岡田克也代表定例記者会見(10月15日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=z7GQJdrPh3U
岡田克也代表記者会見
2015年10月15日(木)14時01分~14時29分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
○消費税増税時の負担軽減策について
○月例経済報告について
○日本の国連安保理・非常任理事国入りについて
■質疑
○消費税増税と負担軽減策について
○維新の党との連携協議会について
○アベノミクスの誤算について
○臨時国会の開会要請について
○高木復興大臣に関する週刊誌報道について
○次期参議院選挙の対応について
○野党協力について
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■冒頭発言
○消費税増税時の負担軽減策について
【代表】
私からは、まず軽減税率。新しく決まった(自民党)宮沢税調会長に対
して総理から、10%引き上げ時に導入することの指示がなされたと聞い
ております。ただ、軽減税率はさまざまな問題を抱えていることは以前か
ら指摘されてきたことで、だからこそ政府税調あるいは党税調でも議論
がなされてきた、なかなか結論が出なかった問題であります。
さまざま問題というのは、言うまでもありませんが、一つは高所得者に
もその恩恵が及ぶと。逆に言うと、それだけ必要な財源がかかるというこ
とで、そのために社会保障に回る予算がその分減るということです。そこ
の手当てをどうするのか、きちんと答えを出していただきたい。1%相当
分は社会保障制度の充実に充てることが前提でこの制度はできておりま
す。かなりの金額が軽減税率のために使われるという時に、借金を減ら
すことをその分諦めるのか、あるいは社会保障制度の充実をやめるの
か、そういうこともきちんと国民に説明していただきたいと思います。
あわせて、どの範囲までこの軽減税率を認めるのか。食料品に留まら
ないという話もあります。前から言っておりますように、ある意味ではこれ
が非常に大きな利権の温床になりかねない。税調に対して「門前市をな
す」ことになりかねないわけで、そこの歯止めをどうされるのかということ
も、説明が必要だと思います。
中小企業者の「インボイス導入は反対」という声に対してどう応えていく
のかも、非常に大きな問題だと思います。麻生財務大臣は「(軽減税率
は)面倒くさい」と言われましたが、確かに手間暇かかる問題であります。
すべてがガラス張りになることをいいことだという見方もありますし、そこ
まで把握されてどうなのかという声もあると思います。簡易なやり方でい
いではないかという議論もありますが、そうすると脱税が横行する。「益
税」と言う人もいますが、「益税」ではなくて「脱税」であります。そういうこ
とが横行することにもなりかねない。うまくやった人が得をして、真面目
に帳簿をつけた人が、その分「正直者が損を見る」ということになっては、
税の公平性、税に対する根幹が揺らぐことにもなりかねない。そういっ
たさまざまな問題について、きちんと答えを出さなければならないと思い
ます。
民主党の主張は従来から給付付き税額控除ということで考えておりま
す。所得の少ない方に給付という形で補填するという、非常に簡単で、
必要なところにきちんと手当てができるやり方がなぜだめなのか、非常
にわからないわけであります。
○月例経済報告について
【代表】
月例が発表になりましたが、誰が見ても、景気が相当足踏みしている
ことは明らかで、機械受注も2ヵ月連続で減少、景気動向指数も2ヵ月
連続で悪化、景気ウォッチャーも2ヵ月連続で悪化している。総理は「景
気の好循環」と言っていますが、設備投資にしても消費にしても、先行
きとても好循環が始まるような兆しがない。言葉だけでごまかしている
と思えてならない。
考えてみれば、安倍政権がスタートして1年ぐらいは金融の次元を超
えた緩和、その結果としての円安・株高の影響と、それから機動的な財
政運営、公共事業の積み増しで、これによって1年ぐらいは何とかよく
なったような、もちろんそれは一部だけですが、そういう感を与えました
が、実は1年後の(2013年)10-12月期GDPはマイナス成長です。
