岡田克也代表定例記者会見(8月28日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=ia31xcugVHo
岡田克也代表記者会見
2015年8月28日(金)15時00分~15時41分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言 (配布資料は近日中に民主党HP内に掲載します)
○安倍政権下での経済実態について
○揺らぐ「存立危機事態」の定義について
○衆議院予算委員会での安全保障法制の議論について
■質疑
○安倍政権下での経済実態について
○財政健全化の取り組みについて
○ヘイトスピーチ禁止法案の与野党協議について
○新国立競技場建設問題について
○野党協力について
○自民党総裁選挙について
○武藤議員の金銭スキャンダルについて
○《安保法制》定まらない政府答弁について
○《安保法制》新安保法制に反対する国民運動について
○《安保法制》新ガイドラインにおける自衛隊の活動範囲について
○《安保法制》安保3法案に関する維新の党との協議について
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■冒頭発言
○安倍政権下での経済実態について
【代表】
株価が急落し、上がったり下がったりと、日本だけではなくて世界的な
傾向でもありますが、かなり乱高下いたしました。従来から申し上げてい
るように、基本的に私は株の日々の上がり下がりにコメントするつもりは
ございません。ただ、問題はその背景にある経済実態だと思います。
お手元に用意した資料は、我々なりに少し整理したものですが、1枚目
は実質GDPの伸び率で、破線のところまでが民主党政権、そしてその後、
安倍政権ということになります。野田政権の最後は少し下がりぎみだった
が、517兆円、これが(直近の4-6月期で)528兆円と、ほとんど変わっ
ていないのが現実かと思います。赤い棒グラフは消費です。実質消費は
むしろ減っている。300兆円から298兆円ということです。
2枚目は実質賃金指数ですが、これは一目瞭然で、むしろ安倍政権に
なってかなりマイナスが続いている。物価が上がったのに、賃金の伸びが
それに追いついていないことを如実に示しているグラフだと思います。もち
ろん民主党時代にも必ずしも賃金水準が伸びていたわけではないのです
が、物価が下がっていたことによって実質賃金で見ればゼロ近辺にあった。
特に前半はプラスの時代もあった。
3番目に、実質賃金指数を、2010年を100とした数字で見るとわかり
やすいのですが、今は92.6と、1割ぐらい下がっているのが現実です。
民主党政権時代(平均99.9)と比べて、落ちている状況は一目瞭然です。
最後に雇用であります。「人が足らない」という話は聞くが、正規職員従
業員数で見ると、破線のところの平成25年1-3月期の右と左を比べると、
正規職員はかなり下がっている(3330万人→3314万人)。非正規は確
かに上がっている(1843万人→1953万人)ということです。
こういったグラフから、確かに円安になり、そして金融緩和もあって株価
は上がりました。そういうことをもって「景気が非常によくなった」という一部
メディアの報道もありますが、しかし現実は、多くの人々にとって実態はそ
れとかけ離れていることをこういう数字は示していると思います。禁じ手と
言ってもいい、次元の違う金融緩和をやり、公共事業予算も一時はかなり
増やし、それでもこういう経済実態にある。そこの本質に立ち返って危機
感を持って対応していかなければいけない。いつまでもアベノミクスの幻
想に酔っていると、実態は全然違う。そういう意味で私は先般「アベノミク
スは既に失敗している」と申し上げた。
○揺らぐ「存立危機事態」の定義について
【代表】
安保法制について、参議院での精力的な議論が進んでおります。衆議
院の時からそうですが、議論すればするほど疑問は深まる、答弁は安定
していない。こんな状況で、しかも憲法の解釈に関わる話ですから、採決
をして法案が法律になったら大変なことだという危機感を改めて持ってい
ます。
先般の大野元裕議員の質疑で、邦人輸送中の米艦防護について、ホ
ルムズ海峡と並んで(「存立危機事態」の)二つの典型的事例として総理
はパネルで説明した。ホルムズ海峡については典型的事例ではないこと
