外務大臣会見記録(平成22年8月24日)
外務大臣会見記録(平成22年8月24日(火曜日)15時13分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)インド、タイの訪問について
(2)中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席について
○米軍再編問題
○北方領土問題
○北朝鮮関係(カーター元米大統領の北朝鮮訪問と六者協議)
○日韓併合100年に関する総理談話
○日本の安全保障政策
○中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席
○日韓歴史共同研究
○児童の性的搾取と表現規制
○核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会
○対アフガニスタン支援
○外嘉手納基地への外来機飛来
○日印原子力協定
○経済景気対策
○民主党政調外務部門会議
冒頭発言
(1)インド、タイの訪問について
【岡田大臣】まず、私(大臣)のインド、タイの訪問ですが、インドでは大きく言って3つの問題。1つは経済。そして、もう一つは原子力協力。そして、第3は安保理改革ということで、クリシュナ外相、そして、シン首相と議論をしてまいりました。
経済の話は、EPA交渉について、シン首相の来日までに交渉妥結を目指すということを確認いたしました。同時に、私(大臣)の方から経済について、イメージとしてあるのは、今週末の中国と同じような、経済問題についての閣僚級の対話というものをインドとの間で行ってはどうかということを提案させていただきました。これは相手方、インド側で検討をするということになっております。
民生用原子力協力に関しましては、ここでも前回述べたところでありますが、文書にどう書くか、あるいは書くか、書かないかということはともかくとして、インドが核実験を実施した場合には、日本は協力を停止せざるを得ないということであります。文書に書くかどうかはともかくとしてと、私(大臣)がインド側に言ったわけではありません。事実として核実験を行った場合には、これは停止せざるを得ない。もちろん、インドは今、自主的に核実験を停止中でありますので、そういうことにはならないというように私(大臣)は考えているがということで申し上げました。同時に、今までのインドの軍縮・不拡散に対する努力というものを評価した上で、軍縮・不拡散についての考え方というものも、協定の中で何らかの形で表わせないかということも申し上げたところであります。先方からは、核実験モラトリアムを始め、「約束と行動」へのコミットメントを改めて表明があったところであります。
安保理改革につきましては、G4のメンバーである日本とインドがよく協力をしながら、安保理改革を目指していこうということで確認をしたところです。
それから、インドは地下鉄とかの経済協力案件も若干視察をいたしました。
引き続いてタイにまいりまして、タイでは先般のバンコクにおける混乱の中で亡くなられた村本さんの問題について、更にしっかりと真相を明らかにしてもらいたい、調査をしっかりとやってもらいたいということを私(大臣)からカシット外相、それからアピシット首相に申し上げたところであります。併せて、その混乱の中で、営業停止を余儀なくされたり、あるいは火事で店舗が燃えたりという、中小企業の方が非常に多いわけですけれども、そういったところに対してしっかり手当てをしてもらいたいということを申し上げました。それから、マプタプットの問題。これは公害ということで、工業団地における操業が滞っている問題です。それから、メコン地域における協力の問題。対カンボジアの関係などについて、私(大臣)からいろいろ申し上げたところであります。ただ、基本的にはタイというのは、1つは長い日本との友好の歴史のある、そういう国であります。
そして第2に、日本の企業の進出、特に自動車産業を中心に集積が進んでおりまして、日本にとっても非常に重要な存在。私(大臣)もトヨタの最新の自動車工場を視察にまいりましたけれども。
そして3番目に、やはりASEANの中で民主主義国家として、最近いろいろなことがあるにしろ、基本的に民主主義がきちんと機能している国であるという、日本にとって非常に重要な国であると。日本とタイが協力をしながら、ASEANにおける民主主義というものを前に進めるといったこともしっかりやっていかなければいけないということを確認したところでございます。
