118回 衆議院・社会労働委員会
本日の会議に付した案件
国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
厚生関係の基本施策に関する件
岡田(克)委員 第百十八回国会社会労働委員会の審議に当たり、最初の質疑者として厚生大臣初め厚生行政に責任ある立場にある皆様に質問をさせていただき、大変光栄に思います。
私は、さきの衆議院選挙で初めて当選をさしていただいたわけでありますが、選挙活動を通じて、例えば年金生活者、体の不自由な方あるいは母子家庭の方など、社会福祉行政の対象となる方々からいろいろな生の声を聞かされました。これらの方々が社会福祉行政の今後に対し大きな期待を抱いていることを痛感したわけであります。本日は、その経験を踏まえて質問をさせていただきます。
第一に、消費税と社会保障制度の関連についてお尋ねをしたいと思います。
消費税そのものの必要性については、近く到来する高齢化社会に備えるため必要な税制であるとの理解が国民の間に得られつつあると思います。しかし、消費税が所得や資産の多少にかかわらず一律に課される結果、例えば寝たきり老人、母子家庭やあるいは消費税導入に先立ち行われた所得税減税の恩恵に浴さない所得の低い方々などのいわゆる社会的弱者の方々に対し大きな負担になるとの批判があります。この点につき政府はどのような配慮を行ったのか、説明を願いたいと思います。
加藤(栄)政府委員 ただいまお尋ねのありました消費税の逆進性緩和等のそういう恵まれない方々に対する措置でございますが、一般的に申し上げまして、消費税のような間接税には逆進的な面があるということは事実でございます。税制の所得再配分機能という点では、税制の全体を見て見ていただくということは今先生おっしゃったとおりでございますが、こういう観点から、今回の一連の税制改革におきまして所得税、住民税の課税最低限の大幅な引き上げ、あるいはパート減税というものが実施されておりまして、消費税導入の影響に配慮されているわけでございます。
また、御指摘がありましたいわゆる所得が少なくて減税等の恩恵が及びにくい層の方、あるいは寝たきりの老人の方々などきめ細やかな配慮を要しますしますいわゆる社会的に弱い立場におられる方々に対しましては、まず消費税導入時の影響に配慮いたしまして、在宅の寝たきり老人の方あるいは福祉年金の受給者などの方々を対象といたしまして、臨時福祉給付金の支給というものを導入時の影響緩和措置として平成元年三月に行っておりますほか、生活保護を受けておられる方々に対しまして、平成元年四月から生活扶助基準を四・二%引き上げまして、これによって消費税導入時の激変にも対応できるようにということを考えております。そのほか、年金に対しましても所要の措置をとったところでございます。
岡田(克)委員 ただいま年金について少しお話があったわけでありますけれども、特に年金で生活しておられる方々からは、消費税の導入によって実質的に年金の支給額が目減りをしたという批判を随分いただきました。こうした批判に対して、消費税導入に当たり政府としてどの程度年金給付の改善を行ったのか、また、どのような税制上の特別措置を講じようとしているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
加藤(栄)政府委員 年金関係につきましては、消費税が導入されました平成元年度におきまして、その元年の四月からいわゆる物価スライドによって〇・七%引き上げるというものを行いました。また、政府の原案におきまして、年金の財政再計算時の改正におきまして六・二%の実質改善を十月分から行うこととしておったわけでございますが、昨年の国会におきまして与野党御審議の結果合意を得まして、この改善をさらに四月にさかのぼって実施するということにされたところでございます。また、平成二年度からは完全自動物価スライド制が導入されまして、平成元年の物価上昇率二・三%に対応する年金支給額二・三%引き上げというものが行われておりまして、これは平成元年におきます消費税の影響額も含んで物価の上昇に対応するものでございます。
それから、税制の面からも、年金受給者の税負担の軽減の見地から公的年金等の控除額が引き上げられまして、これによりまして六十五歳以上の夫婦の所得税の課税最低限というものは、改正前の三百一万八千円から三百二十一万八千円になったところでございまして、このようにさまざまな措置を講じておるところでございます。
岡田(克)委員 今の御説明で消費税導入の悪影響を最小限にとどめようという政府の努力についてはよくわかったところであります。ただ、政府がせっかくこれだけの措置をとったとしても、それが国民に十分理解をされない、あるいは伝わっていないことが不必要な不安やあるいは誤解を招くことになったと思います。今後とも、国民が納得のできる、わかりやすい説明あるいは広報の努力を継続していただきたいと思うわけであります。
さて、消費税導入に当たり政府は、消費税は高齢化社会への対応のために必要な税制であるという説明をしてまいりました。また、大臣は先日の所信表明の中で、「現在の我が国の社会経済の最大課題の一つは、活力ある長寿・福祉社会の実現」であるというふうに言われました。具体的に政府は高齢化対策をどのように進めていく考えか、大臣の基本的なお考えをお聞かせ願います。
