないかという声もあります。その辺の議論の整理はこれからです。
憲法・安全保障の党内論議
【記者】安全保障についての党内の論議の進め方ですが、憲法改正前の国際貢献のあり方について、論議は早いほうがいいという認識を代表は示していましたが、代表選挙が近づくなかで進めるペース、あるいは政調に委ねる形になるのか、改めてお考えをお聞かせください。
【代表】基本的には政策ですから、政調で議論すべき話だと思います。政調というよりは『次の内閣』ですね。今日も政調会長には早くスタートしていただきたいということを申し上げたところです。
あるべき総理像に向かって
【記者】昨日の女性議員フォーラムの講演の中で、まず代表がしっかりしなければいけない、という趣旨で、総選挙に勝てば総理大臣なんだから、という趣旨の発言があったと思います。代表はこれまで、代表就任時ですとか、参院選の後とか、総理大臣になるまで、代表自身が考える総理像のようなものがあるので、少しずつ考えていきたいとおっしゃっていましたが、この辺の考えが変わったのかな、総理になる意欲が出てこられたのかなと思ったのですが、その辺りのお考えをお聞かせください。
【代表】私は一般論として申し上げたのですが、例えば、いま解散・総選挙があれば、そして民主党が単独過半数を制すれば、私が総理大臣になるわけですから、そういう意味では常に緊張感を持って、あるべき総理大臣像に向かって努力しなければいけないということだと思います。
【記者】それを急がなければいけないというお考えはあるのでしょうか。いつ総選挙があるか分からないわけですから。
【代表】まず9月13日までは急いで目指さなければいけないですよね。13日以降のことは代表選挙の結果決まることですから。それはそのときに対応すればいいことだと思います。
代表選挙への取り組み
【記者】代表選の告示が20日後となりましたが、代表自身の今後の取り組みと、いまのお考えをお聞かせください。
【代表】私自身に立候補の意思があるということは、すでに参院選の開票日に申し上げたとおりです。私が代表となって、参院選でマニフェストを掲げて戦った以上、私には責任が生じていると思います。私自身が引き続き代表を務めるなかで、国民の期待に応えていかなければいけないと思っています。
ただ、もちろん代表選挙というルールがありますから、正式にはそれは代表選挙で結果が出てからの話でして、それまでは少し控えめに物事を申し上げているところです。
代表選挙に向かう姿勢ですが、やはり党の中で、前回、皆さんが一致して推していただきました。いろんな経緯があるにせよですね。できればそういう挙党一致で、ということは大事にしたい。できるだけ大事にしたいと思っています。
ただ、一方でルールがありますから、出てこられれば選挙に当然なるわけで、そのことを回避するつもりはありませんが、そういった前回の形というものは、「民主党がいままでになくまとまってきた」と言われているわけですから、そういうものはできるだけ大切にしたいと思って、少し時間をかけて、いま進めているところです。
自身の政策の深化
【記者】挙党一致を取り付けるためには、岡田代表の安全保障とか経済とかそういう政策を、「マニフェストに書いてあるから読んでくれ」と言うのかもしれませんが、そういったものを具体的に示すことが必要かと思いますが、そういうプロセスというのはどのようにお考えですか。
【代表】この前、参議院選挙をやったばっかりなんですね、実は。そこでマニフェストも示して選挙をやっています。そこに党についての考え方も示してあります。
そういう意味で、私はかなりそこで方向性が出さていると思いますが、最終的に30日に向けて、あるいは投票日13日に向けて、そういうものもさらに掘り下げていかなければいけないと考えています。
「自民党系」無所属候補の擁立
【記者】次の総選挙に向けて、ということで話をされていましたが、候補者の擁立に、今回の参院選でもそうですが、無所属のいわゆる自民党系の人を、民主党がある種支援して上手くいった例が、高知とか宮崎とかありましたが、こういう候補者の擁立の仕方、自民党系ではあるけれども、民主党の考え方に賛同してくれる方であれば、積極的に発掘して、スカウトして、支援していくことになるのでしょうか。
