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2010.07.27|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年7月27日)

外務大臣会見記録(平成22年7月27日(火曜日)15時37分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)出張報告
(2)ピン・アフリカ連合(AU)委員長の来日について
(3)ソロモン諸島への我が国の選挙監視団の派遣について
○米軍再編問題
○民間サイトによる米国内部資料の公開
○日本文化の発信
○日中ガス田協議
○米海兵隊のグアム移転
○中国における邦人逮捕事案
○民間人の大使任命
○ロシアの対日戦勝記念日の法案
○イランへの金融制裁
○中国軍事力についての丹羽大使の発言
○2011年度予算
○金賢姫元死刑囚の訪日
○辻元議員の社民党離党
○南シナ海問題
○国際コンテナ戦略港湾の選定

冒頭発言
(1)出張報告

【岡田大臣】それでは、私(大臣)からは、まず出張報告です。もう詳細には申し上げる必要はないと思いますが、アフガニスタンにおけるカブール国際会議、ベトナムにおけるASEAN関連会合、すなわち日・ASEAN、ASEAN+3、EAS、ARF外相会合、日メコン外相会合、その後、ベトナムとラオスの公式訪問ということであります。その合間を縫って、ベトナム、ラオスも含めて、全体で15の国の外相とのバイの会談を大体30分から40~50分ということで行いました。
 今回、カブール会議は、カブールでこれだけの主要な国の外務大臣が集まってアフガニスタンの、あるいはカルザイ政権の支援ということで一致をしたということの政治的なメッセージは非常に大きなものがあると思います。加えて、そのことはやはりアフガニスタンの国民にも、大きな勇気付けになったのではないかと考えております。
 ベトナムにおけるASEAN関連の会合はそれぞれ興味深かったわけですが、特にARF外相会合が非常に興味深い会合になったわけで、特に北朝鮮の問題と南シナ海の問題について、かなり活発な意見交換というと少し言い過ぎですが、各国外相がその強弱の差はあるにしろ、触れたということであります。
 北朝鮮の方は天安号の沈没事案について、多くの国の外務大臣がこれに対する北朝鮮の批判といいますか、あるいは安保理議長声明に対してきちんと実行に移すべきといいますか、それをきちんと受けとめるべきだといったことを述べたわけであります。
 私(大臣)が聞いていて、北朝鮮を擁護する声というのは、北朝鮮自身はともかくとして、ほかにはほとんど聞かれなかったと、全くゼロだったということではありませんが、多くの国が韓国に対して哀悼の意を表して、こういうことが繰り返されないようにという趣旨で話をされたと思います。
 南シナ海の方は、南シナ海が平和であるためにASEANの国々がそれぞれ発言を行ったということであります。ASEANの多くの国、特に関係国から2002年の「南シナ海における関係国の行動に関する宣言」に基づいて平和的に解決することを求めるという発言が、これも強弱はかなりあるのですが、なされました。
 全体の会合、発言は原則1回といいますか、時間的にいってそう長くは話せないのですが、私(大臣)もいつ発言することが一番いいか、効果的かということを考えて、韓国はかなり早い段階で当事者として発言をされましたが、最終的に各国がすべて発言して、残ったのが北朝鮮と中国と日本と米国という状況になって、その中で北朝鮮の朴外相が発言をされました。
 北朝鮮側からは、例の調査、韓国政府中心に終わった調査というのがちゃんとしたものではないということを述べつつ、自らを擁護する発言をかなり大きな声で発言をされたということであります。
 それを受けて、私(大臣)も手を挙げたのですが、クリントン長官が先に北朝鮮の話と南シナ海の話のそれぞれ含む一連の発言をされました。
 私(大臣)は最後から2番目、楊潔箎外相の前だったのですけれども、この北朝鮮の問題について特にでっち上げといいますか、そういう発言が調査についてありましたので、「そういう発言は受け入れられない」ということを申し上げた上で、強く反論をしたわけであります。同時に南シナ海の問題についても、「アジア太平洋地域が海洋で結ばれている。周辺海域の平和と安定あるいは海洋交通の安全確保はこの地域の発展にとって特に重要であるということを発言させていただきました。
 最後に楊潔箎中国外相が南シナ海の問題は二国間で話すべき問題ではないかということで、少し長くお話しになりまして、それを受けてもう一度私(大臣)の方から発言をして、最後更に楊潔箎外相が発言して終わったという流れでありました。
 いずれにしても、ああいう場でこういった北朝鮮や南シナ海の問題がきちんと議論されたことは、私(大臣)はよかったと思いますし、南シナ海の問題は建設的な話し合いが行われて、今ある問題が前向きに解決されることを期待したいと考えております。
出張報告は以上であります。もちろん、ベトナム、ラオスではそれぞれの要人の皆さんと率直な意見交換ができたということであります。

