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2010.08.03|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年8月3日)

外務大臣会見記録(平成22年8月3日(火曜日)15時20分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)対イラン制裁措置について
(2)パキスタンにおける洪水被害について
(3)第2回日・カリコム外相会議の開催について
○対イラン制裁措置
○新安保懇報告書案
○非核三原則の見直し
○オスロ条約
○米軍再編問題
○日米同盟の深化
○内政
○対北朝鮮政策
○「首脳外交の現状と今後
○竹島問題
○日韓併合100年

冒頭発言
(1)対イラン制裁措置について

【岡田大臣】それでは、記者会見を始めます。やや国会審議は疲れました。何とかもうちょっとまともな椅子にならないものかといつも思います。
 まず、本日の閣議での対イラン制裁措置につきまして、本年6月9日、イランの核問題に対し、国連安保理において、加盟国に対し、イランの拡散上機微な核活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置を義務づける同決議第1929号が採択されました。
 この決議を履行するため、本日の閣議において、次の措置を講ずることを了解いたしました。
 1、同安保理決議で特定されたイランの40団体及び1個人の資産の凍結等。
 2、核技術等に関連するイランによる投資の禁止。
 3、イランへの大型通常兵器等の供給等に関連する資金の移転の防止。
 また、今般の同決議第1929号においては、更に、イランの核活動等に寄与していると信ずる合理的な理由があるものと認められる場合の措置の要請などがあり、こうしたことを含め、不拡散、商業、金融、運輸などの分野において取るべき措置について、つまり追加的な措置ということになりますが、本年8月末をめどに可及的速やかに結論を得るべく政府内で検討を行うこととしております。
 イランの核問題には、核不拡散体制の堅持、北朝鮮の核問題への対応との関係、中東地域の安定への影響などの観点から、毅然とした対応が必要である。国際社会が一致して累次の安保理決議を着実に実施し、対話の窓を維持しつつ、核問題の平和的・外交的解決に向けて、イランに賢明な決断を求めていくことが重要であるということでございます。

(2)パキスタンにおける洪水被害について

【大臣】パキスタン各地の記録的な豪雨により、北西部のハイバル・パフトゥンハー州などで大規模な洪水が発生し、多数の人命が失われるなどの大きな被害が生じております。
 日本政府としては、2日に、私(大臣)から、クレーシ外相に対し、今回の災害の犠牲者及びそのご家族への深い哀悼の意と被災者へのお見舞いを表すとともに、我が国として必要な支援を行う用意がある旨のメッセージを発出したところであります。
 私(大臣)も、前回地震があったところと、今回の洪水被害の場所がかなりオーバーラップするということでありますが、地震の後、私(大臣)自身も行った地域でありますので、そういう意味でも特に思い入れがございます。
 具体的な措置といたしましては、現地の被災状況、パキスタン政府との協議などを踏まえて政府部内で検討した結果、①水・食料などの分野を中心とした300万ドル(約2.6億円)を上限とする緊急無償資金協力、②2,000万円相当の緊急援助物資の供与を実施することを決定したところであります。
 更に追加的な支援の内容については、今後、パキスタン政府や国際機関と協議を行って、早急に決定の上、実施する予定でございます。

(3)第2回日・カリコム外相会議の開催について

【大臣】3番目ですが、第2回日・カリコム外相会議の開催です。
 1か月後の9月1日に、カリブ地域14か国が加盟するカリブ共同体(カリコム)諸国の外相を招き、第2回日・カリコム外相会議を東京で開催します。この会議は、2000年、平成12年に開催した第1回日・カリコム外相会議以来、10年ぶりに開催するものです。
 会議では、今後の日・カリコム間の協力のあり方について議論するとともに、環境・気候変動、経済危機、ハイチ復興支援を始めとする国際社会の諸課題について、日本とカリコム諸国の連携を深める予定です。もちろん、この機会を利用して、各国外相との二国間会談も積極的に行う予定です。
 14か国を擁し、国際場裡において共通の立場をとることの多いカリコム諸国は、国際社会において一定の存在感を示しています。今回の外相会議を通じて、カリコム諸国において、国際社会の諸課題に対する我が国立場への理解・支持が深まることは、今後の多国間外交を進める上で極めて有意義であると考えます。
 10年前に開きましたが、その後、開催時期や出席者等の面で調整がつかなかったことから、10年後の今年、改めて我が国で開催することとしたものでございます。

