平成30年4月18日 第196回国会 外務委員会「朝鮮半島有事と直接出撃、 六者合意(2005.9)とその後についての検証」
1. 朝鮮半島有事と直接出撃
2. 六者合意(2005.9)とその後についての検証
○岡田委員 無所属の会の岡田克也です。
まず、先般のアメリカを中心とした三カ国によるシリア攻撃について簡単にお聞きしたいと思います。
先ほども大臣が答弁されましたように、化学兵器の使用、拡散を容認しないという決意は支持をするとした上で、研究開発能力を低下させる措置についても理解すると、支持と理解を使い分けられたわけですが、全体について支持をされなかった理由はどこにあるんでしょうか。
〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕
○河野国務大臣 化学兵器の使用は極めて非人道的な行為でありまして、これはいついかなる場合でも許されるものではなく、これは強く非難をいたします。日本として、使用した者は罰せられなければならないということでございます。
化学兵器の拡散、使用は絶対に許さないとの米国、英国及びフランスの決意は、これは日本もそう考えているわけでございますから、支持をいたしております。その上で、今回の行動はこれ以上の事態の悪化を防ぐためのやむにやまれぬ措置ということで理解をしたいというふうに考えております。
○岡田委員 私は理由を聞いているわけです。
○河野国務大臣 今回のは武力をある面使ったということでございますので、これはさまざまな評価があろうかと思いますが、日本として、これはやむにやまれぬ措置を三カ国がそういう決意のもとでとったということで理解をしているということでございます。
○岡田委員 行為については理解をするということですが、国連憲章に基づく安保理の決議がないということも考慮しての理解ということでしょうか。
○河野国務大臣 三カ国の決意につきましては、これは日本と全く同じ、化学兵器の使用を許さない、拡散を許すべきでないということでございますから、これは支持しているわけでございまして、武力の行為につきましては、これは日本として参加をしているわけでもございません。そういう意味で、理解をしているということでございます。
○岡田委員 参加をしているわけじゃないから理解しているというのは、何を言っているのかよくわからないんですが、国連憲章に基づく安保理での決議がないということをもって、支持ではなくて理解にとどめたということではないんですか。
○河野国務大臣 国連の安保理の決議というものがあれば、それはまた国際的なそういう意味でも非常に強いものになるんだろうと思います。その際に、日本として支持するのか理解するのか、それは予断を持ってここでお答えするのは差し控えたいと思います。
○岡田委員 私が聞いているのは、安保理の決議がないから、支持までは言わずに理解にとどめたのではないかということを聞いているわけです。
○河野国務大臣 単純に、そういうわけではないということを申し上げているわけでございます。
〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕
○岡田委員 そのことも一つの理由ではないんですか。
○河野国務大臣 さまざまなことを考えた上で、日本政府としての立場を表明をしております。
○岡田委員 そういうふうに言わざるを得ないでしょうね。前回も、あるいはその前も、大臣が言われたように、米国の武力行使は全て国際法違反ではない、そういう前提でいろいろな議論を組み立てておられるので、今回のことについて明言はなかなか言えないんだろうというふうに思います。
ただ、今回の日本政府の使い分けというのは、注意しなきゃいけないのは、例えばコソボのときにも、理解するというふうに日本政府は述べたわけですけれども、あのときは人道上の問題、あるいはNATOという組織体、国連ではないけれどもNATOで決定したことということがあったと思います。
今回は人道上ということも日本政府は言っていないので、事態のこれ以上の悪化を防ぐためと総理が言い、あるいは河野大臣は、シリアはこれまで化学兵器を使った事実があり研究開発能力があるということからこの研究開発能力を低下させる措置について日本は理解します、こういうふうに述べられているんですね。
研究開発能力を低下させるために武力が行使されたことということについて、私はよくわからないんですね。人道上というよりも更に広げてしまっている。こういう言い方というのは私は初めてだと思うんですけれども、この点については何かありますか。