(2)ピン・アフリカ連合(AU)委員長の来日について

【大臣】もう一つは、ピン・アフリカ連合(AU)の委員長の来日について、8月1日から3日まで外務省賓客として来日をされます。私(大臣)も当然、会談をいたしますが、AUが平和安全保障及び開発の両分野でより自由な役割を果たすようになってきたということにかんがみて、より一層関係を強化したいと考えております。
今年はアフリカ17か国が相次いで独立したアフリカの年から50周年に当たるということもあり、3日の午後にシンポジウム「アフリカ統合の現在と未来-新しい日・アフリカ関係に向けて」を国連大学において、こういったものを開催することにしております。ピン委員長には基調講演を行っていただくことになっておりますので、是非ご関心をお持ちの方はふるってご参加をいただきたい。ホームページに案内が載っているということでございます。

(3)ソロモン諸島への我が国の選挙監視団の派遣について

【大臣】もう一点は、ソロモン諸島への我が国の選挙監視団の派遣についてということで、8月4日に予定されているソロモン諸島総選挙において、自由かつ公正な選挙が行われることを支援するために、岩撫明在ソロモン臨時代理大使を団長とする本省職員、在外職員、民間有識者、合計7名からなる選挙監視団を派遣するということでございます。
 依然として潜在的な民族対立が残る同国にとって、今回の選挙は民主主義の定着を図る上で非常に重要な選挙である。我が国の選挙監視団はソロモン政府の要請を受けて、UNDPが組織する国際選挙監視団の一員として従事するということで、我が国のほか、豪州やニュージーランドも参加をするということでございます。

米軍再編問題
【ロイター通信 久保田記者】普天間問題についてお伺いしたいのですけれども、今朝、首相や北澤防衛大臣が関係閣僚の方々と協議したと伺っているのですけれども、この協議の内容を教えていただけないでしょうか。お願いします。

【大臣】今朝、集まりましたのは、官房長官も記者会見で述べておられるように、私(大臣)の出張の報告も含めて、さまざまな問題を議論いたしました。もちろん、普天間の問題も話題になったことは事実であります。ただ、そう突っ込んだ議論をしたわけではありませんし、もちろん、総理の下で閣僚が話したことを明らかにするということは、基本的には、それはないということでございます。

【NHK 藤田記者】仙谷官房長官は午前の記者会見で、情報集約とか対応を考えていくと、官邸を中心に普天間問題を処理していくのだと。そのための仕組みづくりも総理と相談しながら考えたいと言っているのですけれども、それはどういうイメージなのか。外務大臣として、どう受け止めていらっしゃるかということと、それから、今後の普天間問題は8月末までに専門家で検討を終えるということが日米合意されているわけですけれども、今後どういう段取りをイメージされているのかを教えていただけますか。

【大臣】まず官邸が中心になってというのは当然のことであります。米国の関係もありますけれども、同時に沖縄の関係もありますから、全体の司令塔といいますか、官房長官なり、あるいは副長官にその司令塔を担っていただくということだと思います。具体的にだれがどうということについては、官房長官がお話になるべき話だと思っております。今後の段取りについては、日米合意にあるとおりであります。それ以上のことを特に申し上げることは、内容としては特にございません。