【代表】まず「自民党系」という定義がはっきりしないですよね。ですから、高知も宮崎も県会議員のときに、そういう自民党系であった事実はありますが、自民党の候補者と戦う形でやっているわけで、定義自体が少し曖昧だと思います。
私はどういう経歴であっても、その候補者が政治家としての志を持ち、民主党の考え方に共鳴してもらえるということであれば、それは過去のことにこだわらずに、候補者として擁立していくべきだと考えています。
ただ、民主党の中でしっかり一緒になって政権を取っていくんだという、そういう気持ちは持っていただかないと、単に自民党が埋まっているからというような発想では、これは困ります。
中国大使との会談
【記者】今日午前中に、中国の武大偉大使と会談されていますが、そこでのやりとりと、サッカーの話題は出たんでしょうか。
【代表】武大使が大使を退くにあたってご挨拶に来られました。そのやりとりはブリーフを終えていますので、そこで確認していただきたいと思います。
ただ、サッカーの問題は当然出ました。というより、私どものほうから出して、「スポーツの場としては、これは好ましくない」ということは申し上げておきました。公使の車が傷つけられたということもありましたので、そういうことも含めて、「日中友好という観点から見ても残念な事件である」ということは申し上げておきました。
8月3日
○年金、政治とカネ等について代表質問、ボールを投げたが全く反応なし
○共和・民主両党の要人との面会、民主党大会への出席など意義ある訪米
○党首討論の充実など国会審議のあり方について取りまとめを指示
○国連待機部隊など現憲法下での安保方針について速やかに議論を進める
○知事選等の相乗り:一義的には県連の判断だが、選択肢を示すのが原則
衆議院本会議代表質問
【代表】昨日、私の代表質問の後に少し申し上げましたが、国会もいよいよ審議が始まりまして、昨日は25分間代表質問をいたしまいた。基本的な点について、もう一度おさらいするという感じで、しっかり民主党の主張を述べて、そしてその上で、政府の、小泉総理の答弁を求めると。批判だけにならないように、いろんな、こちらの考え方や提案も含めて質問をしたつもりです。しかし、答えの方はいつものことながら、という感じで新しい話はありませんでした。
私自身が特に申し上げたかったことは、1つは年金法について、我々の出した廃止法案を本当に採決で否決するだけでいいんですかと。ここは日本国総理大臣として大きな判断がいるんじゃないかと。
つまり、8割の国民が「このままではいかん」と言っているときに、それを単純に否定するということで責任を果たしたことになるんですかと申し上げましたが、これに対して心のこもった答弁はありませんでした。
そしてもう1つは、政治とカネの問題について、これも、もしリクルート事件のときに、自民党が中で自浄作用を発揮して、政治資金制度や選挙制度について改正をしたように、今回もしっかりとしたそういう対応をするんであれば、そのことについて協力はしますよということを申し上げたわけです。
ある新聞はそれを「皮肉っぽく」と書いていましたが、私は皮肉を込めたわけではなくて、真摯な気持ちで十数年前を思いだしながらそういうことを申し上げたわけです。しかし、これについては答弁はありませんでした。そういう意味では大変残念なやり取りであったと思っています。
こちらとしてはいくつかボールを投げたつもりでしたので、それに対して全く反応がなかったということです。
あと、国会のほうは、今日参議院での代表質問に続いて、明日は衆議院厚生労働委員会始め関係委員会で年金廃止法案の審議が行われます。1日だけということですが、私もできるだけ傍聴して、特に民主党の質問者のときには後ろの席で応援したいと考えています。
この国会が終われば即座に外に出て、次の国会に向けて年金の問題についてはさらに議論喚起をしていくということが非常に大事になるだろうと思います。これで終わりにしてはいけないと感じています。
訪米を終えて
【代表】それから訪米の件は、今日も役員会では少しご報告をいたしましたが、今回の訪米は、1つはケリー政権が仮に成立した場合には、そこで重要な役割を果たすであろう、そういった人々と事前に会っておくということは非常に意味のあることだということで、そもそも企画をしたものです。
