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2015.01.22|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(1月22日)

岡田克也代表定例記者会見

2015年1月22日(木)17時29分~18時06分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。



■冒頭発言 ○定例記者会見について
○新体制の陣容を決定
○通常国会の対応について
■質疑 ○通常国会の対応について
○野党共闘について
○集団的自衛権をめぐる議論について
○「イスラム国」による邦人人質事件について
○農協改革について
○統一地方自治体議員選挙に向けた対応について
○党役員人事について
○前回総選挙の総括について
○永年在職議員表彰の辞退について
○戦後70年の「談話」について
○企業の社会保険料負担について
○マクロ経済スライドについて
○代表の基本的立ち位置について




■冒頭発言

○定例記者会見について

【代表】
 これから週一回、今日は木曜日ですが、基本的には金曜日に会見を開催いたします。よろしくお願い申し上げます。ずっとやってきたように基本的にオープンで、一定の要件さえ満たせばどなたでも参加できる形で進めさせていただきたいと思っております。

○新体制の陣容を決定

【代表】
 先ほどもいろいろお話をしましたのでつけ加えることはあまりないのですが、「オール民主」で取り組んでいくだけの体制ができたのではないかと。この2日ぐらい集中して人事構想を練り、関係方面と相談してきたわけですが、NC(ネクストキャビネット)大臣も含めてセットできて、今日、両院議員総会でご報告できたことは非常によかったと思っております。
 それから、あの場では言わなかったのですが、「党改革創生実行本部」、これは私が代表選挙でお話をした、民主党改革創生会議でお決めいただいたことを実行する場ということで、私が本部長で枝野幸男幹事長に事務総長をやっていただく。先ほども(両院議員総会で)古本伸一郎さんから、代表選挙のあり方についてもいろいろご提起いただきましたが、そういうことも含めて、ここでしっかりと議論していきたい。あと地方との関係とか、そういったことについてスピード感を持って党改革を議論していきたいと思っております。
 それから長妻昭さんが代表選挙で主張されていたことを中心に、「共生社会創造本部」を設置し、ここは私が本部長で長妻さんが本部長代行で、これから具体的な人選も進めてまいりますが、参議院選挙までに一つの大きなパッケージとして、民主党の大きな旗を作り上げるということで議論していきたいと思っています。
 (臨時)大会でも申し上げたのですが、先進国の中で経済のグローバル化が進む中で格差の問題が非常に重要になってきておりまして、先日のオバマ大統領の一般教書演説もこういったことについて具体策をいろいろ出しておられたと思いますが、日本こそがそういった格差社会を乗り越えるモデルになるという思いで、長妻さん中心に、もちろん私も参加して、しっかりした議論をして政策を作り上げていきたいと思います。
 「東日本大震災復旧・復興推進本部」、従来は玄葉光一郎さんに本部長をやっていただいていたのですが、これは野田佳彦前総理に本部長になっていただくことにいたしました。総理経験者に本部長になっていただいて、復旧・復興の作業が前に進むようにわが党としてもしっかり努力していきたいと思っているところであります。

○通常国会の対応について

【代表】
 通常国会が月曜日・26日から始まりますが、この国会は非常に重要で、経済もありますし、それから安保法制がおそらく連休明けに具体的に出てくるということであります。その他にも医療など福祉分野でも重要な法案が提出される見込みでありますので、今回作り上げた体制の中でまず党内でしっかり議論を尽くして、対応していきたいと思っています。
 その他、戦後70年という節目の年で政府も談話を考えているようであります。そして夏までにプライマリーバランス黒字化のための新しい計画を作るとか、エネルギー基本計画なども言われています。夏は国会がもう閉じてしまっている可能性が非常に大きいので、そういうことも積極的に国会の中で先立つ議論をしていきたいと思っております。
 わが党、論客もたくさんおりますので、お互いに手分けをして、しっかりとした議論をしていきたいと考えているところであります。


■質疑

○通常国会の対応について

【フリーランス・宮崎記者】
 月曜日から通常国会が始まり補正予算が提出されるが、財政演説だけで、総選挙後にもかかわらず総理の所信を聞けないという異例な形になった。補正を審議していく中で、なぜ所信がないのか。

