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3/4 外務委員会 質疑(ウクライナからの邦人退避状況、および今後の見通し等)

【委員会】 衆議院外務委員会
 
【日 時】 3月4日(金) 9:10~9:50  【40分間】

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【質問要旨】
Ⅰ. ウクライナからの邦人退避状況、及び今後の見通し

Ⅱ. アフガニスタンからの大使館やJICA関係者の自衛隊機による輸送失敗
 1.8月15日以降8月20日までの外務省及び政府内における検討状況
 2.「準備行為」の活用
 3.検証と結果の発表(アルジェリアの場合との比較)

Ⅲ. 自衛隊法の改正
 1.上記検証を踏まえた改正
 2.準備行為の位置づけ

Ⅳ. 日本避難者への対応
 1.大使館・JICA関係者の入国状況
 2.NGO現地スタッフ、日本への留学経験者
 3.入国者の就労、日本語学習、子どもの教育の現状と対応

(答弁要求 外務大臣等、防衛省、内閣)


議事録

○岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
 私からは、冒頭、ウクライナの問題。
 まず、ウクライナに滞在する日本人、百二十人という数字が予算委員会などで述べられておりますが、状況がかなり大きく変わってきたことをもって、現状、更に退避する人の数が増えているんじゃないかというふうに思いますが、この現状あるいは見通しについて、まず説明をしていただきたいと思います。
○林国務大臣 ウクライナの在留邦人でございますが、皆様に対して、これまで累次にわたって退避を呼びかけてまいりました。一月時点での在留届出ベースで約二百五十名でございましたが、三月二日時点で約百十人となっております。
 ロシアによる侵略後、一定程度の邦人の陸路による出国は確認されておりますが、御指摘のとおりでございますが、退避の働きかけにもかかわらず、残留意思の固い方々や、それぞれの特段の事情で残られている方々がいるということは事実でございます。
 引き続きウクライナに残られている方々の多くは、ウクライナ人配偶者等、現地に生活の基盤がある方々でございますが、これ以上の詳細については、邦人の特定につながるおそれもございますので、邦人の安全を確保する観点から、回答を差し控えたいと思います。
 我々は、引き続き、流動的な現地情勢の中でございますが、あらゆる事態に備えながら、邦人と緊密に連携を取りつつ、出国支援を始めとする在留邦人の安全確保、これに最大限取り組んでまいりたいと思っております。
○岡田委員 今の、配偶者がウクライナ人という御説明がありましたが、当然、そういう場合にも、その配偶者あるいは子供については、日本人と同じように、日本大使館がしっかりと国外退避について協力するという理解でよろしいですね。
○林国務大臣 
 まさに今委員からお話があったように、我々、邦人とその御家族も含めて緊密に連絡を取りながら、出国支援を始めとする安全確保に最大限取り組んでまいりたいと思っております。
○岡田委員 まず、そこに全力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 その上で、先ほど大臣から、ウクライナ人の状況についてかなり明確な御答弁をいただきました。そこで、幾つか質問したいというふうに思っておりますが、もう一度ちょっと確認したいんですが、ウクライナ人の退避、日本がこれを受け入れる、そのスケジュールと規模感を、先ほど松原委員の質疑の中にもありましたが、やはり日本としてはっきり言うことが大事だと思います。いつ頃にどのぐらいの規模で入れるというお考えか、述べていただきたいと思います。
○林国務大臣 我が国が今からどういうことをしていくか。まず、親族や知人がおられる方に短期査証、そして、おられない方についても人道上の配慮の要否を判断して短期査証、そして難民認定ということは松原委員にお答えをしたところでございます。
 現在、在留資格を有するウクライナ人、我が国には約千九百人いらっしゃるということでございますので、この中でどれぐらいの皆さんの御希望が出てくるのかというのを受け止めてしっかりと対応していきたいとは思っておりますが、現時点で、何人ぐらいで、いつぐらいというところまではまだいっていないというのが状況でございます。
