2/3 予算委員会質疑(日米首脳会談、地球温暖化対策計画案、エネルギー基本計画など)
【委員会】衆議院 予算委員会
【日 時】2025年2月3日(月) 9:00~9:40(40分間)
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予算委質疑を終えて(1)日米首脳会談
予算委質疑を終えて(2)地球温暖化対策計画案
予算委質疑を終えて(3)エネルギー基本計画案
予算委質疑を終えて(4)地位協定及び日米合同委員会の運用
【質問要旨】
- 日米首脳会談
- 地球温暖化対策計画案
- エネルギー基本計画
- 地位協定改定及び日米合同委員会の運用について
- 今後の国会のあり方
議事録
〇岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。
まず、近く予定されている日米首脳会談について。
今日の報道によりますと、トランプ大統領の、カナダ、メキシコに対する二五%、それから中国に対して一〇%プラスの関税を課すことが決定をされたということです。
これは、外交は取引である、関税は取引の重要な手段であるということでなされたことだと思いますが、そういう考え方の是非、総理のお考えを聞きたいと思いますし、それから、首脳会談でもこの問題について日本の考え方をきちんと述べて、そして望ましくないということを主張すべきだと思いますが、総理のお考えを聞きたいと思います。
〇石破内閣総理大臣 トランプ大統領からそのような発言があったことは報道等によって承知をいたしております。これはトランプ氏が選挙中から公言をしておったことであって、それを公約どおりにといいますか、実施するということを述べたというふうなものだと承知をいたしております。
外交は取引であるというようなことをこれまた言っておられる、一種のディールと言っているのかもしれません。これがいかなる背景に基づいてこのような決定がなされたか、それによってどのような影響が及ぼされるのかということはよく私どもとして考えていかねばならないと思っております。
同時に、トランプ氏が言っておるのはフェアという言葉、これをよく使うのでありまして、これがどのようにして合衆国の国益にかない、世界のこれからの自由貿易というものに対して影響を与えるかということは我が国としてよく精査をしてまいりたいと思っております。
〇岡田委員 いろいろ精査をするのは結構なんですが、だからどうなのか、日本としてどう考えるのかというお答えは全くなかったですよね。やはり近々、日米首脳会談があるということであれば、もちろんこれは日本に降りかかってくる可能性もあります。それから、世界の貿易にとって望ましいことでは決してないということはきちんと述べられるべきだということを申し上げておきたいと思います。
それに関連して、首脳会談で、自由で開かれたインド太平洋という考え方が恐らく合意されるだろうと思うんですね。これは日本の強い主張でもあり、トランプ大統領も第一期のときにこの考え方を認めておられましたので、この地域にアメリカの関与を持続させるという意味でも、日本にとっても極めて重要な概念だというふうに思います。
この自由で開かれたインド太平洋ということの中身として、日本としては法の支配ということを非常に重視しているわけですね。その法の支配ということとトランプ大統領の取引外交というのが果たして矛盾しないのか。結局、自由で開かれたインド太平洋という言葉は共有しても、中身については同床異夢じゃないかというふうにも思うわけですね。
私は是非、首脳会談で、文書を作るのか記者会見かは分かりませんが、その場で法の支配というものをしっかりと述べてもらいたい、あるいは合意してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりだと思っております。自由で開かれた太平洋ということは、言葉を換えれば、力による現状変更、これは認められないということになります。力によって現状を変更する、つまり、法の支配というものを力によって突き崩していくということは認められないのだということ、これは日米間で共有するものだと思っております。
ですから、トランプ氏が言っておる法の支配、自由で開かれた太平洋という概念、これは我が国と合衆国が共有をするものでございまして、その点においてそごが生じるとは思っておりません。
〇岡田委員 ですから、力による現状変更というのは中国というものを念頭に置いた考え方だと思いますが、今やそれが中国だけじゃなくてアメリカもというところに問題があるわけで、やはりここは、インド太平洋にある国々は非常に不安を持っている。やはり法の支配というのは重要だということを改めてトランプ大統領との間で明確に確認するということは、私は非常に意味のあることだと思いますが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それは、繰り返しになって恐縮でありますが、力による現状変更は認められないということは、法による支配ということとほとんど概念的には重なるものだと思っております。そういうことが起こらないように、日米として、この地域において協力をしながら役割を果たしていくということ。
そして、私が委員の御指摘を誤解しているのかもしれませんが、合衆国がこの地域において力による現状変更を試みているというふうには承知をいたしておりません。
〇岡田委員 ですから、関税を使って脅しをかけるとか、そういうことも力による現状変更じゃないかと私は思うわけですね。是非、首脳会談の折、文書でも記者会見でも結構です、法の支配が重要だということは確認をしてもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。
次に、地球温暖化対策基本案、政府が現在出しているものですが、これについて少し議論したいと思います。
トランプ大統領は、パリ協定からの脱退を表明しました。パリ協定では、産業革命以前に比べて二度Cより十分低く保つ、一・五度Cに抑える努力をするということが確認されたもので、ここから世界第二の排出国であるアメリカが離脱をするということは非常に大きなことだと私は思います。
そこで、私は、日本を始めとする先進国の責任というものがより重くなっているというふうに思うんですが、総理、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 我が国として、この地球温暖化というものを阻止するために、いろいろな計画を策定し、着実に実行に移しておるところでございます。
合衆国はこの後どのようになっていくか、また、ユナイテッドステーツという国の成り立ちからいって、連邦政府あるいは州政府がどういう役割を果たしていくか、そのようなことは精緻に分析をしていかなければなりません。それは、委員御指摘のように、我が国として、地球温暖化阻止のために引き続き合衆国の適切な関与というものは求めていかねばならないし、それはそれとして、我が国が地球温暖化阻止のために果たすべき役割というのは極めて重要になってくる、そのように認識をいたしておるところでございます。
〇岡田委員 掘って掘って掘りまくれと言っているトランプ大統領ですから容易なことではありませんが、第一期のときも、州政府とかアメリカの企業とか、そういう中には懸命にこの問題に取り組むところも多かったわけで、そのことも含めて、日本としてもしっかり努力していかなければいけないと思います。
総理は今、我が国の責任も重いということをおっしゃったと思うんですが、ちょっとパネルの一を御覧ください。
現在政府が発表している、二〇三五年と二〇四〇年の目標というものを政府は発表していて、二〇三五年六〇%マイナス、二〇四〇年七三%マイナス、これは二〇一三年度比ということですが、こういう数字が出ております。
私は、二〇三五年度六〇%削減というのは極めて不十分だというふうに思っているわけですね。三つ根拠を挙げて申し上げたいと思うんです。
まず先進国、今総理も、先進国や日本の責任ということはおっしゃいました。世界全体で二〇五〇年にゼロということのためには、やはり先進国がそれに先立ってゼロにしなければ、途上国は後で技術とかいろいろなもので追いかけてきますので、ゼロにならないと思うんですね。そういう意味で、もっと早くゼロにすべきではないかというふうに思いますが、日本としてはですね、二〇五〇年じゃなくて。いかがですか。
〇浅尾国務大臣 岡田委員の御質問にお答えさせていただきます。
