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2014.04.08|国会会議録

平成26年2月28日 第186回国会 衆議院予算委員会「選挙制度改革、密約、集団的自衛権」

○岡田委員 岡田克也です。
 まず、質疑に入る前に、今回のこの予算委員会の日程、運びを見ておりまして、やはり私は、少し粗過ぎると思うんですね。私自身、この予算委員会で与党の筆頭理事、野党の筆頭理事、いずれも務めてまいりました。もう何年も予算委員会に所属しております。そういう目から見ても、先ほどの説明で、いや、与党の議論を削ったからいいじゃないか、野党の時間は十分足りているという御説明でしたけれども、国民から見れば、やはり与党の質疑も聞きたいわけですね。どういう議論を与党が提案しておられるか。ですから、野党、与党の時間も含めて、全体としてもう少し時間を確保すべきだということを私は申し上げているわけです。
 私は思うんですけれども、やはり国民ということを意識して委員会の運営というのはあるわけで、与党も野党もきちんと議論して、全体としても常識的な線に抑える。やはり今回は非常に短い。
 なぜこうなったのかということを考えますと、私はやはりこの国会を始めるのが少し遅かったんだと思うんです。私が想定していたよりも遅く始まりました。だから、全体の日程がきゅうきゅうになっているわけですね。もう少し早く始められるということがあれば、私はいろいろな問題がなかったんじゃないかというふうに思いますが、ぜひお考えをいただきたいというふうに思います。
 そこで、まず選挙制度改革についてお聞きしたいと思います。
 二週間前に、野党五党、民主、維新、みんな、結い、生活、この五党で、衆議院選挙制度改革について基本的な合意に達しました。
 与党案と我々の案との最大の違いは、小選挙区について、さらなる格差是正、一票の格差の是正あるいは定数削減ということをやるのか、あるいはやらないのか。やらないのは与党案です。そこが最大の違いであります。
 私は、当然、これだけの大きな格差も残っている中で、しかも、比例にだけしわ寄せするのではなくて、小選挙区、比例、いずれも定数を削減するということが極めて理にかなった答えではないかというふうに思うんですが、総理はいかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 最初の御意見にございました委員会の運営においては、まさにこの予算委員会において決めていかれるものと思います。
 与党と野党の質問の割合等においては、私は、理事会等において、いわば、まさに民主党側からの考え方としても、与党の質問の比率を少なくせよ、そういう御意見もあったというふうに承知をしております。
 いずれにせよ、それはこの委員会において決められるものだ、このように思います。
 そこで、今御質問のございました選挙制度改革についてでありますが、一票の格差是正については、昨年十一月の最高裁判決において、平成二十四年の衆議院総選挙の時点では違憲状態との判断がなされたものの、その後の〇増五減の区割り改定が一定の評価をされており、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えています。
 いずれにせよ、一票の格差是正については、民主主義の根幹に関する事項であり、今後とも、各党各会派による御議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 そして、それを踏まえての定数削減についてでございますが、定数削減ということにつきましては、我が党におきましてもさまざまな議論がありまして、国際比較においては、日本の国民の人口に対する国会議員の比率においては、必ずしも議員の数が多い方には入らない、むしろ少ない方に入るわけでございます。他方、我々、消費税を引き上げていく中において、国会議員みずからも身を切るという御意見も多数あるということもございます。
 そうしたことを踏まえ、我が党としては、我が党の案を既にお示ししているところでございますが、これは民主主義のまさに土台をつくっていく議論でありますから、しっかりと各党各会派が入って議論が進められていくことがふさわしいわけでございますが、そこでなかなか今も決まらないという状況が続いている中におきましては、国会において、この選挙制度の改革においての議論をする、いわば専門家等が入った、有識者が入った議論の場をつくってはどうかということも申し上げたところでございます。
 いずれにせよ、これは各党各会派において御議論をいただきたい、このように思います。

○岡田委員 総理は、最高裁の十一月の判決を挙げられるわけですが、あの判決は、違憲ではないという判断は下しました。しかし同時に、一人別枠方式という構造問題は残る、国会はさらなる努力をすべきだということも言っているわけですね。ですから、いや、違憲じゃないからいいんだというふうに考えてしまうのはおかしいでしょうというふうに私は申し上げているわけです。