○河野国務大臣 シリアのアサド政権が化学兵器をこれまでたびたび使ってきたということは、国連、それとOPCWの共同調査メカニズムの中で断定がされているわけでございます。また、シリアのアサド政権が化学兵器の研究開発能力を有しているということも事実であるわけでございます。そういう中で、この化学兵器の使用、拡散をこれ以上許さないという三カ国の決意を支持し、措置を理解をしたということでございます。
○岡田委員 今回のこのシリアに対する攻撃も、アメリカの武力行使というものが、国連憲章あるいは国際法の上でグレーな部分があるという一例だと私は思います。
そういうことですから、大臣が前回、前々回言われたような、いや、アメリカが国際法違反するとは、そういう想定はしていないとかいうことでいろいろな論理を組み立てることはそもそも間違っている。アメリカがあらゆる手段がテーブルにのっているというときに、これを高く評価したり、完全に一致したとかそういう言い方は、そこにグレーな部分が残る以上、すべきでないということは、もう一度強調しておきたいと思います。
もし、大臣、何か反論があればおっしゃっていただきたいと思います。
○河野国務大臣 北朝鮮の問題につきまして、日米は緊密に連携をしておりますので、アメリカが国際法に違反するような行為をとるとは考えておりません。
○岡田委員 そこまで開き直られると、私は唖然とするわけですけれども。
今までのアメリカの武力行使の歴史を見ても、あるいはアメリカの考え方そのものを検証してみても、アメリカは、アメリカの国益に基づいて判断する、必ずしも国連憲章とか国際法というものにとらわれない、そういう認識をしておくこと、それを前提に日本の対応というのを考えておかなければいけないということは繰り返して申し上げておきたいと思います。
そこで、実は、密約調査を私が行ったときに、朝鮮半島に対するその武力行使について、朝鮮議事録という密約があるということが判明をいたしました。これは、朝鮮半島有事の際の武力行使については事前協議を必要としないという、そういう日米間の密約であります。その密約は、もう既に効果がないということ、失効しているということを確認をいたしました。
その上で、若干文言が、従来、前向きにかつ速やかにと、これは総理のプレスクラブでの発言なんですが、前向きにというのは一定の方向性が出ているということで、これを適切かつ迅速にというふうに置きかえたわけであります。
ここまでのところは、岸田大臣は、その民主党政権のときのアメリカとの交渉結果を引き継いでいるというふうに明言されたわけですが、当然、河野大臣も引き継いでおられますね。
○河野国務大臣 安倍内閣として、御指摘の立場を現在も引き継いでおります。
すなわち、政府は、朝鮮半島における有事の際に米国政府から行われる事前協議に対しては、朝鮮半島における平和と安定の維持は日本及びこの地域の安全に極めて重要であることを踏まえ、個別の状況を考慮しつつ、適切かつ迅速に、英語で言えばアプロプリエートリー・アンド・エキスペディシャスリーに対応する、そういうことでございます。この事前協議に際し、我が国は、国益確保の見地から、具体的事案に即して自主的に判断し諾否の決定をするというのが安倍内閣の立場でございます。
○岡田委員 この事前協議、つまり、日本の在日米軍基地から直接作戦行動に米軍機が飛び立つ、それに対する、日本政府に対する事前協議ということですけれども、私は、これは実際に、有事の際に、存立危機事態を政府が認定するとか、あるいは、場合によっては重要影響事態を認定するよりも早いタイミングで、日本政府として、その事前協議に遭遇する、事前協議しなければならないという場面があるのではないかというふうに思っているわけです。そういう意味で、政府の判断として非常に重要だというふうに思うわけです。
私も、朝鮮半島有事の際に、在日米軍が基地を使って発進したいということを言われれば、よほどのことがない限りそれにノーと言うことはあり得ないというふうに思っているわけですけれども、しかし、この米軍の行動によってはなかなか国民の理解が得られないということも想定されるわけですね。つまり、国際法上、それに合致した、そういう行動であればともかくとして、それが非常に疑わしいような、グレーな行動を米軍がとった場合に、事前協議に対してイエスと言うことに国民の理解は得られるかどうか、こういう問題があると思いますが、そういう認識はおありですか。
