定例記者会見録 2001年5月
5月29日
○田中外相の発言は説明であって釈明ではなく、質問通告の内容も事実誤認
○「反対議員は新幹線に乗るな」という泉副大臣の暴論について、釈明を求める
○全議員懇談会での意見交換を踏まえ、新たな論点についてNCで方針を決める
○道路財源は2年間の時限措置として一般財源化し、その間に抜本改革を進める方向
田中外相発言
【政調会長】今日は、主として先程行われた全議員政策懇談会についての報告を申し上げたいと思いますが、その前に私のほうから2点。
まず一つですね、昨日の衆議院予算委員会で、私の先般における質問(米国の新しい核ミサイル戦略に対する見解を質したもの)につきまして、田中外務大臣のほうから、予算委員会の冒頭に発言がありました。そのことについて一言、私のコメントを申し上げておきたいと思います。
まず、野呂田委員長のほうから、「理事会の総意により、この場で外務大臣から釈明を求めます」ということだったんですね。予算委員会での委員長の発言は、そういうことでありました。
それを受けて、田中外務大臣がお話になったんですが、そのなかでは淡々と事実の「説明」をしただけで、私は「釈明」になってないんじゃないかというふうに思います。
田中大臣に引き続いて、柳沢国務大臣も発言をしておりますが、そこは最終的に自分の発言が勘違いだったということで、「改めておわびさせていただきます」ということになりましたが、田中大臣のほうは「おわび」という言葉は全くありません。
委員会の場で、質問に対して違った答えをして、そして翌日ですね、その言葉に対して記者会見を開いて、まあ、そのときは「おわび」と言ったか「釈明」と言ったか分かりませんが、そういうことをしたにもかかわらず、委員会の場で発言者の私に対してお詫びの一言もないというのは、誠に失礼な話だと申し上げなければいけないと思います。
かつ、田中大臣は「15日午前の衆議院予算委員会における岡田議員の質問では、アーミテージ副長官と私が会談しなかった理由についてただす旨の通告があったため、」「あのようなお答えとなりました」というふうに述べているわけですが、私は質問通告のなかで、田中外務大臣がアーミテージ米国務副長官と会談をしなかったことについて質すというような通告はしておりません。
外務当局が想定質問として作ったことはあったかもしれませんが、私は通告しておりませんので、そういう間違った事実に基づいてお話になっているわけで、そういう意味でもこの釈明は極めて問題がある、不十分なものであると申し上げておかなければいけないと思います。
今、外務当局のほうに、私が通告しなかったはずであるという確認を求めているところであります。質問については1枚紙のペーパーを出しておりますが、もちろんそこにはそういう表現は入っておりませんし、私が予算委員会で質問したときにも、「私自身は田中大臣とアーミテージ副長官が会わなかったことについて聞くつもりはない」と断ったうえで質問しておりますので、この昨日の大臣の発言というのは、全く意味不明であります。
泉国土交通副大臣発言
【政調会長】それからもう一つ。一昨日、泉国土交通副大臣が、北陸新幹線の起工式に出て、「整備新幹線見直しを求める議員がいるが、そういう発言をしたからには言動に責任を持って、新幹線に乗らないでいただきたい」と、記者会見で発言いたしました。
まさしくこれも暴論でありまして、それでは予算案に反対した野党議員は、予算の執行を全部拒否しなければいけないということになるわけで、全く論理的でないと思いますね。
これは極めて失礼な発言でありまして、釈明を求めたいと思っております。機会を見て、副大臣あるいは国土交通省に対しまして、真意を聞きたいと考えているところであります。
全議員政策懇談会
【政調会長】今日、全議員政策懇談会を行いました。これは、私の名前で招集いたしましたが、鳩山代表、羽田特別代表、菅幹事長にも出ていただいて、特に幹事長は最後まで残っていただいて、意見交換をさせていただきました。
今日の趣旨は、小泉総理の示した新たな政策的論点について、民主党の基本的考え方・方針を議論するというものです。政策の決定はネクストキャビネット(NC)で行うことになっておりますが、NCだけの議論ではなくて、今日、全体会議という形で、議員の皆さんのご意見をいただき、それをも参考にしながら、木曜日(5月31日)のNCで決定をしたいと考えています。今回の懇談会の位置付けは、そういったものであります。
従いまして、今日は意見をいろいろおっしゃっていただいて、私からもお答えいたしましたし、賛成・反対、いろんな議論が飛び交いましたが、そういうものを踏まえて、木曜日のNCで決定をすると。今日は何かを決めたということはありません。意見交換をしたということであります。
懇談会の内容についてはあまり詳しく申し上げませんが、一つは財政構造改革について、いろんな議論がありました。
我々の方針は基本的に、まず「国債発行30兆円制限法案」の成立を目指す。それから、増税なき構造改革に取り組む。政権獲得5年後のプライマリーバランスに向けて内容の具体化を急ぐ。そして、国債の発行制限を前提に、来年度予算の削減内容の議論を詰める。そういう方針でありますが、もう少し構造改革の中身として、こういうものも盛り込んだほうがいいのではないかという意見をいくつかご指摘いただきました。
いずれも大変重要な提案でありましたので、取り敢えず今まとめようとしているペーパーの中身というよりは、その方針を決めたうえで、それぞれの部門会議でまた具体的な中身について議論をしていただきますので、そこでご議論をしていただければいいのではないかと思っておりますが、大変前向きなご提案をいただきました。
それから、首相公選制について、項目のなかに入ってないんじゃないかというご意見がありましたが、それにつきましては、小泉さんのほうも首相公選制については、あんまり具体案があるわけではなくて、これから検討するということなので、我々としては今、この問題で具体論を詰めるというよりは、取り敢えず参議院選挙政策のなかに、議院内閣制が基本であるということ述べておりますので、それで良いのではないかと。
そして、議院内閣制が機能する条件が満たされない場合には、首相公選制も重要な検討課題の一つであるということを、その選挙政策のなかで提起しておりますので、それでいいんじゃないかということを私のほうから申し上げておきました。
その他に議論が出ましたのは、道路特定財源についてであります。ここは、活発な議論がなされました。特に、納税者・ユーザーの立場からすれば、むしろ暫定税率(暫定的に本則の倍の税率を賦課したもの)を下げるという議論をすべきではないかという話等々、議論があったところであります。