【代表】
 今、宮崎さんは「異例」とおっしゃったが、どこかの新聞を読んでそう思われたかもしれませんが、決して異例ではありません。今まで施政方針演説を行った後に内閣がかわって、同じ国会で所信表明演説をやるということは、毎年内閣がかわっている時代においては結構あったわけですが、所信表明演説をやって、その後に施政方針演説をやったというのは過去に2例しかないと私は理解しております。
 一つは第72回国会で、田中総理の時代ですが、12月1日に所信表明演説をやりました。そして年を越えて1月21日に施政方針演説をやったわけであります。この時には、オイルショックのための補正予算をやったということもあって、しかも年をまたいだ上で所信、そして施政方針演説ということでありました。これは1973年です。
 もう一つは第183回国会で、安倍政権ができた時です。政権交代もありました。それからもう一つ、1月中に国会は開かなければいけないという中で、まだ補正ができていなかったのですね。補正の財政演説は2月4日であります。したがって、1月中に開かなければいけないというところでそこで所信表明をやって、それから2月4日に財政演説をやって、2月28日に施政方針演説をやったということであります。政権交代もあったということも言えるかと思います。
 この2例ですから、なにか当然のように「所信表明演説をやらないのはおかしい」というのは、私は誤解だと思います。

○野党共闘について

【毎日新聞・佐藤記者】
 維新の党との国会での共闘について伺いたい。本日、江田代表が民主党との連携について、「現時点で民主党とどうこうしようという考え方がまとまっているわけではない。5月の連休明けまでは具体的に国会で共闘する案件はないだろう」という趣旨の発言をされている。岡田代表はこの問題に関してどのようにお考えか。

【代表】
 これから国会が始まって国対ベースでもいろいろな議論があると思いますので、それを待って判断していけばいいと。例えば補正予算とか本予算についても、それをどうするかということは当然野党間で議論はあるわけです。最終的に合意できるかどうかは別にして。それをあらかじめ封じてしまう必要は全くないと思います。

【産経新聞・楠城記者】
 江田代表は会見で、「安全保障法制に関する話題が通常国会後半にはテーマになってくるが、野党共闘に関して民主党に集団的自衛権に関する考え方を統一していただくのが先だ」「民主党の弱点と言われている安保についてしっかり統一的な見解を出していただきたい」と言われているが、どう受け止められるか。

【代表】
 党内の議論は尽くさなければいけないと思います。これは各党それぞれ苦労しているところで、維新も同じではないかと思うのです。ですから、それぞれまずは党の中でちゃんと議論して、その上で野党間で共通認識が持てれば、それがベターだと思います。

○集団的自衛権をめぐる議論について

【日本テレビ・中村記者】
 安保法制の国会論戦で、例えば安倍総理から「民主党としては集団的自衛権の行使を認めるのですか、認めないのですか、どっちなんですか?」と言われた時に、岡田代表はどう答えるのか。そういう質問が想定されるとするならば、連休明けかに安保法制の議論が始まるまでに結論を出すとか、そのあたりの考えについてお聞きしたい。

【代表】
 まず、私、与党にも聞いてみたいですね、「自民党と公明党でかなり意見の違いがある。これをどう考えているのですか」と、お返ししたいところです。
 いずれにしても、私は代表選挙でも言ったのですが、法律上どういうふうに組み立てをするかという前に、日本として対応しなければいけない事態とはどういうことなのかということを、まずしっかりと見極める必要があると思うのです。内閣法制局長官は、「日本自身が攻撃を受けた時と同じような影響が国民に及ぶような事態」と言っていますが、そういう事態がはたして存在するのかということは、まず政府にたださなければなりません。この前、質問主意書でそういったことを質問しても、答えが返ってきていないわけです。
 そういう事態がもしあるとしたら何かの対応が必要だというのは、私や長妻さんも含めて(代表選立候補者)3人の共通認識として、代表選挙の中でも確認しております。それをどういう法律構成をするのか、個別的自衛権で考えるのか。長妻さんは武力行使の「着手」というものを少し長くとることでそういうことに対応できるのではないかということを言われているわけです。あるいは、それは国際的なスタンダートから見るといろいろな問題もあるので、むしろ制限された集団的自衛権ということで構成したほうがいいのではないか、という意見もある。そもそもちゃんと制限できるのか、という議論もある。そういうことを党の中で議論を尽くせばいいわけで、まず法律から入ってしまうと非常に難しくなる。
 まず事態をきちんと特定して、そういう事態について何もしなくていいのか、あるいはちゃんと対応しなければいけないのか、というところから議論していけば、おのずと合意はできると思っています。

【日本テレビ・中村記者】
 ある程度時期を区切ってそういう議論の結論を出すかどうか。安全保障の論戦が始まるまでに結論を出すか出さないかについて伺いたい。

【代表】
 それは政府の見解を聞きながらでないと。先ほど言ったような事態がそもそもあるのかどうかもはっきりしないわけです。だから、そういった政府の対応にもよって、党内の意見集約の時期は変わってくると思います。