我が国は、今御指摘のとおりの目標を、今パブリックコメントを掲げているところでありますけれども、先進国全体で二〇五〇年にネットゼロを目指すということでございます。この点については、他のほぼ全ての先進国がパリ協定の一・五度目標と整合的な形で二〇五〇年ネットゼロを掲げるということでありまして、全てのセクターをカバーする絶対量の目標を設定し、世界の先頭に立って不断の排出削減に取り組んでいるところでありまして、その結果として、これまでのところ着実に削減を続けております。
その中に、様々なシナリオはありますけれども、世界全体では二〇五〇年ネットゼロということで、それは……
〇安住委員長 手短に。
〇浅尾国務大臣 先ほど申し上げましたように、ほぼ全ての先進国がそうした目標を掲げているということであります。
〇岡田委員 今回のトランプ大統領のパリ協定離脱ということも踏まえて、私は、責任はより重くなっていると思いますし、それから、IEAが二〇二三年九月に発表したロードマップでは、先進国は二〇三五年のCO2排出を八〇%削減が必要だというふうに言っているわけです。これとも整合していないということを申し上げておきたいと思います。
次に、その六〇%削減というのが、先ほど申し上げたように、二〇一三年度比であります。しかし、日本のこの二〇一三年度、六〇%というのは、世界基準でいえば、二〇一九年比で考えれば、六六%削減しなければいけないということになります。だから、基準年が違っているわけですね。
結局、世界の約束も果たしていないということに対して、総理、どう思われますか。私、環境大臣に聞いているんじゃないですから、総理、お願いします。
〇石破内閣総理大臣 この削減目標というのは、昨年の政府の地球温暖化対策推進法、二〇五〇年のネットゼロに向けて、二〇三五年度といったらあと十年先、これで六〇%、そしてまた、二〇四〇年度七三%減ということを掲げておるわけでございます。
本当にそれだけが削減できるかということは、普通、考えてもかなり野心的な厳しい目標であるが、これを達成するということで、政府として真摯に産業界と協力をしながら取り組んでいくところでございます。
今、基準年のお話がございました。これは、二〇一三年度を基準としている日本の削減目標は、少なくとも二〇三五年度に六六%以上とするべきではないかというような御指摘かというふうに理解をいたしたところでございます。
委員御案内のとおりかと思いますが、IPCCの第六次評価報告書というものが、二〇一九年比六〇%削減というふうにいたしております。これは、世界の気温上昇を一・五度に抑える複数の削減のやり方、これの二〇三五年の中央値でございます。この報告書では、科学的な不確実性がございますので、幅がございます。四九%から七七%までの削減という幅で示しておるものでございまして、決して甘い目標だと思ってはおりません。
私どもの達成目標というものは厳しいものでありますけれども、この実現に向けて、日本国として最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
〇岡田委員 幅があるから一番甘い数字でいいでしょうというのは、リーダーシップを発揮していることに全くならないじゃないですか。
もう一つ申し上げておきます。
現在のこの計画、菅政権のときに作ったものですが、そのときにこの二〇三〇年マイナス四六%ということを決めたわけですが、同時に、マイナス五〇%の高みに向けて挑戦するという表現が入りました。これは、当時の菅さんのリーダーシップだったと私は思います。この表現は現在の案でも生きています、二〇三〇年については。
ところが、二〇三五年や二〇四〇年については、高みに向けて挑戦するという表現がないんです。なぜないんですか。挑戦することをやめたんですか、総理。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 やめたということは一切ございません。その高みに向けて努力をしておるということに何ら変わりはございません。
〇岡田委員 そうであれば、今、パブリックコメントを求めているところですが、二〇三五年、二〇四〇年に向けても、高みに向けて挑戦するという表現を是非入れていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〇石破内閣総理大臣 現状におきましても考えは全く変わっておりません。表現があるなしにかかわらず、その目標に向けて政府として取り組んでいくという方針には何ら変更はございません。
〇岡田委員 政府の方針なら閣議決定文書に入れてください。そのことを求めておきたいと思います。
次に、エネルギー基本計画について質疑したいと思います。
今、エネルギー基本計画についても、案の段階ですけれども、二〇五〇年に向けて電力需要が減るのか増えるのか。従来は減ると。省エネとか人口減少とか、そういう要因もあって減ると。ところが、今回の案では増えるということになっています。増える原因は、生成AI普及に伴うデータセンターや、それから半導体工場の増設ということが言われているわけですね。
しかし、本当に同じ調子で、当面の五年、十年を取れば、もう既に具体的計画がありますから、電力需要は増えるんだと私も思いますが、二〇五〇年に向けて同じトレンドなのかどうかというのは、私は分からないと思うんですね。むしろ、生成AIが出ることによって、より効率的なエネルギーの使用ということも可能になるかもしれません。半導体も、技術革新は日進月歩ですから、より省エネ効果の高い半導体がどんどん出てくる可能性もある。
そういう意味では、電力需要がずっとプラスであるというのは、私は一つの仮定にすぎないというふうに思うわけですね。もっと現実的な見通しを持つべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇武藤国務大臣 岡田克也委員に、今、根拠についての御質問をいただきました。
余り長くならないうちにお話をさせていただきますと、次期エネルギーの基本計画、これは二〇四〇年度一・一兆から一・二兆キロワットアワー程度として発電電力量としております。今おっしゃったように、省エネ技術が様々に進むだろう、また、この指針を出すことに当たりましては様々な機関の見通しを今回経産省で分析した上で、根拠ある数字だというふうに申し上げます。
具体的にちょっとだけ申し上げますと、六者のエネルギーの環境分野のシンクタンクに、前提条件をそろえた上で、技術進展を踏まえた複数パターンの将来試算を依頼をして、その中の一者の結果を基にしております。データセンター、半導体工場等による需要増、あるいはCO2削減の観点からの、化石燃料の消費を減少させるための電化が進展することなども織り込み、試算結果の多くは二〇四〇年に向けて電力需要が増加するとの見通しを示しているところであります。
政府が採用した見通しは、これら分析結果のおおむね中間点の水準ということでございます。審議会の間でも、有識者の間から、大幅な省エネ効果を見込んだとしても、将来の電力需要については増加する可能性が高いという点については共通的な認識がされたところであります。
おっしゃるとおり、省エネ技術が進んでも電力需要が二〇四〇年に向けて増加するとの見通しは、今回こういう形で示させていただきました。
〇岡田委員 参考にされたと思われる、例えば電力中央研究所の分析。昨年の三月の数字では、三つのシナリオで、高シナリオでは確かに増えるんですね。しかし、低シナリオでは現状と変わらない。電中研ですらそういう数字を出している中で、あえて高いものを取ったのは、やはり、だから新しい原発を造るんだという、そのための手段として需要を上乗せしたんじゃないかというふうにも思われるわけですね。
私は、原発の再稼働については、一定の要件、つまり、安全性の確認と地元理解と避難路の確保ということが満たされれば、現状においては、CO2を抑えるという意味でも再稼働はやむを得ないというふうに考えているわけですが、新しい原発を造るということになると、これは話は別だというふうに思うわけですね。
従来の基本計画では、原発依存度の低減ということになっていた。それが今回からこの表現が消えて、ということは、原発の最大限活用ということに、ある意味で百八十度変わるわけですよ。総理も総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力と言っておられましたよね。
本当に、新しい原発、新増設をどんどんやっていくというお考えなのか、それとも、やはり原発については、将来的には原発に依存しない社会を目指すべきだ、新増設は控えるべきだとお考えなのか、いかがなんですか。
〇石破内閣総理大臣 福島原発事故のときに私どもは野党でございました。私、政調会長をいたしておりましたが、あのときの衝撃ということは決して終生忘れることはないと思っておりますし、ともすれば風化しがちなそういうことについて、常にリマインドしていくことは必要だというふうに考えております。