【時事通信 水島記者】今後の段取りで、日米合意に書いてある以上のことは今の時点ではないということなのですけれども、専門家の検討の完了を受けた2プラス2の開催時期は、12月28日の沖縄知事選よりも前にできるというような認識でよろしいのでしょうか。

【大臣】先ほど申し上げましたように、8月末に専門家の検討を終えるということは日米合意の中に書いてありますが、2プラス2の時期は書いてございません。ですから、先ほど答えたとおりであります。その前であるとか後だとか、まだ、それを申し上げる状態ではございません。

【共同通信 西野記者】ただ、余り遅くならないようにということは共同声明の中にも書いてあったと思うのですけれども、そこら辺はいかがですか。著しく遅くなってはいけないということは触れてあったような気がするのですが。

【大臣】具体的にどういう表現になっていましたか。

【共同通信 西野記者】そこまでは。不勉強で申し訳ありません。

【大臣】いずれにしても、この日米の共同発表どおりであるということを申し上げておきたいと思います。

【NHK 別府記者】この問題は、日米の外相会談でも出ましたように、沖縄の理解ということが非常に重要だと思うのですが、沖縄の知事選を待った方が沖縄の理解が得られやすくなるのか、あるいは待たない方がいいのか。いずれにしても、待つことによって理解が深まるというようには見ていらしゃるのでしょうか。

【大臣】そういうことも、現時点ではあまりお答えできません。私(大臣)の感想を言うわけにはまいりませんし、どう答えても、それはまた翌日の新聞に記事が躍るわけですから、新聞ではなくて7時のニュースかもしれませんが、それについてはお答えしない方がいいというように思います。

【共同通信 西野記者】そういったことも本日の午前中はお話しになられたわけですか。

【大臣】本日は普天間についても触れたということですけれども、そんなに深く議論をしているわけではありません。

【共同通信 西野記者】ただ、今後の8月の期限とか、その後、どうやっていくのかとかというようなことは、やはり政権にとってもかなり大きなことなのではないでしょうか。

【大臣】そのことと、本日話したかどうかは、また別の話だと思います。

【琉球新報 滝本記者】米国議会の下院の歳出委員長を務めていますフランク議員が、海兵隊の存在について、冷戦時代の遺物だと、沖縄に海兵隊がいる必要はないというような論文を、民主党だけではなく共和党の方との共同論文で出されたりというような形で、米国議会の中でも海兵隊の撤退論といいますか、不要ではないかというような、財政面も含めた背景があると思いますが、そういう声が出てきていることについて、大臣はどのように受け止められておられますか。

【大臣】国会議員の中にもいろいろな議論があるというのは、日本もご承知のとおりであります。ですから、私(大臣)が一つ一つについて、何かコメントするということはございません。

民間サイトによる米国内部資料の公開
【フリーランス 上杉氏】先日ですが、米国の内部告発サイトのウィキリークスで、アフガニスタンに関する軍事作戦の機密情報が一部公開されました。それに基づくと、かなりこれまでの米国の政府の報告と違う部分があると思われるのですが、この内容によって日本政府のアフガニスタンへのいわゆる政策、それから、テロ特措法も含んだ部分について変更の可能性はあるのかどうかをお聞かせください。

【大臣】まず、その中身を詳細に承知しているわけではございません。分析をしたわけではございません。そういう段階ですから明確なお答えは非常にしにくいのですが、そもそも漏れたものが、それは事実なのかどうかということについても確認されておりませんので、特にそういった状態でコメントするのは適切でないと思います。

日本文化の発信
【フリーランス 島田氏】先日、タイで日本語でアニメソングを歌うカラオケコンテストが大使館主導で行われたという報道があったのですけれども、その後、外務省として、各国でこういうアニメとか、日本の文化を伝えるようなカラオケコンテストなどをやるような方針とか考えというのはおありでしょうか。

【大臣】すみません、タイのことは、私(大臣)は承知をしておりません。しかし、日本文化を伝えるための一つのいいきっかけになったのであれば、他の大使館においてもそういうことを考えるというのは、アイデアとしてはあり得ると思います。タイで行われたものがどういう状況だったのか、よく把握をしてみたいと思います。