(2014年)1-3月期で消費税導入を控えた仮需でプラスになって、4
-6月期でマイナスになった。政府はずっと消費税の導入のせいにして
いるのかもしれませんが、実はその前からもうマイナス成長になってい
る。いつまで消費税のせいにしているのかと、そういう感があります。
やはりアベノミクスは失敗したということをしっかり総括した上で、新た
な対策を打ち出していく必要があると思います。
○日本の国連安保理・非常任理事国入りについて
【代表】
国連の安全保障理事会・非常任理事国に日本が選ばれました。11
回目の非常任理事国ということです。
私が外務大臣の時にも非常任理事国で、やはり安保理に参加する
ことはさまざまな情報が手に入るということで、非常任理事国あるいは
常任理事国入りの必要性を認識したところであります。この辺は私の
本を読んでいただくと書いておきましたが、韓国のチョンアン号(天安
号)事件の時なども、非常任理事国でしか入手できないさまざまな情
報を韓国に対して提供して、かなりお役に立てたとも思います。安保理
で私も一度議長を務めましたが、今となっては非常に懐かしい思い出
です。
今回この非常任理事国になったことですが、実は私が外務大臣の時
にチャレンジしようということを決めました。省の中には、バングラデシュ
が強敵だ。過去にバングラデシュに負けたことがあり、非同盟国の間
に非常に強い支持を持っている国ですので、後から手を挙げて負けた
ら大変だという話もありましたが、チャレンジすることを決めました。具
体的に外に発表したのは前原大臣になってからということであります。
副総理の時にバングラデシュに行きまして、時のハシナ首相あるい
はモニ外相ともさまざまな話をさせていただきました。今回バングラデ
シュが降りてくれたことで、より選任が確実になったということでありま
すが、長い期間をかけて、5年以上かけて実現したことは、私としても
非常に喜ばしいことであります。ぜひ非常任理事国としてしっかりとした
役割を果たしてもらいたいと考えております。
■質疑
○消費税増税と負担軽減策について
【日本経済新聞・甲原記者】
軽減税率についてまだ難しい問題が山積しており議論を整理しなけ
ればいけない状況で、景気が下振れしている。このような状況で201
7年4月に消費税を予定どおり引き上げるべきだとお考えか。
【代表】
その判断はまだ早いと思います。総理自身は、リーマンショックのよ
うなことがなければ上げると、現時点では言われております。景気の
状況はよく見極めなければならないと思いますが、大事なことは、まだ
時間があるのですから、景気を、こういう低迷状況ではなくて、きちんと
回復軌道に乗せる。その責任が(総理には)あるということだけは申し
上げておきます。
【「FACTA」・宮嶋記者】
軽減税率については、さきの総選挙で公明党の1丁目1番地の公約
だった。それが財務省の案を覆したとしか見えない。そこのところの不
透明感というか、公明党が今の与党を振り回しているという見方もある
と思うが、そこはどうご覧になるか。
【代表】
たぶん時系列的に言うと、公明党が消費税引き上げに賛成するに当
たって、軽減税率ということを支持者の皆さんに強く訴えたということが
あって、それがあの選挙における軽減税率の強調ということになったの
だと思います。
ただ、本来であれば、安倍政権がスタートして、どういう制度設計をす
るかということは、もっと早く与党間できちんと協議しておくべきだったと
思います。それを後に送った結果、こういう混乱になっているのではない
かと思います。
【TBS・牧野記者】
先ほど「益税」について指摘があったが、どんな点に問題があって、ど
うしていくべきだとお考えか。
【代表】
私は「益税」という言い方が適切だとは思わない。これは「益税」ではあ
りません。インボイスそのものはカチッとしているので手間もかかる、した
がって簡易なものを導入して、それを簡単な形でやったらいいではない
かという話が一部にあります。しかし、それは結局、10%を適用するも
のを8%にする、そういうリスク・可能性を持つものです。それは「脱税」
なのです。「益税」ではない。そういう「脱税」を生むような仕組みはだめ
だと思います。
○維新の党との連携協議会について
【NHK・花岡記者】
維新の党は昨日、大阪系の除籍を発表したが、混乱が続いている。維