先ほど経産大臣からお答えいたしましたように、確かに人口は減るということであります。省エネ技術も進みます。しかしながら、人口が減る過程において、電力の需要というのは、より増えるということも可能性としてはあり得ることでございます。いかにして人口が減る中において日本の経済を維持していくかということを考えましたときに、もちろん省エネも一生懸命やる、再エネも一生懸命やるということでございますが、幾つかのシナリオの中に、電力の需要がそれでも増えるということは見込んでおかなければいけないことだというふうに考えております。
その中において、地熱であるとか太陽光であるとか風力であるとか、例えば太陽光の伸びというのは各国の中で最高の伸びを示しております。日本国として最大限の努力をいたしてまいりましたし、これから先もやります。
原発の安全を最大限に高めていくということは当然のことでございまして、そのことの努力をしながらも、なおエネルギーの自給率を考え、そしてまた将来の電力需要を賄うために、そういうものを最大限に活用した上で、安全が最大限に確認された原発というものの稼働も考えていかねばならないということでございます。
〇岡田委員 総理は今、安全性の最大限の確認とおっしゃいましたが、先ほど言いましたように、総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力というふうに言っておられたんです、原発について。その考え方は変えたわけですね。
〇石破内閣総理大臣 それは、そのこと自体が自己目的なのではございません。そういうものを、再エネというものを最大限に活用をしていくということ、そして省エネというものを徹底していくということ、その上においてなお、日本国として、これから先、国民生活の安定を維持していくためにおきましても、原発の活用は必要だということでございます。
ですから、再エネの利用あるいは省エネの徹底ということを通じまして、最大限の安全性を確保した上で原発の依存度というのは低下していくということでございますが、そのこと自体が自己目的なのではございません。
〇岡田委員 考え方をお変えになったというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
基本計画の案の中に、ここに示したような表現が出てきます。安全神話に陥って悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省するとともに、このような事故を二度と起こさないためのたゆまぬ努力が必要だというふうに言っておられます。
これはどういう意味ですか。安全神話に陥ったというのは具体的に何を言っているんですか。そして、二度と起こさないよう努力が必要だというのは分かりますが、本当に二度と起こさないというふうに断言できますか。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 神話というのは、きちんとした検証のない思い込みというのがその本質だと思っております。
原発の安全性を確認しなければならないということは、委員や私どもの世代は、原発というものが増えていく中において常に常に考えてきたことではあるのですけれども、そのことについての真摯な検証、そういうような姿勢が、自分の反省からいえば、やや十分ではなかったのではないかという反省を持っておるところでございます。
絶対的に安全だと思い込む、科学的、技術的な、そういうものに欠ける、そういう姿勢があったことは真摯に反省をしていかねばならないことだと思っております。ですので、このような考え方は原子力基本法にもきちんと盛り込んでおるところでございます。
ですので、原発の最大限の安全の確保というのは、そういうような天変地異もございましょう、あるいはテロもございましょう、あるいは武力攻撃ということも、最悪、想定をしておかなければならないことでございます。ゼロリスクはないという認識には立っておかねばなりません。
そして、本当に一番烈度の高いそういうようなダメージを被ったときに、それでもなお安全が保たれるということは、常に確認をしておきたいと思っておるところでございます。
〇岡田委員 今の総理のお答えは、私、大体認識は共有するんですが、要するに、リスクときちんと正面から向き合う、そして一〇〇%ということはない、そういう認識に立つことだと思うんですね。
そこで、原発ということを考えたときに、やはり福島の我々の経験も、要するに、核分裂を止められなくなる、冷やすことができなくなる、そうすると手に負えなくなるということで、結局、メルトダウン、水素爆発ということになりました。そういう、原発というのは怖さを持っているわけですね。
普通の火力発電所なら、火力発電所が爆発したとしても、被害は限定的。何万人、何十万人、何百万人という人が退避するとか家に帰れないとか、あるいは東日本全体が駄目になるとか、そういうリスクを持っているのは、私は、原発の、ほかのリスクとは違うところだと思うんですね。
ですから、一〇〇%はないということであれば、そういう可能性が、繰り返される可能性があるということについて、もっと私は恐れを抱くべきだというふうに思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それは、原発事故の恐ろしさというのは、福島第一のときに本当に思い知ったことでございます。あのときの場面というのは、終生忘れることはございません。それは、あのときにこの国会に籍を置いておった者はみんな共通の認識だと思っております。
ですので、先ほど申し上げましたように、多分大丈夫だろうでは駄目なのであって、最も烈度の高いそういうような侵害、それは天変地異に限りません、武力攻撃も含むものでございます、そういうものにも耐え得るようなものでなければならないということで、安全性の度合いというものを徹底的に高める努力は、片時たりとも怠るつもりは全くございません。
〇岡田委員 しかし、想定外の地震が起こるとか、あるいはミサイル攻撃を受けるとか、それに対していろいろな対応はするんでしょうが、一〇〇%大丈夫だということは言い切れないと思うんですね。そういう状況において新たな原発を造っていくということが、果たしてこの国にとっていいことなのかどうか。私は、そうは思えないんですね。
この点を、最大限活用というふうにかじを切られるわけですから、もっと国民にしっかり説明しないと到底納得を得られない、私自身も含めてというふうに申し上げておきたいと思います。
原発以外にもう一つの選択肢というのは、やはり自然エネルギーを更に高めるということです。
これはIEAの数字ですけれども、ソーラーパネルとかバッテリーストレージ、蓄電池ですね、二〇一五年から二〇二三年の僅か八年間で非常に下落しているわけですね。もっと自然エネルギーにシフトして、しっかりとその導入を図るべきだというふうに私は思うわけです。
日本の今回の計画もありますけれども、二〇四〇年で再生可能エネルギー四割から五割という数字、これは低過ぎると私は思うんですよ。例えばイギリスやドイツでは、二〇二二年段階でもう既に再生可能エネルギーは発電量の四割を超えている。それを二〇四〇年に四割から五割というのは、余りにも低過ぎるというふうに思うんですね。ドイツの二〇三〇年目標は八割ですよ。
ここをもっと高める、そこに予算も投入して努力するべきだと思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣からお答えを申し上げますが、基本的な認識は委員と何ら変わるものではございません。
再生可能エネルギーの割合というものをどうやって高めていくかということについて、事実を申し上げれば、FIT導入以来の十年間でございますが、再エネの比率というのは、当時一〇%でございましたが、十年前に比べて、二〇%、倍になっておるという事実がございます。
平地当たりの我が国の太陽光発電の導入量、これは先ほどもお答えをいたしましたが、ドイツやイギリスよりも導入量は大きいものでございます。主要国の中では最大ということになっているのも、委員御案内のとおりでございます。
これでもちろん満足をすることではございませんで、再生エネルギーを主力電源として最大限導入するということにいたしております。
ペロブスカイト太陽電池の導入、すなわち、国産でかなりの部分を賄うことができますヨウ素を原料といたしますところの、ペロブスカイトというのは何のことだいと思われる方もおられるかもしれませんが、要は、ぺらぺらのという言い方をしますかね、そういう形でできるようなものでございます。そういうような導入、あるいは、まだ可能性が多分にございます地熱、あるいは小水力、これの導入は最大限にやってまいりたいと思っております。