○「イスラム国」による邦人人質事件について

【フリーランス・安積記者】
 昨日、党内に「情報連絡会議」(シリアに於ける日本人拘束事案に関する情報連絡会議)を設置され、その後で代表は「政府が適切にやっていただくよう、しっかりと後押ししていきたい」と述べておられる。この「後押し」の具体的な内容について伺いたい。

【代表】
 私が申し上げたのは、人命が最も重要だと、そのために政府に努力してもらいたいと。我々にできることは非常に少ないけれども、できることがあれば後押ししていきたいということを申し上げたところです。むしろ、足を引っ張るようなことはしないと、そういう意味で申し上げたところです。

【読売新聞・加藤記者】
 明日の14時50分に期限が迫っている中で、政府はどのように対応すべきとお考えか。

【代表】
 政府として、政府ができることはすべてやっておられるだろうと想像しています。ただ、我々も詳細を承知しているわけではありません。人命が一番大事ですから、是非しっかりとあらゆる努力をしてもらいたいと思っております。

○農協改革について

【NHK・花岡記者】
 与党の中で農協改革についての議論が本格化している。JA全中の監査・指導権を廃止するのが主体になっているが、こうした農協改革についての民主党の考え方を伺いたい。

【代表】
 これはまだ結論を出しておりません。これからしっかり議論したいと思います。ですから、私があまり先取りして物事を言うのはいかがと思います。
 ただ、大事なことは単位農協が創意工夫を発揮できる、そのためにはどういう改革が必要かと、そういう視点で議論していけばいいのだと思います。具体的なことはこれからしっかり議論していきたいと思います。

○統一地方自治体議員選挙に向けた対応について

【朝日新聞・安倍記者】
 統一地方選での活動支援について伺いたい。総選挙で惜敗した総支部長に対しては5月まで総支部長の資格を延長するということだが、5月以降はどうするお考えかということと、頑張ったと認められる支部長についてはそのままその資格でいられるのかどうか。

【代表】
 5月以降どうするかというのはこれからの問題なのですが、やはり頑張ったかどうか、それから実績がどうだったのか、そういうことを見極めて、次回も是非、戦ってもらいたいという人はなるべく早めに総支部長として認めていくことが大事だと思います。
 他方で、代表選挙の時にも申し上げたのですが、やはり新しい、例えば女性とか、地域でしっかりと根を張っている人とか、様々な新しい人材を迎え入れて民主党をバージョンアップしていくことも重要です。ということになると、例えば公募をやるとか、そういうことも必要になってくると思います。したがって、そのかみ合わせの中で総支部長も決めていきたいと思っています。

○党役員人事について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 代表代行が2人いるということは、それぞれ特定の分野について責任を持ってオリジナリティーのあるものをやってもらおうということだと思う。とりわけ長妻さんは「パッケージ化」について、政調との関係もあると思うが、どれぐらい権限を委譲され、どれぐらい任せる代表代行にしようとしているのか。
 それからトマ・ピケティの『21世紀の資本』は、代表は読まれたり、その梗概(コウガイ・あらまし)についてレクチャーを受けているか。

【代表】
 まず先ほど言いましたように、「共生社会創造本部」は本部長が私で、本部長代行が長妻さん。これは長妻さんのご発案も受け入れてそういう形になっております。党としての大きな柱ですので、最終的にはNCも含めて議論していかなければならない。だから、それは長妻さんに引っ張っていただきたいと思っています。
 それから、ピケティの本は私、まだ読んでおりません。この1ヵ月ほど新聞をざっと眺めるくらいのことしかしておりませんので。目がよくなれば是非、読みたいと思っている本の一つです。まだそこまで目が回復しておりません。
 それから今回、代表代行を2人、蓮舫さんと長妻さんにお願いしたのですが、代表代行というのは、私もつい最近まで代表代行だったのですが、いろいろな代表代行があると思うのです。私は、やはり執行部の中心で意思決定に参加していただくという前提で考えておりまして、代表、2人の代表代行、幹事長、それから参議院会長、ここがやはり軸になっていろいろなことを議論して決めていく、そういう代表代行で、特定のものだけお任せするということよりは、全面的に関わっていただく。そういう存在です。

【朝日新聞・奈良部記者】
 集団的自衛権の行使についてやや踏み込んだ発言をされてきた細野さんを、政策の取りまとめ役の政策調査会長に据えられた。この代表の思いというか狙いはどこにあるか。

【代表】
 これは集団的自衛権の問題だけで細野豪志さんを政調会長にしたわけではもちろんありませんので。やはり代表選挙を共に戦った彼の力量を私、評価しておりますので、政調会長というのはなかなか大変な立場なのですが、全体として、じっくりと意見集約していただけるのではないかと思って政調会長にしました。集団的自衛権とは直結しておりません。