対イラン制裁措置
【共同通信 斎藤記者】今、お話があった対イラン制裁の関係ですが、8月末をめどに対応を検討というのは、改めて日本の独自制裁といいますか、日本は別途にやるという趣旨でしょうか。もしそれでやるならば、どういったメニューを考えられているのか、大臣の所見をお伺いします。

【大臣】追加的に日本独自の措置を検討していくものであります。中身については、今、関係各省庁と調整中でありますので、現時点では申し上げる状況にはございません。

【読売新聞 川崎記者】既にイランに対しては米国とEUも追加制裁を発表しているわけですが、特にEUでは、日本が本日発表したものよりも幅広く資産凍結の対象をしたりとか、独自の制裁をやっているようですけれども、そういうところも日本は現在検討対象にしているのかどうかということについてお聞きします。

【大臣】EUも最終的に決まるのはもう少し先だと理解しております。発表は既に確かに行われました。日本としては、米国やEUでの措置の内容について承知をしつつ、そういったものも1つの参考にしながら日本独自の措置を考えたいと思っているところです。

【毎日新聞 吉永記者】今回の独自の部分の制裁、もしくはイラン制裁をしたことにおいて、日本企業への影響とかというのはどのように見ているのか。また、日本企業の影響とかについて、どのように配慮しつつやるつもりなのかということについてお聞かせ願えますか。

【大臣】これはコインの裏と表で、どちらから見るかという話であります。日本企業への影響はないとは言えません。しかし、影響がないような制裁措置では効果が余り期待できないということでありますから、これからの分について国際的に少なくとも米国、EUとともに協調しながら追加的制裁を行うということは、日本の国際的な責任を果たす、核不拡散、イランの核開発を前に進めることを止めるという意味で必要なことであると考えております。
 本日、決めたものは安保理で決定されたものですから、これは最低限、多少の影響があったとしても、それを実施しなければならないということは国際的な責任の問題だと思います。

【共同通信 斎藤記者】イランがどのような態度に出れば日本として単独制裁を行わない、あるいは本日閣議決定した安保理決議に基づくこの制裁を解除するのか、改めてその条件を提示してもらえますでしょうか。

【大臣】本日の安保理で決定した措置に関しては、日本だけで決め得る問題ではありません。安保理の決定に基づいて制裁措置を行うということでありますから、それを解除するということも安保理において話し合われた結果でなければならないということで、日本独自で判断できまるものではありません。
 追加的措置については、そういう意味では日本独自の判断の余地というものはないわけではありませんが、これもともに追加的措置を検討している米国やEUと協調的に行動していかなければならないということだと思います。
 少なくとも累次の安保理決議を無視して20%濃縮を続けているという状況においては、その制裁が解除されるということはあり得ないことだと思っております。

【共同通信 斎藤記者】アインホーン調整官が、北朝鮮の話と同時にソウルでイランの話もしたということなので、日本でもイランの話もするかもしれません。そこで、ひとつポイントになるのが、安全保障理事会決議にも入っていますが、貨物検査。日本とイランの間には、随分船舶の行き来もあると聞いているのですが、北朝鮮に対してはすでに政府は貨物検査法を通している訳ですが、イランに対しても、北朝鮮と同等の扱いをするのかどうか、この点、大臣はどのような考えをお持ちでしょうか。

【大臣】今のところ、具体的なことを考えている訳ではございません。それは、必要に応じてということになると思いますが、現時点ではございません。

【共同通信 斎藤記者】今の件ですが、貨物検査については、これは安保理決議の中に入っている訳で、少し記憶が定かではありませんが、義務条項だったか、要請条項だったか、たしか要請レベルで義務ではなかったかもしれませんが、一応、日本政府としては、要請条項についても積極的にやっていくという姿勢だと理解したのですが、貨物の部分については、若干、政治的に、あるいは技術的に難しい点があるということでしょうか。

【大臣】それはどのくらい必要性があるのか、意味があるのかということについて、政府の中で未だ検討しておりません。一概に否定しているものでは決してありません。

新安保懇報告書案
【フリーランス 岩上氏】26日に菅首相の私的諮問委員会である新安保懇、正式名称は「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」という機関の報告書の一部が報じられました。その中に非核三原則の見直し、持ち込ませずを見直すという内容が含まれていることが報じられましたが、これがこの後の防衛大綱のたたき台になると聞いております。大臣のご見解をお聞きしたいと思います。

