岡田克也代表定例記者会見(4月3日)
岡田克也代表記者会見
2015年4月3日(金)15時03分~15時41分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
〇41道府県議選・17政令市議選の告示に当たって
〇子どもの貧困解消基金の発足について
■質疑
〇統一地方自治体選挙について
〇日銀の異次元の金融緩和について
〇労基法改正案・派遣法改正案について
〇岡田代表の近況について
〇アジアインフラ投資銀行について
〇2015春闘について
〇日米ガイドラインの見直しについて
〇自民党谷垣幹事長の不適切発言について
〇安倍政権の報道機関に対する姿勢について
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■冒頭発言
〇41道府県議選・17政令市議選の告示に当たって
【代表】
今日から道府県議会議員選挙がスタートいたしました。私も千葉県で2
人の女性新人候補、2人とも市議会議員としては実績のある方ですが、
応援に駆けつけた次第であります。非常に元気なお二人でした。この選
挙を党再生の足がかりにしたい、現有議席から少しでも上積みができれ
ばと考えております。
道府県議会議員候補者としては公認・推薦合わせて409人、政令市議
選候補者では公認・推薦合わせて189名。現有議席は道府県議会で31
7、政令市議会で147です。
〇子どもの貧困解消基金の発足について
【代表】
昨夜、官邸で会合があり、子どもの貧困の解消に向けて基金を新設す
ることが発表されました。
私は、そういったものの議論が進んでいることは前から承知しておりまし
たが、昨日のタイミングでやったのはなぜなのかと、まず率直に思います。
この統一地方自治体選挙、特にこの道府県会議員選挙に合わせて、今日
の朝刊を飾ったわけですから、アピール効果を狙ったと言われても仕方が
ないと思います。
具体的な中身があればいいのですが、特にこの基金については、民間
にお金を出してくださいということは決まっているのですが、そこでどういう
仕組みで何をやるかということはこれからということで、はたして会合を持
って発表するような、意味があることだったのか。新聞の紙面をかなり大き
く飾ったようですが、そんな気がいたします。
私は本会議や予算委員会でも申し上げたのですが、やはり経済的支援
のかさ上げが必要であると。児童扶養手当ですね。「母子家庭・父子家庭
の2世帯に1世帯は貧困状態にあるという、これは国家としての恥である」
と私は申し上げた。そういう状況を解消するにはそこに税をある程度投入
していくしかないわけですが、安倍さんは子どもの貧困対策法を作る時に
そのことを却下された。提案は有識者からなされたわけですが、それを却
下して、それに代わるものとして今回、民間の(資金を活用した)基金をと
言われている。国民運動としてやるのもいいのですが、やはり国として最
低限やらなければいけないこと、これはちゃんと責任を持って進めなけれ
ばならないわけで、民間にそれをお願いするというのはお門違いではない
か。本当に大事なことは国がしっかりとやっていかなければいけない。母
子家庭・父子家庭の相対的貧困率が50%を超えているという、その現実
をどういうふうに受け止めているのかということを、改めて安倍さんに問い
たい。
■質疑
〇統一地方自治体選挙について
【フリーランス・横田記者】
北海道知事選が自民党との対決選挙区として注目されているが、(昨年)
7月に滋賀県知事選を取材した時と比べると、民主党の取り組みがトーン
ダウンしているのではないかという気もしたが、岡田代表はじめ幹部が現地
入りして応援する予定はあるか。
【代表】
トーンダウンしているという認識はありません。厳しい戦いを競い合ってい
るという認識です。
知事選のほうは、党としては推薦をしておりません。道連から特に要請も
ございませんが、求めがあれば党の幹部が入って応援することは当然考え
ております。
【朝日新聞・奈良部記者】
候補者の数が公認・推薦合わせて、前回は与党時代だったこともあると
思うが、前回よりも少ない擁立数であることについて感想を伺いたい。
【代表】
いろいろな理由があります。一つは党の分裂がありました。したがって、
民主党を離党された方も現職でかなりいらっしゃる。友党ということで活動
されている方々です。
それからもう一つは、今日行った千葉などもその典型ですが、(前回選挙
において)候補者を意欲的に立て過ぎて共倒れになってしまったという選挙
