145回 衆議院・予算委員会
岡田委員 まず、日米防衛協力のガイドライン関連法につきまして、簡単に質問をさせていただきます。本来的には、特別委員会も設置が決まりましたので、その場で本格的にさせていただきたいと思いますが、その導入ということで、二点ほど質問をさせていただきます。
まず、邦人救出の件であります。邦人救出の規定というのは、もう既に自衛隊法の百条の八「在外邦人等の輸送」という規定がございます。先般のインドネシアでの問題が発生したときに、自衛隊機がシンガポールに行った、こういうことがございました。
そこで、防衛庁長官にお聞きしたいのですけれども、この百条の八にいろいろ書いてございます。「長官は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があつた場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、」云々かんぬん、こういうふうに書いてあるわけですけれども、そのインドネシアの際に、ここに書いてある要件、すなわち「外国における災害、騒乱その他の緊急事態」であるという判断を防衛庁長官としてした上で自衛隊機の派遣を決定されたのか、それともそういう判断はしていないのか、いずれでしょうか。
野呂田国務大臣 これはもとより、主体的には外務大臣が判断し、要請してくるわけでありますが、私どもも、その要請を受けて、ここに書いてあるような判断をした上で行動をとるわけであります。
岡田委員 外務大臣、それでよろしいんですか。これは予備的な派遣ですから、そういう判断をされて派遣したんですか。外務大臣からの協議もなかったというのが実態なんじゃないでしょうか。
佐藤(謙)政府委員 自衛隊法の百条の八で、そういう事態のときに、外務大臣から依頼があった場合に、それに応じて対応するということでございますが、先般の場合には、現地の情勢の急変等によりこういった依頼をする可能性があるとの判断が外務大臣から示されまして、それに応じて自衛隊として行動をとったということでございます。
岡田委員 そういう認識が示された、こういう話でありますが、この百条の八にある要件に該当するということがそのときに確認をされて出したんですか、それとも、そういうことではなくて、予備的にお出しになったんでしょうか、いずれなんでしょうか。
柳澤政府委員 いずれにいたしましても、当時の状況で申しますれば、外務大臣から防衛庁長官に対して、邦人の輸送が必要になる事態があり得るということで、準備に万全を期するためにシンガポールに移動させるということについての依頼がございまして、防衛庁としても、その依頼を受け、また独自の情勢判断の上で出すことを決定したということでございます。
岡田委員 では、外務省にお聞きしますけれども、今、依頼とか情勢判断とか、いろいろな言葉を使われたのですが、百条の八に規定をする正式な協議というものを外務大臣は防衛庁長官にされたんでしょうか。
東郷政府委員 私の記憶で申し上げて大変申しわけないのでございますが、当時、インドネシアの状況が急変しておりまして、ただいま防衛庁の方から御答弁申し上げましたように、邦人救出が必要となるような事態があり得るということを防衛庁の方にお伝え申し上げたというふうに記憶しております。
岡田委員 なかなか素直にはお答えいただけないのですが、そういう状態急変があり得るということで依頼をしたということでありますが、これは百条の八に基づく法律的な要件を満たしたということでの協議ではなかったはずであります。ですから、予備的な派遣ということになったはずですね。ということは、逆に言いますと、この百条の八に書いてあるようなことが全くなくても、防衛庁長官の判断で、協議すらもなく自衛隊機を出せるということに私は論理的になると思いますが、いかがでしょうか。
野呂田国務大臣 これは、あくまでも外務大臣からの依頼に基づき、依頼があったときに、安全性の問題等を外務大臣と防衛庁長官が協議して決めるわけで、防衛庁長官が単独で、勝手にそういう行動をとるということは毛頭考えられません。
岡田委員 それは非常におかしな話でありまして、百条の八に基づく正式な邦人救出のための自衛隊機の派遣であれば、百条の八に書く要件を満たして、その上で派遣をされるわけでありますが、そうじゃなくて予備的に派遣をしたということでありますから、百条の八に関係ないわけですね。そういう意味では、百条の八に書いてある要件を満たさなくても出せる、こういうことだと論理的に思います。いかがでしょうか。
東郷政府委員 お答え申し上げます。
今お話ししておりますようなインドネシアの例に見られますように、現地の情勢が急変いたしまして緊急事態となった、こういう状況のもとで、この法律の同条第一項に規定する依頼を外務大臣が行う可能性があり、かつ、その場合、邦人輸送を行うのは、遠隔地でもあり、航空機または船舶の速度、航続距離、任地までの距離等を考えますと、緊急事態発生後、本邦から出発したのでは、この条に定める任務の性質上、その遂行が適切に実施し得ない可能性があるという場合が考えられると思います。
こういう場合に、依頼をする可能性があるとの判断が外務大臣から示された場合に、防衛庁長官におかれましては、自衛隊の航空機または船舶を隣接国または領海外まで移動、待機させることは、今申し上げましたこの条の趣旨等にかんがみまして、緊急事態における邦人等の輸送という任務の性格上、この条を根拠とする準備行為として実施し得るのではないかというふうに考えて、かく取り計らった次第でございます。
岡田委員 今、私の言ったことを裏側からお認めになったと思うのですが、外務大臣が依頼する可能性がある場合にというふうにおっしゃったわけですが、ということは、これは正式な依頼じゃないということですね。
私も、ああいった事態での予備的な、準備行為的な派遣というものをもちろん否定しているわけではありません。いろいろな現実を見たときに、そういうものも必要だと思います。ただ、法律上そういうものが非常に不明確になっているということは私は事実だと思うのです。
そういう意味で、今回、百条の八を改正して艦船まで入るということになりますと、その艦船の中には恐らく自衛艦等も含まれてくる可能性があると思うわけですけれども、飛行機の場合には主として輸送の用に供するという歯どめが一つかかっておりますけれども、艦船についてそれが広がるということでありますと、そこはより慎重にしなければいけない。そういう意味で私は、準備行為的な自衛艦あるいは輸送機の派遣についても法律できちんと規定をすべきである、こういうふうに思っているところでございます。
自治大臣がどこかへ行かれたんですが、自治大臣にちょっとお聞きしようと思っていたんですが。――私が今申し上げたことについて、外務大臣、何かコメントございますか。防衛庁長官。
野呂田国務大臣 自衛隊が活動する際にいろいろの準備を行うことは当然であります。そして、自衛隊の活動の準備といっても、輸送手段の移動から必要な物資の集積等、その内容はさまざまであります。その一々を仮に明文で規定するということになると、これは大変困難であると思います。また、そのうち一部を法文上明文で規定した場合、その反対解釈として、明文規定としていない準備については実施できないのではないかといった疑義を生む可能性もあります。
したがって、在外邦人等の輸送を規定した百条の八の準備行為のみ取り出して明文で規定するということは、他の自衛隊の活動の準備との整合性という観点からも好ましくないと考えております。
岡田委員 防衛庁長官に聞きますけれども、今度、改正で艦船が入るというときに、例えばそれは、武装した自衛艦は排除されるんですか。
柳澤政府委員 今御指摘のように、今私どもがお願いしている百条の八の改正案では、自衛隊の艦船も邦人の輸送に使えるようにするということでございまして、その場合、いろいろの状況を考えまして、私どもとしては、できれば当該船の防護の任務も与えた形で実施したいということでございます。
