トピックス

2005.06.30|その他

定例記者会見録 2005年6月

6月28日

○都議選:各選挙区を回り手応えを感じている、民主の存在感を出して戦っていく

○サラリーマン増税対策本部:物事には順序がある、まずは徹底的な歳出改革を

○歳出削減は抽象的、負担増は具体的というのが今の政府の姿勢

○天皇陛下のサイパン慰霊:大変重く素晴らしいおことば、非常に有益な旅だった

○戦後60年:悲惨で愚かな戦争だった、そこに至った原因、責任の所在等の解明を

○武部発言:都議選が終わるまで増税を隠し、国民から目をそらしたいという表れ

○安保政策:イデオロギーで何でも反対ではなく、具体的中身で議論している

○郵政法案:修正しないと断言した総理が最後に妥協すれば国民に嘘を言ったことに

○相互信頼に基づく率直な意見交換が重要だが中国は日本の国民感情にも配慮を

○街頭演説で改革の遅れの一例として郵政に触れても聴衆の反応はほとんどない

都議選

【代表】1つは都議選であります。

3日の投票日に向けて、我が党も川端幹事長や藤井代表代行、もちろん私も、連日回っていますが、それぞれ候補者、あるいはそれぞれの支部長を中心に、しっかり頑張っていただいていると思っています。有権者からもかなり手応えを感じていますので、是非投票率が上がり、そして民主党が都議会でリーダーシップを発揮できるだけの議席が獲得できるよう、さらに頑張っていきたいと考えています。

もう後半戦ということでありますので、大体主なところは私自身も、各選挙区、候補者の所を回りましたが、2回目あるいは3回目ということになります。しっかりと民主党の存在感を出して戦っていきたいと考えています。

サラリーマン増税

【代表】2番目ですが、お手元に資料をお配りさせていただきましたが、「サラリーマン増税対策本部」を設置することにしました。今の予定では明後日、第1回を開催する予定であります。

政府税制調査会が所得税の大増税プランのメニューを出しまして、今のこういう時期、私は小泉総理の発言を思い出すわけですが、「なぜ消費税について検討しないのか」と国会で質したところ、小泉総理の返事は、「消費税の議論を始めると、歳出削減の手が緩むからだ」とおっしゃったわけです。では所得税はどうなのかと申し上げたいと思います。

私自身も街頭演説などで申し上げていますように、将来、今の財政の状況を見たときに、次の世代にあまりにも多くの借金を先送りしないという意味において、負担増をお願いすることが出てくるということは率直に申し上げています。しかし、物事には順序があるわけで、まずは歳出構造改革を徹底的に行ったうえで、次の段階が国民に対するお願いということだと思っています。

歳出構造改革というときに、1つは無駄遣いをいかになくしていくかということで、これは我が党の長妻昭議員を始め若い議員の皆さんが予算委員会あるいはその他の委員会で個別に取り上げているところであります。社会保険庁を始め特殊法人等の無駄遣いについて、我々が指摘したことについては、それなりの対応を政府は迫られるわけですが、本当はその数倍、あるいは十数倍、それ以上の無駄遣いがあるはずで、そこに対してしっかりとメスを入れることが重要だと思っています。

も2番目は、いわゆる構造的なもので、談合の問題であります。道路公団の談合については連日報じられているところですが、そもそも我々は「官製談合防止法案」を出したにもかかわらず、それが実現していないということは、与党側があまりにも熱心でなかった結果そのようになっているわけであります。

こうした事態が出てきたこと、あるいは道路公団だけでなく、より幅広く官も関与した談合が行われている、その疑いが濃厚な中で、そのことに対してしっかりメスを入れない与党の姿勢は、メスを入れたら困るという事情があるのではないかということを推測させるに十分であります。官製談合によって利益を得ている政治家がいると言われても仕方ないと思っています。

そして、歳出構造改革の3番目は、例えば公共事業について、どのようなタイムスパンの中で欧米並みの水準に減らしていくのかとか、あるいは公務員人件費について具体的な削減プランをしっかり出すことなど、そうしたことが問われるわけであります。

この点も、先の政府の「骨太の方針」の中でも極めて抽象的であって、歳出を削減することについては抽象的、そして負担増を求めることについては具体的というのが、今の政府の姿勢であることは明らかであります。

そうしたことに対して、まず歳出削減、歳出構造改革が先であるということを、党として明確にする。そしてサラリーマン増税に対して、しっかりとした歯止めを入れるという趣旨でこの対策本部を設置したわけであります。

天皇陛下のサイパン慰霊

【代表】そして3番目ですが、天皇陛下がサイパンへお出かけになり、戦没者慰霊の気持ちの表現をされました。先の大戦において命を失ったすべての人々を追悼し、遺族が歩んできた苦難の道を忍び、世界の平和を祈りたいというおことばは、大変重いものであり、素晴らしいメッセージ発信を陛下はされたと思っています。海外への戦没者を慰霊するのは初めてということでありますが、非常に有益な旅であったと考えています。

改めて感じることは、サイパンはバンザイクリフでも有名でありますが、日本の軍人・軍属で4万3000人、そして民間人で1万2000人、その他、米軍で3500人、サイパン住民で930人という激戦地の1つでありますが、やはり私が思うのは、その中で特に民間人が1万2000人もいるということで、先の戦争、私は悲惨で愚かな戦争だったと思いますが、そのことを象徴するのがバンザイクリフではないかと思っています。

一般人の犠牲は国内でも沖縄戦、あるいは広島・長崎の原爆、東京大空襲を始め各地の空襲、そうした各地で80万人を超える一般の方々、特に女性、子どもたちが命を落としたわけであります。そして、兵士のほうも戦って命を落とした兵士だけでなく、実はその多くが病気や飢えで亡くなり、あるいは武器もないなかで死を迎えたということであります。その意味でも私は悲惨で愚かな戦争だったと考えています。

そうした戦争に至ったことについての解明といいますか、本来その責任者に対して日本としてきちんと責任を問うていないということは誠に残念なことでありまして、民主党としても藤井代表代行を会長とする「日本の近現代史調査会」を設けたのもその趣旨で、なぜ、どこで間違ったのかを中心にしっかりと総括したいと。これは終戦60周年にあたって、そのように考えています。

