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岡田克也代表定例記者会見(5月27日)

岡田克也代表記者会見
2016年5月27日(金)16時30分~16時58分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。

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■冒頭発言
○G7サミットの場を利用した「アベノミクス失敗」隠しについて
■質疑
○消費税増税に関する総理の判断について
○G7サミットを利用した「アベノミクス失敗」隠しについて
○憲法に関する議論について
○沖縄県会議員選挙の告示に当たって
○党勢について
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■冒頭発言

○G7サミットの場を利用した「アベノミクス失敗」隠しについて

【代表】
 サミットが終わりました。サミットが無事に終わったことは、三重県出身の私としてはそのこと自体は非常によかったし、ご協力していただいた県民の皆さん初め関係者の皆さんに対して心からお礼を申し上げたいと思います。
 ただ中身は、予想されたこととはいえ、あるいは予想を超えて、非常に残念な結果になりました。私は先般の予算委員会あるいは党首討論の中で、このサミットについて、「国際的な協調が求められるので、アベノミクスは失敗していないのだけれども、その国際的な協調のもとで消費税の引き上げを先送りする」と、そういうことを総理はおっしゃることになるのではないかということを2回申し上げた。その予想どおりのことに今な
りつつあります。
 予算委員会の中でこの表(「IMFによる世界経済見通し(2016年4月)」添付資料①)を示したが、これをご覧いただければ明らかなように、世界の成長、経済見通しが世界全体で2015年は3.1%、2016年は3.2%。これは下方修正された結果ではあるのですが、でも2015年よりは2016年のほうが伸び率も高い。2017年は3.5%と。これがIMFの4月の時点での見通しです。つまり2016年よりも2017年は成長するという見通しです。
 これは新興国で見ても、4.0%、4.1%、4.6%(2015年・2016年・ 2017年の順に。以下同)。先進国は1.9%、1.9%、2.0%です。ただ一つ下がっているのは日本で、絶対水準としても2015年・2016年で0.5%。他の国はユーロ圏でも1.5%あるにもかかわらず、0.5%。そして2017年は、消費税の引き上げの影響があるわけですが、マイナス0.1%ということです。
 この数字から、(世界経済が)リーマン・ショック直前のような大変な状況にあるというのは読み取れない。もちろん「リスクはある」とか、あるいは「リスクは大きくなっている」という表現はあります。そのことも委員会で私は申し上げました。しかし、全体の見通しとしてはこういうことであります。
 そういう中で、総理は突然、「リーマン・ショック直前と同じような状況にある」ということを言われた。
 この右のパネル(「世界経済の現状認識と安倍総理発言」添付資料②)を見ていただきますと、総理が言われたのは「世界経済は大きなリスクに直面しているという認識については、一致することができたわけであります」(5月26日)「『危機』に陥る大きなリスクに直面しているという認識と強い危機感を共有した」(5月27日)と言われている。そして、そのことをもって、そのリスクに立ち向かわなければならないということを言われた。
 まず、この「大きなリスクに直面している」という総理の認識ですが、サミットの場でもリーマン・ショックの時の紙を示されて説明されたようですが、従来の日本国政府の公式見解とはかなりかけ離れているということを、まず申し上げなければなりません。
 5月23日の月例経済報告も、「世界の景気は、弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」と。先行きについても「緩やかな回復が続くことが期待される」と。もちろん、具体的な問題を挙げて、「留意する必要がある」ということです。この5月23日に示された政府の世界経済の見通しと、総理の物の言い方は、非常に差がある。そうすると、総理の発言は果たして政府の公式見解なのかということになると思います。
 今日も我が党の国対は玉木雄一郎議員を初め、各省庁にしましたが、例えば内閣府は、この(リーマン・ショック前に似る)発言(の根拠資料)について、「わからない」ということを言っている。一体どこが責任を持ってこれをつくったのか。ここがまず一つうそがあると言わざるを得ないと思います。
 2番目のうそは、じゃあこの総理が示した認識がG7で一致しているのかということです。G7の認識は、「世界経済の回復は継続しているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがある。また、前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている」(5月27日「G7伊勢志摩首脳宣言」)と。これは、先ほどのIMFの考え方とほとんど同じです。総理の言っていることとは、これまた認識に違いがある。だから総理はG7の場で認識を示されたかもしれませんが、それは共有されていないということです。
共有されていないにもかかわらず、共有されたという前提でお話しになっている。これが2番目のうそです。
 3番目のうそは、そういう共有されていない認識をもとにして、だから消費税の引き上げについても言及して、「議長国として、しっかり対応していかなければいけない」と、アベノミクスの失敗をここで糊塗して、まだはっきり(延期するとは)言っていませんが、「アベノミクスの失敗のために消費税の引き上げを延期するのではなくて、世界経済の状況・要請の中で、日本は問題ないのだけれども延期せざるを得ない」というロジックをつくり上げている。私がさきに申し上げた、予想したとおりの展開になっている。
 私は昨日も申し上げましたが、G7という非常に大事な場を、こういった自らの政策の失敗を糊塗するために使われているのだとすると、これは極めて残念なことであると言わざるを得ないと思います。他のG7の首脳たちがこの安倍総理の認識についてどういうふうに考えておられるのか、あるいは安倍総理が日本向けに語っておられることを聞いた時にどう反応されるのかということは、私が非常に気になっています。

