民主党幹事長としての記者会見(10月28日)
岡田克也幹事長/記者会見要旨
2010年10月28日(木)
編集・発行/民主党幹事長室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2010/20101028okada.asx
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■冒頭発言
○奄美地方豪雨災害に関する申し入れ
○政府・与党社会保障改革検討本部の第1回会合
■質疑
○野党からの小沢元代表への証人喚問要求
○沖縄県知事選挙への候補者擁立
○たちあがれ日本の園田幹事長との会談
○尖閣諸島をめぐる日中間の問題について
○幹事長補佐の役割
○環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加の検討
○政治資金規正法の改正について
○企業団体献金と個人献金
○郵政改革法案
○党内の各グループの活動について
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■冒頭発言
○奄美地方豪雨災害に関する申し入れ
【幹事長】私からは2点。ひとつは、先ほど開催いたしました奄美豪雨災害対
策本部での議論を踏まえて、政府に対する申し入れを、まもなく行う予定であ
ります。私と打越あかし事務局長との連名で、松本龍・内閣府特命担当大臣
(防災)と、東祥三・内閣府副大臣(防災担当)に対して申し入れを行う、と
いうことであります。その中で、被災者生活再建支援法の適用、あるいは激甚
災害法に基づく激甚災害指定の早期指定といったことについて申し入れること
にしております。
○政府・与党社会保障改革検討本部の第1回会合
それからもう1点は、今朝行われました政府・与党社会保障改革検討本部で
すが、今回からスタートするということで、内閣の主要なメンバーと、与党側
のメンバーの入った会議であります。今、われわれが行わなければならない最
重要課題のひとつであることは間違いありません。社会保障制度の方向性につ
いて、しっかりとですね、年末までに出さなければいけないということであり
ます。もう少し時間があるかもしれませんが、いずれにしても、今、生活の基
盤が非常に痛んでいるという中で、少子高齢化の時代における年金医療あるい
は介護といった制度の改革について、しっかりとした答えが求められていると
思います。私も積極的に参加していきたいと考えております。
今日は私の方から意見を申し上げまして、いろいろ厚生労働大臣から説明が
ありましたが、「自助、共助、公助」という中で、共助というのは社会保険方
式を基本に行っているという説明がありましたので、社会保険方式というのは、
いわば前の自民党政権時代の厚生労働行政のひとつのドグマのようなものであ
りまして、社会保険制度と税制はそれほどきちんと分けられるものでもない。
現にいろいろな、基礎年金とか、介護とか、高齢者医療というものは社会保険
と言いながら、税投入もなされたり、財源調整も行われているわけで、あまり
そういう従来の考え方にとらわれて議論する必要はないのではないか。重要な
ことはやはり、グローバル化の時代を迎えて、企業とか地域社会とか、家族と
か、いろいろな意味で支えられてきた生活の基盤、あるいはそういった社会保
障制度が、非常に成り立たなくなっている。そういう中で政府の役割というも
のがより一層求められているという基本認識が重要ではないかと、申し上げて
きたところであります。いずれにしても、そういう基本的なところから入って、
しっかりと議論していきたいと考えているところです。
■質疑
○野党からの小沢元代表への証人喚問要求
【記者】今日の民自国対委員長会談で、自民党の逢沢委員長は証人喚問の扱い
について、証人喚問が決定した際に、どういうことを聞くかを本人に知らせる
形になっていると述べた。いわば、与党の方にきちんとした回答を求めるとい
うものだった。これまで幹事長は、まず野党がどういうことを聞きたいのかを
示すのが先だという趣旨の発言をしてきたが、現時点で対応をどう考えるか。
【幹事長】もちろん具体的なことは直前でいいと思いますけれども、なぜいま
国会での証人喚問を求めているのか。何かあったから、政治的な責任を果たせ
と言っているはずで、そこのところすらはっきりしないわけです。そういうこ
とについては、ある程度整理すべきではないかと申し上げているわけで、「何
かわからないけれど、とにかく証人喚問だ」と聞こえてしまうので、「もう少
しこういったことについて、きちんと政治責任を果たすべきだ」、法的責任は
