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4/12 外務委員会(北方領土問題、気候変動問題)

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【質問要旨】

Ⅰ.北方領土問題

 ○北方領土交渉の記録
 ○国境線の画定と平和条約
 ○今後の交渉の展望

Ⅱ.気候変動問題

 ○日本政府の基本認識
 ○具体策について(総理有識者懇談会と外務省有識者会合の提言比較)

( 答弁要求 外務大臣 )

     ――――◇―――――

○岡田委員 岡田克也です。
 まず、北方領土問題について幾つか質問したいと思います。
 まず、二月十二日の私と総理との予算委員会の質疑の中で、プーチン大統領と総理との二人だけの会談の記録について、総理は、メモ、これは通訳者のメモという意味ですが、メモが残っている以上、公文書になっているというふうに答弁されました。
 通訳者のメモそのものが公文書ということではなくて、通訳者のメモをもとにして作成された会談の記録が公文書として残っているという意味だと私は理解をいたしましたが、そういう理解で、大臣、いいんでしょうか。

○河野国務大臣 安倍総理とプーチン大統領のテタテの中での外交上のやりとりにつきましては、外務省の職員である通訳者のメモをもとに記録が作成され、それが行政文書として残っているというふうに承知をしております。

○岡田委員 当然、それは外務省の文書、公文書として保存されているというふうに理解をするわけですけれども、大臣はそれを全てお読みになっていますか。

○河野国務大臣 読んでおります。

○岡田委員 わかりました。
 次に、同じその予算委員会での総理と私のやりとりの中で、国境線を画定したことをもって平和条約を締結するという考え方にのっとっているというふうに総理は答弁されました。
 大臣も、この総理の答弁、総理が答弁された以上、こういう考え方であるというふうに理解してよろしいですか。国境線を画定されたことをもって平和条約を締結するという考え方にのっとっている。

○河野国務大臣 北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結するというのが政府の基本的な方針でございます。
 北方四島の帰属の問題を解決するわけでございますから、当然に国境を画定するということなんだろうと思います。

○岡田委員 総理は国境線という言葉を使われたんですけれども、国境線を画定するということは、国境線を画定しないままでの平和条約の締結はないというふうに考えてよろしいですね。

○河野国務大臣 国境と国境線の違いというのが法的にどういうものなのかというのはあれでございますが、北方領土の帰属の問題を解決をするわけでございますから、国境線というのか国境というのか、そこの定義は別でございますが、当然に、そこを画定をする、帰属を確定する、そして平和条約を締結する、そういうことだと思います。

○岡田委員 ですから、例えば二島先行返還論などということがありました。二島先行返還論も、国境線を引いた上で先行返還、あとは後の交渉に委ねる、こういう考え方もあるんですが、国境線を引かないままで、例えば一部を先行的に返還する、残りはまだ今後の交渉に委ねるということになると、それは国境線は引けていないわけですから、そういう解決の仕方は考えていないというふうに、私は総理の答弁を聞いて理解したんですが、それでよろしいですね。

○河野国務大臣 この平和条約交渉における政府の方針を対外的に述べるのは差し控えているところでございます。お許しいただきたいと思います。

○岡田委員 ただ、総理の国会答弁は重いので、大臣も今確認をされたわけですけれども、国境線を画定して平和条約を締結するということは、国境線が画定しないままの、将来の交渉にそれを委ねたような形での平和条約というのはないということしか論理的にはあり得ないんじゃないですか。

○河野国務大臣 交渉における政府の考え方、方針を対外的に申し上げるのは、我が国にとって有利なことになりませんので、差し控えさせていただいているところでございます。

○岡田委員 一般論として大臣の言われることはわかるんですけれども、総理が国会で明確に述べられているわけですね。そのことについて、つまり、国境線を画定されたことをもって平和条約を締結するという考え方にのっとっている、こういうふうに、これは交渉の方針かもしれませんが、しかし、そのことを明確に国会で述べられているわけですから、そのことを外務大臣が否定する、あるいは言えませんというのは、それは通らないんじゃないですか。

