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12/14 予算委員会 質疑 (核軍縮政策、気候変動・脱炭素化対策、政治に取り組む基本姿勢)

【日 時】2021年12月14日  10:00~10:40 (40分間)
【委員会】衆議院予算委員会
 動画はこちら ⇒ YouTube 【岡田かつや国会論戦】https://youtu.be/SwxNEsJ5mT0 

【質問要旨】
Ⅰ. 核軍縮政策
 1.核兵器の役割の減少   
・消極的安全保障
   ・ 先制不使用と抑止力
   ・ 東北アジア非核地帯条約

 2.核兵器禁止条約
   ・ 条約加盟と核の抑止力
   ・ 締結国会議オブザーバー参加

Ⅱ. 気候変動・脱炭素化対策
   ・ 国民の合意形成の必要性
   ・ 石炭火力とアンモニア混焼
   ・ 炭素税

Ⅲ. 政治に取り組む基本姿勢
   ・ 桜を見る会における公私混同

(答弁要求大臣:総理大臣、官房長官、外務大臣)

議事録

○岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
今日は、中心は核軍縮政策ということで議論したいと思います。
 総理は、熱心に、核兵器のない世界ということを目指して政治家として取り組んでこられたと思います。著書も私は読ませていただきました。私も外務大臣のときにかなり力を入れてきたつもりであります。次世代のために核のない世界を目指して一歩一歩進んでいくということは極めて重要な政治家としての課題だと思います。
 ただ一方で、日本を取り巻く環境は極めて厳しい。北朝鮮の核能力は近年極めて高くなっておりますし、中国も核の増強を図っている。核大国ロシアもある。そういう中で、日本自身の安全をどう確保していくかという問題と、核なき世界を実現していく、この両立が非常に難しい。総理も恐らく政治家としてそこに多くの悩みを感じておられるというふうに思います。私も同じ思いであります。
 ただ、具体的な政策になると、総理のお考えと私の考えはかなり違いますので、基本的方向は同じであるという前提の下で、私もアメリカの核による拡大抑止は重要だという前提に立って議論しておりますので、しかし、具体的中身についてはかなり違うので、それを議論させていただきたいと思います。
 まず確認ですが、核兵器を持たない国に対して核を使ってはいけない、消極的安全保障と言われますが、これは日本政府の従来からの主張だったと思います。NPTに加盟するときにもそのことを強く主張したと思いますし、その後も一貫した主張だと思いますが、最近だと、オバマ大統領の時代に、核兵器を持たない国に核を使わないということをほとんど無条件で明言されました。そういう政策については、総理は当然賛同されていますね。

○岸田内閣総理大臣 まず冒頭、岡田委員におかれましても、核兵器のない世界を目指す、核軍縮・不拡散につきまして、外務大臣時代も、核密約の問題を始め様々な取組を続けられた、この分野において努力をされておられたこと、このことについては敬意を表し申し上げたいと思います。
 そして、御質問の消極的安全保障についてですが、核兵器国が非核兵器国に核を使用しないというこの考え方、これは引き続き我が国として基本的に支持できるものであると考えております。

○岡田委員 核軍縮を考える際に、核の数を減らすという話と核の役割を限定していくという、この二つの考え方があると思います。核の役割を限定していくという中で、核を持たない国に核を使わない、これはその一つの重要な柱だと思います。いま一つ重要な柱が核の先制使用をしないという考え方で、実は、バイデン大統領は、副大統領のときからこのことを強く主張しておられましたし、そして大統領候補のときにも発言をしておられる。
 報道によりますと、アメリカ政府から、核の先制不使用についてアメリカがそれを宣言することについて日本政府に打診があった、同盟国ですから。それに対して、日本はそれを断った、そういう宣言をされては困るというふうに言ったという報道があります。
 国会でも何回もこの問題は取り上げられてきて、政府ははっきりと言われないんですが、しかし、そういうことがなかったなら、はっきり否定できるはずじゃないですか。だから、否定されないということは、やはりその類いの申出がアメリカ政府からあって、そして日本政府がそれに対してそれは受けられないと言った、そういう事実はあるんじゃないですか。総理、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 歴代アメリカ政権は、それぞれの政権における「核態勢の見直し」の策定を行ってきました。NPRというもの、各歴代政権がそれぞれ作成をしてきた。今、バイデン政権においても、バイデン政権におけるNPRを検討している、この策定が進められるということで我が国としても注目をしている、こうしたことであります。
 そして、御指摘の米国とのやり取りでありますが、当然のことながら、同盟国として、日頃から、安全保障、防衛体制について緊密かつ幅広く日米の間においては意見交換が行われているわけですが、ただ、御指摘の点については、これは日米同盟また我が国の安全保障に関わる性格のものです。なければないと言えばいいのではないかという御指摘ではありましたが、こういったやり取りがあったかなかったか、それに対してどんなやり取りが行われたか、こうしたこと自体、これは申し上げることが安全保障に大きな影響を与えるものでありますので、これは控えるべきものであるということを申し上げております。