を既に国会でも答弁されている、何か、他国の領土・領海に及ぶ例だと言
いかえているが、記者会見で最初に言われた時には、典型的事例の二つ
のうちの一つだったはず。この邦人の輸送も「赤ちゃんを抱いたお母さん
を助けられなくていいのか」と、情緒的な言い方で国民の理解を求めたが、
先般の大野議員の質疑の中では、必ずしも邦人がその米艦の中にいな
くていいと一転し、今非常に混乱している印象です。
もう一回きちんと顔を洗って出直して、そして国民に一からちゃんと説明
してくださいと申し上げたい。
○衆議院予算委員会での安全保障法制の議論について
【代表】
そういう中で、衆議院の予算委員会の話があります。私も予算委員会で
議論したいと楽しみにしているが、なかなか予算委員会の日程が定まら
ない。
前回、予算委員会を8月7日に4時間という短い時間開催したが、その際
に民主・自民の間に、お盆明けに7時間の予算委員会を開催すると合意が
あったはずです。もうお盆が明けて随分時間が経ちます。しかし、まだ日程
が設定されていない。8月31日か9月2日に開催すべきだとわが党は要求
しているが、31日は事実上あり得ない。
9月2週目に入ると、いよいよこの安全保障法制について、廃案にしてい
ただくならいいが、そうでないと非常に切迫した事態にもなってくるという中
で、場合によっては予算委員会も、あるいは党首討論もすっ飛ばして逃げ
込むということになりかねない。そのことを非常に心配しております。約束は
ちゃんと守ってもらいたい、国民の前できちんと説明する、逃げ隠れせずに
総理はしっかりと説明してもらいたいと改めて申し上げておきたい。
■質疑
○安倍政権下での経済実態について
【毎日新聞・田所記者】
アベノミクスの失敗については、今後の国会の中でも重要視していくテーマ
だということで今日発表されたのだと思うが、来年の参院選に向けてもこの
アベノミクスの失敗ということを非常に重視して訴えていくお考えか。
【代表】
参議院選挙はまだ1年近く先ですので、より現実があらわになってくると思
います。前回の衆議院選挙はアベノミクスの選挙だったわけですから、その
成否というのは当然大きな論点になることは間違いないと思います。
【フリーランス・安積記者】
失業率に言及がなかったが、2012年の年間完全失業率4.3%が、20
14年は3.6%、今年7月は3.3%になっている。有効求人倍率も上がり
気味で、実態的にはそこで求職者が減っているという事実があるが、この
数字についてはどうお考えか
【代表】
それは先ほど説明した最後の紙(「正規/非正規従業員の推移」)、これ
が答えだと思います。非正規は確かに増えてはいる、しかし正規はむしろ、
現実の数で言うと民主党政権の時と比べても減っている。もちろん団塊の世
代の定年退職ということもあるとは思いますが、一部に言われている、失業
率が下がっているので非正規から正規へのシフトというのが本格的に起こる
のではないかというのは、一部そういう現状は見られるものの、マクロで見る
と残念ながらそういうことにはなっていない。
【「FACTA」・宮嶋記者】
「アベノミクスの幻想」という、非常にわかりやすい言葉だ。もともとアベノミ
クスというのは基本的には「期待」という名のものだから、「幻想」は「幻滅」
に変わるのだと思う。早くも(公明党代表の)山口さんが2本目の矢の財政
政策、補正が必要ではないかとまた言い出している。やはりシフトしないとい
けないと思うが、次の一手について、例えば補正を認める立場なのかどうか
伺いたい。
【代表】
それはその時の経済状況を見なければなりませんが、そもそも補正を政
府がやる気があるのかどうかもわかりません。年内はないのではないかと
いう意見もある。
少なくとも公共事業とか、そういうことではもうできないと思う。機動的財政
出動というのが2本目の矢ですが、今までの意味するところは、それは公共
事業予算を増やすと。しかし、人手不足、資材価格の上昇もあります。そう
いう中でどれだけ実質的な公共事業の積み増しができるのかという問題は
あると思います。
もしやるのであれば、3本目の矢(成長戦略)に資するような財政出動、生
産性を高めるための財政出動ということになるのだろうと思いますが、抽象
的にはそう言えても、じゃあ具体的にどういう弾があるのか、政府がどうお