<質疑応答>

都議選前の政府税調増税案提示

【記者】】サラリーマン増税対策本部の関係ですが、今日初めて伺って、やや唐突なイメージがあるのですが、今日、連合やその他団体から申し入れがあったのか、もしあれば教えてください。

【代表】特にありません。

【記者】武部・自民党幹事長が先日の記者会見で、この都議選の前の時期にこのような案を出すということについては政治的なセンスを疑うという発言が一部報道されていますが、この点についてはどのように見ていますか。

【代表】それは政府税調と自民党の間の問題ですから、私が特にコメントすることはありません。

ただ、政府の中でこういった検討を具体的に行っていることは事実ですから、武部幹事長の話は選挙が終わるまで隠しておくべきだったという話ですから、それ自身が国民からなるべく目をそらして選挙をしたいということの1つの表れに過ぎないと思っています。

安全保障政策への民主党の対応

【記者】】少しアップ・トゥ・デートな話題でなくて恐縮ですが、安全保障の点でお願いします。ここ数年、従来なら与野党対決型になりがちだった安全保障関係の法案で、政府案を修正したうえで賛成に転じたり、あるいは緊急事態基本法のような形で、与党側に民主党から提案するという、与野党協調的な路線というのが出てきているように思うのですが、そのことについて代表はどのようにお考えかということと、もう1点は、その動きについて民主党内で、与党べったりではないかというような批判的な意見もある点について、代表はどのようにお考えか、2点お願いいたします。

【代表】従来の安全保障の議論は、イデオロギー対立ですべて反対という立場で対決姿勢を示してきたということだと思います。しかし、我々はイデオロギーで対立しているわけではないので、具体的中身で議論するということです。

ただ、だからといって我々が安全保障関係の法案についてかなり賛成しているかといえば、結果はそうではないのです。ですから我々が具体的な修正要求を申し入れて、それが十分でないという理由で反対しているケースも多いと思います。安全保障の問題について、イデオロギー的に入口でも反対してしまうというのではなく、具体的中身についてしっかりと議論するという姿勢は必要なことだと思っています。

党内に批判があるというお話ですが、私はあまりそれは承知していません。というのは、それほどべったり何でも賛成しているということは全く事実に反しますので、中身をしっかり議論するという姿勢は、党の中でも評価されていると考えています。

郵政民営化法案

【記者】郵政民営化関連法案ですが、今、自民党内で修正の動きがここにきて活発に出てきていますが、この小泉総理が一方で修正しないと言いながら自民党執行部としては修正を模索するという、いつものちょっとしたゴタゴタという感じはあるのですが、これについて代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】まず、委員会で審議しながら政府・与党が対立して、政府が提出した法案について修正の議論をしているということは、極めて異常なことであって遺憾だと思います。何のために審議しているのか分からない、形だけ国会で審議して、実は陰でこそこそと妥協案を探っているということは、正常な民主主義の姿とは言えません。

小泉総理は「修正しない」と断言されたと聞いていますが、おっしゃった以上、修正せずに最後まで貫かれたらいいのではないかと思います。これで最後妥協するということになれば、小泉総理は結局、国民に嘘を言ったということになると思います。

【記者】自民党執行部としては都議選投票日前の委員会採決ということも目指す考えですが、民主党としては当然、審議は尽くされていないという考えなのでしょうか。

【代表】当然です。もともと約束していた日程もまだ十分こなしていませんし、修正するとか、法文修正までいかなくてもいろいろな新たな解釈が出てくるということになれば、それを基にして、また国会できちんと審議することは当然で、その審議を飛ばしてしまったら、まさしく国会が形骸化すると思います。したがって、十分な審議が必要だと思っています。

中国訪問

【記者】公式発表はまだですが、7月に代表が訪中を予定しているとのことですが、この時期に行ってどのようなことを中国側に民主党として訴えていくのか、どのような話合いにしたいか、お聞かせください。

【代表】訪中は正式に発表しているわけではありませんので、コメントは控えたいと思います。

ただ、先般も中国の戴秉国(タイ・ヘイコク)外交部筆頭副部長が来られました。相手方が何を言ったかは私は言わないことにしていますが、その時にも私が申し上げたのは、日本の国民感情も十分理解してもらわないと困る、ということを申し上げました。大使館に石を投げるような映像が何回も日本国内で報道されていますので、そのような違法なことに対しては、きちんと謝罪すべきであると。

もう1つは、国連の常任理事国入りの問題について、中国が表立って反対運動を展開しているように見られることは、日中の将来関係にとって大きなしこりになる可能性があると。そうした点について、日本の国民感情に十分配慮した対応をしてもらいたいと申し上げたところであります。

いろいろな問題が日中間にありますが、率直に意見交換することは重要だと思っています。もちろんその前提は、お互いがお互いを必要していると。相互の信頼関係を持ったうえで率直な意見交換、ということが重要なことだと思っています。

都議選後半戦のアピールポイント

【記者】都議選後半戦に入ったということで、代表の街頭演説を聴いていると、最初は第1段目に郵政批判が出たと思いましたが、最近は増税反対を最初に持ってきていると思うのですが、後半戦はこの問題を主にアピールしていくというお考えでしょうか。

【代表】私が演説で話す最初は、小泉内閣4年間の総括、つまり改革は全く見かけ倒れであるということです。2番目に、そういう中で増税案が出てきたと。そして増税案の前に、順序があるでしょう、しっかりと歳出構造改革を行って、(増税は)その上での話ではないかと、そういうことを申し上げているわけです。

郵政の話は、道路公団民営化と並んで、改革が進んでいないことの一例として申し上げることもあるのですが、ほとんど反応がないのですよね、郵政の民営化は(笑)。限られた時間の中で申し上げることとしては、時間によっては言わないこともあります。もうちょっと関心があるかと思いきや、ほとんど反応はありません。

【記者】増税についての街頭の方々の反応はどうですか。

【代表】反応はあると思います。やはりあれだけの大きな増税のプランが出てきましたので、それに対しては、「冗談じゃない」という気持ちは多くの都民が持っていると思っています。

もちろん、私は演説するときに必ず「今の財政状況を考えれば、将来、こうした国債を大量に出すということは続けられないので、やがて負担増ということはお願いする時期は来ると思う」ということは申し上げたうえで、「しかし順序が違う」と。「まずやるべきことは……」ということで、先ほど申し上げたようなことを話しています。