岡田委員 私は、そこまでいきますと、そしてかつ、百条の八ではなくて、その準備行為ということで、いろいろな要件がないままにそういった自衛艦まで出すということになると、かなり従来とは違う話になるんじゃないか、そういうふうに思っているわけでございます。
そこで、自治大臣、お待ちしておりましたが、新進党時代に、この百条の八の準備行為についても法律をつくって、我々として修正案を出そう、こういう話をしておりましたが、自治大臣は、そういった準備行為について、法律できちんと規定をするということについてどのようにお考えでしょうか。
野田(毅)国務大臣 新進党時代、そのことを岡田委員も一緒に勉強して検討したことがあったことはそのとおりです。
ただ、ちょっと、今急なことで、その当時のことを全部つまびらかに思い起こしておりませんが、確かに、御指摘のとおり、すべて準備行為という中で何でもできるというイメージがあってはよくないだろう、それはそのとおりだろうと思うんです。しかし、一方で、その辺のどこまでを準備行為としということはなかなか難しい部分が、かなり専門的な部分があると思います。
それから、目的は何かというと、最も効果的に救出をすることに意味があるわけで、それに資するような法体系ということを考えるべきなんで、余り歯どめの方から先に入るよりも、この目的というのは、効果的な邦人救出ということにターゲットを絞った一つの整理ということがあっていいんじゃないか、このことがあのときの一つの検討するテーマであったと思っています。
具体的、技術的、専門的なことについては、ちょっと、私も今ここで確たることを申し上げることは控えたいと思います。
岡田委員 これ以上の議論は特別委員会で議論したいと思いますが、例えば、騒乱その他の緊急事態になるおそれがある場合とか、それからそういう場合も外務大臣が協議しなきゃいけないとか、そういうことを要件として置いておく、そういうことは私は必要なことじゃないかなと。そういうこともなしで、何でもいいから準備行為の名のもとに出せるということは私は通らない、そういうふうに思っております。
それからもう一点、このガイドラインの関係でお聞きしたいと思いますが、法制局長官にお聞きをします。
以前もちょっと申し上げましたが武器の使用と武力行使の関係ということが、PKO法を、八年前でしたか平成三年ですね、議論したときに大きな議論になりまして、政府の統一見解も出ているわけであります。
今回のそのガイドライン関連法、周辺事態法の中で、武器の防護のための武器使用、自衛隊法九十五条の適用が排除されていないということでございます。したがって、武器の防護のための武器使用は周辺事態においてできるということになっていると思いますが、この平成三年九月二十七日の統一見解では、そのPKOにおける武器の使用が憲法の禁ずる武力行使に当たらない理由としてこういうふうに言っているんですね。
「例えば、自己又は自己と共に現場に所在する我が国要員の生命又は身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであるから、そのために必要な最小限の「武器の使用」は、憲法第九条第一項で禁止された「武力の行使」には当たらない。」
ここで言う自己保存のための自然権的権利という理由でありますが、これは武器の防護のための武器使用にも同じような論理が適用されるんでしょうか。
大森(政)政府委員 ただいま委員が引用されました冒頭の言葉、「例えば」という言葉が入っていますのが本件をカバーし得る言葉でございまして、あくまで自己保存のための自然的権利に当たるからそれはいいんだというのは一例でございます。
したがいまして、この自衛隊法九十五条による武器使用と申しますのは、自己保存のための自然的権利に当たるからいいということじゃございませんで、もう一つの類型が、やはり認められる類型があるであろうという、そのもう一つの類型に当たるということでございます。
なぜそうかということまで理由を……
岡田委員 結構です。私もそういうことだと思います。
そこで、しかし、ここにはもう一つの類型というのは書いてないわけですね。例えばということで、今の自己保存のための自然権的権利ということが書いてあるだけで、もちろん、例えばですから、それ以外のものを認めていないわけではございません。しかし、では、武器防護のための武器使用というのは、例えばという書き方にした場合にどういう理由になるんでしょうか。
大森(政)政府委員 自衛隊法九十五条による武器使用、これは、我が国を防衛するための重要な物的手段である自衛隊等の武器等の破壊や奪取から当該武器等を守るため、武器等の警護に当たる自衛官に、極めて限定的かつ受動的な条件のもとで認められた必要最小限度の行為であるという、重要な自衛手段の物的保存のために認められた最小限度の行為であるということが理由でございます。
岡田委員 今の御説明は、我が国が侵略を受けたときの防衛出動の場合にはそういう議論はできると思いますが、周辺事態法に基づく自衛隊の出動の場合には我が国を防衛するための武器だという議論は私は通用しないと思うんですが、いかがでしょうか。
大森(政)政府委員 自衛隊法九十五条は、防衛出動命令があった場合という限定は確かになされておりません。それは当然のことでございまして、いざ、我が国が侵略を受け、それに対して防衛出動を行う際に、肝心の重要な物的手段が破壊されている、あるいは損壊されているということがあってはいかぬものですから、常日ごろ、一定の限られた要件のもとで、重要な物的手段の物的保存を行っておく必要があるんだということが理由でございます。
岡田委員 この議論は、時間もありませんので、後でじっくりやりたいと思いますが、今の話はちょっと私は通用しないと思いますね。大事な宝物だから、将来とっておかなきゃいけないからいいんだ、そういう理屈のようにお見受けしますが、私は、もう少し、この平成三年九月二十七日の統一解釈について手を加える必要があるんじゃないか、そういうふうに思っております。
九十五条の適用そのものを排除しろというところまで今言うつもりはありませんが、今のこの統一見解ではとても読めないんじゃないか。余り無理してやるということで憲法の禁ずる武力行使というものがあやふやになってしまうということを非常に恐れるわけでありまして、そういう観点で特別委員会でじっくり議論をさせていただきたいと思います。
それでは、次に参りたいと思います。外務大臣と防衛庁長官、もう結構ですから。法制局長官も結構です。
公共事業予備費についてお尋ねをしたいと思います。
憲法八十三条は、財政における国会中心主義を定めております。それから、八十五条も、国費の支払いは「国会の議決に基く」というふうに書いてあるわけでございます。予備費というのは、その憲法八十三条、八十五条の重要な例外でありまして、憲法八十七条に、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の」承認を受けなければいけない、憲法上、そういうふうに規定をされているわけでございます。
そこで、今回の予算におきまして公共事業予備費五千億円が計上されているわけでありますが、この公共事業予備費が使われる場面、つまり、憲法で言う、あるいは財政法で言う「予見し難い予算の不足」というのは、この五千億円についてはどういう事態を想定しておられるのでしょうか、大蔵大臣にお伺いします。
宮澤国務大臣 まず、この予備費の使用の対象でございますが、国債発行対象経費であります公共事業関係費とその施設費に限定をするというのが公共事業予備費といたした理由でございますが、つまり、こういう見通しにくい経済状況でございますから、万全の注意はしておるつもりでありますけれども、経済情勢の推移いかんによりまして、公共事業等の経費に予算の不足が見込まれる場合に機動的に対処いたしたいと考えてやったものでございます。