津島国務大臣 最初に岡田委員に申し上げたいのでありますが、新進気鋭の政治家の方々が国民福祉の問題について真剣な関心を持っていただいている、厚生大臣として大変ありがたいと思っております。また、本委員会のこのたびの委員の方方を拝見いたしますと、そのような大変フレッシュな感覚で私どもに御鞭撻をいただける方々が与野党でおそろいでございまして、どうか心からの御協力をお願い申し上げたい次第でございます。
さて、今岡田委員御指摘のとおり、二十一世紀、我が国の高齢化がピークに達してまいります中で、活力のある長寿・福祉社会を構築できるかどうかはまさに国民的な課題でございます。この国民的な課題に対応するために、政府といたしまして、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱を閣議決定をいたし、これを踏まえまして昭和六十三年の十月にいわゆる福祉ビジョンを提出をいたしまして、年金とか医療とか福祉について具体的な姿をお示ししたわけでありますが、今般、その展開といたしまして高齢者の保健福祉の分野で今世紀中に実現しなければならない十カ年の目標を掲げて、その強力な推進を図ることといたした次第であります。これがいわゆるゴールドプラン、すなわち「高齢者保健福祉推進十か年戦略」でございますけれども、この目標を達成することは非常に大きな仕事であり、また困難を伴うことも予想されますけれども、何としてもこれを実現をいたしまして国民の御期待にこたえなければならないと私は決意をしておるところでございます。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
岡田(克)委員 今大臣のお話の中に出てまいりました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランは、今世紀中に実現を図るべき十カ年の施策の目標を具体的に設定したものとのことでありますが、その具体的内容について御説明を願いたいと思います。
加藤(栄)政府委員 ゴールドプランについて御説明申し上げます。
ゴールドプランにつきましては、ただいま厚生大臣から申し上げましたように長寿社会対策大綱、さらに福祉ビジョンを踏まえまして、今後十カ年に達成すべき高齢者保健福祉推進の目標、それから具体的な数値等を掲げたものでございます。
まず、いわゆるゴールドプランの内容は、ホームヘルパー十万人の確保等いわゆる在宅三本柱の飛躍的な充実、それから在宅介護支援センターの整備等、市町村におきます在宅福祉対策の緊急整備というものを一つの柱にしております。また、第二といたしましては、今後寝たきり老人を新たにつくっていくというようなことのないような各般の施策を講じていくということで、寝たきり老人ゼロ作戦を展開してまいるということが第二の柱でございます。また第三には、在宅福祉の充実のための長寿社会福祉基金を設置するということにしておりまして、これは在宅福祉のための環境整備を図ってまいるということでございます。さらに施設整備につきましても、特別養護老人ホーム、老人保健施設等の緊急整備を図ってまいりまして、待機者をゼロにしてまいりたい、こういうことなど七本の柱から成っております。
また、これらの具体的な政府目標を設定しているものにつきまして総事業費を試算してみますと約六兆円強の規模になる見込みでございまして、初年度分といたしましては社会福祉・医療事業団に対します追加出資、これを加えまして三千六百億円程度になるものというふうに考えております。
岡田(克)委員 ゴールドプランの考え方やその内容は大変高く評価され、また高齢者やその家族にとって大きな期待を抱かせるものであると私は思います。しかし、幾ら野心的な計画であっても、それが財政面その他の理由により実現されないのでは意味がありません。例えばホームヘルパーを平成元年度三万人から十年間で十万人にするという目標は、その実現に大変な努力が必要であるというふうに思うわけであります。ゴールドプランの実現を万難を排してやり抜くという厚生大臣の御決意をお聞かせいただぎたいと思います。
津島国務大臣 岡田委員御指摘のとおり、十カ年戦略を実現することは非常に大きな事業でございますから、容易ならざる決意が必要であると考えております。特にマンパワーの確保、ホームヘルパーを初めとして必要な方々に力強く支えていただかなければならない。それからまた、施設等の整備を初めといたしまして相当の予算が必要である。こういうことをやり遂げていくために、私どもとしても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。また法律制度の改正も必要でございますので、後ほど本委員会にも必要な法律改正の御提案を申し上げたいと思ってございます。
いずれにいたしましても、このゴールドプランを中核といたします長寿・福祉社会が形成されるかどうかは国民的な支えがなければできないと私は思っております。国民の皆様方の意識革命をお願いをする、すべての仕事の分野でたくさんの高齢者の方々が我々の社会の中で生き生きとしてお働きいただく、生きがいのある生活を送っていただく、そういうことを目標に努力を積み重ねていく、その運動の先頭に立って私もやっていきたいと思っております。