裁判で行われることですが、法的責任に至らない問題として、「こういうこと
はきちんと証言すべきだ、国会で明らかにすべきだ」ということを言っていた
だいてもいいんじゃないかと、私は今でも思っておりますが。
【記者】今回の小沢さんの件は2つの点で過去に例がない。ひとつは、国会議
員が検察審査会による強制起訴議決を受けたこと。もうひとつは、いま、起訴
される手続き中にあること。民主党の幹事長という立場を超えて、立法府の一
員として、どういったところに重点を置き、自民党にもどういったところに配
慮をしてほしいと思うか。
【幹事長】もちろん検察審査会制度の「強制起訴」規定は最近できたものです
から、先例がないことは事実ですね。ただ、そういった法的手続きに入ったと
いうこと、私はそのことを問題にしているわけです。「検察審査会だから」と
いったことではなくて。「起訴をまだされていない」というご質問を聞くと
「起訴されるまでは、国会で発言を、それが証人喚問であるにせよ政倫審にし
ろ、発言を求めるべきではない」とも聞こえますが、まったくそういうことで
はないんですね。
むしろ、法的手続きに入った場合に、国会でそういった発言を行うこととの
関係をどう整理するかということが問題だと思います。今回、厳密に言えばも
ちろんまだ起訴されておりませんが、起訴はほぼ確実という意味では、ほぼ手
続きに入っていると言えると思います。
今までの先例を見ると、起訴された人で、国会で証言をしたのは、たぶん友
部さんお一人ではないかと思います。政治家の場合は。それだけ慎重な対応を
求められてきたということだと思います。従って、そういうことについても、
本来どう考えるのかということを、私はもうすでに1ヶ月ほど前に、NHKの
日曜討論の中で、問いを発したわけであります。そのことと、直接関係はない
のですが「何のためにやるのですか」ということも、ある程度明らかにならな
いと、何のために呼ぶのですか、ということぐらいはないと、とにかく呼べと
いうのは、少し乱暴な議論ではないかと今でも思っているわけです。そういう
ことをあまり検討された形跡がないんですね、野党のほうで。そういったこと
について、もう少しきちんとした議論というものが求められるのではないかと
思っております。
【記者】与野党協議の中で、補正予算の審議が、11月1日に集中審議を行う
という調整が進んでいる中で、この問題を補正予算審議が始まる前に解決した
いという考えに変わりはないか。
【幹事長】集中審議は、補正の議論ではありませんので、それは別に関係がな
いと思いますが。
【記者】いつまでの解決のメドを考えているか。
【幹事長】従って、補正の議論がいまなされているので、審議日程に関して、
なるべく早くという思いはあります。
【記者】小沢さんと会談するメドが立っているのか。
【幹事長】私はいつでもお話したいと思っております。
【記者】小沢さんのほうが会談の必要がないと言った場合は。直接会談しない
とこの問題は解決しないというお考えか。
【幹事長】私はいつでもお会いしたいと思っている、ということだけ申し上げ
ておきたいと思います。それ以上は、仮定の議論になりますから、お答えは控
えたいと思います。
【記者】岡田幹事長のほうから、小沢元代表サイドへ、会談したいという申し
出はしたのか。どういう目的で会いたいと言ったのか。
【幹事長】私はいつでもお会いしたいと考えております。
【記者】岡田幹事長のほうから小沢さんに面談の要請をされて、返事がない状
態だという一部報道があるが。
【幹事長】特に中身はコメントしません。私が答えるべき話ではないと思いま
す。
【記者】小沢さんはこれまで、この問題については国会で説明すると言ってき
た。国会で説明するならば幹事長と会って協議するのが筋だと思う。メドが立
っていないことについて、小沢さんの姿勢についてどう考えるか。
【幹事長】それは一定の想定に基づくご質問ですから、お答えする必要はない
と思いますが、私としては粘り強く、忍耐強く、いつでもお会いしたいと考え
ております。
【記者】会談の打診は何回ぐらいしたか。
【幹事長】そういうご質問にはお答えできません。
【記者】どういう目的で会いたいのか。
【幹事長】基本的に、補正予算の審議日程が迫る中で、国会での対応に関して
お会いしたいと考えております。
【記者】今日午前、鉢呂さんと逢沢さんの国対委員長会談の中で、鉢呂さんが
小沢さんの証人喚問について、補正予算案の審議の前に検討を終えるというこ
とが目鼻が立たないという話を逢沢さんにしたと発言した。認識は同じか。