○河野国務大臣 平和条約交渉に当たっての政府の方針を今の段階で対外的に説明するのは差し控えさせていただいているところでございます。

○岡田委員 ということは、総理の答弁を否定されるんですか。

○河野国務大臣 そういうわけではございませんが、条約交渉に当たっての政府の方針を対外的に述べるのは差し控えさせていただいております。

○岡田委員 これは総理にもう一回確認するしかないかもしれませんが、私も総理の答弁を聞いて、ちょっと、おっというふうに思ったんです。
 大臣も、領土を画定してという言葉を一回、寺田さんの質問のときに答えられていて、それまでは領土問題を解決してという言い方だったのが、領土を画定してというふうにおっしゃったんだけれども、総理は更に踏み込んで、国境線を画定するというふうに言われたので、随分、一歩踏み込んだ答弁をされたな、交渉の基本方針にかかわることについて言われたなというふうに思ったんですが、それについて、答弁は否定しないけれども、交渉の方針にかかわることは言わないというのは、極めて私は矛盾した態度で、やはり国会というところで総理が答弁した以上は、そこまではやはりちゃんと認めないとおかしいと思いますが、いかがですか。

○河野国務大臣 交渉の最中に我が国の交渉方針を対外的に一方的に申し上げるのは、我が国にとって有利になりませんので、差し控えさせていただきたいと思います。

○岡田委員 それなら、そう言わなきゃいいんですよ、総理が。
 では、総理がそういう交渉の方針を言ったことは間違っていたということですか。

○河野国務大臣 交渉の方針について申し上げるのは差し控えているところでございます。

○岡田委員 大臣の慎重な姿勢はわかりますけれども、なかなか、委員会で大臣と議論する気がだんだんなくなってくるんですよね。まだ総理と議論した方がましだ、そういうことになってしまいますので、この点はなお、しかし総理の答弁は答弁としてありますから、そのことを、私は方針の一端が示されたというふうに理解しているということは申し上げておきたいと思います。あとは、続きは総理とやるしかないかなというふうに思います。
 それでは、今後の交渉の展望ですけれども、これは事務方で結構ですが、ラブロフ外相は、例えば、二〇一八年の十二月七日あるいは一九年の一月十四日の記者会見で、第二次世界大戦の結果、南クリル諸島はロシアのものになった、この事実を安倍総理がまず認めるべきだという趣旨の発言をしておられると思いますが、事実関係としていかがですか。

○宇山政府参考人 委員御指摘のラブロフ・ロシア外務大臣の発言につきましては、ロシア外務省のウエブサイトにその発言のスクリプトが掲載されていることを確認しております。

○岡田委員 日本政府の主張というのは、従来、例えば、ヤルタ協定については、当時の首脳間で戦後の処理方針を述べたものにすぎない、そもそも我が国は協定に参加しておらず、拘束されることはない、サンフランシスコ平和条約については、日本固有の領土である北方四島は放棄した千島列島には含まれていないというのが、従来の外務省の考え方といいますか、外向けにアナウンスされた考え方だったと思いますが、現時点においてもこういう考え方自身は変わっていない、それを声高に言うかどうかは別にして、方針を変えたということはないということを事務的にちょっと確認したいと思います。

○宇山政府参考人 委員お尋ねの件につきまして、政府の法的立場に変わりはございません。

○岡田委員 ラブロフ外相はほかにも、例えば、これは大臣にちょっとお聞きしたいと思いますが、二月十六日の日ロ外相会談で、時期についていかなる制限も設けないというふうに発言したと伝えられていますが、これは事実ですね。交渉の時期。