考えなのか、今のところはっきりしない状況です。
【フリーランス・宮崎記者】
今日、総務省の調査が発表されたが、アベノミクスが始まってから男性の
就業者数が増えてない。減ってもいない。女性の就業者数は150万人も増
えている。正規/非正規で非正規が増えているのは、おそらく女性が150
万人増えているからだと思われる。それはおそらく家計が厳しくなって、専業
主婦だった方が働きに出ていることがあると思うが、そういったところを今後、
国民にわかりやすい経済政策としてどう訴えていかれるか。
【代表】
正規が増えていない、非正規が増えているというのは先ほどこのグラフで
申し上げたが、もちろん非正規でも、ないよりは職があったほうがいいとは思
いますが、現実にそれが時間がたてば正社員に変わるような中身なのかと
いうと、そう簡単ではないだろうと思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
アベノミクスによる「期待」の形成はある程度成功したが、この1年余の安
保、安保で、3本目の矢をおろそかにしたので失速したと見るのか。それと
も1本目の矢が、本当の矢だったのか毒矢だったのかという議論だが、効
き過ぎてしまったと見るのか。アベノミクスの今の挫折みたいなものをどちら
にご覧になるか。1本目の矢の金融緩和依存症の問題なのか、それとも3
本目の矢の不足なのか。その辺はどうご覧になるか。
【代表】
両方なのですが、私は3本目の矢が本格的にきちんと機能していないこ
とが大きいと思います。
(アベノミクスの)金融緩和が問題だという認識は非常に強く持っているが、
その本当の弊害が出てくるのはまだ少し後であると思います。アメリカの金
利も上がり、本格的に出口の議論がなされてきた時に、日本のこれだけの
異常な金融緩和、日銀に巨額の国債を買わせていることの弊害というか、
どうやってそれをシフトしていくのか、出口を見つけ出していくのかというと
ころで、かなり大変な状況が予測される。今はまだ溜まっている状況だと
思います。
逆に言うと、これだけ無理な金融緩和をしながら、それを活かし切ってい
ないとは言えると思います。やはり基本的には生産性を高める3本目の矢、
これが機能していない。本来であれば政権の全力を挙げてそこに傾注す
べきにもかかわらず、安倍さんの年来の、やりたかった安全保障のほうに
政権のエネルギーのかなりを費やした結果でもあると思います。
○財政健全化の取り組みについて
【日本経済新聞・恩地記者】
代表は6月ぐらいに財政健全化の考え方を示され、その後、法案化とい
うことで検討していたかと思うが、今後どうされるのか。
【代表】
健全化の法案は、前原誠司ネクスト財務・金融大臣のところでまとめて
もらっています。そこの中にわが党の考え方は盛り込まれている。
政府の「骨太の方針」の中にいろいろ書いてありますが、結局、具体的
なものはない。それはそれで年内まとめるとかいろいろな議論はあります
が、いかにして2020年プライマリーバランス黒字化を実現するかというこ
とについて、非常に説得力がない状態です。このことはこれからも年末の
予算編成に向けてしっかり議論していかなければいけないと思います。
○ヘイトスピーチ禁止法案の与野党協議について
【産経新聞・山本記者】
ヘイトスピーチの法案が参議院で協議がなかなかうまくいっていない状
況だが、現状をどうご覧になっているかということと、ヘイトスピーチの法
案の意義について改めてお聞きしたい。
【代表】
よく「ヘイトスピーチ法案」と言われますが、我々が出しているのは「人種
等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」です。
お経読み(趣旨説明・提案理由説明)は既に8月上旬に、審議も1日なさ
れたということですが、そこで実質的には止まっています。我々としてはし
っかりと審議をして、そして責任ある与党から「ここを修正すべきだ」とか、
「あるいはこういう対案がある」とか、しっかり示されるべきではないかと求
めておりますが、今まで4回、民主・自民・公明・維新の4党協議をやって
いるのですが、与党から回答はないという状況です。自民党の中でいろい
ろ意見もあり、まとまらないということのようです。
非常に重要な法案なので、総理も一般論としては必要性は認めておら
れたように記憶しているのですが、これだけ動かないというのはいかがな
