134回 衆議院・外務委員会,安全保障委員会,沖縄及び北方問題に関する特別委員会連合審査会
岡田委員 新進党の岡田克也でございます。
きょう私は、日米安保条約の関係を中心に議論したい、こう思っております。質疑ではなくて議論したいと思っておりますので、細かいことを聞くつもりはございませんので、ぜひ大臣の皆様からの御答弁をお願い申し上げたいと思います。
さて、日米安保条約の再定義の問題でありますが、村山総理は、日米安保条約がアジア・太平洋における平和と安定のために必要であるということを、首脳会談の際にもあるいは国会答弁でも何度も述べられているわけでありますが、このことの意味というものをもう少しわかりやすく、国民が聞いてもわかるように、ぜひ外務大臣にお答えいただきたいと思います。
河野国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、日米安保条約というものは、日本とアメリカという、それぞれが世界で最も重要な二国間関係と考える、つまり共通の価値観を持つ二つの国を結ぶ極めて重要なきずなということが一つあると思います。もちろん、我が国の安全のために存在するという大きな意味もあると思います。それと同時に、我が国周辺地域の秩序あるいは安定、そういったもののために役割を果たして、結果として周辺諸国がその安定の中に経済的な発展を遂げる、そしてそれが我が国を含めて周辺諸国の経済の発展に大きく寄与しているということもまた考えていいだろうと思います。
岡田委員 今周辺地域という言葉を使われたのですが、総理はよくアジア・太平洋という言葉を使うわけです。これは同義というふうに解釈してよろしいでしょうか。
河野国務大臣 使い方、使う場所がいろいろあろうかと思いますが、言ってみれば、アジア・太平洋地域の繁栄というものに大きく寄与している、こう考えていただいていいと思います。
岡田委員 それでは防衛庁長官にお聞きしたいと思いますが、去る十一月の一日に、東京においてペリー国防長官と日米防衛首脳会談を開催されて、共同発表がなされております。その中に、「両長官は、十一月の日米首脳会談」、これは延期をされたわけでありますが、「十一月の日米首脳会談が、両国にとって日米同盟が日本の防衛とアジア太平洋地域の平和と安定にとって引き続き有する重要性を再確認する歴史的な場となるとの認識を共有した。」こう書いてあります。ここで言う「歴史的な」というのは、何をもって歴史的というふうに考えておられるのでしょうか。
衛藤国務大臣 この「歴史的」という意味は、一つは、戦後五十年の節目に当たっていたというそのときであるということ。それからもう一つは、ポスト冷戦のときにありまして、国際環境の変化あるいは日本を取り巻く周辺諸国環境の変化、そういうものにしっかりと対応して、冷戦時代からポスト冷戦への新しい日米関係の安全保障体制、そういうものを再確認し、再定義していこう、また、大統領みずから来日をして村山総理とともに日米共同宣言を発出する、そういう意味ではこれは極めて重大なことでありますし、そういう意味で「歴史的な」という、そういうアクセントをつけたわけであります。
岡田委員 今私が読み上げた文章の中で、日本の防衛に日米同盟が重要である、これはいわば当たり前のことの確認だと思います。したがって、私は、「歴史的」という意味は、「アジア太平洋地域の平和と安定にとって」重要性を持つ、こういうことを認めたところに非常に大きな意義があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、長官の御認識はいかがでしょうか。
衛藤国務大臣 確かに委員御指摘のとおり、日米安保条約の中にうたわれている地域の安定と平和、そしてさらには、冷戦時代とは違いまして、冷戦崩壊後の大きな、北東アジアから総理の使うアジア・太平洋地域のことにまで、私どものこの日米安保体制が新しい平和の国際環境を構築する上で貢献していかねばならないという、そういうような強いインセンティブを持った表現、そういう意味でもあると思います。
岡田委員 今の長官の御認識は私の認識と同じであります。まさしくそういう意味で歴史的な意義があるんだ、こう思うわけであります。
そこで、アメリカ国防省の「東アジア・太平洋安全保障戦略」、東アジア戦略レポートというふうに言われているようでありますが、この中にも、米国の国益にとって、アジアにおいてアジア地域の平和にコミットすることが必要不可欠である、こういう表現が出てまいります。これも同じような脈絡でとらえることができるかと思います。簡単に言えば、安保条約に基づいて米軍が日本に存在をしている、そしてそのことがアジア・太平洋の平和のために非常に意義を持っている、あるいは積極的に、アジア・太平洋地域の平和、安定のために、日米条約に基づく米軍というものの存在が評価されなければいけない、こういうことだと思うのです。もし、どこでも結構なのでありますが、例えば南アジア地域で何か具体的な紛争が起きたときに、米軍がそれに介入をする、こういうことは当然考えられると思うのですが、いかがでしょうか。そういう可能性はないというふうにお思いでしょうか。