それに対して、いやそうじゃないんじゃないか、これだけの厳しい財政状況のなかで、やはり特定財源を一般財源に移していくということに意義を認めるべきだという議論、あるいは、やはりこの道路特定財源の名の下で、政官業の癒着構造というものができあがっている。それをぶち壊すために、一般財源化をしていくということは重要なことだと。
それから、一般財源化といっても、2年間の暫定的なものを考えているのであって、その先に我々が展望しているのは環境税を含む税制全体の抜本改革であると。この「全体」という意味は、特定財源制度、自動車関連税制のあり方を全面的に見直して、環境税等への転換を抜本的に議論することに我々の目的はあるんで、2年間の移行期間における暫定的なものとして、一般財源化を言っているんであるというような議論が交わされたところであります。
意見としては、NCで一旦認めた今の方向でいいんじゃないかという議論が多かったように思いますが、なお意見が少し出ましたので、木曜日のNCでもう少し議論をしてみたいというふうに考えております。
それから、郵政事業改革についても少し議論が出ました。
ただ、改革の中身の議論が中心で、方針として我々が掲げていることについては、さほど議論があったわけではありません。我々は、公社化以前の問題としては、民間の信書参入の範囲でありますとか、ユニバーサルサービス(全国一律のサービス)のあり方についての具体策を検討すると。
それから、公社に対する課税のあり方、保証料徴収の是非についても検討するというようなことでありまして、ここはあまり議論はありませんでした。
議論があったのはむしろ、公社化後の話でありまして、特に、中央省庁等改革基本法33条6項に「民営化等の見直しは行わないものとする」という条文が入っておりますが、これを削除するという我々の方針について—-これは、枝野議員の衆議院本会議代表質問にもありましたが—-いろいろとご意見をいただきました。 例えば、これは公社になるまでの話を言ってるんであって、その後の議論を封じているわけではないので、あえて言わなくてもいいんじゃないかという意見がありました。そこは事実の問題ですので、もう少し確認をしたいと思っております。
集団的自衛権についても若干議論がありましたが、中身を変えろとか、これではいけないというような意見ではありませんでした。
大体、そういうことで、若干参議院の委員会審議等に重なった部分もあって、参加者の数が限られていたかもしれませんが、それでも70から80人ぐらいはおられたんじゃないかと思いますが、以上なようなことで、今日のところは議論を終えたところであります。
道路特定財源
【記者】道路特定財源の一般財源化というは、例えば岡田さんや菅さんのほうから方針を示すといったことはあったんですか。
【政調会長】それについては、この前の記者会見でもちょっと申し上げましたが、そのときとは少し表現も変えましたので、もう一度申し上げますと、我々の今の考え方は、2点あります。
第1に、「すべての特定財源、自動車関連税制のあり方を全面的に見直し、環境税等への転換など抜本改革を議論」。第2に、「抜本改革実現までの間(2年間)特定財源を時限的に一般財源化する」と。
こういう方針について、ご議論いただいたところであります。
5月22日
○野党3党党首会談—-斡旋利得、天下り、政治連盟について協力して実現
○道路財源—-まずは一般財源化したのちに、エネルギー税制全体を再構築
○田中外相発言—-発言の真偽・内容も、今後の態度・方針も不明
○機密費問題の最大の責任は、河野前外相と福田官房長官にある
○扇国土交通相—-アマチュア大臣もいいが、もっと職務に責任を持つべき
○政治連盟の法的規制は難しい問題だが、腐敗防止に向けて取り組んでいく
ネクストキャビネット(NC)報告
【政調会長】それじゃあ、今日のNCの報告をいたします。
まず、「3党党首会談」については、NCの冒頭に鳩山代表からもお話がありましたが、昨日の3党首会談において、主として3つの問題について提起がされました。腐敗防止・斡旋利得処罰法の充実・整備、天下りの禁止、それから政治連盟(政府から補助金・出資金あるいは事業等を受けている公益法人等の政治活動組織)の規制・禁止の3点について、立法化作業を急ぐとの結論となりました。
今日は上田決算・行政監視ネクスト大臣がおられませんでしたので、天下りの問題の現状については十分把握できなかったんですが、斡旋利得の問題はすでに私設秘書を処罰対象に加えるということで、法案は準備されております。
それから、政治連盟のほうは、今までの議論の中ではなかなか法律的に難しい部分があるということになっておりますが、3党首の間で確認をされたので、もう1度、法制局も含めて、議論を詰めようということになりました。
難しいという意味は、結社の自由とか政治活動の自由とかいろんなものがあるなかで、どこで線を引くのかという、具体的に問題になってるのは、私も予算委員会で取り上げましたが、例えば医師政治連盟(医政連)と日本医師会との関係のように、補助金を受けたりしていて自由な政治活動ができないいろんな団体が、表裏の関係で政治団体を作って献金や政治活動をしてるということに対してどこまで規制ができるのかという問題であります。
私も予算委員会で医師会について、事務所も会長も一緒だし、医師会に加入すると自動的に医政連に加入することになってる都道府県がかなりあるということを指摘いたしましたが、そういったことについて法律的にどこまできちんと書けるのか、さらに検討をしようと。3党首間で合意されたことですので、積極的にもう1度、法制局も含めて議論しようということになりました。
それからですね、「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」についても第2回目の中間報告ということで、議論をいたしました。
ただ、これは最初に電気通信審議会の答申が出てから法案化するなかで、やや後退した部分もありますし、もう少し議論を煮詰めようということになりました。国会の議論が始まるまでに時間がありますので、今日も議論はいたしましたが、結論を出すところまではいっておりません。
我々は、紛争処理機関として、独立性の強い3条委員会を設けるというようなことを言ってきたんですが、法案のほうは8条委員会なもんですから、果たしてそれでいいのだろうかとか、第1種(設備を持っている事業主)、第2種(設備を持っていない事業主)で分けるのはおかしいというようなことも言ってきましたので、そうなっていない法案について最終的にどういう態度を取るべきか、なお議論を続けていこうということになりました。
次に、小泉総理が登場しているいくつかの問題について、今度の木曜日(5月24日)に論点を整理して、まずキャビネットにかけて、そしてそのうえで、もう少し幅広い範囲で議論をしようと思っております。その中で「道路特定財源制度」につきましては、特にクローズアップされておりますので、キャビネットで今日議論をいたしました。