○岡田委員 大臣は先ほど、日本に親族、知人がいる、千九百人、それ以外にも人道上の配慮で受け入れるとおっしゃったわけですから、これは国の意思として受け入れるわけですから、どのぐらいの規模を受け入れるのか、そしてどういうタイミングでそれを入れるのかということはやはり明確にすべきだと思うんですが、いかがですか。
○林国務大臣 それぞれの皆様の個々の御意向、また個別の事情等もあろうか、こういうふうに考えておりますので、人道的観点も踏まえて、適切に対応してまいらなければならないと思っております。
○岡田委員 日本にそういった親類や知人がいるということだけではなくて、それ以外も含めて人道上の観点から入れるという御説明だったんじゃないですか。そうすると、それはやはり日本の意思ですよ、どのぐらい入れるか、あるいはどういう基準で入れるか、いつまでにそれをするか。そのことについて全く述べられないというのは、私はよく理解できないんですが、いかがですか。
○林国務大臣 今委員がおっしゃったように、例えば、大使館の現地職員等々、いろいろな関係者もおられます。こういう情勢でございますから、情勢が刻々動いてございますので、こういう皆様からの御要望や人道的観点、個別の事情、御意向、こういうものを踏まえていかなければならないと思っております。
○岡田委員 非常にはっきりしないわけですけれども、私は、言葉だけで実体を伴わないことにならないか、そこを非常に心配しているわけですね。
 例えば、難民申請があった場合にはこれを認めますというふうに、大臣、先ほど松原委員の質問に対して言われました。これは、従来の日本政府の難民申請に対する、非常に厳しい態度を取っておられますが、これを変える、例えばベトナム難民のときにはかなりの数を受け入れたわけですが、そういった特別の対応をするというふうに理解してよろしいですか。
○林国務大臣 先ほども松原委員に対してお答えをしたと思っておりますが、まず、難民申請があった場合には、出入国在留管理庁において、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づいて、難民と認定すべき者を適切に認定する、それから、難民と認められない者であっても、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる者については我が国への在留を認めることとなる、こういうことでございます。
○岡田委員 何もお答えいただいていないんですが、日本の難民の受入れの基準というのは非常に厳しいわけですね。ですから、今回のこのウクライナの、どのぐらいの方を日本政府は受け入れようと思っているか分かりませんが、それについて同じ運用をしたのであれば、ほとんどはねられてしまうということになると思うんです。
 そうじゃなくて、特別の扱いを、今回のウクライナからの避難民については特別の扱いをする、そういう意味でおっしゃっているのか、それとも、結局はほとんどはねられてしまう、そういう結果になりかねないのか、そこを明確にお答えください。
○林国務大臣 出入国在留管理庁等を含めて、これは政府全体として対応していかなければならない、こういうふうに思っております。
 そういった意味では、官房長官も申されておりますけれども、この受入れについては人道上の観点から政府全体として考えていく、こういうことでございますので、今委員が御指摘のあったような点も踏まえて、しっかり対応していきたいと思っております。
○岡田委員 どうもはっきりしないので、前向きの姿勢を示しつつ、現実には従来と変わらない運用だということでは、これはうそを言ったことになりますからね。これは政治主導でしっかりとやっていただきたい。
 従来の手続というのは非常に厳しくて、本当に難民と認められないんですよ、日本では。そのことの是非を今議論しようとは思いませんが、少なくとも従来とは違う扱いを、ベトナムのときにはしたはずですね。ですから、このウクライナの避難民についてもするんだと、総理もあそこまでおっしゃっているわけですから、当然、政治主導でそれをやっていただきたい。そうでなければ、これは総理も大臣もうそを言ったことになるということを申し上げておきたいと思います。
 それから、難民の申請が認められない場合にも在住を認めるというふうにおっしゃいました。非常に結構なことだと思います。ただ、その資格もどうなのか。
