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2000.10.15|マスコミ

政策調査会インタビュー

「強い経済と社会的公正の両立」 いかに実現するかが最大の課題です。

―まず政調会長就任にあたっての抱負を。  実感としてはちょっと年齢的に早すぎるなとは思いましたが、引き受けた以上はしっかりやりたいと思っています。 ―民主党の若さを示す、一つの象徴という側面もあるようです。  そういう見方があることは十分自覚しています。これで非力な政調会長だと評価されると、世代交代を遅らせる結果になりますから。そういう意味でもしっかりやりたいと思っています。

ほどほどにできない。てきとうにやれない。

―岡田さんのポスターにある「ほどほどにできない。てきとうにやれない。」というキャッチフレーズは印象的ですね。政策に対するポリシーもそうですか?  ポリシーというか性格でしょうね。政策の表面的な議論だけしていても、2,3年たてば吹っ飛んでしまうような話では仕方がない。政策は、まず基本的なス タンスをきちんと固めた上で、各論を議論すべきだというのがぼくの基本的な考え方です。  安全保障基本政策を党内で議論したときにも、海外での武力行使を抑制的に考えていくという憲法の精神を守っていくのか、それとも「普通の国」を目指すの かをまず議論しました。多国籍軍への参加、や集団的自衛権の行使という話は、根本論がきちんとしてそこから出てくる話であって、根本が定まっていないとこ ろでそのような具体的な話をしても仕方がない。  教育論もそうです。いろんな課題がありますが、まず基本的に、個人においての能力の差というものを認めた上で、学校教育というものを立てていくのか、そ れとも平等だという前提でうち立てていくのかでは、全然違ってきます。そこから逃げてしまうと、あとの政策も形はあるけれども魂が入っていないことになり かねない。

―社会保障でもそういう議論が必要ですね。  直接のお答えにならないかも知れませんが、ぼくが今一番考えていることは、強い経済と社会的公正の両立をいかに実現するかということです。強い経済は規 制改革と自由競争、市場原理を重視する。しかし、その結果いろいろと弊害が出てくる。そこで社会的公正をいかに確保していくかという問題になります。  そこで社会的公正とは何か。結果の平等なのか機会の平等なのか。結果を100%平等にしようという議論の支持者はいないと思いますが、機会の平等だけで いいのか、結果の平等もある程度加味しなければならないのか、機会の平等を実質的に確保するということはどういうことなのか、など党内で議論をしなければ ならないですね。  こういう議論をきちんとした上で、あるべき社会保障制度や税制の議論をするべきじゃないのかと思いますね。

批判を恐れず思いきった改革を

―衆議院選挙後に、民主党の政策はわかりづらいという反省がずいぶんあったようですが、政策責任者としてどう考えますか。  わかりづらいというご意見が両方の立場から出ているところがこの党の難しいところなんですね。でも、最大多数の意見に迎合するものばかり出していれば、 世の中は変わりません。やはり今のままではいけない、思い切った改革をしていくべきだという立場に立つのであれば、批判を恐れるべきではない。  物事を変えていくということは、既得権を持っている人には辛いことです。そして、既得権は一部の人たちだけのものではありません。ほとんどの人は何らか の既得権をもっています。もちろん批判には謙虚に耳を傾けて、きちんと説明していく姿勢は非常に大事なこと。理解していただけないときも、説明と説得を根 気よく続けることです。 ―また、都市型政党か農村型政党かという議論がありました。民主党は都市型政党といわれることについてはどうお考えですか。  基本的には民主党の政策はある程度ターゲットを絞った方が切れ味が出ると思っています。すべての選挙民に受けいれられる政策というのはない。地域的には 300のうち都市と中間地域を中心とした200くらいの選挙区を、世代的には現役の世代を念頭に置き、そして消費者・生活者の立場に立った政策を訴えてい きたいと思っています。  それが必ずしも残りの100の選挙区や年金世代に全く受け入れられない訳ではない。その中にも民主党の政策はいいと評価してくれる人もたくさんいるはず です。

