テロ対策法案 締めくくり質疑
岡田委員 民主党の岡田克也です。 きょうは、主として総理にお尋ねをしたいと思います。 まず、総理、昨日の我が党の鳩山代表との一時間以上にわたる会見、私も同席をさせていただいて拝見をさせていただきましたが、大変御苦労さまでございました。ただ、その会見を拝聴しておりましていろいろ疑問に思ったこともございますので、私の方で幾つかお聞きをさせていただきたいと思います。 まず、総理が民主党の提案する修正案に対してこれに賛成をされなかった理由を明確に述べていただけますでしょうか。
小泉内閣総理大臣 我々としても、できるだけ多くの方々の理解を得られ、協力していただけるような法案を作成したいと思っておりました。できれば野党第一党の民主党にも賛成していただければなと、この法案を作成する前から考えておりました。そういう中で話し合いが進んでいきまして、それぞれがそれぞれの立場で主張し合い、譲るべきは譲り、入れるべきは入れるという形で、かなり煮詰まったと思っておりました。 ところが、それぞれ最後残った二点について考え方を述べ合ってきたわけでございますが、私としては、かなり民主党の御意見も取り入れて修正に応じてきたわけでありますので、これで御理解が得られるのではないかと思っておりました。立場を変えれば、もっと要求をのめという立場もわかります。もっともっとというのと、まあこの辺でというところで、折り合いがつかなかった。 しかし、それぞれ、国民のできるだけの理解が得られるようにという努力は評価されてしかるべきではないかと思っております。
岡田委員 今、かなり歩み寄りがあったということでありますが、私どもの主張の中で国会の事前承認ということは、これは一番重要な主張であるということは、私もいろいろな場で申し上げてまいりましたし、我が党の鳩山代表もいろいろな場で、例えばマスコミに対してもそういう主張をしておりました。 したがいまして、この点がどうなるかということが、まさしく与野党協議、意見が一致できるかどうか、我々が法案に賛成できるかどうかの最大のポイントであったわけですけれども、そのことは当然総理は御存じだったと思います。御存じの上で、できたら民主党の賛成も得てということも言われていたと思いますが、じゃ、なぜそういうことをおっしゃりながら最後にやはり反対をされたのか、非常に私はよくわからないという感じがいたします。何か別の理由があるんでしょうか。
小泉内閣総理大臣私も、なぜ民主党が反対されたのかわからないんです。基本的に新法に賛成だ、自衛隊を派遣するということに対しても反対しない、テロと対決するのもこれは当然だ、国際協調も当然だという考え方のもとに立って議論をしてきたわけでございますので。しかも、時限立法。 これは、事前承認、事後承認、いろいろありましたけれども、国会を関与させるということで我々も意見を取り入れて修正に応じたわけでありますので、私は十分民主党の考え方も取り入れることができたのではないかということでございます。
岡田委員 私の質問にお答えいただいていないと思うんですけれども、我々は、明確に事前承認が必要であるということを申し上げてまいりました。そして、そのことを御存じの上で、総理は、民主党の協力も得てということも言われました、賛同も得てということも言われました。にもかかわらず、最終的にこれを受け入れられなかった理由はどこにあるんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 突き詰めて言えば、政府を信頼するか信頼しないかということだと思いますね。時限立法、選挙で選ばれている、二年、この事件に限り、この法案を認めるということが私は既にもう事前承認、国会承認、しかも時限立法ですから、それは突き詰めていけば、政府を信頼できるか信頼できないかということだと思います。
岡田委員 今の御発言には私は全く異論があるわけですけれども、政府が信用できるというのなら、議会は要らないわけですね。それは、やはり基本的に、政府が間違いをすることがあるかもしれないという前提に立って議会があるというのが民主主義の基本だと私は思いますので、政府が信頼できないかというのは当たり前であります。私は、それが民主主義の基本的な考え方だ。ここは基本的考え方が違いますから、これ以上議論しても仕方がないと思います。 それじゃ、中身に入る前に、もう一つ二つお聞きしたいと思いますが、昨日の鳩山党首との会談の際に、総理はほとんど御発言になりませんでした。もし総理の思いがあるのであれば、もっと明確に述べることもできたはずでありますが、それはなぜなんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私が発言すべきことをすべて、山崎幹事長を初め、政府・与党側の方が発言したからでございます。
