平成28年4月28日 第190回国会 衆議院本会議 区画審設置法及び公選法改正案に対する討論
平成28年4月28日
区画審設置法及び公選法改正案に対する本会議討論
民進党・無所属クラブ
岡 田 克 也
私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただ今議題となりました区画審設置法及び公選法改正案につき、民進党案に賛成、自民党・公明党案に反対の立場で討論いたします。
2009年衆議院選挙における一票の格差を違憲状態とした最高裁判決から5年。未だ民主主義の根幹である一票の価値の平等が確保されないまま、その後2回の衆議院選挙も違憲状態と断じられています。まさしく異常事態です。この間、国会は、立法府として何をしてきたのか。この議場にいるすべての衆議院議員は、現在の状況を深く反省しなければなりません。
とりわけ、2012年11月の党首討論において、自民党総裁として選挙制度改革の実現と議員定数の削減を国民に約束し、その直後の衆議院選挙において総理大臣となったにもかかわらず、今日ここに至るまで、この問題を先送りし続けてきた安倍総理・自民党総裁の責任は極めて重い。しかし、安倍総理や自民党の皆さんに、その自覚があるとは到底思えません。
自公案では、アダムズ方式のもとでの衆議院選挙は、早くても2022年以降です。今から6年以上も先の話であり、党首討論から実に10年以上が経過することになります。安倍総理は、自らの手で選挙制度改革を行う気がないのです。これは、国民に対する重大な公約違反であるということを、まず申し上げなければなりません。
安倍総理は今年2月、私との予算委員会質疑の中で、「既に2015年の簡易国調が出ているので、2010年の国調でアダムズ方式を導入すると対象の県が変わり、おかしなことになる」などと弁明しました。しかし安倍総理、なぜそのような事態に陥ったのか、自らを省みるべきです。
2012年11月16日、衆議院解散の日に、0増5減の緊急是正法が成立しました。しかし、その後の一票の格差違憲訴訟において、緊急是正法は「格差是正の措置とは到底言い難い」などと憲法上の疑義を指摘する高裁判決が相次ぎます。民主党をはじめとする野党各党は、与野党実務者協議で、一人別枠方式を完全に廃止し、人口比例で各都道府県に定数配分することを強く主張しました。立法府として、最高裁の違憲判決を何とか避けなければならないと考えたからです。しかし、2013年6月、政府・与党は衆議院で再議決までして、0増5減を前提とする区割り改定法の成立を強行しました。これが重大な誤りだったのです。
果たして、私の懸念したとおり、2013年11月、最高裁は2度目の違憲状態判決を下します。そこで、野党5党は、各都道府県に人口50万人あたり1議席ずつ配分する方法で人口比例の定数配分と定数削減を同時達成することを柱とする具体案を与党に提示しました。この案は、佐々木調査会からも「アダムズ方式と軌を一にするもの」との評価を受けています。しかし、与党とりわけ自民党は我々の案を一顧だにせず、都道府県の定数配分見直しと小選挙区の定数削減を頑なに拒み続けました。そして昨年11月、ついに3度目の違憲状態判決を最高裁から突き付けられるに至ったのです。
野党の意見や提案に耳を傾け、速やかに2010年国勢調査に基づく定数配分の見直しを行っていれば、今日のようなことにはならなかった。安倍総理、そして自民党・公明党は、根本的な改革を先送りし続けたこの3年間の不作為を真摯に反省し、国民に謝罪すべきです。
アダムズ方式の導入を先送りする自公案では、次の衆議院選挙でも違憲状態の最高裁判決が出される可能性が高いと言わざるを得ません。昨年11月の最高裁判決は、0増5減のもとで行われた2014年衆議院選挙について、5減対象県以外の都道府県では一人別枠方式が残っている点を問題視しています。今回、自公案で0増6減を行っても、多くの都道府県で一人別枠方式が維持されたままとなります。これでは、最高裁の要求に応えているとは到底言えません。その結果として、現在の定数配分では、例えば、神奈川県は人口913万人に対し定数18、大阪府は人口884万人に対し定数19と、人口と定数配分が逆転しています。自公案では、これも今後6年以上放置することになるのです。
3年前、区割り改定法を衆議院で再議決までして成立させた際、安倍総理は国会で何と答弁したでしょうか。「違憲状態とされた一票の格差は解消された」と、何度も断言したのです。内閣総理大臣として、とんでもない判断の誤りです。同じ過ちをまた繰り返すのでしょうか。司法の判断を無視し続ける安倍総理のもとで、日本国憲法の根幹である三権分立は機能しません。また、国民の参政権の根幹である一票の価値の不平等を放置する安倍総理の姿勢は、民主主義をないがしろにするもので、断じて容認できません。
議員定数の削減について一言申し上げます。定数削減については、民進党は佐々木調査会答申の受け入れを優先させました。しかし、我々はこれで十分とは考えていません。身を切る改革に終わりはない。民進党は、更なる国会議員の定数削減を目指します。
安倍総理は、アダムズ方式の導入とそれに伴う大幅な選挙区割りの改定を自らの総理・総裁任期後に先送りしようとしています。しかし、今できないことが、自らが総理・総裁でもない5年後、6年後にできるという保証が一体どこにあるのでしょうか。問題先送り、憲法軽視の安倍政治、安倍総理の政治姿勢を如実に象徴するものです。
私は、一票の価値の平等を確保することは、国民の理解と信頼に支えられた政治を実現するための大前提であると考えています。国民とともに進む。民進党はこれからも、より良い選挙制度改革を実現することを国民の皆さんにお約束して、私の討論を終わります。