もとより、一般的に予備費としてお願いをすることも可能でございますけれども、もっと具体的に、この使用につきましては、これは今申しました用途に限っていたしますという、予算執行に当たりまして、国会に対して行政府としての制約をみずから課した、そういうものであるというふうに考えております。
岡田委員 一般に、予見しがたいというのは、歳入欠陥になってしまったとか、あるいは災害が起こったとか、そういう場合が予見しがたいでありまして、単に政府の経済見通しが多少狂って、景気対策として公共事業を追加しなければいけない、そういうものが果たして憲法で言う「予見し難い」に当たるのかどうかというのは、私は、かなり疑わしいところがある、こういうふうに思うわけでございます。
本来そういうものは補正予算によって対処すべき話でありまして、こういうものまで予備費でやるということになりますと、財政について国会が中心になってやる、あるいは財政法定主義といいますか、そういう憲法の大原則に対する非常に大きな抜け穴をつくることになるのじゃないかということを懸念するわけですが、大蔵大臣の御見解はいかがでしょうか。
宮澤国務大臣 一つの考え方として、補正予算を編成するということは、確かに対処の方法でございますけれども、しかし、それには、もうとうに御承知のとおり、大変に手続を必要といたしますし、国会の開会もお煩わせしなければなりません。
それに比べますと、このような予備費は、国会の事後の御承認をもちろん必要といたすわけで、最後まで勝手に行政ができるわけではございませんが、しかし、あらかじめこうやって予算でお許しをまず受けておきまして、そしてまた事後に御承諾を得るという手続をしておきますならば、あえて補正予算をお願いして国会の御開催を煩わせるよりは機動的に運用することができますし、また、今回のように経済情勢の展開の不明なときには、こういうことはないことを祈りますけれども、ある可能性というのはある程度考えておかなければなりませんので、こういう処置をいたしました。
岡田委員 国会の手を煩わせないようにとおっしゃいますけれども、それが問題なんですね。ですから、やはり憲法上、法律と予算は国会が決める、そういう大原則なんですよ、これは。憲法の大原則。それに対する例外をつくっている、そういう認識に立っていただかないと、今の大蔵大臣のお話だと、もう国会が煩わしいから政府だけでやってしまうというふうにも聞きようによっては聞けないわけはないわけでありまして、国民の納めた税金、払った重要な税金について、それの使い道を決めるのは国民を代表する国会である、そういう基本的な考え方があると思うのですが、今のお話では非常にそういうものが損なわれているように思います。
もし、今のお話をずっと拡張していけば、例えば五千億じゃなくて三兆円、四兆円、公共事業予算十兆円全部を予備費にするということも、これはいいわけですか。
宮澤国務大臣 国会の御審議をなるべく逃れるようにというような気持ちで申したのではありませんで、五千億円程度のことでございますと、小さな額ではございませんが、かなりの仕事をできる額でございます。かなり事態に対処し得る。しかし、それだけで補正をお願いするほどの事態かと。それは、三兆とか五兆とかいう事態でございますとまた別でございますが、このぐらいですと、こうやって国会で御審議を願って、その程度ならよかろうといってお許しをいただけるかいただけないかという、その辺の限界というのは、やはりおのずからあるであろうと思っております。どんな金額でもいいというふうに考えておるわけではございません。
岡田委員 予備費の使用については、大臣御承知のように閣議決定がございます。
その中で、これは平成元年の五月三十日の閣議決定でありますが、「国会開会中は、前項の経費及び次に掲げる経費を除き、予備費の使用は行なわない。」というふうに書いてありまして、その「次に掲げる」ものの中の(3)、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」こういうふうに書いてあります。ここであえて読むのかなというふうに思うわけですが、ここに書いてある、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」ということですから、かなり狭く考えておられると思うのですね、この閣議の決定は。
そういう意味で、私は、原則として、景気が悪くなったから次は追加景気対策をやらなければいけないという場合であっても、国会開会中は補正予算を組むのがこれは当然。国会閉会中で新たに召集しているいとまがないような例外的な場合にはこの五千億を使って景気対策をやる、こういうふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
宮澤国務大臣 国会開会中は予備費というものは原則として使えない、補正をお願いするというのは、従来政府がとってまいりました方針でございますし、それに変わりございません。
岡田委員 自治大臣にお聞きしますけれども、国会中心主義といいますか、国会で政治家が大いに議論して物事を決めていこう、こういう基本的考え方に自由党もお立ちだと思います。国会で議論するというのは、もちろん法律の中身、あるいは政策論もありますが、予算の中身ももちろんそうであります。
そういう意味では、五千億円の白紙委任状的な予備費の存在というものは、私は、国会で政治家同士が議論して物事を決めていく、そういうことに対して、役所だけが、政府の中だけで、国民に見えないところで勝手に決められるという意味で非常に問題があると思いますが、いかがでしょうか。
野田(毅)国務大臣 この五千億の問題は、政府の方が勝手に決めたというよりも、率直に申し上げて、自民党、自由党両党間の来年度予算編成に関する協議をしていく過程の中で、むしろ自由党の主張を取り入れる形で実現をした、こう考えております。
したがって、政府が勝手に云々ということではなかった、そのように理解をしています。
岡田委員 だから申し上げているわけで、私は非常にやわらかく言ったのですが、自由党さんがおっしゃってこの公共事業予備費五千億が入った。それは、国会できちんと政治家同士が議論をして物事を決めていこうという自由党さんの主張に反しているのじゃないですか、そういうことを申し上げたかったわけですけれども、いかがでしょうか。
野田(毅)国務大臣 原案をつくるのは、議院内閣制ですから、当然のことながら与党が中心になって政府と案をつくっていく。そして、まさに与野党の中の論戦なり考え方の意見表明等々については、まさに今それがその場であるというふうに思いますので、十分に今議論が現に行われているのではないのでしょうか。
岡田委員 今のは論点のすりかえで、私が言っているのは、五千億の白紙委任状を出して、いざ景気対策が必要なときに、その中身について国会で議論することなく政府の中で決めてしまうということが、国会で政治家同士が議論して物事を決めていく、そういう基本的考え方に反しているのじゃないかと申し上げているわけです。
野田(毅)国務大臣 五千億の使途について、その結果、中身についていろいろ改めて報告をするなりなんなりという手続があるのは当然だと思うんですね、予備費ですから。その予備費が具体的にどういうふうに使用されるかということについて、国会のチェックを受けるというのはあるんじゃないんでしょうか。
岡田委員 ですから、それは事後でしょう。事前の承認じゃないですよね。予備費については事後承認ですよね。
野田(毅)国務大臣 つまり、さっき大蔵大臣から御答弁されましたとおり、今こういう微妙な経済情勢の中で、私たちがあえてそれを主張した背景は、少なくとも公共事業だけで景気対策をやるということは、それは難しかろう。しかし、設備投資なりあるいは消費なりというものがそれまでの牽引車になれない、特に設備投資というのは大変厳しいぞ、そういう環境の中で、公共投資が少なくとも足を引っ張る材料になってはよくないという判断の中から、そういう意思表示として、公共投資について、対前年度で落ちない、しかも補正後においても、言うならストップ・アンド・ゴー、走ってみてだめだったらちょっと追加する、だめだったらまた追加するということを繰り返すんではなくて、公共事業の補正をやるにしても、あらかじめ上限を決めておいた方がいいんだ、そういう中でトータルとして判断する方がいいんだ、そういう考え方であの五千億というものを公共事業予備費という形にしたわけです。