岡田(克)委員 高齢者に対するゴールドプランを初めとする社会福祉制度の充実が、高齢化社会を迎えて極めて重要であることは言うまでもありません。しかし同時に、既に仕事を退職した方々が社会の一員として生きがいを持って生活をしていただくためには、従来の知識や経験を生かして社会的に活動していただくことが重要であると思います。こういった広い意味での高齢者のための対策について厚生省はどのような施策を考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
岡光政府委員 御指摘のように、高齢者が豊富な知識経験を生かして社会の一員として積極的に社会活動に参加をしていくというのは大変重要であると思っております。御指摘のとおりだと思っております。そのために従来から老人クラブ活動の助成であるとか促進であるとか、あるいは高齢者の能力を生かすためにふさわしい職業の紹介であるとか、そういうことで条件整備に努めてきたところでございますが、平成元年度におきましては高齢者の生きがいと健康づくり推進事業というものを始めたところでございまして、この推進事業を中心に御指摘のような社会活動の促進を進めていきたいと考えております。
この推進事業は国それから都道府県、市町村の各段階でそれぞれふさわしい事業展開をして、要するに高齢者のイメージといたしまして、いわゆる援護、介護の対象者というふうにとらまえるのではなくて積極的な活動主体としてとらまえる、そういう高齢者像と言うのでしょうか高齢者観というものをつくり上げたい、そんな気持ちも含めておるところでございます。
岡田(克)委員 高齢化社会が今後急速に到来する我が国にあっては、厚生年金制度の将来のあり方が大きな問題になってまいります。年金支給額に一定の水準を確保し、また国民の負担できる範囲に限りがあるとすると、支給開始年限を引き上げることは長期的には避けて通れない課題であると言われております。将来のこの課題に対し国民に十分な理解と納得がいただけるよう説明を尽くすことが必要であることは言うまでもありません。それと同時に、こういった事態に備えるために高齢者の雇用対策がどうしても必要となってまいります。この問題は政府が産業界の協力も得ながら一体となって取り組むべき重要な問題でありますが、特に労働省と厚生省の政策面での連携が大変重要となってまいります。厚生大臣、この点についての御決意をお聞かせ願いたいと思います。
津島国務大臣 高齢化が進展する中で年金を健全に維持をしていくということは大変重要な仕事であり、また難しい仕事でございます。我が国社会の変化を見ておりますと、高齢化の進展と並んで出生率が低下をしておりまして、そういう意味で人口構成が年金の維持に非常に厳しい姿になりつつあるということを私どもは大変心配をしておるところでございます。
そういう中で、今保障しております高齢者に対する給付水準を維持をしていきたい、そしてまた、お働きになっている方々の負担を過重なものにしないようにしたい、こういう二つの要請を踏まえて考えますと、やはり一つの選択肢といたしまして、六十歳から六十五歳までの方々の中で元気で社会活動をされる方、お働きになれる方については活躍をしていただく、そういうことで厚生年金の支給開始年齢を漸次引き上げていくということを国民の皆様方と議論していく必要があるのではないかと思ってございます。
いずれにしても、この問題は負担と給付をどのように考えるか、そして国民の皆様方がどのような姿を望まれるかという国民の合意の形成が必要でございますから、厚生大臣としての私の立場からも、そのような合意の形成のために努力をしてまいりたいと思っております。しかし、いずれにしても六十歳を超えた方々が元気で社会活動をしていただけるための環境整備が必要でございまして、そのような意味で、今委員御指摘のとおり、労働省の労働政策と連携をとりながら進めていく必要があると存じます。
本国会に六十五歳までの再雇用についての努力義務などを内容とする高年齢者雇用安定法の改正案が提出されておりますが、この法案の決定に当たりまして、一昨日開催されました年金と雇用に関する閣僚懇談会におきまして、私からも労働省に、今回の改正を契機に六十歳定年の早期定着はもとよりのこと、六十歳代前半層の就業の確保が計画的に進むように強くお願いをしたところでございます。これからも労働政策との連携を密接なものにするために厚生省、労働省が一体となって進んでまいりたいと思います。
岡田(克)委員 次に、児童対策についてお伺いをいたします。
近年出生率の低下や女性の社会進出の増大など、児童や家庭を取り巻く環境は著しく変化をしております。子供は国の宝であり、二十一世紀の日本を考えた場合に、次代を担う子供たちが立派に育つ環境づくりを進めることは、国の政策の根幹であります。今後児童対策をどのように充実していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。また、その際、労働省との連携も重要であると考えますが、この点についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