 やはり、なるべく人口の数に応じて一票の格差というのは縮小していく必要があるし、何よりも、前から問題になっている、各都道府県に一議席配分するという基数配分、これは基本的に今の状態でも残っているわけですね。そのことは最高裁も認めているわけです。
 現に、例えば神奈川県と大阪府を比べてください。人口は神奈川県の方が多い。しかし、神奈川県は十八議席だけれども、大阪府は十九議席である。これはやはり、神奈川県の方から見たら、なぜ人口が多い神奈川県が議席が少ないのか。これは論理的に説明できないと思うんですよ。やはり、投票、一票の価値というのは民主主義の土台ですから、そういった事態がないように格差是正に努めていくということは、これは避けられないんだと私は思うんです。
 小選挙区制度で、これをいじることが大変だということはよくわかります。民主党も大変ですが、その数倍、自民党は大変でしょう。だけれども、だからといって、これを放置しておいて、先ほど言ったような逆転現象もある、住んでいる場所によって一票の価値が大きく違う、そういう状態を放置していいのかということを申し上げているわけです。いかがでしょう。○安倍内閣総理大臣 昨年十一月の最高裁判決では、〇増五減の区割り改定については、「是正の実現に向けた一定の前進と評価し得る法改正が成立に至っていた」とした上において、「今回のような漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくことも、国会の裁量に係る現実的な選択として許容されている」という判示を示しているわけであります。一定の評価がなされていることから、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えています。
 そこで、一人別枠方式についてでありますが、この一人別枠方式の廃止の評価でございますが、一人別枠方式については、平成二十三年三月の最高裁判決で速やかに廃止することが求められたところでありまして、そして〇増五減の緊急是正法の成立により廃止されたところであります。
 また、昨年十一月の最高裁判決においては、〇増五減の区割り改定は、「一定の前進と評価し得る法改正が成立」として評価をされておりまして、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えているわけでございます。

○岡田委員 ですから、一定の前進とか、許容される範囲とか、そういう言い方を最高裁はしているわけです。つまり、ちゃんとした合格点かどうかということについては言っていないわけですね。憲法違反ではないということは言っています。やはりここは民主主義の土台ですから、きちんとした議論をすべきだというふうに思います。
 いずれにしろ、それは各党間で、あるいは衆議院議長のもとに置かれる第三者のその場で議論すればいいと思いますが、一つ私は総理にお聞きしたいんですが、議長のもとで第三者機関をつくるということですけれども、これは余り時間をかけちゃいけないというふうに思うんですね。
 中身は、それは自民党は、小選挙区はさわらない、定数削減だ、こう言われるかもしれません。我々はそうではないと言っているわけですが、そこは第三者で議論してもらうにして、やはりそこの結論は時間を置かずに出していかなきゃいけない。
 そもそも、この議論のスタートは、あの野田総理と安倍総裁との党首討論です。消費税を引き上げるというときに我々は身を削らなくていいのかというところから始まっているわけですから、やはり、消費税引き上げのこの四月までに一定の方向性が出るぐらいの、そういう全体のスケジュール感で議論すべきだと思いますが、いかがでしょうか。○安倍内閣総理大臣 定数削減につきましては、我々は、三十人削減する、比例の議員を中心にではありますが、三十人削減するという案を、党としての考え方としてお示しをしているところでございます。
 しかし、これは、各党各会派によってまだ意見の開きがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、なかなか、各党各会派でこの議論を重ねていっても、そう簡単にこれは収束していくという状況ではないということから、私は、議長のもとに第三者機関として専門家、有識者から成る場を設定してはどうかということを申し上げたわけでございます。
 そこで、時間についてあらかじめ私が申し上げる立場にはございませんが、大切なことは、そこで決まったことが各党各会派によって尊重されるか否かということが極めて重要なんだろうな、こんなように思います。○岡田委員 それは、尊重されるだけの内容を持った有識者の会議がきちんと合意できるかどうかということにもかかわっていると思います。
 しかし、もう一度申し上げますが、私は、やはりこれは急がなければいけない話だというふうに思います。消費税の引き上げが始まるときに一定の方向性が見えていなければ、私は、国民は、約束違反だ、そういうふうに受けとめかねないと思いますので、ぜひそういう思いで議論を進めていきたいというふうに考えております。
 次に、密約についての御質問をしたいと思います。