折田政府委員 東アジア戦略報告書の書き方でございますが、私の方からちょっと御説明させていただきますと、今委員御指摘のように、アメリカにとってアジアにコミットすることは不可欠であるという趣旨の表現で記述がございます。この趣旨は、アジアにおける米国の前方展開戦力は、米国の同盟国に対する侵略の抑止を支援し、同地域の国々の政治経済的発展に貢献したというふうにもなっておりまして、地域諸国に対するアメリカのコミットメント、それからこれに基づきます前方展開戦力は、まず第一義的には、地域におきます侵略や紛争を未然に防止する抑止力として機能することが期待されているということでございます。
では、現に紛争が発生したらどうかということでございますけれども、米軍がいかなる行動をとるかにつきましては、アメリカの国防政策なりそれぞれ関係諸国との安全保障上の諸取り決めがあるわけでございますので、それに従いまして適切な行動がとられるというふうに承知しているところでございます。
岡田委員 もちろん、そういった紛争が発生した場合に、一義的には国連で紛争処理に当たる、当然のことだと思います。しかし、国連がうまく機能しないような場合に、今までの例から見て、アメリカ軍あるいは多国籍軍、いろいろな形でこういう紛争に介入をしていくということは当然あり得る話だ、少なくとも論理的にはあり得る話だ、こういうふうに思います。
そこで、仮に南アジア地域で紛争が起きた場合に、日本の基地から在日米軍がそこに出ていく、こういうことは当然あり得ると思いますが、いかがでしょうか、大臣。
河野国務大臣 我が国から米軍が出ていくという、まさに議員がおっしゃる出ていくという言葉がなかなか微妙な言葉でございますが、日米安保条約について言えば、我が国に基地を置く在日米軍の活動の範囲は、「極東」という一定の範囲を日米安保条約の六条に書いてございます。しかし、それはあくまで我が国を基地として出撃するといいますか、そういうことであろうかと思います。
今議員が仮定の問題として提起をされました事柄、まさに一定の仮定の上に議論をするといたしますと、出ていくという表現はどういう意味を持つかということについて少し厳密に規定しなければならないというふうに思います。
岡田委員 この点はいろいろ長い歴史のある議論でありまして、かつてベトナム戦争の時代に、日本の基地から米軍が出ていく場合に、フィリピンの例えはクラーク空軍基地を経由して行く、フィリピンは極東の範囲内に入る、そして、クラーク基地から先どこに行くかは日本は関知しない、こういう論理構成で今までベトナムの場合は容認していた、こういうふうに思うわけでありますが、こういう解釈といいますか、それはこれからも維持されるおつもりですか。
林(暘)政府委員 長年にわたって御答弁してきた話でございますが、第六条で「極東」という文言が使われているわけでございますけれども、この極東という地域、これは、日本がアメリカに基地を提供して、その基地の使用目的として、それが極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する、その目的のために基地を提供しているのだということになっておるわけでございまして、日本にあります米軍が行う行動の範囲が必ずしも極東に限られているというわけではございませんで、安保国会の当時に、極東の周辺という言葉が、これは条約にはございませんけれどもありましたように、極東の周辺地域における状況が今申し上げました極東の平和に対して脅威になっている、ないしは極東の平和を脅かすことになっているという場合に、米軍がそこに行動範囲を延ばすということは否定をされていないわけでございます。
それともう一つは、日本の基地から米軍が移動していく、それがインド洋であれ中東であれ、またベトナムであれ、移動していくということはこの安保条約上禁止をされていない。自由に行い得るということになっておるわけでございまして、米軍が移動するような場合、それから、日本の基地を基地として使って戦闘作戦行動をする場合、これは分けて考えなければいけないことになっていると思います。今先生が御指摘のような、どちらかというと日本の基地を戦闘作戦行動の基地として使うということでいえば、第六条にありますように、極東の平和と安全の維持に寄与する目的のためにしか日本の基地というのは使えないということであろうと思って、その点は変わらないというふうに我々は解しております。
岡田委員 おとといですか、野坂官房長官が記者会見で、クリントン大統領に対して、日米安保条約の適用範囲を極東から拡大しないように首脳会談で求めるつもりである、こういうふうに言われたと聞くわけであります。恐らくクリントンさん、びっくりするだろうと思うのですね。お互い歴史的な場となる、歴史的な意義を有するという先ほどの防衛首脳の共同声明で、何が歴史的かといえば、この安保条約というものをアジア・太平洋地域全体の平和と繁栄のために使っていくのだ、そのところが歴史的だと言いながら、実際はこの安保条約は極東に限定したものですよというのは、そこに非常に大きな矛盾があると私は思うわけであります。その点について、防衛庁長官、何か御意見はありますでしょうか。