岡田委員 その中で総理は、民主党の賛成もなるべく得られるようにということで与党三党でつくった案なので、これを賛成してほしいというふうにおっしゃって頭を下げられたわけであります。しかし、そうであれば、我々が与党三党のつくった案を丸のみするということであれば、ああいったトップ会談も必要なかったと思うのですね。何のためにあの会談をやられたんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 我々としては、民主党の主張を大幅に取り入れて、これで十分御理解、御協力が得られるのではないかという見通しを持って党首会談に臨んだわけであります。
岡田委員 民主党の意見を大幅に取り入れてとおっしゃるが、では、具体的にどこを取り入れたんですか。
小泉内閣総理大臣それは、理事同士で協議を継続して努力された経緯も伺っております。それで、何項目かの点では合意が見られ、最後に残った武器の輸送とこの国会関与も、一方では武器の輸送を民主党の主張も取り入れ、国会関与の面においては事後承認ということで認めて、一〇〇%ではありませんが、それはかなり大幅に我々としては受け入れることができた、これで民主党も最終的には協力いただけるのではないか、そういう見通しを持って臨んだわけでございます。
岡田委員 我々は、六点ないし七点の論点についていろいろ議論をいたしました。しかし、それは、法案の修正にわたるものは、実は二点であります。ですから、大幅に民主党の意見を取り入れたというのを私なりに理解をすると、武器弾薬の輸送のところ、相手国の陸上をやめたというその一点に尽きるわけでありますが、その一点が大幅に譲歩をしたということの中身だ、こういうことでございますか。
小泉内閣総理大臣 かなり御意見を取り入れたと思っております。
岡田委員 何となく、これ以上議論する気がなくなるわけですが、我々は、武器弾薬の輸送は認めないという主張をしていたわけですね。ですから、大いに歩み寄ったのは我々の方であってほとんど与党の方は、歩み寄り、まあ最終的にあの項目だけとれば私はいいところかなという感じはしますけれども、しかし、それは全体の中で考えたときの話であって、ほかには具体的に大幅に譲歩したということはないわけでありますから、そこは、多分、総理の御認識は、私は違うというふうに思っております。 それじゃ、こういう議論があるんですね。国会の事前承認にするとそのために時間がかかる、今国会の日程は大変立て込んでいるので、私はそんなに立て込んでいないと思いますが、立て込むような理由がこれから出てくるのかもしれませんけれども、ですから、国会の事前の承認については認められない、こういう主張がございます。 私は、きのうの会談の中でもそういう話は出ていたと思いますが、この意見についてどう思われますか。
小泉内閣総理大臣 我々としては、もとから事前承認も事後承認も必要ないと思って提案しておりました。そういうことから考えて、国会関与させた方がいいということで、事後承認を認めるということで理解が得られると思っておりました。
岡田委員 質問にお答えいただいていないんですけれども、もう一度言いますが、国会全体の日程が立て込むことが予想されている中で、もし国会の事前承認ということにすると、その日程はさらに立て込む、そういう理由で事前承認は避けた、こういう説明が今まで私に対してなされたこともありますし、昨日の議論の場でも、総理ではありませんが、そういう意見があったように私は記憶しております。 今、総理は、山崎幹事長初めその他の与党側の皆さんの意見が自分の意見と同じだったので自分は発言しなかったのだとおっしゃいましたが、ということは、そういう今の私が申し上げた発言についても総理は同意をしたということでございますか。
小泉内閣総理大臣 言葉の端々はわかりませんが、私としては、この新法によって事前承認も事後承認も必要ないと思っておりましたので、迅速に対応するためには政府案でいいのではないかと思っておりましたので、事前承認は必要ないと思っておりました。
岡田委員 もう一つ、こういう議論もありますね。今の与党三党の体制を維持するために、つまり、伝えられるところによると、自民党よりむしろ他の二党が事前承認に反対をした、理由はいろいろあるんだろうと思いますけれども、そのために、与党三党体制を維持していくためにこの民主党の修正については受けられなかった、こういう話もありますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 いろいろな話が飛び交っておりますが、私としては政府原案でいいと思っておりましたから。しかしながら、いろいろな方々の意見を聞いて、修正した方がいいと。多くの方の理解を得るならそういう考え方もあるのかなということで、与党の修正案、これも一つの考え方だろう、あとは民主党がどういう協力をしてくれるかと思っておりましたので、その与党の考え方でいいのではないかと思いました。 今飛び交っているようなうわさはどこから出ているのか知りませんが、それとは直接関係ございません。
岡田委員 与党の中でいろいろな議論があるので、できるだけ多くの人の理解を得るために自分としてはそれを受け入れた、こういうことでよろしいですか。
小泉内閣総理大臣 何回も繰り返しますが、私は政府原案でいいと思っておりました。しかし、より理解できる方策として、与党が考えた修正案も、まあそれは一つの考え方だろうなということで受け入れました。