以上がインド、タイということで、インドは年に1回外相間で戦略対話を行うことになっておりまして、私(大臣)も就任して1年経ちますが、ようやく今回実現をいたしました。タイについては、外務大臣が5年間行っていないということで、私(大臣)は非常に意外な感じがいたしましたが、今、都市でいいますと、上海に次いで日本人が多いのはバンコクであります。このタイの重要性ということを考えれば、もう少し往来があっていいのではないかなと思ったところであります。
(2)中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席について
【大臣】次に、私(大臣)の中国、モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席ということで、閣議の了解はまだ得られておりません。閣議の了解が得られればということで申し上げたいと思いますが、8月26日から30日まで、中国及びモンゴルを訪問いたします。まず、現在の予定では、26日の夜に出発だったと思いますが、27日は上海で、私(大臣)はまだ上海の万博を見ておりませんので、万博の視察も含めて、夕方まで上海で過ごし、その後、北京と、そして、北京では、28日及び29日に第3回日中ハイレベル経済対話とその関連行事というものが開催されるということであります。この日中ハイレベル経済対話というのは、中国側の議長を王岐山副総理、そして日本側の議長を私(大臣)が務めるということになっております。そして、両国から関係省庁の大臣、副大臣が出席をして、世界経済、日中経済、あるいはグローバルな、刺激的な経済問題について議論するということであります。そして、このメンバーで温家宝総理にもお会いをするということになっております。それ以外に、私(大臣)自身は、楊潔チ外相などとバイの会談を行うという予定にしているところであります。
それから、非常に短時間ですが、2004年以来、6年ぶりとなるモンゴル訪問ということで、ほぼ半日ですが、モンゴルを訪問したいと思っております。現在のところ、エルベクドルジ大統領、バトボルド首相、ザンダンシャタル外交・貿易大臣との表敬、会談などを考えているところであります。
米軍再編問題
【NHK 藤田記者】普天間の移設問題についてお伺いします。
【大臣】最初から普天間ですか。
【NHK 藤田記者】すみません。一応、専門家による協議で、V字案、現行案と一本化、I字案と言われているものですが、その複数案を盛り込むことで最終報告を進めているという状況だと私は理解しているのですけれども、これについて現在の状況と、仙谷長官はいずれにしろ8月末で公表するのだと述べておられますが、いつ、どのような形で公表されるように考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】内容は申し上げられません。現在、日米間で交渉中であります。
公表するかどうかは、基本的に課長レベルの会議ですけれども、仙谷官房長官が言っておられるなら、それは公表するのだろうと思います。公表しないという選択は、私(大臣)もないとは思っております。
【琉球新報 滝本記者】普天間の移設に関連して、辺野古への代替施設の計画について、日米間の協議で米国側から、2006年の日米合意のときに概念図として示された飛行経路がありますけれども、有視界飛行のときにヘリコプターが台形のような形でV字型の滑走路の周辺の海側を通る経路で、住宅地上空を飛ばないというご説明がなされていますが、その飛行の仕方が、日本側の防衛省が地元に説明している概念図が、実際の飛行はもっと幅広く、そういう形にとどまらない飛び方ではないという言い方を米国側が日本側に説明して、その説明を正すようにと求めていると聞いているのですけれども、米国側の意向と、あるいはそれに対する日本側の対応はどういうようになっておられますでしょうか。
【大臣】現時点で申し上げることはありません。そういった記事があったことは、私(大臣)も承知をしておりますが。
北方領土問題
【北海道新聞 島田記者】北方領土問題についてお願いします。一部報道で、現在、日本人の観光ツアーで国後島に旅行に行っている日本人が複数名いるということが報道されていまして、行っていることを現地の旅行代理店の社長も認めています。外務省として、現在どの程度のことを把握していて、今後どのような形で対応をとる予定かということを教えてください。
【大臣】まだ確認できておりません。もし報道が事実であるとすれば、それは閣議了解に反することで、極めて遺憾であると考えております。旅行者がどこまで承知をした上で行かれたのかということもはっきりいたしませんが、旅行者及びそれを企画した旅行業者に対して、政府として厳重に抗議をしなければいけないと考えております。