○河野国務大臣 今の北朝鮮情勢の中でアメリカがどういう対応をとるかということに予断をすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、この北朝鮮に関しては、これまで、日米で緊密に連携し、すり合わせをしてきておりますので、アメリカが国際法上違法な武力行使を行うとは考えておりません。
○岡田委員 例えば核施設を排除するために攻撃をするというのは、国際法上違法ではないんですか。
○河野国務大臣 北朝鮮で米軍が核施設に対して武力行使を行うということは、今のところ想定をされていないと思います。
○岡田委員 想定を、今米国がそこまで決めているとは私は思いませんが、可能性としてはそういうこともあり得るわけです。
大臣はそういうことはあり得ないという前提で今答弁しておられるわけですが、しかし、あり得ないということを断定はできないわけですね。だから私は聞いているわけです。
○河野国務大臣 米国が国際法上違法な攻撃をするとは想定をしておりませんので、そういう場合には、恐らく個別具体的に判断をしなければならないというふうに思いますが、アメリカが国際法上違法な武力の行使を北朝鮮のこの件においてするとは、日米の緊密な連携の中で想定をしておりません。
○岡田委員 大臣の答弁を聞いていると、アメリカがした場合には全部合法だと。そういう論理というのは、自衛隊のいるところは非戦闘地域だという、その答えとほぼ同じじゃないかというふうにも思えるわけですが。
いずれにしても、この問題、私は、やはり国民の理解を得るためにも、アメリカが適切に行動するということが前提でないと、直接発進についてイエスと言った瞬間に日本に対して攻撃がなされる可能性もあるという、これは重大な政治判断ですから、それを国民の理解を得るためにはいろいろな条件を整えておく努力というのは必要だ、そういうふうに思っているところであります。
それでは、次の問題に移りたいと思いますが、安倍総理は、昨年の国連総会の演説で、北朝鮮の問題を専ら取り上げられて演説をされたわけですね。その中で、北朝鮮に対して、対話とは北朝鮮にとって我々を欺き時間を稼ぐための最良の手段だった、同じ過ちを繰り返してはいけない、最後に述べておられるのは、必要なのは対話でなく圧力である、こういうふうに言われたわけですね。
確かに、北朝鮮との、我が国を含む各国との交渉を見ていると、結果的には核開発は着々と進んだわけですから、時間稼ぎという側面があったことは否めないというふうに思います。
ただ、一方的に、北朝鮮がそういう時間稼ぎのためにだまし続けたというふうに断じてしまうのは私はいかがかと思うわけですね。我々の方、我々というのは、北朝鮮以外の、例えば六カ国協議であれば五カ国の方にも、さまざまな問題がある中で現状になっている。そのことについての反省とか検証とか、そういうものをしっかりした上で今後の交渉に臨まないと、北はとにかく悪いんだというだけでは、私は今度の交渉もうまくいかないだろう、そういうふうに思っているわけです。
そういう観点で具体的にお聞きしたいと思います。
まず、これは前回もちょっと申し上げましたが、二つの大きな出来事があるわけですね。一九九四年の米朝の枠組み合意、それから二〇〇五年の六者の合意。
まず、六者の合意について検証していきたいと思うんですけれども、二〇〇五年九月十九日の六者協議で共同声明が出されました。この共同声明の文章を改めて読むと、かなりのことがこれに書き込まれているわけですね。全ての核兵器及び既存の核兵器を放棄する、それから、NPT及びIAEA保障措置に早期復帰する、それから、最終目的としては、米朝、日朝間の国交正常化を行う、こういったことが具体的な目標として書き込まれたもので、私は、当時としてはこれは大きな成果だったというふうに思うわけですが、まず、河野大臣、この二〇〇五年九月の六者協議の共同声明について、どのように考えておられますか。
○河野国務大臣 御指摘のとおり、二〇〇五年の六者会合の共同声明は、地域の平和と安定に大きな役割を果たす、あるいは、責任を有する五カ国と北朝鮮が、平和的な方法で朝鮮半島の検証可能な非核化を目標として確認したという意味では意義があるものだと思いますし、我が国もまた、北朝鮮と、この共同声明の中で、日朝平壌宣言に従って国交を正常化するための措置をとるということを約束いたしました。
しかし、この六者会合の共同声明後も、北朝鮮は共同声明を無視し、核・ミサイル開発を続けてきたという厳然たる事実がございます。また、拉致問題についても、北朝鮮は具体的な行動を示してこなかったということが言えるのではないか。