岡田委員 私は総理の、総理に就任されたときの本会議における所信表明演説を思い出すわけでありますが、あのときに総理は、いろいろ派閥とか党とかあるけれども、そんなことは関係ないんだ、自分のリーダーシップで自分の思うところをやっていくんだということを言われて、そして国民がそのことを信じたからこれだけ高い支持を総理に与えていると思うんですね。 今のお言葉は、そうすると、これから小泉改革もいよいよ本番を迎える、そしてもう既に与党の中でいろいろな議論が出ている、そういう問題についても、いろいろ議論をお聞きして、与党がおっしゃるから、自分の考えとは違うけれどもそれを受け入れていく、こういうことにつながるんじゃないですか。 私は総理、一面、総理に対して期待を持つ一人であります。立場は違いますけれども、小泉総理ならこの日本の改革というものを、すべて同じではありませんけれども、しかしこの日本を変えるために御努力いただける方だ、そういうふうに思うときもあります。しかし、今の姿を見ておりますと、結局今までと同じ、ただの総理大臣になってしまったんじゃないか。与党の言うことを聞いて、そしてみずからの信念を捨てて、そして、改革という看板はかかったけれども現実には何も進まないということになるんじゃないか。そういう懸念を持ちながら、実はきのう、我が党の鳩山代表との会談を見ておりました。 私の受けた印象が杞憂であればいいと思いますけれども、今回のことは特別で、これからみずからの信念を持っておやりになる、そういうことなんでしょうか。いかがでしょう。
小泉内閣総理大臣 いろいろな考え方はあると思います。政治家であるならば、一つのA案に賛成だけれどもB案に反対だ、午前中はお互い反対しても午後では賛成できる案件がたくさんあると思います。 総理として、できるだけ多くの方の意見も聞き、国民のために一番いいということを念頭に置いて判断しているんであって、私としては政府原案でいいと思っておりましたけれども、独断専行を排することも必要だなと。それぞれの意見を伺いまして、これが現下の情勢で一番妥当な案であろうと思ってやったわけでありまして、物事の案件によりましてはケース・バイ・ケースで考えるしかないと思います。
岡田委員 少し具体的中身について、一、二お聞きしたいと思います。 今までの御説明の中で、なぜ事前に国会承認が要らないかということに関して、この法案自身が九月十一日にアメリカ合衆国において発生をしたテロ事件に関するものであるので、もう既にこの法案を通すこと自身が国会承認の意味を持っているんだ、こういう御説明が何度もありました。 そのことに関して我々が申し上げていることは、そうはいっても、じゃ基本計画の中身が今決まっているかというと、ほとんど何も決まっていないじゃないかと。どこへ行くのか、どういう期間行くのか、何が行くのか、どういう装備で行くのか、何を聞いても具体的なお答えはない。そういう状況の中で……(発言する者あり)それはできないんです、今できないんですね。そういう中で、この法案について、具体的な法案であるから、法案を通すこと自身が基本計画を認めることと同じことだから必要ないんだという理屈は通らないと私は思いますが、いかがでしょうか。
福田国務大臣 そのような漠としたものを考えているわけじゃないんですね。この法案の趣旨、目的、これはもうはっきりしているわけでございますし、そんな長期間にわたっていろいろやろうということでもないということもあります。極めて限定された目的を持った、また同時に活動範囲もかなり限定されているんじゃないか、こんなふうに思いますので、私、それよりも、この法案が成立しましたら機動的に対応できるような態勢を持っている方がいいのではないかな、こう思っておるところです。
岡田委員 私は今の説明に納得できませんが、この法案の趣旨、目的ははっきりしている、具体的にどういうことですか。
福田国務大臣 これはもうこの法案の冒頭に書いてございますように、九月十一日に発生しましたテロによってもたらされます脅威の除去ですね、これが目的でございます。
岡田委員 私、前回申し上げましたように、この法案は大きく二つの中身を持っているんですね。そのうちの一つは、九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロの攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める。これはかなり具体化されている、これ自身はですね。ということで百歩譲っていったとしても、もう一つの人道支援の方は、これは、このアメリカのテロじゃなくてテロ一般に対する協力の話なんですね。だから、全然特定されていないじゃないですか。 では、もし今福田さんのおっしゃったことを論理的に追求していくんであれば、この人道的精神に基づいて実施する措置の方は少なくとも事前承認が要るということになりませんか。