【北海道新聞 島田記者】今週末に、言葉は難しいのですが、日本というか、本州に戻ってくるようなのですれけども、サハリンのユジノ経由で戻るようなのですが、例えば現地のユジノの総領事などを通じて、択捉内から国後に戻ってきたときに、その場で事情聴取をしたりするような考えはおありでしょうか。
【大臣】特にそういうことは、今、考えておりません。というか、事実関係がまだ把握できておりませんので。いずれにしろ、政府としてはきちんとした、先ほど申し上げた対応をとらなければならないと考えております。
【毎日新聞 吉永記者】関連の質問ですけれども、結構、こうやってビザを取って、日本の政府の閣議了解に反する形でビジネスマンが行ったり、もしくは今回旅行者が行ったと見られる件が出ていたりするのですが、閣議了解に加えて、更に日本政府として、もしくは外務省として、対応をとるという考えは、今のところございますか。
【大臣】基本的に、今までも事実関係をご存じなくて行ったケースというのは、かなり多いですね。今回も旅行業者、それから行かれた方々がどこまで承知をして行かれたのかというのはよくわかりません。そういったことについて、まずは閣議了解に基づいて、きちんと政府の考え方というものを伝えたいと思っております。
【フリーランス 上出氏】今の考え方を求めるというのは、向こうの政府にということですか。それとも、旅行会社とか、そういうことにということでしょうか。
【大臣】もちろん、先ほど言いました旅行会社及び旅行をした方です。
【フリーランス 上出氏】もう少し質問があります。全体のそういう動きを見まして、これはちょっと言いにくいとは思うのですが、あえてお聞きします。ソ連時代から比べて、いろいろな北方領土返還の問題はむしろ後退しているのではないかという声も、大統領、首相を含めてあります。今、ロシアが北方領土に関しての対応というのを、今の時点で、以前に比べての評価も含めて、岡田外相としてはどういうようにとらえているかということを教えていただきたいです。
【大臣】私(大臣)が承知している限り、メドベージェフ大統領は、領土問題ということに、はっきりこれを言っているわけではありませんが、しかし、全体として前向きに対応していこうといったニュアンスは伝わってきております。
ただ、鳩山総理が菅総理に代わりましたので、これからもう一度、首脳対談を何回かやる中で、より明確にしていかなければいけないと思っております。
北朝鮮関係(カーター元米大統領の北朝鮮訪問と六者協議)
【毎日新聞 西岡記者】米国の報道によりますと、米国のカーター元大統領が北朝鮮を訪問して抑留されている米国人の引き渡しを受けるというような報道があります。昨年、クリントン元大統領が訪朝したときと同様に、北朝鮮側からすれば、米国との対話の糸口を探りたいというねらいがあるようですが、この動きに対して、日本政府として、どのような立場を取られるのかをお聞かせください。
【大臣】そういう事実があることは承知をしております。ただ、そこで何か具体的な米朝間での実質協議をやるというようには承知をしておりません。
【共同通信 斎藤記者】北朝鮮のくくりでお伺いします。中国の武大偉さんが、この前、自民党の加藤紘一さん、日中友好団体の訪中の関係でお会いしたと聞いております。その際に、報道もされていますけれども、武大偉さんの方は、早く朝鮮半島、天安号事件での緊張を緩和させて、六者協議の早期再開に向けて努力すべき時期が来ていると、各方面の協力をお願いしたいと、自分も機会を見つけて、関係国を訪問したいと、このように仰られたと伝えられております。日本政府として、前回もお伺いしましたけれども、改めてこの六者協議、なかなか難しい状況はあるという話ではありましたが、どういうように取り組んでいくのか。そして、議長国中国のそうした姿勢について、大臣として、どのように評価されるのかお聞かせください。
【大臣】武大偉氏がどういう考え方をお持ちか、その前提としての現状認識について、よくお伺いするということは必要なことだと思います。どのレベルかということはありますけれども、中国側の考え方をよく把握してみたいと思います。私(大臣)も先ほど言いましたように、楊潔チ外相とも会談の予定がありますし、中国側の考え方についてよく聞いてみたいと思っております。ただ、基本的なスタンスは、前回申し上げたことと変わっていません。
【毎日新聞 西岡記者】韓国メディアによりますと、武大偉議長が日本や中国、ロシア、韓国などの関係国の歴訪を検討しているという報道がありましたけれども、実際、日本への訪問予定というのは既に向こうから通報があったりするのでしょうか。
【大臣】いろいろな情報がありますけれども、現時点で発表するタイミングにはまだありません。