まず、前原社会資本整備ネクスト大臣のほうから現状報告と発言がありまして、まず道路特定財源に限定した問題設定の仕方そのものが、おかしいんじゃないかと。むしろ民主党のように、公共事業全体のあり方の議論というのがあって、そのうちのワンパーツとして道路特定財源の話があるはずなのに、何か道路特定財源を止める、止めないという議論が非常に大きな話のように受け取られて、そこに議論が集中してるのはおかしいんじゃないかと。こういう話でありました。
これはその通りでありまして、そこは向こうの問題設定の仕方がお上手なのかもしれませんが、基本的には、そういう認識だということであります。
そのうえで、道路特定財源についてどうするかということについて少し議論をいたしました。
まず、政府のほうは何を考えてるのかと。今年は法案もいじらずに使途の対象を事実上拡張するような、そんな方向のようでありますが、それは法の主旨から言っておかしいんじゃないかと。
それから、来年度以降の姿についても、よく見えてこないなかで、我がほうは、もう少し分かりやすい形で、改革案を提示しなければならないということになりました。
私が日曜日のテレビ報道番組で申し上げたようなことも話題になりましたが、別にそれにこだわるつもりはありませんが、当面は特定財源をすべて期限を切って一般財源化すると。しかし、その先の話として、エネルギー税制始め特定財源について、全体を環境税を中心に再構築すべきではと考えています。
詳細については、これから党の中で議論することになります。私の日曜日の提案でいいんじゃないかというご意見も3〜4人のネクスト大臣からありました。
李登輝問題に関する田中外相発言
【政調会長】あと、若干私のほうからいくつか申し上げると、1つはですね、今日、予算委員会は見ておりませんが、昨日までの話で言いますと、台湾の李登輝前総統へのビザ発給の問題ですが、やっぱりここはもう少しきちんと国会でも議論しなければいけないと思っております。
田中外務大臣がどういうお考えなのかということが示されていない。例えば同じことが起きた場合に、外務大臣は賛成するのか反対するのかということが、昨日の答弁を見てる限りではよく分かりませんでした。もし反対するということであれば、それは閣内不一致だということになるわけであります。
もう1つは、中国の唐外相に何を言ったのかもお答えにならなかったわけであります。ここでもし、マスコミ報道で伝えられるようなこと(今後、李登輝氏へのビザ発給を認めない)を言っているとすると、大臣1人の見解を述べたということにとどまらず、中国側に誤ったサインを送ったということになるわけです。
国会では、そのことについて明らかにしていない。しかし、明確なメッセージを中国側に送っているという事態になっているとすると、これは大変由々しきことであります。
まあ、ある意味では外務大臣が信頼できない、そういうふうに中国側に受け取られても仕方がない。つまり2枚舌を使っているということになるわけですから、そういう外務大臣を日本は持ってるんだというふうに受け止められると、これは日本の外交にとって大変由々しき状態ではないかというふうに思います。
そういったことについて、やはり田中大臣としてですね、まず正直に、「相手側もありますから」って言うけども、自分が何を言ったかということは相手側は関係ありませんから、そのことを明確にしていただく責任があるんじゃないかというふうに思っています。
機密費問題
【政調会長】それから、機密費の問題なんですが、これを田中大臣が熱心にやっておられることに対する国民の期待というのは大きいと思います。もちろん、官邸上納費などについて発言が変わったりして、やや当初の期待ほどではないんじゃないかと言いつつも、国民の期待は大きい。
しかし、ここで考えてみると、なぜ田中大臣に対して国民の期待が集まったかというと、それは外務省の対応が今までひどすぎたということに尽きると思います。
外務省の対応がひどかったのは、もちろん外務官僚に責任があります。しかし同時に、それ以上に責任を負うべきは、当時の河野外務大臣であります。そのことが全く忘れられているんじゃないか。
河野外務大臣と、そして官邸の機密費という意味では福田官房長官ですね。この2人がひどいことをしたから、国民は怒ってる。そして、それに対して田中外務大臣が何かをしてくれるんじゃないかという期待で、評価が上がってるわけですが、そこは冷静に見ると、やはり同じ自民党である河野前外務大臣、そして現職でもある福田官房長官の責任は非常に重いと。本来、そこにもっとスポットライトが当てられるべきだというふうに思います。 特に機密費の問題を議論するときに、今回は1つのスキャンダルが発端になりましたので、外務省の機密費に焦点が当たっておりますが、使い方においてより問題があるのは官邸機密費でありますので、ここについてどういう取り扱いをこれからするのか。
私はまず、使途を限定すべきだということを申し上げてるわけですが、「国政の円滑な目的に資する」という漠然とした名目であれば、何にでも使えてしまいますから、そこを限定することを含め、どういう改革案を官邸が準備するのか。
つまり、官房長官ないし総理がどう改革するのかということが、実はこの機密費問題の最大のポイントでありまして、何か田中大臣のほうにばかりスポットライトが当てられているのは、随分おかしな話ではないかというふうに思って見ております。
これでまた私の支持率が落ちたかもしれませんね(笑)。
外国人参政権問題
【記者】今日の常任幹事会で、菅幹事長のほうから外国人参政権問題について、採決を欠席しても仕方がないという主旨の発言があったというふうに聞いているんですが、それについては、政調会長の立場からするとどのように……。
【政調会長】まあ、記者レクチャーをした方も含めて非常に正直な方が多いもんですから……幹事長がどういう主旨でおっしゃったのか私も分かりませんが、基本的にはこの法案は我が党が出してるわけですから、賛成をしていただくというのが原則だと思います。 どうしても賛成できないという方に対して、「まあ反対はしてくれるな」という説得というのはあるのかもしれませんが、それ以上のことは私の口からは言えませんし、あまり軽々に言うべきことではないというふうに思っています。
扇大臣発言
【記者】予算委員会で扇さんがですね、北海道の高速道路について、雪を除けるぐらいだったら地下に造ったらどうかというような発言をしたんですけど、そういう提案についてはどのようにお考えですか。
