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2010.07.13|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年7月13日)

外務大臣会見記録(平成22年7月13日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)参議院選挙の結果について
○参議院選挙
○スーダンへのPKO部隊の派遣
○六者協議
○衆議院議員の定数削減
○戦後の個人補償
○参院選結果の日本外交への影響
○米軍再編問題
○駐米大使人事
○正文の使用言語
○消費税の増税

冒頭発言
(1)参議院選挙の結果について

【岡田大臣】私(大臣)からは特にございませんが、ただ、選挙が終わった後での初めての記者会見でありますので、私(大臣)もあちこち選対のご指示によりまして応援にはまいりましたけれども、非常に残念な結果になりました。これはもちろん消費税の問題もありましたが、消費税の問題に関して言えば、必ずしも意図したところが伝わっていない、すぐ上がると理解している人が非常に多かったというのが事実だと思います。
そういうこともありましたが、ある意味では去年の民主党政権スタート以来の全体的なことについて、国民の判断が示されたということでありますので、そのことを謙虚に受け止めて、国民の皆さんが1年前に抱いていただいた期待感にしっかりと応えるだけの実績を、これから残していかなければいけないと思います。
 私(大臣)は選挙戦を通じて、我々の任期が3年強残っておりますので、次の総選挙までには何を成し遂げたかということで判断をしてもらいたいと、今回の参議院選挙というのはまだ10か月なので、最終的にご判断いただくには早過ぎるということを申し上げたわけでありますが、そうは言っても10か月間の中間評価を国民からしていただいたということだと思います。
 ねじれというのは非常に厳しい国会運営を迫られるわけですが、しっかりと案件ごとに与野党の垣根を越えてと言うと少し言い過ぎになりますけれども、よく説明をして理解をいただいて、案件ごとに賛同いただく政党というのは違うのだろうと思いますが、丁寧にやっていく必要があると思います。
 従来にも増して国会というのが重要になるわけで、恐らくいろんな法案、あるいは条約も含めて、国会の委員会での場の協議が非常に重要になってくると思いますので、外務省としても委員会の現場と意思疎通とよくしながら、物事を詰めていく必要が更に増したということだと思っております。
 しかし、物事は待ってはくれませんので、外交だけではなくてすべての案件について、待ったなしの状況だと思いますので、しっかりと力を合わせて対応していきたい、菅総理の下で団結して頑張りたいと思っております。

参議院選挙
【TBS 樋口記者】今、大臣がお触れになった選挙のことについてですけれども、消費税にも触れられましたが、残念な結果となった敗因はどうごらんになっているのか、もう少し具体的にお聞かせいただけますか。

【大臣】一言でいえば、10か月間、国民が期待しただけの結果が出せなかったということだと思います。それはそれぞれあると思いますけれども。

【共同通信 西野記者】次の総選挙までに、何を成し遂げたか判断していただきたいという国民向けのお言葉だったのですけれども、衆参の逆転状況というのは非常に民主党政権の政策を実現する上で厳しい状況で、まさに民主党らしさが実現できない状況ではないかと客観的にはそう思います。そこら辺について、どのような形で民主党らしさを今後の政策、国会に法案を出していくのも含めてやっていけばいいのか、そこら辺の見通し、あるいは見立てをお願いします。

【大臣】まずすべてが止まるとか、デッドロックに乗り上げるということではないです。法案を見ても半分以上は野党の一部の賛成も得て成立をしているわけですから、そういうものについてはこれからも期待できるわけであります。
 ただ、民主党の新しいマニフェストで訴えているような政策については、それぞれ他の政党にはご意見がおありだと思いますから、そういったもので何が受入れ可能で、何が可能ではないかの見極めをつけながら、進めていく必要があるということだと思います。
 かなり大変なことではあると思いますが、1つは国民の皆さんの選択の結果でもありますので、その大変な状況の中で知恵を出して、汗をかいていくしかない。ただ、それぞれ与党、野党を経験いたしましたので、国民の立場という観点に立てば、お互い合意できる点はあるのではないかと、そうでないと政治が前を向いて動きませんから、そういうように考えております。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほど10か月間で国民が期待しただけの結果を出せなかったと仰られたのですが、その国民が期待しただけの結果ということに、普天間飛行場の移設が「最低でも県外」と言いながら、結局辺野古となったことは含まれるとお考えでしょうか。