日韓併合100年に関する総理談話
【フリーランス 安積氏】菅談話で韓国に渡す予定の朝鮮王朝儀軌等についてお伺いいたします。これについて引き渡しに際しては、条約等が必要となりますが、大臣のご所見をお伺いしたいのですけれども、これの対象というのは、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮半島由来の貴重な図書となっております。現在、宮内庁書陵部が貯蔵している儀軌等は81部167冊なのですけれども、そのうち朝鮮総督府からの移管というのが80部163冊ということになっています。残りの1部4冊というのは購入ということになっていますが、この購入部分についても、引き渡しの対象に含まれるとお考えでしょうか。
【大臣】具体的にどうするか、全体について、どの範囲かということは、まだ政府として何も決めておりません。ただ、その文書の中にありますように、朝鮮総督府由来、そして日本政府が持っていると、そういった考え方で全体を整理しなければいけないと考えております。それ以上のことは、今はちょっと申し上げられません。
日本の安全保障政策
【フリーランス 岩上氏】16日にクローリー米国務次官補が尖閣諸島について、これは日米安保の適用対象となるという発言をされました。今年の5月11日ですが、こちらの記者会見で、私は大臣にご質問をさせていただきまして、日米安保は対象となっても、日米同盟では、実際の軍事行動があった場合、まず、第一に島嶼部について防衛出動するのは、自衛隊ではないかというご質問をさせていただきまして、大臣が「第一に自衛隊が守る」というように仰られました。日米安保が対象となるというように米国が仰る。しかし、05年に締結された日米同盟の中には、島嶼部においては、自衛隊が守ると書かれていて、大臣はお認めになるという、この非常にわかりにくい分担、これをもう少しご説明願えないでしょうか。
【大臣】2005年の日米同盟というのは何ですか。
【フリーランス 岩上氏】日米同盟変革と再編の話です。2+2の文書の中です。
【大臣】それは別に矛盾しないと思います。どちらがどうするかということは、それはそのときの状況ですから、そのことについて何か語っているものではないということです。
【フリーランス 岩上氏】5月の時点で、これはその文書に基づいてご質問させていただいたときに、大臣は、まずは自衛隊が守るとにはっきりとそのときに仰られました。ですから、これは、まず、一番最初には自衛隊が守る義務があると、日米間で、政府間で合意されているのではないかと思うのですが、それを確認して仰られたと思っておるのですが、それはそのときどきで変わると仰られましたけれども、そのときどきで変わるものなのでしょうか。
【大臣】2005年の文書で、そこまで決めているわけではありません。ただ、基本的考え方で言えば、自衛隊は盾であり、在日米軍は矛でありますから、日本の領土、領海を守るというのは、一義的には自衛隊の役割であります。ただ、それは現実にどういった事態が生じたかということによって、状況というのは柔軟に対応していかなければいけませんから、必ず、まず、自衛隊がということが決まっているわけではありません。
【フリーランス 岩上氏】あくまでも確認です。ということは、05年の文書でそのように自衛隊が、まず、島嶼部を守ると書かれていても、実際に事態が変われば、この文書で取り決めを変えることはある、日米間で話し合って変えることはあり得るということなのでしょうか。
【大臣】私(大臣)、2005年の文書は手元に持っておりませんが、そこでまず「自衛隊が守る」と書いてありますか。
【フリーランス 岩上氏】書いてあります。島嶼部は自衛隊というように、日本側が守るというように書いてありますし、それに基づいて、前回5月11日に質問させていただいたときに、大臣も、まず、最初に自衛隊が守ると。
【大臣】もうこれで終わりにしますが、私(大臣)が申し上げたのは、日本の自衛隊である以上、まず、自分の国は自分で守るという気概を持つべきだと、そういうことで申し上げましたが、2005年の文書に、そこまで書いてあるかどうかというのは、ちょっと私(大臣)は記憶にございません。
【フリーランス 岩上氏】わかりました。それでは、また改めて。
中国・モンゴル訪問及び第3回日中ハイレベル経済対話出席
【共同通信 斎藤記者】大臣の今回の訪中の件でお伺いします。経済対話ということで多くの閣僚も行かれて、さまざまな議題が出ると思いますが、大臣としては、今後の日中経済をにらんで、どういった話をしていくべきだとお考えなのか、いくつか焦点を挙げていただきたいと思います。