【政調会長】コスト比較とかちゃんとやってるんですかね。大臣が思いつきでものを言っておられるような感じがしますね。アマチュア大臣もいいけども、職務にもっと責任を持ってもらったほうがいいんじゃないでしょうか。 もしトンネルであれば、走れる車輌がかなり限定されますよ。普通のトンネルだってね、5キロ以上のトンネルっていうのは、危険物を積んだトラックなんかは通れないでしょ。全部地下トンネルってことになれば、乗用車ならいいかもしれませんが、産業用のトラックなんかは限定されるんじゃないですかね。そういう基本的なことをわきまえておっしゃってるんでしょうか。首を傾げますね。
野党3党首会談と政治連盟規制
【記者】3党首会談で一致した項目を法案化するに際しては、これはすべて政調(政策調査会)のほうでやられるんでしょうか。
【政調会長】ええ。今までやってきましたし、各部門でまず原案を固めたうえでNCで決めて、各党に提案していくということになります。
【記者】政治連盟については、現行法上は何か規制があるんですか。
【政調会長】今は政治資金規正法上、規制されてるんじゃないですか。補助金をもらってる法人とかについては。それに対する実質上、同じような機能を果たしてるものに対する規制という形で、まあ政治資金規正法の改正になるのか、独立法になるのかというような議論になるんじゃないでしょうか。
【記者】資金の受け手である政党支部を抜け道にして、政治連盟から献金を受けている問題については何か……
【政調会長】それは僕も国会で言ったんですが、政党そのものも含めて—-それは政治連盟だけじゃなくて、一般の企業でも同じだと思うんですけども—-党や党支部をトンネル機関にして、本来禁じられてるはずの企業・団体献金がなされてるという実態はかなりあるんだと思います。
これは党の対応の問題でもありまして、党で受け取ったカネを党の献金として政治家個人にあげるということを止めれば、なくなる話なんですね。国会質問で私は小泉さんに、そういうことがないように、自民党の中でそこはちゃんとしてくれますねと言ったら、ちゃんとすると彼は一応言ったんですが、これも法律でやるとなるとかなり難しい部分があります。トライは我々もしたんですけども。
【記者】野党3党首会談を受けての今日のNCで出た議論というのは、政治連盟についての話ということですか。
【政調会長】はい。あと少し出てきたのは、これは我々議論してきて法案も出そうと思ってるんですが、政治資金収支報告書の保存期間を3年から5年にするというような話も入っておりました。
これは、3党首間でそこまで出たのかどうか分かりませんが、今まで我が党で議論してきたことをパッケージにして、3党首会談に上げるということになると思います。インターネットで収支報告をするというようなことも含めてね。
5月15日
○公債発行額を30兆円以下に制限する法案に対する与党の対応が楽しみ
○機密費改革—-使途を制限し、将来における公表を制度化することで改革を実現
○地域金融円滑化法—-金融機関の貸出し状況を借り手の判断材料として提供
○予算委質疑—-総理が何かを約束したかのような誤解を国民に与えている恐れ
○外交は小泉内閣の一つのウィークポイント—-基本的な事柄さえ分かっていない
○外国人参政権—-我が党の法案に反対することはないし、党議拘束を外すこともない
ネクストキャビネット(NC)報告
【政調会長】今日のネクストキャビネットですが、まず、鳩山代表が代表質問で約束した「平成13年度から平成15年度までの間の各年度における公債発行額の限度に関する法律案」につきまして、先週金曜日に国会に提出したという報告がありました。
小泉総理のほうから「出せ」と言ったのに対して実際に出したら、予算委員会の私の質疑では「法律はいらない」と。しかし、そうは言っても我々が出した以上、採決になりますので、そのとき与党がどういう対応をされるのかというのは、非常に楽しみにしているところであります。
次に、「機密費の使用に係る文書の公表等に関する法律案(仮称)」についての中間報告がありました。機密費の改革案は先日、代表のほうから発表がありましたが、それを受けて今回法案の形にしたものであります。
一番大きなポイントは、機密費の目的の限定をするということで、機密費というのは現在では、「国政の円滑な遂行に資する」というような括りになっていまして、そういう非常に漠然とした名目のなかで、野党対策とか、あるいは飲み食いとか、そういうのも含めていろんな使われ方がされてきたわけで、そこの目的を限定するということが一つのポイントになります。
今のところ我々の案ではですね、「国民の安全又は国の重大な利害に係る機密の情報収集活動」ということで、情報収集活動に限定しているということであります。
あと、新しい話としては、「地域金融の円滑化に関する法律案」について、これは櫻井座長の下でいろいろご検討をいただいてきたわけですが、それぞれの地域における金融機関の活動状況、例えば中小企業に対する貸出しの比率でありますとか、あるいは個人ローンや住宅ローン等に対する貸出しの比率ですとか、そういった融資の状況について一定の情報開示をすることを中心にした法案で、アメリカなんかでは、そういった貸出しという観点から金融機関の格付けをする、もう少し厳しい法律があります。
今回、我々はそこまで厳しいものにはしませんが、一定の表示を義務付けるような、そういう法案として準備をしているものであります。
方向性としては了承を得られましたが、若干細かいところでいろいろ議論が出まして、そういうものを踏まえて、これから最終的には立法化作業をするということになりました。
これは、中小企業同友会の皆さん等がかなり熱心にこういうものが必要だという運動をされているもので、我が党としても、前回の衆議院選挙の前から、ずっと議論をしてきたものであります。
あまり厳しすぎると、金融機関を縛るというか、中小企業に対して融資を義務付けることになってしまうと。そこまでいくのはどうかという議論があるなかで、事実を外に対して表示して、あとは中小企業の方がそれをもとにを自ら判断すると。こういう基本的な仕組みにしたところであります。
それからもう一つ、「税務行政における国民の権利利益の保護に資するための国税通則法の一部を改正する法律案」についてです。これも今後さらに最終的な法案に向けて詰めたいと思いますが、基本的には了承されました。
この法案は国税通則法を改正するというものでありまして、具体的中身としてはですね、例えば、「目的」のところに「国民の権利利益の保護に資する」というようなことを入れて、「税務行政運営の基本理念」という条文を置きまして、そのなかには、プライバシーを尊重しなければいけないとか、苦情は誠実に処理しなければいけないとか、あるいは、「税務行政運営の基本方針」という条文を置いて、そこにもですね、国税庁長官は税務行政運営の基本となる方針を定め、これを公表しなければいけないというふうに規定すると。 そして、納税の主体たる国民に対する文書の作成および普及を推進するといった、デュー・プロセス、つまり税務行政をしていくうえで、国民に対してきちんと手続きを踏んで、行政をやっていくということについて、権利憲章的な位置付けのなかで、国税通則法を改正するものであります。 これは参議院選挙に向けて、地域金融円滑化法案の話も含め、非常に面白い案件だと思っております。