区もあります。2009年の総選挙の時の勢いで候補者を立てたけれども、
それから1年数ヵ月後の統一地方選挙で状況が変わっていて、結局、立て
てはみたものの選挙区によっては、今日行ったところもそうですが、全員落
選とか、そういうところも出てきてしまった。従って、候補者を絞ったというこ
ともあります。それは一つの選挙戦術ですから、党の現状をシビアに見て、
少しかたく見積もった都道府県連が多かったのではないかと思います。そ
のことは一概に「いけない」とは言えません。候補者は多いほどいいのです
が、最終的な結果につなげるためにはやむを得ない部分もあると思います。
現実には都道府県ごとに状況は様々です。
それから今回、公認・推薦ではない候補者もいます。しかし民主系だと。
私はそういったところは、むしろ積極的に認めていくべきではないかと三重
県の経験から考えています。三重県は前回24名立て全員当選し、今回も
同じ数を立てている。しかし、公認でも推薦でもない方もいらっしゃいます。
県連の支持という形で出ておられるのですが、しかし、会派としては、投票
行動はすべて一つです。国政と県政は違いますから、幅広く支持を得るた
めにそういう方が出てきてもいいのではないかとも思っています。あまり公
認・推薦の数だけで考える必要は必ずしもないのではないかと思っていま
す。
〇日銀の異次元の金融緩和について
【フリーランス・宮崎記者】
明日4月4日で、黒田日議が「異次元の金融緩和」と言われる量的・質
的金融緩和を決定してから2年になる。黒田総裁は、2年で、マネタリーベ
ース2倍で、物価上昇2%、「2年で2倍で2%」ということを記者会見で発表
したわけだが、2年たって実際にマネタリーベースは2倍になったが、物価
はまるっきり2%に届かない状況だ。一方で、マネタリーベースの拡大と言
っても当座預金勘定に200兆円以上が“ブタ積み”になっている状況にある。
現在のご感想を伺いたい。
【代表】
もちろん金融政策は日銀の専管ですので、与党であれ野党であれ、あま
り細かく言うのはいかがかと私はかねがね思ってます。
金融緩和、次元の違う金融緩和が円安の一因になっていることは事実だ
と思います。その結果、一部の輸出関連企業の収益が増えた。輸出が量的
に増えるかどうかというのは、多少増えている兆しはあるものの、本格的に
増えたと言えない状況。それから設備投資が増えているかというと、少し増
えてきたという見方もあるものの、大部分は、増えたお金が有効に活用され
ている、貸し出しに回っていることもない。
私は、ここまで円安が進むことが金融緩和の効果として期待していたのか
ということは、よくわからないところがあるのですが、そこのところは割と効果
が出てきたけれども、設備投資とか円安に伴う輸出というところはまだ期待
外れの状況ではないかと思います。逆に言うと、その円安の結果の輸入物
価の上昇というマイナスもある。
【フリーランス・宮崎記者】
長期金利がかなり上がるのではないかという懸念があったが、非常に低い
ところに抑えられている。市中銀行を挟んで財務省と日銀の間で人為的に低
く抑えているのではないかといったことも含めて、財政ファイナンスと言われる
手法が問われているのではないかと言われている。こういった財務省理財局
と日銀との関係についてどう思われるか。
【代表】
財政ファイナンスというのは定義の問題もありますから簡単には言えないと
思います。ただ、日銀が国債を大量に買うことによって金利が人為的に低く
抑えられていることは事実で、問題はそれがいつまで可能なのかということ
だと思います。永遠に続けられるものではもちろんないと。大きなリスクを抱
え込んでいることは間違いないと思います。
〇労基法改正案・派遣法改正案について
【毎日新聞・田所記者】
今日午前に政府が閣議決定した「高度プロフェッショナル制度」、または
「残業代ゼロ法案」と呼ばれる労働基準法改正案について、今国会での対
決法案の一つということで、党としての対決姿勢についての考え方を伺いた
い。
【代表】
我々は、大変問題がある法案だと考えております。長時間労働が一般化し
て過労死の問題も言われている中で、こういう法律ができてしまえば、それを
更に助長することになりかねない。まず正常な働き方を実現するために政府
は努力するべきだと考えております。
それから経済界もいろいろ言っているようですが、それぞれの企業で成果
主義というものがどれだけ定着しているかということは、(この制度に)賛成す
る経済人はしっかり説明してもらいたいと思います。一時は成果主義が非常