そういうことをやらずして原発政策というものは成り立つと私は思っておりません。
〇岡田委員 日本は山が多く海が深いから自然エネルギーには向かないと、私、岸田総理にそういうふうに答弁されたんですが、そういう考え方の人間ばかりとつき合っていると、そういう表現になっちゃうんですね。
でも、現実には、政府も認めておられるように、例えば太陽電池であればそういった新型のものもありますし、それから屋根置きとか、営農型ですね、農地に太陽電池をというポテンシャルはまだまだあるわけですね。そういうものを推進していくような仕組みをもっと政府としてもつくらなきゃいけないというふうに思うんですね。
風力の方は、私は、十年ぐらい遅れたのは本当に残念なことだと思うんですけれども、ようやく立ち上がって、これから次第に進んでいくとは思いますが、当面できるとしたら、総理もおっしゃった地熱とかもありますが、やはり太陽電池をよりたくさん設置する、そのためにもっと予算を使うべきじゃないか。
次世代型革新炉開発で八百八十九億円計上されていますよね。それよりは、やはり自然エネルギーじゃないですか。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりでございます。
先ほど来議論になっておりますペロブスカイトというのは、要は、あのような、今我々が常識で考えておる太陽光ではなくて、例えばビルの壁面にそういうものを張り巡らすことによって相当の発電量が期待できるというものでございますし、国産の資源を使うということが大きなメリットでございます。そういうことになりますと、都市でも発電ができるということになってまいります。
そういうものを最大限に導入をするという方針に何ら変わりはございませんし、今後一層、これは加速をしていかなければならないと思っております。
ですから、従来の太陽光ということになりますと、やはり、森林面積が多い、そして傾斜度が高い我が国において、どうしても導入には一定の制限はございます。じゃ、もう駄目なのかということで諦めるのではなくて、そういうような都市でも発電ができるというようなもの、これが数年で景色を一変させるような、そういうような思いで取り組んでまいります。
〇岡田委員 屋根置き型とか営農型ということであればまだまだポテンシャルがあるということは、政府もお認めになっているわけですね。
時間も限られていますから、次に。
トランプ大統領とお会いになったときに、地位協定の問題、地位協定そのものをいろいろ言うのかというのは一つの問題ではあると思うんですが、少なくとも、現在の在日米軍兵士による相次ぐ暴行事件などが国民の反基地感情を高めて、日米同盟の根幹を揺るがしかねない、そういう深刻な事態にあるんだ、だから、これはしっかり両国政府で責任を持って対応しなきゃいけないんだということはきちっとお話しになって確認された方がいいと思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それはそのとおりでございます。
つまり、日米同盟というものがどういうときに危機に瀕するかということを考えたときに、私は防衛庁長官でございましたが、沖縄国際大学にヘリが墜落したというときにどれほど大きな衝撃を受けたかということを私は忘れることはございません。
地位協定というものを改定していくということは何のためかといえば、それは日米同盟が常に有効に機能するということのために必要なものだというふうに承知はいたしております。そういう中において、今までどのように改善をなされてきたかということもきちんと検証しながら、これから先、トランプ政権、四年間の間に、日米同盟を更に安定的なものにしていくために必要な努力はしてまいらなければならないと思っております。
〇岡田委員 総理が防衛庁長官のときに沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件が起きました。これについて、地位協定の問題なのか、それとも、同じ一九六〇年に両国政府で結ばれた合意議事録によるものかというのは議論のあるところで、地位協定上は完全に日本の警察や行政をシャットアウトするようなことはできなかったはずだ、しかし、合意議事録ではそれが可能になっているという考え方もありますね。やはり、合意議事録というのは、これは役所間で結ばれたもので、国会は関与していないんです。それと地位協定の間にかなりの矛盾があるという指摘もありますよね。
だから、私は、合意議事録をまずしっかり見直すということが重要じゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
〇岩屋国務大臣 これはもう、外務大臣としてこの問題を所管されていた委員には釈迦に説法ですけれども、日米地位協定の合意議事録は、同協定の実施細目等を定めるものとして締結された国際約束でありまして、日米地位協定は、この合意議事録等を含んだ大きな法的な枠組みであります。
総理も言及されましたが、沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件の後、二〇〇五年四月に、現場統制の在り方に関して日米両当局の明確な役割分担を定めるガイドラインが了承されました。その後、二〇一九年には同ガイドラインの改正を行ったところでございまして、今後とも必要な検証や見直しは行っていかねばならないと考えております。
〇岡田委員 この合意議事録と地位協定、これは矛盾していませんか、でも、比較したときに。施設若しくは区域内の全ての者若しくは財産について、捜索、差押え又は検証を行う権限を行使しないというふうになっているわけです。これを根拠にして日本の警察は入れなかった。それと地位協定の表現は、私は、矛盾があるし、どちらかというと、一九六〇年以前の行政協定の中身がこの合意議事録にかなり落とし込まれていて、事実上の、地位協定を制約しているというふうに思うんですね。そこは是非しっかり検証してもらいたいというふうに思います。
日米合同委員会というのが地位協定を運営するために開催されています。北米局長と米軍の副司令官との間で毎月のように開催されているということです。二年前の外務委員会でも指摘したんですが、その議事録が六十五年間全く公表されていないという問題があるわけですね。これは一体何なのか。
それは一九六〇年段階なら分かりますよ。まだ占領時代の影を引いていたかもしれない。だけれども、その後、日本政府も例えば情報公開法とか公文書管理法という法律ができて、三十年で原則公開ということになりました。ところが、一つもこれは公開されていないというのは、私は絶対に間違った運用だというふうに思うんですね。しっかり全体を検証して、そして公開できるものは公開すべきじゃないですか。これは国民の財産ですよ。
恐らく、六〇年段階で、相当外務当局も御苦労されて、アメリカとのやり取りの中でいろいろな議論があったと思うんですね。そういうことも含めてきちっと公開して、今は時代が違うんですから、新しい発想で取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
〇岩屋国務大臣 日米合同委員会の合意事項や議事録は、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するために、日米双方の同意がなければ公表されないことになっているわけでありますが、最終的に日米で一致する場合は公表するように努めてきております。
この議事録等は行政文書として保存されておりますが、保存期間の満了後も、行政機関の職務の遂行上、保存して利用することが必要であるということに鑑み、必要な限度において保存期間を延長しております。したがって、保存期間が満了したことをもって自動的に公開するといった対応は取っていないわけでございますが、当然、公開することについて日米間で一致に至った場合は、これはしっかり公表をしていきたいと考えております。
〇岡田委員 二年前の答弁と全然変わっていないんですが……
〇安住委員長 岡田君、時間が来ておりますが、会派として、時間を延ばすのであれば。
〇岡田委員 もう、すぐやめますから。
これは、どう考えてもおかしいんです。私、外務大臣のときに公開したことありますよ。だって、アメリカの公文書館で公開しているんだから。そういうことも多いはずですから、きちっとこれは確認して、六十五年間何も知らせないというのは明らかに間違った対応だと思いますので、総理、うなずいておられますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