【朝日新聞・江口記者】
 選挙対策委員長に玄葉光一郎さんが就かれたが、統一地方自治体議員選挙に向けて、玄葉さんに代表から指示したことがあれば教えていただきたい。

【代表】
 今日、正式に決まったばかりですので。これからよく、幹事長も2人の代表代行もおりますから、選対委員長とは意思疎通をよくして統一地方選挙に向かっていきたいと思います。
 ただ、候補者も追加的に出せるものは出していきたいし、それから国会でいかに戦っていくかが非常に重要だと、そのように思っています。

【毎日新聞・佐藤記者】
 今回役員室長を設置しているが、この狙いについて伺いたい。

【代表】
 役員室長は、いたことも結構多いと思います。役員室長のもとに、比較的若いといいますか当選回数が少ない方々にメンバーになっていただいているのですが、やはり党内の雰囲気とか、それからフレッシュな感覚でいろいろな提言・提案をいただきたいと、そういう思いで役員室を設置いたしました。
 もう一つは、やはり代表代行が2人おられるますので、私と代表代行2人と幹事長と、お互い分担する場面も多いと思うのです。例えば地方に行く場合なども調整しながらやっていかなければいけない。そういう作業も役員室にはお願いしているところであります。

○前回総選挙の総括について

【朝日新聞・奈良部記者】
 前回の衆院選の総括は新しい代表のもとでやっていくということだったが、これについてどのような場を設けるとか、どういう形でやっていくということは決まっているか。

【代表】
 これは各県連で議論した結果が、もう締め切り的には出てこなければいけないのですが、私も三重県連のをまだ見ていないのですが、それが出そろったところで、例えば全国幹事長会議なども開催しながら集約していきたいと思います。党本部としての議論はまだスタートしておりません。我々まだ役職に就いたばかりですので、しっかりと議論して、次回の糧になるようなものをまとめたいと思っています。

○永年在職議員表彰の辞退について

【読売新聞・加藤記者】
 代表は1990年に当選されて、ことしで在職25年の「永年在職議員」になるが、その表彰を辞退されるということだが、その理由について伺いたい。

【代表】
 そう理由はないのです。昔のように何か特典が付いているわけではないのです。年金が付いているとか交通費が付いているとか、そういうことはもうありません。ですから「受けても別にいいじゃないか」と言う人もいらっしゃいます。
 ただ、私としては議員の在職期間が長ければそれがいいことだとは思っておりません。私自身の考えとしては、毎回毎回当選した時に、それから4年間自分の任期が始まると、そういう思いで仕事をしておりますので、(表彰を)受けなかったと。受ける方は当然、それが普通なのだと思いますが、私自身はご辞退を申し上げたということで、特にそれ以上の意味はありません。かつては小泉さんとか、公明党の坂口さんとか神崎さんとか、それから菅(直人)さんが辞退されたと聞いておりますが、特にそれ以上の意味はありません。
 ただ、地元の後援会の幹部に一応ご相談したら、「あんたならやめると思っとったわ」と、そういう反応でした。ホッとしました。

【フリーランス・宮崎記者】
 永年在職表彰を辞退されると聞いて驚いたが、代表選では「一緒に政治改革を目指して自民党を離党した方で政治生命を絶たれた仲間もいる」とおっしゃっていた。1990年に初当選してから25年間、ご自身はなぜ9回連続当選することができたとお考えか。

【代表】
 なぜ9回連続当選できたか、これはわかりませんが、「運」と「よき支援者に恵まれた」ということだと思います。いずれにしても、志を持ちながら途中で政治生命を絶たれた仲間はたくさんおります。私は幸せだったなと思っています。

○戦後70年の「談話」について

【共同通信・内保記者】
 戦後70年という節目を迎えるに当たって、代表選でも「談話」見直しを示唆する政府方針に強い危機感を持っていらっしゃった。選挙戦では、長妻さんは「民主党版の『談話』を出したい」とおっしゃっていたが、代表のご所見を伺いたい。