○河野国務大臣 済みません、どの場での発言かがよくわかりません。

○岡田委員 二月十六日の日ロ外相会談。

○河野国務大臣 交渉の中でのお互いの発言を対外的に申し上げるのは差し控えているところでございますので、お許しいただきたいと思います。

○岡田委員 事前に通告していなかったので、私は会見でそう述べられたというふうに理解しているんですが、これ以上ちょっと申し上げるつもりはないですが。
 あと、一月二十二日の日ロ首脳会談でも、プーチン大統領は、解決には時間と両国民の支持が必要だという趣旨の発言をされていて、その後、ロシア側が行ったアンケート調査では、北方領土について、日本に返すということについては非常に否定的な結果がかなり出てきているということをもっても、ロシア側が近々、北方四島について、日本側の納得できるような返還を行うということは非常に難しいのではないかというふうに客観的には思われるんですが、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 今おっしゃったことは、客観的ではなくて、岡田委員の主観的な御意見ではないかと思います。

○岡田委員 私だけじゃなくて、多くの人はそういうふうに考えていると思いますが。
 もちろん、一対一で首脳会談、二十数回やっているわけですから、何らかの進展があると思いたいというふうに考えていますが、ただ、余りにもロシア側の発信が、私が外務大臣をしていたときとほとんど変わらない、そういう発信で、総理はいろいろと前向きなことを言われるんだけれども、それは本当に日ロ間の共通認識になっているんだろうか、そういうふうに考えざるを得ないわけですね。
 総理は、この北方領土問題を戦後日本外交の総決算と位置づけて、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意思を大統領と完全に共有したと。これは二〇一八年十一月十五日の日ロ首脳会談の後の会見で述べられていますが、プーチン大統領から、そういう強い意思を共有したという、そういう旨の答弁はどこにもないわけです。むしろ、先ほど言いましたような、非常に慎重な物言いに終始しているわけですね。
 このギャップは一体何なんだろうか。それはロシア側の交渉の手練手管だというふうに言われるかもしれませんが、だけれども、それにしても、余りにも、安倍総理の言われていることとロシア側の反応の間にギャップがあり過ぎるというふうに私は思うんですが、もう少し国民にそこのところについて説明すべきじゃないですか。

○河野国務大臣 この平和条約の交渉は交渉の場で行っているわけでございまして、さまざまな人がマスコミに対して話をしていることにコメントをするというのは生産的ではないと思いますし、交渉に資するわけでもございませんので、さまざまな方がさまざまコメントすることに何か申し上げるのは差し控えたいと思います。

○岡田委員 そうはいっても、これだけの違いがあるということは、総理の発言を聞いていると、何か進展があるような期待感を持ってしまうんですけれども、現実は本当にそうなのか。
 大臣、お願いしておきたいのは、今度、日ロ外相会談、2プラス2をやられると思います。そのとき、終わった後の記者会見で、ラブロフ外相と二人で並んで記者の質問に少し答えてもらいたいんですね。そのとき全く違ったことを言えば当然おかしいということになりますから、やはり適切な記者会見で、相手側の発信もあろうかというふうに思います。そういうことがなくて、結局、お互いが勝手にこうだったということを言っているというのは、幾ら交渉だといっても、私は余り健全じゃないというふうに思いますが、いかがですか。

○河野国務大臣 交渉は交渉の場の中で行っているものでございまして、外に向かって何か言って交渉が進むわけではありませんので、対応としてはおのずと限られてくるというふうに考えております。