○岡田委員 こういう申出がなかったということなら、ありませんでしたと言えば済む話ですから、そういうふうにおっしゃらないのは、やはりあったんだというふうに私は考えるわけであります。
 政府は、一般論として、これは官房長官の答弁ですが、当事国の意図に関して、何らかの検証方法がない形による核の先行不使用の考え方に依存し、日本の安全保障に十全を期することは困難と考えます、こういうふうに、これは一般論ですが、言われています。この答えは、答えであるようで答えでないんですね。
 まず、今回、アメリカは単独で宣言すると言っているので、ほかの非核国と一緒になって非核宣言をすると言っているんじゃないんですね。だから、当事国というと、これはアメリカのことですか、アメリカの意図が検証ができないから駄目だと、同盟国として、日本としてそういうことを言っているんでしょうか、総理。

○岸田内閣総理大臣 まず、整理しておかなければいけないのは、先ほど申し上げたように、日米の間において具体的にどういったやり取りがあったかということについては、安全保障の観点から、申し上げるのは控えております。
 そして、御指摘の官房長官の発言につきましては、これは、核の先制不使用宣言というもの、これを一般論で、一般論として申し上げているわけであります。一般論として、核の先制不使用というもの、これは、全ての核兵器国が検証可能な仕組み等がなければ有意義ではない、意味がないという一般論を申し上げたということであります。
 ですから、一般論を申し上げているということですので、日米のやり取りとは、これは直接関連するものでは、直接結びつけているものではないと考えています。

○岡田委員 今の御説明でも、ですから、当事国は約束するものではないので有効ではないと。今回、アメリカが自分だけ宣言するということですから、より当てにならないね、こういうことですか。

○岸田内閣総理大臣 ですから、アメリカは今、バイデン政権の下でNPRを検討をしておられます。その一方で、一般論として、核の先制不使用ということについては、全ての核兵器国が検証できる制度がなければ有意義でないという制度であるということについて申し上げたものであると理解しております。

○岡田委員 そもそも、この宣言政策、先ほどの、非核国に核を使わないというのも一種の宣言政策です。これはやはり当事国の意思に最終的には委ねられていますから、検証なんてできないと思うんです。だから、検証できなきゃ駄目だというのは、要するに駄目だと言っているに、それと何の違いもない。
 じゃ、検証ってどうやってやるんですか、先制不使用についての宣言について。当事国の検証って、具体的に言ってください、どうやって検証するんですか。数なら検証できますよ。だけれども、こういった宣言政策は、検証なんか基本的にはできないんじゃないですか。

○林国務大臣 今総理からお話がありましたように、その検証、まさに核兵器国間における信頼関係が不十分であるということを踏まえると、一般論としてでございますが、例えば、全ての核兵器国が核の先行不使用宣言を行ったとしても、それぞれの意図に関する検証の方途があり、それを客観的に担保することができなければ、そのような宣言は効果的には維持され得ないということになるわけでございます。
 また、仮にそのような検証の方途が確保された場合、核兵器国間のバランスが崩されないようにしなければ、核兵器国が実効性のある形で宣言に踏み切るということは考えにくく、そのためにも同時に意図表明が行われる必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。

