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2015.04.24|マスコミ

共同通信インタビュー「非核外交の真価問われる 現政権に熱意あるのか」

今月27日開幕の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、外相時代に「核なき世界」を目指して核兵器の問題に取り組んだ岡田克也・民主党代表に聞いた。(聞き手は共同通信編集委員 太田昌克)


   ×   ×   
 ―核問題に取り組むようになった原体験は。
 「ソ連崩壊直前の1991年9月に訪米し、国務省幹部と会談した。その際、ウクライナなどの領土内に残る核兵器をどう扱うか、米政府が真剣に取り組んでいる姿を目の当たりにした。新鮮な驚きであり、核問題がいかに広がりのある大きな問題であるか痛感した」

 ―近著「外交をひらく」で、外相になる前「日本はせいぜい米国の核政策を事後的に追認してきたにすぎなかったのではないか」との印象を抱いていたと記しているが。
 「核問題について日本政府は長年、思考停止に陥っていた。核軍縮・不拡散をめぐり、日米両政府が緊密に政策を議論した形跡もうかがえなかった。2009年に外相に就任し、日米密約調査を契機に、核政策に関する日米間の対話がようやく行われるようになった」

 ―米軍核搭載艦船の寄港を黙認した核密約の問題が大きな転機になった。
 「核は安全保障の論議で非常に重要な部分。だが核密約の実態が明らかになるまでは『米国の核政策に触ってはいけない』との認識があった」
 「民主党政権が登場するまで歴代自民党政権は国民にうそをつき、冷戦終結で核搭載艦船が寄港しなくなった後も不必要に密約を隠した。国民の理解と信頼がなければ強い外交は実現しない」

 ―安倍晋三首相は昨年、冷戦後に核密約を隠し続けたのは「間違いだった」と言明した。
 「首相はこの点に関する見解をいずれ示すと答弁したが、国民への謝罪も含め、いまだに何もない。期待を裏切られた」

 ―NPT再検討会議が今月27日に始まるが。
 「私が外相だった5年前の再検討会議は、オバマ米大統領が『核なき世界』という方向性を示し、大きな盛り上がりを見せた。しかし残念ながら、現在は動きが止まった感がある。米ロ対立の影響で国際社会が核をめぐる対話ができない。このままでは今回の会議は厳しい結果になる。今こそ日本の非核外交の真価が問われるときだ」

 ―現政権の取り組みをどう評価するか。
 「安倍首相が1月にイスラエルを訪れた際(5年前の再検討会議で開催が決まったが未開催の)中東の非核化に関する国際会議の実現へ向けて、イスラエル政府に対する説得をどれほど試みたのか。深いやりとりがあったとは思えない。核廃絶への熱意があるのか、疑わざるを得ない」
 「核軍縮は簡単ではないが、『核なき世界』を目指すとの強いメッセージを、日米など先進7カ国(G7)や日本も参加する軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)が一致して発信するべきだ」

 ―外相時代、核保有の目的を相手の核使用を抑止することに限定する「唯一の目的」政策を支持していたが。
 「『唯一の目的』政策は目指すべき目標として今も現実的だ」

 ―核のリスクが低減しない中での集団的自衛権の行使容認をどう考えるべきか。
 「日米同盟を強化するための集団的自衛権行使なのだろうが、結果として日本が国際紛争にかかわる、あるいは武力行使する可能性は高まる。北朝鮮や中国という核兵器を持った国が周りに存在する。その意味で、日本にとって核リスクは高まるのではないか」
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 おかだ・かつや 53年三重県生まれ。東大卒。旧通産省勤務を経て90年に衆院初当選。民主党幹事長、代表、外相、副総理を歴任。今年1月から再び党代表。当選9回。




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