 短期滞在で認められても、働くことすらできない。やはり、きちんと働くことができて、そして、日本語が学べて、子供たちが学校に行ける、そういう待遇が受けられるような状況をつくり出さないと、受け入れるだけでは駄目だと思うんですが、そこはいかがですか。
○林国務大臣 まさに、受け入れた方々の状況を踏まえながら、さらに人道的な観点からいかなる対応を行うべきか、これについて政府全体として対応していくということ、先ほど松原委員にもお答えしたとおりでございます。官房長官も同趣旨のことをおっしゃっておられるところでございます。
 まさに、今回の、先ほど松原委員とのやり取りでも申し上げましたように、ウクライナとの連帯を示す、こういう意味で、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○岡田委員 これは後で触れたいと思いますが、アフガニスタンから退避してきた人たちに対する政府の対応というのはかなり問題がありますから、同じようなことになるんじゃないかということを大変懸念しているということをここでは申し上げておきたいと思います。
 さて、そのアフガニスタンなんですが、昨年の八月十五日にカブールが陥落をいたしました。そして、各国が関係者の国外退避に努力された。日本も、自衛隊、自衛隊機を出して対応したけれども、現実には、日本人一人と、米国の要請を受けたアフガニスタン人十四人のみ輸送することができて、約五百人の大使館やJICAの現地職員、そしてその家族、ほかにも若干いたんですけれども、基本的にその人たちを退避させることができなかった。これは私、非常に大きな日本外交にとって失点だった、残念なことだったというふうに思うんですね。
 大臣、どう考えておられますか。
○林国務大臣 自衛隊機による退避オペレーションに関しましては、政府として、事態が刻一刻と変化していく当時の状況下において、可能な限りの対応を行ったという認識をしております。
 八月十四日までには、民間チャーター機による大使館員、現地職員やその家族等の退避計画をほぼ整えておりました。また、それと並行して、十四日夜の時点で、防衛省に対して、自衛隊機の利用可能性につき内々打診をしていたところでございます。
 しかし、十五日にカブールが陥落をいたしまして、カブール国際空港の民間機が運航を停止して以降、空港の状況は大変混乱を極めていたところでございまして、これまでの計画を一から再検討する必要が生じて、外務省から防衛省に対し、自衛隊機の利用可能性についての検討は一時ホールドとしてほしい旨を連絡したところでございます。
 また、まずは、カブール空港を利用している各国の軍用機の余席の提供、これを要請しましたが、それを確保することが難しいということが判明をいたしました。
 その後、カブール国際空港の混乱の収束状況、各国軍用機の離発着を含む空港の運営状況を見極めながら、退避実現のための様々な手だてを検討したわけでございますが、その結果、最終的に、自衛隊機派遣が可能な状況となり、また、それが最も効果的で、かつ、それ以外の有効な手段はないという結論に達したところでございます。そのために、二十日に外務省から防衛省にそのような考え方を伝えて、自衛隊機派遣の具体的検討を要請をいたしたところでございます。
 こうした一連の経過については、内閣官房を含む政府内で随時共有を図りつつ対応を行っていたものでございます。
○岡田委員 私も、八月十四日までのことについて問題があるというふうに言っているわけではないんですね。それから、日本人については、ほとんどの方が十五日以前に国外に退避をされていて、オペレーションとしては、かなり努力されてうまくいっていたというふうに私は評価をしているんです。
 問題は、大使館やJICA関係者を中心とする五百人、これについて、八月十五日にカブールが陥落するという新しい事態を受けて、自衛隊機の派遣要請を防衛大臣に対してするのは八月の二十日ですから、この十五日から二十日までの間、外務省あるいは内閣官房でどういう議論をしていたのか、これがよく分からないんですね。
 今大臣るる述べられましたが、外国の軍用機で運ぶという選択というのは、私はあり得ないと思うんですよ。五百人ですよ。もちろん、大使館の職員は、アメリカに頼んで、結局イギリスの軍用機で国外に退避したということですが、五百人というボリュームをどこかに頼んで、もちろんチャーター機とかそういうのは飛ばない状況ですから、どこかの国の軍用機に乗っけてもらうというのは、それはちょっとあり得ない選択だった。