■質疑

○消費税増税に関する総理の判断について

【フリーランス・宮崎記者】
 総理は参議院選挙の前に消費税増税の是非を含めて判断するということだが、「参議院選挙の前」というのはいつなのか、来週に会期末が迫る中で、総理はいつまでに表明するべきだとお考えになるか。

【代表】
 それは総理に聞いてください。

【東京新聞・木谷記者】
 政府は来週火曜日に「1億総活躍プラン」と「骨太の方針」を閣議決定する方針なので、その前日までに総理は何らかの会見をして発表するのではないかという見立てもあるが、会期内に消費税先送りを表明した場合、民進党としてはどのような国会対応を求めてくおつもりか伺いたい。

【代表】
 仮定の議論ですから、現時点では申し上げることはありません。
 ただ、アベノミクスが失敗であることは間違いないということです。(総理は)1年半前に断言しました、消費税を上げられる状況を必ずつくり出しますと。それを条件に解散・総選挙をやっているわけですから、それができなったということであれば、それは公約違反、アベノミクスが失敗したと。そのことをまず認めるべきだと思います。

○G7サミットを利用した「アベノミクス失敗」隠しについて

【「FACTA」・宮嶋記者】
 議長国という晴れ舞台で、結局、我田引水というか私物化というか、わかりやすく言うとどういう言葉になるのか。そういうことなのかなあと思うが、それをやれたのだからすごいという見方もあるが、やはりこの舞台を私物化したということをおっしゃりたいのか、その辺を伺いたい。

【代表】
 私は「うその三段重ね」と言っているのですが、いずれにしても他のサミットメンバーはあきれておられるのではないかと思います。そういう意味で非常に残念だと私は思っております。
 重要な、さまざまなことを議論しなければいけない。世界経済ももちろんですが、他にも難民問題とか、テロの問題とか、そういったこともきちんと議論されるべきだったと思います。もちろん議論はされたでしょうけれども、総理自身が「経済が最大の問題だ」と言われて、かなりのボリュームを占めている。自らの政策の失敗を糊塗するためにサミットの場が使われ、本来議論しなければいけないことが手薄になったとすれば、非常に罪は重いと思います。

【日本経済新聞・宮坂記者】
 安倍総理は世界経済のリスクを強調する反面で、「アベノミクスを世界に展開していく」と今日も発言している。こういった「アベノミクスを展開していく」という総理の発言についてどのように受け止めているか。

【代表】
 まずコミュニケの中に「3本の矢」という言葉は出てきません。日本語訳には出てくるのですが、英語のコミュニケの中には出てこない。これ自身が、日本政府が、なんと言いますか、誤訳ではないですよね、意図的な“偽訳”ではないかと私は思う。そこまでするかと思います。
 もちろん金融政策、財政政策、そして構造改革政策、これは重要です。しかし、「アベノミクス」という言葉を使わなくても、もともとこの三つの政策をどのように行っていくかということは、世界の常識ですから。それをことさらに「3本の矢」と言って、専売特許のように言われてきたことに安倍総理の一つのうまさがあったわけですが、世界の国から見たら、改めて「3本の矢」と言われても、当たり前のことではないかということだと思います。
 かつ、それを、各国の状況に応じて行っていくということですから、機動的な財政出動について足並みをそろえてやりましょうということを決めたわけではありません。そもそも「機動的財政出動」、あるいはコミュニケの中では「出動」ではなくて「戦略」になっていたと思いますが、「機動的な」の訳も、「flexible」。「flexible」を「機動的」と訳すべきかどうかというところすら議論がある。日本政府も相当手の込んだことをやっているけれども、これは(サミットで)決まったことが国民に対して正確なことが伝わっていない、二重底のコミュニケではないかと私は思います。

【日本経済新聞・宮坂記者】
 この総理の認識について問題提起を代表もされたが、今日午前中には山井和則国対委員長代理が予算委員会の開催を改めて要求するということもあった。総理に対してどのように説明することを求めていくかという点についてはいかがか。