福田国務大臣この人道支援も、やはり九月十一日のテロによってもたらされた、その結果生じた被災民に対する人道支援、こういうように考えてよろしいんじゃないかと思います。
岡田委員 本当にそれでよろしいんですか。私の理解では、ここの人道支援というのは、もっと広く、テロ一般によってもたらされた被災民その他に対する措置であって、今回のこのテロ事件によって直接発生したものに限らないというふうに私は考えておりますが、今の福田長官の答弁だと法律の読み方を間違っていると思いますが、いかがでしょうか。
福田国務大臣 これは被災民ということでありますけれども、この法案に定めます被災民とは、先般のテロ攻撃に関連して発生する紛争によって被害を受けまたは受けるおそれがある住民その他の者を指している、こういうことなんでありますけれども、実際問題として、もともと難民がいるわけですね、そういう人もこの中に入っている可能性があるわけで、これを区別することはできない、こういうことであります。
岡田委員 非常にわかりにくい御説明なんですけれども、私は、いずれにしても、先ほど総理にお聞きしたことにも関係しますけれども、全体の国会日程が立て込んでいるから事前承認は時間がないとか、そういう理由で事前承認をやめるというのはとんでもないことだと思うんですね。 我々、事前承認を求めているのは、まず、より慎重な手続をすべきだということであります。そして同時に、国会全体が自衛隊を海外に派遣するということについてきちんとオーソライズをするというところに意味がある、こう考えているからであります。 これは、行かれる自衛隊の方も、場合によっては事故に巻き込まれたり、あるいは不幸なことに命をなくされる方もいらっしゃるかもしれない。もし国会の日程が詰まるからというそういう理由で事前承認をやめたとしたら、そういう人に対してどういう責任をおとりになりますか。
福田国務大臣 再三申される国会の日程というのは、一つの例えとしてどなたかがそういう話をされたかもしれません。きのう、ちょっとそのようなことを私も耳にしております。それは政府側の答弁にあったのか、もしくは質問者の委員の方からの発言にあったのか、ちょっと私、記憶にございませんが、私、それは副次的なことであって、現実的な問題はあるかもしれぬけれども副次的なことでありまして、要は、やはり私今申しましたように、機動的な対応をとれるように、特に多様性とか複雑性、流動性、こういうような性格のものであるということから考えて、極力機動的に対応できるようにしていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。
岡田委員 納得できないということだけ申し上げておきまして、次に参りたいと思います。 犯人の特定の問題であります。 ここは私、前回質問のときに総理にお聞きしたところですのでもう一度重ねてお聞きをしたいと思っておりますが、総理の方からこの委員会の場において、なぜウサマ・ビンラーディンとアルカイーダがこの事件に関与しているかということについての資料の説明がありました。総理はこれで十分だとおっしゃるんですが、私はそうではないと思います。 これは一般的な公表された資料を中心にしたものでありまして、それに加えて、ここにも少し述べられてはおりますけれども、総理が米国政府から直接お聞きになった、つまり一般には公表できない根拠、証拠をもとにして、確かにアルカイーダやビンラーディンが犯人である、こういうことを総理自身が判断されたということを、国民がそれを信じて、この法律について認めているんだ、こういうことだと思うんですね。 したがいまして、前回の繰り返しになりますが、私は、総理の責任は非常に重いというふうに思うわけです。そのことについて、やはりこういう国会の場で、総理御自身の自覚といいますか、非常に重い責任を負っているんだということについて、もっと説得力を持って明快に言われるべきじゃないか。少なくとも私が総理のお立場ならそういうふうにするだろう、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 先日説明したことで、私は十分説得力のあるものと判断しております。
岡田委員 総理はみずからの責任について、非常にお述べになることを避けておられるように私は印象を受けるわけですね。そういう姿を見ておりますと、本当に総理は、アメリカ政府、合衆国政府から一般に公開できないような資料を見せられて、そしてそれに納得をされたのかどうか、そのことについて私はやや疑問を持たざるを得ないわけでありますが、きちんと、一般に公表できない資料を見、そして自分なりに確信を持ったということは、少なくともおっしゃっていただくべきじゃありませんか。
小泉内閣総理大臣 総理大臣として常に重い責任を担っております。常に自信を持って説明しているわけでありますので、これも自信を持って説得力のあるものだとお示ししているわけであります。