衛藤国務大臣 第六条にうたう極東条項というものは、これは限定されるものでありまして、結果として日米安保体制がアジア・太平洋地域の安定と平和に、そして国際秩序といいますか平和の環境整備にも貢献をしていく、私はこのように理解をしています。
岡田委員 やはり相当かつての冷戦時代の安保条約の解釈、これしかなかったのかもしれませんが、私は、そろそろ現実に合わせて条約そのものを変えていく、そういう努力をすべきではないか、こんな気がいたします。
極東条項そのものはあっていいと思いますが、それ以外にもう一つ、例えばアジア・太平洋条項というものを置いて、そしてきちんとそれを安保条約の中に位置づけていく、こういうことがなければ、幾ら共同宣言や首脳会談で安保条約の再定義をしても、条文上それが出てこないということでは非常にわかりにくいわけであります。
しかも、私は、実害があるというふうに申し上げたいと思います。今のやり方では実害がある。それは、今の安保条約で、六条の問題であれば事前協議の対象になりますね。それでは、先ほど言いました、極東の範囲を超えてアジア・太平洋一般に米軍が出ていくときに、これは事前協議の対象になりますか。
林(暘)政府委員 六条の事前協議の対象になりますのは、委員御承知のとおり三つございまして、今御指摘の事項というのは恐らく戦闘作戦行動の部分だろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、米軍が日本にあります基地を使います目的というのは、日本が攻められた場合にはもちろん日本の防衛のためにありますけれども、そうでない、日本以外の場合には、極東の平和と安全の維持のためでございます。それのために米軍が日本の基地を基地として戦闘作戦行動に出る場合には、当然のことながら事前協議の対象になります。
岡田委員 今私が申し上げたのは、極東以外のアジア・太平洋地域で何らかの紛争が起きた、そこに米軍が出ていって介入をする、こういう場合に事前協議の対象になりますかということを質問いたしました。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
林(暘)政府委員 具体的にアジア・太平洋地域で何か事態が起こったときに米軍が出ていくという表現で事前協議の対象になるかどうかと言われると、非常にお答えしにくいわけでございますけれども、従来から御答弁申し上げておりますように、事前協議の対象になりますのは戦闘作戦行動に出ていく場合でございまして、戦闘作戦行動というのは、基地を立つときにいわゆる戦闘作戦のための命令を受けて出ていく、そういう行動で出ていく場合には事前協議の対象になります。
ただ、アジア・太平洋地域と申しますと非常に広い範囲でございまして、そこで何か事態が起こったときに、先ほどから御答弁申し上げておりますように、日米安保条約に言う極東の平和と安全の維持のために、ないしは極東の平和と安全が脅かされている事態になっているかどうかということも、当然のことながらその前段階として勘案をしなければいけない事態でございますし、そういう意味で、先生の御質問に一般論で概括的にお答えするのは非常に難しいわけでございまして、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないというふうに思っております。
岡田委員 それではもう少し端的にお聞きしますが、かつてベトナム戦争時に、日本の基地からクラーク米軍基地を経て出撃した爆撃機について、これは事前協議の対象になっておりましたでしょうか。
林(暘)政府委員 御指摘のような過去の状況において事前協議を受けた例はございません。
岡田委員 そういった極端なケースでも事前協議の対象になっていなかったということですと、どこかを経由すれば、極東以外の地域で何か紛争が起こって米軍が介入するという場合にはほとんど事前協議の対象にならない、そういうふうに言わざるを得ないわけであります。そういうことになったときに、本当にそれでいいのか、こういう問題があるだろうと思います。
かつての冷戦時代であれば、日本とアメリカの相手方といいますか共通の敵といいますか、そういうものがまだはっきりしていたと思うのです。ベトナム戦争はちょっと違う事例かもしれませんが、おおむねはっきりしていた。しかしこれから、冷戦が終わって、そして紛争の形態も多様なものが予想される、民族紛争、宗教紛争、その他いろいろある。そういう中で、日本の国益とアメリカの国益が一致するとは限らないという事態が必ず起こってまいります。
したがって、先ほど来のケースで米軍が日本の基地から出ていくときに、やはり日本としてはノーと言わなければいかぬ場合があるかもしれない。その根拠が今ないわけであります。その事態について、外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。大臣にぜひお答えいただきたいのです。
