140回 衆議院・厚生委員会
岡田委員 池田さんにちょっとお聞きしたいと思います。
池田さんのお話をずっと聞いておりまして、大変共感できるところが多かったというふうに思っております。特に、市民参加という観点で幾つかの御提案をされました。それから、選択の自由ということも言われました。おっしゃるとおりだと思います。したがって、いろいろさらに意見交換をしながら、いい制度にしていきたいと私ども考えております。私ども、入り口のところで、税か保険かというところで考え方が違うわけですけれども、だからといって、個々の中身について、入り口が違うからそれで終わりということではなくて、少しでもいい制度になるようにいろいろな形で議論をしていきたい、こういうふうに思っております。
そこで、池田さんの御意見を聞きたいのは、そういう修正ということを考えていくときに、当然、法案修正ということになってくるわけであります。そのためには、もう少し議論もしなければいけない。しかし、率直に申し上げて、この委員会の中にも、ある程度審議もしたからもうそろそろ採決したらどうか、こういう声がございます。そういうことについて、池田さんとしてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
池田参考人 まず介護保険を論ずるスタンスのことで、少しずれてしまうかもしれませんが、御説明申し上げたいのは、介護保険を租税でとらえるのか社会保険でとらえるのかという議論は、もうちょっとちゃんと整理する必要があるのじゃないかと思うのです。
実は私、介護保険という制度は、少なくとも三つの国の特徴を寄せ集めた混合体だと思っております。
例えばサービスの提供システムというのは、ケアマネジメント・システムが入っておりますが、これは基本的にイギリスあるいは北欧の租税負担方式のところなんですね。ですから、サービスの動きを見てみますと、比較的、租税負担方式の北欧型に近い。
それで、名前は介護保険でございますから、これはドイツと同じでございますし、定額給付というところもドイツ介護保険と非常に似ているところがあります。ところが財政は、御存じのとおり、ドイツ介護保険というのは税金が一切入っておりません。社会保険料だけで行われておりますから、日本の介護保険はドイツの介護保険とは似ても似つかないものである。
それじゃ一体何なのかといいますと、先ほど滝上先生の方からも指摘がございましたけれども、これは半分税金です。三三%が第二号保険料と言われる、四十歳から六十四歳までが出す、これは拠出金ですね。保険料というよりは、拠出金的な性格が強いものです。したがって、一七%の第一号保険料、これが純粋の給付と負担の相関関係がある保険料と言えるわけです。したがって、これは一七%の社会保険なんです。
それじゃ、それは一体どこに例があるかといいますと、アメリカのメディケアのパートBがこれに該当するのではないかと私は思っています。パートAが入院で、パートBが外来なんですが、パートAは確かに全額税金で賄っておりますが、パートBの方は二〇%を高齢者の保険料で賄い、残り八〇%を連邦予算ということで税金で賄っている。
そういう、言ってしまえばさまざまな国の特徴を集めたごつた煮的システムといいますか、あるいはアジア的システムといいますか、日本的システムといいますか、だから理論モデルでけんかをしても意味がないところがあるのです。だから、そういったモデルが日本になじむかどうか、もしなじむとするならば、それをどのような形で効果的に、要するにベストミックスにしていけばいいわけで、下手するとワーストミックスになるわけで、どうやってベストミックスをつくっていくか、その議論が必要だろうと思うのです。
そこで、そういう議論を踏まえた上で、私、実はこの厚生委員会の議事録、まだ全部持っておりませんので読んでおりませんから、どこまで議論がされたかということについては中途半端な見解しか持っていないのですけれども、少なくともまだ議論は足りないというふうに市民は見ている。それは皆さんの議論が足りないせいではなくて、マスコミが報道してくれなかったということがあるかもしれません。しかし、今の段階できちんとした修正論議を行わずにそのまま法案というものが成立していくとなると、これは一体何だという意識が必ず市民の中に起こり得ると思います。
したがって、私は、もう少しきちんと議論をしまして、そして、本当に修正というものをどうするのだと。それで、修正をすれば、とりわけ私たちが出しているのは市民修正ということで、一種の市民立法的な政治的性格を持っておりますから、それがここで実現したとなると、これは新しい局面を開いたわけですから、そのこと自身が逆に国民に対する政治的な感覚というものを変えていく可能性もあるので、そういった意味では、拙速ではなくきちんと議論をして、本当に修正というものを避けないで議論をして、介護保険制度それ自身は早期に施行した方がいいと私は思いますけれども、そういった手順をとっていただきたいというのがお願いでございます。
町村委員長 瀬古さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
時間がございませんので、限って質問させていただきます。
上谷さんと森さんに御質問いたします。
一つは、低所得者層への費用負担の問題なんですが、上谷さんが二十四時間ホームヘルプ体制など大変厚い介護の体制を引いてみえるわけですけれども、それによって低所得者層への費用負担がどうなっているのか。これは、介護保険が実施されるとどのようにその点をお考えなのか。
森さんの方には、先ほど痛ましい事例も御報告されて、大変私も胸が痛みました。これも、実際に森さんの病院などで扱っているケースの中で大変そういう低所得者の方々などもおられると思うのですが、具体的なケースでどのようになるのか、その点を教えていただきたいと思います。
それから、森さんの方で出された資料の中で、「在宅患者の施策活用状況」で「必要だが活用していない理由」というのが一覧表になって出ておりましたが、具体的にどういう、本当は必要なのに現行の制度が不備で使えないのか、その点、よろしくお願いいたします。
以上です。