景気回復と財政構造改革について,等
<景気回復と財政構造改革>
岡田委員 民主党の岡田克也です。
まず宮澤大臣にお尋ねしたいと思いますが、先般の本会議における私の質問に対しまして、景気回復の問題でありますけれども、宮澤大臣は、個人消費主導型の景気回復ということを述べられました。
それで、例えばきょうの新聞だけをとってみましても、個人消費に関するいろいろな統計が出ております。例えば経済企画庁の調査ですけれども、単身世帯の消費意欲については四期連続で改善していると。これは四半期ごとの調査でありますから、一年間連続して単身世帯の消費意欲は改善しているということになります。これはいい統計だろうと思います。
しかし他方で、今回始まりました景気ウオッチャー調査、これも企画庁のものでありますが、それによりますと、三カ月前と比べて四五・三という指数が出ております。つまり、五〇が横ばいでありますから、三カ月前と比べて景気ウオッチャーと呼ばれる人たちの見通しは、現時点では三カ月前より悪くなっている、こういうことであります。ただし、これから二、三カ月先ということについては五一・一ということでありますから、ほぼ横ばいということであります。
それから、たまたま、コンビニの既存店での売り上げが一・八%減という数字がきょう出ておりました。堺屋長官はよくコンビニを例に挙げられて、その売り上げが伸びているということを景気回復のあかしとして言われることがあるわけですが、既存店で見ると一・八%対前年同月比で減っているということになります。
これから四?六月期の個人消費ということを考えた場合にもう一つ考えておかなければならないのは、私は昨年の地域振興券だろうと思います。大体三月ぐらいから本格的に始まったと思いますが、七千億円という金額が三月、四月、五月ぐらいに使用可能になりましたので、前年同期と比べると、つまりことしの四?六月というのは、その七千億円の上乗せがなくなりますから、恐らく、対前年同期比で見れば個人消費は数字的にはかなり落ちるだろう、こういう感じもいたします。
そういうことをいろいろ考えますと、必ずしも四?六月の個人消費がいいという感じは私は、必ずしもというか全くしないわけですが、大臣、どういうふうに四?六月について、これがよくなることで景気が引っ張られるといいますか、それが主導する形で景気がよくなっていくということを述べられたように記憶しておりますが、もう一度大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
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宮澤国務大臣 このことは岡田委員の本会議における御質問にも実は関連しておりまして、岡田委員が、おまえは個人消費の問題だと言うけれども、本当は設備投資が回復しなきゃ本当のことにはならないよとおっしゃいましたのは、私は、実はそのとおりだと思っているわけです。
私が申し上げようとしましたのは、どうも昨年の秋ごろから家計調査が悪うございます。家計調査にもいろいろ問題があるのかもしれませんけれども、収入が落ちている、したがって支出が落ちております。たまに限界消費性向が高い月がありますけれども、基本的にはやや低落ぎみでございますので、それで私は、どうも十?十二というものの消費はよくないだろう。
基本的に、私は、リストラクチャリングが始まっておりますから、皆さん、パートタイムでとどまっていてはくれるんですが、常雇いからパートタイムになるとやはり収入が落ちますので、それがかなり影響しているというふうに見ております。
それで、四?六と申し上げましたのは、今ちょうど賃金交渉の時期でございますが、その結果について政府は何も申すべきことでないことは明らかですが、それを通じまして労使の間でかなりいろいろなことについての理解が進んでおって、したがって、リストラというものも軌道に乗るのではないかという思いを私は、半分希望がございますが、持っています。
したがって、十?十二あるいは一?三まで入るかもしれません、収入の低下傾向というのは四?六ぐらいからは正常化するのではないか、大変によくならなくても前期比としては上がっていくだろう、こう思いまして、四?六の個人消費、すなわち、それがわかるのは九月ごろになりますが、そのころには直るのではないかということを申しました。
ただ、岡田委員がお尋ねになられましたように、それは消費のことであって、何といっても、消費が本当に堅調になるためには、そのための生産なりサービスがなければ経済は回っていかないわけですから、本当のところはやはり設備投資、そこへいかなければならない。これが私はどうももう一四半期かそこらおくれるのではないかということを思っておりますものですから、先に来るのが消費じゃないか、しかし、本格的には設備投資が戻ってこないといけない、こんな見方をしておるわけでございます。
岡田委員 設備投資が本格化するにはもう少し時間がかかる、そこは私も大臣と同じ認識でございます。政策的に投資減税とか、しかも今やっているパソコン減税程度のものではなくて、一兆円以上の投資減税でもやれば、これは前倒しでその投資を引き出すことができるのではないかというふうに思いますが、今の現状の中で、設備投資が例えば四月以降盛り上がってくるとかそういうことは余りなかろう、せいぜい早くても秋以降じゃないか、そんなふうには思っております。
問題は、それ以前に個人消費が盛り上がってくるかどうかという問題でありまして、大臣は、春闘の結果に期待をされるというか、リストラが一当たりめどがついてという御説明でございました。春闘の結果に対して大変御期待いただくのはありがたいわけですけれども、しかし、本当にそうだろうか、今の現状はそういう状況なのだろうかという気は一方でいたします。むしろ、雇用を守るために、賃上げよりも雇用の確保に重点を置いてやっておられるのが現場の現実の姿ではなかろうか。そんなに雇用者数もふえて、そして賃金もアップすると、もちろん業績によりこれはそれぞれ違うわけでありますが、全体として今の日本の状況を見たときに、とてもそんな余裕がある状況ではないのじゃないか。
