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2014.01.09|夕刊フジ

靖国参拝の安倍首相は外交関係改善の努力を(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年1月9日号)

 明けましておめでとうございます。今年こそ、日本の政治に展望が見える1年にしたい。どうか、よろしくお願いいたします。

 さて、私は6日、民主党の海江田万里代表とともに、地元・三重県の伊勢神宮を参拝した。仕事始めのため、参拝客は少なかったが、その分だけ、緑の美しさ、空の青さが際立っていた。

 私は神前で、日本経済がデフレから脱却して、国民の方々の暮らしが豊かになることと、わが国の平和について真剣に祈らざるを得なかった。

 経済については、アベノミクスの第1の矢・金融緩和と、第2の矢・公共事業で、一見、回復傾向にあるように見える。だが、その恩恵は中小企業や地方までは行きわたっていない。今後、経済が本格的な回復軌道に乗り、雇用や賃金にも波及し、国民1人ひとりが実感できることが何より大切だ。

 そのカギとなる第3の矢・成長戦略や規制改革については、具体的成果は見えない。「成長戦略実現国会」と銘打った昨年の臨時国会は看板倒れだったが、通常国会では大いに議論し、しっかりと形作る必要がある。アベノミクスは今年こそ正念場だと考えている。

 外交については、不安を感じる新年となった。

 安倍晋三首相は就任1年で25カ国を回るなど、精力的な首脳外交を展開している。このことは評価すべきだが、問題は、日本外交の3本柱である「日米関係」「日中関係」「日韓関係」だ。

 安倍首相が昨年末に靖国神社を参拝したことは、日中、日韓のさまざまなルートで「問題を乗り越えて日中関係を良くしよう」「日韓関係を立て直そう」と努力していた人々に冷や水を浴びせた。

 私も先月、韓国に行き、旧知の与野党議員らと話し合ってきた。意見の違いもあったが、「日韓関係は大切だ」「何とか首脳会談を」という共通認識は確認できた。他にも多くの方々が、水面下で努力していた。安倍首相の靖国参拝は、それらをゼロベースに戻してしまった。

 とりわけ気になるのが、安倍首相の靖国参拝に「失望している」とした米国の反応だ。

 私が外相を務めた鳩山政権時代にも、米国から「懸念をしている」という意見が出ることはあった。しかし、「失望している」といったキツイ表現は聞いたことがない。これは同盟国に対する最大の警告だと、深刻に受け止めるべきだ。

 安倍首相は以前、「民主党政権が日米関係を破壊した」と述べていたが、民主党時代でも、日米関係には最大・細心の注意を払っていた。米国の今回の反応は、日米関係が非常に厳しい状況になっていることを物語っている。

 中国や韓国に対して、「対話のドアは開いている」と言っているだけでは、関係改善はあり得ない。中韓両国にも問題はあるが、安倍首相が自ら、障害を取り除く努力をすべきではないか。

 日米関係が揺らぐようなことがあれば、日本外交の土台がおかしくなってしまう。安倍首相には、十分肝に銘じてやってほしい。 (民主党衆院議員)




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