6月21日

○国会延長が決まった以上しっかり議論して議員・政党としての責任を果たす

○日韓会談:靖国参拝を説得できなかった失敗を真摯に受け止めて政治決断を

○都議選が今週告示、1人でも多くの当選を目指してしっかりと頑張る

○第5回インターネット政策公募を開始:過去1900件の公募、31本の議員立法

○決算委:日韓首脳会談、年金、子育て支援について骨太の議論をしたい

○靖国参拝は外国に言われてやめるというのではなく、総理自身の大きな判断を

○懲罰動議:自民党に確認を求めたがしなかった、動議乱発で相殺しようとの古い手法

○郵政反対派:最終場面で行動に移せなければ有権者に嘘をついたことになる

○都議選:マニフェストを中心に都政上の課題をしっかりと取り上げていく

○何のために都議会は存在するのか、都知事に対しアクセルとブレーキを

○野党第一党党首が外国要人と会う意義:相手国トップは関心を示してくれている

延長国会の対応

【代表】今日は冒頭5つほど、細かい話も含めて申し上げたいと思います。

第1は、国会の延長が先週末に決まりまして、我々は延長に反対したわけでありますが、決まった以上は55日間、正確には月曜日が終わっていますので54日間ですが、しっかりとした議論を行い、国会議員としての責任、政党としての野党第一党、政権準備党としての責任を果たしていきたいと思っています。

課題はもちろん、郵政民営化は1つの大きな課題ですが、その他にも多くの課題を積み残しています。「政治とカネ」の問題、政治資金規正法改正の問題もあります。あるいは年金を中心とする社会保障制度の協議の問題も、ほとんど止まった状況で、入口で留まっていると思います。その他、外交関係等、多くの課題についてしっかりとした議論を行っていきたいと思っています。

法案としても、重要法案がいくつか残っているところであります。

日韓首脳会談

【代表】2番目ですが、日韓首脳会談が昨日行われました。事務方で合意したペーパーについて10分ほど確認したようですが、その他は食事の時間2時間も含めて、歴史認識の問題を中心に議論がなされたと聞いています。

しかし、合意されたものは何もないと。事務方があらかじめ合意したもの以外に合意されたことは何もないということでありますから、そういう意味では、(首脳会談を)続けたことに意味はあったし、次回開こうということを確認したことには意味があったかもしれませんが、それ以上の何物でもないというふうに思います。

靖国が問題の核心であるという趣旨の発言が盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領からあったようでありますが、結局、総理は靖国に行くことは恒久平和を祈念して行くのであって、歴史の歯車を逆戻りさせることではないということについて、相手を説得できなかったわけであります。

説得できないという前提に立ったときに、ではどうするのかと。日韓関係このまま放置しておいていいのかといえば、もちろんそうではありません。説得に失敗した以上は、選択肢としては、私が前回の予算委員会で申し上げたように、靖国参拝を自らの判断で行かないことにするのか、あるいはご自身が総理を辞めるのかという選択肢しか残っていないように、私には思われます。

いずれにしても、総理が今回の説得の失敗というものを真摯に受け止め、これは他人事ではありません、真摯に受け止めて、日韓関係を改善するための政治決断が求められていると思っています。

その他、いろいろな具体的課題が日韓間であるにもかかわらず、ほとんど言いっ放しに終わって、何らの合意にも至っていない。6カ国協議の問題やFTAの問題、あるいは常任理事国入りの問題に至っては議論すらしていないようであります。現実に現在の日韓関係が正常でないことによって、多くの国の利益、国民の利益が失われているという現実を、総理はもっと真剣に受け止めるべきだと思っています。

都議選

【代表】それから、都議選が今週から始まるわけで、すでに前哨戦が活発に始まっていますが、私も連日、今日も含めて、候補者の皆さんの応援に回っています。51人という候補者の擁立をし、それ以外に推薦7人ということで、合わせると58人ということであります。1人でも多くの当選を目指して、しっかりと頑張っていかなければならないと思います。

今日も常任幹事会で、直接の責任者である総支部長、そして東京都連、党本部、この3者が一体となって、しっかりやりましょうということを確認させていただきました。私も都議選対策本部長として先頭に立って、しっかりと頑張っていきたいと思っています。

インターネット政策公募

【代表】4番目ですが、これは実務的な話ですが、お手元の資料のように、明日から「第5回インターネット政策公募」を始めるわけです。

これは私が政調会長のときにアイディアを出して実現したもので、だいぶ回を重ねるに従って、今まで合計1900件を超える応募をいただき、議員立法の法案化も31件ということで、成果を出してきました。マニフェストに書き込まれたものもあります。

今回も国民の皆さん、市民の皆さんから積極的な提案をいただき、それを法案化する。政権を取れば具体化する。新しいやり方でありますが、力を尽くしていきたいと思っています。

決算行政監視委員会質疑

【代表】最後ですが、明日、決算行政監視委員会で私は45分間質問する予定でいますが、項目としては3つ。1つは日韓首脳会談、2番目が年金協議のあり方、そして3番目が子育て支援の具体策という3点について、総理と議論したいと考えています。

党首討論と基本的には同じ構図であります。総理以外に答弁を求めませんので、あまり細かい話をするつもりはありませんが、総理としっかりと骨太の議論をしたいと思っています。

それから、前回の予算委員会で見られたことですが、総理の逆質問というのが前回かなりありました。私は、これは歓迎するところであります。

もちろん、自分の聞かれたことに答えないで逆質問することは論外だし、時間稼ぎのための逆質問には私は答えませんが、しかし議論を深めるための逆質問であれば、それは大いに歓迎するところであって、党首間ですからそうした場面も当然あっていいと。お互いにしっかりした議論をすることが重要であると思っていますので、実のある議論をできれば行いたいと考えています。

<質疑応答>

都議選の目標議席

【記者】都議選の関係ですが、1人でも多くの当選を目指して頑張るということですが、具体的に獲得議席数についてどのようにお考えでしょうか。

【代表】これは選挙ですから、やってみないと分かりません。1人でも多くの議席を得たい。全力を尽くしたいと思っています。

決算委—-靖国参拝

【記者】確認ですが、明日の決算委員会の質問で、日韓首脳会談の質疑をする際には、先ほど代表が言ったように、靖国参拝について自らの意思で参拝をやめるべきだということを改めておっしゃるのでしょうか。