何かありましたら。
〇安住委員長 ちょっと待ってください。時間をオーバーしていますけれども、立憲の会派内の時間で調整してください。
〇石破内閣総理大臣 国民に対して説明責任を果たすということは、当然のことだと思っております。私どもといたしましても、国民に対して公表すべきものは公表するという姿勢で今後とも臨んでまいりたいと思っております。
〇岡田委員 終わります。
まず、近く予定されている日米首脳会談について。
今日の報道によりますと、トランプ大統領の、カナダ、メキシコに対する二五%、それから中国に対して一〇%プラスの関税を課すことが決定をされたということです。
これは、外交は取引である、関税は取引の重要な手段であるということでなされたことだと思いますが、そういう考え方の是非、総理のお考えを聞きたいと思いますし、それから、首脳会談でもこの問題について日本の考え方をきちんと述べて、そして望ましくないということを主張すべきだと思いますが、総理のお考えを聞きたいと思います。
〇石破内閣総理大臣 トランプ大統領からそのような発言があったことは報道等によって承知をいたしております。これはトランプ氏が選挙中から公言をしておったことであって、それを公約どおりにといいますか、実施するということを述べたというふうなものだと承知をいたしております。
外交は取引であるというようなことをこれまた言っておられる、一種のディールと言っているのかもしれません。これがいかなる背景に基づいてこのような決定がなされたか、それによってどのような影響が及ぼされるのかということはよく私どもとして考えていかねばならないと思っております。
同時に、トランプ氏が言っておるのはフェアという言葉、これをよく使うのでありまして、これがどのようにして合衆国の国益にかない、世界のこれからの自由貿易というものに対して影響を与えるかということは我が国としてよく精査をしてまいりたいと思っております。
〇岡田委員 いろいろ精査をするのは結構なんですが、だからどうなのか、日本としてどう考えるのかというお答えは全くなかったですよね。やはり近々、日米首脳会談があるということであれば、もちろんこれは日本に降りかかってくる可能性もあります。それから、世界の貿易にとって望ましいことでは決してないということはきちんと述べられるべきだということを申し上げておきたいと思います。
それに関連して、首脳会談で、自由で開かれたインド太平洋という考え方が恐らく合意されるだろうと思うんですね。これは日本の強い主張でもあり、トランプ大統領も第一期のときにこの考え方を認めておられましたので、この地域にアメリカの関与を持続させるという意味でも、日本にとっても極めて重要な概念だというふうに思います。
この自由で開かれたインド太平洋ということの中身として、日本としては法の支配ということを非常に重視しているわけですね。その法の支配ということとトランプ大統領の取引外交というのが果たして矛盾しないのか。結局、自由で開かれたインド太平洋という言葉は共有しても、中身については同床異夢じゃないかというふうにも思うわけですね。
私は是非、首脳会談で、文書を作るのか記者会見かは分かりませんが、その場で法の支配というものをしっかりと述べてもらいたい、あるいは合意してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりだと思っております。自由で開かれた太平洋ということは、言葉を換えれば、力による現状変更、これは認められないということになります。力によって現状を変更する、つまり、法の支配というものを力によって突き崩していくということは認められないのだということ、これは日米間で共有するものだと思っております。
ですから、トランプ氏が言っておる法の支配、自由で開かれた太平洋という概念、これは我が国と合衆国が共有をするものでございまして、その点においてそごが生じるとは思っておりません。
〇岡田委員 ですから、力による現状変更というのは中国というものを念頭に置いた考え方だと思いますが、今やそれが中国だけじゃなくてアメリカもというところに問題があるわけで、やはりここは、インド太平洋にある国々は非常に不安を持っている。やはり法の支配というのは重要だということを改めてトランプ大統領との間で明確に確認するということは、私は非常に意味のあることだと思いますが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それは、繰り返しになって恐縮でありますが、力による現状変更は認められないということは、法による支配ということとほとんど概念的には重なるものだと思っております。そういうことが起こらないように、日米として、この地域において協力をしながら役割を果たしていくということ。
そして、私が委員の御指摘を誤解しているのかもしれませんが、合衆国がこの地域において力による現状変更を試みているというふうには承知をいたしておりません。
〇岡田委員 ですから、関税を使って脅しをかけるとか、そういうことも力による現状変更じゃないかと私は思うわけですね。是非、首脳会談の折、文書でも記者会見でも結構です、法の支配が重要だということは確認をしてもらいたいというふうに要望しておきたいと思います。
次に、地球温暖化対策基本案、政府が現在出しているものですが、これについて少し議論したいと思います。
トランプ大統領は、パリ協定からの脱退を表明しました。パリ協定では、産業革命以前に比べて二度Cより十分低く保つ、一・五度Cに抑える努力をするということが確認されたもので、ここから世界第二の排出国であるアメリカが離脱をするということは非常に大きなことだと私は思います。
そこで、私は、日本を始めとする先進国の責任というものがより重くなっているというふうに思うんですが、総理、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 我が国として、この地球温暖化というものを阻止するために、いろいろな計画を策定し、着実に実行に移しておるところでございます。
合衆国はこの後どのようになっていくか、また、ユナイテッドステーツという国の成り立ちからいって、連邦政府あるいは州政府がどういう役割を果たしていくか、そのようなことは精緻に分析をしていかなければなりません。それは、委員御指摘のように、我が国として、地球温暖化阻止のために引き続き合衆国の適切な関与というものは求めていかねばならないし、それはそれとして、我が国が地球温暖化阻止のために果たすべき役割というのは極めて重要になってくる、そのように認識をいたしておるところでございます。
〇岡田委員 掘って掘って掘りまくれと言っているトランプ大統領ですから容易なことではありませんが、第一期のときも、州政府とかアメリカの企業とか、そういう中には懸命にこの問題に取り組むところも多かったわけで、そのことも含めて、日本としてもしっかり努力していかなければいけないと思います。
総理は今、我が国の責任も重いということをおっしゃったと思うんですが、ちょっとパネルの一を御覧ください。
現在政府が発表している、二〇三五年と二〇四〇年の目標というものを政府は発表していて、二〇三五年六〇%マイナス、二〇四〇年七三%マイナス、これは二〇一三年度比ということですが、こういう数字が出ております。
私は、二〇三五年度六〇%削減というのは極めて不十分だというふうに思っているわけですね。三つ根拠を挙げて申し上げたいと思うんです。
まず先進国、今総理も、先進国や日本の責任ということはおっしゃいました。世界全体で二〇五〇年にゼロということのためには、やはり先進国がそれに先立ってゼロにしなければ、途上国は後で技術とかいろいろなもので追いかけてきますので、ゼロにならないと思うんですね。そういう意味で、もっと早くゼロにすべきではないかというふうに思いますが、日本としてはですね、二〇五〇年じゃなくて。いかがですか。
〇浅尾国務大臣 岡田委員の御質問にお答えさせていただきます。
我が国は、今御指摘のとおりの目標を、今パブリックコメントを掲げているところでありますけれども、先進国全体で二〇五〇年にネットゼロを目指すということでございます。この点については、他のほぼ全ての先進国がパリ協定の一・五度目標と整合的な形で二〇五〇年ネットゼロを掲げるということでありまして、全てのセクターをカバーする絶対量の目標を設定し、世界の先頭に立って不断の排出削減に取り組んでいるところでありまして、その結果として、これまでのところ着実に削減を続けております。
その中に、様々なシナリオはありますけれども、世界全体では二〇五〇年ネットゼロということで、それは……