【大臣】まだ正式にそういった議題案をセットしているわけではありませんので、
ここで詳細に申し上げることは避けたいというように思います。ただ、今、日中間で議論されている知的所有権の問題でありますとか、それから鳩山前総理も行かれた曹妃甸のエコプロジェクトとか、そういうことも中国側の関心事項でありますので、当然議論になると思います。あと、先般、経団連からいろいろ意見も伺わせていただいたのですが、中国に進出している日本の企業が直面している諸問題、そういうことについても当然意見を交わすことになるだろうと思います。
【共同通信 斎藤記者】同じく中国関係ですが、今、経済のことをお伺いしましたが、一方でお話がありましたとおり、楊潔チ外相とのバイの会談もあります。今、ガス田、北朝鮮、それから不測の事態のメカニズム等々もありますが、今回の会談でどのように取り組んでいくのか、基本的な姿勢についてご説明ください。
【大臣】さまざまな日中間に懸案事項がありますので、そういうものについて率直に意見交換をすると、今までも率直に意見交換をする中で前進が見られたものも多かったと思います。先送りすることなく、しっかり議論していきたいと考えております。
日韓歴史共同研究
【産経新聞 久保田記者】日韓併合百年に関してご質問します。菅談話の中で、「日本は韓国人の意志に反して」という文言が入ったかと思いますが。
【大臣】「意に反して」です。
【産経新聞 久保田記者】「意に反して」ですね。日韓歴史問題の研究というのは、第2次まで行われたわけですけれども、次回というのは、もし、行われるとしたら、ここの部分が非常に問題になると思うのですけれども、その研究というのは、行われるのでしょうか。
【大臣】問題になるというのは、どういう。
【産経新聞 久保田記者】歴史問題研究を、第3次を行うかどうかです。
【大臣】それは、まだ決めておりません。
児童の性的搾取と表現規制
【週刊金曜日 伊田記者】金曜日にお聞きした児童の性的搾取問題に関するリオ会議の件で、一応確認ですが、私どもとしても、実際の被害者がいる児童買春、児童ポルノの性的搾取を出来るだけ減らさなければいけないことについて異論はございません。ただ、非実在の青少年問題の表現規制について、20日の段階では日本語の仮訳だけ読ませて頂いたのですが、正文の英文の方は、非実在の表現が“it’s surely raised serious problem”と“surely”は仮訳の方には入っていない訳ですが、「確実にそういう問題をもたらす」と書いていますので、ここについてお聞きしたいのだということを確認させて下さい。それで、事務方の方から「まだ準備中だ」というように伺っているので、本日は回答頂かなくていいと思うのですが、目安として例えば、一週間後の会見では何らかのお答えをお聞かせ頂けると考えてよろしいでしょうか。
【大臣】私(大臣)も詳しくまだ説明を受けていませんので、即答できません。なるべく早くと思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】はい、よろしくお願いします。ちなみに、自民党政権時代の話ですので、政権交代も起こって、児童被害はできるだけ少なくしていかなければいけないというのは、もちろんなのですが、誤った表現だとか、ここは直した方がいいということがあれば、密約問題等も取り組まれた岡田外相ですので、柔軟に対応していただければと思っております。
【大臣】この問題は、かなり深刻な問題ですので、そういったものを放置しているということが、非常に国際的にも問題にされつつあるということです。もちろん、日本自身の問題でもある訳ですが。そういったことをきちんと認識した上で、しかし、表現の自由とのバランスをどう取っていくかという問題ですので、しっかりと検討していく必要があると思います。
核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会
【共同通信 比嘉記者】本日、第三回の核軍縮に関する有識者懇談会があったと思うのですが、9月にはオーストラリアと共催する非保有国の外相会合も控えていまして、この有識者懇談会に改めてどのようなことを期待されているかということと、それから、有識者懇談会の成果を、大臣はどのように取り込んでいかれるかということについて教えてください。