我々は適正な賃上げがされることを期待はいたしますが、しかし、それを盛り込んで個人消費が四?六月からよくなるというほどに本当によくなるのだろうか、そういうふうに思いますが、そこのところ、大臣の、楽観的にといいますか、四?六月に個人消費がよくなると言っておられるそこのところの根拠について、もう一度聞かせていただきたいと思います。
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宮澤国務大臣 春闘のことについて口を挟まないのが政治のルールでございますので、そのことはよく心得ております。 昨年の暮れのボーナスが悪かった、そして、その後の家計調査の結果 がどうもやはり思わしくない、それは、明らかにパートタイムにかわられたリストラの結果であるということもわかっています。失業率が意外に上がらずにむしろ保っているのは、パートに移って働いてはおられるということの結果だと思うのですが、給料の方は悪くなっている。それがいつまで悪くなり続けるだろうかというのがこの際は問題でございまして、十?十二はもう明らかにそうであった。さあ、今ごろ、一?三がどうでしょうか。一?三全体のできはそう悪くないかもしれませんが、消費がちゃんと立ち直っているかどうかは、もう一つ確かでございませんので、そうとすれば、四?六ぐらいには立ち直ってくれるだろう。急によくなると私も考えておるわけではありません。
ただ、あそこにマイナスが出ますと、御承知のように、これで六〇%ございますから、GDPのプラスというのはなかなか難しゅうございますので、したがって、大した盛り上がりがなくても家計がプラスに転じてくれればいい、そういう程度のことを考えておりまして、非常に大きなそれからのGNPへの迫力がずっと続いていくというふうには私も思っていません。マイナスでなくて、収入としたがって支出が何ぼかでもプラスになって、そうしているうちに、仮に秋でございましょうか、設備投資が立ち直ってくる、そういうパターンではなかろうか。
なぜとおっしゃいますと、これは、どうもこれ以上に申し上げる方法がありませんので、一種のリストラが始まりましてからの経済の動き、そのころには多少各企業とも当期利益が少し大きくなっているのだと思いますので、そういうこともございまして、そういう期待をいたしております。
岡田委員 私は、今大臣がおっしゃったことは、大体本会議でも御答弁された線だと思いますが、二つのことを感じました。
一つは、実体経済の状況について、大変失礼な言い方ですけれども、どこまで認識しておられるのだろうかというふうに感じたわけでございます。つまり、もちろんいい企業もあるとは思いますが、今の置かれている状況というのは相当悪い。地域経済は非常に疲弊している。そういう中で、四?六月にリストラが一巡して、ある程度の賃上げがあって消費がよくなるというのは、ちょっと現実離れしているような、そんな感じが私はいたします。これは私の意見ですので、それが一つ。
それからもう一つは、大臣の言っておられることは願望と、そして現実がかなりまじっているのじゃないかというふうに思うのですね。もちろん、そういうふうになれば結構だと思いますし、そのことが設備投資を呼び込んで景気の本格回復につながっていけばいいと思いますが、しかしそれは、ある意味では、今の大臣の御答弁を聞いていても、確信を持ったものではなくて、見通しとして述べておられるだけでありまして、政府としてそのためにこういうことをやるとか、例えば消費を喚起するためにこういうことをやるとか、そういうことも別 にないわけですね。それがないと、何かそうなればいいなという、単に願望を述べておられるだけじゃないかなという感じがいたします。
もし、そういった四?六月の消費の回復がないということになりますと、大臣の思い描いておられる姿と大分変わってくるわけですが、そのときには、もう一回補正予算を組むということをお考えですか。
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宮澤国務大臣 賃上げとおっしゃいましたが、私は賃上げというほどのものを期待しているわけではございませんので、いわばリストラがある程度軌道に乗ってくること、それから企業が多少でも当期利益がふえてきたこと等を思っておるわけでございます。 それで、しかしおまえの言っていることは基本的には願望だろうとおっしゃいます。それは、正直に申してそうでございますが、願望している理由がないわけではない。何もしていないわけではございませんで、昨年度の補正予算、それから今御審議いただいております予算、これはかなり景気刺激的なものでございますので、これが効果を持たない、以前からの累積効果を持たないというふうに、それほどへりくだる必要はないというふうに思っていまして、それが一つの理由でございます。
そこで、しかし、仮に九月になっても、九月になってもと申します意味は、四?六がわかるのは九月でございますから、少しも景気がプラスになってこないというときにはどうするか。これはまた、そのときのことを考えなければなりませんけれども、私は、今回のような、御審議いただいておりますような景気刺激的な、あるいは金融の後始末をするような大きな予算はもうこれで大体いいのではないだろうかということを考えております。
岡田委員 もしそうであれば、来年度の予算も消費主導型とおっしゃるのであれば、いろいろな対策の中で、消費をまさしく喚起するような、そういう対策がどれだけ盛り込まれているのか、こういうことだと思います。私は、必ずしもそういうふうになっていないんじゃないか、そういう思いの中で御質問させていただきました。
それでは、次に参りたいと思いますが、これも予算委員会あるいは本会議でたびたび議論になりました財政構造改革と景気回復の関係の問題でございます。 宮澤大臣は予算委員会で、菅委員の質問に対しまして、こういうふうにお答えになっております。「基本的に、財政をやっておる立場として、今の景気回復と財政構造改革、これは必ずしも背反しないではないかということは、私もそう思っております。」ということを、二月十四日の予算委員会、菅委員の質問に対してお答えになっております。
