代表質問-目新しさなし、所信表明のフレーズを繰り返す
菅総理の所信表明演説に対する衆参両院の代表質問が終わりました。質疑者は各党の代表者、当然のことながら所信表明を踏まえて深堀りした質問を行います。それに総理としてどう答弁するかが代表質問の意義です。残念ながら菅総理の答弁は、質問に正面から答えるものではなく、所信表明にあったフレーズの繰り返しでした。官僚の作成した答弁を淡々と読んでいるだけで、答弁を通して質問者や国民に対して説明しようという意欲は感じられませんでした。以下、私の感じたところをまとめてみます。
1.日本学術会議
「必ず推薦のとおり任命しなければならないわけではないというのが政府としての一貫した考え」「個々の任命の理由については人事に関することでお答えできない」「多様性が大事ということを念頭に私が任命者として判断した」「民間出身者、若手が少なく出身や大学にも偏りがみられる」
◎6人の任命拒否の理由や日本学術会議の独立性の確保についての言及がない。
◎多様性が大事というならその観点で推薦を行う日本学術会議と協議すべきだった。また今回の6人のどこが多様性に反するというのか。
2.2050年カーボンニュートラル
「2050年カーボンニュートラルは簡単なことではなく、再エネのみならず原子力を含めてあらゆる選択肢を追及していく」
◎2050年に原子力も選択肢というなら今後の原発新増設を認めたに等しい。
3.新型コロナ対策
「特措法改正について、様々な法的論点について全体の法体系との整合性を図るとともに幅広い意見を聞きながら検討を進めていく」
◎特措法の改正は急がないとの明確な意見表示。
4.森友・加計・桜
「森友は財務省で徹底的に調査、検察の捜査も行われ結論が出ている」「加計学園は国家戦略特区のプロセスで、一貫してオープンなプロセスで進められていると安倍前総理が答弁している」「桜を見る会については招待者数増加に対する批判を踏まえて開催しないこととした」
◎森友は財務省の内部調査では不十分との問いに全く答えず、加計は安倍総理答弁を引用するだけで菅総理としてどうするか全く答えていない。桜にいたっては、今後開催しないので今までの事実解明は必要ないとの非論理的な答弁。
5.北朝鮮・拉致
「引き続き米国などとも緊密に連携しながら全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく全力を尽くす」「条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う」「政府としては北朝鮮に対して働きかけを行ってきています。その詳細については今後のやり取りに影響を及ぼす恐れがあるため差し控えます」
◎積極的に取り組む姿勢は示すものの具体的言及なし。
6.敵基地攻撃能力
「新しい方針について検討しているところであり、現時点でお応えすることは困難」
◎事実上の答弁拒否に等しい。「談話」を発表したこととその指示、必要性は説明できるはず。
7.北方領土
「(9月のプーチン大統領との電話会談では)シンガポール首脳会談で1956年宣言を基礎として平和条約交渉を継続させることを改めて確認」
◎なぜ所信表明では述べなかったのか疑問。
8.核禁条約
「抑止力の維持強化を含めて現実の脅威に適切に対応しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追及する」「オブザーバー参加については慎重に見極める」
◎相変わらずの後ろ向き姿勢は変わらず。
9.財政健全化
「経済あっての財政との考え方の下、当面は経済再生の取り組みを進めるとともに、今後も歳出歳入両面の改革の取り組みを続ける」
◎財政健全化の実行はコロナ後であっても、議論することはできるはずだが。
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