【大臣】有識者懇談会で、私(大臣)も30分ほどいっしょに議論いたしましたが、本日行いましたのは、中長期的な課題についての方向性をざっくりと議論したということであります。例えば、米露間での現在合意ができた核軍縮条約について、その後、おそらく、少なくとも5大核保有国全体レベルでの軍縮の議論になるのだろうと思いますが、具体的にどのような道筋が考えられるのかということとか、それから非核条約について、米国の態度等も大分変ってまいりましたので、そういう中で日本がもう少し役割がきちんと果たせるのではないかということや、それから、東アジア非核地帯条約というものを、もし考えるとしたら、それは朝鮮半島の現状にどのようなプラス・マイナスのインパクトを与えるのかとか、そういった議論をざっくりと専門家の皆さんとさせていただきました。そういう議論を踏まえて、おそらくレポートが上がってくるだろうと思っています。
対アフガニスタン支援
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。アフガニスタン問題についてでございます。5年間で最大50億ドルのアフガニスタン復興支援策を実施すると、大臣は以前発表されておりますが、その支援の具体策を検討する場として、官邸にアフガン支援室を設置するとの方針が明らかにされております。事務局長に前外務副大臣の福山哲郎現官房副長官が就任されるとのことですが、まずこの狙いと、今後の外務省との具体的連携についてお伺いできればと思います。
【大臣】私(大臣)がインドに立つ前に、総理のところでこの問題について、今おっしゃったような方向性について議論したところです。もちろん、外務省で今までも取り組んでまいりましたが、例えば、NGOジャパンプラットフォームを通じたNGOでの活動、確か15億円でしたか、とか、いろいろと新しい要素も組みいれて構想を作ってまいりましたが、これは外務省だけでは出来ない訳で、例えば、警察官の訓練、トルコにおいて行おうかという議論などは、もちろん、警察庁のご協力がなければできない訳であります。そういった各省庁にわたるということもありますので、大所高所から官邸の方でご議論いただくと、私(大臣)もそのメンバーにもちろん入っておりますが、ということは、議論をより深いものにするという意味で望ましいと考えております。
外嘉手納基地への外来機飛来
【琉球新報 滝本記者】沖縄の嘉手納基地の「外来機」と我々は呼んでおりますが、他の嘉手納の常駐機ではないところから来ている飛行機が相変わらず増えて数多く来ているわけですけれども、負担軽減という文脈で大臣も以前から外来機について米国に対して何とか改善をということを求めていかれるお考えをずっと繰り返し示されておられますけれども、具体的に日米間で何度かお話しをされているのか、それとも、されようと思っていらして用意されているのか、もし、されているのであれば、米側からどういう回答があるのか、その辺りはどうでしょうか。
【大臣】まだ私(大臣)のレベルではしておりません。ですから、8月末を越えたところで、少しそういう問題提起もしたいなと思っております。外来機はいろいろな理由で嘉手納なりに来るということですが、例えば時間帯の問題もあります。現在、嘉手納で基本的に嘉手納にある飛行機が離発着する時間というのは原則は決まっている訳でありますから、例外はないわけではありませんが、どこかで調整をして、その枠の中に入るようになるべくしてもらうということが果たしてできないのかどうか等、いろいろ議論すべき論点はあると思っております。
【琉球新報 滝本記者】ということは、事務方では米側にその意向、外来機についての今大臣がおっしゃられた具体的な部分では、航空機騒音規制措置の枠内にきちんと収まるようにということができないのかと・・・。
【大臣】全て(の飛行機)が収まるかどうか別ですよ、なるべきそこに離発着の時間帯を寄せることができないのかというのも一つです。いずれにしても、議論する場としては沖縄も入れた議論する場もありますし、事務方もあります。どういうレベルでどういう話をすべきかということを、今いろいろ考えているところです。
【琉球新報 滝本記者】私がお伺いしたかったことは、官房長官は、その「場」というものが必要ではないかと、米側とあるいは沖縄の意向もくみながら、そういうことを米側とも話しをする「場」というものが必要ではないかというような言い方を会見でされたりしていたのですが。
【大臣】承知しておりません。
【記者】個人的なお考えだということでもありましたけれども。事務方ではお話しはまだされていないという認識でよろしいでしょうか。
【大臣】決まったらお話ししたいと思います。
日印原子力協定
【読売新聞 村尾記者】日印の原子力協定についてうかがいます。核の話を巡って、今後交渉が難航するのではないかという見方もあるようですが、大臣の見通しについては、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】難航するかどうかはわかりません。しかし、難しい問題だと思います、インド側も国の主権にかかる問題だというように考えておりますし、国会の中ではそういう意見が強いというようにも聞いておりますので、最終的には、国会を両国とも通さなければならないということです。困難ですが、だからこそチャレンジしなければならないと思っております。