にもてはやされました。しかし、日本においてそれがきちんと定着したという話
を私はあまり聞かない。結局、日本的な働き方、チームワークで仕事をする
という中で、成果主義はなかなか導入しにくい。全否定するわけではありませ
んが、成果主義も一部入れつつ、やはりそれだけでは評価し切れないところ
があるなというのが、多くの企業の現在の経営者の認識なのではないかと思
います。
きちんと成果が計れなければこの法案の前提が崩れます。そこをちゃんと
説明せずに「賛成だ」と言っている経済人は、まず自社において、こういうふ
うに成果主義をちゃんとやっていますと、国民に、あるいは従業員の皆さん
に説明されたらいかがでしょうか。
【NHK・花岡記者】
政府は労基法改正案だけではなく、労働者派遣法改正案もあわせて今国
会での成立を目指している。「多様な働き方」という言葉でこれらの法案を出
しているが、労働法制全般としての民主党の考え方について伺いたい。
【代表】
「全般」と言われるとどこまでがスコープに入ってくるのか、答えにくいので
すが、やはり日本の今の働き方というのは長時間労働ですね。時間に際限
がないような働き方は改めないと、一時期はそれでよかったのかもしれませ
んが、今や日本経済の足かせになっていると思います。
例えば女性が企業の中で階段を上っていこうという時に、今の働き方では
とても子育てと両立できないという声が出てくるのは当然だと思います。きち
んと短時間でしっかり働いて、生活と働くことを両立していくためにどうしたら
いいか、まず労働政策の基本に据えるべきではないかと思います。
いいところだけなのか、悪いところだけなのか、つまみ食いして、例えばア
メリカのまねをするというのは非常に悲惨な結果を生みかねないと私は思
います。
〇岡田代表の近況について
【「FACTA」・宮嶋記者】
ご家族、あるいは犬を連れて、桜をごらんになりましたか。この頃一部に、
代表の体調があまりよくないというような話も聞くが、体調という点では大丈
夫か。
【代表】
お花見というのは、私は過去20年くらいであまりしたことがないのです。
車の窓から見るくらいですね。今、人混みに行くのはたぶん一番困るのは
SPさんではないかと思いますが、窓から見るだけでも十分ではないかと思
っています。
体調は、もちろん網膜剥離をやりましたので少し気をつけて活動してはい
ますが、特に何か体調が悪いとか、そういうことはありません。
【フリーランス・安積記者】
院内の役員室の「カフェえだのん」「お菓子処・おかぴょん」の入り口にバ
ラエティーに富んだお菓子が置いてある。ずっとダイエット中だと聞いてい
るが、お菓子好きの代表としてお菓子の誘惑というのはあるか。
【代表】
まあ、ありますよね。だから困るんですよね。誘惑には負けないようにし
ております。せんべいとかあまり甘くないものを選んで。でも夕方の羊羹は
まだ続いています。ちょっと一息という時に羊羹を食べたりしています。
先ほど体調の話が出ましたが、やはりジムに行けない、それから代表に
なって歩く距離も減りましたので少し体重が増えてしまって、今食べ物、ダ
イエットしているところです。
〇アジアインフラ投資銀行について
【読売新聞・小池記者】
政府がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加を見送ったことについて、
どのように評価されているか伺いたい。
【代表】
まず見送ったということの前に、やはりG7の足並みが乱れてしまったの
は非常に大きな失敗だったと。外交的というか、あるいは財務省、外務省
というべきか、最後は官邸に行き着くのだと思いますが。どうしてG7で足
並みをそろえられなかったのか、不思議な気がします。イギリスやドイツや
フランス、コミュニケーションをとっていたと思いますが、それが結局分裂の
形になってしまったのは非常に残念だと思います。
政府の言うように、今回の投資銀行のガバナンス、例えば理事会がちゃ
んと機能するのか、あるいは環境、その国の人権とか、そういうことがはた
して配慮されるのか、そういう問題があるのであれば、それはG7で結束し
て中国と交渉すべき話。まだ投資銀行に参加するかどうかはヨーロッパの
国々も決めていない、交渉には参加するということだと思います。中に入っ
て交渉する国と、外から交渉する日本やアメリカと分かれてしまったことは、
私は非常に残念だったと思います。日本の外交力、もちろんアメリカが一
番問題なのですが、この程度だったのかという気はします。