【代表】
 党として「談話」を出すかどうか、これから相談です。私はやはり重要なことは、政府がここで、今までの戦後70年の歩みを否定しかねないような「談話」を出すことは、絶対に避けなければいけないと思っています。当然、安倍総理もいろいろお考えだと思いますが、若干不安はありますね。
 例えば「村山談話」について、菅官房長官と私は予算委員会で議論したのですが、「侵略」とか「植民地支配」が村山談話の最もキーワードですから、それも含めて引き継がれるのですねと聞いても、「いや、全体として引き継ぐのです」という答えしか返ってこないわけですから。あるいは安倍さんはかつて、「『侵略』の定義もいろいろある」というようなことを言われたこともあります。
 ですから、こういうコアの部分も含めてきちんと引き継がれて、そして未来志向の「談話」を出していただかないと、歴代内閣が努力してきたことが大きく傷つきかねませんので、そういうことをしっかりこの国会でも議論して、よりよいものになるように努力していきたいと思います。

○企業の社会保険料負担について

【フリーランス・宮崎記者】
 代表選の中で細野さんから企業の社会保障負担の話が出た。特に厚生年金保険料の労使折半分が企業にとって重いのではないか、もうちょっと少なければ地方の中小企業が正社員で中途で雇いやすくなるのではないかと。そういった話は意外と政治の場面で議論になってこなかったかと思うが、この件に関して今後党なり細野政策調査会なりで話されていくのか。

【代表】
 細野さんが言われたのは厚生年金保険料だったのかどうか、私、承知していないのですが、たぶん言われたのは、非正規で働く方と正規で働く人で、社会保険料全体で随分差がありますから、そこを埋めるために正社員で新たに雇った場合には保険料を減額するような措置ができないかというのが細野さんのご意見だったと思います。
 そういう考え方自体は今でも、そういうところに補助金を出すという仕組みはあると思いますが、私自身が申し上げたのはちょっと違う次元の話で、厚生年金について言うと、むしろ対象範囲を拡大すると。民主党政権の時にも一部それをやりましたが大企業だけで、しかも拡大しようとすると「企業負担が増える」ということで反対があるのですね。逆に言うと、正社員じゃなくてパート的に雇うほうが雇いやすいということになってしまっているので、やはり厚生年金の範囲をなるべく広げていく必要があると基本的には考えております。もちろん中小・零細企業の負担は考えなければいけません。
 他方で、例えば男性が働いて厚生年金に入っている場合に女性の負担が軽いとか、なんで自分が払わなければいけないのか、そういう議論がありますから、その辺の整理は必要です。
 私が申し上げたのはむしろ医療費の問題なのです。医療費で、援助金というか拠出金というか、高齢者の医療の部分についても現役世代と、それを雇っている企業が負担している。これは私、前から何回も問題提起しているのですが、おかしいじゃないかと。自分の医療費の保険料を払うのならわかるが、高齢者の方のための医療費をなんで現役世代が保険料で負担するのか。あるいは企業が負担するのか。本来それは税金で賄うべき話で、「保険」というのは同じグループの中での分かち合いですから、自分たちの会社のOBならばまだわかりますが、全然関係ない高齢者の医療費を現役世代が負担しているというのは、これは「保険」の概念からいってなじまない。便宜的にそれをやっているだけだ、やりやすいから。
 こういう本来「税」でやることを「保険」でやってしまっているのは私はおかしいと思っていて、そういうのは税に置きかえていくべきだ。そうすると現役世代の保険料負担が減りますから、非正規で働いている人との段差というか、企業負担もその分、緩和するという効果があるわけです。

○マクロ経済スライドについて

【フリーランス・宮崎記者】
 (年金の)マクロ経済スライドの発動に関して、政府が法律案を書こうとしている。賛否を伺いたい。

【代表】
 これは党の中でこれから議論していきます。ただ、我々政権の時には、マクロ経済スライドは(年金改定率が)マイナスの時にも適用していいのではないかと。というか、その時はずっとデフレで、せっかくマクロ経済スライドの制度を作ったのに全く適用がなかったので、やはり適用すべきではないかという議論はしておりました。ただ、これからそういう事態がはたして起こり得るのかということも含めて、もう少し党の中で議論したいと思っています。

○代表の基本的立ち位置について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 代表は以前から、外交・安保政策は旧「宏池会」のということを何度かおっしゃっているが、民主党の改革創生会議では「穏健なる中道」といったイメージというか、そんな言葉だったと思う。「穏健なる保守」と「穏健なる中道」、外交とか社会保障でそれぞれ違うと思うが、この言葉の使い分け、立ち位置について今どんなお考えか伺いたい。

【代表】
 なかなか定義していくと難しいですよね。私が「宏池会」と言っているのは私自身の立ち位置で、民主党そのものではないんです。民主党はもうちょっと左も含めて幅広くあると。その中で私は昔の宏池会的な立場かなと。安倍さんのもとで、今では自民党にはほとんどそういう考え方はなくなったかもしれませんが、私としてはそういう立ち位置かなと思っているということです。




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