日中ガス田協議
【毎日新聞 西岡記者】本日から東シナ海のガス田の条約締結交渉が始まりましたが、今回の交渉のねらい、進捗状況、あとは見通し等についてお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】これは交渉が始まったということでありますので、まだ、その途中の段階で詳細にお話しするわけにはまいりません。しかし、これは局長クラス、あるいは長官、長官というのはエネルギー庁長官です。長官クラスでのそういった話し合いというのは、長年、我々が求めていったもので、それがようやく始まったことは非常に感慨深く思っております。しかし、問題は中身でありますので、より充実した議論が行われるということを期待したいと思います。
 今回、どういう議論が行われたかということについては、特に現時点でお話しすることはございません。私(大臣)が充実した話し合いが行われることを期待すると申し上げたのは、一般論として申し上げましたので、今回が充実していなかったということを意味するものではございません。

【共同通信 斎藤記者】ガス田関係ですが、中身はまさに協議中のことなので、お伺いしませんが、これだけ長年懸案となってきた問題です。大臣として、大体どれくらいのスパンで、この問題の落としどころを見つけていきたいのか、大体ゴールを何か月後、あるいは何年後というのでしょうか、大体決着に向けたイメージを説明していただければと思います。

【大臣】これは率直に相手のある話ですから、こちらだけの希望を述べることはいくらでもできます。なるべく早くということでありますが、実際、交渉をやってみないとわからない部分が多いと思います。
 しかし、これはそもそもこの局長クラスでやろうと、今回始めるきっかけは、我々はずっと求め続けてきたわけですが、5月末の温家宝首相の訪日時の首相のご発言ということですから、そういう意味では、円滑に議論が、交渉が行われるということを期待しております。

【共同通信 斎藤記者】今回の協議では、少なくとも日中合意に基づけばテーマは2つあって、1つは北部海域の共同開発。2つ目は、白樺(中国名:春暁)への日本企業の出資参加と、2つの柱があるということだと思いますが、東シナ海はそれ以外にも、いろいろなガス田、既に中国側が開発済みのガス田もありますし、今後、開発される可能性のある有望な海域もあるわけですが、そうしたその他の海域について、どのように協議を進め、どのように開発への道筋を付けるつもりなのか、大臣のご所見をお伺いします。

【大臣】今、言われた北部海域における共同開発、それから白樺中国語で言えば、春暁プロジェクトについての日本企業の出資という2つの問題について、今、交渉が始まったばかりですから、それ以外のことについて、今、言うことは、それはちょっと時期的に早いのかなと、まず、この2つを確実にきちんと議論して結論を出すと、その信頼関係に基づいて、それ以外のことについても議論していくと、こういうことだろうと思います。

米海兵隊のグアム移転
【琉球新報 滝本記者】海兵隊のグアム移転に関連してですけれども、米国の議会の方で、予算の原案からの削減の委員会の通過とかもありますけれども、報告書の方で、2014年までの移転完了というのがなかなか難しい、17年になるのではという見解を出されたりとかありますけれども、これは議会の1つの見方、そういう見方もできると思うのですが、米国の中で、そういう声が出てきていることについて、どのようにお受けとめになられるのかということと、それが更にひいては、普天間の移設について、どういう影響を与えるのかということを併せてお伺いしたいのですが。

【大臣】米国からは、まず、公表予定の報告書が報じられているわけですが、これは正式に公表されたものではないということですので、それに基づいて日本政府として何か申し上げるということではないと思います。ただ、米国側からは、2014年を移転完了のターゲットとしているということは変わらないという説明は受けているところであります。
 したがって、2番目のご質問について、米国側が変わらないと、現時点では言われているわけですから、特にコメントすることはございません。