【大臣】まず、発表されたものではないのです。リークです。発表していないわけですから、どこかで漏れたということですので、それを前提に物を言うことは慎重でありたいと思います。きちんと決まった上で発表されたということであれば別ですが。
 もう一つ、一般論として申し上げますと、今回の懇談会は、有識者によるものでありまして、それがそのまま防衛大綱になるわけではありません。それは1つの参考にしつつ、政府の中で特に政治レベルで議論しながら防衛大綱をつくり上げていくということであります。ですから、そこに1対1の対応ということは特にありません。それ以上のことは今、申し上げられません。

非核三原則の見直し
【フリーランス 岩上氏】新安保懇の報告書の内容に関連してということではなく、大臣ご自身の見解として、非核三原則は見直すお考えというものはあり得るのか、堅持のお考えでいらっしゃるのか、そのお考えについて再度お聞かせいただきたい。

【大臣】非核三原則を守っていくということは、私(大臣)は何回かこの場でも申し上げているつもりでございます。もちろん、菅内閣になってまだ総理のところで余り議論した記憶はございませんので、総理も変わりましたので再度議論は必要だと思いますが、菅総理がそれと違う見解をどこかで明らかにされたとか、そういうことは、私(大臣)は全く承知をしておりません。

【フリーランス 岩上氏】この問題に関連して、この問題がどうしても気にかかるのは、近年、米国側の、例えばチェイニー元副大統領とか、あるいはマケイン上院議員であるとか、あるいは、かつてのブッシュ大統領の補佐官であった方々とか、多くの米国の有力な政治家が、日本の核保有というよりは、つくる製造とかではなくて、持ち込み、あるいは配備を指すのだろうと思うのですけれども、それについて前向きな発言が相次いでいます。米国には米国の思惑があるだろうと思いますが、こうした発言が相次いでいることを踏まえて、日本が非核三原則の一部でも見直す可能性があるのかということをお聞きしたかったものですから、もう一度改めて、そこの米国側の思惑を踏まえて、日本はどうするべきであるのか、お考えをお聞きしたいと思います。

【大臣】私(大臣)は米国、原子力ではないと思いますが、OBの方々の意見というのは、特に承知をしておりません。私(大臣)は聞いたことがありません。そういうように言っている方もいらっしゃるかもしれませんが、どういう状況を想定して言っておられるのか、何度もここで申し上げておりますが、基本的に戦術核について、彼らはトマホークもこれから廃止するということもNPRの中で明らかにしているわけですから。ただ、戦略核を日本に持ってくるなんてことは考えていないと思うのですが、ちょっと私(大臣)の想像力を超える話で、きちんとした事実に基づいて、裏付けられてご発言になっているとは考えにくいです。

【フリーランス 上出氏】8月6日には核廃絶前進にとって大きな意味があると思われる、英米仏の3か国、国連事務総長、そういうこともある中で、民主党として、やはりこういった非核三原則をはっきり守るということを明解に言えるのかどうか、もし、そうならば明解に言っていただきたいと思います。外務大臣としてのお立場で。

【大臣】ですから、先ほどのこの質問が防衛懇の報告書のリークから始まった流れの中で行われていますので、それをリークかどうかもわからない中で、それに対してお答えするというのは、私(大臣)は避けた方がいいということを申し上げたわけであります。私(大臣)の考え方は、従来から申し上げているとおりであります。

オスロ条約
【ビデオニュース 竹内記者】オスロ条約について伺いたいことが2点あります。条約では、破棄まで定められているものだと思いますが、その日本の進捗状況がどうなっているのかというのを具体的に教えていただきたいのが1点と、あと、日本領域内で使用させないために、米軍がクラスター(爆弾)を使用しているかどうか調べたり、もしくはそれを使用しないよう求めたりする考えはあるかというのを改めて伺いたいと思います。

【大臣】私(大臣)の理解では、条約上はそこまで求められないと理解しております。ですから、条約を超える話になるのではないかと思います。具体的にそういったことを、今、求めているという話は、私(大臣)は承知をしておりません。

【ビデオニュース 竹内記者】日本自身が持っているものについては。

【大臣】それは、条約に基づいて手続を進めていくということです。

【ビデオニュース 竹内記者】その進めていくのが、今、どのような状況なのか、どれくらい進んでいるのかということを教えていただきたいというのが1点目の趣旨なのですが。