それから、「少子化対策基本法案」でありますが、やや、議論が長引きました。これは超党派の議員立法で推進されてきたもので、前回国会で一旦廃案になったんですけれども、再度国会に出てくるということであります。
何が議論になっているかといいますと、女性の立場から考えたときに、やや気になる箇所がいくつかあるということで、我が党のなかに、男女共同参画の立場から原案のままではなかなか賛成できないという意見がありまして、いろいろ議論をしたところであります。
前国会のときは、超党派の議員が法案を提出をするということは認めるけれども、党としては、我々の修正案が通らないと賛成はできませんということで整理をいたしました。
今回も恐らく同じような扱いになるんじゃないかと思いますが、もう少し詰めたほうがいいということで、今日は結論を出しませんでした。
最後に、「児童福祉法の一部を改正する法律案」について。これも今日、私が予算委員会で触れたものでありますが、無認可保育所の届け出を義務付けるという法案であります。これには与党も賛成していただきたいと思っています。
予算委員会質疑
【政調会長】衆議院予算委員会の基本的質疑が今日終わりました。私もNCがありましたので自由党の質問までしか見ておりませんが、共産党・社民党については見られませんでしたが、自分も質問していて感じたことは、小泉総理の答弁は一見非常に前向きなんですが、しかし、少し具体的に聞いてみると、「検討する」という言葉が返ってくる。
私の今日の質疑でいえば、例えば最後のほうに申し上げた中央社会保険医療協議会(中医協)の構成の話ですね。保険者側と、医療担当側と中立委員で8:8:4になっていると。それを何年か前の国会で、当時厚生大臣だった小泉さんから「構成を見直す」という答弁をいただいてましたので、そのことを確認したら、非常に前向きな答弁をいただいて、じゃあ本当に構成を見直すのかと思って、もう一度念のために聞いたら、いやそうじゃなく、「検討」するんだということだったわけですが、そういう形で非常に前向きな印象を与えられますが、現実にそれをきちっと約束はしていないということが質問のなかで分かったと思います。 テレビを見ておられる方は、あれは全部約束してるというふうに受け取っておられると思いますから、総理に対する好感度が非常に上がるんですが、現実には、これから検討していくということでありますので、その辺が国民の皆さんに誤ったメッセージを与えていなければいいがなというふうに思っております。
それから、やはり「政権が発足してまだ1カ月ですから」というのもいいんですが、具体案がほとんどなかったということであります。郵政民営化など、一部のことを除いては具体的な提案はなかったと。これから経済財政諮問会議で検討するとかですね、どこどこで検討するという話ばかりでありまして、ちょっと総理を目指していた人にしては自分が何をやりたいかという具体的なものが—-意欲はありますが—-あまり感じられなかったと。
結局、そういったことが、これから詰めていくなかで本当にきちんとできるかどうかが、まさしく小泉さんの正念場であろうというふうに思っております。
外交問題
【政調会長】もう一つだけ言わせていただくと、今日、委員会の最初に外交の問題を質問いたしましたが、田中外相のほうも「事務方から聞いてない」という言い方でしたが、本来であれば、外相であれば、新聞報道等もされてるわけですから、ブッシュ米大統領の提案に対してどう考えるかというのは、非常に大きな核戦略の問題ですから、当然一つの意見を持っていなければいけないわけです。総理ももちろんそうであります。
外相のほうは答弁がありませんでしたし、総理のほうも弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約について、歓迎するような言い方をされて、ちょっと質問してる私のほうが気になって修正しておきましたが、基本的なことがお分かりになってないんじゃないかという印象を持ちました。
まあ、外交がこの内閣の一つのウィークポイントで、新しいアメリカの大統領が決まっていろんなことが動き出しているときに、やや気になる点であります。
外国人参政権
【記者】外国人の地方参政権問題について、改めて議論を始められたというお話ですが、取りまとめ状況は?
【政調会長】事実関係を言いますと、まず我々は民主党として法案を出しました。ただ、新しい議員の方もたくさんおられますので、ご要望もあって、勉強会をこの国会が始まって以来何回か開いてまいりました。来週ももう1回開くことになっております。
基本的には我々法案を出しているわけですから、この法案に対する態度は決まってるわけですが、そういったご要望があるものですから、勉強会を続けてやっているというのが現状であります。つまり、今までの経緯、我が党の考え方を深めていただくために堀米さん(政治改革推進調査会会長代理)のところで、勉強会を開いていると。
もう少し申し上げますと、参政権の付与は疑問だと感じる人たちが有志で勉強会をやる動きがありまして、私のほうからそういう形でやるのではなくて、党の機関のなかで議論してくださいということをお願いしたという経緯もあります。
【記者】この法案が採決された場合のですね、賛否の対応はどういった……
【政調会長】基本的にはですね、法案を我々出しているわけです。全く同じものを出してるんですよね、公明党・保守党と。我が党が出したものに対して、反対をするということはあり得ない選択であります。
だた、そういうふうにフラットに言ってしまうと、いろいろ疑問を持っている人に対して、あまりにも紋切り型の対応になりますので、しっかりお互い勉強していくなかで、態度は一応決めてあるわけですけれども、だから何も勉強しないということではなくて、勉強していくなかで、理解を得ていきたいということであります。
【記者】法案への対応についてですが、党議拘束をかけないというようなことはあるんでしょうか。
【政調会長】そういった特別代表のご発言もね、あったというふうに聞いてるんですが、政府が提案した法案とか他党が提案した法案について、党議拘束をかけないという選択肢はありますが、党が出している法案について採決になった場合には、党議拘束をかけないという選択肢はないだろうと私は思います。論理的にそうだと思います。
もし違う論理展開があるなら、教えていただきたいと思いますが。
【記者】民主党の法案が否決されたときにですね、同じ内容の与党法案が提出されたときの対応については?