○岡田委員 そうはいっても、国民はやはり外相なり総理の発言があれば期待をいたしますし、特に申し上げたいのは、今度G20があって、その前後にも日ロ首脳会談があると思うんですね。そこで、記者会見で総理が、これだけの成果があったというようなことを言う、しかし、それが本当なのかどうかは実はわからない、その直後に参議院選挙がある。こういうことですから、やはり私は、後で参議院選挙のために政治利用したというふうに言われないように、もう少し、日ロ間の意見の余りにも違いというものを、お互いがしっかりと共通の記者会見をすることで埋めておく必要があるんじゃないか、そういうふうに考えているわけです。
 それからもう一つ、外務大臣にお願いしておきたいと思いますが、私は、この交渉はうまくいっていないし、よくて二島というふうに前に申し上げたことがあるんですが、その二島も非常に厳しいというふうに思います。私は、二島、つまり歯舞、色丹のところで国境線を引くということは、面積でいうとわずか七%ですから、それならやらない方がいい、決めない方がいいという意見ですけれども、外務大臣もかつては、二島と四島の間をとることを考えなきゃいけないとか、そういうこともおっしゃっていたわけです。
 総理が、プーチン大統領との一対一の交渉の中で、何らかの非常に日本の国益を損なうような合意に達しようとしたときに、それがとめられるのは外務大臣しかいないと思います、事務方じゃ無理なんですから。そういう重要な使命を外務大臣は負っておられるということを自覚していただいて、日本の国益に沿った、その国益の判断、考え方はいろいろあると思いますが、多くの国民が納得できるような国益に沿った結論がなされるのならそれは非常に結構なことですけれども、そうじゃないというときには、やはり、もし総理がのめり込んでということになれば、それをとめられるのは外務大臣だ、そういう御認識は持っていただいていますよね。

○河野国務大臣 安倍内閣として、国益に反するようなことをするつもりは毛頭ございません。

○岡田委員 次に、気候変動の問題について触れたいと思います。
 先ほども、事務方の答弁で、G20大阪サミットにおいても気候変動、地球温暖化の問題がテーマの一つとして述べられました。私は非常に重要なテーマとすべきだというふうに考えているんですが、大臣のお考えはいかがですか。

○河野国務大臣 気候変動というのは、国際社会全体で取り組まなければいけない地球規模課題でございます。これは多くの国がそういう認識を共有していると思いますし、国だけでなく、自治体、企業、市民社会、さまざまなアクターがそういう気持ちを共有していると思いますので、当然にG20でも重要なテーマとして扱うべきだろうというふうに考えております。

○岡田委員 四月二日に、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会、総理有識者懇談会と呼ばせていただきますが、その提言が安倍総理に提出をされました。一方で、河野大臣に提出された外務省の有識者会合の提言もございます。
 安倍総理は、この総理の有識者懇談会の提言を踏まえて政府としての長期戦略を決定するという決意を述べられましたが、私は、総理有識者懇談会の提言だけではなくて、河野大臣に提出された外務省の提言も含めて長期戦略に反映させるべきだというふうに考えていますが、いかがですか。

○河野国務大臣 ちょっと質問の御意図がよくわからなかったんですけれども、昨年、外務省として、気候変動に関する外交というのが今非常に外交の中で重要な位置を占めることになっておりますので、外務省として有識者にお集まりをいただきまして、私あるいは担当部署が参加をして、さまざまディスカッションをやらせていただきました。
 また、その有識者の皆様から提言をまとめていただいたものを外務省が頂戴をして、それを外務省の政策あるいは我が国の気候変動外交の中に生かしていきたいというふうに考えているところでございます。
 今度の長期戦略に関する有識者、四月の二日でしたか、提言をいただきました。それをもとに今度は政府としての案をつくるわけでございまして、当然、外務省もそこに加わることになります。
 外務省がそこに加わって外務省としての議論をする場合には、外務省の有識者からいただいた提言あるいはその際のディスカッションを当然参考にして、外務省としてさまざま議論をしていきたいと思っておりますので、直接的にではございませんけれども、この外務省の有識者の御意見というのは、これから政府案をつくる中で、当然、外務省を通じて、取り入れるべきものはしっかり取り入れていきたいというふうに考えているところでございます。

