トピックス

2002.05.31|その他

定例記者会見録 2002年5月

5月30日

○自衛隊派遣の延長は国会承認事項にすべきだと主張・交渉していく

○問題点の多い行政機関保有個人情報保護法案は廃案を求める

○首都機能移転—-しばらく進捗状況を見守るが、無責任な先送りはしない

○有事法制—-委員会審議で中身を詰めるが会期延長は前提としない

○郵政関連法案—-信書の具体的範囲などは法律上明確にしておくべき

○防衛庁リスト問題—-行政機関保有個人情報保護法案の不備を証明

テロ特措法に基づく自衛隊派遣の延長問題

【政調会長】まず、テロ対策特別措置法に基づく自衛隊派遣の延長問題についてですが、先日の特別委員会でも、我が党は国会承認にかけるべきだと主 張したんですが、その後、部門会議を開いて検討した結果、やはりこれは延長するんであれば、再度国会承認を求めるのが法的に必要であるということで、 それを今日のネクストキャビネット(NC)でも確認しました。

それを「単なる延長であって中身は変わらないので問題ない。国会承認も必要がない」というのは、明らかに法律の意図しているところを逸脱した重大な問題だと考えています。

免許でも期間が終われば更新しなければいけないわけで、延長だから手続 きは要らないということはあり得ません。そういう意味で、法律的に国会承認の手続きを取るべきだということです。

併せて、1回だけ開かれた特別委員会でも自衛隊の活動内容について十分に知らされていませんので、やはりこの半年間、一体どういう実態にあったのかということをきちんと責任を持って報告させて、そのうえで我々として再度6カ月の延長が必要かどうか判断しなければいけないということになりました。

さらに、参議院では委員会を一度も開いてさえいませんので、参議院では早 急に自衛隊派遣の延長問題についての審議を1日確保したうえで、衆参の国 会対策委員会ともご相談して、承認手続きを取るべきだということを主張し、しっかり交渉していきたいと考えています。

まあ、事後承認だからこういう目に遭うんだという気もします。事前承認であれば、こういったやり方は通用しなかったんじゃないかと。

つまり、事後承認というは、国会にかけられなければどんどん先に送られてしまう制度ですので、返す返すも修正協議のときに事前承認が取れなかったのが残念な気がしますが、ここで黙っていますとこういう期間の延長は国会承認マターでないという悪しき先例になってしまいますから、しっかり対応していく必要があると考えています。

行政機関の保有する個人情報保護法案

【政調会長】次に、「行政機関の保有する個人情報保護法案」についてです が、我々としては非常に問題があると考えてまして、民間対象の個人情報保 護法案と同様、廃案を目指すべきだと考えています。

特に、先日の審議でも明らかになったように、民間保有の個人情報に対する 規制より緩やかであると、あるいは罰則規定がないといった問題点があるわけ で、我々としては廃案に持っていくべきだと思っています。

なお、明日の野党4党の政策責任者会議で、今各党に投げていますので、まとまれば4党で歩調を揃えて対応したいと考えています。

死刑廃止法案

【政調会長】それから、死刑廃止法案についてですが、死刑廃止議連連盟の 会長が亀井静香さんということでマスコミにも度々登場してますが、我々としてもこの問題をどう考えるかということをこれから議論していくということになりま した。

まあ、私としては少なくとも死刑廃止法案を出すんであれば、亀井さんだけはそこから除いておくと。彼だけは死刑適用の余地を残しておいたほうがいいんじゃないかと思っていますが。(笑)

我々は先般の参議院選挙で仮出獄を認めない終身刑を設けるということを主張しています。ここまでは党として公約しています。

死刑そのものを直ちに廃止するのか、廃止はしないけれど仮出獄を認めな い終身刑を設けることで事実上、死刑という刑罰がよほどのことがない限り適 用されないという状況を創り出すべきなのか、そこは選択肢がありまして、これから党内でも議論していきます。

私からは、早めに議論を進めてくださいと申し上げましたが、必要があれば全議員で議論しなければいけない問題だと考えています。

首都機能移転問題

【記者】首都機能移転の問題ですが、ご承知の通り、今日の与野党の国対委員長会談で衆議院議長の下に協議機関を置いて検討するという話になったようですが、今日のNCでは何か議論は出たんでしょうか。

