民進党OB・OG会─経験豊富な応援団として、力を借り、助言を頂く
私が、執行部から依頼されて取り組んできた、民進党国会議員のOB・OG会(仮称)の設立について、常任幹事会で承認されました。
いったんは民進党、その前身である民主党や、あるいは、維新の党などに在籍をした、元国会議員の皆さんのOB・OG会を作ろうと、これは、私が代表のときから考えていたことです。今回ようやく前に進みだしました。藤井裕久先生、中野寛成先生、その他、何人かの方の集まっていただき、具体的なことについて、いくつか決めていただきました。
OB・OG議員の名簿を改めて見ていると、非常に懐かしいお名前がそこに掲載されています。政治経験も豊富な皆さま方に、力を借りる、そして、応援団として、様々なアドバイスもしていただく、活動もしていただく。そのために、ぜひこのOB・OG会を早くスタートさせたいと改めて感じているところです。
岡田前代表が推進し、今回、正式に設立が決定した民進党国会議員のOB・OG会は、非常に素晴らしい取り組みであると思います。
民進党国会議員のOB・OGのみなさんには、非常に能力が高く、著名な方々が大勢いらっしゃいます。そして、そのほとんどのみなさんが脱原発、集団的自衛権反対の立場であると思います。ぜひ民進党国会議員OB・OGのみなさんの力も結集し、一日も早い政権交代を実現していただきますよう、お願い申し上げます。
ところで、今月中旬に開催された民進党党大会において、蓮舫代表のリーダーシップにより、民進党が原発ゼロ基本法の作成に取り組んで行くことが決定されました。ありがとうございます。
蓮舫代表が、民進党のこれまでの政策であった2030年代脱原発を前倒しし、2030年脱原発を強力に打ち出したことが、原発ゼロ基本法の作成という方針につながったと思います。まさに蓮舫代表の発信力の賜物であると思います。
今後、次期総選挙へ向け、原発ゼロ基本法を作成する過程においては、ぜひ脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との「妥協」を実現し、2030年脱原発あるいは即時脱原発を基本法に盛り込んでいただくようお願い申し上げます。
民主主義とは妥協の政治です。妥協こそが複雑な利害の対立を調整し、政治・政策を前進させる知恵であり、方策です。
この点、日本においては、妥協はマイナス・イメージでとらえられることが多いようです。日本では、妥協するな、一歩も退くな、ということがよく言われるようです。しかしながら、これは軍事的な考え方であって、民主主義の発想とは異なります。民主主義においては、寛容と協力、そして、妥協の精神が尊ばれます。
また、日本では妥協(COMPROMISE)の意味も間違えてとらえられているようです。妥協とは単に譲り合うことではありません。妥協とは、一見利害が対立するように見える当事者の間で、それぞれの本質的利害を明確にした上で、そのそれぞれの本質的利害が両立するような、新たな「仕組み」を考案し、実行するということを意味します。
日本では、民主主義の歴史が浅く、素晴らしい政治的妥協の具体例が乏しいため、妥協こそが民主主義の本質であるということの理解が一般的ではありませんが、たとえばアメリカでは、合衆国憲法の制定過程において、「大いなる妥協(GREAT COMPROMISE)」が行われ、決裂寸前であった憲法制定会議がまとまったという歴史的偉業が、繰り返し国民に紹介されます。また、西洋政治の源流である、古代共和制ローマの政治も妥協という知恵の宝庫です。
今回の原発ゼロ基本法についても、ぜひ脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との妥協を実現していただきたいと思っています。
その前提として、まず蓮舫代表を始めとする執行部が世論調査を実施し、国民の多数の声が脱原発であるということを明確にすることが大切であると思います。そして、その世論調査を国民のみなさんと電力総連のみなさんにご紹介することが大切であると思います。
さらに、民進党が主導して、脱原発を求める市民のみなさんと電力総連組合員のみなさんとのディスカッションの場を全国各地で設けることが大切であると思います。現在、脱原発と原発産業の雇用の問題は、蓮舫代表と連合の神津会長との間で議論されていますが、1対1の議論では対立が前面に出るばかりであると思います。脱原発を求める市民のみなさんと電力総連組合員のみなさんとの間の本音のディスカッションの場を各地で設けることを通じ、組合員のみなさんに脱原発を求める国民の多数の声を伝えるとともに、国民のみなさんに原発産業従事者の雇用の問題を考えていただくことが大切であると思います。
その上で、原発ゼロ基本法の作成過程において、脱原発と原発産業の雇用維持との妥協策を法案に盛り込んで行くことが考えられます。その際、まず当事者の本質的利害を検討することが大切です。
電力総連の組合員のみなさんの本質的利害は、原発産業そのものの維持というところにあるのではなく、自らの雇用と収入の維持というところにあると思います。言い換えますと、雇用と収入が維持されるならば、原発産業であれ、他の産業であれ、厭わないということであると思います。
であるとすれば、原発ゼロ基本法に、原発産業に従事しているみなさんの雇用と収入をいかに確保するかを盛り込むという作業において、脱原発派のみなさんと電力総連のみなさんとが協力して取り組むことが可能となると思います。
たとえば、原発ゼロ基本法の中に、原発産業に従事しているみなさんの雇用確保のための条項を設け、急速に拡大する廃炉ビジネスや再生可能エネルギー関連ビジネス、水素エネルギー関連ビジネス等の分野で、優先的に雇用枠を設け、雇用を確保することが考えられると思います。民進党が真摯に呼びかければ、様々な企業から雇用枠の提案が得られると思われます。あるいは、手厚い職業訓練・長期間にわたる再雇用支援手当を設けることも考えられるかも知れません。大切なことは、政府・政治家が、政治生命をかけ、「絶対に誰一人として失職させない。」と明言・約束することです。それによって、電力総連、基幹労組、電機連合を説得することです。
国民の多数の声と少数者の権利の保護のために、有効な妥協策を生み出すこと、そして、そのために汗をかくことこそが、民主主義の下における政治家の最も大切な仕事だと思います。
ぜひ次期総選挙へ向け、脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との妥協を実現し、2030年脱原発あるいは即時脱原発を原発ゼロ基本法に盛り込んでいただくようお願い申し上げます。