新の党の混乱が、民主党との政策と選挙の協議に与える影響についてど
うお考えか。
【代表】
まず、維新の党の中の話について特にコメントはいたしません。
その上で、党の中でいろいろなやり取りをやっておられる結果として、政
策や選挙の協議がなかなか前に進まないという部分はあるかもしれません。
早く現在の混乱状況がきちんと明確になるということが、党対党できちんと
結論を出すためには必要。(担当の)人は、特に政策のほうは決まってい
ますので協議はできますが、党と党で一定の合意に達するためには、今の
混乱状況が何らかの形で決着を見ることが必要になるのだろうと思います。
だから話し合いは続けていきますが、着地としてはそういうことだと思います。
○アベノミクスの誤算について
【「FACTA」・宮嶋記者】
景気の話を伺いたいが、4-6月期GDPがマイナス成長で、7-9月期も
おそらく、今回の月例を見てもマイナス成長だったと思われるが、冒頭の
「アベノミクスは失敗した」という議論、これは消費税増税から1年以上たっ
ているので(マイナス成長の)理屈にはならないと思うが、一方で今度は中
国経済の減速ということに責任転嫁みたいな話もある。結局、「アベノミクス
は失敗した」というのは、どこで見たらいいのか。個人消費とかGDPとか、
何をもって失敗だと断定したらいいのか、それをどうご覧になるか伺いたい。
【代表】
円安を実現することによって輸出を増やすというのが一つ、あまり声高に
は言えないことだったかもしれませんが、大きな眼目だったと思う。「輸出を
増やす」という時に、輸出の数量を増やすということだったと思う。それが思
ったように結果を生まなかった。
もちろん円ベースでの金額は膨らみました。当然です、円安になっている
わけですから。したがって、企業の利益もその分膨らんだことは間違いあり
ません。しかし数量が増えなければ、その当該企業の取引先とかそういうと
ころに広がっていかない。量が増えれば稼働率は、その取引先、下請とか
そういうところも上がっていくが、量が増えなければその円安のメリットとい
うのは輸出企業に留まる。ここがやはり、国内の需要をつくり出すという意
味では一番の誤算だったのではないかと私は思います。
もう一つは、思ったように賃金が上がっていないことです。いろいろな見方
がありますが、実質賃金は、ここ1、2ヵ月はともかくとして、むしろ下がりっ
ぱなしという中で、消費は増えない。
大きく言ったらこの二つではないかと私は思います。
○臨時国会の開会要請について
【産経新聞・松本記者】
臨時国会を開くという動きは政府・与党のほうからはいまだ見えてこない
かと思うが、改めて臨時国会、政府・与党にどのような対応を求めるか伺
いたい。
【代表】
TPPの話は、これはすぐに閉会中審査でも行うべきだと考えていますが、
そもそも内閣が変わったわけですから。半分新しい大臣になって、新しい内
閣が何をしようとしているのか。記者会見では「新しい3本の矢」とか安倍さ
んは言っていますが、内閣としてこれからどういう方針で問題に取り組んでい
くのかということについて、全く説明がなされていません。個々の大臣に至って
は記者会見だけしかない。常識として、新内閣がスタートしたら、国会を開い
てそこで説明することで国民に伝える責任があると思うのです。そして国会の
中のやり取りで、国民の疑問にも答える。これは当然やるべきことだと思いま
す。
我々としてはそのことを強く求めておりますし、もし開きたくないということであ
れば、制度上認められたさまざまなアクションをとっていかなければいけない
と思います。
【NHK・花岡記者】
新しい閣僚の「政治とカネ」をめぐる問題などについて臨時国会で追及して
いく必要があるとお考えか。
また、憲法53条の規定(いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要
求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない)の開会要求が
あるが、これを求めるめどはどうお考えか。
【代表】
まず、これは新しい閣僚に限らないのですが、閣僚が閣僚としてふさわしくな
い行動があるのであれば、それは国会の場でしっかりと質疑を通じて追及して
いかなければならないのは当然のことだと思います。逆に言うと、開かないの
はその機会を避けようとしているのかとも思われる。