○岡田委員 私は、総理の有識者懇談会の報告書を読ませていただいて、どうもしっくりこないんですね。外務省の提言の方がいいというふうに考えています。
 特に、総理の有識者懇談会の最大の欠点は、気候変動問題の長期的解決としての非連続的イノベーションが必要だということを強調しておられるんですね。それはそれで重要なことだとは思います、例えばCO2の固定技術とか水素化社会とか。しかし、非連続的イノベーションというのは、十年、二十年の話ではなくて、もう少し先の話というふうにも理解できますね。
 大事なことは、十年、二十年、例えば二〇三〇年とか、場合によっては五〇年に向けて、具体的にどういう政策を日本政府としてとっていくかということだと思うんですね。そういうところの記述が、後で具体的に申し上げますが、かなり欠けているというふうに思います。そういう意味では、外務省の有識者の提言と今回の総理の提言というのは、ちょっと時間軸が違うというふうに思います。
 そして、二〇五〇年八〇%とか、あるいはもっとそれを深掘りすべきだとか、いろいろな議論がありますが、そういうことのためには、やはり今何をすべきかということをもっとしっかりと書き込まないと、例えばG20で長期的イノベーションが大事だといっても、それだけでは私は国際的にもリーダーシップをとることにならないというふうに思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 先ほどの質問の委員の御意図がよくわかりまして、ありがとうございます。委員からお褒めをいただいたことは、外務省の有識者のメンバーにしっかりと伝えたいというふうに思います。
 今回の政府のつくろうとしているものは、長期戦略という言葉のとおり、長期的にどうするかということが目標でございますので、当然に、二〇五〇年どうしようかということ、その先をどう見据えていくかということを中心にいわば提言をまとめようというものでございますので、短期的に当面どうするかというのは、これは今回の長期戦略とは少し別物なんだろうというふうに私は思っております。
 そう申し上げた上で、この間の有識者の提言を拝見をしますと、例えば、二度ではなくて一・五度を目指して世界に貢献をする、あるいは二〇五〇年に八〇%の削減といったことが明確にうたわれておりますので、二〇五〇年にそういうものを達成しようとすれば、非連続的なイノベーションも必要でございますが、今やらなければいけないことというのが当然に出てくるわけでございますので、その大きな目標に向かってまずどう歩みを進めるかということと、よく言われているのは、日本は見えるところだけを積み上げて目標を出すとかつて批判をされたことがございますが、今回は、見えているものを積み上げるだけで目標にするのではなくて、達成をしなければいけないゴールをきちんと出して、それを合意をした上で、今積み上げているものを伸ばしていってもそこには行けないわけですから、そこに非連続的なイノベーションを巻き起こして最後のゴールに行こうという、この方針が有識者会議からの提言の中にはっきり書き込まれているわけでございます。
 当然に、これから出てくる政府の長期戦略もそういう考えに立つということになろうかと思っておりますので、それはそれで非常に重要なことなんだろうというふうに思っております。

○岡田委員 非連続的イノベーションが必要だというのはそのとおりですけれども、しかし、それは非常に不確定で、先ほどのCO2の固定技術にしても、あるいは水素社会、その水素も、化石燃料でつくった水素であっては意味がないわけですから、そうじゃない形での水素をつくって、そして水素社会をつくっていく。そういう不確定要素のあるものに多くを頼って、今やるべきことをやらないということはあってはならない、そういうふうに私は思うわけですね。
 そういう意味で、両方の提言を比較しますと、例えば、カーボンプライシングということについて、外務省の有識者提言では、「日本は、まだ有効な施策として活用できていない。」「日本においても早期に実効性のある水準で実現することが不可欠」というふうに指摘をされております。
 実は、カーボンプライシング、民主党政権時代に地球温暖化税を導入しまして、レベルとしては、いろいろな議論の中で、私は十分なものじゃないと思いますが、仕組みとしてはもう入っていて、今、段階を経て、既に完全実施されている。
 そういうものを更に改良して税をふやしていくとか、そういうことも当然考えられるというふうに思うんですけれども、総理の有識者懇談会の提言は、そういったことについては全く触れず、それだけではなくて、「国際的な動向や日本の事情、産業の国際競争力への影響などを踏まえた専門的・技術的な議論が必要である。」これが結論なんですね、カーボンプライシングについて。
 これは何も言っていないに等しい。議論しなきゃいけませんと言っているだけで、これは私は非常に説得力がないんじゃないかというふうに思うわけです。外務省の提言の方がずっといいと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 カーボンプライシングという政策について、私が政府として申し上げる立場にはございませんが、当然に、気候変動対策に関して言えば、国際的に同じ方向を向いていくという必要はあるんだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、さまざまな国境を越える政策について、国際的な議論の中で、その潮流の流れに乗って日本も政策判断をしていくということが必要であるということは、そのとおりだというふうに考えております。