 だから、自らやる、自衛隊機を出すしかないという、そのことは八月十五日の段階で私ははっきりしていたと思うんです。それを、事務的にいろいろ検討して状況を見ながら、二十日まで時間がたってしまった。これはやはり、私は相当問題だと思うんです。何を議論していたんですか。
○林国務大臣 先ほども申し上げましたように、十五日にカブールが陥落をしたわけでございまして、民間機が運航を停止したわけでございます。そうしたところでございましたので、空港の状況等を踏まえて、自衛隊機の利用可能性については検討を一時ホールドしてほしいという旨を連絡したところでございます。
 そこで、各国の軍用機の余席の提供を要請して、それが確保をするのは難しいということが判明をしたわけでございますので、その結果として、その後、自衛隊機派遣が可能な状況となって、それが最も効果的で、それ以外の有効な手段はない、こういう結論に達したということでございます。
○岡田委員 もう一回聞きますけれども、五百人を他国の軍用機で運んでもらうというその可能性を、本当にどこかに頼まれたんですか、米軍とかほかの国に。私は、それぞれが自国の関係者を運ぶのに必死になっている中で、十人、二十人ならともかく、五百人というロットを運ぶというのはあり得ない選択だと思うんですが、大臣、そう思いませんか。
○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま大臣からも御答弁申しましたとおり、十五日、カブールが陥落した後、カブールの国際空港は極めて混乱をしておりました。その段階で、空港内には武器を持った人物が侵入したり、あるいは空港に対する攻撃の可能性も排除されないなど、そういう空港の状況をまずはしっかり見極める、そういう必要がございました。
 それと同時に、大使館の現地職員、さらには邦人も含めて、一刻も早い出国のためにどういうことができるかということを、状況が刻一刻変化する中、様々検討した中で、まずは、関係国の軍用機の余席の利用ということが可能かどうかということを特定の国に確認をしながら、その可能性を見極めたというところでございます。
 その後、十八日以降は、カブールの国際空港の混乱がかなり収束をしていた、それから各国の軍用機も具体的に離発着を行っていた、そういったことを確認をしましたので、その上で、改めて自衛隊機の派遣ということを具体的に検討し、かつ、それを要請をした、そういう経緯でございます。
○岡田委員 五百人については後回しになったということですかね、今の御答弁だと。日本人とそして大使館員について検討していたということですよね。そういう趣旨でおっしゃったんだと思うんですが、でも、それで本当にいいんですか。もちろん、日本人の扱いとそれから関係者の扱いで差が出ることはあるかもしれませんが、やはりそれはデュアルで、同時並行で、どういうふうに運ぶかというのを検討すべきだったんじゃないんですか。そこが飛んでしまっているというのは、私は理解できないんですね。
 それから、空港の状況が非常に安定していない、しかし、それが落ち着いた上で、またそこから検討を始めますということなんですか。落ち着くことを見越して様々な手段を用意しておくというのが、それは当然外務省の責任だったんじゃないんですか。
○長岡政府参考人 当時のカブールからの出国のオペレーションについては、幾つかの段階というかフェーズがございまして、一つは、最終的には航空機でもってカブール空港から海外に出国をするということなんですけれども、同時に、カブール市内から、タリバーンの検問所とかがある中をどうやって安全にカブール空港まで連れてくるかということも一つ大きな課題としてございまして、我々は、一方で、今、主として空港からの出国の話を申し上げましたけれども、いかに現地職員やその家族をカブール市内の安全なところに集め、かつ、彼らをいかに安全にタリバーンの検問所等を通りながら空港まで連れてくるか、それを同時並行的に検討していたところです。
 実際に、八月の自衛隊機の派遣を決めた後にそういうオペレーションも行いまして、無事に我々が提供したバスに現地職員やその家族を全部乗せて、さらに、出発しようと、その段階で残念ながらあの大きなテロが空港で発生した、そういう経緯でございます。
○岡田委員 テロが起きて運べなくなってしまったというのは非常に残念なことだったと思います。韓国との差は一日でしたが、その一日が非常に大きかったということです。