私はこの見解は評価するものでありますが、ただ、従来小渕総理が言ってこられた、景気の回復を待って財政構造改革の本格的な検討に取りかかるというその言葉とは少し開きがある、違うというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
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宮澤国務大臣 本会議でございましたので詳しくは申し上げませんでしたけれども、公共事業の中でも、経済構造改善、環境対策、少子高齢化対策、情報通信、いわゆる四つの柱で申し上げましたかどうでしたか、全部で積み上げて二兆円ございますので、これが、九兆円の公共事業の総額から申しますと二〇%を超えております。
それから、この同じ四つ、非公共でございますから三つになりますが、これでミレニアムの対策を組みまして、単年度でなく多年度で各省庁でチームをつくりまして八つのプロジェクトをスタートしましたことも御存じのとおりでございます。これらは、ただ不況対策というのでなく、二十一世紀を展望して、かねて御批判のありました国の公共投資あるいは非公共を省庁を超えて多年度でやっていこうという試みでございますので、ただ景気不況打開だけを考えているわけではございませんということを菅議員に申し上げたわけでございます。
小渕さんのおっしゃいますのは、やはり組閣のときに、財政再建ということと不況打開、二兎を追うことはできないという決心をされました。それは、私どももまさにそう思ってここまでやってまいりましたが、多少今度は借金のことが気にかかる、少し景気が動き始めているので、こんなに借金しても大丈夫かというお話があちこちにあるものですから、総理大臣として、まだまだ仕事ができ上がったわけでない、もう一遍後押ししなければなりませんということをはっきりリーダーシップとして言っておきたい、そういうお気持ちのようであって、その点は私もそう思っておりますものですから、小渕さんの方が大づかみに自分の考えを言っておられるのだ、私はそう理解しています。
岡田委員 いろいろお聞きしておりますと、恐らく宮澤大臣と小渕総理の間で財政構造改革という言葉に対する定義が違うのだろうという感じがいたします。総理の方は、財政構造改革というのは、増税とかそういうことも含めて全体の収支が合うようなものを財政構造改革というふうに考えておられるんじゃないか。大蔵大臣の方は、これは二つの意味で、小渕さんと同じような意味で使っておられる場面もあると思うのですが、もう一つは、今答弁されたような、歳出項目のそれぞれについて本質的にもう一度見直していく、そういうものを財政構造改革と言っておられる。そこに若干の混乱が見られるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
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宮澤国務大臣 そうであるかもしれません。総理の方が財政という方を言っておられ、私の方がストラクチュラルの方、後の方を考えながら言っておるという点はあるかもしれません。
岡田委員 そこで、大蔵大臣はこういうふうにも言っておられるのですね。何年かのうちに財政構造改革をしようというのであれば、国民経済の計算がはっきりしないと、税収見通し、歳出における削減がどれだけできるかということはわからない、はっきりした見通しと全体のフレームがないと作業ができない、こういうことを二月十四日、我が党の池田委員の質問に対してお答えになっております。
こういう議論もわからないわけではないのですが、しかし、これを言っていると、一体いつになったらそういったきちんとした財政構造改革の議論がスタートをし、そして中身の議論ができるのか、かなり先にならざるを得ないんじゃないか、こういう感じがいたします。
どのぐらいの時期になれば本格的な全体としての議論が可能であるというふうにお考えでしょうか。
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宮澤国務大臣 新しい行政組織になりますので、どこでどういうことが行われるかわかりませんけれども、私は、これは私だけの考えかもしれませんが、やはりモデルをつくらないといけないのだろうと思っております。
少なくとも中期ぐらいのモデルをつくらないと、それに全部頼る気ではありませんが、いけないであろう。それについては、やはり日本経済がポジティブなプラスの成長をする、そういう軌道をかけませんとモデルは成立しませんので、そういう時期がやはり来ないとその仕事はできないな、それがおっしゃるフレーム、私の申すフレームです。
その中で、いろいろな可能な、それこそ税収であるとか金利であるとかいうことをやってみて、とてもこれではいけないということから構造改革をどうやるかという、順序はなかなかそういうふうに本当はうまくいかないと思いますので、岡田委員のおっしゃるように、アイデアの方が先に出ていくと思います。そして、モデルがそれをバックアップするようになるのだと思いますが、少なくともそのぐらいのしっかりしたものをつくりませんと、なかなか、国会でももちろん御承認いただけないだろうし、国民も信頼をしてくれませんでしょうから、そういうことを考えますと、何にもないところでこうしますという作業はなかなか信憑力がないのじゃないか。モデルも信憑力があるとはなかなか言えませんけれども、しかし、少なくとも、そこで総力を挙げてやることができるのではないかと思いますものですから、フレームということを申しました。それができるまで何にも考えないという意味ではもとよりございません。
岡田委員 私はそういった一定のモデルに基づく全体のフレームワークをつくっていくという作業を否定するものではありませんが、恐らくそれにはまだ何年かかかるであろう、ある程度安定した状況にならなければいけませんから。その間にどんどん毎年毎年国債の発行がふえていきますから、結局、気がついたらにっちもさっちもいかない状況になっている、そういうことを非常に恐れるわけであります。