岡田委員 ちょっと趣旨が違うんですね。 今おっしゃったのは、委員会の場で示された資料について自信を持って説明しているということなんですが、私がお聞きしたのはそういうことではなくて、一般に、総理が犯人を特定するに当たって、同盟国として合衆国政府から一般の我々には目にできないだけの根拠、証拠を示されて、それを御自身御確認されて、そしてその上でおっしゃっているんだ、こういうふうに思うわけですが、そういうことは当然あるんでしょうねということを申し上げているわけです。いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 当然のことを聞かれているのであって、常にアメリカと情報交換をし、関係各国と意見交換をして、そして総合的に判断して国会に報告をしたわけであります。責任があるし、自信があるから説明、報告をしたわけであります。
岡田委員 ちょっとよくわからないのです。報告というのはこのことをおっしゃっているんですね。それ以外にあるんじゃないかというふうに聞いているわけです。
小泉内閣総理大臣 出せるものと出せないものがありますし、責任があり自信があるからこそ、国会に報告したわけであります。それが信用できないと言われるなら、それはどの点を出せば信用ができるかという点で、これこれこの報告で信用していただきたい、十分説得力があるということで報告したわけでございます。
岡田委員 どうも私の言っていることがうまく伝わっていないのかもしれませんが、私は総理を疑っているわけじゃないですよ。総理が信用できないと言っているわけじゃないんです。 それから、私が申し上げているのは、アメリカ合衆国から示された資料を私に見せろとか、この場で公開しろと言っているわけでももちろんありません。そうじゃなくて、我々が一般に目にすることができない資料があって、そしてそれを総理はごらんになって、確かに犯人はここに書かれたビンラーディンとアルカイーダだということを確信を持たれましたね、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 何回も繰り返し答弁しております。自信を持って、責任を持って報告しているということを何回も繰り返し説明しております。総合的判断に基づいた上で説明を申し上げました。
岡田委員 総理は一度もお答えいただきません。資料をみずからごらんになって、そしてみずから確信をされましたねということを私は聞いているわけで、そのことに対してどうしてお答えいただけないんですか。
小泉内閣総理大臣 当然のことですと言っているでしょう、答えで。当然のことだと、それは。資料も見て、じかに話を聞いて、証拠も見て、総合的判断の上に説明申し上げていると何回も言っております。
岡田委員 いやいや、私が聞いているのは、我々が見れない資料をごらんになりましたね、イエス、ノーでお答えくださいと言ってもお答えにならないから言っているわけですよ。
小泉総理大臣 何回も言っているでしょう。じかに意見交換をし、証拠を見て、自信を持って、責任を持って説明している。何回言わせるんですか。
岡田委員 私は今初めてお答えいただいたと思いますよ。後で議事録を見たらわかりますが、初めてですよ。 それで、外務大臣。私は外務大臣にも要求出していましたから。外務大臣どうされました。 ちょっと速記とめてください。
加藤委員長 はい、ちょっととめてください。 〔速記中止〕
それじゃ、速記を起こしてください。 岡田君。
岡田委員 今の総理と私のやりとりを聞いておられなかったのがちょっと残念だと思いますが、大臣は、このビンラーディンとアルカイーダが犯人であると確信を持つに当たって、一般には公表されていない資料を、合衆国政府から直接説明を受けられましたか。
田中国務大臣 証拠のことでございますけれども、いわゆる説得力のある、理解できる証拠というものにつきましては、細かい中身については差しさわりがありますから申し上げられませんけれども、今まで、総理が前回おっしゃった範囲のことは私も聞いておりますし、それから、前回と申しましたのは、何日でしたか、総理が読み上げなさった日にちがございますね。それからあと、その後十月に、テロが起こった後に、あれはだれでしたか、飛行機によるアタックというふうなことについて声明を出しているところがあります、ビンラーデン本人ではもちろんございませんけれども。そうしたことをすべて統計的に見ましても、それは説得力のトータルとしてあるものであるというふうに思っております。
岡田委員 また同じことを繰り返さなきゃいけないのは、私、非常に不本意です。出席要求していたわけですから、なぜおられなかったのか、私はわかりませんが。(田中国務大臣「質問要求はなかったです」と呼ぶ)私はきょうは質問項目は一つも出しておりません、きのうのきょうですから。出席要求はしておりましたから。 私が申し上げたのは、この公表資料じゃなくて、それ以外で、一般に国民の目に触れることができない、我々が知ることのできない資料があって、それで大臣も犯人の特定をされたはずだけれども、そういうことについて、きちんと御自身確認をし、納得されましたねということを確認しているだけです。
田中国務大臣 総理が今まで御説明なさったとおりでございますけれども、例えば十月一日の在米大使館員からの電報がございます。