ものかと思います。問題があるならば、どこが問題だとはっきり言ってもら
いたい。
○新国立競技場建設問題について
【NHK・喜久山記者】
この間、総工費をめぐって一度白紙撤回になった経緯もあるが、今日、
政府が総工費の上限を1550億円とすると決定した。これについての受
け止めを伺いたい。
【代表】
非常に膨大なものが、1550億円と下がったことは歓迎したいと思いま
す。ただ、それで本当にできるのかどうかをどこまで詰めた結果なのかよ
くわかりません。数字が出てきても、それで本当に手を挙げるところがあ
るのかどうか。それは結果を見ないとまだわからないという状況だと思い
ます。
もう一つは、こういう数字が出せるのならば、もっと早く対応できたはず
だと思います。
○野党協力について
【テレビ朝日・川村記者】
維新の党に関して、昨日、橋下さんが「安保法案と野党再編に国政とし
ては取り組んでほしい」と言って事態を収集させた。昨日から代表と、維新
の党の江田前代表、松野代表とお会いしているが、そこでの話の中身は
別として、野党再編に関して代表がどのようなお考えを持っているか伺い
たい。
【代表】
まず、誰といつ会ったかということは言わないのが私の方針であります
から、今、お話が出ましたが、そのことについては肯定も否定もいたしま
せん。常に私はそういう方針です。
野党の再編というのは、前から言っていますように、例えば次の参議院
を考えても、候補者が野党から何人も出ては、到底与党に勝てません。
特に1人区です。そういう意味で、候補者の調整は最低限必要。これは
前回の衆議院選挙も同じでした。それをどこまでやり切れるか。さらに一
歩進んで、単に調整するだけではなくて、その候補者を一致して推すこと
ができるかどうか。なるべくそうしたほうがいいと思います。
ただ、それにはいろいろな障害もあります。考え方や政策が一致しない
中でそうしても、なかなか国民の理解も得られないだろう。
そういう意味では政策がなるべく一致する必要がある。具体的には、こ
の国会の重要法案について、なるべく各党が一致した態度がとれるよう
にすべきだ。そういうことで、この安保法案の話も含めて私としては努力
をしてきている。そういうことの積み重ねの結果なのだろうと思います。ど
こまで進むかは状況によって変わりますので、相手もありますし、わかり
ません。少しずつでも前に進めていく中で道が開けてくると思います。
【毎日新聞・田所記者】
参院選で、ただ調整するだけではなく推薦し合うのが望ましいというこ
とだが、それは党として民主・維新・社民・生活とか、どこら辺の党を想
定して考えているかということと、今国会で重要法案で一致することが前
提になるという趣旨で話され、例として安保法案を挙げられたが、それ
以外でも一致すべき重要法案は何か想定しているか伺いたい。
【代表】
どこの党かということは特にありません。なるべく多くの野党です。
それから重要法案というのは、私は安保の例を挙げましたが、これと
労働法制が最重要法案です。これから(来年の参議院選挙までの間)
また国会も開かれる、特に通常国会もあります。そこでいろいろな法案
が出てきます。一人の候補者を一致して推しながら政策がバラバラとい
うことにはなるべくならないようにしたい。完全には無理だと思いますけ
れど、そう思っています。
【日本経済新聞・恩地記者】
維新の橋下さんと松井さんが離党したことで、ある意味、松野代表の
党運営の自由度が増すという見方もできると思う。そういう面において
今後連携が進むという代表の期待はあるか。
【代表】
橋下さん、松井さんが維新の党からは離党されたということですが、
それがどういう影響を及ぼすかとか、維新の中の問題なので、私が民
主党代表という立場でコメントすることは控えるべきだと思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
離党に当たって、安保を何とか形にしたらいいということと、野党は自
民党の対抗軸としてという再編のことをおっしゃった。この大局観は、
橋下さんはなかなかスケールの大きい大胆不敵な政治家だと思う。安
保法制を何か形づくる、それから野党再編は早くやるべきだというこの
2点において、岡田代表の大局観を伺いたい。
【代表】
2番目の話は相手のある話なので、そうは言っても現実簡単な問題
