民主党幹事長としての記者会見(4月11日)
岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年4月11日(月)16時12分~16時41分
編集・発行/民主党幹事長室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
○統一地方選挙の結果を受けて
○震災発生から1ヵ月を経て
■質疑
○統一地方選挙の結果について
○民主党に寄せられた義援金について
○愛知6区補選について
○補正予算案の与野党協議について
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■冒頭発言
○統一地方選挙の結果を受けて
【幹事長】第1点は、統一地方選挙の結果であります。この点は昨日、いろいろぶら
下がり等で申し上げたところでありますので、あえて繰り返すことはありません。残
念ながら、道府県会議員選挙及び政令市議会議員選挙におきまして、議席を減らした
ことは事実であります。そこは、支持していただいた皆さんに対しては大変申し訳な
いことだと考えております。
ただ、数字がいろいろ出ましてひとり歩きしておりますので、われわれが整理した
数字をお手元にお配りをさせていただきました。
道府県会議員選挙では、公認・推薦それぞれありますが、公認では擁立は146増
やしたわけですけれども、当選は12増にとどまった。推薦では、推薦候補は前回と
比べて35減りましたが、当選者としては50減らした。合計では擁立は111増や
したものの、当選は38減ということであります。
政令市議会議員選挙におきましては、公認は41擁立を増やしました。しかし、当
選は22減。推薦は4つ擁立が減って、当選は2人減。合計で37擁立は増やしまし
たが、24議席減ということであります。
この内訳を見ますと、いくつかのことが言えると思います。
1つは、やはり現職が7割前後の当選率を示していたのに対して、新人は3割から4
割という非常に低い当選率であったことであります。これが何を意味するのかはいろ
いろな解釈が可能であると思いますが、やはり今回、全体として選挙活動が自粛され
る中で、その影響をよりこうむったのが新人であったということは言えるかと思って
おります。民主党の場合には新人の候補者が4割でありますので、その影響をより受
けたのかもしれません。
それから道府県会議員、先ほど38減と申し上げましたが、その中で、大阪で1
0、愛知で9減らしております。ここは、大阪は橋下知事の「大阪維新の会」、そし
て愛知は大村知事あるいは河村(名古屋)市長のローカル・パーティー、その影響が
あったということであります。ただし、愛知の9減は実質的には名古屋市内における
県会議員候補の減でありまして、名古屋市外はそういった動きはあまり広がっていな
かったということは言えるかと思います。政令市議会議員選挙におきましても、先ほ
ど言いましたように全体で24減でありますが、大阪が10減、堺が5減、それから
横浜で9減ということで、大阪・堺は先ほどの「(大阪)維新の会」であり、横浜は
やはり「みんなの党」との競合が響いたということかと思います。
そういった結果になったということでありますが、逆に言いますと、その他の地域
はそれなりに健闘して、増やした道府県も結構あるということであります。こういっ
たことについてどう評価するかということは今後の課題であります。
ちなみに、私の属します三重県、知事選挙は負けましたが、県会議員選挙は全員当
選であります。自民党より議席数でもたしか上回ったと思いますが、いずれにして
も、それは公認と推薦と、それに公認も推薦も得ていないけれども会派を同じくする
と約束した人たちでありまして、この辺をどの範囲で考えるかによっても結果は少し
違ってくるのかなと思っております。
知事選のほうは、三重県は大変残念なことをしたと思っております。1万票の差で
ありましたので、何とかなった話だと思います。もう少し(三重県に)帰れればよ
かったかなとも思いますが、しかし結果は、有権者の皆さんの投票の結果ですから、
厳粛に受け止めなければならないと思います。松田(直久)候補には本当に頑張って
もらい、大変申し訳ないと思います。
ただ、三重県も、ある意味では連戦連勝を知事選や参議院選挙で続けてまいりまし
たので、ここでひとつ有権者の皆さんにこういう結果を示していただいて、もう一度
しっかりと足元を見詰め直して再生していく、そう思っているところであります。
○震災発生から1ヵ月を経て
【幹事長】今日は震災発生から1ヵ月ということであります。この間、党としても独
自の取り組みをいろいろしてまいりました。この1ヵ月で党本部に寄せられた要請・