53条の件は、当然そういったことも考えておりますが、それは政府次第です。
「開きます」と言えばそれは必要なくなる。その見極めを今、行っているというこ
とです。しかし、いつまでも待つわけにはいきませんので、我々の感覚だと11
月初めぐらいには開いて当然ではないかと思う。そのためのアクションは、来
週以降具体的に進めていくことになると思います。
○高木復興大臣に関する週刊誌報道について
【東京新聞・宮尾記者】
復興大臣のハレンチな行為についての週刊誌報道がある。要するに下着泥
棒の常習犯だったという話だが、これも代表のおっしゃる「閣僚としてふさわし
くない行動」に当たるか。
【代表】
現時点で私も週刊誌以上のことを承知しておりませんので、コメントするのは
避けたいと思います。
まず皆さんのほうで、閣僚記者会見の時にでも聞いてみたらどうですか。
○次期参議院選挙の対応について
【日本経済新聞・甲原記者】
今、維新でこういう分裂騒動があって、政策協議・選挙協議が遅れている中で、
候補者の公認が遅れているとご覧になるか。改めて参院選に向けた候補者の
公認・推薦の時期的なめどを伺いたい。
【代表】
年内にはしっかりと、おおむねめどをつけたいとは考えています。各地区でそ
れぞれ動きはある。最近で言うと宮崎、無所属候補の推薦が決まり、和歌山で
は公認候補が決まった。これからも順次そういった手続は進めてまいります。
ただ、安保国会が非常に忙しかったこともあったりして、全体として少し遅れぎ
みであることは事実で、そこはしっかりと手分けしてやっていきたいと考えてい
ます。
【日本経済新聞・甲原記者】
来年の参院選で、与党以外の人たちで改選議席77以上を取らないと与党
を過半数割れに追い込めない。「ねじれ」を発生させるハードルの高さも指摘
されるが、代表ご自身は可能性としてどのようにお考えか。
【代表】
かなり高いハードルであることは間違いありません。ただ、チャレンジしがい
のあるハードルだと思います。過去の選挙を見ても1人区で、1人区ですから
(実質的に)小選挙区ですから、そこで結果がどんどん変わるということは起
こり得ることで、それをしっかりと目指していきたいと考えています。
私も参議院選挙は2004年、11年前ですが、代表に就任してあまり時間が
ないまま選挙に突入いたしました。非常に厳しい選挙だと言われていて、誰も
代表を引き受ける人がない中で、幹事長だった私が責任を取って代表になっ
た。しかし結果を見ると、我々は公認だけで50、自民党49。無所属も、例え
ば広田一君とか、残念ながら自民党に行った松下君とか、そういうのを加える
とさらに差は広がるという好結果を得ることができました。ですから、いろいろ
なことがこれから起こり得るのだと思っております。
○野党協力について
【「FACTA」・宮嶋記者】
両院議員総会で共産党のことも説明され、よくわかったが、これは次の展
開があるのかどうかもわからないかもしれないが、代表とか偉い方ではなく
て、ブレイクダウンしたところで選挙協力(の話し合い)、そういうことはある
のか。それとも全く、維新が先行していて(共産は)止まっているということな
のか。共産党と今どうなっているのか、どっちに球があるのか。維新の話が
先でその後に来るのか。連立ということではなく、選挙協力ということでその
辺はどうなのか伺いたい。
【代表】
一応、建前としては「ともに政府をつくる」と言われていますので、そこが変
わらないと難しい部分はあります。もう一つは、共産党はかなりの選挙区で
既に候補者を擁立してしまっている。ですから、それを取り下げるというのは、
ハードルがなかなか高いということもあります。逆に言うと、既に擁立し終わ
っているので、選挙が始まるまでのこの1年近い期間、じっくりと話し合って
いくということだと私は思います。
【岩手日報・佐藤記者】
来週、生活の党との協議があるようだが、そちらではどういった提案、あ
るいはどういう方向性を目指すとか、その辺を伺いたい。
【代表】
党首会談ですね。今までも各党とやってきたように、やはりお互いに協力
していくということの確認をしっかりと行いたいと考えています。おそらく、予
想するに、小沢先生のほうからは「オリーブの木」という構想を言っておられ
ますので、そういうことについてのお話、ご説明もあるのではないかと考えて
おります。