メルケル氏、党首選不出馬─EUの安定に揺らぎ
ドイツのメルケル首相が、12月に予定されているCDU(キリスト教民主同盟)の党首選挙に出馬しないと表明しました。心配していたことが現実のものとなり、EUの要であったドイツの政治が不安定化するのではないかと懸念されます。
もちろん、直ちに辞任するのではなく、12月の党首選不出馬であり、また、2021年秋の任期満了まで首相に留まるとされていることから、しばらくメルケル時代は続きます。しかし、今までのようにリーダーシップを発揮し、EU全体を引っ張っていくことは難しくなります。
9月に、メルケルさんの右腕であったカウダーさんが、党内の選挙で敗れ、連邦議会(下院)の院内総務を交代しました。ここ10年ほど、毎年のようにお会いしていた大切な友人ですが、突然のことに驚きました。
姉妹政党CSU(キリスト教社会同盟)党首で、メルケル内閣の内務大臣であるゼーホーファー氏との移民問題をめぐる激しい対立、州議会選挙の敗北と、メルケルさんはあっという間に力を失っていきました。
連立を組んだSPD(社会民主党)も支持率が低下していますから、ドイツ政治の混乱は深刻です。
メルケルさんが力を失ったあとのEUも心配です。英国の離脱に伴う混乱、イタリアやポーランドなどEUの方針に反発する国々の増加といった試練に直面しています。フランスのマクロン大統領の国内における支持率も低迷しています。
民主主義の砦であったEUが後退することで、世界の先行きに対する不安が増大しています。日本の果たすべき役割がますます重要になってきました。
メルケル氏は弱い立場の人に立った政治家ですからねー