【幹事長】国対委員長がどういうご発言をしたのかを直接聞いておりませんの
で、すぐにはお答えできないのですが。
【記者】国会対応についてお話したいということだが、野党の要求する国会招
致の問題も含むのか。
【幹事長】野党のほうは、証人喚問と言われていますね。そういった国会で説
明するということに関して、という意味です。
【記者】今日の議院運営委員会理事会などでも、証人喚問について約束しなけ
れば、補正審議に入れないという趣旨の提案が、野党側理事から出ていると思
う。(補正予算案は)明日提出、来週審議入りになるのではないかと思ってい
たが、何らかの判断をする必要が、来週あたりあるのではないか。
【幹事長】そういうことは現時点でお答えできません。粘り強く、忍耐強く。
【記者】向こう側から会えない理由を何か言ってきているか。
【幹事長】今申し上げた以上に言うことはありません。
○沖縄県知事選挙への候補者擁立
【記者】党本部として自主投票を決めたと聞いている。どういう自主投票にな
るのか、拘束的なものがあるのか。今回そういう結論に至った理由は。
【幹事長】まず、自主投票という決定はしておりません。県連からのご意向も
受けて、「民主党としての独自候補は立てない」ということを県連と本部の間
で確認したということです。それ以降のことについては、最終的には党の常任
幹事会で決めることになりますので、来週火曜日になるのかと思っております。
党としてどう対応するのか。つまり公認、推薦の候補者がいないという状況
の中で、県連あるいは本部として、どういう対応をとるのかということについ
て、よく県連側ともお話をした上で、火曜日の常任幹事会で、最終的に常任幹
事の皆さんに決めていただこうと思っております。それ以前に私が何かあまり
言うべきではないと思いますが、ひとことだけ申し上げると、候補者を持たな
いわけですから、節度をもって対応するということが基本だと思います。
○たちあがれ日本の園田幹事長との会談
【記者】先ほど、たちあがれ日本の園田幹事長から、衆院選の選挙区制度につ
いて、提案を受けたと思うが、どう答えたか。民主党は参院選のマニフェスト
で衆院の比例定数の80削減を掲げているが。
【幹事長】園田さんからお話をいただいたのは、選挙制度を改めて、3人区、
4人区もありましたが、それに変えるというご提案でした。ともに政治改革を
議論した、選挙制度改革も含めて議論したなかで、園田先輩からそういうふう
に言われることはちょっと戸惑いを覚えますということを、申し上げたところ
です。民主党は衆議院の定数を80削減ということで、現在の480つまり小
選挙区を300、比例を180を、比例を80減らして100にする、小選挙
区は300のまま、というのがマニフェストでお約束していることで、それが
基本となるということです。
ただ、この場でもいつか申し上げたとは思いますが、少数政党にとって、比
例のみ削減されるということは、なかなかつらいところもある。基本はマニフ
ェストに書いてあるわけですから、それを変えることは考えておりませんが、
そういう中で、より他党の賛同も得て、実現するためにどういったことが可能
なのか、これは党の中でもよく議論してみる必要があると思っております。
選挙制度そのものを変えるということは考えていない、ということです。園
田さんはたぶん、比例をなくすようなイメージで考えておられたかもしれませ
んが、そういうことはありません。100は残すということです。そうでない
と、非常に硬直的になって、第3の勢力が出てきて、2大政党の一方に変わる
という可能性がほぼ失われてしまいますので。やはり政治のダイナミクスとい
う意味では、一定数の比例、つまり少数政党がそこに存在する余地は必要なこ
とだと、私は従来から思っております。
【記者】政治改革推進本部の中では、どういうスケジュール感で議論し、結論
を出すのか。
【幹事長】何をどのような順番で議論するかということは今、役員間で整理中
であります。少し整理した上でお答えしたいと思います。ただ、総理も年内に
と確か言われておりますので、そんなに先に送るわけにはいかない問題です。
単純に比例だけ減らすのか、小選挙区のところも含めて考えていくのか。全体
を80減らすと約束しているわけですが、あるいは第3の道もあるのか。そう
いったことについて、党内で議論してみる必要があると思っております。
【記者】比例を100残すという考えだが、6月に出版した『岡田語り』の中
で初めて、提案したのではないか。それまでは比較的、小選挙区を望んでいる
考えが多かったのではなかったか。2大政党に変わる第3党が新しい2大政党
になるという言い方だったか、もう少し説明を。