 一月三十一日の予算委員会で、この密約の問題を私は取り上げました。そこで総理の方からはこういう答弁をいただいたわけです。「政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたい」ということであります。
 この密約の問題について、その解明を踏まえて一定の政府見解が出るというふうに私は理解をいたしましたが、これは、いつごろ政府見解をお出しになる予定でしょうか。○岸田国務大臣 いわゆる密約問題につきましては、まず、委員御案内のとおり、外務省で調査を行って、平成二十二年三月に調査報告書を公表いたしました。
 そして、その公表の際に、当時の岡田外務大臣が発言されたこととして、外交の評価というもの、これは簡単なものではなく、そして、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨述べられている、こうした発言をされております。
 まず、この点につきましては、今の政権におきましても、この考え方は踏襲をしております。
 そして、一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったこと、これに対する政府の見解ですが、この点につきましては、政府としましては、遺憾であると考えております。このことについて遺憾であると考え、政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えております。
 これが、この密約問題に対する政府としての見解であります。○岡田委員 私はそんなことを聞いていないんですよ。今大臣がおっしゃったことは、私が外務大臣のときに決めたこと。私は、そのことと違うことを言うつもりは全くありません。
 ただ、それを踏まえてこの場で議論をして、総理の方から、政府としてどう考えているか。つまり、それは、私が申し上げたのは、この密約の問題は主として自民党政権のときに行われたことだ、私はそのことを一方的に批判するつもりはないけれども、しかし、やはり自民党政権としてやってきた以上、自民党政権に政権が戻ったわけですから、基本的な考え方をお述べになるべきではないかというふうに申し上げて、総理はそれを受けて、「政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたい」、こう言われたわけです。
 そのことについて、いつごろ、どのような形でその見解をお出しになるのかということを聞いているわけです。○安倍内閣総理大臣 今、外務大臣からも大体、概要について答弁をさせていただいたわけでございますが、あのときにお示しをすると言った政府の考えについて、今この場でお示しをさせていただきますと、いわゆる密約問題については、外務省において徹底した調査を行い、平成二十二年三月にその結果を公表している。調査結果の発表に際して、岡田外務大臣、当時の岡田外務大臣でありますが、岡田外務大臣は、当時の状況については簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨述べられていると発言されたと承知をしております。
 しかし一方で、この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えている。
 これが密約問題に対する政府としての見解でございます。○岡田委員 私はもう少し踏み込んだ見解を総理がお述べになるのかなというふうに予想していました。今の御答弁だと、私が外務大臣のときに、我々は密約には直接かかわることはなかったわけですが、そのとき述べたものと変わらないと思うんです。
 総理は、国民にそのことを示さずに来たのは間違いだったという答弁もされていますよね。やはりこれは、もちろんそのときの状況がいろいろあったということは私も認めます。簡単な政治判断じゃなかったと思います。
 例えば、岸総理が六〇年安保のときに事前協議制を導入されました。これは、私は、日米安保をより対等なものにする意味で非常に意義のあることだったと評価をしています。ただ、その中で、朝鮮半島有事の際には、これは事前協議なしで日本から直接発進できるという約束を、密約ですね、していたということが、今回の密約調査で文書が出てきて明らかになりました。
 いろいろな事情を考えたときに、それしかなかったのかもしれないという思いは私もありますけれども、しかし、国民に対して、この国会の場で、歴代総理大臣がそういうものはありませんと言い続けてきたことは事実なんですよ。そのことに対して、国民に対してどう説明するかということを私はお聞きしているわけです。これはやはり国会の権威にかかわる問題なんです。
 歴代総理大臣、外務大臣がないと言ってきたことが、あるということがはっきりした。私は、一方的に密約そのものを断罪しようとは思わない。それは、私が同じ立場であれば、同じような判断をしたかもしれません。しかし、国民に対してはどうなんでしょうか。明らかに違うことを言ってきたのであれば、それはそのことに対してきちんとけじめをつけるべきじゃないか。