したがって、改めて景気がスローダウンしたことを見きわめた上でこの補正予算編成から順番にどんどんやっていきますと、結果的に夏になり秋になっていく、実際に予算が執行されていくというのは結局年度を越えてしまうとかいうようなことになって、景気対策効果においても極めて限定的になるんじゃないか、そんな判断の中から私たちはそのことを主張したわけでありまして、私は、今の経済環境の中でいえば、大変効果的な手法であるというふうに判断しております。
岡田委員 経緯の説明としてはお伺いしておきますが、結局今の議論というのは、例えば法律を国会で議論する、重要なことは全部政省令にゆだねる、それと同じ議論なんですね。同じ次元の議論ですよ。確かに、事態はどんどん変わるから、機動的に対応するためには、法律事項はなるべく少なくしておいて、政省令にたくさんゆだねて、そこで役所が適宜それを変えていけばいい、こういう議論は当然あると思います。
しかし、そういうことはだめだ、やはり基本的なことはきちっと国会で議論して、法律なり予算なり決めよう、そういう考え方に大臣はお立ちじゃないんですか。だから私は申し上げているんですよ。
野田(毅)国務大臣 法律、政省令の関係とはちょっと違うようにも思うんですけれども、少なくとも、そういう点で公共事業予備費五千億について計上するということ自体、既にこうやって議論をしていただいておるわけで、私は何ら問題はないと思っていますがね。
岡田委員 この辺でやめますけれども、私としては、与党であれ野党であれ、主張は一貫する政治家でありたい、そういうふうに思っております。
さて、次に特殊法人の問題に参ります。
簡単にお聞きしたいと思いますが、大蔵大臣、今度の特殊法人改革で、大蔵省関係の特殊法人の合併がいろいろございます。
例えば、輸銀と経済協力基金が一つになって国際協力銀行になったり、あるいは開銀と北東公庫が一つになりまして政策投資銀行になる、国金と環衛公庫が一緒になる、そういう金融機関の合併が入っておりますが、これらに基づいて、一般会計ベースで一体どれだけのリストラ効果が見込まれるのでしょうか。
宮澤国務大臣 大蔵省関係の特殊法人の整理は、一つ一つ申し上げますか、例えば、日本開発銀行と北東公庫が一緒になりまして役員で九人の減、輸出入銀行と協力基金の統合で役員五人の減、国民金融公庫と環衛金庫の統合で五人の減等々ということになっておりますが、金額は、予算上どのぐらいの金額か、ちょっとお待ちください。
涌井政府委員 お答え申し上げます。
例えば、日本開発銀行のようにむしろ利益を上げているような機関もございますので、それが直ちに一般会計にと結びつくわけではございませんが、今回の統合によりまして、例えば輸出入銀行と海外経済協力基金の統合によって国際協力銀行ができるわけでございますが、この関係で役員あるいは職員の縮減がございまして、その人件費ベースですと初年度で五千六百万、それから物件費等につきましては、これは重複事務所等の統合による削減で一億三千百万の物件費の削減が見込まれております。
岡田委員 予備費の使用については、大臣御承知のように閣議決定がございます。
その中で、これは平成元年の五月三十日の閣議決定でありますが、「国会開会中は、前項の経費及び次に掲げる経費を除き、予備費の使用は行なわない。」というふうに書いてありまして、その「次に掲げる」ものの中の(3)、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」こういうふうに書いてあります。ここであえて読むのかなというふうに思うわけですが、ここに書いてある、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」ということですから、かなり狭く考えておられると思うのですね、この閣議の決定は。
そういう意味で、私は、原則として、景気が悪くなったから次は追加景気対策をやらなければいけないという場合であっても、国会開会中は補正予算を組むのがこれは当然。国会閉会中で新たに召集しているいとまがないような例外的な場合にはこの五千億を使って景気対策をやる、こういうふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
宮澤国務大臣 国会開会中は予備費というものは原則として使えない、補正をお願いするというのは、従来政府がとってまいりました方針でございますし、それに変わりございません。
岡田委員 自治大臣にお聞きしますけれども、国会中心主義といいますか、国会で政治家が大いに議論して物事を決めていこう、こういう基本的考え方に自由党もお立ちだと思います。国会で議論するというのは、もちろん法律の中身、あるいは政策論もありますが、予算の中身ももちろんそうであります。
そういう意味では、五千億円の白紙委任状的な予備費の存在というものは、私は、国会で政治家同士が議論して物事を決めていく、そういうことに対して、役所だけが、政府の中だけで、国民に見えないところで勝手に決められるという意味で非常に問題があると思いますが、いかがでしょうか。
野田(毅)国務大臣 この五千億の問題は、政府の方が勝手に決めたというよりも、率直に申し上げて、自民党、自由党両党間の来年度予算編成に関する協議をしていく過程の中で、むしろ自由党の主張を取り入れる形で実現をした、こう考えております。
したがって、政府が勝手に云々ということではなかった、そのように理解をしています。
岡田委員 だから申し上げているわけで、私は非常にやわらかく言ったのですが、自由党さんがおっしゃってこの公共事業予備費五千億が入った。それは、国会できちんと政治家同士が議論をして物事を決めていこうという自由党さんの主張に反しているのじゃないですか、そういうことを申し上げたかったわけですけれども、いかがでしょうか。
野田(毅)国務大臣 原案をつくるのは、議院内閣制ですから、当然のことながら与党が中心になって政府と案をつくっていく。そして、まさに与野党の中の論戦なり考え方の意見表明等々については、まさに今それがその場であるというふうに思いますので、十分に今議論が現に行われているのではないのでしょうか。
岡田委員 今のは論点のすりかえで、私が言っているのは、五千億の白紙委任状を出して、いざ景気対策が必要なときに、その中身について国会で議論することなく政府の中で決めてしまうということが、国会で政治家同士が議論して物事を決めていく、そういう基本的考え方に反しているのじゃないかと申し上げているわけです。
野田(毅)国務大臣 五千億の使途について、その結果、中身についていろいろ改めて報告をするなりなんなりという手続があるのは当然だと思うんですね、予備費ですから。その予備費が具体的にどういうふうに使用されるかということについて、国会のチェックを受けるというのはあるんじゃないんでしょうか。
岡田委員 ですから、それは事後でしょう。事前の承認じゃないですよね。予備費については事後承認ですよね。
野田(毅)国務大臣 つまり、さっき大蔵大臣から御答弁されましたとおり、今こういう微妙な経済情勢の中で、私たちがあえてそれを主張した背景は、少なくとも公共事業だけで景気対策をやるということは、それは難しかろう。しかし、設備投資なりあるいは消費なりというものがそれまでの牽引車になれない、特に設備投資というのは大変厳しいぞ、そういう環境の中で、公共投資が少なくとも足を引っ張る材料になってはよくないという判断の中から、そういう意思表示として、公共投資について、対前年度で落ちない、しかも補正後においても、言うならストップ・アンド・ゴー、走ってみてだめだったらちょっと追加する、だめだったらまた追加するということを繰り返すんではなくて、公共事業の補正をやるにしても、あらかじめ上限を決めておいた方がいいんだ、そういう中でトータルとして判断する方がいいんだ、そういう考え方であの五千億というものを公共事業予備費という形にしたわけです。