林(暘)政府委員 前段階にちょっと法的なことだけ申し上げさせていただきたいと思います。
一つはっきりさせておかなければいけないと思いますのは、極東の範囲であれば事前協議の対象になって、極東の範囲以外であれば事前協議の対象にならないということではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、戦闘作戦行動に出ていく場合には事前協議の対象になる、戦闘作戦行動でない場合には事前協議の対象でないということでございまして、それは事前協議の対象になることが地理的範囲によって区別をされているということはございません。その点だけちょっと申し上げたいと思います。
河野国務大臣 日米関係というものはでき得る限り緊密な連携をとりながら進まなければならないと思います。今委員は、日米で必ずしも共通の利害でない場合もあるかもしれないというお話がございました。あるいは、厳密に言えばそういうこともあるかもしれません。しかしながら、少なくとも、現在日米両国においては、共通の価値観を有しているということはお互いに認め合っているところでございます。
共通の価値観を持ち、そして緊密な連絡を常時とり合うことができる、そういう状況下で、私どもは、双方が考え得る判断というものはそう違わないものであろうというふうに思っております。つまり、そう対立したものにはならないのではないか。したがって、少なくとも現在の日米安保条約という、お互いが守るべき条約に基づいて、このルールのもとにきちんとした作業ができるであろうと思います。
岡田委員 私も、アジア・太平洋地域において、日米が中心になってお互い協力しながらこの地域の平和と安定を図っていかなければいけない、そのことについては全く異論はございません。しかし、そのことはアメリカの行うことが一〇〇%正しいということでは決してないと私は思います。個々に見ていけば、アメリカの意思決定というものも我々から見て納得しがたいものも当然あるわけであります。そういうときに、我々として、アメリカに対して、あなたのやっていることはおかしいのではないかということをきちんと協議をするだけの根拠がなければ、結局それはアメリカの決めたことに盲目的に追従するにすぎないのではないか。
そういう意味で、私は、事前協議の対象というものをそういった極東に限らず、あるいは先ほど戦闘作戦行動と言われましたけれども、そういったものに限らず、もっと広げておく必要がある。そのためにも、安保条約の中の極東条項というものを拡大する必要があるのではないか。アジア・太平洋の平和のために安保条約が大事だ、それは歴史的なことであるというふうにおっしゃるのであれば、この際、当然条約もそれに合わせるべきではないか、このように考えているところでございます。もう一度御見解を聞きたいと思います。
河野国務大臣 私は、今議員のお話しの問題を余り安保条約とか軍事力に絞って考えてはいけないのではないかというふうに思います。アジア・太平洋におきましては、今日ではARFを初めとしてさまざまな、安全保障について論ずべきテーブルもございます。さらには、先般終わりましたAPECもそうでございますけれども、ASEAN拡大外相会議もそうでございますが、アメリカを含めて、アジアあるいはアジア周辺地域の問題についてお互い議論をする場がございます。そうしたマルチの場でも十分議論をしたらいいと思います。
確かに、それぞれの国は国益を持っておりますから、我々から見て少し出過ぎでないか、行き過ぎでないかという部分があれば、我々はそこで率直に指摘をしたらいいと思いますし、それが軍事行動をとるかどうかというところまで行って議論をするずっと以前に、ずっと以前というのは少し言い過ぎかもわかりませんが、そうしたことを未然に防止するというくらいの段階で、我々は率直に友人として忠告もするし問題提起をしたらいいという、日米関係というのはいわばそういう仲にならなければならぬと思っております。
岡田委員 大臣の御答弁でありますけれども、今その安保条約の再定義の議論をしておりまして、しかも軍事行動を伴うような場合にどうしたらいいかという議論をしているわけであります。もちろん、そういうことにならないように最善の努力をするのは当然であります。しかし、そうなったときに、我が国として何も法的にあるいは条約上根拠がないという今の事態が本当にいいのだろうか、そういうものがないままにこれだけ広げていっていいのだろうか、そのことを問題提起をしているわけであります。
私は、あわせまして、安保条約についての期限の問題も指摘をしておきたいと思います。
現在のようなものではなくて、やはり明確に十年なら十年という期間をつくって、もちろんその後また延長していくことは可能でありますけれども、この十年間は安保条約は守っていくんだということをきちんとすべきではないか、こういうふうに思っております。これだけ日米安保条約がアジア・太平洋の平和のために重要である、こういうふうにおっしゃるのであれば、しかも日本の安全にとっても重要であるということであれば、余り不安定なものにせずに、きちんと長期間安定的なものにしておくべきではないか、このように思うわけでありますが、この点についても御意見を聞きたいと思います。