【大臣】普天間の問題は、その中に含まれることは間違いないと思います。ただ、「県外」ということを我々はマニフェストに書いたわけではありませんので、もちろん時の代表が沖縄に行って「最低でも県外」と言われたわけですから、沖縄の皆さんはそのことを当然期待されたと思いますが、全国的に民主党がそういったことを約束したと受け止めておられたかどうかは、また別の問題だと思います。
 最終的には日米合意に至ったわけでありますが、そのプロセスについて、必ずしも国民の皆さんが期待したようなプロセスではなかったということは事実だと思います。

【日本テレビ 野口記者】参議院選挙の結果を受けまして、党内の一部には執行部の進退も含めて責任をとるべきだという声が挙がっておりますが、この点に関しては大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう声があるのかもしれませんが、先ほど言いましたように私(大臣)は10か月間の国民の評価だと思います。ですから、スタートしたばかりの今の菅政権にすべてを責めに帰するというのは、私(大臣)は違うと思っています。

【AERA 大鹿記者】先ほど消費税の話が、必ずしも私(大臣)たちが意図するように伝わっていないというお話がありましたけれども、選挙戦の早々、菅総理があういう格好で消費税の増税を持ち上げた手法、あるいはタイミングはどうお考えになっていますでしょうか。

【大臣】菅総理は増税をすると言ったわけではありません。検討を行うと言われたわけで、それは従来、私たちが民主党として申し上げてきたことと変わらないわけであります。しかし、自民党の10%を参考にすると言ったところが、直ちに10%上げると理解した人が多かった、あるいは報道を通じてそう受け止めた人が多かったということは事実で、そこは言い方、伝わり方の問題というのがあったと思います。

【琉球新報 滝本記者】参院選の関連で、沖縄の選挙区ではご存じのように民主党の候補がいなかった中で、基本的にほとんどの候補が県内はノーだという形で、結果的には自民党の候補が勝たれたわけですけれども、その自民党候補の勝たれた方、それ以外の部分も全部合わせても、その票数が県内移設にノーだというような民意を表しているようにも受け止められると思うのですけれども、その状況について、あと、比例区では民主党の喜納さんが落選されたという事態もどのようにごらんになられているかというのをお伺いしたいのですが。

【大臣】ここのことは、なかなか評価が難しいと思います。喜納さんは「県外」と言われたわけですから、別に「県内」と言われたわけではありませんので、それをどう解釈するかというのは、私(大臣)は評論家ではありませんので、申し上げるべきではないと思います。
 今回は、そういう意味では、県内移設と言った候補者はおりませんでしたので、ある意味では選択肢が県民の皆さんになかったということかと思いますが、しかし、現時点で考えれば、県民の多くの方が「県外だ」というようにお考えだということははっきりしておりますので、この選挙の結果が何を語るのかというのはなかなか難しいのですが、選挙をするまでもなく、ある意味では「県外」という意見が現時点で見れば多いということは明らかだと思います。そういう中で我々が候補者を擁立しなかったというのは、我々の考え方、つまり日米合意という考え方に立つ候補者が見つからなかったと、県連で考えた候補者は県外ということですので、それは我々として、政党として公認できないということになったものであります。
自民党の方がどういうようにお考えなのかというのは、よくわかりません。党として「県外」というように必ずしもお考えではないと思いますので、そのことと、当選された候補者との整合性といいますか、そういったところについては私(大臣)はよくわかりませんが、それはむしろ当該候補者なり、当選された島尻さんなり、あるいは自民党が説明されるべきことであると思っています。