〇安住委員長 手短に。
〇浅尾国務大臣 先ほど申し上げましたように、ほぼ全ての先進国がそうした目標を掲げているということであります。
〇岡田委員 今回のトランプ大統領のパリ協定離脱ということも踏まえて、私は、責任はより重くなっていると思いますし、それから、IEAが二〇二三年九月に発表したロードマップでは、先進国は二〇三五年のCO2排出を八〇%削減が必要だというふうに言っているわけです。これとも整合していないということを申し上げておきたいと思います。
次に、その六〇%削減というのが、先ほど申し上げたように、二〇一三年度比であります。しかし、日本のこの二〇一三年度、六〇%というのは、世界基準でいえば、二〇一九年比で考えれば、六六%削減しなければいけないということになります。だから、基準年が違っているわけですね。
結局、世界の約束も果たしていないということに対して、総理、どう思われますか。私、環境大臣に聞いているんじゃないですから、総理、お願いします。
〇石破内閣総理大臣 この削減目標というのは、昨年の政府の地球温暖化対策推進法、二〇五〇年のネットゼロに向けて、二〇三五年度といったらあと十年先、これで六〇%、そしてまた、二〇四〇年度七三%減ということを掲げておるわけでございます。
本当にそれだけが削減できるかということは、普通、考えてもかなり野心的な厳しい目標であるが、これを達成するということで、政府として真摯に産業界と協力をしながら取り組んでいくところでございます。
今、基準年のお話がございました。これは、二〇一三年度を基準としている日本の削減目標は、少なくとも二〇三五年度に六六%以上とするべきではないかというような御指摘かというふうに理解をいたしたところでございます。
委員御案内のとおりかと思いますが、IPCCの第六次評価報告書というものが、二〇一九年比六〇%削減というふうにいたしております。これは、世界の気温上昇を一・五度に抑える複数の削減のやり方、これの二〇三五年の中央値でございます。この報告書では、科学的な不確実性がございますので、幅がございます。四九%から七七%までの削減という幅で示しておるものでございまして、決して甘い目標だと思ってはおりません。
私どもの達成目標というものは厳しいものでありますけれども、この実現に向けて、日本国として最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
〇岡田委員 幅があるから一番甘い数字でいいでしょうというのは、リーダーシップを発揮していることに全くならないじゃないですか。
もう一つ申し上げておきます。
現在のこの計画、菅政権のときに作ったものですが、そのときにこの二〇三〇年マイナス四六%ということを決めたわけですが、同時に、マイナス五〇%の高みに向けて挑戦するという表現が入りました。これは、当時の菅さんのリーダーシップだったと私は思います。この表現は現在の案でも生きています、二〇三〇年については。
ところが、二〇三五年や二〇四〇年については、高みに向けて挑戦するという表現がないんです。なぜないんですか。挑戦することをやめたんですか、総理。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 やめたということは一切ございません。その高みに向けて努力をしておるということに何ら変わりはございません。
〇岡田委員 そうであれば、今、パブリックコメントを求めているところですが、二〇三五年、二〇四〇年に向けても、高みに向けて挑戦するという表現を是非入れていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〇石破内閣総理大臣 現状におきましても考えは全く変わっておりません。表現があるなしにかかわらず、その目標に向けて政府として取り組んでいくという方針には何ら変更はございません。
〇岡田委員 政府の方針なら閣議決定文書に入れてください。そのことを求めておきたいと思います。
次に、エネルギー基本計画について質疑したいと思います。
今、エネルギー基本計画についても、案の段階ですけれども、二〇五〇年に向けて電力需要が減るのか増えるのか。従来は減ると。省エネとか人口減少とか、そういう要因もあって減ると。ところが、今回の案では増えるということになっています。増える原因は、生成AI普及に伴うデータセンターや、それから半導体工場の増設ということが言われているわけですね。
しかし、本当に同じ調子で、当面の五年、十年を取れば、もう既に具体的計画がありますから、電力需要は増えるんだと私も思いますが、二〇五〇年に向けて同じトレンドなのかどうかというのは、私は分からないと思うんですね。むしろ、生成AIが出ることによって、より効率的なエネルギーの使用ということも可能になるかもしれません。半導体も、技術革新は日進月歩ですから、より省エネ効果の高い半導体がどんどん出てくる可能性もある。
そういう意味では、電力需要がずっとプラスであるというのは、私は一つの仮定にすぎないというふうに思うわけですね。もっと現実的な見通しを持つべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇武藤国務大臣 岡田克也委員に、今、根拠についての御質問をいただきました。
余り長くならないうちにお話をさせていただきますと、次期エネルギーの基本計画、これは二〇四〇年度一・一兆から一・二兆キロワットアワー程度として発電電力量としております。今おっしゃったように、省エネ技術が様々に進むだろう、また、この指針を出すことに当たりましては様々な機関の見通しを今回経産省で分析した上で、根拠ある数字だというふうに申し上げます。
具体的にちょっとだけ申し上げますと、六者のエネルギーの環境分野のシンクタンクに、前提条件をそろえた上で、技術進展を踏まえた複数パターンの将来試算を依頼をして、その中の一者の結果を基にしております。データセンター、半導体工場等による需要増、あるいはCO2削減の観点からの、化石燃料の消費を減少させるための電化が進展することなども織り込み、試算結果の多くは二〇四〇年に向けて電力需要が増加するとの見通しを示しているところであります。
政府が採用した見通しは、これら分析結果のおおむね中間点の水準ということでございます。審議会の間でも、有識者の間から、大幅な省エネ効果を見込んだとしても、将来の電力需要については増加する可能性が高いという点については共通的な認識がされたところであります。
おっしゃるとおり、省エネ技術が進んでも電力需要が二〇四〇年に向けて増加するとの見通しは、今回こういう形で示させていただきました。
〇岡田委員 参考にされたと思われる、例えば電力中央研究所の分析。昨年の三月の数字では、三つのシナリオで、高シナリオでは確かに増えるんですね。しかし、低シナリオでは現状と変わらない。電中研ですらそういう数字を出している中で、あえて高いものを取ったのは、やはり、だから新しい原発を造るんだという、そのための手段として需要を上乗せしたんじゃないかというふうにも思われるわけですね。
私は、原発の再稼働については、一定の要件、つまり、安全性の確認と地元理解と避難路の確保ということが満たされれば、現状においては、CO2を抑えるという意味でも再稼働はやむを得ないというふうに考えているわけですが、新しい原発を造るということになると、これは話は別だというふうに思うわけですね。
従来の基本計画では、原発依存度の低減ということになっていた。それが今回からこの表現が消えて、ということは、原発の最大限活用ということに、ある意味で百八十度変わるわけですよ。総理も総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力と言っておられましたよね。
本当に、新しい原発、新増設をどんどんやっていくというお考えなのか、それとも、やはり原発については、将来的には原発に依存しない社会を目指すべきだ、新増設は控えるべきだとお考えなのか、いかがなんですか。
〇石破内閣総理大臣 福島原発事故のときに私どもは野党でございました。私、政調会長をいたしておりましたが、あのときの衝撃ということは決して終生忘れることはないと思っておりますし、ともすれば風化しがちなそういうことについて、常にリマインドしていくことは必要だというふうに考えております。
先ほど経産大臣からお答えいたしましたように、確かに人口は減るということであります。省エネ技術も進みます。しかしながら、人口が減る過程において、電力の需要というのは、より増えるということも可能性としてはあり得ることでございます。いかにして人口が減る中において日本の経済を維持していくかということを考えましたときに、もちろん省エネも一生懸命やる、再エネも一生懸命やるということでございますが、幾つかのシナリオの中に、電力の需要がそれでも増えるということは見込んでおかなければいけないことだというふうに考えております。