それからもう一つ、全体で議論すると、橋本前総理のときに実際に財政構造改革の名のもとにやったような一律の歳出カットでありますとかあるいは硬直的な増税とかそういうことに陥りがちである。そういう意味で、今できることは何かと考えれば、やはり個々の歳出項目についてもう一度ゼロベースできちんと議論していくことだ、そういうふうに私は思います。
例えば、今石油開発の議論などがアラビア石油との関係で出てきておりますが、本当に日本は自主開発原油を持つ必要があるのかというところから私は議論をきちんとしていくべきじゃないか。何でもすべてのものがそろっていればそれは結構なことでありますけれども、少し必要であっても、しかし必要度が低ければ我が国としてあきらめていかなければならない部門もかなり出てくるだろう、財政の現状はそういうことだろうと私は思います。
そういう議論を一つ一つの歳出項目できちんとしていかなければいけないのじゃないか、そういう議論はもう始めるべきじゃないかというふうに私は思っております。そうでないと、景気がよくなったらなんて考えていたら、議論を始めた途端に景気がまた悪くなって、結局永遠にこの問題には手がつかないのじゃないか、そういうふうに思っておりますが、もし御感想があれば聞かせていただきたいと思います。
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宮澤国務大臣 これはもう岡田委員の方が先をよくごらんになっていらっしゃると思いますけれども、そのときの、今財政改革という名前でお話がございましたが、それは、もう財政ばかりでない、ほとんどのことのやり直しみたいな、それで初めて二十一世紀に入っていけるような、そういう仕事になるに違いないと思っておりますので、そのためにはやはり全体の何かフレームかモデル、フレームでございましょうね、それがないとみんなに説得力がないし、かといって、一つ一つのことを絶対やらないというわけではございませんけれども、そのぐらい大きな仕事にならざるを得ないのではないかと。
橋本内閣のときにやりました財政改革は、あれはフレームは全く仮定でつくりましたものですから、ある意味で勘定としては合うような、しかし数字そのものは実は説得力を欠いておるようなことでございましたから、もう少し、もう少しどころではない、全くそれとはやや性質を異にした、二十一世紀の最初の何年間かの国のあり方みたいなものを考えなければならないのではないか、個人的にはそう思っております。
<外形標準課税>
岡田委員 それでは次に参りたいと思いますが、先ほど来話が出ております外形標準課税の問題についてお聞きをしたいと思います。
まず、越智大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の石原構想に対しまして、大臣としてのいろいろな御見解も今まで述べておられたようですが、きょう閣議口頭了解された「銀行業等に対する東京都の外形標準課税について」という閣議了解の紙以上に何かもし御意見がありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
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越智国務大臣 私の二月七日以来の言動につきまして、大変誤解に満ちたいわれなき批判を受けておりますことを大変残念に思っております。 石原発言につきましては、当初、その発言に至るプロセスが、英語で言うときざですが、デュープロセスといいますか、そういう格好で国と地方の関係の税制がいきなり発表されていいのかという問題がありました。しかし、これは自治省の所管でございますので、保利大臣がいろいろなさるということで、私は、その後、発言はいたしておりません。
それから、税制としては大変、地方税法七十二条の関係のいろいろな条文から見て疑問が多うございます。これについても、宮澤大蔵大臣の所管でございますので、発言を控えるということにいたしております。
そして、それらの取り決めといいますか、取り決めでもないですけれども、大体の仕切りは、木曜日、二月十日の閣議でそのようなことになりまして、私どもは専ら金融政策上のことのみ主張させていただいておりますので、基本的には経済の回復、これを最大の政治目標にしている小渕内閣にとって、金融システムの安定、内外の信用の回復ということは一番大事なことでございますので、それと全く逆方向の政策と私は受けとめますので、その意味で国政の方向と違うということを当初から申し上げているわけでありまして、きょうの閣議了解の冒頭の前文にも、「他の政策目的との整合性等にも十分な配慮がなされなければならない。」と書いていただいたわけであります。それぞれの、これを導入した場合こんなことになるかもしれないぞということにつきましては、閣議口頭了解の第五項目に書いてあるとおりであります。
岡田委員 この閣議口頭了解で、今越智大臣が引用されたところは、途中をちょっと抜きますが、「およそ、税制については、」「他の政策目的との整合性等にも十分な配慮がなされなければならない。」こういうことですね。
しかし、地方には地方の課税の自主権というものがあるわけですが、他の政策目的との整合性に十分な配慮がなされなければいけないというのは、何を根拠に言っておられるのでしょうか。
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越智国務大臣 大前提は、税制は、地方税といえども法定主義でございます。地方税法上考えられている法人事業税のあり方として、七十二条の十九でございますか、外形標準をとるときに、果たしてあのやり方が妥当なものであったかどうかということがここの閣議口頭了解に盛られているわけでありまして、あそこに例示されている外形標準には粗利益という言葉はございません。「等」というところで読んだんだとおっしゃいますが、当然、例示があのように四つも五つも出ているときには、どの例示かに準ずる格好にならなければなりません。