○岡田委員 この地球温暖化税も、既に導入されて、段階を経て、一応の想定のところまでは行っているわけですから、これから更にそれを上げていくかどうかという議論は、私は政府の中でもちゃんとやるべきだというふうに思うんですね。
 そして、その税収をどう使うか。ヨーロッパなんかでは、そういったものをむしろ社会保障にも使っている。そういうことも私は考えていいというふうに思うんですが、政府の中で、この地球温暖化税の活用について問題提起するおつもりはありませんか。

○河野国務大臣 税について私が政府を代表しているわけではないというのは、委員もよくおわかりだと思います。
 外務省としては、この気候変動というのは、国際的に大きな課題、地球規模課題でございますから、当然に外務省として言うべきことは言わなければならないというふうに思っておりまして、だからこそ、外務省も有識者会議を開き、議論に加わり、提言を頂戴をし、それに基づいてさまざま政策判断をしていこうというふうに考えているところでございますので、この気候変動の問題について、政府の議論に外務省は積極的に関与してきたつもりでございますし、これからも議論に積極的にかかわっていく、そういう意思でございます。

○岡田委員 石炭火力について、その外務省の有識者会合での提言では、「パリ協定の二度C目標と整合しない。日本は石炭火力発電所の廃止を覚悟し、その基本姿勢を世界に公表していく。」というふうに述べられています。
 総理の有識者懇談会では、「石炭火力発電等への依存度を可能な限り引き下げる」という抽象的な表現にとどまっています。
 今でも、石炭火力についての、特に小規模な計画がたくさんある。きょうもどこかの新聞が、メガバンクがそれに対する融資をこれから減らしていくということを決めたというような報道もありましたが、私、下手をすると、石炭火力発電所をこれからつくるというふうに考えておられる企業も多いようですけれども、これは巨大な座礁資産になってしまう、大きな負担になってしまうというふうに思うんですね。
 ですから、政府としても、やはり石炭火力について、少なくとも、そういうリスクがあるんだということはきちっとアナウンスすべきじゃないか、経営者の中にわかっていない人がいるわけですから。結局、つくってしまったら、でも、それを使わないといけないということにもなりかねないので、きちんと現状をアナウンスするだけのことはすべきだと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 国内における石炭火力については、これは所管する省庁がございますから、外務省が申し上げるべきことではないと思いますが、少なくとも、長期戦略における有識者が二〇五〇年に八〇%の削減ということを打ち出している。それを考えますと、当然、政府案の議論をする中で、石炭火力発電所というのを一度つくればそれは数十年にわたり運転されるわけでございます、その一方でこのCO2の削減目標があるわけでございますから、おのずと、どういう政策をとらなければいけないかというのは、これは議論の中で決まってくることだろうというふうに考えております。