【大臣】そういう事実関係は、あらかじめ言っておいていただかないと、私(大臣)は全部わかるわけではありませんので。もしあれならば、役所のそれぞれの担当のところに聞いていただけばと思います。

米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】本日からまた普天間も含めた日米間の審議官級協議が行われているかと思うのですけれども、普天間だけではないということも理解した上での質問ですけれども、従来、これまで専門家の実務者課長級協議が行われてきたかと思うのですけれども、それを踏まえて、今回、審議官級協議ということで、どのステージまで協議を進めていきたいと大臣としてはお考えになっておられるのかということをお伺いしたいのですけれども。

【大臣】特に決めておりません。ただ、8月末という1つの区切りがありますので、適当なレベルで専門家ということでくくれるということは、少なくとも政務ではないということは間違いありません。専門家のレベルで協議を8月末に向けて詰めていくということであります。

【琉球新報 滝本記者】幅広い議論が日米同盟の深化も含めて、協議が行われているかと思うので、その文脈でお伺いしたいのですけれども、普天間の一工法とかいう細かい話ではなく、負担軽減の部分で2+2の共同声明に書かれた負担軽減になるもののメニューがあったと思うのですが、その協議も、今回の審議官級協議で話を詰めていくということになっているのでしょうか。

【大臣】そういう議論も行われているはずです。

【NHK 藤田記者】関連してですが、大臣のお答えは決まっているかもしれませんけれども、8月末までに専門家による検討は終えるのだと。ただ、それを公表するかどうかは決めてないと。その後の取扱いについても、まだ話せるような状況ではないというのが、一貫したこれまでのご答弁ですけれども、菅総理大臣は昨日の記者へのぶら下がりなどでも、沖縄の理解を得なければいけないので、沖縄の頭ごなし的に物事を決めようということは考えてないのだと。非常に8月末を終えて、オバマ大統領の来日が予定されている11月、それから沖縄県知事選がある11月28日、これよりも先に決めることには非常に消極的な姿勢も感じられるのですが、現時点で政府内ではどういうように整理されているのでしょうか。

【大臣】まず、決めるということの意味ですね。専門家のレベルで決めるのか。専門家のレベルで決めるというのは、技術的な検討です。基本的には、技術的な検討を加えて、技術的に可能かどうかを検討するということです。
 その上で、それを政治的にそれが可能かどうかということを議論して、2+2で最終的に決めるということで、総理がその前段を言っておられるのか、後段を言っておられるのか、私(大臣)は必ずしもよく承知をしていないのですけれども。日米合意の中に書いてあることは、8月末までに専門家で検討を行うと、検討を行うということは、結論がそこで何らかの形では出てくるわけですが、それが技術的な検討ですから、こうでなければいけないとか、そういう形には恐らくならないだろうと、ここなら可能だという言い方になるのだと思います。それが1つなのか、2つなのか、どういう形になるのか、一定の幅は、技術的な検討という性格上、これしかないということにはならないだろうと思っているわけであります。
 いずれにしても、ただそれも検討の結果、技術的に検討した結果1つになってしまうかもしれませんので、そういうことも含めて検討と並行して、どういう形にするのか、そして発表するのか、しないのかということは、これから決めていくことであります。
 これは別に先送りしているとか、そういうことでは全くございません。中身について技術的検討を加えると、だから、1つに決め打ちはできないかもしれないということをとらえて先送りしているというのは、全くの間違いで、正確な報道ではないと私(大臣)は思っております。性格上そういうものだということであります。
 もう一つは、総理も言っておられますように、何のためにやっているかと言えば、最終的に普天間の基地の移転を実現しなければなりません。そのためには沖縄の皆さんの理解が前提になるわけで、それを無視して勝手に日米間で決めても、そこで動かなくなれば実現不可能なわけですから、将来的に実現可能な、そのために今、何をすればいいかという視点で議論しているという、当然のことを申し上げているわけであります。

【琉球新報 滝本記者】今、大臣がおっしゃられた沖縄の理解という文脈でお伺いしたいのですが、沖縄の地元の理解を得るため、沖縄に説明あるいは対話をするということで、協議機関というか、沖縄側と話し合う場が早急に必要ではないかということは、大臣も前からおっしゃっておられると思うのですけれども、その場のあり方について、仲井真知事は、名護市辺野古への移設というものを前提にした協議には到底乗れないと、応じられないという意向を示しておられるわけなのですけれども、ただ政府としては辺野古への移設ということを進めるために沖縄と対話をするということだと思うのですけれども、そこの接点がなかなか合わないのではないかと思うのですが。