その上で、将来参加すべきかどうかということについては、それは交渉
次第。日本の求めているもの、ヨーロッパの国も同じような要望は出してい
るようですが、先ほど言ったようなことがきちんと満たされれば参加すると
いう選択もあるのだろうと思います。その辺はこれからの交渉次第で。
日本がわからないままいろいろなプロジェクトが決まっていくと、その中に
は人権上問題があるもの、環境上問題があるものが含まれているというこ
とになると、やはり国民の税金をかなり投入する話でありますので、それは
それで国民の理解・納得は得られないだろうと思いますね。
〇2015春闘について
【朝日新聞・奈良部記者】
今、「官製春闘」と言われているように、政権が大企業に対して賃上げを
求めている。実際に自動車はじめ賃上げがどんどん妥結している状況だが、
一つは、それが中小企業まで波及するとごらんになっているかどうか。また、
政権自体がベアを要求するというあり方について、思うことがあれば伺いた
い。
【代表】
政労使(経済の好循環実現に向けた政労使会議)の中でも議論がされた
と承知していますが、そういったことも踏まえて、今年は例年の(下請業者へ
の)単価引き下げ要求を控えたとか、そういう具体例はあります。ただ、円安
になったからその分を丸々反映させることを認めたとかいう話は聞かない。
基本的には、円高の時には大体単価切り下げ要求が出てくる。円高の時
には切り下げ要求をしておいて、円安の時にはそのままで切り上げを認め
てくれないということを私も地元でよく聞きます。(それが)中小企業、3次請、
4次請くらいの皆さんの不満なのですが。「そういうところまできちんと対応し
ます」というふうに経済界が言ったとは私は承知しておりません。何もしない
よりは少しでもやったほうがまし、ということは言えると思いますが、為替レ
ートの変動を丸々見るようなものになるとは現時点ではとても思えない。「や
ってやった」ということはあったとしても、実態はそんなものだろうと思います。
もっとちゃんとやるべきだと。しかし、それは国がどこまで介入してやるかと
いう問題も他方でありますから、難しいところがあります。労使の関係は労
使で自主的に話し合って決められることですが、企業とその取引先の企業
の話であれば、極端な場合には不公正取引とか、そういう法律の話になる
ということだと思います。
〇日米ガイドラインの見直しについて
【フリーランス・宮崎記者】
来週水曜日(4月8日)にカーター国防長官が初来日され、中谷防衛大臣
と会談される。そして4月26日から総理は訪米し、28日の首脳会談、29
日の議会演説の前の4月27日にガイドラインに最終的に署名をするので
はないかという報道がある。日程の感覚で言えば妥当なところではないかと
思うが、この手続に関してと、国民・国会への説明、国民世論への関係に
ついてどのようにお考えか。
【代表】
物事には順序があります。ですから、ガイドラインを決めて、それから法案
が出てくるというのが適切なのかといえば、私は適切でないと思います。前回
もそうではなかったかという議論もありますが、前回そうだったから今回もいい
ということではない。前回は少なくとも憲法の枠内でやっていた話、今回は憲
法解釈を変えてまでやる話。
国民に対しても十分説明がなされていない。安倍さん自身も、あの閣議決定
をした時に、説明不十分だという我々の議論に対して、いやいや、これは法案
の時にちゃんと議論するからいいんです、とおっしゃっていたはずです。その
法案が出てくる前にアメリカに行って合意してしまうというのは、それはやはり
順序が違うと私は思います。
そういう憲法解釈の変更まで含むような中身のガイドラインができるとすれば、
それは明らかに一内閣が勝手に憲法解釈を変えてアメリカと約束までしてしま
ったということですから、事は重大だと思います。
〇自民党谷垣幹事長の不適切発言について
【毎日新聞・田所記者】
今朝、谷垣自民党幹事長が大阪での第一声で、「『自民党府連は都構想に
反対している。バカだ、チョンだ』と維新はおっしゃっているけれども」と発言した。
その後で幹事長は不適切だったということで取り消したが、報道機関としては
不適切な発言ではないかと取り上げた。この発言への受け止めと、もし今後、
説明を求めるなど何らかの対応を求めるのであれば、そのお考えも教えてい
ただきたい。
【代表】
不適切発言であることは間違いありません。谷垣さんらしくないなとは思い
ますね。もう少し注意深くいろいろな発言をされる方ですから。私、全体を聞