その中において、地熱であるとか太陽光であるとか風力であるとか、例えば太陽光の伸びというのは各国の中で最高の伸びを示しております。日本国として最大限の努力をいたしてまいりましたし、これから先もやります。
原発の安全を最大限に高めていくということは当然のことでございまして、そのことの努力をしながらも、なおエネルギーの自給率を考え、そしてまた将来の電力需要を賄うために、そういうものを最大限に活用した上で、安全が最大限に確認された原発というものの稼働も考えていかねばならないということでございます。
〇岡田委員 総理は今、安全性の最大限の確認とおっしゃいましたが、先ほど言いましたように、総裁選挙で何と言っておられましたか。ゼロに近づける最大限の努力というふうに言っておられたんです、原発について。その考え方は変えたわけですね。
〇石破内閣総理大臣 それは、そのこと自体が自己目的なのではございません。そういうものを、再エネというものを最大限に活用をしていくということ、そして省エネというものを徹底していくということ、その上においてなお、日本国として、これから先、国民生活の安定を維持していくためにおきましても、原発の活用は必要だということでございます。
ですから、再エネの利用あるいは省エネの徹底ということを通じまして、最大限の安全性を確保した上で原発の依存度というのは低下していくということでございますが、そのこと自体が自己目的なのではございません。
〇岡田委員 考え方をお変えになったというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
基本計画の案の中に、ここに示したような表現が出てきます。安全神話に陥って悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省するとともに、このような事故を二度と起こさないためのたゆまぬ努力が必要だというふうに言っておられます。
これはどういう意味ですか。安全神話に陥ったというのは具体的に何を言っているんですか。そして、二度と起こさないよう努力が必要だというのは分かりますが、本当に二度と起こさないというふうに断言できますか。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 神話というのは、きちんとした検証のない思い込みというのがその本質だと思っております。
原発の安全性を確認しなければならないということは、委員や私どもの世代は、原発というものが増えていく中において常に常に考えてきたことではあるのですけれども、そのことについての真摯な検証、そういうような姿勢が、自分の反省からいえば、やや十分ではなかったのではないかという反省を持っておるところでございます。
絶対的に安全だと思い込む、科学的、技術的な、そういうものに欠ける、そういう姿勢があったことは真摯に反省をしていかねばならないことだと思っております。ですので、このような考え方は原子力基本法にもきちんと盛り込んでおるところでございます。
ですので、原発の最大限の安全の確保というのは、そういうような天変地異もございましょう、あるいはテロもございましょう、あるいは武力攻撃ということも、最悪、想定をしておかなければならないことでございます。ゼロリスクはないという認識には立っておかねばなりません。
そして、本当に一番烈度の高いそういうようなダメージを被ったときに、それでもなお安全が保たれるということは、常に確認をしておきたいと思っておるところでございます。
〇岡田委員 今の総理のお答えは、私、大体認識は共有するんですが、要するに、リスクときちんと正面から向き合う、そして一〇〇%ということはない、そういう認識に立つことだと思うんですね。
そこで、原発ということを考えたときに、やはり福島の我々の経験も、要するに、核分裂を止められなくなる、冷やすことができなくなる、そうすると手に負えなくなるということで、結局、メルトダウン、水素爆発ということになりました。そういう、原発というのは怖さを持っているわけですね。
普通の火力発電所なら、火力発電所が爆発したとしても、被害は限定的。何万人、何十万人、何百万人という人が退避するとか家に帰れないとか、あるいは東日本全体が駄目になるとか、そういうリスクを持っているのは、私は、原発の、ほかのリスクとは違うところだと思うんですね。
ですから、一〇〇%はないということであれば、そういう可能性が、繰り返される可能性があるということについて、もっと私は恐れを抱くべきだというふうに思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それは、原発事故の恐ろしさというのは、福島第一のときに本当に思い知ったことでございます。あのときの場面というのは、終生忘れることはございません。それは、あのときにこの国会に籍を置いておった者はみんな共通の認識だと思っております。
ですので、先ほど申し上げましたように、多分大丈夫だろうでは駄目なのであって、最も烈度の高いそういうような侵害、それは天変地異に限りません、武力攻撃も含むものでございます、そういうものにも耐え得るようなものでなければならないということで、安全性の度合いというものを徹底的に高める努力は、片時たりとも怠るつもりは全くございません。
〇岡田委員 しかし、想定外の地震が起こるとか、あるいはミサイル攻撃を受けるとか、それに対していろいろな対応はするんでしょうが、一〇〇%大丈夫だということは言い切れないと思うんですね。そういう状況において新たな原発を造っていくということが、果たしてこの国にとっていいことなのかどうか。私は、そうは思えないんですね。
この点を、最大限活用というふうにかじを切られるわけですから、もっと国民にしっかり説明しないと到底納得を得られない、私自身も含めてというふうに申し上げておきたいと思います。
原発以外にもう一つの選択肢というのは、やはり自然エネルギーを更に高めるということです。
これはIEAの数字ですけれども、ソーラーパネルとかバッテリーストレージ、蓄電池ですね、二〇一五年から二〇二三年の僅か八年間で非常に下落しているわけですね。もっと自然エネルギーにシフトして、しっかりとその導入を図るべきだというふうに私は思うわけです。
日本の今回の計画もありますけれども、二〇四〇年で再生可能エネルギー四割から五割という数字、これは低過ぎると私は思うんですよ。例えばイギリスやドイツでは、二〇二二年段階でもう既に再生可能エネルギーは発電量の四割を超えている。それを二〇四〇年に四割から五割というのは、余りにも低過ぎるというふうに思うんですね。ドイツの二〇三〇年目標は八割ですよ。
ここをもっと高める、そこに予算も投入して努力するべきだと思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣からお答えを申し上げますが、基本的な認識は委員と何ら変わるものではございません。
再生可能エネルギーの割合というものをどうやって高めていくかということについて、事実を申し上げれば、FIT導入以来の十年間でございますが、再エネの比率というのは、当時一〇%でございましたが、十年前に比べて、二〇%、倍になっておるという事実がございます。
平地当たりの我が国の太陽光発電の導入量、これは先ほどもお答えをいたしましたが、ドイツやイギリスよりも導入量は大きいものでございます。主要国の中では最大ということになっているのも、委員御案内のとおりでございます。
これでもちろん満足をすることではございませんで、再生エネルギーを主力電源として最大限導入するということにいたしております。
ペロブスカイト太陽電池の導入、すなわち、国産でかなりの部分を賄うことができますヨウ素を原料といたしますところの、ペロブスカイトというのは何のことだいと思われる方もおられるかもしれませんが、要は、ぺらぺらのという言い方をしますかね、そういう形でできるようなものでございます。そういうような導入、あるいは、まだ可能性が多分にございます地熱、あるいは小水力、これの導入は最大限にやってまいりたいと思っております。
そういうことをやらずして原発政策というものは成り立つと私は思っておりません。
〇岡田委員 日本は山が多く海が深いから自然エネルギーには向かないと、私、岸田総理にそういうふうに答弁されたんですが、そういう考え方の人間ばかりとつき合っていると、そういう表現になっちゃうんですね。