 私は、当時、そういうことも考えました。しかし、やはりそれは違うだろうと。我々の政権の時代の話じゃない、やはり、それは自民党政権がきちんとけりをつけるべき問題じゃないか。我々の政権がやれば、それは一方的に批判することになってしまうかもしれない。だから、そこは私は相当気を使ったつもりなんですよ。
 そして、私は、例えば佐世保や横須賀に行って、そこの市議会議長や市長に謝りましたよ。ずっと最近まで、その市議会の、核を積んだ船が入ってきているということはないですねということに対して、いや、それはありませんという、密約に基づいた答弁を繰り返してきたからですよ。しかし、より当事者は自民党政権ですから、やはり、そのことについて、佐世保や横須賀や、あるいは国民に対してきちんと説明すべきじゃないか。
 私は、総理が、どう考えているかということについてはお示しさせていただきたいというふうに言われたときに、ああ、そういうことについて言及されるんだなというふうに思いましたよ。今の話じゃ、私が言っていたことと変わらないじゃないですか。いかがですか。○安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったいわゆる密約についてもいろいろ種類があるわけでありまして、日本からの米軍の朝鮮半島への戦闘作戦行動、今おっしゃったのは、いわゆる核の領海通過等々に係る認識の問題だろうと思います。
 そこで、今私が申し上げましたのは、岡田当時の外務大臣が、当時、民主党政権下において述べられたことでありますが、いわば政権交代された後、政府として今申し上げたこと、これをお示しをするのは初めてのことでございまして、一方で、この問題がこれほどの長期間にわたり国民に対し明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力をしていきたいと考えているということでございます。

○岡田委員 明らかにしてこなかったんじゃないんです。国会で明らかに事実と異なる答弁を続けてきたんです。そのことに対して、やはり国民に対してもっときちんと説明し、そして一定の見解を述べられるべきではないかということを私は申し上げているわけです。
 いや、そういうつもりはない、歴代総理が事実に反することを言ってきても、それはそれでいいんだというふうに総理が開き直られるのなら、それは政権のお考えとしてやむを得ないかもしれません。しかし、私は、やはりそれでは政治に対する国民の信頼というのは出てこないというふうに思っているということは申し上げておきたいと思います。
 次に、集団的自衛権について。
 先ほど大串委員も言われましたが、先ほどの総理の答弁の中で、閣議決定しなければお示しできないというふうに言われましたね。私は、それはそうじゃないと思うんですよ。やはり、閣議決定をする予定の案をおつくりになったところで、そこで国会できちんと議論をすべきだということを私は申し上げているわけです。
 閣議決定してしまった後では、これはもう決まったものになってしまうわけです。そうすると、それは国会を経ずに、内閣だけで、あるいは与党だけで、憲法解釈の大幅な修正、変更、つまり、海外で武力行使を基本的にはしないという、その日本の戦後の方針を変えるという大きな解釈変更ですから、そのことを一内閣の判断だけでやっていいのかどうかという議論ですよ。
 これは与党も野党もないと思います。やはり国会であれば、今まで国会の中でこの問題、九条の問題をずっと積み重ねて議論してきたことを考えれば、やはり、正式に決まるまでに議論をすべきだ、そういう機会がなければならない、そういうふうに私は思うんですが、総理、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 先ほども御説明をさせていただきましたが、今まさに安保法制懇において、さまざまな議論がなされているわけでございまして、集団的自衛権にかかわることについて、分類をしながら議論を行っております。
 また、集団安全保障にかかわる自衛隊の海外での武器使用に、あるいは行動にかかわること、そしてまた、自衛権発動に至らない、武力行使を行うに至らない段階における自衛隊の活動等々について、いわば法的基盤が整っているのかどうかということ等について議論を進めているところでございます。
 この議論を経て結論が出てくるわけでございまして、この議論につきましても、大体、大まかお示しをしているところでございますが、この場でももう何回も、既に議論が出されていることと思います。
 その上において、出てきた結論に対しまして、政府として、法制局を中心に議論を進めていくわけでございます。そして、その間、与党との関係におきましては、まさに与党と、自民党、公明党の中におきまして議論を進めていく上において、当然、その中におきまして国会の御要請があれば、その議論の過程等についての議論を御紹介させていただくというのは当然のことなんだろう、こう思うわけでございます。