【代表】具体的な質疑の中身はいま申し上げることはしません。ただ私は、これは日韓首脳会談の結果としてやめるべきだと言うつもりはありません。日韓の関係、あるいはアジアの中での日本の関係の中で、総理がご自身の判断で、日本国総理大臣として大きな判断をすべきだという趣旨で初めから申し上げているところであります。外国の政府に言われたからやめるという立場には立つべきでないということは、私の一貫した主張であります。

酒気帯び懲罰動議

【記者】酒気帯びで議員が衆議院本会議に出席したとされる問題ですが、自民と民主合わせて18人に及ぶ懲罰動議の対象者が出ましたが、これについて、党の今後の取扱いについてはどのようになるんでしょうか。

【代表】18人全部が酒気帯びで(動議の対象に)なったわけではないのです。(我が党の)吉田治議員などは、そういう理由では懲罰動議の対象になっているわけではありません。

私に言わせると、明らかに(自民党の)秋葉議員は真っ赤な顔をしていたことは間違いない事実であります。そして議場で、森前総理、小泉総理もそうではないかということを、我が党の議運(議院運営委員会)が確認を求めて、自民党は確認すると言いながら、結局、確認作業は今津議員だけ行って、前総理、現総理には確認作業を行わなかったという経緯です。そういう中で、突然、民主党に対して懲罰動議を出してきた。

そうした形でお互いが懲罰動議を乱発しあう形にすれば、この問題が相殺されるというか、立ち消えになってしまうことを狙ったもので、やり方としては極めて古い手法だと思います。

しかし、少なくとも1人は赤い顔をして、議場を退場したという事実は残りますから、そうしたことに対してどのように考えているのかということは、問題として残ると思っています。

決算委—-酒気帯び道議、子育て支援

【記者】いまの酒気帯びの問題を明日の決算委員会で触れるおつもりがあるのかということと、子育て支援について取り上げられるということですが、どのような視点で取り上げるお考えでしょうか。

【代表】質問の中身は申し上げるつもりはありませんが、基本的に民主党の政策に沿って、考え方を示しながら議論したいと思っています。

酒気帯びの話は議運で議論しているところですから、決算委員会で取り上げることは恐らくなかろうと思っています。

自民党郵政反対派

【記者】会期延長に絡んで、先週の記者会見で、代表は自民党の郵政反対派とされる人たちの奮起を期待したいとおっしゃいましたが、結果は欠席者が3人ということになりました。この状況をどのように見ているかお聞かせください。

【代表】反対派の人たちの言によると、これは間接情報ですが、決起の場は1回だ、本会議採決だという話で、それまではじっとしてエネルギーを溜めるのだというふうに言われていますが、本当にそうなのか、それともいろいろなブラフ(脅し)が効いて、解散ブラフとか、神崎・公明党代表のブラフが効いて、すっかり「へなへな」になってしまったのか。ここはなかなか見極めの付きにくいところであります。

しかし、あれだけ国民に対して総理の郵政民営化に対して異を唱えたにもかかわらず、最終的な場面で行動に移せないということになれば、今まで「民営化反対」と声高に唱えてきた自民党議員は、有権者に対して嘘をついていたということになると思います。

特に、大物とされる議員にとっては、そうした形でもし何事もなく終わってしまえば、それはそうした人たちの政治生命にも関わるようなことではないかと思っています。

郵政民営化法案への対応

【記者】そうした状況の中で、来月上旬にも採決という話も出ているのですが、残り54日間、郵政法案について、廃案を含めてどのように取り組まれるお考えでしょうか。

【代表】具体的なことは、私は申し上げません。しっかり議論するなかで廃案を目指して頑張りたいと思います。

都議選—-民主党の訴え、重点政策

【記者】都議選について、どのようなことを党として訴え、戦っていきたいか、できれば重点的な政策を含めてお聞かせください。

【代表】(都議選は)国政選挙ではありません。したがって都政の問題ですから、政策的には我々の示したマニフェストを中心に、しっかり都政上の課題、災害対策の問題や治安問題、子育ての問題や学校の問題、そうした問題をしっかり取り上げていくということだと思います。

もちろんその過程で、私は民主党の代表ですから、いまの国会の状況についても、年金の問題や外交関係など、そうしたものは触れることは当然あろうかと思います。

それからもう1つは、いまの議会の役割ですね。都議会は一体何のために存在するのかと。特に具体的には石原都知事との関係をしっかりと有権者に訴えていきたいと思います。知事の行おうとすることに対して、常に「イエス」と言う政党が圧倒的多数を持っているような議会では、議会の機能を果たし得ません。他方で、何でも反対という存在も必要があまりないのではないかと。もちろん最終的には有権者の判断ですが。

したがって、しっかりとアクセルとブレーキを踏み分けることができる、つまり、いいことは一緒になって後押しをしていく、あるいは引っ張っていく。しかし、知事が間違った問題、つまり都民の視点から見て明らかに誤ったことについては、思い切りブレーキを踏める。そういう存在としての民主党をアピールしていきたいと考えています。

ケリー国務次官補との会談

【記者】話は変わりますが、今朝、代表はジェームス・ケリー前国務次官補とお会いになりました。代表はこのところ、外国要人との会談が続いていますが、政府関係者ではなく、野党第一党・政権準備党の党首が外国要人の方々とお会いになる意義について、改めてお願いいたします。

【代表】それは会う相手によっていろいろ違うと思います。1つは民主党が次に政権を担う可能性の高い政党だという視点で、相手国のトップの皆さんが関心を示してくれているということは、いままでとはかなり違う状況としてあると思います。

そういう意味で、最近もニュージーランドのクラーク首相やシンガポールのゴー・チョクトン首相、カナダのマーティン首相、ドイツのシュレーダー首相、そうした皆さんとそれぞれ会談して、率直な意見交換をしています。

今回のケリーさんは、少し前にキャンベルさん(元米国防副次官補)ともお会いしたのですが、いま政権にあるわけではありません。しかし、かねてからの交流もありますし、政権を去った直後の方でありますので、いろいろな、例えば今日は6カ国協議、北朝鮮の問題を中心に意見交換しましたが、政権にあるときにはあまり言えないことも、ややオープンにお話いただける部分もあるかと思います。日本との関係という意味で、いまその職になくても、これからもいい意味で影響力を持ち続ける皆さんとは、現職のときから引き続きコンタクトを取っていきたいと思っています。