【琉球新報 滝本記者】グアム移転に関連して、地元の方ではインフラの整備とかも含めて、これのお金では足りないのではないかというようなことがグアム州政府の方は米国政府の方に要望なりを出されているようですけれども、そういう意味で、グアム移転全体の額が膨れ上がるのではないか、更に増額されることになるのではないかというような見立てもいろんな部分で出ているのですけれども、その関連で、日本側の負担が更に増えるのではないかという考えもありますけれども、そのことについて、グアム協定では枠を決めていますけれども、更にそれが増額という米国側の要求があれば、どのように日本政府として対応するのかということについては、いかがでしょうか。

【大臣】要求があればということですから、それは仮定の議論ですから、仮定の質問に対してお答えをする話ではないと、我々は今、決まったことについてきちんとやっていくということに尽きると思います。その前提が変わるということになれば、正式にそういうお話があれば、その時点でどうするかということを考えていくということだと思います。

中国における邦人逮捕事案
【フリーランス 安積氏】7月17日に中国の珠海市の方で、3名の邦人が麻薬容疑で逮捕された等の報道がありました。今年4月には、同罪で4名の邦人が死刑に処せられていることから、今回も厳罰が予想されますが、これについてどのように対応されるというおつもりでしょうか。

【大臣】麻薬容疑ということで身柄を拘束されたということは承知しております。基本的には、それは各国が自らの法令に従ってやっていることでありますから、そのことについて、逮捕拘留そのものがおかしいという議論はできないと思います。今後、裁判が始まれば、裁判の状況などを見ながら、対象になった方のご要請に応じて、どういった日本政府としての対応ができるかということは、よく考えていきたいと思います。
 残念ながら、既に死刑になった方々に対しても、日本国大使館としてはアプローチをして、その要請にお応えしたりしてきたという経緯はございます。日本国政府ですから、そういった容疑で逮捕されたとしても、日本人に対して法令の許す範囲で、できる限りのことはしていかなければいけないというように考えております。

民間人の大使任命
【ブルームバーグニュース 坂巻記者】大使の任命についてですけれども、中国とギリシャにおいて、民間人を日本の大使とされましたが、例えば米国のようなところでも積極的な民間人の登用をしていきたいとお考えでしょうか。あるジャーナリストの名前も取り出されているようですが、いかがでしょうか。

【大臣】何回もよくその質問が出るのですね。そのたびに私(大臣)はお答えしているつもりですが、一般論として言うと、それは適材適所、いい人がいれば、それは必ずしも外交官である必要はないと思います。しかし、外交官の中には、非常に経験もあり、優秀な方はたくさんいますから、外交官だからだめだというつもりは全くありませんし、それはまさしく適材適所で考えていくということだと思います。

ロシアの対日戦勝記念日の法案
【読売新聞 川崎記者】25日にロシアで事実上の9月2日の対日戦勝記念日を定める改正法が大統領の署名で成立をいたしました。これに関しまして、先に武正副大臣の会見では、特にロシア側に何か申し入れるとか、そういうことはないようなことを仰っていたのですが、大臣に改めてお伺い致しますが、この記念日が定められたことについての大臣のご所見と今後に与える影響、それから、成立した後で改めて日本政府からロシア政府の方に対して何らかの申し入れや抗議等をしていないかどうかについて、改めて確認致します。

【大臣】ご存知のように、この改正法は先ず、9月2日を祝日とするものではない。第二に日本への言及も含まれてはいないということです。そういう意味では、我が国の立場に一定の配慮を行ったものであると考えております。しかし、「今回の法改正は現在の日露関係に相応しいものとは思えない。本件が日露関係に否定的な影響を及ぼさないように適切の対応して欲しい。日本側としては、今後のロシア側の対応を注視していく」旨の申し入れを行ったところです。

【読売新聞 川崎記者】今、大臣が仰られたことの確認ですが、ロシア政府に申し入れを行ったところといいますのは、これはいつの時点で申し入れをされたということでしょうか。