【共同通信 西野記者】選挙の話ばかりで申し訳ないのですけれども、いろいろな理由というものは今回の敗因であると思うのですけれども、一方で、現実として大敗したという事実はあると思います。それで、この大敗というものに対する責任の取り方がやはり、今後、党運営でも大きな焦点になってくると思うのですけれども、外相は党代表で選挙を戦ったこともあれば、幹事長として国政選挙を戦ったこともあるというお立場、経験もあるので、この国政選挙大敗ということを受けて、どのような形で党再生を果たしていくのか。党のありようについて、是非、外務省での記者会見ではあるのですけれども、お願いしたいと思います。

【大臣】質問の趣旨がよくわからなかったのですけれども。

【共同通信 西野記者】民主党の代表や幹事長もやった経験があるリーダーの一人として、国政選挙での大敗という事実を受けて、執行部の責任というものはどのように取られていくべきだと考えているかということです。

【大臣】それは、状況によって変わるのだと思います。ですから、2005年の総選挙のときに、私(大臣)は即日辞任をしたわけであります。しかし、今の菅政権はスタートしてまだわずかでありますので、それで今回の選挙の責任を取れというのは、私(大臣)は違うと思います。
 これはテレビ番組でも申し上げたわけですが、その直前のことを考えれば、よくこれだけ盛り返したという見方もできるわけでありまして、さまざまなこの10か月間の凝縮の結果が今回の選挙結果だと私(大臣)は思っておりますので、その最後の部分だけを担った菅総理、あるいは幹事長に対して責任をというのは、私(大臣)は誤った考え方であると考えています

【伊勢新聞 中森記者】地元の三重選挙区では芝さんが勝ちましたが、かなり差は縮まったと思うのですけれども、その辺の感想についてお願いします。

【大臣】全体の最後の1週間の地殻変動といいますか、そういった中で、よく芝候補は踏みとどまったと思います。ただ、今回の選挙を見ても、より地元にしっかりと訴えていく、そのことの重要さというものを芝さん自身も感じておられるのではないかと思います。

【毎日新聞 吉永記者】先ほど、選挙の大敗の原因は菅総理とか現在の執行部だけではないということをおっしゃっていましたけれども、代表選については、やはり無投票で、菅代表がそのまま代表になられるのが望ましいとお考えですか。

【大臣】これもテレビで申し上げたと思いますが、2年に1回の、党員・サポーターも参加しての代表選挙というものが制度としてあるわけですから、それに「我こそは」という方が手を挙げて出られることに対して、それが間違っているとか、おかしいとか、そういうつもりは全くございません。あとは有権者が判断することだと思います。

【日経新聞 山内記者】先ほど大臣は、案件ごとに垣根を越えて協力も必要だという趣旨のことをおっしゃったと思います。ブログでも、野党とテーマ別に協力できることもあるのではないかということをおっしゃっていますが、連立の形としてはどのようなものが一番適切だとお考えですか。あとは、例えば、何が協力できるものだと考えていらっしゃいますか。

【大臣】私(大臣)は、連立ということは特に考えておりません。現在の連立を前提にはしておりますけれども、それ以上に他の政党と連立を組むということを私(大臣)は考えているわけではありません。もちろん、それを考えるべきは代表であり、幹事長ですから、私(大臣)が決めるわけではありませんが、今、客観情勢を見ても、民主党と連立を組む意欲を示しておられる野党はないわけですから、そういうことには直ちにはならないと思います。もちろん、将来的にそういうことがあるのか、ないのか、それはそのときになってみないとわからないのですが、当面はそういったことは考えにくい状況だと思います。従って、この法案について賛同してくれるところ、例えば、公務員改革はどうかとか、それぞれについてパートナーを探すということだと思います。

スーダンへのPKO部隊の派遣
【朝日新聞 山尾記者】スーダンのPKOの件でお伺いします。仙谷官房長官は、本日にも結論を出すというようなことをおっしゃっていましたが、話し合いの結果、もう結論は出たのでしょうか。

【大臣】結論はまだ出ておりません。恐らく(午後)4時に官房長官がお話しになると思います。

六者協議
【共同通信 土屋記者】六者協議の再開の問題について伺いたいと思います。哨戒艦の沈没について、国連安保理で議長声明が採択されましたけれども、そうした状況の変化を踏まえまして、日本国政府の立場を教えていただけないかと思います。