【大臣】若干、話が混乱していて、沖縄県も入った協議の場ということが、人によってそれぞれ違うイメージで語られているところがあるのではないかと思います。
 私(大臣)が申し上げたのは、今まで事故などがあったときに、ワーキングチームがあって、そこで対応について検討することになっています。そういうものをもう少し拡大して、そこで議論したらどうか。あるいは日米合同委員会がありますね。そこでは、負担の軽減について、騒音とかそういう問題について議論してきました。そういうものをもう少しバージョンアップして、きちんと議論できるようにならないかということであります。
 ですから、普天間の移転の問題そのものを議論する場というようには、そういうつもりで私(大臣)は発言しておりません。むしろそれは官房長官のところでお考えになる話ではないかと思っていますが。

【琉球新報 滝本記者】そうおっしゃいますと、官房長官の考えていらっしゃる部分と、大臣がおっしゃられた対話の場というものが、別建てであるということになるのかなと。つまり政府の中で、その辺の意志疎通というか、どういうものをつくろうということのコンセンサスは取られているのでしょうか。

【大臣】まだ協議中です。ただ、それぞれ責任がありますので、外務省には外務省の、官邸には官邸の役割がありますから、その延長線上で協議の形がどういう形がいいかということを議論しているとお考えいただければいいと思います。若干それが混線してしまっている、そういうふうに受け取られているかもしれませんが。もちろん、最終的にそれを1つにするということはあるかもしれませんが、今のところはそういうことにはなっておりません。もう少し議論をしなければならないと思っています。もちろん、政府の中だけではなくて、米国も沖縄もありますからね。

【時事通信 水島記者】普天間ですけれども、滑走路の位置を決める2+2を開く時期が今のところ決まっていないという状況で、いつできるか目処はたたない状況と言って良いか分かりませんけれども、そういう状況の中で、さっき話があった負担軽減措置ですけれども、ホテル・ホテル区域の解除とか、それから訓練移転とか、あと環境に関する合意ですとか、そういうものが代替施設の目処がたたない中でも先行して実施されていくことはあり得るのかどうかということについてお願いします。

【大臣】実施といいますか、議論は並行してできますので。実施と言いますと、多少時間がかかりますから、すぐ来月実施とかそういうことは、なかなか難しいと思いますけれども、議論としては並行して進めております。

【フリーランス 岩上氏】沖縄との対話の件ですけれども、大臣は鳩山政権時代に、沖縄に行かれまして、名護の市民を中心に沖縄の市民と直接対話の場を持たれている訳ですけれども、この時、言わばクローズドの形で行われたことに対して、先日、現地に取材に行ったところ、大変、クローズの形に関しては、評判が悪かったと言いますか、あまり好ましくないというご意見の方が多かったというように私は思っております。

【大臣】それは人によるでしょうね。

【フリーランス 岩上氏】もし、このたび改めて大臣が現地に行かれて対話の場を持つ機会があるとすれば、クローズの形で行うのか、オープンの形で行うのか、報道陣にも、それからそこの会場に入りきれなかった方々にも全て公開の形で、対話の集会を持つようなそういう試みをお考えになるお気持ちがあるのかお示し下さい。

【大臣】若干誤解があるようですけれども、会場に入りきれなかったのではなくて、特定の方に入って頂いて議論したということです。つまり、あの時、私(大臣)は、大臣ということではなくて、したがって車も公用車ではなくて、タクシーで会場に行ったわけですが、民主党所属の衆議院議員のデニーさんが集めた支持者、デニーさんの支持者と言っても、その中には市長になった候補者も入ってたのですけれども、そういう方々の前でお話をさせて頂いた、したがって、それはクローズドで、話をさせて頂いたということです。大臣として話したのではなく、民主党の衆議院議員、岡田克也としてお話をさせて頂いたということです。今、同じことを繰り返す予定は特にございません。多少、役割分担もありますので、対米交渉をやる外務省の立場と、それから沖縄と、あまり入り乱れないよう方が良いと私(大臣)は判断しておりますけれども、もちろん、例えば、官房長官や総理から何かご指示があれば、私は行くことは厭わないのですけれども、現在のところ、そういう予定はございません。