河野国務大臣 安保条約の上での問題だという前段の御指摘がございました。したがって、それについてまず申し上げれば、まさに安保条約の再確認をしようというこの時期、我々は極東条項について変更をしなければならない大きな意義を今見つけておりません。現在の状況でも、十分にアジア・太平洋地域の平和と安定という点に意味のあることになっているというふうに思っております。
それから後段の、期限を設けてはどうかという御提言でございます。これはかってそうであったわけでございますけれども、もちろん、日米安保条約についてさまざまな議論、さまざまな意見があるのは当然ですし、あってそれは結構だと思います。ただ、私どもは、日米関係というものは期限を切って考えるものではなくて、むしろそうしたものを期限をつけずに十二分に、両国関係というものはお互いに不可欠の存在だというふうに考えていくべきものではないかというふうに考えております。
議員の御提案は、例えば十年なら十年といえばその十年間は非常に安定するではないか、てういう視点に立っての御提言で、それはその意味も私はわからないではございませんが、私は、むしろ両国関係というものはお互いに不可欠の存在になっている、したがって、いつまでというふうに期限を切るよりは一現行の方がよりよいのではないかというふうに考えております。
岡田委員 なかなか厄介な安保条約でありますので、これをいじり出すともう収拾かつかなくなる、恐らくそういうお考えで政府の方は解釈その他でやっていこうということだと思いますが、日米安保条約がいかに重要であるかということを国民に理解させるためには、やはりそういった改正も含めて大いに議論をしていく、そのことは非常に大事ではないかというふうに思って提案をさせていただいた次第でございます。もちろん、そういう議論を本来すべきは国会の場でありますから、私ども自戒の念を込めて申し上げているわけでございます。
時間もなくなりましたので、最後に、沖縄の基地の問題を一言申し上げたいと思います。
私ども新進党も沖縄の基地の視察に行ってまいりまして、いかにこの問題が難しいかということを実感してまいりました。それから、先ほど上原先生のお話にも出てまいりましたけれども、在日米軍が四万七千人ということを前提にしたときに、もちろんいろいろやる余地はあっても、根本的な解決にはなかなかなっていかない、これは事実であります。
そこで私は、予定されております日米前脳会談におきまして一つの提案をしてはどうか、こういうふうに考えております。
その提案といいますのは、現在のこの四万七千人体制というものは、やはり現在の極東情勢ということを抜きにしては考えられないことだと思います。もっと端的に言ってしまえば、朝鮮半島に一定の安定がもたらされた場合には、在日米軍の中の海兵隊を中心ということになると思いますが、それを大幅に削減をする、こういう将来の約束を日米間でする、そのことを日米首脳会談で提案をされる。将来のことでありますけれども、そのことが沖縄の皆さんにとっても、将来基地が非常に整理されるという約束を与えることになる、このように思うわけでありますが、私の提案についての御意見を聞かせていただきたいと思います。
河野国務大臣 四万七千人という体制について、これもまたアメリカはアメリカでさまざまな角度から検討をして決めた数字であろうかと思いますが、それについて今議員は、特定の、つまり朝鮮半島なら朝鮮半島という特定の部分の状況が改善されればといいますか、こちらをこうするぞという提案をしてはどうかというお話でございますが、これらの問題、すなわち我が国の防衛という問題はあらゆる角度から総合的に検討をして出された結論であって、一カ所が改善をされたということで直ちにどこがどうなるということを今決定的な数字を挙げて提起をすることは難しいのではないか。難しいというのは、提起することが難しいというのではなくて、そういう判断を、この部分がこうなればこれだけ要らなくなるではないかという計算をすることは非常に難しいのではないかというふうに思うわけでございます。
これはいずれにせよ、我が国周辺にさまざまな要素があって、この部分がこうなれば今度はこっちがこうなるかもしれないとか、いろいろなことを考えた上での数字でございましょう。それらについて、もちろん我々は我々として主張すべきは主張していかなければならないと思いますが、今議員の御提案のように、ここがこうならこうという仕方の提案というものが果たして先方に対して説得力があるかどうかということをよく考えてみたいと思います。
岡田委員 これで終わりますが、最後に私は、海兵隊というのは朝鮮半島を念頭に置いたものである、もちろん将来また新たな事態が発生する可能性もありますから、それでもう要らないということは断言できないと思いますが、朝鮮半島に安定的な状況が訪れれば海兵隊の存在というのは失われるであろう、こういうふうに思っております。
終わります。