【大臣】これだけの事件があった後ですので、もちろん、議長声明が出たからそれですべて水に流すということではないわけで、それを受けて北朝鮮側がどういう態度を示すかにかかっていると思います。もちろん、核の問題、ミサイルの問題、或いは拉致の問題も含めて、話し合いは必要で、我々は六者協議というものを否定するつもりはありませんが、何事もなかったようにあれだけの事件が起きて、そして、議長声明も出て、それですぐにということにはならないのではないかと思っています。

衆議院議員の定数削減
【フリーランス 上出氏】選挙に少し関係があるのですが、衆議院選挙。この選挙の直前に、衆議院議員の比例の定数を80減らすという、参議院選挙後にこれを提案するということに対して、いくつかの新聞、地方紙を中心に少し批判的な記事が出ています。例えば、東京新聞では、80減らしてもたかだか60億円ということです。これに対して政党助成金は税金からもらっていて、これは320億円ということです。本当に身を削るということは、こっちの方が先ではないかということです。そして、民主主義の根幹にも触れる問題ですが、少数政党が埋没してしまう、消えてしまう。これについては、岡田さんは、どのようにとらえておりますか、これを強行してやっていくおつもりでしょうか。

【大臣】法案をどういう形にするのかというのはこれからの問題ですから、先ほど来、お話が出ておりますように、民主党だけでは通らないわけですので、政党間の話し合いにならざるを得ないということです。従って、現時点で直ちに法案を出せる状況にあるかというと、出すなら出せてもそれを通すだけの見通しはついていないということだと思います。ただ、いろいろな議論があるかと思いますが、私(大臣)は選挙制度にずっと関わってきた者として、小選挙区、比例、並立制という骨格は、単純小選挙区よりもいいと考えておりますが、今の比例の割合が多過ぎるという状況で、やはり単独で過半数を取るということが必ずしも簡単ではない。過去2回の総選挙は、そのことが可能になったわけですけれども、本来は、小選挙区が300、比例が100くらいの割合が最も望ましい割合であるというのが、私(大臣)の持論であります。これは、経費の節減ということよりも、物事を意思決定していくにふさわしい選挙制度というのは一体何なのかということに関わると思います。多様な民意をなるべく鏡のように反映させるべきだという議論というのは、それは比例制度がいいという結論になるわけです。しかし、それだと恐らく小党分立ということになりかねないので、民意を集約するという意味も選挙制度にはありますから、私(大臣)は300小選挙区、比例100くらいがいいのではないかとずっと思っているところであります。

戦後の個人補償
【フリーランス 安積氏】7月7日の記者会見で、仙谷官房長官が政府として新たな戦後個人補償を検討する必要があると述べられたと報道がありました。これについて、大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】官房長官の発言を、私(大臣)、詳細には承知していないのですけれども、具体的に何を考えておられるのか、そういったことについて、よくまず承知をしてみたいと思います。まだ、そのことについて話し合いを、外務大臣と官房長官の間で行っておりませんので、まず、ご趣旨をしっかりと伺ってみたいと思っております。

【フリーランス 安積氏】報道によりましたら、官房長官は「政府として」というように仰ったと出ています。そうすると、日本国の代表としてというか、日本国の意思として補償をするというようなことを仰ったと出ていますけれども、大臣は、どのようにお考えですか。

【大臣】それは官房長官のご意見ですが、政府として何か具体的な議論をしているわけではありませんので、よく議論してみたいと思います。何に関して仰っているのか、例えば日本にある朝鮮半島の皆さんのご遺骨を返還するという話については、今もやっているわけで、それをよりスピードアップするといいますか、やっていくというようなことは、1つの考え方としてあり得ると思いますし、中身次第だと思います。ですから、もう少し具体的に話し合ってみる必要があるということであります。

【フリーランス 安積氏】。もし個人補償を認めるとするならば、日本と韓国との間の請求権については、1965年の基本条約で既に解決済みということで、双方の国としては、そういう立場に立っていますけれども、日本が新たに韓国の個人の請求権を認めるとするならば、日本国民の朝鮮半島に残していった財産権の請求権はどうなるのかという問題が生じてくると思いますが、大臣としては、官房長官とお話しされるときは、そこまで、例えば検討されるということでお話しされるご予定でしょうか。