【幹事長】まずそれは、本のなかで初めて言ったことではなくて、党としては
前から比例100というのは申し上げております。私もその制度を作ったとき
から、比例は残すべきだ、ただし今はちょっと多すぎると。スタートは300、
200だったわけですが、300、100くらいが適当ではないかと、基本的
には考えております。
ダイナミズムという意味では、完全な小選挙区制度にすると、2つの政党だ
けということになりかねない。もちろん、完全な小選挙区制度でも、英国では
第3党あるいはローカルパーティもありますから、必ずしもそうではありませ
んが、米国などでは完全に政党は2つと。これはいわばカルテルみたいなもの
でありまして、そこにまったく新しい発想での政党が登場する余地を非常に狭
くしてしまいますので、最初は小さい議席であっても次第にそれが2大政党の
一角に取って代わる余地は残しておいたほうが、健全な民主主義ではないかと
思っているわけです。
○尖閣諸島をめぐる日中間の問題について
【記者】岡田幹事長は今月9日、「国家主権と国益を守るために行動する議員
連盟」のメンバーが尖閣諸島上空を視察する際、中国に拘束されている日本人
が残っているとして中止を求めたが、その真意は。総理官邸と連絡は取ってい
たのか。
【幹事長】官邸とは連絡を取っておりません。これは私の個人あるいは前外務
大臣としての経験に基づく発言で、確か原口さんと、自民党の、私の信頼して
いる友人に、それぞれお話をさせていただきました。中止を求めたのではあり
ません。今そのタイミングなのか、ということを申し上げたわけです。それは
やはり、フジタの社員が1人まだ帰ってきていないという状況、もちろん中国
側は、それは関係ない事件であると言っているわけですが、何らかの出来事が
日本に帰ることに影響を及ぼしかねないという中で、リスクはなるべく減らす
ということが、私は日本人として当然のことであると。日本人の命がかかって
いる、スパイ罪というか軍事施設に関する法令に反した、ということで拘束さ
れていたということですから、日本人として、同じ日本人の生命に影響がある
かもしれないリスクを、なるべく減らしたいという思いで申し上げました。別
に、解放された後で尖閣を見に行くという選択もあったわけですから、このタ
イミングは避けてほしいなというのが、私の感覚、私の常識であります。
【記者】議連メンバーが視察を終了して3時間後にフジタの社員は解放されて
いる。岡田さんが懸念したような、解放が長引くとか、そういう見通しではな
かったのではないか。
【幹事長】それは結果論ですよね。誰もわからないわけですから。それを見通
しておられる方がいたとすれば、ぜひお聞きしたいのですが、そんなことはで
きないと思います。そうであれば、なるべくリスクを減らすというのは、私は
当然のことだと思います。それが同じ日本人としての対応であると思っており
ます。
【記者】原口さんと自民党の信頼している友人に話した、ということだが、自
民党の信頼している友人は、尖閣諸島に行ったか。
【幹事長】行かれていないと思います。私は、行ってはいけない、とは言って
おりません。今のタイミングで行くのはいかがか、ということを申し上げただ
けですから。
○幹事長補佐の役割
【記者】幹事長就任後、13人の幹事長補佐を任命した。役割がいまいち分か
らないところがあるが、副幹事長との役割分担も含め、どうなっているのか。
【幹事長】幹事長補佐は、当選1回の方を中心にお願いしました。ひとつはや
はり党内のコミュニケーションといいますか、当選1回の方の間で、いろいろ
な議論があると思います。それが直接執行部に届きにくい面もあると思います。
そういった時に、彼らがひとつの、そういった声を伝える役割をしてもらいた
いということ。もうひとつは、非常に優秀なみなさんですから、これから新し
い仕事をどんどんお願いしていこうと考えているところです。
【記者】補佐といえば、小沢元代表が1995年に、当時の若手の新進党議員
を補佐に任命していた。いろいろ功罪があると思うが、こういうことを参考あ
るいは反面教師としてお考えか。
【幹事長】特にありません。私も当時、西岡幹事長の下で副幹事長を務めてい
た記憶がありますが、その時に補佐がいたかどうかをあまり記憶しておりませ
んので、別にそれにならったわけでは必ずしもありません。幹事長室は、ある
意味では、非常に閉鎖的に見られがちでありますので、なるべくそういった議
員との間のルートがたくさん開かれているほうが、風通しがよくなるだろう、
そういう考え方です、基本的には。