でも、現実には、政府も認めておられるように、例えば太陽電池であればそういった新型のものもありますし、それから屋根置きとか、営農型ですね、農地に太陽電池をというポテンシャルはまだまだあるわけですね。そういうものを推進していくような仕組みをもっと政府としてもつくらなきゃいけないというふうに思うんですね。
風力の方は、私は、十年ぐらい遅れたのは本当に残念なことだと思うんですけれども、ようやく立ち上がって、これから次第に進んでいくとは思いますが、当面できるとしたら、総理もおっしゃった地熱とかもありますが、やはり太陽電池をよりたくさん設置する、そのためにもっと予算を使うべきじゃないか。
次世代型革新炉開発で八百八十九億円計上されていますよね。それよりは、やはり自然エネルギーじゃないですか。いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それはおっしゃるとおりでございます。
先ほど来議論になっておりますペロブスカイトというのは、要は、あのような、今我々が常識で考えておる太陽光ではなくて、例えばビルの壁面にそういうものを張り巡らすことによって相当の発電量が期待できるというものでございますし、国産の資源を使うということが大きなメリットでございます。そういうことになりますと、都市でも発電ができるということになってまいります。
そういうものを最大限に導入をするという方針に何ら変わりはございませんし、今後一層、これは加速をしていかなければならないと思っております。
ですから、従来の太陽光ということになりますと、やはり、森林面積が多い、そして傾斜度が高い我が国において、どうしても導入には一定の制限はございます。じゃ、もう駄目なのかということで諦めるのではなくて、そういうような都市でも発電ができるというようなもの、これが数年で景色を一変させるような、そういうような思いで取り組んでまいります。
〇岡田委員 屋根置き型とか営農型ということであればまだまだポテンシャルがあるということは、政府もお認めになっているわけですね。
時間も限られていますから、次に。
トランプ大統領とお会いになったときに、地位協定の問題、地位協定そのものをいろいろ言うのかというのは一つの問題ではあると思うんですが、少なくとも、現在の在日米軍兵士による相次ぐ暴行事件などが国民の反基地感情を高めて、日米同盟の根幹を揺るがしかねない、そういう深刻な事態にあるんだ、だから、これはしっかり両国政府で責任を持って対応しなきゃいけないんだということはきちっとお話しになって確認された方がいいと思うんですが、いかがですか。
〇石破内閣総理大臣 それはそのとおりでございます。
つまり、日米同盟というものがどういうときに危機に瀕するかということを考えたときに、私は防衛庁長官でございましたが、沖縄国際大学にヘリが墜落したというときにどれほど大きな衝撃を受けたかということを私は忘れることはございません。
地位協定というものを改定していくということは何のためかといえば、それは日米同盟が常に有効に機能するということのために必要なものだというふうに承知はいたしております。そういう中において、今までどのように改善をなされてきたかということもきちんと検証しながら、これから先、トランプ政権、四年間の間に、日米同盟を更に安定的なものにしていくために必要な努力はしてまいらなければならないと思っております。
〇岡田委員 総理が防衛庁長官のときに沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件が起きました。これについて、地位協定の問題なのか、それとも、同じ一九六〇年に両国政府で結ばれた合意議事録によるものかというのは議論のあるところで、地位協定上は完全に日本の警察や行政をシャットアウトするようなことはできなかったはずだ、しかし、合意議事録ではそれが可能になっているという考え方もありますね。やはり、合意議事録というのは、これは役所間で結ばれたもので、国会は関与していないんです。それと地位協定の間にかなりの矛盾があるという指摘もありますよね。
だから、私は、合意議事録をまずしっかり見直すということが重要じゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
〇岩屋国務大臣 これはもう、外務大臣としてこの問題を所管されていた委員には釈迦に説法ですけれども、日米地位協定の合意議事録は、同協定の実施細目等を定めるものとして締結された国際約束でありまして、日米地位協定は、この合意議事録等を含んだ大きな法的な枠組みであります。
総理も言及されましたが、沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件の後、二〇〇五年四月に、現場統制の在り方に関して日米両当局の明確な役割分担を定めるガイドラインが了承されました。その後、二〇一九年には同ガイドラインの改正を行ったところでございまして、今後とも必要な検証や見直しは行っていかねばならないと考えております。
〇岡田委員 この合意議事録と地位協定、これは矛盾していませんか、でも、比較したときに。施設若しくは区域内の全ての者若しくは財産について、捜索、差押え又は検証を行う権限を行使しないというふうになっているわけです。これを根拠にして日本の警察は入れなかった。それと地位協定の表現は、私は、矛盾があるし、どちらかというと、一九六〇年以前の行政協定の中身がこの合意議事録にかなり落とし込まれていて、事実上の、地位協定を制約しているというふうに思うんですね。そこは是非しっかり検証してもらいたいというふうに思います。
日米合同委員会というのが地位協定を運営するために開催されています。北米局長と米軍の副司令官との間で毎月のように開催されているということです。二年前の外務委員会でも指摘したんですが、その議事録が六十五年間全く公表されていないという問題があるわけですね。これは一体何なのか。
それは一九六〇年段階なら分かりますよ。まだ占領時代の影を引いていたかもしれない。だけれども、その後、日本政府も例えば情報公開法とか公文書管理法という法律ができて、三十年で原則公開ということになりました。ところが、一つもこれは公開されていないというのは、私は絶対に間違った運用だというふうに思うんですね。しっかり全体を検証して、そして公開できるものは公開すべきじゃないですか。これは国民の財産ですよ。
恐らく、六〇年段階で、相当外務当局も御苦労されて、アメリカとのやり取りの中でいろいろな議論があったと思うんですね。そういうことも含めてきちっと公開して、今は時代が違うんですから、新しい発想で取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
〇岩屋国務大臣 日米合同委員会の合意事項や議事録は、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するために、日米双方の同意がなければ公表されないことになっているわけでありますが、最終的に日米で一致する場合は公表するように努めてきております。
この議事録等は行政文書として保存されておりますが、保存期間の満了後も、行政機関の職務の遂行上、保存して利用することが必要であるということに鑑み、必要な限度において保存期間を延長しております。したがって、保存期間が満了したことをもって自動的に公開するといった対応は取っていないわけでございますが、当然、公開することについて日米間で一致に至った場合は、これはしっかり公表をしていきたいと考えております。
〇岡田委員 二年前の答弁と全然変わっていないんですが……
〇安住委員長 岡田君、時間が来ておりますが、会派として、時間を延ばすのであれば。
〇岡田委員 もう、すぐやめますから。
これは、どう考えてもおかしいんです。私、外務大臣のときに公開したことありますよ。だって、アメリカの公文書館で公開しているんだから。そういうことも多いはずですから、きちっとこれは確認して、六十五年間何も知らせないというのは明らかに間違った対応だと思いますので、総理、うなずいておられますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
何かありましたら。
〇安住委員長 ちょっと待ってください。時間をオーバーしていますけれども、立憲の会派内の時間で調整してください。
〇石破内閣総理大臣 国民に対して説明責任を果たすということは、当然のことだと思っております。私どもといたしましても、国民に対して公表すべきものは公表するという姿勢で今後とも臨んでまいりたいと思っております。
〇岡田委員 終わります。