粗利というものは外から見えないものであります。所得計算の中間段階でしかわかりません。ましてや銀行の場合には、調達資金のコストというものは、全国に支店を展開している銀行にとっては、全国ベースでしか出てこないのでございます。外国の銀行みたいに、支店ごとの認可を受けているわけでもなければ、支店ごとの資金コストがわかるようになっているものでもございません。
百店舗出ているときに、東京に十店舗出ていたら、百店舗の全部、例えば大阪本店の銀行の場合にも計算をして、かつその上で利子収入も資金コストも配分率でやるんだと。配分率はほとんど従業員数でやっているのでございますよ。今までの地方税の配分率をとると言っていますが、御存じのように、配分率の半分が店舗数であり、税額が決まった場合に、半分が店舗数で半分が従業員数で、その場合に本店でも従業員を二分の一にするというそのやり方をまねると言いながら、実は、自治省に対する東京都主税局長の説明では、ほとんど従業員数でやりたいという話をされているようでございまして、基準がばらばらだということも、我々の考えてきた地方税法上いいのだろうかと。なぜならば、五兆円というのは資金量ではかっております。あの資金量には、銀行の発行した社債が入っておりません。そして、持ち株会社になった場合には、五兆円の計算には別々になっております。
条例案が十四日発表されましたので拝見しましたが、そういういろいろ問題点がございますから、今、た地地方の税制を自治的に決められるという大原則だけで、この問題をしっかり検討することなくそのままに受け入れることには私は大変多くの問題があると思っておりますが、それは、ぜひ税の専門家なり、あるいは、せっかく東京都にも主税局に多くのスタッフがおりますから、たった一人の局長さんと相談するだけじゃなくて、きちっとした相談をしていただいてこれらのことを進めていただきたい。これがいわゆるデュープロセスの問題でありますし、同時に、地方税の今度の御提案の中の問題でございますので、ぜひこういう場でも一つ一つ御検討いただくことも、私は、租税法定主義からいってちっともおかしいことではない、このように思っております。
岡田委員 私は、ちょっと今の答弁、納得できないんです。つまり、もしこの七十二条の十九の「等」で読めないとおっしゃるのなら、有権解釈は法律ですから政府にあるわけです、まず一義的には。ですから、読めないと言えばいいわけです。東京都に対して、だめだ、法律違反だと言えば済むわけですね。もしそうじゃなくて「等」で読めるというのであれば、法律上は基本的には合法ですから、それに対して、今大臣がおっしゃったようなことをいろいろ言うというのは、基本的にはそれは筋が違うということになるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
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越智国務大臣 それは、きょうの外形標準と申しますか、この問題に対しては、そういう格好では書いておりませんけれども、私は、これらの五項目の発表の後に、書き直すことではないけれども、粗利というものが地方税法上の外形標準に入るかどうかは検討していただきたいということは閣議の席でも発言いたしておきました。
この中で言われているように、例えば五兆以上に対象を限定するのもおかしいとか、それから七十二条の二十二で均衡を失しないかという話も、これは所得標準の問題と税率の問題と両方絡みますけれども、今百億も出ていないところに千億の課税をするわけですから、均衡を失するかどうかという議論も、すべてこれらは東京都案に疑問が呈せられたわけでありますから、この読み方の中に粗利を外形標準と認めるかどうかも御議論賜りたいということは当然申し上げておきました。
岡田委員 そうしますと、今の御答弁は、この七十二条の十九に照らしてこれは適法であるということは、まだ政府としては結論を下していない、場合によってはまだ違法の可能性があるというふうに政府としては考えている、それがこの閣議口頭了解の意味である、こういうふうに考えてよろしいですか。
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越智国務大臣 いろいろな御議論があった上でこのような閣議口頭了解にまとめたわけでございますから、このことでやっていくしかないとは思っておりますけれども、全国一律に、また全業種一律に入れるときの議論としては、その問題を御検討賜りたい、このように申し上げておきました。
岡田委員 大分趣旨が違ってきたように思いますが、基本的に、確かにこの石原構想に対しては手放しで喜べない部分があるというふうに私は思います。ただ、法律上は可能なことだと私は思いますので、もし政府としてこの石原構想が適切でない、そういうことがこの法律の中で起こったということであれば、こういう法律をそのままにしておいた、そこに問題があるんだろうと思うんですね。
つまり、何か地方というのはどうせ国の言うことは必ず聞くんだという前提に立って、こういう条文がそのまま放置されていた。もっと、例えば租税の公平の原則をきちんと図らなきゃいけないとか、そういうことも含めて法律の中に書いておけば、あるいはこの七十二条の十九についてもう少し幅をはっきりと明示しておけば、ある意味では狭めておけばこういう問題は起こらなかったというふうに思います。その背景にあるのは、やはり地方は国に従うという主従関係にある、そういう認識が念頭にあってそういうことになっていたのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