【フリーランス 上出氏】今のに関連しまして、成果というか、前の会見でも言ったことを、私の言ったことと同じようなきちんとした形で、インド側に「核実験をやった場合には協定を締結しない」とはっきりと仰っておられたということなのですが、今回の成果といいますか、未だ難航してますけれども、例えば原子力ビジネスの上からも、必要であるということを言っておられて、インド側も今回大変事前に準備をされるとかいろいろ力を入れているということでした。今後、今回の成果を踏まえて、NPTに入っていない国との同じような問題等については、今どのような考え方で臨んでいかれるのか、今回の成果も併せて、国民に対しての成果をまとめて言って頂くのと含めて、今後これと同じような対応があるのかどうかということを聞かせて下さい。
【大臣】成果といいますか、まだ原子力協定について話がまとまっておりませんので、これからさらに協議を続けていかなければならないというように思います。双方のポジションはかなりはっきりしたと思います。インドのメディアを通じてインドの国民の皆さんに日本がなぜこれにこだわっているのかということについては、ある程度伝わったのではないかと思っております。現地の新聞報道等見ておりましても割と冷静に被爆国としての日本の、あるいは核軍縮・不拡散をずっと行ってきた日本の主張として紹介されておりますので、そういうことがある程度伝わったと思っております。他のNPTに非加盟の核保有国というのは、それはNSGでは全く認められておりませんので、他の国をインドと全く同列に論じるつもりは全くございません。
経済景気対策
【世界日報社 山本氏】政局が代表戦を控えているということで、日曜日のいろいろな報道討論番組などを聞きましても、ある局を代表的に言わせてもらいますと、経済的なことについては、いろいろ議論は各党の代表が出られてされるのですけれども、結局政府として何をどう決断していくのかということがあまり明確に出てこないという中で、報道としては、軽井沢でいろいろな方が集まって政局的なことが演出されたというか、それをまた諸外国が見ていて、日本は結局そういう形で留まっているのではないかというようなことから、円高、あるいは様々な経済的な面での包囲網みたいなものが築かれつつあるのではないかという指摘もあります。この代表選が終わるまでは、やはり、いろいろな経済分野での決定は明確に出来ないということなのか、それとも岡田外相、次期民主党のリーダーとして、政策的な方向性をしっかりと打ち出すという何らかのメッセージをしていただければと思います。
【大臣】円高の背景は非常に複雑だと思いますが、別に今一部のメディアが代表戦について果敢に報じているからといって、それが原因だとは全く思っておりません。そして、これからの特に円高対策を始めとする経済景気対策については、もちろん菅総理の下で
今それぞれの閣僚が議論を行っているところでありますので、その議論が閣議にかかれば、我々もそれに参加したいと考えております。残念ながら、外務省が直接この景気対策、円高対策というものにかかわる局面というのはあまりありませんので、それぞれの担当大臣が集約された上で、閣僚としてそれに対して必要あれば意見を申し上げたいというように思います。私(大臣)としては外交をしっかりと進めていくということが非常に重要ではないかと思います。今回もインドのEPA交渉のスケジュールについてほぼ合意したこととか、あるいはタイで自動車産業を中心に、タイの自動車産業は今、非常に調子がいいので、そういったことについて、その前提として、邦人がきちんと保護されるとか、あるいはビジネスがきちんと必要な保証がされるとか、そういうことをしっかりと働きかけをしていくということも、広い意味で経済問題に繋がってくることだと思っております。
民主党政調外務部門会議
【日経 山内記者】本日これから、外交の部門会議があると思うのですが、月末に取りまとめる概算要求について、どの程度民主党の政調の意見を取り入れるべきだと大臣は考えてらっしゃいますでしょうか。
【大臣】本日どういうご意見を頂くかということをまだ聞いておりませんので、それを踏まえないと、白紙で答えるのは非常に難しい問題だと思います。ぜひ前向きの良いご意見を頂くことを期待したいと思います。併せて私(大臣)の方から、一連の最近の海外出張の状況についても報告したいと思っております。