○環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加の検討
【記者】菅総理は臨時国会の所信表明でも、参加に積極的な考えを示した。T
PPへの参加をどうお考えか。
【幹事長】菅さんは、TPP参加を検討、と言われたと思いますね。従って、
参加と断言されたわけではないとまず申し上げたいと思います。私は外相とし
て2国間のEPA、FTAをかなり強力に進めてきた1人であります。その間、
当時の赤松さん(農林水産大臣)や山田さん(同副大臣)とも激論になったり
しましたが、日EUとか、日韓とか、何とか交渉のテーブルに戻す直前のとこ
ろまで来たと思っております。そういうところはさらに前に進めていかなけれ
ばならない。日インドがほぼまとまったことは非常によかったと思っています。
しかし、そのこととTPPはイコールではありません。日本のFTAという
のは、何と言いますか、そう純度が高くないのです。韓国と米国のFTAと比
べると、日本と韓国、日本とEUがやろうとしているものは、かなりまだ遊び
があるというか、国内的な配慮がなされているものであります。TPPという
のは基本的には関税撤廃ですから、かなり純度の高いものです。私は方向性と
しては、国を開かないと日本は沈むということを確信しておりますが、具体的
なやり方としてはいろいろなやり方がありうる、従ってまさしく党内でいま議
論されていると思います。直接の答えは申し上げません。幹事長ですから、全
体をまとめないといけませんので。
○政治資金規正法の改正について
【記者】政治改革推進本部では、公明党が出している政治資金規正法改正案を
検討するということだが、公明党案の受け入れが前提になるのか。将来的に公
明党と連携していくことを視野に入れてそういう対応をとるのか。パーシャル
連合の一貫として、いい政策は一緒にやるということなのか。
【幹事長】ストレートすぎる質問ですよね(笑)。もう少し、ゆとりのある、
幅のある質問をされたほうが答えやすいと思いますが。どこかの新聞に、公明
党の考えを受け入れるかのような記事もありましたが、もちろん、そういうこ
とではありません。山口代表が本会議で、各議員も予算委員会などで取り上げ
た問題であり、総理も検討するということは言っているので、そういうことで
取り上げた、ということです。
推進本部会議でも申し上げましたが、今の規定のしぶりでは「選任と監督」
という「and」になっている。それだと、ほとんど規定が適用されるケース
はないという観点から、それを「or」にすべきだという公明党のご意見だと
思います。それは一理あると思います。ただ逆に言いますと、非常に抽象的な
表現で、全体の条項が書かれておりますので、恣意的に運用される可能性も他
方ではある。そうなりますと、議員の身分を失わせるという結果を伴う話であ
りますので、もう少し絞り込む必要もあるかもしれません。そういったこと全
体についてよく研究してみようということで、方向性を何か出しているわけで
はありません。
【記者】2008年、当時代表だった小沢さんが、マルチ関連企業との関連を
指摘された前田議員を離党させている。前田議員はその後、不起訴になった。
この前田さんの例をあげつつ、今の執行部の小沢さんへの対応に結論が出ない
こともあり、ダブルスタンダードに陥っているとの党内の指摘をどう考えるか。
【幹事長】ダブルスタンダードとは、どういう意味ですか。
【記者】いろいろな意味があると思う。結果が何も出ていない時点で、当時の
小沢さんの執行部は前田さんと話した上で離党させているわけだが、そういう
ことには今、なっていない。小沢さんに対して結論も出ない。この状況をダブ
ルスタンダードと表現する方もいる。
【幹事長】意味はよく分からないのですが、前田さんのケースは自ら離党され
ているわけですから、それはちょっとケースが違うのではないかと思います。
いずれにしても今のお話は党としての措置、処分の話であります。何度も申し
上げておりますように、いま、国会で予算の関係で議論されておりますので、
こちらのほうをきちんと対応するということが先に来る、ということだと思っ
ております。従って、党としての措置とか処分とか、そういう話は、ここは発
議権が役員会にありますから、役員会での議論なのですが、あまり深い議論は
いま行っていないということです。まず国会での対応ということが先に来ると
考えております。
【記者】小沢さんはその件があった時、前田さんと会って離党を促し、前田さ
んが離党した。岡田さんが小沢さんに会った場合、離党を促すようなお話をす
る考えはあるか。