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越智国務大臣 そういう意味ではございません。これは、石原構想でおやりになることについて、自治大臣が石原さんにお会いいたしました。何でお会いしたかというと、慎重なる対応を求めたい、もうちょっと直せませんかとかお考えいただけませんかということでお目にかかったわけで、やったら罰するぞという話でお会いになったわけじゃないのですから、その意味では地方自治をきちんと認めていらっしゃいますが、おっしゃるように七十二条の十九の書き方があいまいだった。しかし、それは何よりも一番欠陥があったというのは、県ごとにばらばらにやるということをどこまで認められるかということについて十分なる配慮がなかった。損保、生保に関しては売り上げの一・三というのはかかっているわけですから、だから業種別 にもしやるのならば、法人事業税に関してはもっと業種別の課税標準と税率を考える手もあったのかもしれない。
実は、外形標準構想を入れるという議論をしているときには、常に全業種に適用されるような課税標準と税率を模索していたものですから時間がかかっていたので、やりようによっては、あの業種はこう、この業種はこうとしないと、課税標準のあり方が業種によって違う。要するに、粗利がたくさん出るところと粗利がほとんど出ないところといろいろあるわけですよ。それで、税率も、業務純益なら今九・八だったと思いますけれども、それが三になるという、ここの比率の計算も実ははっきりしていないのです。
ですから、そういう意味では、私は、おっしゃるように、あそこの条文、七十二条というのは実は枝番号ばかり多い条文でございまして、あの枝番号をつけたときから大分時がたっているのだから、もっと考え直しておくべきじゃなかったかと言われれば、立法府に籍を置く者としてはそうだなと反省をいたしております。
岡田委員 そこで立法府と言われたのはちょっとどういう意味かわかりませんが。
そこで、この石原構想をちょっと離れまして、外形標準課税というものについて大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、全国知事会も、外形標準課税について全国一律の制度を早期に導入してもらいたいというような御要望も出ているようです。私は、今回の石原提案の積極的な意味が一つ認められるとすれば、というか、そこを非常に積極的に評価するのですが、やはり地方の課税自主権というものはきちんとあるのだということを明示したことだと思います。
そういう視点に立って考えますと、今政府税調で御検討中の外形標準課税についても、本当に全国一律でやらなければいけない話なんだろうかという気がいたします。例えば、ずっと長い議論の中で、外形基準については四つの類型というものが政府税調の小委員会の中で示されております。一つは事業活動によって生み出された価値だ、第二は給与総額、第三が物的基準と人的基準の組合せ、第四は資本等の金額。
そんなことを延々と議論して、どれがいいかということをやっているわけですが、私は、そこまで国が本当に決めなきゃいけないことなんだろうか。ある程度の幾つかの類型を示して、その中でどれをとるかは都道府県にゆだねていいのじゃないか。あるいは税率についても、ゼロでは困りますが、一定の幅の中で都道府県が税率を選定していい、そういうことにしてこそ、初めて地方の課税自主権というものを尊重した、まさしくそういう外形標準課税になるのじゃないか。全国、全部一緒にする必要がどこにあるのだろうか、こういう気がいたします。
この点について、大蔵大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
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宮澤国務大臣 まず最初に、今の石原知事のお考えにつきましての政府の立場というものは、先ほど申し上げましたけさの閣議決定に尽きておりますので、それについて私は何も申しません。これが政府の立場でございます。
それから次に、このたびの御提案を契機として、法人事業税の外形標準課税という問題が非常に注目されることになりました。これは、御承知のように、政府の税調等々では以前から議論をされておる問題でございますけれども、殊に、具体的には、全国の法人の六割以上が赤字でございますので、今の課税標準に関する限りは納税がないという、いろいろな社会的なあるいは国家的な便益を受けておるにもかかわらず、確かにもうからないから所得的な課税はないにしても、その便益に対する何らかの納税はあってもいいではないかという考え方は、御承知のようにございます。それは政府税調でも検討を既にしつつあった問題でございますので、今度の石原提案というものが契機になって、承るところでは、全国知事会の会長の知事さんがこれは一律にやはり本格的に考えるべきではないかということを自治大臣に言われたと承知をしております。
今岡田委員のおっしゃいましたことは、外形標準のとり方についていろいろな問題が、どれをとるかというようなことは何も自治体に任せてもいいではないかという意味のことをおっしゃったわけですが、そうかもしれませんが、実はその前に、ちょっとこれは話が混雑するといけませんが、先ほど将来に向けての行財政改革ということを地方税も含めてお互いに話をしておりましたが、ちょっとそれと違う、手前の次元でこの問題は出てまいるわけですから、ちょっとそこを切り離させていただきますが、今の状況の中で、確かに地方財政からいいますと、ここのところの税収の落ちが非常に大きゅうございまして、国も特例交付金を九千億円つくったほどでございますから、そういうことは、地方財政からいいますと非常に喫緊な問題であると私も思いますし、今度、こういうことで認識が深まったからどうだろうかということがまた出てくると思いますが、他方で、半分以上を占める赤字法人は、これは当然のことながら反対でございます。仮に地方の商工会議所なんかで議論をすれば、賛成という人は、それはいるかもしれませんが、黙っている可能性が多うございまして、反対という人が大多数ということになります。こういう経済状況のときに、それをいわばコンセンサスとして実現できるだろうか。そのためにはやはり幾つかのステップが要るのかもしれない。