陳情は1600件を超えました。それぞれ官邸や政府、各省庁その他、協力を得て、
そういった個別の要請案件についても真摯に取り組んできたところであります。
それから最近は、自己完結型という前提で被災地に震災ボランティアを派遣してお
ります。国会議員数名がリーダーになって送り出しているわけで、3月27日には石
巻を中心に97名、4月3日も石巻市で102名、4月10日、石巻と南相馬で12
5名ということで、主としてやっていることは泥かきであります。個人宅、泥に浸
かっているご家庭の泥をかき出す。きれいにして、もう一度生活できるようにする。
そういった作業をボランティアとして行っているということであります。
党を名乗っておりませんので、ほとんどの場合は、受け手の皆さんも、民主党の国
会議員を含むグループであることはご存じないまま終わっていることが多いかと思っ
ております。
いずれにいたしましても、1ヵ月がたって、今日、国民新党や自民党あるいは公明
党に対して、補正予算の骨格についての提示も行い、中身の議論をスタートさせたと
ころでありますが、早くこの補正予算を成立させて、できれば連休に入る前に補正予
算を成立させて、そのうえでこの4兆円の一刻も早い執行を図っていきたいと思って
おります。
昨日も私、閣僚勉強会で3つの点を指摘させていただきました。これは私自身がそ
れぞれ地域を見て回った、その結果を率直に申し上げたわけですが、1つは、やはり
瓦れきの処理が非常に遅れているのではないか。これは県あるいは市町村が一義的に
行うことではありますが、自治体そのものが非常に人の数が、お亡くなりになったり
して減ってしまったり、あるいは目の前の被災者の支援で手がとても回らないところ
もあると。あるいは、ある程度しっかりした自治体、例えば仙台市であっても、仙台
港周辺の状況というのは瓦れきの撤去などは全く進んでいない状況で、そういうこと
を見ても、もう少し国としてしっかりとした関与の仕方があるのではないかと。「お
金はみますよ」と言うだけでは済まないのではないかということが1点。
もう1つは仮設住宅で、各都道府県の要請を合計しますと7万戸ということで、補
正もそういうことで組み立てているわけであります。そして、それだけの資材は順調
に準備しつつあるという説明が政府からなされますが、現場に行きますと、「それが
十分来ないのではないか」という声もあります。あるいは仮設建設の資材の大部分は
来ても、一部の部品がなかったり、例えばトイレ周りとかそういうものがないことに
よって結局組み立てができずにいる、こういう話も聞きます。そういうことについて
より深く状況を把握してもらいたいと、政府にも要請いたしました。この点は、党と
しても仮設住宅の建設に関するチームをつくりまして、業界団体あるいは個別企業か
らも話を聞き、仮設住宅の提供が円滑に行われるようにしっかりと後押しをしたいと
思います。ガソリンで少し苦い経験をしているわけでありますので。
3番目には、やはり職業、働く場の確保。これは先ほどの仮設とか瓦れきの除去と
も密接に関係することでもありますが、その他公共事業なども含めて、やはり働く場
をつくり出さないと、仮設には入ったけれども収入がない、ということでは全く将来
展望が持てませんので、やはり職業をつくり出す努力をぜひしてもらいたいと。
この3点を、昨日は閣僚勉強会で申し上げたところであります。いずれにしても、
被災地の皆さんが少しでも希望を持ってもらえるような、そういう努力を党としても
さらに行わなければならないと思っております。
私は「BUY東北」と申し上げましたが、「VISIT東北」「BUY東北」ということで、
国民全体がもっと東北に目を向ける、そして東北の物を買い、東北に旅行に行くよう
なことで、少しでも東北の皆さんを勇気づけることができればと考えております。
ちなみに党としても、これから統一地方選挙について各県連に総括をお願いするこ
とになります。まだ第1次で、第2次の選挙をやっておりますので、それが終わった
ところで、各県連で選挙の総括をしていただき、その結果を踏まえて、5月下旬ぐら
いに全国幹事長・選対責任者会議を開催したいと考えております。その会議もでき得
れば東北のどこかで開きたいと考えているところであります。
■質疑
○統一地方選挙の結果について
【産経新聞・宮下記者】統一地方選に関する結果のデータをいただいたが、これまで
党勢拡大を図ってこられたという意味では、改選前の現有議席と比較することも重要
かと思う。改選前現有議席の数字は把握されているか。
【幹事長】それは公認を出した数、そして引退された方を足せば、おそらくそういう
ことになるのだろうと思います。メディアによってはそういう数を書いているところ
もあります。選挙が終わった後で党に入ってこられた方ということですが、前回公認