○岡田委員 私の問いには答えていただいていないんですが。こういう宣言政策における検証って、あり得ないと私は思うんですね。当事国の、あるいはアメリカであれば核のボタンを持っているアメリカ大統領の意思に懸かっているわけで、それをどうやって事前に検証するんですか。だから、答えになっていないんですよ、政府の言っていることが。
 じゃ、もう一つ聞きますけれども、アメリカは先制不使用についての宣言をしたいと、これは日本に対してということは私申し上げませんが、少なくともバイデン大統領はかねてからそういう考え方を持っています。
 岸田総理は、そういう宣言政策について否定的な考え方を先ほど示されました、検証のしようがないとか言われましたが、じゃ、どういう場合に、相手の核保有国が核を使用していないのに、アメリカに対して、核を使用してください、核を先行使用してくださいと、どういう場合があり得るんですか、それは。相手国が核を使っていない段階で、要するに先行使用というのはそういうことですから。アメリカに、どういう場合だったら、是非日本のために核を使ってくださいと、相手国に対して、おっしゃるつもりなんですか。明確に答えてください。

○林国務大臣 これも先ほど来総理がおっしゃっておられますように、日米両国間での間については、アメリカとの関係もあり、お答えを差し控えたいということでございます。
 あくまで一般論でございますけれども、核抑止力において、一定のやはり計算された曖昧性、こういうことを残すということで相手の計算を複雑にして、もって抑止の効果及び信頼性を高めるということにつながる、こういうふうに考えておるところでございますので、まさにこの一般論は、今先生がおっしゃっておられます米国による拡大抑止というものにも当てはまることである、こういうふうに考えております。

○岡田委員 総理、核なき世界を目指しておられる、真剣に目指しておられる総理にお聞きしたいんですが、繰り返しになります。
 相手国が核をまだ使っていない、そのときに、日本のために、アメリカに対して、核を使ってくれと、その国に、これはどういうケースなんですか。私、そういうことの余地を残すために先制不使用は駄目だというのは、ちょっと日本として考えられないことだというふうに思うんですね。どうして先制不使用宣言は駄目なんですか。

○岸田内閣総理大臣 まず確認しておきたいことは、今回、バイデン政権におけるNPRに関して、日米の間で、具体的なやり取りについての内容について申し上げることは控えております。その上で、今、一般論として申し上げているわけであります。
 ですから、どういった場合に先制不使用のケースがあり得るのかということについては、一般論でありますので、これはこうした原則を一般論として当てはめることができるかどうか、こうした議論であります。その際に検証の仕組みが必要だという一般論を申し上げているということですので、これを具体的にどうこうというのは、逆にこの制度をどう具体的なものに当てはめるかという議論をするべきであるというふうに思いますので、様々なケースが考えられるということになるんだと思います。

○岡田委員 核をまだ使っていない国に対して日本のために核を使ってくださいとアメリカに言う、そういうケースがあり得るのかということを私は聞いているわけです。私は、それはあり得ないことだというふうに思うんですね。ですから、先制不使用宣言をアメリカがしたからといって、それが日本に対する核の抑止力を弱めることにはならない。
 そして、バイデン政権が先制不使用宣言を、かなり固執をしておられるというか、持論でしょうが、バイデン大統領の、それはやはり、民主主義国家であるアメリカが核を先に使うことはないということを明言すれば、それだけ相手国も核の使用を慎重になるだろうと。逆に、アメリカが先に攻撃してくる可能性があると思ったら、それより先にということで核を使う、そういうインセンティブになりかねない。それを抑えるためにも、やはり、この核の不使用宣言というのは、アメリカが単独で宣言するということであっても意味があるというのが、私はアメリカの考え方だというふうに思います。
 そして、この先制不使用宣言を言うことで、今、世界の中で核を、例えば中国が核能力を非常に高めている、北朝鮮もある、そういう中で、核軍縮・不拡散の大きな流れをつくり出そうというのが、私はバイデン大統領の狙いだと思うんですよ。それに対して日本が、いやいや、よく分からない理由でもって、それは駄目ですよと言っているのが私は理解できないんですが、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 まず、核兵器のない世界を目指す、核軍縮・不拡散について、先ほど委員の方から、核兵器の数を減らす、役割を減らす。そしてもう一つ、意義、すなわち厳しい国際環境のリスクを低減していくという部分。この三つを、三つの提言と称して、核兵器のない世界を目指す上で有力なアプローチの仕方だということを申し上げてきておりますので、そのうちの、役割を減らすという、役割という部分について、核の先制不使用の議論、これは大変重要な議論だとは思います。しかし、一般論として、この先制不使用の部分については、核兵器国の信頼関係、これがベースにならなければいけない、少なくとも、検証できる透明性なくしてこうした宣言というのは実際に機能しないという、この一般論を申し上げているということです。
 あくまでも、今、現実のバイデン政権との関係においてこれを主張するしない、こういったことについて申し上げているのではないということは御理解いただきたいと思います。