自治大臣御自身は、中小企業にはよく配意しつつということを言っておられますが、通産大臣は今度は、いかに配意をしても課税になることには変わりはないだろう、そういう中小企業の立場を考えられますので、したがって、にわかにここで、現実性と申しますか、議論が現実的なものになってまいったのは確かで、それだけの意味はございますが、その行き着く先というのは必ずしも明確でないと申し上げておくべきかと思います。
岡田委員 確かに、外形標準課税の導入の時期につきましては、今の景気の現状もありますから、いろいろな議論があるんだろうと思います。そのことは私も理解をしております。
私が申し上げたいことは、時期の問題というよりは中身の問題でありまして、確かに赤字法人がこれだけ多い中で、多少景気が回復したとしても、かなりの赤字法人がある中で都道府県が本当にそういう、それぞれがある程度の自由度を認めて新しい課税ができるだろうかという、そこに恐らく大蔵大臣の御心配はあるんだろうと思います。逆に言いますと、それを言っている限り地方自治というのは育たないわけでありまして、地方の赤字が深刻な中で、そこはまさしく地方の、都道府県の議会の中で御議論をいただき、赤字をふやさないために、そういった形での外形標準課税を入れていくのか。その入れる中身もいろいろあると思います。そういう中身についての議論も含めて、入れていくのか、それとも歳出を削っていくのか、まさしくそういう議論をきちんと都道府県でできるようにしていくということが地方自治じゃないか。それをいつまでも、都道府県では反対もあってちょっと難しそうだから、国が泥をかぶって全部一律に入れてあげるよ、そういう発想自身が地方自治を殺しているのじゃないかというふうに私は思うわけですが、いかがでしょうか。
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宮澤国務大臣 私にとりましては、それは今の、あすあさっての問題ではない、こう思いながら、しかし、遠い問題でもないと思います。 よくおわかりのように、企業の立場からいえば、ある県には、殊に東京でございましょう、たくさん人間がいる、どこかの県には大きな工場がある、どこかの県には大きな工場があるけれども、それはオートメーションであるから人間というのは余りいない、だからそこは面積でやっておられたと。一つの企業について各県がそういう違う課税標準をとりますと、それは、納税者はたまったものじゃありません。
つまり、税の取り合いが各県で始まるわけでございますから、そういう状況というものはどういうところにおさまるだろうか。少なくとも今はああいう交付税みたいなものがございますから、各県の貧富を調整するというようなことで自治省がやっている。それは必ずしもよくないとおっしゃっている部分はわかるのですが、今度はそれが全部なくなっちゃって、みんな取り合いをした場合には、非常に大きな企業を抱いている地域、それは恐らくやはり大きな都市になると思いますが、それがもう圧倒的に財源を持ってしまう、不交付団体とか交付団体とかいう調整もなくなりますから。それが地方自治だとまでおっしゃいますと、それはなかなかつらい話になるかもしれない。その辺のところが一つ議論のあるところだと思います。
岡田委員 私も極端な議論をしているわけではございませんが、交付税で一〇〇%補てんするのじゃなくて、そこは、いろいろな工夫の中で都道府県の努力というものが正当に評価されるような仕組みというのがつくり得るのじゃないか、そういうふうに思っております。
先ほど大臣おっしゃいました、例えば、ある県では従業員の数を課税標準にして外形標準課税をかける、隣の県は、違う、例えば面積でかける、そういうことをやりますと、従業員の数の多い工場や事業所は、当然、それを課税標準にしないところに移っていきます。基本的にはそういう形になります。そういう形でまさしく都道府県の中で競争が始まる、そういう非常に積極的な面も評価できるのじゃないかというふうに私は思います。アメリカであれば州ごとにそういうことを現実にやっているわけですね。それを全部一律でと言っている限りはやはり地方自治というのは根づいていかないのじゃないかな、私はそういうふうに思っていることを申し上げておきたいと思います。
<日賦貸金業規制>
岡田委員 次に、時間もございませんので、日賦貸金業規制の問題について越智大臣にお聞きしたいと思いますが、私どもは、商工ローンの問題で利息の引き下げということを実現したわけであります。私ども、あの改正で十分だとは思っておりませんが、しかし、そういう中で、一方で日賦貸金業者というのがふえている、こういう話がございます。
今のこの日賦貸金業者の被害の実態、そして業者の今の実態についてどういうふうに把握しておられるか、お聞きをしたいと思います。
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越智国務大臣 日賦業者の問題がクローズアップされてきましたのは、昨年十二月の上旬ごろ、例の商工ローンの話が煮詰まってきた段階で、これはかなり問題だという意識を持っております、二カ月ぐらい前の話でございますが。そして、その後、調査を始めてみると、ややふえているみたいだ、全国で二千軒かなと思っているのが、いや、そうでもないらしいぞと。
ただし、これは非常に地域の差があるみたいでございまして、どの県でもどうということじゃなくて、増減の波が違っている、もともと、飲食店等日銭の入る商売をされているところの問題でございますので。だけれども、それの規制が、単に貸金業法の取り締まりと同じ意味の、強烈な取り立てをしちゃいかぬ、過酷な取り立てをしちゃいかぬというだけじゃなくて、日賦業者の営業範囲を超えて百日未満をやっているんじゃないかとかサラリーマンの奥さんに貸しているんじゃないかとか、たまたま金利が昔どおりのが残っておりますものですから、そこら辺も調べたいんですが、業者の団体があるようで余りはっきりしていないので、我が方では、二月の上旬でございましたか、それに全部実態調査をかけることにしまして、作業をスタートいたしました。
たまたまその後であのNHKの番組が出たようでございまして、かなりそれで人口に膾炙したというのでしょうか、日賦業者というのはいろいろ問題があるのだなということになってきましたが、いましばらく時間をちょうだいして、まず業者の実態、そしてそれに基づく被害といいますか、トラブルの実態も早急に調べ上げていきたい、まだそんな段階でございます。