【政調会長】少し出ました。それで私からは、先般の全議員政策懇談会では多くの方から意見表明があったけれでも、かなり意見がバラバラで、私は初めてこの党がバラバラではないかとそのとき思ったんですが(笑)、まあ、いろんな意見が出まして、まとまっていないと。

プロジェクトチーム座長試案もありましたが、それに対する批判もありましたし、そういう意味ではまとまっていない状況の中で、最終的にはNCに判断が委ねられたと認識していると。

ただ、まだ最終的には決まってませんが、今日の国対委員長会談の結果を見ても、新しい枠組みができそうですので、その枠組みでの話し合いがどうい うスケジュールや方向性で議論されるのかということがはっきりしてませんので、党としての意見集約は少し待ったほうがいいだろうと申し上げました。

ただし、これは国対委員長にも会談の前に申し上げたんですが、先送りはしないと。今年の5月までに移転問題について結論を出すという国会決議を放置して、立法府として無責任な態度は取らないということだけは、我が党の基本 的なスタンスとしておっしゃってくださいと申し上げ、国対委員長からも今日の 会談でそのことをおっしゃっていただきましたし、今日のNCでもそのことは確 認しました。従って、何らかの結論は出すというのが民主党の方針であるとい うことです。

何らかの結論という意味は、候補地を絞るということと、移転をやめるという ことと、10年凍結という3つの選択肢になるんじゃないかと思います。

【記者】候補地を絞るべきだというのも選択肢としてあり得ると?

【政調会長】まあ、座長試案はそうですからね。それを全く排除することはでき ませんよね、今の段階では。私の頭の中にはありませんけど。

有事法制

【記者】有事法制についてなんですが、大幅な会期延長という話も出ているなかで、今後の党内論議はどのように進めていくおつもりですか。

【政調会長】 まず第一に、気が早いんですよね。我々は会期延長を認めてませ んから、それを前提とした議論は認められません。

我々の方針は常々申し上げている通りで、いろいろな論点、もうすでに24の 論点が出されていますが、これから議論していけばさらに追加されるかもしれ ません。そういった論点について、主として委員会を通じて煮詰めていくという 作業が基本的に必要だと考えています。

併せて明日、その論点を質問主意書の形で出したものへの回答も出てくる予 定ですので、そういうものも使いながら委員会で議論していただくということが 当面の方針で、委員会での詰まり具合を見ながら、次のステップについて考え ていくということです。

別に私が決めきれなくて立ち往生してるというようなことじゃなくて、そういう方針を党として確認してますので、それに沿ってしっかりやっていきたいと思っ ています。

【記者】質問主意書の件については、政府・与党では事実上の修正要求だと受 け取る向きもあるようですが?

【政調会長】修正要求というか論点ですよね。こういう問題があるということを はっきり示したということです。

もちろん、この前申し上げましたように、あれで終わりということではありません。これからさらに議論していけば新たな論点が出てくるかもしれませんが、あの時点では、これが論点だということを全議員政策懇談会でも確認をして、そして質問主意書を出しているということです。

あの全てが満足されるということになれば、それはかなり話が進むかもしれませんが、まあ、明日になれば分かりますが、あの中には法案修正が必要なことも含まれていますし、根本的な問題もありますので、そう簡単に結論の出る話ではないだろうと。さらなる委員会での議論が必要だろうと思っています。

安倍官房副長官の発言

【記者】安倍官房副長官が有事法制に関連して、「仮に北朝鮮の日本に対する ミサイル攻撃が明白な場合、その発射前に武力攻撃ができる」ということを大学の講演で発言したということなんですが、政調会長はどう思われますか。

【政調会長】これは有事法制に関連してということじゃなくて、昔から国会で議 論されてきた話ですし、確か我が党の前原議員も委員会で一度議論したこと があったと思うんですね。

向こうがミサイルを撃ってくるまで全く何もできないのか、それとも客観的に確実であるというときに先制攻撃ができるのかというのは、観念論としては面白い議論だと私も思いますが、あまり議論する実益がないことじゃないかと思いますね。