 ただ、自衛隊機がカブールに到着したのは八月の二十五日です。三十一日には米軍が撤退することはもう分かっていた。だから、非常に窮屈なオペレーション。何でもっと早く自衛隊機を派遣できなかったのか。
 例えば、二十日に派遣要請をして、それから政府として決定して出すわけですが、準備行為という考え方もありますよね、早めに近くまで出しておく。移動のために時間もかかります。C130、足も短いし、時間がかかっちゃう。ですから、早めに周辺、パキスタンならパキスタンに出しておくという選択をどうして取られなかったんですか。そういう準備行為というのは、今までも何回かやっておられるじゃないですか。いかがですか。
○長岡政府参考人 繰り返しの御答弁で恐縮でございますけれども、十五日のカブール空港で民間機の運航が停止した後、その段階で自衛隊機の利用の可能性については一時ホールドしたいということを外務省から防衛省には申し上げましたが、その後、先ほど申したように、外国の軍用機の余席の提供の可能性を追求し、それが難しいという中で、最終的には、自衛隊機の派遣が可能になるということでもって、二十日に外務省から防衛省にそのような正式な考え方を伝え、具体的な派遣の要請を正式に行ったというものでございます。
 その後、直ちに先遣隊を派遣をして、カブール空港における自衛隊機の受入れの準備ないしは現場における各国の軍隊との連絡調整、そういったことを鋭意行った、そういう状況でございます。
○岡田委員 ですから、五百人を他国に頼んで運んでもらうという発想そのものが私は理解できないわけですね。
 官邸は、この間どういうふうに、この十五日から二十日の、あるいは二十三日の派遣決定までどういうふうに機能したんでしょうか。
○澤田政府参考人 お答えいたします。
 政府といたしましては、在外邦人の安全確保を含め、いかなる事態にも迅速に意思決定をし、対応できるよう、司令塔たるNSCを中心に、平素から幅広く議論を重ねてきているところでございます。また、内閣官房を中心に、関係省庁が連携し、様々なケースを想定し、政府の危機管理対応について検討を進めてきております。
 昨年八月のアフガニスタンに関する対応につきましては、官邸危機管理センターに八月十四日に情報連絡室を立ち上げ、二十三日に官邸対策室に改組し、この間、関係省庁を交えて情報の集約や現地の情勢の評価等を行い、邦人等の安全確保などにつきまして対応を協議してきたところでございます。
 また、二十三日には、国家安全保障会議を開催いたしまして、在外邦人等の輸送のための自衛隊部隊派遣を含めました方策につき関係閣僚間で議論を行うなど、万全を期してきたものと考えております。
○岡田委員 二十三日に官邸対策室を設置したと。そのときには自衛隊機の派遣を決めたんですが、それまで何をしていたのかと聞いているんですよ、十五日から。
 つまり、カブールが陥落して、事態が大きく変わったわけでしょう、今までのオペレーションでは駄目だと。当然、外務省の中でもいろいろ議論されたと思いますが、官邸が司令塔機能というなら、十五日からしっかりと官邸が中心になって検討しなきゃいけなかったはずですね。
 具体的に言ってください。十五日、十六日、十七日、官邸はどういう役割を果たしましたか。
○澤田政府参考人 お答えいたします。
 急変する事態を踏まえまして、八月十四日に官邸危機管理センターに情報連絡室を立ち上げたところでございますが、内閣官房を中心に、関係省庁間で情報の集約、情勢の評価、邦人等の安全確保に関する方策等を検討いたしまして、適時適切に総理や官房長官など官邸要路に報告し、指示を仰いだものでございますが、邦人等の安全確保に関する危機管理の性質に鑑み、詳細は差し控えさせていただきたいと存じます。
○岡田委員 私は、余り官僚の皆さんを責めてもどうかなと思うのは、やはりこれは政治主導なんですね、こういう危機の対処は。
 外務大臣は日本におられなかった。別に、いなくたって、きちっと連絡が取れていればいいんですよ。果たしてどうだったのか。そして、官房長官はどうだったのか。
 確かに、この時期は非常に難しい時期で、コロナの対応に官邸は追われたというのは一つありますね。それからもう一つは、国内政治状況も、菅総理が次の代表選挙に出ないというふうに発表されたのは九月の三日ですから、その直前の段階で、岸田さんが出るとか、誰が出るとか、そういうことが行われていた時期でもあるので、なかなか大変だったとは思いますが、だからといって、五百人の人たちの命を後回しにしていいはずはないんですね。