 そして、その上において、政府としての意思決定がなされるというのは、これは、閣議決定をもって、政府として最終的な意思を決定するのは、そこでございます。ですから、それがなされなければ、それはいわば正統性を持った政府としての考え方ではないわけでございますから、その上において御議論をいただく、政府はがっちりとそこでまさに考え方が決定されるということに、法的にもなるわけでございます。ですが、それを、いわばさらに議論を深めていくということは当然ではないか、こう思うわけでございます。
 いずれにせよ、それに至る過程においても、国会の御要請があれば、当然、御議論に応じるのは当たり前のことだろう、こう思うわけでございます。しかし、繰り返しになりますが、閣議決定を経て初めて政府としての決定になるんだということは申し上げておきたい、このように思います。
 その上において、先ほども申し上げましたが、その上において、自衛隊がどう活動していくかということについては、それにかかわる法律が決まっていかなければ自衛隊は動くことができないというのは、これは当然のことでございます。○岡田委員 閣議決定しなくても、案として固めることはできますよね。それを国会できちっと議論して、その審議を踏まえて最終的に閣議決定するということは、私は全くできないことじゃないと思うんですよ。
 それを、閣議決定してしまったら、そこでもう一旦確定するわけですから、変えられないじゃないですか、幾ら議論したって。今は審議はしていないんですよ、だって結論が出てきていないんですから、案が。だから私は言っているわけですよ。
 だから、きちんと政府の案を、これは総理も言っておられるように、安保法制懇の結果が出て、政府の中で調整する、与党と調整する。特に、やはり法律的な詰めが必要ですよ、これは。
 憲法解釈、これを変えるということは、私は絶対できないというふうには考えていません。これは政府の考えと一緒です。
 しかし、政府の今までの質問主意書に対する答弁の中でも言っているように、規定の文言、つまり、例えば憲法九条の文言と整合性があるかどうか、あるいは全体の整合性、今まで国会でいろいろ議論してきたこの九条をめぐる解釈ときちんと整合性があるかどうか、そして論理的に成り立っているかどうか、そういったことについて、恐らく法制局中心にいろいろ議論されるんだと思うんですが、そういうことの議論を、国会をすっ飛ばして、政府の中の調整を終えたら閣議決定するというのは、私は明らかに間違っていると思いますよ。
 それは、今まで国会でずっと議論してきたわけでしょう。しかも、先ほど言ったように、自衛隊を海外に送って武力行使をできるようにする、そういう中身ですから、程度の問題がいろいろあるとは思いますけれども、これはやはり国民的な論議が必要なんです。国民的な論議、国民の理解というのは、やはり国会審議を経てなされることじゃないですか。それをすっ飛ばしていきなりやるというのは、これは私はあり得ないと思うんですよ。
 これは法制局長官の答える話じゃないんですよ。政治論なんですよ。法律論じゃないんですから。あなた、間違っているんだよ。
 総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 もう事実上の議論は既に始まっているわけですね。
 何回も、我々が審議をしている個別事案についてもお示しをしていますよ、ここにおいて。お示しをしていますね。その上において、先般は、岡田委員は、中身、そうした個別事案の中身についてではなくてプロセス論についてお話をされましたから、こういうプロセスで進めていきますよということをお話をさせていただいたところでございます。
 しかし、閣議決定をするというのは、これはプロセスとしては、当然、議論をした上において、いわば内閣としての方針をそこで決定するわけでございます。つまり、決定したものについて、さらにそれが議論されないということではないわけでありまして、当然、これは国会でも議論になるわけであります。
 今までも常にそうじゃないですか。閣議決定したものを国会で議論しているじゃないですか。閣議決定したものとして法律として出して、それを議論しているじゃないですか。ですから、これはプロセスとしてはそういう議論になるわけでありますし、かつ、今回は、大体の議論について今までも議論をしておりますし、これからも、安保法制懇の結論が出た段階におきまして、さらに閣議決定をしていくというプロセス。あるいは、与党との調整がございますよ。与党との調整を経て、最終的に決まらなければ、それはもちろん閣議決定はできないわけであります。
 しかし、閣議決定を踏んで初めて、正式なものとして国会で考え方として議論ができる、まさにこれが正しいプロセスなんだろう、私はこのように思っております。

○岡田委員 総理、根本的に誤解していますよ。仕組みを間違えていますよ。
 つまり、法案を今言われましたね。法案は閣議決定するんですよ。そして、国会で議論して法律になるんですよ。でも、今回の解釈の閣議決定は、閣議決定したら確定するんですよ。だから、その前に実質的に国会でしっかり議論する、そういうプロセスが必要だと言っているわけです。法案と一緒にされるのは間違っていますよ。