○岡田委員 議論が全くかみ合わないんですが、今回は、核保有国が合意して先制不使用宣言をするということじゃなくて、アメリカが一方的にするということですから、総理のおっしゃるケースとは違うんですよ。
 いずれにしても、十分な答えはいただけないと思いますが、まだまだ、これ、先制不使用が駄目なら、じゃ、唯一目的、ソールパーパスという話も出てくると思うんですね。少しそれを、先制不使用を広げた考え方。そういうことについて、私は、日本政府としてもっとしっかりと再検討すべきだと、アメリカのその要請を受け入れるということについてですね。せっかくバイデン大統領が核軍縮ということにかじを切っている、そういうときに日本が否定的な態度で終始するというのは、私には理解できないことでございます。
 核兵器禁止条約について、国民の、例えばNHKの十一月調査では、五六%が核兵器禁止条約に賛成すべきだというふうに答えているという調査結果があります。
 私は、若干ミスリーディングじゃないかなというふうに思っているのは、日本がアメリカの核の下にある、米国の核の下にあるということと核禁条約というのは両立できないんじゃないかというふうに思っているんですね。つまり、この核禁条約は、核の使用や威嚇だけじゃなくて、これについて援助を求め、援助を受けることも禁止しているということですから、自身が核を持つことだけじゃなくて、援助を受ける、つまり、核の抑止、対象になる、核の傘に入るということも含めて、これは禁止している条約じゃないかと私は理解していますが、政府はそういう考え方でよろしいですか。

○林国務大臣 今、岡田委員からお話がありましたように、この核兵器禁止条約、今おっしゃったような条文もあるわけでございます。

○岡田委員 条文があるんじゃなくて、解釈として、日本政府の解釈としてはそういうことでよろしいですかと聞いているんです。

○岸田内閣総理大臣 今、外務大臣からありましたように、核禁条約の中にはそういった条項があります。
 そして、今委員の御質問は、今の日本の拡大抑止、日米同盟のありようと両立しないのではないか、そういった御指摘ですが、冒頭も委員がおっしゃったように、現実の安全保障の状況と、そして理想をどう両立させるか、これが大変重要なポイントですが、それを両立させるためにこそ、私が申し上げているのは、今、現状から理想に向けてどのようにプロセスをつないでいくのか、これからのタイムスケジュール、これが大事だと。その中で両立することができると私は思って、核禁条約そのものについても、決して否定するのではなくして、核兵器のない世界に向けての出口に当たる重要な法律であると。ただ、日本の今の立ち位置からそこにたどり着くまでのプロセスが大事だということを申し上げている次第です。