したがって、改めて景気がスローダウンしたことを見きわめた上でこの補正予算編成から順番にどんどんやっていきますと、結果的に夏になり秋になっていく、実際に予算が執行されていくというのは結局年度を越えてしまうとかいうようなことになって、景気対策効果においても極めて限定的になるんじゃないか、そんな判断の中から私たちはそのことを主張したわけでありまして、私は、今の経済環境の中でいえば、大変効果的な手法であるというふうに判断しております。
岡田委員 経緯の説明としてはお伺いしておきますが、結局今の議論というのは、例えば法律を国会で議論する、重要なことは全部政省令にゆだねる、それと同じ議論なんですね。同じ次元の議論ですよ。確かに、事態はどんどん変わるから、機動的に対応するためには、法律事項はなるべく少なくしておいて、政省令にたくさんゆだねて、そこで役所が適宜それを変えていけばいい、こういう議論は当然あると思います。
しかし、そういうことはだめだ、やはり基本的なことはきちっと国会で議論して、法律なり予算なり決めよう、そういう考え方に大臣はお立ちじゃないんですか。だから私は申し上げているんですよ。
野田(毅)国務大臣 法律、政省令の関係とはちょっと違うようにも思うんですけれども、少なくとも、そういう点で公共事業予備費五千億について計上するということ自体、既にこうやって議論をしていただいておるわけで、私は何ら問題はないと思っていますがね。
岡田委員 この辺でやめますけれども、私としては、与党であれ野党であれ、主張は一貫する政治家でありたい、そういうふうに思っております。
さて、次に特殊法人の問題に参ります。
簡単にお聞きしたいと思いますが、大蔵大臣、今度の特殊法人改革で、大蔵省関係の特殊法人の合併がいろいろございます。
例えば、輸銀と経済協力基金が一つになって国際協力銀行になったり、あるいは開銀と北東公庫が一つになりまして政策投資銀行になる、国金と環衛公庫が一緒になる、そういう金融機関の合併が入っておりますが、これらに基づいて、一般会計ベースで一体どれだけのリストラ効果が見込まれるのでしょうか。
宮澤国務大臣 大蔵省関係の特殊法人の整理は、一つ一つ申し上げますか、例えば、日本開発銀行と北東公庫が一緒になりまして役員で九人の減、輸出入銀行と協力基金の統合で役員五人の減、国民金融公庫と環衛金庫の統合で五人の減等々ということになっておりますが、金額は、予算上どのぐらいの金額か、ちょっとお待ちください。
涌井政府委員 お答え申し上げます。
例えば、日本開発銀行のようにむしろ利益を上げているような機関もございますので、それが直ちに一般会計にと結びつくわけではございませんが、今回の統合によりまして、例えば輸出入銀行と海外経済協力基金の統合によって国際協力銀行ができるわけでございますが、この関係で役員あるいは職員の縮減がございまして、その人件費ベースですと初年度で五千六百万、それから物件費等につきましては、これは重複事務所等の統合による削減で一億三千百万の物件費の削減が見込まれております。
岡田委員 私は、単位が三つぐらい違うんじゃないかという気がするんですが、民間で、例えばAという会社とBという会社が合併する。そうすると、そのリストラ効果が二百億とか三百億とか、そういうことがすぐ発表されるわけであります。
特殊法人も、何のために合併するのか。それは、単に理事長の数を一つ減らすとか、役人の数を何割減らす、こういうことではなくて、それが財政にとってどれだけプラスのメリットがあるか、こういうことだと思うのですね。
そこについて、わずか人件費で初年度五千六百万、物件費で一億三千万、合わせて二億弱というんでは、これじゃ看板のかけかえ代も出ないじゃないですか。何のためにこれは合併するんですか。
宮澤国務大臣 今民間の合併の場合をおっしゃいましたが、民間の合併、統合の場合には、多くは両方の仕事が競合しているわけでございますから、競合部分の排除ができるというので節約が多いと思いますが、政府関係機関は競合しているというところは本来的にはないはずであって、ただ、非常に類似しているから統合できるということであるんだと思いますね。したがいまして、排除できる部分は民間の合併とはおのずから非常に違うのではないか。
しかし、それでもお役人の数、これは税金で仕事をしておるわけでございますから、一人でも減らすということは大事なことだというふうに考えておりまして、民間の場合の利益上の競合、利益上の節約、経費上の節約というのとはかなり意味が違うように思います。
岡田委員 平成九年だったと思いますが、さんざん大騒ぎをして特殊法人の合併とか廃止について議論がされて、その結果が法律になって今回出てきているわけでありますが、お聞きすると、一体何のために合併したのか私にはよくわからないんですね。単に数が減るだけである、あるいは若干役人の数が減るだけだというだけのためにあれだけ大騒ぎをし、そしてお金をかけてやったわけですか。
私はそうじゃなかったと思うんですね。やはりそこで事業の再構築をやって、今まで必要のないものはやめる、あるいは重複しているものは整理をする、そういう中でかなりの合併の効果が見込まれるからやったはずなんじゃないですか。何か単なる、合併先にありき、看板のかけかえだけあったように、今回の法案を見ていますとそういうふうに思えてくるわけですが、どうしてもっと切り込んでしっかりリストラをやらなかったんでしょうか。
宮澤国務大臣 やはり民間というのはバランスシートを持っておりますし、それで利益を上げる、リストラは、どれだけ少ないコストでどれだけ大きい利益を上げるかというのが民間のリストラの場合でございますけれども、政府機関というのは、基本的にはバランスシートを持っておりません。したがいまして、コストもベネフィットも実は非常に計算のしにくい部分だし、一緒になりましても共通の競合部分というのは非常に少ないわけでございますから、そういう意味で、民間のリストラのような効果は、本来的にバランスシートのない世界でもございますから、上げ得ないだろうと思います。
ただ、どうせ統合するんならもっときつくできなかったかというような御批判は、常に行政整理には私はあるのだと思いますので、今度の場合は、しかし随分政府関係機関、関係者が緊張をし、かつ、それは努力もしたし、抵抗した部分もございますけれども、それだけの効果、一種の引き締めの効果は、そして政府機関といえども納税者の金をむだにしてはならないというような物の考え方は、かなり私は、やはり、官界と申しますか政府部内に広まっておるというふうに思っております。
岡田委員 これは、実は省庁の再編成も同じなんですけれども、基本的には、順序からいえば、まずその役所がやっている、あるいは特殊法人がやっている仕事について精査をして、民間でやれるもの、あるいは地方に任せるもの、そういうものについて移管をした上で、そのスリムになったものを、それだけではなかなか一つの省としての固まりとして小さい、あるいは一つの特殊法人としての固まりとしては小さいということで、それを幾つかを一つにする、これが本来の意味の整理合理化だと私は思うんですね。
そういう意味で、省庁再編成も同じなんですけれども、特殊法人の場合にも一体何のためにやったのかよくわからない、手間暇ばかりかかって、そのためのコストもかかっていると思いますが、その結果として何かいいことがあったのかといえば、それはないというふうに残念ながら言わざるを得ないわけでございます。全然ないとは言いませんが、ほとんどないとは言えると思います。
したがって、これはこれからそれぞれの法案が出てまいりますので、それぞれの委員会で議論されることだと思いますが、民主党としては、そこのところを厳しくこれからお聞きしていきたい、そういうふうに思いますので、ぜひそういう点について準備をしていただきたいというふうに思います。