6月14日

○脅しに屈して国会延長を認めるなら自民党の郵政民営化反対派は見せかけ

○公務員人件費の純減計画が立てられないなら「骨太の方針」とはとても言えない

○閣僚らの発言について総理は指摘・訂正し、場合によってはクビにすべき

○日韓会談:お互い納得し合うまで帰国しないくらいの不退転の決意を

○郵政対案:結果につながるならあらゆる手段を取るが意味のないものは出さない

○社会保障費:総額管理より中身の改革が先、単なる数字合わせになる

○民主党政権最初の3年間は社会保障費は横這いで

○ミサイル防衛:国会の事後承諾によってシビリアン・コントロールを担保すべき

○疑惑に対する説明がないなら竹中大臣の資質が問われ、法案自体に大きな疑問

郵政問題と国会延長

【代表】第1は国会の会期末が迫っています。郵政改革特別委員会での議論を見ていましても、全く我々の疑問に正面から答えない政府側、特に竹中大臣、小泉総理の誤魔化しの答弁が目立っています。

国会150日という会期は元々設定されているものでありまして、ここは一旦会期を切って、そして(郵政民営化法案を)廃案にし、一から法案を出し直せと、そのことを強く申し上げておきたいと思います。会期が延長にならないように、党を挙げて全力で頑張っていきたいと思います。

自民党の郵政民営化反対の皆さんも、最初は元気だったのですが、最近は一向に元気がなくなっているようで、いろいろな解散の脅しや、あるいは神崎・公明党代表の「応援しない」というブラフがだいぶ効いているのかなと思いますが、そういう脅しで屈するようであれば最初から言わなければいいわけで、本当に反対というなら、ここは会期を延長しなければ終わるわけですから、反対派といわれる皆さんには、ここで奮起を期待したいと思いますし、そこで何も動きがないということであれば、元々見せかけで反対していたと見られても仕方のないことだと思っています。

骨太の基本方針—-公務員人件費

【代表】2番目ですが、政府の「骨太の方針」の原案が示されたと報道されています。まだ直接見ていませんが、その中でいくつかポイントがあると思いますが、公務員の定数、そして給与の問題があります。

私はかねがね、公務員の総人件費を削減すべきであると申し上げてまいりました。この国会冒頭の代表質問でも明確に申し上げ、小泉総理は「その意見も参考にしながら検討する」という答弁をされたわけであります。

ここでいつも、誤魔化しの削減計画といいますか、減らすけれどもそれ以上に増やすということで、小泉政権の4年間で実質的な公務員の定数はプラスマイナス・ゼロであって、何も手が付いていないということであります。純減計画をしっかり作って減らしていくと。そして、給与水準を含めてトータルの人件費を国・地方ともに減らしていくことについて、明確な方針を出すべきだと考えています。

もちろん、中期的には労働基本権を認め、人事院制度を抜本改革するか、あるいは廃止して、より省庁別に弾力性を持たせた人件費の削減ということを可能にすべきだと思いますが、まずは既存の枠の中でもかなりのことができるはずであります。

一部には行政サービスがこれから増える部分があるから、それが分からないと純減計画が作れないという報道もありますが、それは民間であれば考えられないような言葉だと思います。潰れそうな国の財政あるいは地方の財政の状況の中で、まず削減ありきというのは当然のことであって、将来増えるところがあるかもしれないから結局作れないと言っている限りは、計画は永久にできないだろうと思っています。

ここのポイントがぼかされてしまうようでは、「骨太の方針」とはとても言えないということは申し上げておきたいと思います。

閣僚らの軽い言葉

【代表】3番目ですが、最近、政治家の言葉が非常に軽くなったということで、今日も先ほどの衆院本会議で、我が党の松本議員が、先般のNHK「日曜討論」における山崎発言について、非常にポイントを突いた指摘をされました。

山崎・郵政特別委員会筆頭理事もそうですが、政府の中でも軽い発言が相次いでいるわけで、森岡厚生労働政務官、町村外務大臣、中山文部科学大臣、そして小泉総理その人もそうであります。それぞれについて、小泉総理は自らもいい加減な発言を繰り返していることもあるのでしょうが、一向に気に留める感じはありません。

しかし外国から見れば、非常に気になる発言、あるいは傷つける発言を繰り返しているわけで、結局外国政府が言っていることは、「村山談話はいいけれども本気でそれを思っているのか」と。そして、本気で思っているかどうかの1つの表れが、現職閣僚あるいは政府の中の人がどのような発言をするかで判断しているわけで、まさしく、いま各閣僚、政務官のこうした発言に対して、小泉総理がしっかりと指摘し訂正する、場合によってはクビにするということを行うべきだと考えています。

そういう姿が全く見えないのは、内閣総理大臣としての責任を全うしているとはとても言えない状況だと思います。

日韓首脳会談

【代表】最後に、今月20日に日韓首脳会談が予定されているということであります。

昨日も私は韓国の羅鍾一(ラ・ジョンイル)駐日大使と1時間ほど話をしました。私は大使の側にもいろいろ注文しておきましたが、常任理事国入りの問題について、賛成ということまでは期待しないが、あまり明確に反対と言うべきではないのではないかということや、領土問題については、より冷静にお互いに話し合うべきで、リーダーたるもの、これは日韓双方の首脳に言ったつもりですが、国民感情について配慮することも必要だが、時には国民に対して大きな観点から説得、説明していくことも必要な場合があるということを申し上げたところであります。

小泉総理は靖国参拝について、「なぜ反対しているのか分からない」「なぜ怒っているのかわからない」という答弁を、私の予算委員会での質疑も含めて繰り返しているわけですが、そうであれば「分からない」と言って開き直るのではなく、きちんと説得・説明する責任が日本国総理大臣としてあります。

20日の日韓首脳会談では、とことん盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と話し合いをし、お互いが納得し合うまでは日本に帰ってこないくらいの決意を持って、真摯な話し合いをすべきだと思います。

ここでまたいい加減に「分からない」と言って開き直って終わってしまうということでは、日韓関係はさらに先行き厳しくなる。そのことが、6カ国協議、核開発の問題や拉致問題にも大きく響くということでありますので、不退転の決意を持って日本国総理大臣として日韓首脳会談に臨み、靖国はじめ諸問題について、しっかりとお互いに理解しあうことができるような結論を導いてもらいたいと考えているところです。