○岡田委員 岸田総理に替わられてから、核禁条約についての政府の見解がかなり私は変わったというふうに思っています。少なくとも出口としては、これは非常に重要だというふうに言っておられるわけで、従来は、これは非核国と核保有国の対立を高めるものだというふうに一刀両断に言っていたのを、かなり言い方が変わられたことは私は評価をします。
 私が先ほど申し上げたのは、これは質問主意書か何かでもう一度確認しようと思いますが、今の条約の中で、拡大抑止の傘の下にあるということはできないんじゃないかというふうに私は思っているわけですね。それが果たしてどうなのか。もしできないとしたら、例えば、あなたは核禁条約に参加すべきだと思いますかという聞き方は正確ではなくて、そのときには核の傘から出なければいけませんよということを併せて言わないと、正確に聞いたことにならないわけですね。そういう問題意識でお聞きをさせていただきました。
 さて、この核禁条約のオブザーバー参加ということは度々国会でも議論されてきております。オブザーバー参加、どうして駄目なんですか。オブザーバー参加すれば、恐らく発言権は得ますよ。議決権はないですけれどもね。そこで日本の考え方を核禁条約参加国に対して説明する機会だってある。あるいは、被爆国として、核がどういう被害を及ぼすかということについても説明の機会もある。
 私は、オブザーバーとして参加することのメリットは非常にあるというふうに思うんですが、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、今、現状の我が国の安全保障体制と核兵器のない世界へ向けての理想、さらにはこの出口に当たる核禁条約、これをどう結びつけるのか、両立させるためにどういったタイムスケジュールでプロセスを考えていくのか、これが大事であると思っています。
 核禁条約、核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる重要な条約だと思いますが、核兵器国は一国も参加していないのが現状であります。
 私も、外務大臣を四年八か月務める中で、この問題において、現実を変えるためには、核兵器国を動かさないと、現実は一歩も動かないという厳しい現実に何回もぶちのめされた、こうした苦い思い出があります。やはり、現実を変えるためには核兵器国を動かさなければいけない。
 そして、先ほど言った、現状から理想に向けて物事を進める上において、まず第一にやらなければいけないのは、我が国として、唯一の同盟国であるアメリカとの信頼関係、アメリカとの核軍縮・不拡散における信頼関係、これをしっかりつくり上げることであると思っています。
 ですから、まずは、バイデン大統領、バイデン政権との間の信頼関係をつくることから始めなければいけない。アメリカとの信頼関係ができないうちに、いきなり理想の部分に足を踏み出す、オブザーバーということでもう参加するということになってしまうと、肝腎の信頼関係そのものを損ねてしまうことになってしまい、現実が動かないことになってしまうのではないか。そういった思いを申し上げ、まずはアメリカとの信頼関係から始めさせてもらいたいということを再三申し上げているという次第であります。

○岡田委員 総理が相当、外務大臣時代にこの核禁条約について悩まれたことは、この本を見ると行間ににじんでいますよね。しかし、最終的な結論としては、参加しないということを決められた。私も参加は無理だというふうには思っていますが、オブザーバー参加はそれほど問題なのか。
 私は、ドイツは新しい政権でオブザーバー参加という方向にあると聞いていますが、アメリカの主要な同盟国である日本とドイツが共にオブザーバーとして参加をして、まさしく橋渡し役を演じる、核保有国と非核国との。ということは、私は日本が求められる役割じゃないかというふうに思います。
 オブザーバーとして参加することについて、交渉をされていますか、アメリカと。説明していますか。それに対して否定的な答えしか返ってこないということですか。別に首脳間でそのことを決めるんじゃなくて、まず大臣でも、あるいは官僚ベースでも、議論したらいいじゃないですか。どうなんですか。

○林国務大臣 あくまで、先ほど来一般論で御議論させていただいてきておりますので、この件も含めてでございますが、日米間で具体的にどういうやり取りがあるかというのは控えさせていただきたいと思います。

○岡田委員 総理、この問題はそろそろやめますが、日米首脳会談が予定されていますね。日程的にはいつになるのか、来年の国会が始まる前ぐらいになるのかなというふうには思っていますが。ここで議論しなきゃいけないテーマはたくさんあると思います、重要なテーマは。だけれども、この核の問題は主要テーマにしてもらいたいんですね。日米間でしっかりとこれ、議論してもらいたいし、一定の成果を出してもらいたい。
 私が先ほど申し上げたように、核の傘は重要だということは大前提とした上で、例えば、オブザーバー参加は行うということを日米間で合意をする、アメリカの先制不使用宣言あるいはそれに準ずるものについて、日本はこれを歓迎する、ただし、そのことによって抑止力が減じられることがないように日米で協力するというようなことを一つのパッケージとして、日米首脳会談の成果として出されたらどうですか。
 今は相当、核軍縮については逆風ですよね。一月のNPT再検討会議でも、そこに力を入れると総理は国会答弁されていますが、現状でいったら、核保有国と非核国の断絶といいますか、これはなかなか簡単には埋まらないし、合意文書ができるかどうかも分からないという状況だと思うんです。それを乗り越えようとしたら、やはり日米が首脳会談ベースで、大きな核軍縮についての流れをつくり出す、そのことによってNPT検討会議でも一定の成果が出るという、そういったことをやってみる気持ちはございますか。