岡田委員 この問題は、出資法の附則でそういう例外が認められている、こういうことによるものでありますが、今大臣お話しのように、本来小規模事業者を対象にしたものであるべきはずが、主婦とか公務員までその対象になっている、借りているということでありますとか、それから商工ローンと同じように保証人がたくさんついているとか、いろいろな問題が指摘をされているわけでございます。
商工ローンのときには、民主党が中心になって夏の国会に法案を提出し、金融監督庁にはそれから動き出していただいたような現実だと思いますが、この問題も非常に重要な問題でありますので、ぜひ素早く対応していただきたい。 そして、これは法務省の法律だとおっしゃるかもしれませんが、これは金融の一つの断面でありますので、我々ももちろん立法府としてこの問題について積極的に取り組んでいかなければいけないと思っておりますが、実態把握も結構ですけれども、早急にやっていただきたい、そういうふうに思います。
もし御感想があればお聞きしたいと思います。
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越智国務大臣 これも貸金業者の一部でございますので、貸金業法そのものは私どもの所管法律になっておりますので、法務省の仕事なんという言い方は考えておりませんから、もちろん私どもの仕事として目下積極的に取り組んでおります。ただ、率直に申しまして、スタートしたのが去年の暮れごろなものですから、多少出おくれているという残念な点もございます。
<預金保険法>
岡田委員 それでは次に、預金保険法等の改正の問題について、時間も限られておりますが、五分間ですが、大蔵大臣それから越智大臣に質問したいと思います。
まず、今回のペイオフの解禁の延期につきまして、党で決まったことだ、三党で決めたことなのでそれを尊重する、そういう基本的なスタンスでおられるように思います。もちろん、党での御議論も結構なのですが、これはやはり非常に大事な問題でありますから、しかも両大臣、越智大臣の方は信用組合の問題というのは指摘はされておりましたけれども、例えば宮澤大臣は、この問題はちゃんと予定どおりやるんだということをかなり明確に言っておられたように私は記憶をしております。 それが、党が決めたからということで簡単におりてしまうということでは、これはやはり何のために政府があるのか、大臣がおられるのかということになると思いますが、現実のところ、党との間でどのようなやりとりがあって、宮澤大臣としては納得をされたのでしょうか。
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宮澤国務大臣 これは、私にとりましては実はそんな複雑な過程を経た話ではありませんで、私自身は、五年前に決めたことだからそれをやりたいなと思ってまいりました。ただ、いろいろ問題が、決まらない部分があるものですから、金融審議会に、実は年内に決めたいので夏休みを返上してくださいませんかというお願いをして、かなり金融審議会がいろいろ問題のあるところをおさめていってくれたわけです。
私が思ったよりも上手におさめてくれまして、それで、暮れに近くなりまして、いざ、さあ法律を書けるということになったときに、この信用組合をどうするかという問題が残りました。実際各党が、いよいよ本格的に法律が書けるという段階になりまして、本心でこの問題に関心を持たれるようになりまして、信用組合大丈夫かということになった。それまではそこまで問題が煮詰まっていませんでしたものですから、どなたも通常国会に法律が出るまで整備されるかどうかに余り本気に関心をお持ちでなかったようですが、十二月になりましてそうなりました、大丈夫かと。
私も、実はその問題は大丈夫かと思っていた一人ですが、もうこれだけ問題が整理されたと。それならば、言ってみても三百近くのことでございますから、四月に政府に移管をして、しかし金融監督庁の検査はちょっとつらいかもしれないなと。三百近いものが、かなり傷んでおるものも恐らくありますから、それを検査して、破綻するものはさせる、それから早期是正するものは是正する、場合によって法律を直してでも金をつぎ込むか、そういうだけの仕事を四月に権限が移って六、七月ぐらいから始めて来年の三月までに全部やり切るかということになると、それはなるほどちょっときついなと。それでも、国の金融秩序に関するほどのことでもないしという気持ちもございましたが、各党の方々は、やはり御自分の地域の実態を知っておられますから、信用組合といって余り軽く扱うわけにはいかないよというお気持ちが強うございました。そうかといって、これだけを別に扱うということは問題が多そうでございますから、その他の部分、例えば公的資金導入なんということはもう済んでおりますから、そういうものはもういいと。
ただ、信用組合と金庫について、場合によって資金的な援助もするという規定も備えた上で、それだったら思い切ってその部分は一年延ばしてもらった方がいいかもしれないと。ちょうどこれが、暮れになりましたものですから、少し報道等も全面的でありませんで、何かすべてのことがずれてしまった。一年ずれたものがまたずれるかもしれない。そうすると、国際的な不信を招くだろうというようなことがあって、いや、実はそんなことをするのではないのですと申し上げておりましたけれども、ちょうど暮れでもあって、PRも十分でなかったのかもしれません。
しかし、私の本心は、確かに三百近いものが残っていて、そのかなりのものが傷んでいるかもしれない、それが検査が始まるのが少なくとも権限的に四月でございますから、少しおくれてちょっと時間的に無理かな、そういうことでございました。
岡田委員 もう終わりますが、信用組合の権限移譲の問題はもう既にわかっていた話でありまして、わかっていたにもかかわらず、一たびは解禁は予定どおりやるべきだとおっしゃっていた、そこのところが私には納得がいかないところでございます。
終わります。