【代表】
 要するにリーマン・ショック直前の状況と同じだという認識は、エコノミストの中でも、そんなことを言っている人は誰一人いないと思う。いらしたら、ぜひ手を挙げてもらいたいぐらいです。今日も関係省庁に質したが、具体的に答えられなかった。政府の中や、エコノミストの皆さんはもちろんそういうふうには考えていないと私は思う。そういったことから、きちんと総理には説明してもらう必要があると考えています。

【フリーランス・安積記者】
 この「リーマン・ショック前夜」の件だが、総理が提示した資料は、今日の(民進党の)検証チームのほうで、内閣府の、元経企庁だと思うが、担当者はこれについて「わからない」という発言があったと聞いている。G7なので、国の代表としての総理の発言だと思うが、省庁がわからないようなこんな資料がつくられるということはあるのか。そう思われるか。

【代表】
 普通であれば、当然サミットを所管する外務省の経済局が最終的に責任を持つということですが、各省庁に協議するのは当然です。だけど、あの資料を協議したら、内閣府のエコノミストは「イエス」とは言わなかったと思います。それだけエコノミストとしての誇りというものが残っていたことは、私はホッとしています。あれでもし、総理の言った「リーマン・ショックの直前と同じだ」という話も含めて、それを補強する数字を内閣府の旧経済企画庁のエコノミストといわれた人たちが用意したとしたら、これは絶望ですね。

【フリーランス・安積記者】
 資料を見ての印象だが、総理が出された、IMFの資料をもとにして作成したこの資料は、要するにデータをつまんでいるような印象が見受けられる。やはり代表もそういう印象をお持ちか。

【代表】
 まあ、これは我々なれているのですが、自分の都合のいい数字だけを持ち出して、それだけを強調するということです。いろいろな数字があるわけですから、それは取りようによってはいろいろな議論ができます。だけどそれを全体のバランスをとって、それが果たして代表的なデータとして取り上げるべきなのかどうかというのは、普通はきちんとしたスクリーンがかかるが、総理にはっきり物が言える人が少ないのか、いないのか、こういうものがよりによってG7の首脳に示されてしまったというのは非常に恥ずかしいことだと私は思っています。みんなびっくりしたのではないでしょうか。

【フリーランス・宮崎記者】
 今回の件は、官邸でノーベル経済学賞の教授に総理が、ドイツに財政出動を説得するにはどうすればいいかという話があったところから、ずっと軌道修正がされないまま今日まで来たような気がする。そういったところで、なぜ総理を止められない状態になっているのか。この3年の政権で、官邸主導と言われていたが、ずっとこういう状態なのか。どういった感想をお持ちか。

【代表】
 専門家の意見も、例えばスティグリッツ教授は消費税の引き上げはすべきでないとおっしゃいましたが、しかし財政健全化の観点からも金融取引税や炭素税については活用すべきだとおっしゃっている。なにか自分の都合のいいところだけを取り上げて、そして利用していると。普通ならば、「そういうやり方はフェアではないですよ」と周りがいさめなければいけないのですが、そういう状況にはないと。その“成れの果て”が今回のことではないかと思っています。経済だけではなくて、他の問題も同じようなことがあるとすれば、これは極めて危険なことです。

【フリーランス・宮崎記者】
 確認だが、「財政出動」という言葉の中に「消費税増税の予定をしない」ということが含まれると代表は認識されるか。

【代表】
 それは私に聞かれてもわからないのですね。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 岡田さんは旧通産省出身だ。経済官庁のそれなりの積み上げの上に行政府の長がいるわけだが、この資料を含めて、これは「官邸主導」ではなくて、官邸のある種の独裁というか、霞が関の全体から見ると、その上に全く異次元の首相官邸ができたのかなという印象を私は持っている。旧通産省、経済官庁にいた岡田さんとしては、こういうことはなかったと思うが、議長国のトップが独自の見解で「リーマン・ショック前夜と同じ」と言うのは、私はただただすごいと思っているが、「官邸主導」ではなくて「官邸独裁」みたいなものがあると見たほうがいいのか。