強い経済と社会的公正を具体的な理念に

―任期中にまとめたい政策は?  まず民主党の基本理念ですね。強い経済と社会的公正の両立をいかにより具体的な理念や政策にまとめるかが最大の課題です。鳩山代表も党大会で基本的な方 向を示されましたが、もう少しブレイクダウンして、わかりやすく打ち出したい。成功している国はあまりないんですね。イギリスのブレア首相の第3の道も、 必ずしもうまくいってはいない。難しいテーマだと思いますが、何とか形にしたいと思います。  そして、当然のことながら、地方分権、社会保障、財政構造改革、教育、ITなどについて骨太な政策をまとめる必要があります。

自民党の改革派には何の幻想も持っていない

―民主党には岡田さんより一回りくらい若い30代の議員がたくさんいますが、先輩として望むことがあったらお聞かせください。  そういうことを話すのはおこがましいんだけど、2つ言います。  ひとつは自民党がなぜだめになったのかというと、人材の育成に失敗しているんですね。中選挙区時代にはそれなりのいい人材が当選していたのですが、それ を10年20年かけて育てる中でスポイルしてしまっている。自民党の若い議員と、時間の使い方も含めて同じことをやっていたら、同じような議員にしかなら ない。われわれが目指している政治が今までと全然違うものだとすれば、今までの政治家のビヘイビアと同じことをしていたら絶対だめです。全然違うスタイル で自分を作っていかないとだめだと、ぼくは思うんです。ぼくが飲み会にあまりつきあわない、ひとつの言い訳でもあるんですが、やはり若いうちはしっかり本 を読んだり、考える時間を大事にすべきだと思いますね。  もうひとつは、ぼくは自民党を出てきた人間ですから、自民党は絶対パートナーになり得ない政党だと身体で感じています。もし自民党が長く野党にあれば変 わるかもしれないが、そうでない限り自民党は変わらない。今自民党の中で改革派といわれる人たちに何の幻想も持っていないんですよ。その辺の感覚が当選回 数が1?3回の人たちとはちょっと違うかもしれません。  ぼくも個人的に親しい人もいるし、話の合う人もいます。ですが、自民党というひとつの固まりになったときに、もうわれわれのパートナーには絶対なり得な いし、そんな甘いものじゃないと思います。

民主党を強くして政権党にすることを目指すべきで、政界再編成の時代は終わったと思います。 ―飲み会にそんなに行かないんですか。  全く行かないわけでもないけれど、たとえば安全保障の基本政策をまとめたときには、3ヶ月間ずっと自分で夜こもって書きましたから。飲みに行っていたら できないですよね。党内議論をふまえて、何回も書き直しをしましたし、基本政策づくりはそのくらいしないとできないと思いますよ。  ぼくは国会の質問づくりも人に任せたことは一度もありません。初当選以来、全部自分で書いています。

日本が何を目指すのかビジョン示したい

―最後に政治家として目指していることを聞かせてください。  この国は今方向感覚を失っていると思うんですよ。高度成長期は幸せな時代で、みんなで坂の上の雲を見つめて、国民が一つの目標に向かって、欧米にキャッ チアップしようと思って進んでいた。  今何をしていいのかわからないと言う状態に日本全体がなっている。価値観は多様化していますし、政治家が強引に一つの目標を作るという時代ではないです が、日本という国が何を目指していくのかというビジョンは示すべきだと思う。それは何なのだといわれると、ぼくにもまだきちんとした答えはありません。  党としてそれをきちんと提示できたときに、もっと民主党に対する求心力や期待感はぐんと高まると思います。  自民党という政党は高度経済成長の中で大きくなるパイをどうやって分配するかを考えてきた政党。それではだめだということはわかっている。それに変わる ビジョン提示型の政治が求められるが、それは民主党にも明確な形ではまだ見えていません。  たとえば世界全体での日本の役割、アジアにおける日本の役割をもう少し明確に定義づけて、そのためには、日本人ひとり一人はどう参画したり関与していく のか。その姿を政治が見せられれば、この国はもっといい国になっていくと思います。




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