自治大臣、何か御感想ありますか。
野田(毅)国務大臣 ちょっと、御趣旨を十分とらえ損ねておりましたので、恐縮であります。
岡田委員 特殊法人の整理合理化について、単なる看板のかけかえに終わっているんではないか、業務のスリム化というのがほとんどなされていない状況じゃないか、業務のスリム化がほとんどなされていないまま、単にAとBをくっつけて看板をかえているだけじゃないかという批判に対して、かつて特殊法人は原則民営化というふうに言っておられた自治大臣、野田先生として、どのように御感想をお持ちかと聞いているわけでございます。
野田(毅)国務大臣 単に看板のかけかえだけであるのならよくないでしょう。ただ、今回の場合に、それだけでなくて、先ほど来大蔵大臣初めいろいろ御答弁があったと思っておりますが、さらなるいろいろなこともおやりになろうとしていることのようですから、私はそれなりの意味があると思っています。
岡田委員 総理、いかがですか。
小渕内閣総理大臣 十分国会で御審議をいただきまして、よって国民のためになる行政改革をきちんとやっていかなきゃならぬと思っております。
岡田委員 国会の議論の話じゃなくて、政府がお出しになっている案がそういうものになっていないというふうに申し上げているわけでございます。いかがでしょうか。
小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、現下、これから国会で御審議を願うこの法案その他につきましては、種々の経緯を踏まえまして、現時点において政府としてなすべきこととして出させていただいておるということでございます。
岡田委員 それでは次に参りますが、総理にちょっとお聞きします。
消費税の問題なんですけれども、総理は消費税の引き下げは、少なくともここ一年はないというふうに断言されますか。
小渕内閣総理大臣 前回、二%の引き上げにつきましては、これは種々の経過を踏まえまして、国民のために社会福祉制度その他を遂行するためにも必要なこととして御理解を願って引き上げさせていただいたわけでございますので、これを今後どのようにするかということにつきましては、この消費税につきましては最低のパーセンテージとして引き上げさせていただいておる、このような認識をいたしておりますので、財源的にもこれを今引き下げるというような状況ではない、こう考えております。
岡田委員 今のお言葉の中で、今引き下げるつもりはない、こうおっしゃったわけですが、これから一年ないし二年ぐらいというふうに、総理はもう少し長くやられるおつもりかもしれませんが、小渕総理として消費税の引き下げはない、こういうふうに断言できるでしょうか。
小渕内閣総理大臣 今の時点で考えておりません。
岡田委員 今の時点で考えていないということは、将来、景気が悪くなったりしたらあり得るということですね。
小渕内閣総理大臣 この消費税によりましての財源というものは極めて欠くべからざるものでございますので、これを変更する意思はございません。
岡田委員 ちょっと今聞き取れなかったんですが、済みません、もう一度最後の部分だけおっしゃっていただけますか。
小渕内閣総理大臣 今変更する意思はございません。
岡田委員 必ず今という言葉がつきますので、ということは、将来あるんだというふうに国民は期待しますね。政党の中にも、引き下げを唱えている政党があります。民主党はそういうことを否定しているわけです。引き下げるべきでない、こういうふうに言い切っているわけですけれども、今の総理のお話は、そういうことは状況によってはあるというふうに、国民は今の答弁を聞けばそういうふうに受け取ると思いますが、それでよろしいんですか。
小渕内閣総理大臣 五%の数字を今変えることは考えておりません。
岡田委員 何度聞いても今という言葉が入りますから、ということは、将来あるというふうに私は受け取ります。
自治大臣、自治大臣はもともと消費税の凍結といいますか、ゼロ%にして毎年少しずつ上げていくということを言われたこともありますし、さきの参議院選挙では凍結だったと思いますが、三%でしたかという主張もされたわけですが、消費税についてどういうふうにお考えでしょうか。
野田(毅)国務大臣 消費税について基本的な考え方は、これからの少子高齢時代における社会保障、特に老後の不安を除去するためのいわば基礎年金あるいは介護そして高齢者医療、こういったところに使途を限定すべきである、目的税にすべきであるというのがまず基本線であります。
しかし、同時に、現在の経済の状況というものが余りにも下振れが強過ぎる、したがって、これを何とかして短期に立て直していくということが不良債権処理をしていく上でも極めて重要である、そういう中で、一つの有力なるてことして、消費税の税率を、将来の問題は別として足元、これを参議院選挙のころは三%ということを言いました。
しかし、それにしても、その後の夏においてもどんどん状況が悪化しているということを踏まえて、凍結をして、そして段階的に翌年から引き上げていく、最終的には現在の税率よりも高いレベルまで持っていくということをやった方が、財政再建という角度からいっても、あるいは三年間経済へのアクセルを踏み続けるということからいっても有効ではないかということを主張したことは事実でありますし、私も、その主張は決して間違ってはいなかった、そう思っています。
しかし、それがすべてではなくて、それにかわる方策があるならばそれでも結構でございますということを言ってきたことも事実でありまして、そういう点で、小渕総理と小沢党首の間で大幅な減税の規模ということについて約束がなされ、そして予算編成、税制改正について平成十一年に対してどう対応するかという中で、両党間でかなり突っ込んだ議論の結果、自民党の方も減税規模の大幅な上乗せをし、それから先ほどお話がありました公共事業についての予算編成の取り組み、そういったもろもろのことの中から、完全に、我々、百点満点でございますというほど自由党として高い点数を出すということはどうかとは思うけれども、しかし、それにしても誠意を持ってよく努力をしていただいたという評価の中で、両党間の合意が成立をして今日に至っているというのが事実であります。
したがって、この後、我々は、もう一遍消費税について引き下げなり凍結を声高に主張しなければならないほど経済が落ち込むということのないようなことを、心から願っておりますということであります。
岡田委員 自治大臣もはっきりは結論はおっしゃらなかったわけでありますが、総理にもう一回聞きます。
これ、今のお答えのままですと、新聞は多分、消費税引き下げに含みのある答弁をした、そういうふうに書くと思うんですね、必ず今ということを入れられましたから。本当にそれでいいんでしょうか。もう少し違う言い方をされるおつもりはありませんか。
宮澤国務大臣 私、承っておりましたが、ネバーということはネバー言うなという教えがありますから、それで総理は注意して言われたので、私には、言っていらっしゃることは、ネバーとおっしゃったと聞こえました。
岡田委員 もう一度総理にお聞きしますけれども、消費税の引き下げについて、総理の任期中に、任期中というとひょっとすると五年ぐらいかもしれませんから、ここ一、二年を考えたときに、消費税の引き下げはしない、それは選択肢としてない、こういうふうに断言されますか。
小渕内閣総理大臣 長々申し上げるつもりはありませんが、消費税を最初に導入したときの竹下内閣の、私、官房長官でございました。なぜ消費税を導入したかという経緯の中で、この十年、いろいろ変化をしてまいりました。やはり公平、公正、簡素、選択という消費税の一つの意味合いから始まりまして、以降、財源として二%引き上げさせていただきましたが、これもしばしば御答弁しておりますように、その四三・六%が地方に回っておるというような状況でございまして、そうした観点を考えますと、現在の地方財政の厳しい状況等々を考えまして、五%いただくこの税源というものは、これは今の時点において変更できるような状態でないという意味で、今その変更を考えておらない、こう申し上げておるわけでございます。