いていませんので、ちょっとよく理解できませんけれども、適切でないことは間
違いないと思います。
【毎日新聞・田所記者】
今後の対応については。
【代表】
全体の発言を見て判断したいと思います。
〇安倍政権の報道機関に対する姿勢について
【フリーランス・横田記者】
27日の「報道ステーション」で古賀茂明コメンテーターが、「官邸から圧力、
バッシングを受け、それに屈する形で統括プロデューサーや恵村コメンテータ
ーも更迭された」と発言したことに対し、菅官房長官は会見で「事実無根だ。放
送法があるので、テレビ局の対応を見守りたい」と発言した。これに対して古
賀さんが「これこそが放送法に名を借りた圧力ではないか」と。古賀さんが「
アイ・アム・ノット・アベ」発言をした後に、官房長官が「俺だったら放送法違反
と言ってやるのにな」という発言をしたのがオフレコメモで流れたというやりと
りがあった。一連のこの問題に対して、どうお考えになっているか伺いたい。
【代表】
まず私は、テレビ番組の場でいろいろと述べられたことが必ずしも適切だと
は思いません。視聴者から見て、そういう発言を期待していたわけではないと
思います。ただ、そういう発言をせざるを得ないほど、あの場以外で何か、例
えば放送が終わってから述べたとしても、メディアを通じて国民に伝わること
はないと古賀さんが思っていたとすれば、それが正しいかどうかわかりません
が、やはりかなり難しい状況に至っているということは言えると思います。
放送法を官房長官が持ち出したということですが、普通そういうことを権力
者は言わない。まさしく刀を抜くふりをして牽制しているわけで、それは権力の
使い方として正しいとは私は到底思えません。
【フリーランス・横田記者】
この「報道ステーション」の問題を、NHK問題と同様に民主党として調査・追
及する考えはあるか。NHK問題の本質は、安倍総理に考えが近い籾井会長
をトップに据えて政権批判番組を少なくしようという意図が問題だったと思うが、
テレ朝もそれに重なり合う。これこそ放送法の「多角的報道の遵守」、いろいろ
な違う道を提示する意見を抹殺・封殺することに当たると思うが、改めて代表
の考えを伺いたい。
【代表】
この問題を民主党が取り扱うとすると、難しいのは、これでお辞めになった人
たちが、局の方針でチェンジされたのか、そこに政府の一定の圧力があったの
か、その立証というのはほとんど不可能だと思います。逆に、調べていくと、今
度は民主党が局に対して何か圧力をかけているというふうにもなりかねない面
もあります。ですから、どう取り組むべきかというのはなかなか難しいところがあ
ります。関係のところでよくそういったことも含めて検討した上で、どうするか考
えたいと思います。現時点では、私の知る限り、まだ党としてのこの問題への
対応というのは決まっておりません。
【フリーランス・横田記者】
官邸からの圧力で異動になったと証明するのは不可能に近いのではないか
ということだが、古賀さんは古舘キャスターとの楽屋の会話を録音していて、そ
れによると、古舘さんは、自分は古賀さんに対して何もしなかったと謝罪したと。
プロデユーサーと恵村コメンテーターが降板することについてわざと知らないふ
りをしたと打ち明けて、大変申しわけないという会話をしたと。この録音テープを
聞けば、官邸からの圧力でチェンジになった可能性が高いということが示せると
思うが、この辺について古賀さんからヒアリングなど調査をする考えはあるか。
【代表】
まず録音の起こしを見て判断していきたいと思います。現時点で申し上げる
のは、根拠なく言ってしまうとまた官邸はそのことを捉えていろいろと言ってま
いりますので、中身をよく確認しながら申し上げたほうがいいと思います。
私は総選挙の時の選挙報道が特に昼の番組で激減したこととか、それが低
投票率の一因にはなっていると思うのですが、やはりメディアに対するいろい
ろな攻勢は看過できないところに来ているとは思います。是非メディアの皆さ
んもそれに対してしっかりと声を上げることをされないと、いつの間にかどんど
ん縛りがきつくなることになりかねないのではない。
これは国会でも言いましたが、(昨年の総選挙期間中)官房副長官がずっと
会見をしていた。長官は選挙期間中1回しか記者会見していない。それに対
してもメディアの皆さんが正式に抗議したという話は、私は聞いていない。いろ
いろなことが変わりつつある。従来なら考えられなかったことだと思います。危
機感を持って考えなければいけないことではないかと思います。