日米同盟の深化
【朝日新聞 鶴岡記者】日米同盟の深化について伺います。1月の大臣とクリントン米国務長官との会談を受けて、署名50年の時に鳩山総理が出した談話では、年内に成果を示したいと述べられましたけれども、今、菅内閣に変わってからも、年内の、例えば、大統領の来日時などに首脳間の共同宣言などの成果物を示すということに変わりはないのでしょうか。

【大臣】この問題は非常に重要ですので、まずしっかり議論しようというところから入っております。50年と言えば、今年もそうですが、来年も51年、50年を踏まえてということになるわけですから、まだいつという見通しは特に立てておりません。まず、しっかり議論しようということです。できたところで発表するということです。年内と一旦は言いましたが、それを否定するものではありませんが、必ずしもそれに100%拘束されるのではなくて、中身をしっかり議論する、若干遅れ気味でありますので、普天間の問題がありましたので、率直に申し上げて、ちょっと議論が遅れておりますので、そういった議論をしっかり行おうということです。

内政
【テレビ朝日 花村記者】民主党内で代表選に向けて、昨日、今日といろいろな勉強会、議員の動きがありますが、昼頃には山岡さんとか、前官房長官がお会いになって、2009年のマニフェストを実行させるというような会を立ち上げようとか。

【大臣】誰がですか。

【テレビ朝日 花村記者】山岡さんが何か議員の方をお集めになって、そういう動きもあるようで言ってみれば「反菅総理」というような動きにもとれるのですが、このような党内の動きをどのようにご覧になっていますか。

【大臣】それぞれ政治家ですから、いろいろな意見があっていいとは思います。ただ、参議院において示したマニフェストというのは、最後は菅政権の下でですが、基本的には鳩山政権の下で小沢幹事長もおられる中でマニフェストを作ってきたわけですので、それが、知らないところで勝手に変えられたとか、そういう議論というのは、率直に申し上げて私(大臣)はよく分かりません。そして、有権者に対して、あのマニフェストで我々はお約束をしたわけです。選挙には負けたかもしれませんが、それに基づいて投票していただいた方がたくさんいらっしゃるわけで、党として決定してやったことですから、もちろん、前回の衆議院選挙のマニフェストも重要ですけれども、併せて参議院選挙におけるマニフェストというものも当然我々はそれをしっかりと踏まえてやっていかなければいけないと思います。

対北朝鮮政策
【共同通信 斎藤記者】米国の国務省のアインホーン調整官が来日するということですが、具体的にどういう話になるのか、また、これに関連して対北朝鮮制裁、米国は単独制裁に踏み込んだわけですが、中には非常に厳しい措置もありまして、北朝鮮関連の口座、あるいは関連した取引をしている企業に対する措置も盛り込まれていますが、日本としてどの程度協調していくのか、法改正などの必要がでてくるのかどうか、その辺りの見通しも含めて教えてください。

【大臣】これはどういうご主張になるのか、よく聞いてみないとわかりません。ご案内のように日本と北朝鮮の貿易というのはほとんどありません、送金についても前回の日本の追加措置でかなりレベルを下げましたので、そういう意味では日本はあまり追加的にやる余地がないということだと思います。米国側に別途何か新しいアイデアがあって、例えば少しお話しになったように、企業に着目して迂回のようなことでやっているのではないかとか、そういうお話でもあるのかどうか、これはよくお話を伺ってみないと分からないと思います。その上で我々として、何ができるかよく検討していきたいと思っています。

【世界日報 山本記者】本日の午前中の予算委員会で、自民党の平沼議員から質問が大臣に向けられましたけれども、今回のARFで北朝鮮の朴外相が来たときに会うことは考えられなかったのかということで、大臣としては「再調査ということがそのままになっているので、その状況をみて会えなかった」という理由を言われたのですが、そうしますと、何か向こうが新しい部分においてアクションがなければ、全くそれ以降コンタクトしないというお立場なのか、あるいはそれ以外のチャンネルでその辺りの動向を探るというようなしかけがあるのか、それについてお伺いできればと思います。

【大臣】直接お答えすることはできないのですが、しかし、大臣レベルで会うというのは特別のことですので、そこは少し慎重に考えなければいけないと思います。何か、2年前に約束した再調査について具体的なことがあるのならいいのですが、約束を100%果たしてないものですから、そういう状況で大臣同士が会うのはいかがなものかと判断をした次第です。国会でもお話しましたが、そのことと同時に、今回の韓国の哨戒艇の事件がありましたので、韓国側の考え方というものも尊重をさせていただきました。そういことも併せて、私(大臣)としては最終的に会わないという判断をさせていただいたところです。