【大臣】官房長官が言われた趣旨が、もう既に日韓基本条約で1つの答えに至ったことを、また覆すという意味で仰ったのかというと、私(大臣)は必ずしもそうではないと受け止めていますが、そこの事実関係も含めて、よく確認をしてみたいと思っております。基本的には、日韓基本条約の中で、両国政府が一定の合意に達しているということであります。

参院選結果の日本外交への影響
【時事通信 水嶋記者】参院選の敗北によって、日本外交に与える影響について伺いたいのですが、日米関係でいうと普天間問題の解決に導いていく政権の力が弱まるのではないのかですとか、あるいは北朝鮮外交で北朝鮮が日本の足下を見てくるのではないかとか、いろいろなことが考えられるかと思うのですけれども、参院選を受けて日本外交とか安全保障に与える影響について大臣のお考えを伺います。

【大臣】幸いにして条約などは、あまり国会で賛否が分かれることは少ないのです。全会一致のことが多いわけで、圧倒的多数とかですね。そういう意味では、参議院でねじれが生じていることの影響というものは、他の法案に比べれば、より限定的ではないかというように思っております。そして、そもそも外交というのは、もちろん政党間で意見の違いが当然あるわけですけれども、しかし、なるべく日本の国の利益、国民の利益を体現して行っているわけですので、政党間の対立を越えて、共通の認識、合意に至ることが望ましいと思っております。そういったことについて、より丁寧に野党に対しても説明と働きかけというものを行っていきたいと考えております。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。外交に関連してですが、参院選の結果を海外も注目しておりますが、政権基盤の弱体化によって、中国、ロシアが様子見の姿勢に変化してくるのではないかとの見方が一部にございます。シャトル外交も難しくなるかもしれません。国民に対して分かり易い成果が求められると思いますが、中国、ロシアに対する関係強化の秘策などありますでしょうか。

【大臣】「秘策」という言葉は、私(大臣)はあまり好きではありませんが、ただ、衆参でねじれになったことが、先ほど言いましたように、直接、外交力の低下に結びつくというようには必ずしも思っておりません。ただし、より丁寧に野党に対しても説明を行って、民主党政権になって、外交が180度変わったわけでは必ずしもありませんので、多くのものは基本的に引き継いでやっているものも多いわけですから、そういったことについてより丁寧に説明して与野党を越えて共通の外交というものに答えを見いだしていきたいと思っております。

【共同通信 西野記者】同じ趣旨ですけれども、普天間問題の8月もありますし、11月のAPECの際の同盟深化、普天間問題、こういうことに影響はしてこないのかということが一点、それから地球温暖化対策に関して、民主党の大きな政策の柱の一つと掲げ、鳩山政権、それから菅政権でもやっていくということですが、これを巡っては与野党の対立がこの間の国会でも見られたということもあります。外交政策とも位置づけることができるわけで、こういった面でやはり影響が出てくるのではないですか。

【大臣】普天間問題は、まず8月末までに専門家での議論を行う、専門家レベルの結論を出すということになっておりまして、その議論というものをきちんと進めていく必要があるというように思います。もちろん沖縄がそれに対して理解して頂けるかどうかは少し先の話で、これは丁寧に進めていかなければいけない問題と考えております。今の野党がそういった日米合意についてどう考えるのかということについては、例えば、自由民主党は、元々辺野古沖ということで、当時の政府としての考え方を持っていたわけでありますので、話し合いをきちんと行うことによって、共通点を見いだしていきたいというように思っております。いずれにしても、沖縄の皆さんの理解が得られなければ、前に進められない問題であるということは事実であります。
 地球温暖化は、野党の意見は確かに分かれましたが、民主党のその一定の条件の下での、2020年25%ということに対して、公明党はむしろ生ぬるいと、2020年25%、そういう条件を付けずにやるべきだと主張していたというように思います。自民党の方は、2020年25%は、数字として大きすぎるという観点だったと思いますが。ですから、政党によって、それぞれ意見は異なりますので、なるべく民主党の考え方に近いところを中心に話し合いをしっかりと行っていきたいと考えております。

