立法府として機能する範囲で定数削減を(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年1月31日号)
定年退職予定の教師が、条例改正による退職手当引き下げ前に「駆け込み退職」するケースが全国で相次いでいる。
退職手当の引き下げは、私が副総理兼行革担当相時代に、人事院の調査で「退職一時金と年金の合計額(退職給付)が、公務員の方が民間よりも400万円も多い」という結果が出たため、政府の「官民格差をゼロにする」「身を切る改革の一環」という方針に基づき決めたものだ。
まず、国家公務員の退職手当を、2013年1月から14年7月にかけて、約15%(約400万円)、3段階で引き下げることを決定。地方公務員の給与や手当は国家公務員に準拠するため、いくつかの地方自治体は2月から退職手当が引き下げられることになった。このため、1月いっぱいで退職する教師が続出したわけだ。
だが、2月、3月は新年度を控えた大切な時期。特に担任ならば、生徒たちの成績の評定や進路指導など、重要な仕事を抱えていたはずだ。対象となった教師の多くは学校に残ったようだが、2カ月を残して駆け込み退職した教師は「責任を放棄した」と言われても仕方ないのではないか。生活設計はもちろん大事だが、教師として、生徒たちの立場に立って判断してほしい。
さて、私はこのたび、民主党の政治改革推進本部長に就任した。昨年11月の党首討論で、当時の野田佳彦首相(民主党代表)と自民党の安倍晋三総裁は「次期通常国会で、衆院の議員定数削減を実現させる」ことで一致。その後、民主、自民、公明3党でも正式に合意しており、定数削減は必ずやり遂げなくてはならない。
わが党は、昨年末の衆院選マニフェストで、小選挙区の「0増5減」と、比例区75減の計80減、衆院400議席を掲げた。この方針を基本としつつ、少数政党の意見にも配慮しながら、議論を進めたい。議員定数半減を唱える党もあるようだが、極論ではなく、きちんと立法府として仕事ができる範囲で、定数削減を実現させたい。
28日、通常国会が召集され、安倍首相の所信表明演説が行われた。「経済再生」「震災復興」「外交・安全保障」については、首相の抽象的な思いが語られていたが、社会保障制度改革や原発・エネルギー政策などの重要課題には一切言及なし。非常に短い演説だった。
「今こそ世界一を目指していこうではありませんか」といったかけ声はあっても、具体的中身はない。これから国会で議論するにはあまりに材料が少なく、物足りなさが残った。安倍首相は「丁寧な議論をしたい」と語っていたが、そのためにも、改めて具体的な政策を明らかにしてほしい。(民主党衆院議員)
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(ブログ TALK-ABOUT 2012年7月13日)