【政調会長】全く同じ法案を出すときに、別々に採決するのかなあ。どっかで一つにするんじゃないですかね。ちょっと分かりませんけども。
全く同じ法案について、党としての対応が違うなんてことはあり得ませんよね。そんなの中身は問題じゃなくて、どこが出してるかが問題ってことですからね。
党内的に、与党のほうもいろいろご苦労されてるみたいですが、現実にいろんな意見があることは事実ですので、多様なご意見をお持ちの皆さんと、しっかり議論をしていかなければいけないというふうに思っています。
代表提起の5法案
【記者】代表の代表質問で出た5法案(公債発行制限、機密費改革、天下り制限、公共事業削減および財政投融資改革に関するもの)を優先して提出し、審議を求めていくという方針は変わらないんでしょうか。
【政調会長】ええ、優先してというほどでもないんですが、物理的にですね、法制局が非常に混んでるもんですから、そういう意味では他の法案をちょっと押しのけて審査をしてもらってるという事実はあります。
ただ、他の法案も同じように大事ですから、そこに意識的に優劣を付けるつもりはありませんが。
5月8日
○代表質問・予算委員会では民主党の具体的な議論に対する賛否を突き付けていく
○教科書再修正要求—-明らかな事実誤認でなければ再修正は困難
○検定制度—-過程をオープンにしていればここまでの混乱は生じず
○あまりにも問題がありすぎる株式取得機構の設置延期は当然の結果
○郵政3事業民営化—-総理の真意を質し矛盾を突く
ネクストキャビネット(NC)報告
【政調会長】今日のNCでは、目の前にあります代表質問および予算委員会の対応を中心にフリー・ディスカッションをいたしました。
特に明日の代表質問について、鳩山代表からこういう問題に触れたいという概略のお話がありまして、それについて各ネクスト大臣からいろいろとご意見をいただき、議論をしたということであります。
中身は明日のお楽しみで、具体的なことはあまり申し上げられませんが、基本的に、小泉さんの所信表明演説を聞いていてもですね、勢いは非常にいいんですけでも、中身がよく分からないという感じです。
我々としては、今まで積み上げたいろんな議論があります。例えば財政構造改革について言えば、5年間でプライマリー・バランス(公債費を除く財政収支の均衡)を確保するという考え方があるわけですから、そういった我々の考え方をぶつけていくなかで、それに対して小泉政権は賛成できるのかできないのかという、そういう構え方をしていくのが一番分かりやすいだろうというふうに思っておりますし、今日のNCでの議論もそういったものでした。
そういう意味で、明日の代表質問、予算委員会では、我々の議論した具体的な結果を突き付けていくということを中心に据えてやっていこうと思っています。 抽象的ですが、当面の対応は以上であります。
韓国政府の再修正要求
【政調会長】それから今日、韓国政府のほうから検定済み教科書について再修正要求が出たようですので、それについてコメントしておきます。
まだ私も詳しく読んでいませんが、基本的に—-これは代表も韓国で同じようなことを申し上げたと思いますけれども—-日本の検定制度というものを前提とすれば、明らかな事実の間違いは別にして、再修正をすることは非常に難しいというふうに私は思います。
明らかに間違いがあるんであれば、それは学者の間でまず議論をしていただくということだと思いますが、それ以外のところについては検定をパスしたという事実がありますので、妥当かどうかという議論は残っても、検定そのものを覆して修正をしろとか、そういう議論には馴染みにくいというふうに思っております。
しかし、そういったことを説明していくのは、基本的に政府の責任でありますので、この問題がここまでこじれてしまったことについて、政府に責任を感じてもらわなきゃいけませんし、日韓関係の将来のためにきちんと対話を続けていって、今のもつれた糸をほぐしていく努力を政府に求めておきたいと思います。
鳩山代表訪韓と教科書問題
【記者】鳩山さんがですね、韓国での記者会見で教科書の修正問題について、韓国側の要求があった場合にですね、日本の学識経験者に見てもらって検討したらいいとおっしゃったんですが……
【政調会長】ですから先程言いましたように、明らかな事実の間違いとか、あるいは議論の余地のないくらい日韓に共通認識があるような問題であれば、それは多少議論の余地があるのかもしれません。
しかし教科書全体を引っくるめての検定制度ですので、そういう明白な間違いがない限りは、例えば6対4とか7対3に議論が分かれるような問題を直すということは、非常に難しいんじゃないかなというふうに思っています。
本当はプロセスをオープンにしていれば、その段階で問題は解決されたと思うんですね。事実の間違いといいますか、6対4とか7対3の問題でも、そういうことが早く表に出ていれば、あるいはそういうことが表に出せるオープンな仕組みであれば、こういう混乱は防げたわけですから、やはり制度を変える、検定のプロセスをオープンにするということを政府のほうには求めたいと思います。
銀行保有株式取得機構
【記者】政府が、銀行保有株式取得機構の今国会での設立を断念したということですが、それについてはどう……
【政調会長】まあ、あまりに問題がありすぎて、いわば当然の結果だと思いますね。記者会見でも申し上げたように、詰めるべき点があまりにも詰まってないまま、当時の亀井政調会長のゴリ押しでやろうとしたと。
さすがに政府の中でも、柳沢金融担当大臣を中心にですね、ちょっと待ってくれということになったというふうに理解してるんですが、それほど詰まってないものをやろうとしたというのは、政府によほど焦りがあったんですかね。
これはこれからの国会でも、機構の設立を9月に延ばしたとはいえ、議論になってくるかと思いますが、特に税金で損失を補填をするのかどうかというところについては、今国会でも議論してその問題点を明らかにしていかなきゃいけないと思っています。
私は前にも申し上げたように、損も得も政府が取るというのならまだ分かるんですが、損は国が取り、得は出資者である銀行が取るというのは理解しがたいというふうに思っております。
郵政3事業の民営化
【記者】先だっての代表のテレビ出演の中でね、郵政3事業の民営化に対して、早晩、党としての見解を出すという話があったんですが、それについては……