【幹事長】仮定に仮定を重ねたご質問ですので、そういったことにお答えする
つもりはありません。
○企業団体献金と個人献金
【記者】この間の常任幹事会で、企業団体献金について今年の初めから留保し
ていたものを一部再開すると決めたわけだが、あらためてその狙いと、なぜこ
のタイミングで決断にいたったか。
【幹事長】まず、今日も夕刊紙で『マニフェスト違反である』と書いたところ
がありましたが、これはまったくの間違いであります。まずマニフェストに書
いてあることですが、われわれが法案として出しているのは、個人献金を促す
ような仕組みをつくって、それから3年後に企業団体献金を廃止するというこ
とです。それから、読み方に幅があるかと思いますが、少なくとも(国や自治
体と1件)1億円以上の(契約関係にある)企業について、献金を受けない、
ということをマニフェストに書いたのであります。今回は、契約額1億円未満
の企業に関するものでありますので、マニフェスト上は何ら問題がないといい
ますか、それに抵触するものではないと。まずはそのことをはっきりと、あら
ためて申し上げておきたいと思います。ここの理解を間違っている方がいらっ
しゃいますので、それはマニフェストの範囲の中でのことであると。
今年の1月から、そういったところも含めて企業団体献金を一切受けない、
という運用を、内々、されていたことは承知しておりますが、それは公の場で
議論されたわけではありませんので、よくわからないのですね。なぜそういう
運用をされたのか。常任幹事会で議論されたということもありません。ですか
ら、今までの運用に戻したということであります。それ以上の意味はありませ
ん。
そのことが何かこう利権がらみになるのではないかとか、いろいろなことを
言われますが、それは党としてどう考えていくかという問題ですので。「これ
はいかん」ということについての説得的な理由には、あまりお目にかかってい
ないのですが。
【記者】前原大臣が昨日の国会の答弁で、企業献金の一部受け入れ再開につい
て批判している。今回の方針について、党内になかなか理解されていないよう
だ。どう説明していくか。
【幹事長】新聞ではなくて、マニフェストを読んでください。と言うといいす
ぎですが、党としてどこまで決めているかをきちんと承知したうえでいろいろ
な議論を展開しないと、何かマニフェスト違反をしたかのような前提で議論さ
れると、それは違うということです。そこは注意深くしないと、党の中で自分
たちが誤解を増幅してしまうことになりかねません。われわれの説明も十分で
はなかったと言われるかもしれませんが、別に事前に全部を説明できるわけで
はありません。事後的にきちんとわれわれの考え方は明らかにしておりますの
で、そういうものも踏まえて議論してほしいと思っております。
【記者】個人献金を促す形の仕組みの法制化などは進んでいるか。
【幹事長】税調でご議論いただく中に、その項目も入っております。ぜひ実現
したいと考えております。税調の中の議論ですが、野田財務大臣は、この問題
を議論したときの政治改革推進本部の責任者ですので、「大丈夫だよね」とこ
の前言ったら苦笑いしていました。そういった制度、基盤をきちんと整えて個
人献金が行われるようにしないと、下手をすると税金だけで運用する党になっ
てしまいますので、それは政党の活力をそいでしまうということだと思います。
ただ、いろいろな献金を受け取るにしても、民主党は今までそう多額の企業
団体献金を受け取ってきたわけではありません。多いときでも2億円以下だっ
たと思います。自民党とはだいぶ桁が違うわけです。今回受け取るとしても、
受け取るにあたって、それがいろいろな利害関係、しがらみに結びつかないか
どうかをよく注意して、場合によっては「こんなにはいただけません」という
ようなことも当然出てくるだろうと思っています。
【記者】今後の政治資金規正法改正に向けた各党との合意形成にあたっての説
得力、迫力を欠くのでは。
【幹事長】まったく関係ないと思います。従来からわれわれはマニフェストの
中でも「1億円以上」と言っているわけですから、制度としてきちんとすると
いう話と、現在の制度の下でどうするかということは、別の議論であります。
普通はそう考えるのではないかと思いますが。
【記者】個人献金は、将来的に日本に根付くと考えるか。
【幹事長】そういうふうに変えていかないといけませんね。米国でも、オバマ
大統領が登場して、その選挙戦の中で、草の根でのネットを通じた献金という
ものが非常に威力を発揮したわけです。そういうものを見ておりますと、日本
でも、そうした素地はあるのではないかと期待を込めて思っております。民主