古川政府委員 御指摘のように、最近子供や家庭を取り巻く環境というものは大きな変化を遂げてきております。特に、出生数で見ますと、昭和四十九年以降大幅な低下を続けておりまして、例えて申し上げますと、昭和四十八年に二百九万人の出生であったものが昨年は百二十四万というふうに、ここ十四、五年で八十五万人の減少、こういうふうな状況になっております。また、子供を持つ家庭の八四%が一人または二人、こういうふうな状況でございます。また、御指摘のように、有配偶の女子の方、この方々の就業率は五割を超している、こういうふうな状況でございますし、一方、核家族化とかあるいは都市化による子供の遊び場の減少、こういったことが指摘されているわけであります。
このような子供や家庭を取り巻く環境の変化というものは、私ども、子供自身にとりまして、創造性が欠けるとか乏しいとか活力に乏しい、あるいは社会性が身につかない、あるいは人の心の痛みがわからない、わかりにくいというような、そういう子供の健やかな成長自身にとっても問題がある。と同時に、家庭の養育機能の問題とか将来の高齢者扶養負担の問題あるいは人的資源の問題あるいは社会全体の活力というような、いろいろの憂慮すべき事態が考えられるわけでございます。
したがいまして、このような状況を踏まえて、私ども、何といっても大事なことは、子供が健やかに生まれ育つ環境づくり、こういうことを進めていかなければいかぬ、かように考えているわけでございます。具体的には、子育てに対する相談体制、相談援助活動の充実、あるいは経済的な支援でございますが、児童手当制度の見直しとか、あるいは乳児保育、一時的保育などの保育事情の多様化に応じました対策、サービス、そういったものの拡充あるいは地域ぐるみの遊び場づくり、健全育成対策の推進、あるいは母子保健対策の充実等々のこういった総合的な施策を展開していかなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。
また御指摘のように、こういった問題については、これは私どもだけで対応できるというものではございませんで、労働省とかあるいは文部省とか、他省庁とも深くかかわり合いを持つ問題でございますので、こういったところとも連携を密にし、対策を推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
岡田(克)委員 これに関連しまして、児童手当制度のあり方について御質問したいと思います。
児童手当制度のあり方につきましては、昨年の七月に、早稲田大学の平田先生を座長とする六人の大学の先生から成る、児童手当制度基本問題研究会の報告書が取りまとめられたと聞いております。その後、児童手当制度についてどのような検討状況にあり、制度改正についてどのように考えておられるのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
津島国務大臣 児童手当の制度につきましては、平成三年五月までの措置として、特例措置、所得制限の強化であるとか、サラリーマンに対する特例給付の支給ということが実施をされております。
今後、この児童手当をどうするかということにつきましては、出生率が下がってきているとか、また女性が社会に進出して大いに御活躍をいただかなければならないとか、そういう社会の変化、それからまた児童や家庭を取り巻く環境変化などを踏まえまして、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを進める一環として、今申し上げました特例措置をどうするかということを初め、制度の見直しを行わなければならない段階に来ておると思います、重要な課題になっておると思います。このため、現在中央児童福祉審議会において、具体的な改正の方向について幅広い観点から審議を行っておるところでございます。
厚生省としては、二十一世紀の社会を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを進める一環として、広く国民の合意を得ながら、審議会の御意見を踏まえつつ、今後の制度のあり方を検討してまいりたいと思っております。
岡田(克)委員 児童手当制度につきましては、本日は十分な時間もございませんので、ここまでにしておきたいと思います。今大臣の御答弁の中にもありましたように、今後とも関係方面の意見を幅広く聞いていただくことを要望したいと思います。
次に、健康づくり対策についてお伺いをしたいと思います。
現代人の生活は、経済的に豊かになった反面におきまして、例えばカロリーとかあるいは塩分、脂肪のとり過ぎや、カルシウムの不足に見られる食生活面のアンバランス、あるいは運動不足や過労によるストレス等、健康面から幾つかの問題点が指摘をされております。厚生省はこういった事態に対して具体的にどう対処しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
長谷川政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のように、現代の社会がいわゆるカロリーのとり過ぎ、あるいは運動不足によりまして、国民の健康にいろいろ問題があるんじゃないかという御指摘に対しまして、私どもいろいろの対策を講じているわけでございますが、今先生のお尋ねにございましたように、食生活の面について申し上げますと、いわゆるバランスのとれた食生活を普及するために、従来からも保健所あるいは市町村保健センターを通じまして、いろいろ住民に対する指導等を行っているわけでございます。そのためには、栄養士さんあるいは保健婦さん等のマンパワーの養成と、配置に努めているところでございます。