 そこを本当に外務省なり官邸なりがきちんとやったのかどうかというのは、私は非常に疑問がありますね。大臣、いかがですか。
○林国務大臣 政治の状況がいかなる状況であっても、政府としては、こうした事態にしっかりと対応することは、当然の前提として必要であるというふうに思っておるところでございます。
○岡田委員 アルジェリアの邦人に対するテロ事案、平成二十五年ですが、これに対して検証委員会を政府は設けて、一か月ぐらいで検証結果を、報告書をまとめているんですね。これはなかなか優れたものだ、しっかりしたものだと私は評価をしております。その中には、官邸の司令塔機能を十分に発揮させることが大事だということも書かれています。果たして、先ほどの準備室でそういった役割が果たされたのかどうか。
 確認ですけれども、その平成二十五年の報告書の中で、マニュアルの策定、政府全体としての対応についてマニュアルを策定する必要があるというふうに指摘されていますが、その政府全体のマニュアルというのはできているんですか。
○澤田政府参考人 お答えをいたします。
 海外における邦人等の輸送に関しまして、その手順や関係省庁の役割を整理、確認したものは整備をしたところでございます。
 例えば、具体的な手順や、その際留意すべき点などを整理したものでございますが、邦人等の安全確保に関係する事案の性質上、これ以上の詳細については差し控えさせていただきたいと存じます。
○岡田委員 マニュアルがちゃんとできていれば、十五日に事態が一変したのに、結局、二十三日に対策室、それまでは十四日につくった準備室というようなことに私はならないと思うんですね。
 だから、この間のやはり検証をしっかりと、このアルジェリアのときのように行うということが私は非常に大事なことだというふうに思うんです。いろいろ言っていても、いや、秘密だとかいろいろ言って、まともな答弁は返ってこないんですが、本当に、あの危機の中で五百人の人たちの命を危険にさらし、そして世界的な評価も、日本に対する評価もかなり落としてしまったということに対して、もっと危機感を持って、私は、政府の中で検証組織をつくって、そして検証すべきだ、その結果を発表すべきだ、アルジェリアのときのように。
 大臣、いかがですか。
○林国務大臣 今の、八月のアフガニスタンに関する政府の対応でございますが、その経験等も踏まえて政府として不断の検討を行う中で、政府部内の更なる連携強化や意思決定の迅速化、これに努めてきているところでございます。
 実際に、エチオピアですとかウクライナ等、海外における治安情勢が悪化する兆候が見られる際には、より機動的に関係省庁間で会議を開催する等してきたところでございます。
 有事の際の邦人等の退避支援を含む政府の対応については、今後も引き続き、平素から様々な状況を想定して、適切に対応していくべきだと考えております。
○岡田委員 大臣、求められているのは大臣の判断ですよ、政治家としての、官僚の作ったものを読むんじゃなくて。
 実は、この国会に自衛隊法の改正も出てきていますね。中身は、私、そんなに違和感はないんですが、しかし、この今回のアフガニスタンの件で今回の改正が出てきているとすると、やはり、ちゃんとした検証があって、どこが問題だったのかというのを踏まえて法改正が出てこないとおかしいじゃないですか。そこが全くブラックボックスになっている。そういう法改正というのは、私、認めるべきじゃないと思いますよ。政府として、この検証についてしっかりと議論してもらいたいというふうに思います。
 時間もありませんので、あと、このアフガニスタンからの出国者、日本のNGOで働いていた現地スタッフや、あるいは日本への留学経験者、これは日本としてはかなりお金を出して、アフガニスタン人の日本への留学生というものを手当てしてきたわけですけれども、そういう中に、日本に退避したいという人はまだたくさんおられます。そういうことについて、これは日本にとっては大きな資産でもあるんですね。それに対して余りにも冷た過ぎませんか。今、ほとんど認めていないでしょう。
 先ほどウクライナについて少し前向きな答弁をされましたが、それと比べても随分差があるなというふうに思うんですが、そういった、かつての留学生や、あるいはNGOで働いていたアフガニスタン人のスタッフについて、もっと積極的に受け入れる、そういうお気持ちはありませんか。