首脳外交の現状と今後
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。首脳外交についてでございます。1日、時事通信が、菅首相の8月の外国訪問は見送りと報道いたしました。歴代首相は8月、9月を利用して、外国を訪問するのが一般的とされる中、首相は9月の代表選の準備に専念するとそこには書かれておりました。また、これはこれとして、鳩山前首相と比較しましても、菅首相の外交政策が今一つ国民に見えにくい状況にございます。停滞とも言える首脳外交の現状や今後についてご所見をお聞かせいただければと思います。

【大臣】8月は、なかなか首脳外交というのは難しいのです。特に欧米はバカンスを1ヶ月くらい取るものですから、行ってもいないということです。どこかの保養地でも行けば会えるかもしれませんが、これはかなり、実際にそういうところがありますので、8月に海外へ行かないというのは、それはそう不思議なことではないということです。この前、サミットに行かれて、そこで主要な首脳とは会談をやっておられますので、そういう意味で続けざまにやる必要もないと御判断されたものだと思います。鳩山総理と比べてどうかというのは、菅総理は、まだ総理になって2ヶ月ですか、そんなに時間も経っておりませんので、まず国内をしっかり把握をしていうことは、私(大臣)はよく理解できます。あまり海外に行きすぎると、国内で今、予算案の概算要求をまとめなければいけないときですし、政権の立ち上がりの時期ですから、さまざま、やらなければいけないことが多い。それから、外務省から見ても、まだきちんと説明できていないことが沢山ある訳です。ですから、そういったことも含めてしっかりと、今は足元を固める時期というように総理は判断されていると思います。私(大臣)はそれは賢明な判断だと思います。

竹島問題
【フリーランス 岩上氏】一昨日だと思いますが、NHKが日韓関係についての番組があったということで、その中で、竹島密約というような問題が取り上げられたと聞いております。竹島の領土問題については、「これを解決せざることをもってして解決する」という密約が交わされているという報道であったと思います。これについて、事実、このような密約が日本・韓国間にあるのか。また、米国はそれにどのように関与しているのか、大臣がご存じのことがおありであれば、お話し願いたいと思います。

【大臣】私(大臣)はテレビを見ておりませんので、詳しいことは分かりません。それが正確な意味での密約なのか、私(大臣)はそうは思えない訳ですが、そして事実なのかどうかについても全く把握しておりません。外務省の人間は、否定的な意見が多かったのではないかと私(大臣)は思います。外務省の元お役人が出てきたところは、少しは見たのです。それを聞いている限りは、皆さん否定しておられたのですが、詳しいことは私(大臣)は承知しておりません。

【フリーランス 岩上氏】竹島の問題というよりも、日本が周辺諸国との間でスムーズな友好関係を結べないようにする、結ばせないようにするという圧力が1950年代に米国からかかっていた。その一環として今の竹島問題もあるのでしょうけれども、一例として申し上げますと、1956年8月19日だったと思いますが、ロンドンにおける重光外相とダレス国務長官との会談において、日ソ間の交渉で、二島返還で妥結するのであれば許さないというように米国から圧力がかかり、択捉、国後を要求するようにと圧力がかかり、もしこれを飲まないようなことがあれば、沖縄を返還しないというように言ったということが最近言われております。こうした50年代・・・

【大臣】ひとついいですか。

【フリーランス 岩上氏】はい。

【大臣】その事実を、私(大臣)は全く承知しておりませんし、今まで見たことも聞いたこともありません。ですから、そういうことを前提に全体を組み立てられても、それ以上ご対応できません。

【フリーランス 岩上氏】全然、この問題については、存じ上げないということですか。

【大臣】はい。

【フリーランス 岩上氏】分かりました。では、改めて出直します。

日韓併合100年
【東京新聞 竹内記者】今ほどのご質問に若干関連して、今月末に日韓併合100年ということになりまして、新たに総理の談話を出すといったようなことも政府内で取り沙汰されていると聞いておりますが、現在の政府の対応についての検討状況を教えてください。

【大臣】昨日、国会でお答えしたとおりであります。今、どのような対応を行うかということについて、慎重に検討しているところです。




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