それからまた、これらの事業をさらに進めますために、いわゆる食生活改善推進員というような地域ボランティアの養成なり、そのボランティアの活動の助成等も行っているところでございます。
さらに、具体的な栄養指導のための技術的な指針といたしましては、食生活指針やあるいは年齢、性別、日常の運動量に応じました栄養所要量といいますものを作成いたしますとともに、国民の栄養状況を把握するための国民栄養調査といいますものを行いまして、総合的に食生活の対策を進めているところでございます。
それから、運動不足あるいはストレスの問題でございますが、運動習慣の普及を民間活力を利用しつつ行うことといたしておりまして、マンパワーの養成や健康増進施設といいますものの認定を行っておりますほかに、休養のあり方の検討なども行っておるところでございます。
いずれにしましても、こういう国民の健康問題はこれから非常に重要な課題でございますので、いろいろの対策等を考えながらさらに努力してまいりたいというぐあいに考えております。
岡田(克)委員 特に国民の運動不足、これは成人病の原因にもなり、大きな問題であると考えるわけであります。健康づくりを推進する立場から、この運動不足の問題についてどのように対処していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
長谷川政府委員 先生からお話しございましたように、適度の運動といいますものは、心肺機能を高めまして血中コレステロールの値を抑制する等、成人病を予防いたしまして健康を保持増進する上で効果があることが認められております。しかしながら、国民の中では現実の問題といたしましては運動不足となっている者が多くございまして、適切な運動機会の普及は健康づくりにとって緊急の課題というぐあいに考えておるところでございます。
このために、運動を適切かつ安全に行う機会の拡大を民間活力を利用いたしながら行うことが重要であるというぐあいに考えておりまして、この観点から健康運動指導士、健康運動実践指導者の養成を行っておりますほか、一定の設備やマンパワーを有します民間スポーツ施設を厚生大臣が健康増進施設ということで認定した上に、認定施設に対しましては、社会福祉・医療事業団の融資等を行うことによりまして適切な運動の場の提供に努めているところでございます。
また、現在御審議いただいております平成二年度予算におきましては、新たに都道府県を実施主体といたしまして、民間の協力も得まして健康運動習慣の普及推進のための行動計画の策定、あるいは指導者の養成、また運動の場の提供あるいは運動体験の巡回車といいますものの配置等を行うというような事業を行うことといたしております。
いずれにしましても、こういうことで私ども、特に運動不足、運動習慣の普及にはかなりいろいろ知恵を絞りまして対策を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
岡田(克)委員 長寿社会を迎え、国民が生涯を通じて健康に過ごすことができるように成人病の予防、さらには健康の積極的増進を目指して国民の健康づくり対策に取り組むべきではないか、そういうふうに思うわけでございますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
津島国務大臣 本格的な長寿社会を活力のあるものにしていくためには、長い人生を健康に過ごせる社会環境をつくっていく必要がございます。若いうちからそのことに留意をして健康づくりを積極的にやっていただく、そういう気風をつくっていく必要があると思います。このために、国民の日常生活においてバランスのとれた栄養をとる、それから適度な運動をする、それから十分な休養をとるということを内容とする健康的な生活習慣を確立していくことが必要であります。私どもなどには大いに耳の痛い点がたくさんあるわけでありますが、私も厚生大臣に就任をいたしまして、改めて健康づくりを大いにやらなければいかぬなと感じておるところであります。
それで、厚生省では、従来から生活習慣を、今申し上げました栄養、運動、休養のいずれの面においても健康的なものにすることを目指して総合的な施策を進めてまいりましたが、特に六十三年度から運動習慣の普及に重点を置いた健康づくり対策を、アクティブ80ヘルスプランと銘を打って進めておりますが、平成二年度予算においてもその充実を図ったところでございます。今後とも積極的に進めてまいりたいと思います。
岡田(克)委員 まだまだ質問したいことはたくさんあるわけでございますけれども、時間も参ったようでございますので、きょうはここまでにさせていただきたいと思います。
最後になりますけれども、厚生大臣は先日の所信表明の最後に、行動する厚生省をモットーにしてこれからやっていくんだということを言われました。厚生大臣の御活躍を心より期待を申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。丁重な御答弁、大変ありがとうございました。1990