特集

2017.03.05|

小泉政治との5年(2006年)

小泉内閣

はじめに

小泉政治の5年間が終わろうとしている。21世紀初頭のこの5年間は、後世どのように評価されるのだろうか。
私自身この5年間、民主党の政策調査会長、幹事長代理、幹事長、代表の職にあり、小泉政治を注意深く見てきた1人である。国会における小泉純一郎総理大臣との質疑は合計30回を数え、小泉総理と最も多く議論した政治家であることは間違いない。
国会でのやり取りは、政治家にとって真剣勝負の場である。私は、国会審議の目的は相手の失言を誘うことにあるのではなく、国民に政策選択の妥当性を判断してもらうことにあるという思いで議論してきた。小泉総理には、まともに答弁せずに逃げられたり、かわされたりすることも多かった。しかし、私自身は常に正面からの議論を挑んできたつもりである。その準備のためにも大きなエネルギーを注いだ。1時間の質疑のためには、25時間から50時間程度の時間をかけてきた。

しかし、国会でのやり取りは、そのごく一部が報道されるだけで全体が国民に伝えられることは少ない。今日は深い議論ができたと思っても、メディアの関心は別のところにあったりして、大切なことが伝えられていないと常に感じてきた。

そこで、5年間の小泉総理との国会でのやり取りと、そして私自身が当時何を考えていたかということをまとめることで、小泉政治5年間における野党第一党の責任者としての説明責任を果たしたいと考えた。したがって、これは私自身の政治理念や政策を体系的に論じたものではないことをお断りしておかなければならない。
単行本1冊にも相当する長い、そして決して読みやすいとは言えない文章だが、是非ご関心のあるテーマだけでも多くの人々に読んでいただきたい。ご関心がさらに深まった場合には、国会議事録に戻って、より正確に確認していただけると幸いである。私のホームページでは、いままでの私の国会質疑はすべて読んでいただけるようにしてある。
読んでいただいたあとの、皆様のご意見・ご感想も楽しみにしています。

平成18年8月18日
岡田 克也


目次

第1章 アジア外交の混迷と歴史認識
第2章 テロとの闘いからイラク戦争へ

第3章 先送りされ続けた社会保障制度改革

第4章 自己目的化した民営化論議

第5章 小泉政治とは何だったのか
1)小泉経済改革の明と暗
2)いずれも進展のなかった分権、財政、政治改革
3)大きな改革を実現し、日本の再生を



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