あわせて、民主党大会にも出て来ようということです。民主党大会は出て本当によかったと思います。やっぱり国民と政治が一体となっているということが実感できました。民主主義の原点ここにあり、という感じを強く受けましたので、これは日本にも何か活用できるところがあるんではないか、と思っています。
ベーカー大使から事前に、「会うのなら野党の代表ではなくて、日本のリーダーの1人として会ってもらいたいと」。そういう意味で、「民主党だけでなくて共和党や政府の関係者ともしっかり意見交換をしてもらいたい」ということでありましたので、スコウクロフト元大統領補佐官ですとか、あるいはアーミテージ国務副長官ですとか、ハドレー大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)ですとか、そういった人たちと意見交換をしてまいりました。
これは「誰が」ということではありませんが、その中の1人からは、「いろいろ野党の代表と会うということについては、議論もあったが、しかし例えばイギリスの野党の代表が来れば、アメリカの政府の人間はもちろん当然会うと。それと同じであるというふうに判断して、今回会うことにした」という話がありました。
やっぱり二大政党ということが、アメリカ政府からもそういうふうに受け止められているんだなと感じた次第です。非常にいい意見交換ができたと思いますし、私のメッセージ、「アメリカは抜きん出て強い国であるが故に、謙虚さや寛容さが求められる」ということは、これはスコウクロフトさんなんかとはお互い共鳴しあった部分だと思いますが、あるいはイラク問題に対する我々の考え方もしっかり述べることもできましたので、非常に意義のある3日間といいますか4日間といいますか、アメリカ訪問ではなかったかと感じています。
できれば毎年来てもらいたいという話も、私が講演したウッドロウ・ウィルソンセンターでの発言の中はありました。また機会をみて是非訪米をしたいと考えています。
<質疑応答>
与野党国対委員長の海外視察
【記者】与党の国対委員長と川端国対委員長が、夏に揃って外遊されることが決まったそうですが、これについてのご所見をいただけますか。
【代表】私がそれについてコメントする立場にはないと思いますが、たまたま野党のほうが、従来であれば他の野党もということであったんだと思いますが、今回人数が減ったことによって、毎年やっていた国対委員長の外遊といいますか、海外視察が3人になったということだと理解しています。
【記者】党内から批判が出てくる可能性もあると思いますが。
【代表】私自身、そういう批判があるとは聞いていませんが、少なくとも代表が何かコメントする話ではないと思います。
党首討論など国会審議のあり方
【記者】今日の役員会で、党首討論のあり方について議論があったと聞いています。今まで与党側の逃げ口上は、「総理は他の委員会で出ているから」というのが多かったわけですが、他の委員会ではなくて、党首討論の意味について代表の意見を伺いたいのと、定例化を求めるにあたって、他の委員会での総理出席要求を自粛するようなこともあり得るのか、ご所見をお願いします。
【代表】これはこれからの問題ですね。今日、むしろ私がこの点問題提起したんですが、通常国会終わりまして、今は国会中ですが、次の秋の長い国会に向けて。党首討論というのはそもそもかなりの志をもってスタートしたものなんですね。定期的に、できれば毎週やりましょうと。イギリスをモデルにしてやりましょうと。
しかし、前通常国会では1回か2回しかやっていません。ほとんど制度として火が絶えつつあるという状況ですね。やはり、もう少しきちんと位置付けたほうがいいのではないかと、かなり国会の中心的なものとして位置付けたほうがいいのではないかと私申し上げました。
その際、それに伴って与党もいろいろご主張もあるでしょうから、まず我が党としての考え方をまとめて、そして他の野党の意見もあるでしょうが、そういうものも踏まえて、与党と交渉してみたらどうかと、そのたたき台を作ってみてくださいと申し上げました。