岡田委員 どういうふうにマスコミが受け取られるか、それはマスコミが決めることですが、私はもう一つ言えることは、もしここで下げるということになりますと、また赤字国債を発行するということですから、それはまた長期金利が上がる可能性があるわけですね、そのニュースだけで。そういうことも含めて申し上げておるわけです。
いずれにしましても、非常にあいまいさが残る答弁であったというふうに私は理解をいたしました。断言をしますかというふうに何回も私、問うたわけですが、断言されなかったわけで、今あるいは今の状況は、こういうふうに言われたわけであります。
それでは次に、年金の問題に参ります。
年金制度改革については、この前も少し厚生大臣と議論させていただいたところでありますけれども、きょうは二階建ての部分についてちょっとお聞きしたいと思うんです。
二〇一三年までに一階建ての部分について六十歳から六十五歳にしていく、二〇〇一年からですね。その後、二階部分について、つまり報酬比例部分について六十五歳にしていく、そういう方向だと思いますが、民主党はそれに対して反対をしております。
問題は、本当にそういった、二〇二五年に六十五歳完全支給にするというお考えだと思いますが、その二〇二五年の状況というのは今から果たして見通すことができるんだろうか。つまり、二〇二五年の段階で本当に定年が六十五になっているということであればそれは問題ないわけでありますが、私には、それだけ先のことがどうなっているか必ずしも見通しができる状況じゃないというふうに一方で思います。
それからもう一つは、六十歳を過ぎた方というのはかなり個人差がございます。したがって、お元気で、チャンスがあれば六十五歳まで働くという方も一方でいらっしゃるでしょうけれども、身体的な、健康状態その他でそこまで働けないという方もかなり現実には出てくるだろう。そういう状況の中で六十五歳にまで延ばすということを今決めるということは、私はかなりリスクのあることだ、あるいは不安を呼ぶことだと思うわけですが、いかがでしょうか。
岡田委員 必ず今という言葉がつきますので、ということは、将来あるんだというふうに国民は期待しますね。政党の中にも、引き下げを唱えている政党があります。民主党はそういうことを否定しているわけです。引き下げるべきでない、こういうふうに言い切っているわけですけれども、今の総理のお話は、そういうことは状況によってはあるというふうに、国民は今の答弁を聞けばそういうふうに受け取ると思いますが、それでよろしいんですか。
小渕内閣総理大臣 五%の数字を今変えることは考えておりません。
岡田委員 何度聞いても今という言葉が入りますから、ということは、将来あるというふうに私は受け取ります。
自治大臣、自治大臣はもともと消費税の凍結といいますか、ゼロ%にして毎年少しずつ上げていくということを言われたこともありますし、さきの参議院選挙では凍結だったと思いますが、三%でしたかという主張もされたわけですが、消費税についてどういうふうにお考えでしょうか。
野田(毅)国務大臣 消費税について基本的な考え方は、これからの少子高齢時代における社会保障、特に老後の不安を除去するためのいわば基礎年金あるいは介護そして高齢者医療、こういったところに使途を限定すべきである、目的税にすべきであるというのがまず基本線であります。
しかし、同時に、現在の経済の状況というものが余りにも下振れが強過ぎる、したがって、これを何とかして短期に立て直していくということが不良債権処理をしていく上でも極めて重要である、そういう中で、一つの有力なるてことして、消費税の税率を、将来の問題は別として足元、これを参議院選挙のころは三%ということを言いました。
しかし、それにしても、その後の夏においてもどんどん状況が悪化しているということを踏まえて、凍結をして、そして段階的に翌年から引き上げていく、最終的には現在の税率よりも高いレベルまで持っていくということをやった方が、財政再建という角度からいっても、あるいは三年間経済へのアクセルを踏み続けるということからいっても有効ではないかということを主張したことは事実でありますし、私も、その主張は決して間違ってはいなかった、そう思っています。
しかし、それがすべてではなくて、それにかわる方策があるならばそれでも結構でございますということを言ってきたことも事実でありまして、そういう点で、小渕総理と小沢党首の間で大幅な減税の規模ということについて約束がなされ、そして予算編成、税制改正について平成十一年に対してどう対応するかという中で、両党間でかなり突っ込んだ議論の結果、自民党の方も減税規模の大幅な上乗せをし、それから先ほどお話がありました公共事業についての予算編成の取り組み、そういったもろもろのことの中から、完全に、我々、百点満点でございますというほど自由党として高い点数を出すということはどうかとは思うけれども、しかし、それにしても誠意を持ってよく努力をしていただいたという評価の中で、両党間の合意が成立をして今日に至っているというのが事実であります。
したがって、この後、我々は、もう一遍消費税について引き下げなり凍結を声高に主張しなければならないほど経済が落ち込むということのないようなことを、心から願っておりますということであります。
岡田委員 自治大臣もはっきりは結論はおっしゃらなかったわけでありますが、総理にもう一回聞きます。
これ、今のお答えのままですと、新聞は多分、消費税引き下げに含みのある答弁をした、そういうふうに書くと思うんですね、必ず今ということを入れられましたから。本当にそれでいいんでしょうか。もう少し違う言い方をされるおつもりはありませんか。
宮澤国務大臣 私、承っておりましたが、ネバーということはネバー言うなという教えがありますから、それで総理は注意して言われたので、私には、言っていらっしゃることは、ネバーとおっしゃったと聞こえました。
岡田委員 もう一度総理にお聞きしますけれども、消費税の引き下げについて、総理の任期中に、任期中というとひょっとすると五年ぐらいかもしれませんから、ここ一、二年を考えたときに、消費税の引き下げはしない、それは選択肢としてない、こういうふうに断言されますか。
小渕内閣総理大臣 長々申し上げるつもりはありませんが、消費税を最初に導入したときの竹下内閣の、私、官房長官でございました。なぜ消費税を導入したかという経緯の中で、この十年、いろいろ変化をしてまいりました。やはり公平、公正、簡素、選択という消費税の一つの意味合いから始まりまして、以降、財源として二%引き上げさせていただきましたが、これもしばしば御答弁しておりますように、その四三・六%が地方に回っておるというような状況でございまして、そうした観点を考えますと、現在の地方財政の厳しい状況等々を考えまして、五%いただくこの税源というものは、これは今の時点において変更できるような状態でないという意味で、今その変更を考えておらない、こう申し上げておるわけでございます。
岡田委員 どういうふうにマスコミが受け取られるか、それはマスコミが決めることですが、私はもう一つ言えることは、もしここで下げるということになりますと、また赤字国債を発行するということですから、それはまた長期金利が上がる可能性があるわけですね、そのニュースだけで。そういうことも含めて申し上げておるわけです。
いずれにしましても、非常にあいまいさが残る答弁であったというふうに私は理解をいたしました。断言をしますかというふうに何回も私、問うたわけですが、断言されなかったわけで、今あるいは今の状況は、こういうふうに言われたわけであります。
それでは次に、年金の問題に参ります。
年金制度改革については、この前も少し厚生大臣と議論させていただいたところでありますけれども、きょうは二階建ての部分についてちょっとお聞きしたいと思うんです。