 しかも、法案よりずっと重い解釈の問題でしょう、憲法九条の中身を実質的に変えるということですから。私は、集団的自衛権について、前にも申し上げましたように、全面的に否定しているものでは必ずしもないんです。しかし、余りにも粗い手続で物事を進めていって、国民の理解も進まないということになれば、これはやはり国の基本が揺らいでしまいますよ。
 やはり、こういう、戦後ずっと日本が平和憲法のもとで築き上げてきた解釈で、そのために国会の先輩たちが時間をかけて、本当に議論を重ねて重ねて、そして今の解釈になっているわけじゃありませんか。それを、国会をすっ飛ばして、いや、開いていれば議論したらいいとおっしゃいましたが、そういう話じゃなくて、きちんと国会で位置づけて、一定の議論をすべきじゃないかということを私は申し上げているわけです。

○安倍内閣総理大臣 岡田委員、今までも、憲法の解釈について、法制局で累次、憲法の、例えば自衛権の行使について解釈を示してきましたよ。それは、ある意味ではいきなり法制局長官が考え方を、国会の上においてお示しをしたわけですね。閣議決定もしていませんよ、それについては。お示しをしたわけですよ。そして、そのお示ししたものについて国会で議論していますよ。
 今度は違いますよ。今度は、むしろしっかりと、しっかりと政府としての立場を示す上において、政府としての解釈をどう考えるかということについて安保法制懇で議論した、結論を得たことにおいては、これはしっかりと、まずは法制局を中心に議論をしますが、さらに与党との調整を行い、そして閣議決定、閣議決定をなされて、そして初めて、これは政府として統一的な考え方にするということでありまして、その上において法整備を進めていくということでありますから、むしろ非常に丁寧に物事を進めていると言ってもいいんだろうと私は思うわけでございます。丁寧に進めていく上において、まさに閣議決定をするわけであります。
 つまり、これは、今まではまさに閣議決定を経ていないわけでございますし、考え方として、そこで閣議決定をする必要があるかどうかという議論もあるわけであります。しかし、私は、そこはしっかりと、変更するわけでありますから、閣議決定を行うべきだという考え方のもとに立って、閣議決定を行う。
 閣議決定を行うことによって、まさに私たちの立場が決まり、立場が決まって、法的にしっかりと決まった段階において、内閣として統一した閣議決定によって私たちの立場がここで明確になった上において、それを御議論するということでなければ、答弁をする上において、まだふわふわした段階において我々がどういう考え方を持っているかということについては、これはむしろ逆に、お答えすることが曖昧になる可能性があるわけでありまして、むしろ、閣議決定によって政府の考え方を決めて、御議論をいただく、これは当然のことではないかと思うわけであります。この御議論の中におきまして、それはやはりおかしいということになれば、いわば自衛隊法等の改正に進んでいくことは、もし必要となった場合、それはできないわけであります。
 ですから、この議論においては、まさに私たちは、しっかりと丁寧に、むしろ今までよりもプロセスを踏みながら進めていきたいと考えているということでございます。

○岡田委員 閣議決定は、それは必要ですよ。だって、今まで、政府としてのたびたびの国会での答弁や、この予算委員会での答弁や、あるいは質問主意書への答えや、あるいは政府見解や、いろいろなことを重ねてきていますから、それとの整合性をとるためにはやはり閣議決定しなければ、そういうものがまだ生きていることになりますから、閣議決定は絶対必要だと私は思いますよ。
 ただ、閣議決定をしてしまえばそれで固まってしまいますので、それは国民の理解も十分得られないままかもしれない、何よりも、それは法律よりもさらにずっと重要な憲法九条の解釈の問題ですから、やはり国会で真摯な議論をしなきゃいけないでしょう、それが我々国会議員の務めでしょうというふうに、これは野党の議員だけじゃなくて、与党の議員の皆さんにも申し上げたいと思います。そういうのをすっ飛ばして、政府がいきなり決めて、それで後からいろいろ議論したって、それはもう変えられませんよ。国民の理解が得られるとは思えませんよ。国民の間に亀裂が入りますよ。だから丁寧にやるべきだということを私は申し上げているわけであります。
 ぜひ、そのところはよくお考えいただいて、与党の中にもいろいろな議論はあると思います。普通に考えれば、私のような答えになるんだと思います。ぜひそこは、よく皆さんの意見も聞いていただき、慎重にお考えいただきたい。
 先ほどの密約の問題もそうなんですが、結局、総理の視野の中に国民というものはないんじゃないかと私は思うんですね。やはり国民に対する理解というのを丁寧に求めていくということが、大きな与党だけに、より求められるんじゃありませんか。粗っぽくどんどん進めていって、いや、憲法九条、海外で武力行使しない、こんなの閣議決定で変えればいいんだ、それは私は違うというふうに思うんですよ。ぜひ、よくお考えいただきたいと思います。
 終わります。




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