そうした教訓を踏まえ、北朝鮮とただ対話をするだけでなく、きちんと圧力をかける必要があるというのが今の国際社会の理解になっていると思います。
○岡田委員 北朝鮮にきちんと圧力をかけなければいけない、そういう考え方、認識は共通です。
その上で質問を続けたいと思いますが、この六者協議の共同声明、二〇〇五年の九月の十九日です。
確かに、大臣御指摘のように、二〇〇六年七月にはミサイルの発射実験、いろいろなミサイル七発を発射実験し、十月には核実験ということですから、六者協議の共同声明の後、実はかなり停滞したというか、北朝鮮はやりたい放題やったということは間違いないわけですね。
しかし、同時に、この二〇〇五年九月十九日の六者協議の共同声明とほぼ同じ時期、具体的には九月十五日に、マカオのバンコ・デルタ・アジアの北朝鮮関連口座を米国政府は凍結をしているわけです。
このことが共同声明の実施に当たって障害になったという考え方がありますが、その点、大臣はどう考えておられますか。
○河野国務大臣 アメリカの認定を受けてマカオの当局が北朝鮮の関連資金を凍結した結果、北朝鮮がこれに反発して六者会合への出席を拒否したという見方があるというのは承知をしておりますが、そもそも、このバンコ・デルタ・アジアと北朝鮮の特別な関係が北朝鮮政府及び関連企業の不法活動を容易にしたわけであって、そもそも北朝鮮がこうした不法行為を停止すれば、このようなアメリカの認定というのはなかったわけでございます。
ですから、財務省がパトリオット法三百十一条に基づいて、マカオ銀行、マカオのこのバンコ・デルタ・アジアに対してとった措置と六者会合というのはそもそも別な話でございますから、アメリカがこうした認定をやったことを口実にして北朝鮮が六者会合の共同声明を破ったというのは、一概にそうだということではないだろうと思います。
○岡田委員 例えば薮中三十二さん、薮中さんは二〇〇三年から二〇〇四年にかけて六者協議の日本側の首席代表を務めておられたわけですが、薮中さんは、金正日氏は本当に核を放棄する考え方があったと思う、このバンコ・デルタ・アジアの北朝鮮資産凍結で北朝鮮がだまされたと思ったかもしれないというふうに言っているわけです。
これは当事者の発言だけに非常に私は重いというふうに思うんですが、いかがですか。
○河野国務大臣 そもそも北朝鮮並びに関連企業が不法行為をやっていたわけでございますから、それを口実に六者の声明を破ったからといって、別に北朝鮮に同情する必要はないんだろうと思います。
薮中さんのような見方があるということは認識をしておりますが、そもそもこの原因となった、核開発を進めミサイルの開発をしたのは北朝鮮でございますから、今日の北朝鮮問題の責は北朝鮮にあると考えざるを得ないと思います。
○岡田委員 同情する必要がないとかあるとか、そういう次元で交渉を論じるのは私はいかがかと思いますよ。やはり、交渉をやっている中で、その交渉の中で持ち出さなかったものをいきなりほぼ同じタイミングで凍結したということが、交渉のやり方として適切だったのかどうかというところは私は議論があると思います。
恐らく、これはアメリカ政府の中でダブルトラックで物事が進んでいた、お互いわかっていなかったんじゃないか、そういう意見が私は強いと思うんですね。つまり、財務省ルートと国務省ルートでそれぞれやっていって、それが連携がとれないまま、同じタイミングで一方は合意をしたし一方は凍結をした、そういう結果になってしまったんじゃないか、こういうふうにも言われているわけですね。
だから、ここから得られる教訓は、やはりこれはアメリカ政府が本当に一本になって対応しないといけないということだと私は思います。
きょうは触れませんが、米朝の枠組み合意も、アメリカ政府の中で、ネオコンと言われる人たちとそうでない人たちの間で確執があったということは私は言えると思うんですね。
かつ、では、外務省は、この資産凍結について、六者協議の合意をするときに承知していたんですか。
○河野国務大臣 この措置について、米国務省自身が、通貨偽造や資金洗浄から米国の金融システムを防御するための米国金融当局による正当な法執行の一環である旨説明をしているわけでございます。
この措置に係る日米の連携について、外交上のやりとりについて申し上げることは差し控えますが、財務当局間を始め、日米でこの件について緊密に意見交換が行われていたと承知しております。
○岡田委員 事前に緊密に意見交換が行われていたかどうか、甚だ疑問ですね。