<質疑応答>

会期延長阻止の手段

【記者】郵政民営化法案に関して、廃案にして一から出し直せということでしたが、会期延長を阻止するために、どのような対応をお考えか、お聞かせください。

【代表】中身は申し上げません。それはいつも私が申し上げている通りです。

郵政改革の対案

【記者】関連して、自民党の反対派のほうに元気がないとおっしゃっていましたが、自民党反対派が動きが取れるように、民主党側からのアプローチ、例えば対案を出すべきという意見が党内にありますが、そうしたことについてどのようにお考えでしょうか。

【代表】これは我々が何かをするという話ではありません。我々は会期延長に堂々と反対するわけで、あとは自民党の郵政民営化に反対すると称している皆さんが、どのような決断をするかということに、ひとえにかかっているわけであります。我々がどうこうしたから、ということではないと思っています。人のせいにせず、まず自らきちんと判断されたらどうですか、ということは申し上げておきたいと思います。

対案については、そのことが結果につながるのであれば、我々は腹を固めて、あらゆる手段をとる決意でありますが、出しても意味のないものは出しません。

社会保障費の総額管理

【記者】先ほど「骨太の方針」について話がありましたが、社会保障費の総額管理の話が政府・与党の中で議論が進んでいますが、代表は社会保障費の、特に医療費の総額管理の考え方について、何かありますか。

【代表】私は総額管理を長期にわたってするよりは、中身をどのように改革するかという議論が先行すべきだと思います。そうでないと、単なる数字合わせになってしまうわけです。

したがって、医療制度の改革をどうするのか、その前提として年金制度をどうするのか、そうした改革の中身の議論を先行すべきだと思っています。

そうは言っても、いまの状況を当面どうするのかという問題はあります。私は基本的には、我々が政権を取って、最初の1期3年間というのは、いろいろな改革をその間に進めていくわけですが、社会保障制度については、もちろん与野党でこの秋までに年金制度の抜本改革の骨格がまとまるとか、いろいろなことができれば、それはそれで非常に結構なことだと思いますが、何もまとまらないまま、我々が政権を取った場合を想定すると、最初の2〜3年は制度改革についての議論に時間を取らざるを得ないと思っています。

直ちに改革に着手するとしても、実際に効果が出てくるのには、2〜3年の時間を見なければいけない。その間、私は社会保障費は基本的に増やさないという原則で考えるべきだと思っています。

増やさないでどうするのかということですが、改革を積み上げていく中で増やさないことが可能になるようにする。もし全く増やさないということが、毎年1兆円くらい増えていくわけですから、できないとすれば、最初の2〜3年は国の資産売却でそれを補う。その上で大改革を同時に検討して、2〜3年を過ぎた後は大改革を前提に、必要があれば増収策を含めて制度設計していくということだと思います。

基本的な改革案ができるまでは増やさない。そして資産売却でそれを補っていくと。資産売却で補っていくということは長期間続けることはできませんから、その間に抜本改革案を創り上げていくと。そういう姿を思い描いているところであります。

したがって、もう一度結論を申し上げると、最初の2〜3年は横這いで行くということが基本です。

【記者】代表のいう改革というのは、総枠をはめるのではなく、個々について改革を積み上げて、1つ1つを削っていくということでしょうか。

【代表】個々というか、年金、介護、医療、福祉、それぞれの改革です。

医療費の抑制策

【記者】医療の場合、当然高齢者が増えていくわけで、それに伴って必然的に医療費が増えるのは避けられないと思いますが、総額でない場合の改革というイメージがあまり湧かないのですが。

【代表】ですから改革案を作り上げるのに2〜3年かけるということです。

例えば医療であれば、薬価制度は私は要らないと思っています。廃止していいということや、高齢者医療と現役世代に(保険を)分けることを想定していますが、現役世代は税投入なしで自立的にやっていくことを考えています。高齢者については税投入は不可避だと思いますが、その財源を含めて、トータルピクチャーは2〜3年かけないとできてこない。

その間、できるものからやっていって、基本的に何とか横這いで社会保障費全体を2〜3年しのぐと。飛び出る部分は資産売却で補っていくような図を考えています。

民間でも同じだと思います。本当の改革がスタートするまでの間は、資産売却をしながらしのいでいくということだと思います。

【記者】資産売却は何の資産ですか。

【代表】いろいろなことが考えられますが、あまりいま「2015年、日本復活ビジョン」の先取りをしたことを言うつもりはありませんが、政府が保有する株の完全売却や、不動産売却、特殊法人の民営化などで、数兆円オーダーでお金が出てくるということは十分考えられることです。

ミサイル防衛と自衛隊法改正案

【記者】今日の本会議でミサイル防衛に関する自衛隊法改正案が衆議院を通過しましたが、民主党は修正を求めて、特にミサイル発射後の国会での「事後承諾」を求めていましたが、その狙いと必要性について改めて教えてください。

【代表】我々は基本的にミサイル防衛について、日本がいま直面するミサイルの危機に対応するものとして必要という基本認識に立っているということは、マニフェストなどで明示しているところであります。

ただ、ミサイル防衛の非常に難しいところは、シビリアン・コントロールがきちんと貫徹できるかどうかという問題だと思います。普通の防衛出動などであれば、内閣総理大臣が出動を命令して、その上で自衛隊が動くということになりますが、ミサイル防衛の場合には、その「いとま」がないということで、現場判断というのがかなりあり得ると思うわけであります。

そういう現場判断で行ったときに、それが妥当だったかどうかの検証をきちんとしないと、シビリアン・コントロールが貫徹されない。つまり、現場判断ということで、本来必要でないミサイル発射が起こりうるわけであります。

したがって、事後的ではありますが、国会に報告して検証するというところでシビリアン・コントロールを担保することが必要不可欠なことであると私たちは考えています。

竹中大臣

【読売記者】郵政ですが、今日の午後の特別委員会でもそうでしたが、民主党委員から竹中大臣への攻勢が強まっていますが、これは大まかな戦略としてどのように描いていらっしゃるのか。改めて、竹中大臣の個人的な問題も含めて、資質についてどのようにお考えかを教えてください。