【大臣】27日、東京において、欧州局参事官から在京ロシア大使館の臨時代理大使に申し入れを行いました。

【世界日報社 山本記者】ロシアにとっては、ロシアの事情に詳しい人の説明によれば、逆に対独戦、いわゆる欧州をナチスの支配から解放したという意味で、この対独戦が終わったということがロシア人にとっては、戦勝記念日であり、ほとんど戦争の終わりであったという印象であったと。その後、極東のことで日ソ不可侵条約を破って攻めて、あるいは北方領土をその延長で占拠されたということは、ほとんどロシア人にとっては印象の薄いことで、いわんや歴史的にもほとんど習っていないし、当時生きて戦った人にとっても印象の薄い戦いであったという見方もある訳で、そういう意味ではこれを逆手にとってと言えばおかしいと思いますが、逆にこの「第二次大戦終結の日」という制定を踏まえて、日本側がどういう経緯でそういう終結になったのか、北方領土はどういうことで今の状態になったのか、ロシア人の一般的な見方としては、日本が領土欲でそれを主張しているというような印象も持っているやにも言われておりますので、そういった事実関係を逆に明確にすることで北方領土返還に対しての何かの布石に利用していけるのではないかという見方もあるのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】8月15日以降、日本とロシアの間でどういったことが起きたのかということは、日本政府としては今までも主張をしておりますし、昨年12月、ラブロフ外相と私(大臣)が会談をした時も、主張はかみ合いませんでしたが、かなりこの問題で明確にこちらの考え方を説明をしております。

【共同通信 斎藤記者】根本的にこの問題は、第二次世界大戦の終わった日を8月15日とみるのか、それとも9月2日とみるのか、簡単に言えばここに対立点があると思いますが、9月2日を終戦の日とする見方に、これはロシアだけでもないようですが、こうした見方に一定の合理性があるのか、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】そこは定義の問題です。日本としてはポツダム宣言受諾の発表をしたということです、8月15日をもって無条件降伏を明らかにした訳ですから、そこで終わったというように考えている訳ですが、9月2日というのは戦艦ミズーリの艦上で日本が無条件降伏文書に署名をした日です。それも一つの区切り、つまり法的にはそこで戦争状態が終了したということも言えますので、9月2日そのものが適切でないかどうかということについては、一つの考え方としてあるのだろうと私(大臣)は思います。一般論として申し上げて、今回のロシアが9月2日を記念日にしたということが妥当かどうかということと離れて考えれば、日本政府としての意志を明らかにした日とサインをした日と、両方一つの区切りだろうと思います。

【NHK 別府記者】欧州局参事官からの臨時代理大使への申し入れの件ですが、一つはレベルとしてはこのレベルが妥当だという判断はどこにあったのでしょうか、よりもう少し高官で申し入れるお考えはなかったのかということと、申し入れの内容で「現在の日露関係に良い影響を及ぼすものではない」とのことですが、もう少し分かりやすく具体的にどういったメッセージを伝えたのか教えて下さい。

【大臣】まず、ベール駐日ロシア大使はロシアに一時帰国中です。したがって、臨時代理大使がロシアを代表して東京におられる訳で、臨時代理大使に見合った欧州局参事官から申し入れを行ったということです。中身は先程申し上げたところですが、第一に今回の改正法は現在の日露関係に相応しいとは思えない。日本国民、特に元島民の方々の感情にかんがみれば、このような法改正は残念である。第二に、今後本件が日露関係に否定的な影響を及ぼさないよう適切に対応して欲しい。第三に日本側として今後のロシア側の対応を注視していく。この三点の申し入れを行ったところです。

イランへの金融制裁
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。先日のことですけれども、コーエン米財務次官補が来日しまして、核兵器開発の疑いのありますイランに関連しまして、金融制裁への協力を日本のメガバンクに直接要請したとの報道がございました。メインは財務省だとは思うのですけれども、原油調達への影響もあり得る問題でございます。現段階におきまして、大臣、外務省はこの米国独自の動きに対しましてどのようなご見解をお持ちでしょうか。

【大臣】今のお話は、まずこれは米国だけではなくて、EUも外相会議で決定を行いまして、そういう意味では、米国が自分だけでやっているのではなくて、こういった追加的な制裁について協力していこうという流れの中にあります。したがって日本としても、よくEU、米国の制裁内容等を吟味しながら、日本としての取り得る措置ということについて決定をし、発表をしたいというように考えているところであります。現在まだ検討している最中であります。もちろん日本の銀行が対応することについては日本政府が決定することであって、先般、米国高官が直接そういった発言をしたというようには考えておりません。意見交換をしたということだと思います。