主義はみんなが作り上げるものだと、お任せではないのだという延長線上に、
自分たちもそのコストを負担していこうという意識が芽生えることを期待して
いるところであります。
企業団体献金から個人献金にということですが、単なる衣替えであってはい
けないと思います。その一番の極端な話は、迂回献金というか、同じ企業の経
営者が、みんな社員に献金させて、給料をその分アップするというやり方です
けれども。純粋な意味での個人献金でなければいけない、単なる形を変えた企
業献金であってはいけないと思っています。
【記者】再開した今のタイミングは、偶然かもしれないが、与党として2度目
の予算編成、来春の統一地方選挙を控えている。皮算用的なところがあるので
は、という見方もできなくはないが。
【幹事長】ですから中身をよく吟味して、注意して受け取らなければならない
と思います。より恐れるのは、与党になって、政党支部が受け取ることの方で
す。いまそれは認められていますから、より問題があるかもしれません。党本
部はコントロールができます。しっかりと、財務委員長や私が目を光らせてい
れば、おかしなものはまぎれこまないと思うのですが、支部になると、どこま
でしっかり目が行き届くかという問題はあると思います。そこは、与党になっ
たということで注意しなければいけない点だと思います。今回の時期の問題と
は特に関係はありません。
【記者】ルールをここで解除することで、民主党に課せられている政治とカネ
に関する世論への影響がどのようにあると考えるか。
【幹事長】影響はあると思いますし、報道のされ方によっては、その影響は大
きくなるということです。ただ「内々で始めたことだから内々でやめればよか
ったのに」という議論も一部あるようですが、まず役員会で了承を得て、常任
幹事会で報告するというオープンなやり方をすべきだと考えました。多少不利
益はあるかもしれませんが、内々で済ませてしまう、事実上再開するとか、あ
るいは時期を少しずらしてみるとか、あまりそういう姑息なことはしたくない、
堂々とやりたいと思って、常任幹事会にご報告をしたわけであります。
○郵政改革法案
【記者】おととい、国民新党の亀井代表と会談したが、あらためて、参議院で
与党の過半数がない中で、衆院で3分の2の再可決を使って(郵政改革法案
を)成立させることをどう考えるか。
【幹事長】3分の2でやるというのは、かなりせっぱつまった場合にある話。
基本的には、われわれは謙虚に誠心誠意、野党側とお話をしなければいけない
と思っておりますので、そういう仮定の、乱暴な話に答えをするつもりはあり
ません。
【記者】先の通常国会では法案が成立できずに、亀井代表が責任をとって閣僚
を辞任するような事態もあった。その後、菅総理と亀井代表の間で、今国会で
成立を期すという内容の文書も交わしている。約束の履行に向けた道筋はどう
か。
【幹事長】両党のトップが文書で確認したことは非常に重いので、幹事長とし
て誠心誠意、その実現に向けて努力したいと考えています。
【記者】参議院での合意形成に向けた方策についてはどうか。
【幹事長】この前も、亀井先生とはだいぶ長い時間話をさせていただきました
が、いろいろなことを国民新党と意思疎通をよくしながら進めていきたいと思
います。
○党内の各グループの活動について
【記者】党内の各グループが定例会を行っている。野党のころの同好会的な雰
囲気から、きちんとしたものに様変わりしているようだ。党内の動きをどう見
るか。グループの定例会のメリット、デメリットは。
【幹事長】最近の自民党は分かりませんが、一時の自民党の派閥と比べるとだ
いぶ違うと思います。同じ考え方あるいは気持ちの通じる仲間が集まって、週
に1回意見交換をすること自身が悪いとは思いません。私もいろいろな友人が
おりますので、友人関係は党の中でも当然あるわけです。私個人は、自民党時
代に派閥政治の最盛期でしたので、そういうものの弊害というものを、嫌とい
うほど見てまいりましたので。それが自民党を出る1つの理由にもなっており
ます。ですから、同じことをやってどうするという思いで、なるべくそういう
ところからは距離を置いてきたわけです。
いま一番大事なのは、菅総理をみんなで支えることが最優先で、そういった
視点でいろいろなことを行動の基準にですね。とにかく政権交代が実現して民
主党政権ができたわけですから。そしてわれわれ、結果はともかくとして、と
にかく菅総理を民主党として選んだわけですから。その菅総理をみんなで支え
てしっかりと国民の期待にこたえていかなければならない。そこに全力投入す
べきだと思っております。