○岸田内閣総理大臣 日米首脳会談で取り上げる具体的な項目について、私から今の段階で申し上げるのは控えなければならないとは思いますが、バイデン大統領は、自らの大統領選挙の最中にも、ですから昨年の八月の段階で、自ら、核兵器のない世界を目指すということを明言された大統領であります。
 是非、首脳会談においては、バイデン大統領との間において、核兵器のない世界を目指すという観点から信頼関係をしっかりつくるということはしっかり目指さなければならないと思います。そこから様々な取組をスタートさせていきたいと思っています。
 そして、来年一月に予定されているNPT運用検討会議ですが、私も六年前の、前回のNPT運用検討会議、日本の外務大臣として十年ぶりに出席をし、自らその会議に参加をいたしましたが、結果として合意文書を作成することができなかった、大変残念な結果になったということを今でも強く覚えております。
 是非、次回のNPT運用検討会議に向けては、成功に向けて我が国としてしっかり貢献をしたいと考えております。

○岡田委員 そのためにも、是非、首脳会談という場をうまく使っていただきたいというふうに思います。
 最初の話に戻るんですが、核なき世界を目指すということと日本の安全を保つということが、なかなか、コンフリクトがあるというか、矛盾してしまう、そこに悩みがあるということを私は申し上げましたが、実は、北東アジアというのは、北朝鮮にしても中国にしてもロシアにしても、核保有国が密集していて、もし核が使われるとしたら北東アジアである可能性はかなり高いと思うんですね。そういう中で全体の核軍縮を進めていくということは、実は日本の安全にも直結する。だから、矛盾するようで実は一致しているんだというふうに私は考えているんですが、総理も同じような考え方をお持ちになりませんか。

○岸田内閣総理大臣 北東アジアの安全保障環境の厳しさ、リスクを低減していくことが大事だという点については、全く同感であります。
 先ほども少し触れましたが、核兵器のない世界を目指す際には、核の数を減らす、核の役割を減らす、そして核の意義を減らす、この意義の部分が、この環境の緊張感、リスクの緩和という部分であります。この三つを同時に減らすということが、核兵器のない世界に向けて物事を前進させる大きな切り口であると思います。
 そして、その三つのベースになるのが、やはり核兵器国と非核兵器国の信頼関係、すなわち透明性であると思っておりますので、こういった観点から、日本としてしっかり貢献できるように努力をしていきたいと考えます。

○岡田委員 次の話題に参ります。
 気候変動について、時間もありませんので一つだけ。
 カーボンプライシング、これは、実は昨年の十二月に、菅総理が梶山経産大臣と小泉環境大臣に対して、成長に資するカーボンプライシングの検討を指示されたということで、私は、安倍政権時代と変わって、カーボンプライシングに前向きに取り組んでいこう、それの中身は税なのか排出権取引なのか、そこは検討次第だと思いましたが、前向きに取り組んでいこうというその姿勢は高く評価いたしました。
 ところが、岸田総理に替わって、私は、温暖化に対しての、気候変動に対しての勢いが、政府の取組姿勢が、大分勢いが少なくなってきているなというふうに思うわけですね。
 与党の税制改正大綱、この中でも、まずカーボンプライシングという言葉がなくなったわけですね。本来であれば、一年ぐらいで私は具体案が出てくると思っていたんですが、具体案が出てこないばかりか、カーボンプライシングという言葉もなく、「カーボンニュートラル実現に向けたポリシーミックスについては、政府の議論も踏まえつつ、産業競争力の強化、イノベーションや投資の促進につながり、成長に資するものとなるかどうかという観点から、専門的・技術的な検討を進める。」これが与党の税制改正大綱の検討事項に書いてあることなんですね。
 これじゃ、しばらくできないなというふうに言わざるを得ないですよね。カーボンプライシングという言葉もない。菅総理が二大臣を集めてこれを検討しろと言って一年たつけれども、まだこんな状況だということは、私は大変問題だと思いますが、総理、このカーボンプライシングについてもっと前向きの発信を総理としてされるべきじゃありませんか。どうですか。

○山口国務大臣 環境省においては、本年八月に、令和四年度税制改正要望として、カーボンニュートラルに向けたカーボンプライシングを含むポリシーミックスの推進を提出したところです。
 与党での各要望事項についての御審議の結果、この項目は引き続き検討すると整理されたと承知しております。その上で、与党税制改正大綱の検討事項において、カーボンニュートラル実現に向けたポリシーミックスについて検討を行うとされており、これは環境省の要望も反映されたものと理解しております。
 環境省としては、大綱で示された方向も踏まえ、検討を行っていきたいと考えております。