【代表】まず、郵政民営化は読売新聞社の世論調査でも65%が「他に優先することがあるではないか」「郵政ばかり優先しているのは納得できない」と答えていることからも明らかなように、国民の意識から遊離したところで、遮二無二進んでいるということだと思います。

この姿が非常に異常なのは、本音では自民党議員も郵政民営化について大きな疑問を持ちながら、それは審議を見ても明らかですが、多くの人が疑問を呈しているわけですが、しかし、先ほど申し上げた解散ブラフや、公明党支持者が応援しないブラフなど、いろいろなことで圧力をかけて、小泉総理と竹中大臣が突っ走っているというのが、いまの構図であります。

もちろん、そういうブラフに負けてしまうような自民党議員も情けないなと思いますが、ある意味ではこれは民主主義の危機と言ってもいいと思います。郵政民営化というテーマであるからこの程度に留まっていますが、これがより重要な国の基本に関わる問題であったときに、もし総理がこのような形でブラフをかけまくって、遮二無二与党も反対のものを進めて行くということになれば、これは大変なことだと思います。

今回の竹中大臣は、郵政民営化をご本人が本気でやりたいと思っているのか分かりません。小泉総理から言われて仕方なくやっているのかもしれません。そこは分かりませんが、郵政の責任者として進めてきたわけで、その中心人物について、個人的な疑惑も含め、いろいろな疑問が出てきているところであります。

そうした疑問にきちんとした説明がされないということであれば、大臣としての資質が問われると言われても仕方ないと思います。そのような大臣が作った民営化法案は、法案そのものに大きな疑問が残ることにもなると思います。

6月7日

○参院決算委:決算重視の参院として、しっかりと役割を果たしている

○郵政特:「先に民営化ありき」の矛盾、ちぐはぐさが際立ってきた

○年金協議:議論しても無駄と簡単に潰していいわけでない、与党も真摯に努力を

○「中韓は靖国参拝を理解」との総理発言は完全な開き直り、それだけで論外

○常任理事国入り:米国の了解なしに4カ国増を唱えたとすれば疑問

○先の年金改革が素晴らしいとの前言を撤回し、国民年金を含む一元化の議論を

○与党が会期延長を議論するのは論外、会期中に審議が終わらなければ廃案に

○自民の郵政改革法案:まだ断定的にイエス・ノーを言う段階でない

○竹中発言:大臣答弁の重さを認識できないなら大臣失格と言われても仕方ない

国会審議—-参院決算委、郵政特、年金両院合同会議

【代表】まず、国会についていくつか申し上げたいと思います。

今日は参議院の決算委員会がありました。NHKテレビ入りということで、私も30分程度出席しましたが、我が党の松井孝治議員がIT投資に関して非常に切れ味鋭い質問を行ったと思います。

衆参の役割分担の中で、これからは参議院については決算重視ということで、今回も時間を取って行われたものでありますが、まさしく参議院の役割をしっかりと果たしておられると改めて感じた次第です。個々の議員がしっかりと情報を集めながら積み上げた結果の質疑で、非常に良かったと思っています。

郵政の関係ですが、今日も特別委員会で審議が続いています。先ほどまでテレビで見ていましたが、段々「先に民営化ありき」ということの矛盾、ちぐはぐさが際立ってきていると思っています。まだまだ審議は始まったばかり、これからかなりの審議時間を要するだろうと思っています。

私が予算委員会で聞いた党議拘束の件も、小泉総理は結局、党議拘束はかかっていないということを認めたわけですから、それも他党の中のことながら、党議拘束なしで採決には到底臨めないと思いますから、そうしたことも含めて、かなりの時間を要するだろうと思っています。国民の立場に立って、真摯な議論が必要だと考えています。

それから年金ですが、昨日、両院合同会議が行われました。私は直接見ていませんが、その後いろいろな発言が出ていますが、とにかく本会議で決議までして枠組みを設定して始めた議論ですから、いまの現状はあまりにも国民の期待からはかけ離れたものだと思います。

強行採決した(政府・与党)案が素晴らしい改革案だと堂々と言い切る与党の姿勢からは、真摯に改革案を議論しようという姿勢は全く見えないわけで、そういう中で、「こんな議論をいつまで続けても仕方がない」と我が党のほうから意見が飛び出すこともやむを得ないと思います。

しかし、だからといって簡単に潰しまっていいということではありません。総理も「一元化は望ましい」ということも言っているわけですから、やはり総理が与党の委員に対して、これは党首討論でも申し上げましたが、わざわざ「国会で議論すべきだ」と総理自身が何回もおっしゃった話ですから、そうであれば、きちんとした議論ができるように、委員に対して指示すべきだと思っています。

そうでないと、まさしく我が党の仙谷政調会長や枝野議員が言ったように、やっても意味がないということになってしまいます。私はそうならないように、真摯に与党も受け止めて努力すべきだと申し上げておきたいと思います。

小泉総理と河野衆院議長の会談

【代表】これは国会と直接には関係しませんが、河野衆議院議長と小泉総理がお会いになったようであります。

議長がこうしたこと(首相の靖国神社参拝で悪化している日中関係についての意見)を発言することについて、いかがなものかという意見が一部にあるようですが、私は議長がそのような発言をすることが三権分立に反するとは全く思っていません。

ただ、非常に気になったのは、その際に小泉総理が、「(中国の)胡錦濤国家主席や、(韓国の)盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領にも、靖国問題について自分の考えを何度も申し上げ、理解を得られたと思っている」と開き直っていることであります。

理解していないからこそ議論が出ているわけで、これはまさしく「黒」を「白」と言う開き直りの姿勢であり、「独りよがり」から最近は完全な「開き直り」になってきたと思います。

私との(国会での)議論の中でも、総理は「日中関係は基本的には良いのだ」と言っていました。総理自らの願望と現実が全く乖離して、総理が見ている「幻」が本当に思えてきたのかもしれませんが、現実はもちろん、中国、韓国の首脳はこの靖国の問題について、当然理解していないわけですし、日中関係、日韓関係も非常に厳しい状況にあるわけです。これは誰が見ても明らかですから、総理自身がそのことを認めずに開き直るということは、それだけで論外という感じがします。

国連安保理常任理事国入り

【代表】最後に、これは国会関係ではありませんが、国連常任理事国入りの問題で、4カ国(日本、ドイツ、インド、ブラジル)が出した枠組み決議案が、アメリカから事実上否定をされたということであります。