を出したということとは違いますので、同じベースではないと。つまり、今回公認を
出した人で当選者が何人というときの比較のベースとして、それは間違っていると言
うつもりはありませんが、1つの考え方だと思います。
【伊勢新聞・中森記者】三重県知事選挙の敗因について、改めて思うところを伺いた
い。
【幹事長】これは県連でよく議論していただく必要がありますので、私は1回しか
入っておりませんし、よくわかりません。わかりませんが、やはり1つは、候補者の
選定が非常に遅れた。遅れただけではなく、党としての推薦はたしか告示日の前日で
あったということで、浸透するための時間が絶対的に不足していた。加えてそこに震
災が起こって、余計に浸透が遅れてしまったということが1つあるかと思います。も
ちろん松田候補はよく頑張っていただいたのですけれども、それ以外に何といいます
か、今までずっと勝ってきましたので、これで何とかなるんじゃないかという、そう
いう少しおごりといいますか、気の緩みみたいなものが、私も含めて関係者の間に
あったのではないかと思っております。最後の数日間、非常に追い上げたと思います
が、少し届かなかったということだと思います。
【NHK・広内記者】この統一地方選前半戦の結果について、公明党の山口代表は会
見で「有権者から不信任を突き付けられたということだ」と指摘されている。こう
いった指摘についてはどう受け止められるか。
【幹事長】先ほど言いましたような議席の減り方で、それを不信任と。まあ、信任さ
れたとは私もなかなか言えないかもしれません。しかし、それは政権に対してという
より、民主党に対してと。本来もっと増やすべき与党として、そういう意味では減っ
たことは大変残念なことだと思います。しかし、それを「不信任」とまで言うのは、
少し強過ぎるような気がいたします。
【朝日新聞・南記者】統一選をめぐっては、民主党は1月の党大会の段階で「地方議
会と国政のねじれを解消することが大事だ」ということで、勢力の拡大を目指してい
た。今回、この配られたペーパー・ベースで見ても実際に議席が減っている。党とし
ての責任は、民主党としてはどなたがとることをお考えか。
【幹事長】地方の選挙で責任をとると。もちろん責任は、私は幹事長として感じてお
りますが、それが辞めろとかそういう意味でおっしゃっているとすれば、それは違う
と申し上げておきたいと思います。
【講談社・辻野記者】岡田さんが代表になって以来ずっと、岡田さん関連で選挙をや
ると負けている。自分として、選挙下手なのではないかと思われたことはあるか。今
回も第2ラウンドがあるが、それについてどう思われるか。辞める気はないのか。
【幹事長】まず、事実関係を申し上げると、「選挙に負け続けている」というのは間
違いです。はっきり申し上げておきます。私が代表になって最初にやった参議院選挙
(2004年)で、初めて自民党の議席を民主党は上回りました。これは非常に歴史的
なことだったと思います。それから都議会議員選挙(2005年)もかなり大幅に議席
を増やしました。ただ残念ながら、そのわずか2ヵ月後に突然行われた総選挙におい
て、郵政選挙で大きく負けたことは事実であります。この前の、政権交代が行われた
総選挙(2009年)も私は幹事長でした。お忘れいただかないようにと思いますが。
今の幹事長をやってから、選挙であまりいい結果が出ておりません。いろいろな理由
があると思いますが、ここは少し耐えなければいけないときかなと思っております。
【フリーランス・安積記者】枝野官房長官は本日の会見で、今回の選挙について、
「平時なら党の活動についても政府側の窓口として一定の配慮をしなければならない
が、震災に全力投入を求められる状況だったので、幹事長はじめ党の役員の幹部を信
頼して任せてきた」と発言している。党のほうに政府からこうした信頼があったこと
について、今回の結果をどうお考えか。
【幹事長】こういう大震災ですから、例えば大臣からの応援は、もちろん総理も含め
ていただかないことにしておりましたし、そういう意味では自己完結で党としてやっ
てまいりました。結果が伴わなかったのは大変残念だと思っております。
【伊勢新聞・中森記者】三重県知事選挙について、先ほど松田候補の出遅れを指摘さ
れたが、そもそも民主党県連が候補者選びで迷走した。そういった点も含めて責任は
誰がとるべきだとお考えか。
【幹事長】何かあると「責任をとれ」とか「誰に責任があるか」と、そういう議論
は、私はあまり生産的でないと思います。県連でいろいろと議論されて最終盤まで候
補者が決まらなかったわけですが、それは誰がいいとか悪いとか、そういう問題では
ないと思います。
【フリーランス・安積記者】今いただいたペーパーで、唯一、道府県議会の公認だけ