米軍再編問題
【沖縄新報 滝本記者】今大臣がお話し頂いた沖縄への理解ということで、私がその前にお伺いした参院選の部分で今の現時点では沖縄の皆さんの意向というのは県内はNOだと、反対だということが今の時点では、多くあるわけですけれども、今仰られたように、「理解を求めるということは8月よりももう少し先になるかもしれないが」とあったのですが、いつまでに沖縄の理解というものを11月のAPECにオバマ大統領が来られた時までにその理解を得て整った形にしておかなければいけないとお考えなのでしょうか、それとも知事選が11月にありますけれども、その知事選を経て、その後知事選の結果を見た上でというようにをお考えなのでしょうか。

【大臣】これは理解を頂くことが最優先でありますので、あまりいつまでにというように期限を切らない方がいいと思います。なるべく早くというように思いますが、そういう理解を得られないまま先にどんどん進むということは結局答えになりませんので、そこは慎重に物事を進めていく必要があると思います。もちろん米国もありますから、なるべくしかっりとやっていかなければいけませんが、慌てすぎることが良い結果をもたらさないということはそれは米国も分かっていると思いますし、我々もしっかりそのことは説明をしていかなければならないというように思っております。

【琉球新報 滝本記者】従来お伺いしているのですけれども、その場合の沖縄の理解というのは大臣のお考えの中では、どういうものを沖縄の理解を得たということになるのでしょうか。改めてお伺いしたいのですが。

【大臣】それを今定義付けることはあまり生産的ではないと思います。多くの沖縄の皆さんが理解していただくということです。

【時事通信 水島記者】普天間に戻ってしまうのですけれども、普天間に関してて自民党とも元々辺野古なので共通点を見いだしたいというようなお答えがありましたけれども、今まで割と敵対的な雰囲気の中でこの普天間問題は進んできたと思うのですけれども、これからは自民党に何らかの形で協力を求めたりとか、そういうことも場合によっては考えられるというようなことになるのでしょうか。

【大臣】協力を求める時はそれで何らかの前進があるという見通しがついた時にはそういったこともあるかもしれませんが、現時点では必ずしもそういうことではないというように思いますので、少し時間をかけて信頼関係を醸成していく必要があると思います。私(大臣)はそもそも前の国会を経験して、やはり外交なのだからここまでいろいろな意味で対立的に考える必要はないのではないかと思ったこともあります。もちろん対立するべき点はあっていいですけれども、そうではなく、協力してやっていくというものももっと本当はあるはずでありまして、そういうことは我々も努力が足りなかった、もう少し丁寧にしっかり説明をするべきではなかったかというように思っているところであります。

【NHK 別府記者】自民党と、この問題で協力するというのがちょっとイメージが湧かないのですが、問題は今、対沖縄の説得というか理解を得るということですので、政権与党・政府と沖縄の関係で今焦点だと思うのですが、この文脈で自民党との協力というのは具体的にどのようなイメージなのでしょうか。

【大臣】現に国会の中で進めていこうとすれば、ねじれになっているわけですから、やはりそれに対する理解、国会の中でも理解し支持してくれる政党が必要になってくるということです。ただそれは少し先の話であることは間違いありません。

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。普天間基地問題を巡る代替施設の位置決定等は8月末、名護市議選、民主党代表選が9月と、さまざまな問題が同時期に集中いたします。ここで改めてお伺いしたいのですが、前政権時、一時官邸主導となり外交交渉が混乱した時期もありましたが、外務省としましてこの辺りの交通整理はできているのでしょうか。

【大臣】先ず、今仰った中で、8月末に位置とか工法が決まるというのは必ずしも正確ではなくて、専門家の中で検討する、その結果が出るということであって、政府として8月末に決める訳ではありません。専門家の結論を得た上で、おそらく2+2、防衛・外務両大臣4人で何らかの形にするということです。それまでには、一定のプロセスが必要になるということです。それから、混乱したという面があったということは率直に言って否めないと思います、途中の段階で、やはりこれは国務省と外務省でやると(決めて)、そのほかのルートというのは正式なルートではないということを確認し合って進めてきておりまして、その考え方は現在も変わりません。二重三重にルートができるということは、私(大臣)は誠に稚拙な外交であると思っておりますので、そういうことは絶対に避けなければならないと思います。それは外交の基本だと思っております。