私は、最初に常任理事国を4カ国増やすということで動き始めたときに、非常に奇異な感じを受けました。つまり、これだけ増やすということになると、それだけ反対する国も増えるわけであります。しかし、あえて4つの常任理事国を増やすということでスタートされたわけであります。

私は、もし政府の案に合理性があるとすれば、それはアメリカとの間ではあらかじめ了解が取れている、理解を得ているということであれば、4カ国でスタートすることも1つの考え方かなと思っていました。

しかし、今頃になってアメリカから「ノー」だと言われるのでは、日米間ですらきちんとしたコミュニケーションを取れずにスタートしたということになるのであって、これはまだ途中ですから、あまり厳しく言うつもりはありませんが、しかし作戦として良かったのかどうかは、きちんと問い直されなければならないと思います。

そして、こういう作戦を取ることに、総理は果たしてきちんと理解していたのかどうかも含めて、大いに疑問の残る4カ国案だと思っています。

いずれにしても外交について、うまくいっている話を数えるほうが難しいくらい八方ふさがりになっていますが、常任理事国についてもこういう状況で、近隣諸国だけでなくアメリカからも「ノー」を突きつけられて、一体これからどうやってこれを打開していくのか、是非総理にお聞きしたいと思っています。

<質疑応答>

年金両院合同会議の今後の見通し

【記者】年金の協議会の関係について、先ほど与党側にも考えてほしいという発言がありましたが、具体的にはどのようなことを求めていくのか、また、与党側の態度が頑なな場合、民主党としてはどのようなことを今後お考えでしょうか。

【代表】一番の問題は、総理は「国民年金を含めた一元化が望ましい」と何度も答弁されていたわけです。その前提として、現状では問題があるという認識は少なくともお持ちで、そのことは決議の中にも書いてあります。問題があるからこそ議論しようということになっているわけで、問題がなければ議論する必要はないわけです。

ですから、「現状について問題がある」「一元化が望ましい」、この2つの認識に基づいて、総理は「与野党超えて議論すべきだ」と何回も啖呵を切ったわけです。しかし、現状について「素晴らしい改革だった」と言ってしまったら、それは改革をする必要がないということになるのではないでしょうか。

その現状認識について、もちろん政府・与党のほうも改革案を通したわけですから、そのことについて「0点」とはなかなか言えない立場だということは分かりますが、しかし「素晴らしい」と言ってしまうのは明らかに間違いで、その前言を撤回し、そして現状に問題があるという決議での考え方に戻るべきだと思っています。

それからもう1つは、「国民年金を含めた一元化」ということに対して、与党側が言っているのは、「共済年金と厚生年金の一元化が先」ということです。そこをどのように一元化するか、共済年金と厚生年金をどのように一元化するかを議論しましょう、ということを言っているわけです。

そのような議論になってしまうと、最終的に「国民年金を含めた一元化」の話は先の話になってしまいます。共済年金と厚生年金の一元化は、いわば技術的な話ですから、それを協議会の場で延々とする必要は全くないわけであって、まず「国民年金を含めた一元化」が可能なのかどうかをきちんとすべきだと思います。

そのうえで、それが不可能だというなら別ですが、可能ということになったときに、一挙に一元化するのか、あるいはステップを踏んで、いままで積み上げてきた議論のある共済・厚生年金の一元化をまず行ったうえで、最終的に国民年金を一元化するのか、そこは手順論であり、いわばマイナーな話であって、大事なことは国民年金を含めた一元化について、きちんとビジョンを描くこと、そこの議論をきちんと行うべきだと思います。それを与党側は放棄しているわけです。

【記者】秋までに成案を得ることで一定の合意を見ていますが、この合同会議をいつまで待つのか、このまま与党側の態度が頑ななまま、民主党側としてはいつまで待つことができるとお考えでしょうか。

【代表】時期は申し上げません。しかし、我々としては誠意を持って、これは国民の期待でもありますから、しっかりとした議論ができるように努力をしていくということです。どこかの段階では判断が必要になるか

国会の会期延長

【記者】郵政について、まだかなりの審議時間が必要だとおっしゃいましたが、国会の会期延長について、与党側からはいろいろと発言がありますが、現時点で代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】与党側から会期延長を議論するというのは、それは論外の話ですね。だいぶ与党も緩んでいるのではないかと思います。審議はきちんとすべきだと。しかし、会期の中で審議が終わらなければ廃案にして、次の国会でまた考えればいいと考えています。

綿貫前衆院議長らの郵政改革法案

【記者】先週、自民党の綿貫前衆議院議長が提出した郵政公社の改革法案について、代表はどのように受け止めていらっしゃいますか。社民党などからは検討の余地があるということで、超党派の提出を含めて言及がありますが、そのような可能性について、あるいは民主党独自で対案などは考えていないのか、お伺いします。

【代表】自民党の案は、まだ私も詳しく見ていません。政調会長に精査をお願いしています。ただ、方向が一致していないのではないかという気がしますが、まだ断定的にイエス・ノーを言う段階ではないと考えています。

我が党自身が案を出すということですが、私は基本的にいまの公社法を基本にして考えたらいいということでありますので、対案ということではないと思います。もう少し時間があれば、いまの公社法を基本にして、それに一部修正を加えるようなことは考えてもいいかもしれませんが、いまそれを出しても一顧だにされず終わってしまうだけで、対案を出せば、逆にその審議に重要な審議時間が費やされてしまいますから、それよりは廃案へ向けて一致しながら、そこに集中していくことが、より重要なことだと思っています。

竹中大臣の答弁と資質

【記者】昨日、竹中大臣の答弁で審議が中断する場面がありましたが、この間を振り返って、竹中大臣の答弁について、大臣としての資質を含めてどのように感じていますか。

【代表】何というか、昨日の答弁もそうでしたが、やはり国会に出てきて大臣が答弁するということが、どれほど重い意味を持つのかということを全く認識しておられないと思います。

もし、ああいう気持ちで大臣職を務められているとすれば、それは空恐ろしい感じがします。大臣というものがいかなる権力を持ち、その結果として国民生活にどれだけ大きな影響を及ぼすかということを、きちんと認識すべきだと思います。認識できないのであれば、「大臣失格」と言われても仕方がないと思います。




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