○岸田内閣総理大臣 気候変動問題、これは、私も先日、COP26に出席をさせていただきましたが、世界、そして日本にとりましても重要な課題であると思います。
 そして、御指摘のカーボンプライシング、これはその議論の中の一つの重要なポイントであると認識をしています。後退したのではないかという御指摘でありましたが、引き続き、そして世界の動きにもしっかりと目を凝らしながら、取組を前進させるように努力をしたいと思います。

○岡田委員 CO2を幾ら減らすという数字を出したところで、そのための具体的手段がなければこれは実現できない、そのことを分かっているからこそ、菅総理は二大臣に指示を出された。それが全部チャラになってしまっているという状況、もう一度、総理は考え直していただきたいと思います。
 最後に、桜を見る会について一言。
 これは今までの国会審議で明らかになったことですが、予算額は余り変わっていないんですが、支出額はどんどん増えていって、これは二〇一三年、一六年、一九年の数字を出してありますが、もう二〇一九年に至っては予算額の三倍使っている。参加人数も一万八千人、この前は一万人ぐらいでしたから、ほぼ倍に近くなっているということですね。予算をはるかに上回る額が使われていた。
 では、どういう人が参加しているのかということ。これも菅官房長官の答弁として出されていますが、この赤いところを見てください、自民党関係者の推薦で約六千人、それから総理の推薦で千人。
 自民党関係者の推薦ということですが、政調会長をしておられたときに、岸田総理は、何か推薦枠を使って推薦されたことはありますか。

○岸田内閣総理大臣 推薦枠を使って。済みません、たちまち、ちょっと記憶がありませんので、ちょっとそれは確認してからお答えしなければならないと思います。

○岡田委員 是非、後でお知らせください。
 私も、自民党関係者の推薦というのはどういう仕組みでやっておられたのか分かりませんので、ここでこれ以上のことは申し上げませんが、非常に奇異な感じはしますよね。政府の行事なのに何で党が、まあ公明党さんも入っていますが、与党が推薦をするのかと。非常に、それだけでも不思議な感じがいたしますね。
 おまけに、安倍総理は自分の後援会の人間を何百人とこの推薦枠の中で招いていたということはもうはっきりしていますよね。これって、国のトップリーダーとしてやるべきことだと総理は思われますか。こんなことをして、国民の税金をシロアリが食い尽くすように自分たちの政治活動のために勝手に使って、総理大臣ですよ、それで国民の政治に対する信頼というのは確保できますか。
 こんなことは、私は絶対あってはならないことだというふうに思いますし、私は、自民党の中で、今、改革のための組織が幹事長の下につくられているというふうに承知していますが、こういうことの経緯、なぜ自民党の中でこれはおかしいよという声が上がらなかったのか、そして実態はどうだったのか、そういったことをしっかりと検証するということが私は改革の第一歩だと思いますが、総理、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 桜を見る会につきましては、御指摘のように、長年の慣行の中で行われてきた、招待者の基準が曖昧であった、また招待者の数も膨れ上がってしまった、そうしたことが国民の皆さんからも大変厳しい批判を招いた、こうしたことであると思います。これは大いに反省すべき点があると思いますし、二度と起こしてはならないと思います。
 検証すべきだという御指摘についても、自民党のありようということで、今、党改革の議論をしておりますが、こうした議論を進めていき、信頼を回復していきたいと思いますし、少なくとも、私の内閣において、桜を見る会、これを開催することは考えてはおりません。

○岡田委員 桜を見る会そのものが悪いことではなくて、やはり、それを悪用してと言っていいかどうか分かりませんが、とにかく利用して、自分たちの政治活動のために使ってしまったという、そこが問題で、しかも、総理大臣が自らそういうことをやっていたということが、私は国のありようとして本当に情けないし、国民に対して申し訳ない。そういう思いを持っておられる方は自民党にもたくさんいらっしゃると実は思います。
 じゃ、なぜ声が出せなかったのか。そして、何でこんなことが起こってしまったのか。長年のとおっしゃいましたが、これは安倍政権になってからですよ、増え出したのは。
 だから、そういうことについてきちっと党としてけじめをつけられるべきだと申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。




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