【政調会長】郵政3事業の民営化については、参議院選挙政策の中で我が党としての一定の解答を出してるわけですね。それは、公社化を前提としながら、その先のことについて議論するというようなトーンでまとめてあります。
民営化は小泉さんの持論ですけれども、彼は今、我が党の参議院選挙政策と同じようなことを言ってるわけですが、もう少し踏み込んで彼の真意を質していくということは必要になるんじゃないかと思っています。
そこでの考え方としては、一つは公社化を前提としながら、例えば民間参入の問題であるとか、公社の税負担の問題とか、そういうことをどうするのか、しっかりやれ、というような詰め方と、それからもう一つは公社化の先の議論をきちんと先取りしてやるという二つのやり方があると思うんですが、そこのところは党の中でもまだ詰め切っておりません。
【記者】新しい検討のチームを作って、民営化問題について参議院選挙前に何か結論を出すとか、そういうようなことではないと。
【政調会長】まあ、これからの国会審議の中で、我が党の考え方は示されていくと思います。
現時点でも法律上は、将来にわたって民営化はしないということになってるでしょ。そのことのおかしさというか、一方で私的懇談会とはいえ総理が作ったものがあるわけですから、それは法律上矛盾してるんで、そういうことをどう考えるのか。
それから、公社化をするときの民間参入の問題なども、公社化の検討と歩調を合わせてやらなきゃいけないと法律に書いてあるわけじゃないんですよね。勝手にそういうふうに決めてるだけで。だから民間の問題を今議論したっていいわけですよ。来年の通常国会での法案の提出を待たなくたって。そういう議論はありうると思いますね。
5月1日
○小泉改革—-成功しても失敗しても、どちらに転んでも「いいこと」という思考で
○トップの考え方を極力尊重しつつ議論を集約していくのが政党のあるべき姿
○世論調査—-自民党政治に対する不満がマグマのごとく一挙に噴き出した結果
○ダブル選挙があるとすれば、連立解消・自民党単独政権という決断がされたとき
○首相公選制は国家の政治制度のあり方を根本的に変えるという認識で議論すべき課題
小泉改革
【政調会長】それじゃあ、今日はNCはありませんけれど、定例ですので、記者会見をさせていただきたいと思います。
第一に、最近各社が出している小泉総理の高支持率についてコメントします。
支持率は高いだろうとは思ってましたけども、こうまでお化けのような数字が出てきますと、民主党としてもこの事実を受け止めて、これから参議院選挙に向かってどうやっていけばいいのかということを真剣に—-もちろん今までも真剣に考えていたんですが(笑)—-より真剣に考えなければいけないと思っています。
ただ基本的には、彼の言っている改革というものが、まだ中身ははっきりしませんが、今のところ民主党の言ってることにかなり近いと思われるわけですが、もしそういうものが本当にできるのであれば、それは日本国民にとって「いいこと」ですから、民主党にとってはやや残念かもしれませんが、大きく見れば日本にとって結構なことだというふうに私は思います。
しかしもし、それが言うだけでできないということであれば、国民の期待は一挙に小泉支持から民主党支持ということになってくるわけであります。小泉さんは自民党にとって最後のカードですから、それで改革ができなければ、もう民主党に期待するしかないということになるわけです。
そういう意味では、小泉さんがいろいろおっしゃってることについて、どんどん手形を切らせると。そして、それができれば日本にとって「いいこと」、できなければ民主党に対する期待が高まると。そういう、どちらに転んでもそれは「いいこと」というですね、「Win-Win作戦」で考えていけばいいんじゃないかというふうに思っております。
細川(護熙)政権のときの対応を見てますと、当時の野党・自民党は徹底的に細川総理の足を引っ張ったわけで、それにもかかわらず細川政権の支持率はほとんど落ちませんでした。
確かに、最後はその作戦が功を奏して細川さんが政権を投げ出したと、そういうことでありますが、日本にとっては不毛の国会1年間、まあ細川さんが政治改革をやったという意味では良かったんですが、国会では全く不毛の、聞くに堪えないような1年だったと思います。
我々はそういうやり方を踏襲するのではなくて、先程言いましたように、小泉さんが改革をやられるというなら、どんどん手形を切らせてそれを進めていく。民主党が政権を取ったときに、ある程度の下ごしらえができていたほうが我々にとってもいいわけですから、どんどん改革をやらせると。
それが空手形でできないということであれば、今度は民主党に対する期待が高まるわけですから、それは我々にとっても展望が開けるという、そういう考え方で整理をして、これから進んでいきたいというふうに思っています。
首相の所信表明演説も、少しマスコミ等で報道されておりますけども、まだ内容がよく分からないわけで、各論といいますか、具体論が全然ないなという感じがしますが、来週の所信表明演説とそれに対する鳩山代表等の質問、それから予算委員会—-予算委員会は私も質問する予定にしておりますが—-予算委員会における質疑を通じて、小泉さんがおっしゃってることが本当に具体性があるのか、そしてそれが本当にできるのかということをしっかり突き詰めていきたい。そんなふうに思っています。
鳩山代表訪韓
【政調会長】あとは、鳩山代表が今日から訪韓ということで、まだ具体的な話は入ってきておりませんが、NCでも大分苦労をして、教科書についての見解をまとめました。
私もできればですね、全議員協議会を開いてそこでしっかり議論したいという気持ちも実は持ってたんですが、もうシリが切れてるということで、あえてそういう形ではなくて、部門会議で議論を積み上げて、そして最終的にNCで調整をするというやり方にいたしました。
本当は、全議員協議会で私も最初から議論の輪の中に入って意見を言わせていただいたほうが良かったかなあという感じもしますが、それはちょっとリスクが大きすぎるという一部の幹部の声もあって、こういう形にさせていただいたわけであります。
いろんな考え方が党の中にあるということは非常に健全だし、結構だというふうに私は思っていますが、全体の状況を認識して、代表が韓国に行かれる、そして代表の気持ちはこういうことだということで、そこはかなり明確だったわけなんで、そういう方向で議論を集約していく責任が私には当然ありますし、民主党所属の国会議員一人ひとりが、そういうことも踏まえて議論をしていくと。そういう方向にこれから持っていくといいますか、そういう党にしていきたいなと。