ではありません。方向性としてはあると思います。
二つのことを橋下さんは去るに当たっておっしゃっている。それは見
識だと私は思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
橋下さんについては「見識のある政治家だ」というご評価だが、野党
第2党の創設者が離党するということで、これからダブル首長選をや
ると。大阪での再生も民主党にとってのテーマだが、国政においては
野党第1党・第2党がどうなるかというのはこれからの焦点だと思う。
この機会に、見識のある橋下さんと一度じっくり話をしてみたいとか、
そういうお考えがあってもいいのではないかと私は率直に思うが、その
辺はどうお考えになるか。
【代表】
まず私、先ほど言いましたのは、橋下さんが二つのことを、国政政党
はそこに力を注ぐべきだと言われたことを「見識がある」と申し上げた。
そういう見識のあることをああいう場面でご発言になるということは、や
はりただ者ではないという感じはします。どこかでお会いすることもある
かもしれませんが、今は我々も安全保障法制をやっていますし、維新の
中もいろいろな状況ですので、今直ちにという感じではないのだろうと思
います。
○自民党総裁選挙について
【共同通信・松本記者】
今日、日程が正式に決まり、9月8日告示、20日投開票ということだが、
今のところ安倍首相の無投票再選の公算が大きいが、受け止めを伺い
たい。
【代表】
これも他党のことなので、いい悪いという話ではない。自民党の中でご
判断いただくことだと思います。
ただ、残念だという気持ちはあります。せっかく国民の声を聞く機会、
今の安倍さんの考え方と違う、多様な意見が自民党の中にも本来はあ
るはず。かなり大きなことを変えようとしておられるわけですから、それに
対して「自分は異論がある」という人が手を挙げられるのが本当は健全な
姿だと思います。残念です。
【フリーランス・宮崎記者】
無投票の公算であることに関して、代表は「残念だ」ということだが、岡
田代表はもともと衆議院選挙から衆議院選挙までの間が二大政党の党
首の任期であるべきだという考えをお持ちかと思う。そういった中で(民主)
党の規約も改正され、以前のように2年という形ではなくなっている。その
原理がありながら「残念だ」というのは、安保法案に危惧を抱いているのか、
異次元の金融緩和なのか。総理である自民党総裁の判断が、総選挙で
12月に選ばれたばかりなのに、なぜまた総裁選には複数立候補してほ
しいと思われるのか。
【代表】
それは総裁選というものが自民党の中にあるからです。あるにもかかわら
ずやらないのは、残念だ、と申し上げている。
○武藤議員の金銭スキャンダルについて
【フリーランス・安積記者】
一昨日、武藤貴也衆議院議員が釈明会見をしたが、かねがね代表は「
まず本人が説明してから」とおっしゃったが、この釈明が十分であったのか
どうかということと、民主党としてはどうされるのか。自民党がもっとちゃん
と調べてやるべきだとおっしゃったが、離党者について政党が責任を持つ
べきならば、例えばクリミアに行った元首相の鳩山由紀夫さんについて民
主党はどう責任を持つべきだったのか伺いたい。
【代表】
鳩山さんと武藤さんは全く一緒ではないと思う。我々が言っているのは、
武藤さんの離党届をそのまま受け取ってしまったことが問題ではないかと
言っている。本来であれば処分、処分の前提としての事情聴取というのが
政党としての責任ではないか。そういったことがないまま、「離党届を受理
しました。これでもう関係ありません」というのは違うのではないかと申し上
げている。
これからどうすべきかということは、あまり具体的なことを必ずしも今言う
つもりはありません。いろいろな報道がどこまで正しいのかということがわ
かりませんから、まずはきちっと説明してください、説明責任がありますよ
と。それを聞いた上で申し上げることはあるかもしれませんが、現時点で
よくわからない状況であまり無責任なことを言うつもりはない。
【フリーランス・安積記者】
本人が釈明会見してもこれはまだ十分ではないということは、例えば政
倫審などで本人を呼び出してやることをお考えか。
【代表】
そういう議論はこれから当然出てくるでしょう。ただ、それまでにまず説
明を尽くすべきではないかと思います。それで足らないということになれば、