○林国務大臣 まず、アフガニスタンの情勢悪化後でございますが、様々な外交努力を政府としてやってきておりまして、五百七十名、約五百七十名の日本関係の方が本邦に到着しております。この五百七十名、約五百七十名のアフガニスタン人のうち、大使館、JICAの現地職員とその配偶者及びお子様は約三百七十名ということでございます。
 今お話のあったような日本関係のアフガニスタン人の出国についても、現地職員等以外についても個別の事情を踏まえて必要に応じて支援を行ってきており、今後もきめ細やかに対応していきたいと思っております。
○岡田委員 きめ細やかはいいんですけれども、実際の受入れは非常に厳しいですよ。これはやはり政治が大きな方針を出さないと、ウクライナのときもそうなんですけれども、やはり日本として、かつての留学生や、あるいはNGOで働いていた人、これは欧米ではアフガニスタンの場合にも受入れをしていますよ。そういったものについて積極的に受け入れる、このぐらいは受け入れるんだという方針をしっかり出さないと、現場は動きませんよ。やはり、外国人を入国させることについて非常に厳しい対応というのが伝統的な日本の対応ですから、だから、政治の大きな方針を出す。
 それから、せっかく入った人も、なかなか職業に就けない、日本語を学ぶ機会もない、子供も学校に行けない、そういう事態が起きています。
 大臣、受け入れる以上はしっかりとした対応が必要じゃないですか。そういったことについて、もう少し現実をしっかりと踏まえて対応すべきだと思いますが、そして、アフガニスタン人でそれができないのなら、結局、ウクライナの場合も同じようなことになってしまいかねないというふうに思いますので、その体制を整えるべきだと思いますが、いかがですか。
○林国務大臣 日本に入国をされたアフガニスタン人のうちで、例えば大使館やJICAの現地職員等については、それぞれ日本政府及びJICAとして、住居や食事、日本語教育の機会の提供等の支援を行ってきております。
 大使館やJICAの現地職員以外のアフガニスタン人については、一義的には身元保証人の方々に日本における生活全般を支援していただいておりますが、日本政府としても、個別の事情を踏まえて必要に応じて支援を行ってきておるところでございます。
○岡田委員 その身元保証人というのは、これは大変なんですよ。大学とかNGOといったって、たくさんの人を、そこで職業も探して、そして住居も、生活の面倒も見るというのは、それは限界があるわけですから、やはり政府の責任としてしっかりとそれはやるべきじゃないですか。
 そもそも、余り入っていないということも問題なんですよ。だから、ちゃんと入れて、そして、入れた以上は、政府が責任を持って、そして生活が日本でできるようにする、場合によっては定住できるようにする。そこまでやらないと、単に入れただけでは、これはかえって、日本を当てにして来たけれども、もっとほかの国に行った方がよかったとか、あるいはほかの国に行こうとか、そういう話にもなりかねないんですね。
 大学やNGOも困ってしまっていますよ。だって、そんなにたくさんの人を受け入れることはできないじゃないですか。彼らに、身元引受人だから責任を取れといったって、できないじゃないですか。それは政府の役割だというふうに私は思うんですね。そこについて、きちんと対応するという一言をいただけませんか。
○林国務大臣 先ほども申し上げたとおりでございまして、個別の事情を踏まえて必要に応じて支援を行ってきておりまして、今後もきめ細やかに対応していくということが大事であるということは当然のことだと考えております。
○岡田委員 林さん、細やかにはいいんですが、大胆にやってもらいたいんですよ。
 本当にこれは困っている人がたくさんいます。話を聞いてくださいよ、現実に。やはり、日本国として非常に情けない姿だと思いますよ。あれだけアフガニスタンについて、日本もお金を投じ、人づくりとか様々な協力をしてきました。その人たちが今困っているんです。将来の日本の資産にもなるんです。そこに対してしっかり手当てをする。もちろん、ウクライナも大事ですよ。だけれども、アフガニスタンについてもそれと同じような支援をしていく、あるいは人によってはそれ以上の支援も必要だというふうに思いますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 終わります。




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