岡田委員 在米大使館員からの一本の電報で納得されたというのは私はやや驚きですが、いずれにしましても、ここ、本当に大事なところだし、私は、政治家として国民に対して、公表資料だけで犯人を特定することを、それは、私、相当疑問を持っている人もいると思うんですね。これだけのことをやるんですから、武力攻撃しているわけですから、アメリカは。 そのことについて、自分を信用してほしいと。自分ははっきり、米国政府その他から示された、皆さんには見せられないけれども、その資料をもって自分は確信を持った。もしそれが間違いだったら責任とる。そういうことをおっしゃるのが、私、政治家だと思うんですね。それが総理からも外務大臣からも明快には述べられない、何回か言った上で最終的に総理が少し言われたということでありますので、私は大変残念なことだというふうに申し上げておきたいと思います。 それでは次に、パキスタンの件、もう一度確認しておきたいと思いますが、これは前回も議論いたしましたが、副大臣の方はパキスタンに行かれて、かなりいろいろな意味で、具体的表現はもう言いませんが、心配もされていると。それに対して田中大臣は、いや、パキスタン情勢は今平穏であります、こういうことであります。 しかし、テレビその他を通じて得られる情報は、パキスタン情勢はかなり緊迫の度を加えつつあるということだと私は思います。今の時点で自衛隊をこの新しい法律に基づいてパキスタンに出す、そういうことは可能だとお考えですか。出すべきだとお考えですか。そういう状況にパキスタンはあるというふうにお考えですか、外務大臣。
田中国務大臣 事態は非常に流動的で、副大臣が行かれたころから、また随分状況が変わってきています。それはメディア等も通じて委員も御存じでいらっしゃると思いますけれども。 いずれにいたしましても、この法律をよく御審議いただいて、そして成案を得てから、またそれにつきましても見解を述べさせていただかなければならないと思います。なぜかというと、また状態も流動的になると思います。
岡田委員 私は、与党の中からも今のパキスタンじゃとても出せないという声はよく聞きますし、それが一般的な常識だと思うんですね。現状ならどうですかということをお聞きしているわけです。
中谷国務大臣 この法律に書かれておりますけれども、実際に派遣する場合も関係該当政府の同意が必要でありまして、その同意を得るには、当然、その政府と綿密な協議をしなければなりません。 ですから、派遣するかしないかという判断はその協議を経た後でありまして、ましてや現時点においてまだ法律もできておりませんので、現時点の判断は控えたいというふうに思っております。
岡田委員 私は政府委員の答弁を求めているんじゃないんです、悪いですけれども。 私が聞いているのは、それは同意を求める手続はわかりますよ。そういうのは法律に書いてある。しかし、同意を求めるのであれば、まず日本としてパキスタンに自衛隊を派遣すべきだという政治的な判断があった上で、同意の手続に入るわけでしょう。だから、そこをどうかと聞いているんですよ。外務大臣はパキスタンの状況をどう思っておられるんですか。
福田国務大臣 それでは、続けてください、先ほどのものに。 すなわち、本法案が規定する協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動においては、例えば、傷病兵や被災民の治療、人員の輸送、国際機関や他国の軍隊との連絡調整など、活動の実施を命ぜられた自衛官がその職務を行うに伴い、幅広い場面で自衛隊員以外の者と共に活動することが想定されるところ、このような者のうち、自衛隊の宿営地、診療所、車両内といった自衛隊が秩序維持・安全管理を行っている場に所在するもの、あるいは、通訳、連絡員等として自衛官に同行しているものなど、不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされたときに、その現場において、その生命又は身体の安全確保について自衛官の指示に従うことが期待される者を防護の対象としようとするものであり、このような関係にある者を「自己と共に現場に所在する……その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」と表現しているものである。 したがって、本法案第十一条に基づく武器の使用は、「自己と共に現場に所在する……その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の生命又は身体を防護する部分を含めて、その全体が「いわば自己保存のための自然権的権利というべきもの」と言うことができ、憲法第九条で禁止された「武力の行使」には当たらないと考える。 人の生命・身体は、かけがえのないものであり、その身を守る手段を十分に有さず、自衛官と共に在って、いわば自らの身の安全を自衛官に委ねているに等しいこのような者の生命又は身体を防護するための武器使用が憲法上許されると解することは、人道的見地からみても妥当なものと考える。以上でございます。
岡田委員 終わります。