中国軍事力についての丹羽大使の発言
【日本テレビ 野口記者】先ほど大使人事に関連しまして、大臣は適材適所だと仰いましたが、今度中国に行かれる丹羽大使ですけれども、歓送迎会の席だったということなのですが、中国の国防費に関して、大国として当然と言えば当然であると、要するに莫大な国防費を計上していることに対して、当然と言えば当然だというような発言をされたということですけれども、中国の国防費の不透明性等が批判される中で、大使として今度赴任されるというお立場で、それが適切な発言かどうか、適材適所の人事という観点からご覧になって大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】どういう発言をしたかというのは、全体を捉えなければ、一部だけ切り取って言うのは適切でないというように思います。丹羽大使が言われたことは、大国としては当然のことといえば当然かもしれないという趣旨のことは言われたと思いますが、それはいわば枕詞であって、中国の軍事費の透明性の重要さということをその時言われているわけですから、そのうち一部だけ切り取るという報道というか発言はいかがなものかと考えています。

2011年度予算
【NHK 藤田記者】本日夕方に臨時閣議が開かれて概算要求の組み替え基準という言い方をするのか、1割削って出してきてくれと、政策コンテストをやって成長に繋がるような分については特別枠として1兆円を超える範囲内で認めますよということなのですが、今日の閣僚懇談会で議論をして閣内は収まったようですけれども、前原大臣などは非常に批判したりして、閣内でいろいろな意見はありますけれども、大臣としてはこのやり方をどう受け止めているのか。外務省としてはどう対応されていきますか、特に何を削って何を上積みで出そうとされているのかを教えて下さい。

【大臣】一律削減よりは、よく各大臣の意見を聞いて、実質的に考えてもらいたいということは、私(大臣)は今まで何度か発言をしてきております。しかし今日は特に発言をしませんでした。十分私の考えはもう伝えたつもりですし、そういうことも踏まえた上で総理や官房長官、あるいは玄葉大臣が一律10%ということを打ち出されたわけですから、今日は私(大臣)は黙って聞いていたところであります。いろいろな議論があり得ると思いますが、そういう方向でいくと決めたわけですから、正式に決めるのはこれからですが、その方針に沿ってしっかりやっていきたいと思います。外務省もなかなか厳しいところがあります。人件費の割合が高いとか、国際的に約束しているODAなどはかなりコミットしておりますので、10%と言われると相当厳しいなと思いますが、一方で我々、既存の予算を如何に組み替えて新しい物にそれを使っていくかということを、選挙においても述べてきたわけなので、「10%位削れなくて」という思いもあります。知恵と工夫をしながら、概算要求をまとめていきたいと考えているところです。

金賢姫元死刑囚の訪日
【毎日新聞 西岡記者】金賢姫元死刑囚の来日についてお尋ねします。大臣には以前にも質問させていただいたのですが、その都度「コメントできない」というお答えだったのですが、元死刑囚も帰国されて、その理由も消失したということで改めて金賢姫元死刑囚の来日の成果、評価、または日朝交渉にどういう影響があるのかという点についてお聞かせ願いたいと思います。

【大臣】今までコメントできないと言ってきたのは、政府として決めていませんでしたので、想像で物を言えないということで私(大臣)は申し上げて参りませんでした。たまたま私(大臣)が海外に行っている間にお見えになりましたので、実感としてはあまりよくわからないところがあるのですが、映像などで横田ご夫妻をはじめ関係者の皆さんとお会いして、十分な時間をとって意見交換もできたわけで、私(大臣)はそういう意味で拉致家族の皆さんにとって、ひとつの機会ができたのかなと思います。それから、もう一つは拉致の問題に関する国民の関心が改めて高まったという意味でも、意味のあることであったと考えています。