【代表】
 総理に対していろいろな人がいろいろなことを言ってくると思う。おそらく内閣府のエコノミストがつくれば、こういうことにはならなかったと思う。一部の官僚なのか、あるいは取り巻きなのかわかりませんが、こう言ったら総理が気に入るであろうと忖度(そんたく)してつくった資料だと、都合のいい数字だけをつまみ食いした資料だと思います。
 でも、やはり最後は総理自身のトップの良識が試されるということだと思う。「自分の意を体してこういう資料をせっかくつくってくれたけれども、やはりここまではやり過ぎだよね」と思うかどうかということだと思います。知性と言うと言い過ぎかもしれませんが、そこが非常に私は気になるところです。ここまでやるかと。G7の場ですよ。各国の首脳がそろった場でこういうものを出して、そして、「いや、リーマン・ショックの前と同じような状況になるかもしれない」、そのようなことを言われたことは私は非常にショックです。日本の品格に関わる話です。

○内閣不信任案の提出検討について

【フリーランス・田中記者】
 内閣不信任案の提出は、いかがなさるか。ぜひ、仮定の質問とかおっしゃらないでお答えいただきたい。すごい国民の関心事ですから。

【代表】
 月曜日に4党で党首会談を開き、相談したいと思います。現時点で決まったことはありません。ただ、出さない理由を見つけることは難しいと思います。

○憲法に関する議論について

【時事通信・小松記者】
 参議院選挙で憲法改正問題が争点になると常々おっしゃっているが、民進党の参議院選挙の公約に、この間の党首討論でおっしゃったような、憲法9条を当面変える必要がないということを盛り込む考えはあるか伺いたい。

【代表】
 マニフェストは今、最終的な調整をしている段階です。ただ、基本的な私の考え方は、盛り込まれるとお考えいただいて結構だと思います。

○沖縄県会議員選挙の告示に当たって

【毎日新聞・松本記者】
 今日、沖縄の県議選が告示された。地方選ではあるが、米軍属の事件が起きた直後の選挙ということで、民進党としてどう臨むか、意気込みを伺いたい。

【代表】
 我が党の公認候補は1人です。勝利できるように後押ししていきたい。

○野党連携について

【読売新聞・中田記者】
 先ほどの全国幹事長会議で、衆院選での野党共闘について、主に共産党だと思うが、党本部のレベルで協議するので地方で話をしないようにという指示があったと、終了後のブリーフで伺った。参院選では各都道府県連レベルで協議をする形だったが、衆院選については党本部でということに関して、その理由、ねらいを伺いたい。

【代表】
 党本部でというか、地方レベルで勝手に話をして、ある意味では握ってしまうとか、それぞれなるべく出ないほうがいいと思っている人も多いと思う。共産党は、そういうことは地方レベルではしない方針だとも聞いています。つまり、最終的に共産党は党本部で決めるということですので、地方でいろいろ協議しても、それは意味がないのではないかということを申し上げた。

【読売新聞・中田記者】
 衆院選についての野党共闘、候補者の一本化に関する協議というか調整というか、今後のスケジュール感について考えているところがあれば伺いたい。

【代表】
 具体的に何か協議しているということは、ありません。もちろんダブルということになれば、何らかの調整というものが必要になってくると思いますが、それはもう少し見通しがはっきりしたところで議論することになると思います。

○党勢について

【フリーランス・堀田記者】
 22日の日曜日に自民党の石破さんと新潟に行った時にタクシーに4回乗り、4人の運転手さんに聞いた。確かにここ1ヵ月景気は悪くなっている、吉野家では牛丼が売れなくて豚丼のほうが売れている、ファミリーレストランはみんなガストに行く、ニトリがよく売れている、まるでデフレが復活したみたいだと。けれども、民進党には全然期待しないと。対案を出しているおおさか維新のほうがまだいいと。今はどういった気持ちかというと、「安倍ちゃん、頑張れ」と言ってくれた。このタクシーの人達は、タクシー会社の労働組合か知らないが、自民党の支持者なのかもしれないが、ものの見事に「民進党には期待しない」と言って、とにかく「安倍ちゃん、頑張ってくれ」と言っているが、コメントを伺いたい。

【代表】
 いろいろな議論がありますので、一つ一つコメントする必要はないと思いますが、ただ、我々の経済政策は極めて明確ですので、そのことが伝わっていないとすれば残念ですね。

【フリーランス・堀田記者】
 先日、福生の市長選挙が行われた。北海道5区補選が行われた後だが、結果的には共産党候補対自公で、4000対1万2500で共産党が惨敗した。正直いって、あそこに民進党は組織がないようなものだが。投票率も低い。横田基地もあって、オスプレイの問題もあるが、要するに永田町での話題と沖縄での話題が全然くっついていないように思うが、これもコメントをお願いしたい。

【代表】
 そういうふうにお感じになっているかもしれませんが、私は次の参議院選挙でしっかり結果が出ると思っています。

160527IMFによる世界経済見通し(代表会見配布資料①)
160527世界経済の現状認識と総理発言(代表会見配布資料②)




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