12増となっているが、これは擁立と当選者の割合を計算してみると、前回は勝率7
9%だが、今回は61%に激減している。実際にこういう当選割合が低下しているこ
とについてどう受け止めておいでか。
【幹事長】ですから、10人しか増加していないわけですから、それで「勝った」と
言っているわけではないんですね。事実だけを示しているわけですから、あまり細か
い数字にとらわれないほうがいいと思います。全体の数字としては先ほど申し上げた
とおりです。
【産経新聞・宮下記者】昨日、自民党の石原幹事長が今回の結果について、「今の政
権ではこの難局は乗り切れない」と発言された。ある意味、菅政権の退陣を求めるよ
うにもとれる。これについて幹事長のご意見を伺いたい。
【幹事長】いちいちコメントする必要はないと思います。
【朝日新聞・南記者】得票率のベースでは、自民党が全国で37%ぐらい、民主党は
17%台で、同じ2大政党でありながら2倍近い差をつけられている。このことにつ
いてはどのように分析して受け止めておいでか。
【幹事長】それは候補者の数が非常に関係していると思います。これは政党に投票し
ているわけではありませんから、候補者の数が多ければ、力量が同じであれば、数が
2倍ならば得票は2倍になるわけです。簡単なことだと思います。
○民主党に寄せられた義援金について
【フリーランス・島田記者】党のホームページで先週、民主党が集めた義援金の送り
先が日本赤十字社に変更された。変更された理由と、自民党とたちあがれ日本は、日
本赤十字社に寄附した場合は控除の対象になり、希望者には証明を発行する、と書い
ている。民主党は「発行しない」と書いてあるが……。
【幹事長】「発行しない」と書いてありますか?
【フリーランス・島田記者】「優遇措置の適用はありません」と書いてあります。こ
れは党としてスタンスがそれぞれ違うとは思うが、ちょっとご説明いただければと思
う。
【司会・藤本祐司副幹事長】ご説明します。
【幹事長】はい、どうぞ。
【司会・藤本副幹事長】送り先が最初は「被災自治体」となっておりまして、それを
赤十字社に変えたのですけれども、その後ろの部分がまだ変更になっていないという
だけでありまして、送り先が決まった段階で申請すれば、これは同じような取り扱い
になります。
【幹事長】遡って適用になります。
変えた理由は、自治体に直接お渡しすることも考えましたが、結局、どこにどのよう
に分配するかというのは非常に難しい問題です。そうであれば、今回、赤十字社に全
部お任せではなくて、国も関与して配分の考え方を基本的にまとめたわけですので、
そういう意味ではそれに従ったほうがいいだろうと考えました。
【フリーランス・島田記者】文言のほうが変更されていないとおっしゃったが、現状
ではホームページを見ると混乱してしまう。これはいつごろ変更するのか。
【司会・藤本副幹事長】この後すぐに変更いたします。
【フリーランス・島田記者】この後すぐに変更できるのならば、変更する段階で一緒
にできたのではないかと思うが、これはなぜだったのか。
【司会・藤本副幹事長】いや、特段理由はないのですが、送り先だけ変更して、そこ
のところは変更し忘れたというのが正しいです。
○愛知6区補選について
【NHK・広内記者】愛知6区について、あらためて民主党としての対応を伺いた
い。
【幹事長】もう告示になるということで、残念ながら候補者は県連からも上がってま
いりませんでしたので、今回は立てないという選択になると思います。
【共同通信・中久木記者】東京都知事選に続いて大型選挙で政権与党が候補者を立て
られないという異例の事態だが、この事態を幹事長としてどのように受け止めておい
でか。
【幹事長】立てるほうが望ましいと思いますが、しかし適切な候補者がいなければ立
てないことは当然あり得ると。いいかげんな候補者を立てるというのは、公党として
の責任を果たしたことにはならないと思います。候補者をいったん立てますと、次の
選挙もその候補者でいくことに基本的にはなってしまいます。それよりは、人選をき
ちんと行って、今衆議院においては数が足りていますから、次回の総選挙で勝てる、
そういったやり方を選択したほうが賢明であると、そう私は判断しました。
○補正予算案の与野党協議について
【読売新聞・石川記者】補正について野党との協議をスタートさせると先ほどおっ
しゃったが、幹事長間ではキックオフすることについての合意は何らかの形でされて
いるのか。
【幹事長】何についての合意ですか。
【読売新聞・石川記者】与野党の補正協議を開始すると。
【幹事長】補正については、今日、政調会長が自民党及び公明党とそれぞれ協議をい
たしますが、幹事長間では確認したうえで、政調会長でやっているということです。