夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年12月1日号
大阪ダブル選挙は、市長選は、地域政党「大阪維新の会」代表で前知事の橋下徹氏が、知事選では、同会幹事長で前府議の松井一郎氏が勝利した。選挙で示された有権者の判断は、謙虚に受け止めたい。
橋下氏らは、大阪市と堺市を廃止して特別区に再編し、府の権限を強化させる「大阪都構想」を掲げていた。これに対し、民主党の基本的な考え方は「住民に最も近い基礎自治体(市町村)、特に大阪市や堺市など政令指定都市の権限を強くすることこそ、地方分権につながる」というものだ。
水道局など、府と市の事業が重なるなどの問題は確かにあった。だが、政令市は「基礎自治体に権限を持たせる」という基本方針に基づいてつくられた。最近でも、新潟市や岡山市、相模原市などが政令市となっている。
今後、米国のワシントンDCや、中国の北京市のように、政令市を県から完全に切り離すことも1つの選択肢だろう。ともかく、大阪都構想を含め、地方分権のあり方について、議論を深める必要がある。
これまでも、シングルイシュー(単一争点)で争われた選挙は国政でも地方選挙でもあった。背景には、政治への不信感があるとされる。与党として、心して政権を担当するとともに、政策が有権者に伝わるように努力していきたい。
さて、東日本大震災の被災地の、がれき処理について触れたい。
私は震災以来、何度も被災地に入っているが、高く積み上げられたがれきの量には言葉を失う。とても被災地だけで処理できないことは明らかだ。復興のために、岩手県や宮城県の可燃ゴミについて、各都道府県に処理をお願いしているが、現時点では、東京都が手を挙げただけだ。真っ先に決断された石原慎太郎都知事には敬意を表したい。
幼い子供たちの親御さんたちが、放射性物質を問題視する気持ちはよく分かる。「政府が信用できない」という声もあるが、がれきの放射線量については、科学的な調査を行っている。私の地元の三重県も含め、東京都以外の自治体もどうか受け入れを真剣に検討してほしい。
日本は地震列島、同じような地震が起こる可能性は全国各地である。三重県も東南海地震の可能性が指摘される地域だ。「困った時はお互いさま」という言葉があるが、日本人は助け合いの精神で、これまで様々な危機を乗り切ってきたはずだ。
私も与党の一員として、被災地の復興を前に進めるために、皆さんに丁寧な説明をしていきたい。