○岡田委員 私は、この総理の懇談会の委員の皆さんの認識がちょっと違っているんじゃないかなというふうに思えてならないんですね。
 今、国際的な、再生可能エネルギー、例えば太陽光とかあるいは風力のコストのトレンドを見ると、相当急激に下がっていて、日本は必ずしもそうじゃないのが残念なんですけれども、相当下がっていて、化石燃料や原子力に対して、むしろコスト的には有利な状況が生まれてきている。そういう認識に立って議論するのか、やはり再生可能エネルギーはいろいろな問題があって、もちろん問題は抱えているんですが、コスト的にも高いという前提で、ちょっと古い、五年、十年前の感覚で議論するのかで、随分議論の中身が違ってくると思うんですね。
 少なくとも、私は、日本国政府として、そういった再生可能エネルギーのコストの現状についての認識は、きちんと共通認識を持つべきだというふうに考えるんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 再生可能エネルギーのコストが急速に下落し、国、地域によっては、原子力はもとより、化石燃料よりも安いコストになっているという現実がございますし、それはさまざまなところで発表され、広報されているところだというふうに考えております。
 他方、我が国を見ると、残念ながら、再生エネルギーのコストがまだ高どまりをしているという現実はあるんだろうというふうに思います。
 そういう中で、この二〇五〇年に八〇%の削減というのを考える中で、再生可能エネルギーが果たす役割は非常に大きいと思いますし、今回の有識者の提言の中でも主力電源化ということがうたわれているわけでございますので、当然に、政府としても、議論の中で、再生エネルギーの主力電源化を目指し、どういう政策が必要なのかということは議論されることになろうかと思っております。
 外務省としては、再生可能エネルギーのコストの国際的なトレンドはしっかりと把握をしてきているつもりでございます。

○岡田委員 主力電源化という言葉はいいんですが、本当に現状が正しく理解されているのかというのは私は甚だ疑問で、ぜひそこは、政府の中での議論でも、総理も含めて、しっかりと共通の認識を持っていただけるようにしてもらいたいなというふうに考えております。
 G20大阪サミットで温暖化問題についてリーダーシップを発揮するということを当然日本政府としては考えておられると思いますが、そのためには、カーボンプライシングについての考え方とか、石炭火力、日本は今でも一生懸命つくろうとしているけれどもどうなっているんだという国際社会の批判とか、そして、再生可能エネルギーについて、主要電源化ですか、という言葉はいいんだけれども、いまだに、先ほどの石炭火力とかあるいは原子力とか、そういうものにウエートを置いたような発言もいろいろ出てくるということでは、決して私はリーダーシップはとれないと思うんですね、大阪サミットでも。
 ですから、そういうことをきちんと整理をされて、内閣の中で共通認識を持った上で、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 外務省としても、さまざまな場を通じて、国際的な流れを把握し、国際的な状況はこうなっているんだということを、国内でもその国際的なトレンドについて申し上げてきているところでございますし、そうしたものを受けて、政府内の議論にかかわってきております。
 日本がG20の中でこの分野でもしっかりとリーダーシップをとれるように、しっかりとした日本らしい政策を打ち出すことができるように、外務省としても、しっかり政府内の議論に関与していきたいというふうに思います。

○岡田委員 もう一つ、私、日本政府というか、経済界も含めて誤解があると思うのは、日本の省エネ、エネルギー効率というのは、少なくとも産業界においては極めて高いという認識があると思うんですね。
 確かに、第一次オイルショックのときは、官民挙げて省エネに取り組んで、かなり国際的にも高い効率が達成されたし、それがむしろ経済成長につながった。だけれども、その後の状況を見ていると、必ずしも日本の産業界が、製造業なども含めて、国際的な比較においてエネルギー効率が高いという状況にあるかというと、私はそれは間違いだというふうに思っています。
 そこのところもよくわかっていらっしゃらない方が多くて、日本はその先頭を行っているんだというような議論がよくなされるんですが、大臣も私と同じ認識ですよね。

○河野国務大臣 今委員がおっしゃったような議論は、外務省の有識者会議の中で有識者からも出されたわけでございます。
 この議論をするときに、やはり古いデータではなく、直近の、最近の、今現実、現状がどうなっているのかということをしっかりと把握した上で議論をするというのが大事で、さまざまな立ち位置において都合のいいデータだけ持ってくるということは、この問題の議論として避けなければならないことだというふうに認識をしておりますので、外務省として、正しい現実を見据え、データに基づいてしっかりと議論をできるように努力をしてまいりたいと思います。

○岡田委員 終わります。




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