辻元議員の社民党離党
【共同通信 西野記者】辻元清美衆議院議員が社民党を離党しました。正式に記者会見をして、離党届を出したということです。これについての受け止めをお願いします。

【大臣】それぞれ議員の一身上のことですから、私(大臣)が何かそれに対しコメントするのは適切ではないと思います。ただ、辻元議員は非常に優秀な政治家であり、国土交通副大臣としても国会答弁を、私(大臣)は何度か聞く機会もありましたが、非常に立派な答弁をされておりましたので、大変能力のある方だと思っています。いろいろ考えた末でご決断された訳ですから、それ以上のことを私(大臣)が何か申し上げるつもりはございません。選挙でも応援に幹事長として確か2回行ったと思いますので、当選してくれたことは大変嬉しかったのですが、それ以降のことは彼女自身の判断の問題ですから、現時点で申し上げることはございません。

南シナ海問題
【共同通信 斉藤記者】ARFの会議で取り上げられた南シナ海の問題についてお伺いします。大臣は記者のぶら下がりで、南シナ海の問題について「日本としても無関心ではいられない」と発言したと聞いております。日本としてどういう形で南シナ海を注視していくのか。そして、我が国にとって南シナ海という場所がどういった意味で重要なのか。これは、東シナ海とは違って南側にあって、まだ十分ご存じでない方々もいらっしゃると思いますので、この南シナ海を注視している理由、そして、我が国にとっての重要性という点について、大臣のご所見をお願いします。

【大臣】南シナ海は交通の要所といいますか、マラッカ海峡を艦船が通過をしていくということですから、我が国の艦船も沢山航行する訳であります。従って、ここが非常に不安定になると、日本への通商に障害が生じるということになる訳であります。そのことが一つです。我が国への影響という意味ではそういうことです。もう一つは、やはり、ASEANの国々と中国との間で、あるいはASEANの国々の中で、領有権を巡っていろいろな見解が分かれている訳で、そういった不安定さというものが、このアジアの平和というものに対して影響を及ぼしかねないということです。私(大臣)は前から言っていますように、アジアを平和で豊かなアジアにすることによって、日本自身の平和や豊かさを実現していくと、これが最も基本的な日本の外交方針の一つであると考えておりますので、こういうところに不安定さがあるということは、早く解消したい、解消しなければならないと考えているところです。

【共同通信 斉藤記者】この問題に関して、もちろん、ASEANの国の中でも濃淡がありますが、総して言えば、ASEAN各国は南シナ海の問題について、米国であれ、日本であれ、他国も参加する大きなマルチの議論の中で議論したいというような意向があるように受け止められます。一方で、中国の方は、バイの中でこの問題を処理していきたいということで、若干スタンスも違うようです。この点、中国の主張ですが、いわゆる、領海問題、経済水域の問題というのは、バイで処理すべきではないかという立場について、どのようにお考えになりますでしょうか。

【大臣】その点は、私(大臣)がこのARFの場で、中国の外相の発言を受けて申し上げたところでもある訳ですが、先ほども申し上げたかと思いますが、「アジア太平洋地域が海洋で結ばれていると、そして、周辺海域の平和と安定、海洋交通の安全確保は、この地域の発展にとって重要である」と申し上げました。そして、領土問題というのは、最後は二国間の問題かもしれないが、これだけ、いろいろな国の主張が錯綜している訳ですから、まさしくARFの場などを使って建設的な議論をしてくべきではないかと申し上げたところであります。

国際コンテナ戦略港湾の選定
【伊勢新聞 中森記者】大臣の地元の四日市港のことですが、国の戦略港湾に応募しているのですが、劣勢が伝えられています。地元では、有力大臣、岡田大臣への期待が高まっているのですが、どのように後押しされるか、教えていただけますか。

【大臣】私(大臣)も地元の伊勢湾港、名古屋、四日市、そこがスーパー中枢港に選ばれればいいなという気持ちはあります。ただ、やはり、これは客観的に判断をされるものだと前原大臣からも伺っておりますので、あまり口出しは過度にしないほうがいいと思っているところであります。




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