駐米大使人事
【AERA 大鹿記者】先日も質問があったかもしれませんが、朝日新聞社の船橋洋一室長が駐米大使とかに起用するという話が一部噂で出ていますけれども、そういうお考えはございますでしょうか。

【大臣】人事の話をあるないというように言い出すときりがないので、基本的に申し上げるべきでないと思いますが、私(大臣)は初耳でございます。いや、初耳ではありませんが、何回も聞きましたけれども、私(大臣)の口からそういうことが出たことはございません。

【AERA 大鹿記者】本人からの売り込みとかということでもないですか。

【大臣】それは私(大臣)は承知しておりません。船橋さんとお会いすることはありますけれども、そういう話が出たことはありません。

【AERA 大鹿記者】何らかの形で外務省のポストに起用するということはありえますか。

【大臣】現時点ではそういうことはないと思いますが。

【AERA 大鹿記者】分かりました。

【大臣】そういうように一人ずつ聞かれたら、そのうちこの大使は誰か等、だんだん分かってしまうので、これからはその質問には答えないようにしたいと思いますが。

正文の使用言語
【週刊金曜日 伊田記者】5月28日の日米安全保障協議委員会の共同発表の正文が英文であって、日本語が仮訳になっていることについてご質問いたします。大臣就任以来、情報公開で国民の立場に立ったり、先日の外務省顧問の退任などについて、今までの慣行であっても直すべきところは直すべきといろいろ改革されてきたことを高く評価されます。共同発表が、日米合意のときに、正文も日本語のものも作るべきではないかと思うのですが、今回の共同発表の正文を英文だけにするというのを大臣が何らかの日本語の正文も作るべきではないかと内部で検討されたことがあるのかないのかということが1点です。それから、やはり日米関係を考えるときに日本語で正文を作るべきだと私は考えるのですが、今までずっと共同発表が英文だけであっても、今後は日本語の正文を作る努力をされていくおつもりがあるのないのか、議論も含めてお聞かせください。

【大臣】まずは今回の合意の正文は英語です。それは英語で最終的に合意をしているわけで、交渉も英語での表現を巡ってやってきたわけであります。我々はある程度英語がわかりますが、恐らく米国の交渉相手は日本語がわからないので、結局英語で交渉する、英語の文書でやり取りするということになります。それに対して日本語の正訳というかそういうものをつけるということも考えられますが、むしろそれが本当に一字一句何の疑問もないかどうかということをやるとなれば、また時間がかかるわけです。そういう意味で正文は英語、それを我々なりに訳すとこうなるということでお示しをしているものであります。是非英文で判断していただければと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】例えばロシアとの交渉については、日露両方の正文を作っていると理解しておりますけれども、対米国との関係について米国の言語だけが正文であるということについて、今後も続けられることに疑問はないのでしょうか。

【大臣】時間がかかるということがあります。日米の正文を同時に発表することになると、発表にもそれだけ時間がかかることになります。そういう問題もあるということです。英文以外の言葉ですと、ほとんどの人がわかりませんので、そういう意味で日本語訳をつけて正文にするということも当然あります。別に他意はないのですが、英文でそこまでする必要があるのかという感じはあります。

消費税の増税
【世界日報 山本記者】増税の問題を菅総理が言われて、それを誤解されたという形で理解が進んでいるのですが、そもそものこの消費税の増税という問題が俎上にのぼってきたのは、おそらくサミットに行かれるということで「財政再建のプランをどのように日本は考えているのか」という形もかなり要因としてあったと思います。外相も一緒に同行されまして、そのような方向で今後やっていこうという形は整ってきたのではないかというのは私の憶測ですが、そうした場合に同行されながら選挙での消費税増税という形のことも理解を求めなければいけないのかなということで、総理が外相と打ち合わせたりとか、そういういきさつについてはどのような形だったのでしょうか。