自らの主張を、いつまでも同じことを述べてれば済むということではなくて、党全体のことを考えて、そして我々が選んだトップですから、そのトップの考え方というものを極力尊重するなかで議論を集約していくと。それが私は本来の政党といいますか、組織のあるべき姿じゃないかなと、そんなふうに思っておりまして、まだまだ若い党ですから、その辺がまだ少し未熟ではありますが、今回のことも一つの糧にしながら、政党としての風土・文化といいますか、そういうものを創っていきたいものだと思っております。
世論調査
【記者】先程の小泉内閣に対する世論調査でですね、支持の内容を細かく見てみるとですね、民主党の支持者の中にかなり、相当高い割合でですね、小泉政権を支持する声が上がってるんですが、これについてはどのようにお考えですか。
【政調会長】まあ、主張していることがかなり似通ってると。各論といいますか、それは小泉さんありませんので、そこはよく分からないなかで、方向性として似てるということがあるんだと思いますね。
ですから、これから各論に入っていったときに、中身がどれだけあるのかということも一つありますし、それから本当に自民党の中でできるのかということもはっきりしてくるなかで、その支持はジェットコースターのようにですね、ドンと下がるということは十分あることだというふうに思っています。
まあ、それから今までの不満といいますかね、自民党のやり方に対するガスが、マグマが溜まっていて、それが一挙に噴き出した。そういうことだと思いますね。
衆参ダブル選挙
【記者】与党内に衆参ダブル選挙という動きもありますが、民主党幹部として、それについてはどうお考えでしょうか。
【政調会長】まあ、僕が幹部かどうかは分かりませんが、可能性は否定できないでしょうね。
ただ、僕は小泉さん、割と正直にものを言っておられると思いますが、解散カードっていうのは一人の総理で1回しか切れません、基本的には。そういう意味で、早く切ってしまったあと、そのあとの求心力ということ考えると、慎重に解散権の行使をすると。つまり、ダブル選挙はしないというのが常識的だとは思いますね。
今これだけ人気がある、求心力があるわけですから、あえてダブル選挙をする必要はないと。しかも参議院は厳しいですが、衆議院は連立を組んで過半数持ってるわけですから、もし小泉さんがダブル選挙をやるとすれば、それは自民党単独で過半数を取る、あるいは連立を自ら壊すという決断をしたときだけだと思いますね。
まだそういう状況にはなってないんじゃないかというふうに私は思います。
首相公選制
【記者】小泉さんの主張でですね、首相公選制というのがかなり前面に出てますね。
【政調会長】出てますねえ。
【記者】所信表明演説に盛り込まれるかどうかは別にしてですね、今後この議論が広がってくると思うんですが、民主党としてはどういうスタンスで……
【政調会長】民主党のスタンスは参議院選挙政策の中にも書いてあるんですけども、基本的には議院内閣制なんです。
ただ、しっかり自分で選べるというところに国民の皆さんは非常に魅力を感じておられるわけで、今の政治が本当に機能しないとすれば、検討してみる価値があるとは思います。
ただ、昨日山崎さん(自民党幹事長)もテレビ番組でおっしゃってるように、日本の政治をかなり変えることになるわけですね。
首相公選制っていうのは大統領制に近いものだと思いますが、議院内閣制から首相公選制となると、まず政党の位置付けが全く変わるわけですね。議院内閣制ですと、政党には党議拘束がかなり強く掛かるということになると思うんですけども、大統領制ですとそこはかなり自由度が高まると。
それから大統領制の場合はですね、大臣などは政党から原則選ぶんじゃなくて、政党の外から選ぶという形になりがちです。
つまり、立法府と行政府っていうのは完全に分離してしまう。議院内閣制の場合には、三権分立とはいえ、かなりダブってるわけですね。
これは国の制度のあり方を相当変えることになりますので、しっかりとした議論をしなければいけないと思います。条文を一つ二ついじればできるっていう話ではなくて、根本を変える話だと思います。
国民の皆さんには、首相を自分で選べないということに対するフラストレーションが非常に溜まってるということも背景にはあるかと思いますが、本来小選挙区を中心とした衆議院選挙で勝ったその党の代表が総理になるというのが普通なんですよね。それを密室で選んだり、途中で大した理由もないのに取っ替えたりするというところから不満が高まってるわけで、そういう意味じゃ自民党の中でのやり方の問題、総裁の選び方の問題というのが実は大きいんです。
議院内閣制を前提としつつ大統領制に近いものを目指すのであれば、選挙制度を変えて完全小選挙区制にすることですね。そうしたら他の国の例を見ても、連立ではなく単独で過半数を取る政党が出現します。その多数党のトップが総理になるわけですから。
ただ、一部に大統領制っていうのは間違った人を選んじゃうとかね、一時的な気持ちで投票するとかいう議論がありますが、それは私は絶対に違うと。日本の民主主義はもっと、十分成熟してるというふうに思いますし、間違った人を選んだら、それは有権者が自ら責任を負うわけですね。
横山ノックを選んじゃえば、それは大阪府の皆さんが4年間、あまり能力のない知事の下で、マイナスの面も含めて被るわけですから、そこのところを僕はあまり心配する必要はないし、そういうことを言うのは、国民が間違った判断をする可能性があるとか言うのは、それは民主主義に対して間違った言い方をしてるというふうに思うんです。
そこは全然心配してないんですけども、ただ本当に強力なリーダーシップを発揮しようとすれば、やはり国会の多数派のトップが総理になるという議院内閣制のほうが、実は強力なリーダーシップを発揮できる制度だというふうに思っています。
みんなで選んだ大統領はいいんですが、議会の多数派とちぐはぐになると、大統領の行動が非常に制約されることになるわけなんで、国民の皆さんが強力なリーダーシップを求めるんであれば、議院内閣制のほうがいいんだろうと思います。
こんなことを言ってると人気がどんどん落ちるのかな?(笑)