二〇一三年までに一階建ての部分について六十歳から六十五歳にしていく、二〇〇一年からですね。その後、二階部分について、つまり報酬比例部分について六十五歳にしていく、そういう方向だと思いますが、民主党はそれに対して反対をしております。
問題は、本当にそういった、二〇二五年に六十五歳完全支給にするというお考えだと思いますが、その二〇二五年の状況というのは今から果たして見通すことができるんだろうか。つまり、二〇二五年の段階で本当に定年が六十五になっているということであればそれは問題ないわけでありますが、私には、それだけ先のことがどうなっているか必ずしも見通しができる状況じゃないというふうに一方で思います。
それからもう一つは、六十歳を過ぎた方というのはかなり個人差がございます。したがって、お元気で、チャンスがあれば六十五歳まで働くという方も一方でいらっしゃるでしょうけれども、身体的な、健康状態その他でそこまで働けないという方もかなり現実には出てくるだろう。そういう状況の中で六十五歳にまで延ばすということを今決めるということは、私はかなりリスクのあることだ、あるいは不安を呼ぶことだと思うわけですが、いかがでしょうか。
宮下国務大臣 基礎年金の上にあります報酬比例部分につきましては、私どもの今の設計では、二〇一三年から二〇二五年にかけて六十五歳にしようという案でございます。したがって、随分先の話になりますが、そのときに一体どういう状況であるかということは、確たる推測はそれはできないということは理論的には言えます。
しかし、少子高齢化の問題というのは、トレンドで見ますとそういう傾向になっていくし、それから、六十歳から六十五歳ぐらいまでは労働力率も高まると私どもは予想をしています。それから、もしも、そういうことで人によって個人差がありますから、そういう場合はさかのぼって、つまり六十五以前にさかのぼって減額年金制度の選択もできるようにしたいというようなことを考えておりますので、これは御理解いただきたいなと思うのです。
基礎年金は、御承知のように二〇〇一年から二〇一三年までに六十五歳にする。なぜ六十五かといいますと、これは世界的な傾向として、大体六十五は先進国の一般的な水準でございます。アメリカは三十年前ぐらいに六十七歳にすることを決定しておりますから、世界の大勢からいっても決して無理な設計ではない。
それから、年金制度は、御案内のように二〇二五年までの期間を私ども設計期間としてとりあえず今回の年金の改正の基礎にいたしておりますが、非常に長期的な問題でございますから、やはり長期的な条件を一応設定いたしまして、そして給付水準をある程度抑制しませんと、少子高齢化に対応できないという問題がございますから、そのような設計上の選択をさせていただいております。これから六十から六十五歳の定年延長があり得るのか。ないかもしれませんし、あるかもしれません。しかし、労働力率がだんだん高まるということはさっき言ったように事実であると思いますので、そういうことを前提にさせていただいております。
なお、今言ったような減額年金制度があるということで制度を設計しているというのが現状でございます。
岡田委員 しかし、大変これは不安を呼ぶことだと私は思います。六十五歳定年延長に向けてもう少し政府の方で具体的な歩みが見られるのであればいいと思いますけれども、そういう状況が今ない。むしろ定年が前倒しになっているような現在の状況の中で、こういったことに踏み切るということが果たしていいのかどうか、そういう気が非常にいたします。
もう一つ厚生大臣に、少し根本的なことで聞きたいと思うんですが、年金制度は修正積立方式というか修正賦課方式というか、現行制度はそうなっていると思いますが、年金制度における公平というものは一体何だろうか。
厚生省の資料によりましても、働く世代と年金をもらう世代の割合を見ると、一九九五年には働く世代が四・三人に対して年金をもらう人は一人ですね。それが、二〇〇五年には二人で一人になる。二〇五〇年には一・五人で一人になる。つまり、一九九五年と二〇五〇年を比べれば三分の一になってしまうんですね。
ということは、もし完全な賦課方式でやるとすれば、保険料が三倍にならなければやっていけない仕組みになりますね。それを多少、積立方式を加味することで緩和しているとは思いますが、果たしてこれが公平という概念に合致することなんだろうかどうか。つまり、たまたま自分が生まれたときに時代が悪くて保険料を三倍払わなきゃいかぬというのは、これは果たして公平と言えるのでしょうか。
宮下国務大臣 年金制度は、やはり現役世代と年金受給世代との相互扶助のシステムだと存じます。年齢が一定であれば、その年齢構成が、今委員の指摘のように、高齢化が進まなければ均衡は保たれます。しかし、こういう少子高齢化を迎えている以上、やはりそれを支えていかなくちゃいけない、所得保障をしていかなくちゃいけないという、一方の極めて重大な要請がございます。
私どもは、そういうことを考えながら設計をしているわけでございまして、完全な積立方式ではございませんし、また完全な賦課方式でもございません。今委員が修正積立方式とか修正賦課方式と言われたのは、まさにそういうことでございまして、完全にバランスがとれているかというと、少子高齢化が進みますから、ある程度、現役の既裁定年金者の方があるいは多少有利になる可能性はあります。でも、それは、世代間のお互いに支え合う制度ですから、やがてその若い世代も支えられるようになるという前提に立っておりますから、そのような設計にさせていただいておるわけです。
岡田委員 ここは、本当はもう少しきちんと議論した方がいい部分だと思うのですね。
高齢化率が一定であれば、おっしゃるような賦課方式で何の問題もないと思いますけれども、従来ですと、だんだん働く世代がふえてくるという中で、比較的低い保険料で成り立っていた。これからは、少子化が急速に進んでいく中で、それが全く逆転してきているわけですね。
そういうことをそのまま放置しておいて、果たして若い世代の理解が得られるのかどうか。いろいろ、そういうこともありますから制度改革をしているわけですけれども、しかし、より根本に返ってみると、相当無理なことを我々は若い世代に押しつけようとしているのではないか、そういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
宮下国務大臣 私どもも、年金を持続的な制度としてやるためには、若い世代のやはり理解が必要だと存じます。したがって、一つの例を申し上げますと、在職老齢年金制度を創設しようとしています。
これはどういうことかといいますと、今までは、六十五歳になりますと、幾ら所得があろうが事業収入があろうが、これは定められた給付を完全に履行しておりますが、私どもは、一定の所得以上の方々については、やはり六十五歳から六十九歳までの間は保険料を納めていただいて、そして給付の方を制限しよう。それは高額所得者の方々です。そういうことをしませんとやはり若い世代の同意は得られないということで、在職老齢年金の見直しをやろうとしておりますが、これも、今委員のおっしゃられたような精神のもとに構築しようとしているものでございます。
岡田委員 もちろん、現に受け取っておられる皆さんの年金を減額したりというようなことはできる話ではありませんので、それはそれできちんと配慮していかなきゃいけない話だと思いますし、今日の日本を築いていただいた世代に対する我々の感謝の気持ちというものも当然あるわけです。しかし、いろいろな議論の大前提として私が先ほど申し上げたようなことを、まず国民の皆さんにわかっていただくというところから年金の議論を始めていかないと非常に話が見えにくくなるのじゃないか、私はそういうふうに思っております。
引き続き、また別の機会でやらせていただきたいと思います。
中山委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。