【大臣】打ち合わせとか、そういうことはございません。それから、消費税の増税については、先程も申し上げましたように、議論はするということで我々は総選挙を戦っております。ただし増税はしない、増税をする前にもう一回総選挙をするということです。1年前の代表選挙で鳩山さんと私(大臣)が戦った時の争点の一つがこれだったのですが、私(大臣)は「議論は行うべきだ。上げるのはその前に総選挙を行うべきだ。議論をもっとしないのはおかしい」と申し上げました。鳩山さんは当時「議論すらしない」と言っておられこともありますが、民主党の代表選挙の中で、「それは議論すらしないということではない」というように変えられたと私(大臣)は認識しております。したがって、マニフェストの中にも税制全体の抜本改革についての議論というのは盛り込まれていたはずですし、議論もしない等ということは考えていなかった訳で、その当然のことを菅総理は言われたということです。そういう意味では規定方針と変わっていない訳です。ただ、受け止めた側は、民主党はもうすぐ、この選挙が終わったら増税するのかというように受け取った方が多かったことも事実です。「次の選挙まで増税はしません。皆さんの考え方を聞いて、その上で信任が得られれば増税ということはあるかもしれないけれども、それまでに勝手に消費税を上げることはありません」と演説すると拍手がでましたから、ということは、増税すると思っている人がいかに多かったかということです。そういう誤解の中で投票日を迎えたということは非常に残念なことだと思っています。

【世界日報 山本記者】自民党の方は10%上げるということで正式にマニフェストというか、そのようなものを書いて発表して自民党の方が勝ったという点がありますし、増税発言が誤解されたという一つの要因としては、それがいろいろと論議される中で首相が所得制限とか還付の問題とかふらついてきたということで、政権担当の政党として少し心許ないのではないのかというイメージを与えたという面も指摘されているのですが、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】いろいろなことがあったかも知れませんが、それは全部想像の世界ですので、数値的に裏付けられている訳ではありませんので、あまり私(大臣)が評論家のようにコメントするべきことではないと思います。自民党は10%上げるということを知らずに、民主党は(消費税)上げるのでけしからんから自民党に、という方も結構いらっしゃったのでないかと思います。何より「みんなの党」が最大の受益者であったというか、消費税を上げないということを強調されましたので、民主党が上げるというように思われた方は結果的には「みんなの党」に投票したというケースが非常に多かったのではないかと思います。もう少し、いろいろなことを考えて発言をすればよかったということも言えるかもしれませんが、選挙ですから完璧はありませんので、いろいろなことが起こりうる訳であります。

【フリーランス 上出氏】自民党が10%消費税を掲げながら票を伸ばしたということから見たら、消費税が否定されたとはとらえられないのでしょうが、ある意味では民意は消費税に対して反対であるということを突きつけたとも取れるのですが、全く議論をやるというスタンスは変えないで、あくまでも消費税の議論を始めていくという、少し民意に配慮して、そういう問題はもう一度最初からやり直す、あるいは無駄使いの削減のことは言っておりますが、それも含めてもう一度仕切り直しをするというようなスタンスはないのでしょうか。

【大臣】まずこれは、必ずしも私(大臣)が決めることではないのです。もちろん最終的には内閣でということになる訳で、そういう意味では関係はあるのですが。我々は消費税の話だけを言っているのではなく税制全体の改革です。税制全体の改革の前にやはり歳出として、どのくらいの年金・医療・介護や子育て支援や教育でどのくらいの歳出を見込んでいくかということ、そして既存の歳出をどれだけ削れるか、その差額は国債発行と増税になる訳ですから、その増税の中で消費税というものをどう位置付けるかというトータルの議論というものをこれから始めていきましょうということで、消費税の増税だけを切り離して議論するつもりは元々ありません。そういうところも若干誤解されているのかもしれません。今の国の財政を考えれば議論すらしないというのは、極めて無責任だと私(大臣)はむしろ多くの国民はそう思っていると思いますが。




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