仮に、アメリカの財務金融当局と日本の財務省の間で多少の情報というものはあったとしても、それが外務省に流れてきていたかどうかというのも、これまたわからない。金融の世界というのは日本の外交と分断されていますから、情報だって十分伝わってこないという、それは現実だと思うんですね。
だから、これから北朝鮮と交渉するに当たって、やはり日本政府が一丸となって事に当たれるようにしておくというのも、私はここから得られる教訓ではないかと。どうしても、財務省ルートの話というのは、そのまま全ては外務省に流れてこないというのが現実である。だから、この北朝鮮の問題については、そういうことがないようにしっかり連携をとっておくということが私は大事だと思いますが、いかがですか。
○河野国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
北朝鮮問題については、外交、安全保障、財務その他、金融、あるいは入国管理、いろいろな側面があると思いますので、政府の中でしっかりとした体制を組んでこの北朝鮮問題に当たる必要があるというのは、委員おっしゃるとおりでございます。
○岡田委員 二〇〇六年十月に北朝鮮の核実験が行われたわけですけれども、その後も実は六者間での協議というのは続いているわけですね。二〇〇七年二月には、先ほどの共同声明実施のための初期段階の措置というのが決まり、十月には第二段階の措置というのが発表されました。それを受けて、二〇〇八年四月には、北朝鮮は原子炉の冷却塔を破壊をするということがありました。二〇〇八年十月には、アメリカは北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する。そういう意味では、核実験にもかかわらず、その後も交渉は実は続いてきたわけであります。
しかし、最終的にはこの交渉は頓挫してしまうわけであります。二〇〇八年十二月に、六者会合に関する首席代表者会合で、検証措置について合意ができないということで頓挫してしまうわけです。
核実験にもかかわらず、六者間の協議は続き、関係者の努力によって順調に歩みを進めてきたが、最後の検証のところで行き詰まった。その理由は、外務省としてはどのように把握しておられますか。
○河野国務大臣 二〇〇七年の十月に、六者は共同声明の実施のための第二段階の措置に合意し、その後、検証を実施する段階になって、問題が生じることがあってはならないとの観点から、検証の具体的な計画及び実施についての議論が進められました。
しかし、二〇〇八年十二月の第六回六者会合に関する首席代表者会合において、検証の具体的な枠組みについて議論が行われたものの、日米韓ロと北朝鮮の立場の違いが埋まらず、合意は得られなかった。
この背景には、北朝鮮が、完全、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核、ミサイルの廃棄に向け、必要なコミットメント及び具体的な行動を示さなかったことにあるというふうに考えております。
○岡田委員 検証の中には、施設への訪問、文書の検討、技術者との面談などが含まれていたと思うんですが、これがなぜ最終的に合意できなかったのかということをしっかりともう一度振り返って検証することが私は非常に有用ではないかというふうに思うわけですね。外務省には当然、交渉の当事者ですから、当時の文書は大量に残っているはずですし、北朝鮮の出方というのも、その中に多くのヒントが含まれているというふうに思うわけです。
ですから、大臣には、まあ外務大臣をやっておられると非常に忙しくて、海外も行かなきゃいけないし国会も出なきゃいけませんから、自分でいろいろ考えて準備する時間というのは非常に限られてしまいます。決まり切ったものが上がってきて、その範囲でいろいろな判断をしなきゃいけないんですが、この北朝鮮の問題というのは、本当に我が国の国民の命と平和な暮らしにかかわる極めて重要な問題なので、やはり少し時間を割いて、その間、当時の状況をもう一回しっかり検証していただいて、必要があれば、当時の関係者もいます、例えば田中均さんとか薮中さんとか、そういう人の意見も聞いていただいて、どういうふうにしてこれからの交渉に臨んでいくかということについて、しっかりと大臣が主導して組み立ててもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 外務大臣経験者の大変有益なアドバイス、傾聴に値すると思いますので、そのとおりしっかり対応させていただきたいと思います。
○岡田委員 終わります。