ただ、これは党首討論だけではなくて、例えば今回、他の野党の数が非常に減ったことによって、党首討論も今までのルールのままだと民主党だけだということになりかねません。それからいろんな他の委員会も含めて、他の野党の理事がオブザーバーでも出せないとか、いろんなことがありますので、もう一度きちんちとそういったことも総ざらいして、どういった国会のやり方がいいのか、少し案を練ってみてくださいと申し上げました。
国会を開く以上、それが国民に伝わる国会でなければいけませんので、そういった観点で今日申し上げたところです。中身はこれからです。
代表選挙のあり方
【記者】今日の役員会で代表選の日程が固まりましたが、改めて今現在の代表の選挙に対する所信をお聞かせください。
【代表】代表選挙の日程を決めるのは常任幹事会ですが、今日はこれからですので、日程が固まったとは言えないと思います。
憲法と安全保障/国連待機部隊構想
【記者】安全保障についてお伺いします。憲法改正前の話なんですが、代表は「これから議論すればいい」と言っていますが、目途としていつまでに中間報告というか、形として決めたほうがいいというお考えなのでしょうか。また、国連待機部隊について小沢さん(当時代表代行)と横路さん(当時副代表)が合意したことで「極めて重いと思う」という発言があったようですが、これは国連待機部隊構想を党の考え方として採用する方向で考えるということでよろしいのでしょうか。
【代表】「極めて重い」という発言は今回だけではなくて、従来から申し上げてきたことです。そして、仙谷さんが政調会長になって2〜3日経ったあとだと思いますが、とにかく代表代行と副代表が合意した構想、考え方ですから、「早く党の中でこれを議論してもらいたい」ということをお願いしてありました。
しかし、その後参議院選挙などありましたので、少し延びていたわけですが、今日改めて仙谷政調会長に、「早く議論を始めてもらいたい」ということを申し上げたところです。関係の部門で議論されることになると思います。
私は極めて重いと考えていますが、それ以上でもそれ以下でもありません。党でこれから議論するときに、代表が「こうだ」と言うような性格のことではありませんので、しっかり議論してもらったらいいと考えています。
知事選・政令市長選の与野党相乗り
【記者】地方選挙、特に知事選、政令市長選挙についてお聞きしたいのですが、衆院選、参院選を受けて二大政党化が進行したということで、従来、相乗りということも認めてきたと思いますが、二大政党化を受けて基本的に相乗りはやらないという方向でお考えなのか、従来と変わらないというお考えなのか、改めてお考えをお願いします。
【代表】これは党の中でまとまった議論をしたことはないですね。と言うか結論を得ているわけではありません。
ただ、私自身は基本的には相乗りはないほうがいいという持論の持ち主です。今から9年前に、皆が、連合も当時の新進党所属国会議員全員が反対するなかで、北川正恭さんを(三重県知事選挙に)担ぎ出した経緯の持ち主ですので、その時は当時の社会党も含めてオール与党態勢で前副知事を担ごうというのに対して、県民に選択肢を示すべきだということで、誰か出すべきだという論陣を張って、結果的にそういうことになりました。
新進対自民・社会、みたいな感じになったんですが。基本的にはそういう形が、特に現職でない、現職が引退して新人同士が戦うような場合には、そういう形が望ましいと、原則論としてはそう思っています。
ただ、これはそれぞれの地域地域の事情もありますので、あんまり本部が押し付ける話ではないんじゃないかとも思います。それから自治体の長は、選挙のとき一生懸命やるんですが、通ってしまうとニュートラルになるというか、民主党が一生懸命応援して当選しても、そのまま民主党の考え方を踏襲してくれる場合と、やっぱり首長になると与党のほうも向かざるを得なくなって、やや曖昧になるケースといろいろありますので、あんまりこれ四角四面に杓子定規に考えないほうがいいんだろうと。
そういう意味では、私は都道府県連の一義的な判断に委ねたらいいんではないかと。ただ、原則論はと言われれば、それはなるべく選択肢を示したほうがいいと。こういうことだと思っています。すごく犠牲を払う割には、あんまり得るところが少ないという感じもしないでもないですけどね。