次のステップがあるということだと思います。
【フリーランス・安積記者】
「説明を尽くす」というのは、1回会見しているが、さらに本人が説明する
べきだということか。
【代表】
あの会見で納得されていますか。多くの方が納得できるような説明がな
されていないと思う。もう少しきちんと説明されたらどうですかということです。
○《安保法制》定まらない政府答弁について
【TBS・山本記者】
参議院の審議でこのところ、衆議院の審議での大臣答弁と全く矛盾すると
いうか覆すような答弁が続いている。答弁が180度違うとなると衆議院での
審議もやり直すべきだという声もあるが、このところの安保法制の審議につ
いてどのようにご覧になっているか。
【代表】
衆議院の時でも、質問する日によって違う答えというのはそんなに珍しく
ありませんでしたので、そういう意味では驚きはないですが、憲法の解釈を
変えるという重要法案で、しかも安全保障、これだけ安定しない答弁が連
日なされているのは驚きだし、そういう答弁がこれからの基本になっていき
ますから、きちんと確定してもらわないと。将来、自分の都合のいいように、
いろいろなバリエーションのある、同じことを違う言い方で全然違うことを言
っている、答弁の中の都合のいいものだけピックアップされるおそれもある。
だから政府の考え方としてきちんと統一してくださいと申し上げておきたい。
これでもし強行採決することになると、これは本当に前代未聞、まさしく
立憲主義を壊す、そういう内閣だと思います。
○《安保法制》新安保法制に反対する国民運動について
【朝日新聞・高橋記者】
週末に国会デモに参加されると思うが、日本は代議制の民主主義をとっ
ている中でデモの持つ意味、よくポピュリズム批判もあるが、代表はデモの
持つ効果などはどのようにお考えか。
【代表】
たくさんの方がこの週末も集まられると思います。しかも全国で。私も日
曜日は地元四日市で午前中に参加した上で、午後の国会周辺の総がか
りの集会に出ることにしていますが、全国でこれだけの人が立ち上がって
いることは非常に大きな意味があるということを、政治家であれば感じ取
るべきだと思います。国民にとって、別に国会で一票を投じることができる
わけではありませんので、直接的にはそういった形で意思を表すことは非
常に価値のあることではないかと思います。
○《安保法制》新ガイドラインにおける自衛隊の活動範囲について
【フリーランス・宮崎記者】
ガイドラインに関して。今までは有事の地球の裏側、ホルムズ海峡という
話題が多かったが、平時の南シナ海というのが実はアメリカ側の思惑では
ないかと思う。この辺は自衛官のリスクはさほど高まらないかもしれないが、
財政負担の観点も含めてどのようにその思惑を分析されているか。
【代表】
これはわかりません。いろいろな発言は時々あります。しかし、それは正
式なものになっているわけではないので、憶測では物を言わないほうがい
いと思います。
○《安保法制》安保3法案に関する維新の党との協議について
【産経新聞・山本記者】
昨日も協議されたと思うが、安保3案(領域警備法案・周辺事態法改正
案・PKO法改正案)について、来週以降、民主党としてはどういう方向で
行くのか、改めてスタンスを伺いたい。
【代表】
民主と維新と今、協議を行っております。3法案、おおむね整ってきつ
つあるとは理解しています。
協議が整えば、今度は民主党の中でそれについて、我々がまとめた要
綱まではネクストキャビネットに報告されていますが、協議の結果変わっ
たところも当然ありますので、それはもう一回、党の中でしっかりと確認
の作業が必要です。ネクストキャビネット、その前に平場での議論とか、
そういう段階を経なければいけませんが、私はあまり時間をかけずにや
るべきではないか、国会の会期末も迫ってきているとは思っています。
その後のことは5者(代表・政調会長・国対委員長・参議院議員会長・
参議院安保特筆頭理事)に一任されておりますので、党でまとまったとこ
ろで、それをどう扱うかということは関係者で協議して決めたいと思います。
今、政府案の問題点をかなり深掘りして議論していますので、そこに重
点を置くべきではないかという見方もあれば、せっかく維新と協議が整っ
たのであれば一緒に出したほうがいいのではないかという議論もある。
そこは総合判断の問題だと思います。