郵政関連法案

【記者】郵政関連法案について、今日、総務委員会で審議入りしましたが、民 主党は今後どのように意見集約を進めていくおつもりですか。

【政調会長】これまで総務部門会議で随分議論してきてもらってまして、そこではほぼ意見集約されていると認識しています。担当の玄葉NC大臣からも、あるいは委員会の理事からもそういう報告を受けています。

あとは委員会での審議を見ながら賛否を決めていくということですが、ある意 味で有事法制よりも政府・与党の出方が分からないわけですよね。今だにもめてるわけですから。

つまり、政府案に対して自民党が賛成するかどうかも分からない、あるいは 修正案が出てくるかもしれないという状況ですから、そういうものを見極めなが ら、我が党としての最終的な立場を決めていきたいと思っています。

ただ、今の時点で敢えて言わせていただくと、やはり信書便法案については あまりにも不明確な点が多い。ガイドラインに信書の具体的中身を委ねて、クレジットカードとかダイレクトメールが信書なのかそうでないのかということがは っきりしない。

しかし、そういったことがガイドライン、つまり告示に委ねられているということ ですと、信書の定義がいつでも変わりうるということになります。

小泉総理は本会議で、机を叩いて「クレジットカードやダイレクトメールが信 書に含まれる(=郵便事業の独占のまま)ということは小泉内閣では認めない」とおっしゃったわけですから、ここはやっぱり省庁の判断で結論が変わらな いようにしておく必要があると思っています。

そのために、ビジネスとして予見可能性を持って参入できるように、いろんな ことを省令や告示に委ねるのではなくて、もう少ししっかりした形にしておく必 要があるということは最低限言えると思います。

亀井死刑廃止議連会長

【記者】先ほどの死刑廃止の問題で、「亀井さんは除外すべきだ」とおっしゃいましたが、その理由は?

【政調会長】ですから、法律でその可能性を残しておいたほうがいいのではないかということです。別に「死刑にしろ」と言ってるわけじゃありませんよ。

【記者】それはなぜ?

【政調会長】まあ、あんまり真面目に聞かれると困るんだけど。(笑)

【記者】会見の席の言葉ですから。

【政調会長】まあ、彼が会長になるっていうのは皮肉なことだと思うんですよね。かねて、いろいろと犯罪について噂に上る方ですから。ある意味で非常に滑稽だと思いますね。

防衛庁個人情報リスト問題

【記者】防衛庁が情報公開請求者の個人情報リストを作成していた問題なんで すが、個人ではなく組織ぐるみなんじゃないかという話も出てきてますが、個人情報保護法案の審議への影響をどのように見ておられますか。

【政調会長】それはもちろん、審議に多大な影響がありますよね。我々は廃案 に追い込むということを言ってるわけですが、罰則規定もないわけですから、ますます法案のおかしさというのが証明されたんじゃないでしょうか。

まあ、この国会を続けてると何が起こるか分からないという感じです。次々にいろんな事件が起きますよね。

5月23日

○今や重要法案の優先順位も決められない「無政府状態」になっている

○そもそも不適格なのかもしれないが、総理にはもっと余裕を持ってもらいたい

○有事関連法案の問題点をクリアにする必要性があるので質問主意書を提出

○総領事館事件—-事実関係の究明が第一だが、主権侵害には抗議すべ き

余裕のない小泉総理

【政調会長】これから重要4法案(有事関連法案、メディア規制法案、郵政関連法案、医療制度改革関連法案)について、国会がこういう状況の中で与党の出方がまだよく読めないわけですが、見てると、もしこれでこれを寄貨として4法案を進めていくということになると、これは国 会の役割を否定しているということになります。例えば、非常に問題の多い有事法制について、国民の理解も得られないまま強行採決をするということになれば、それは大変な事態であると思っています。個人情報保護法案、医療負担の3割引き上げももちろんそうです。

そういう意味では、政府・与党を見ていると、司令塔のない状態でどの法案にまず重点を置いてやっていくのかということが全く見えてこな くて、それぞれの利害関係者が、それぞれの法案について前に進めているという状態です。

そして、それを調整する機能を総理・総裁である小泉さんも山崎幹事長も持っていないという「無政府状態」になってるんじゃないかと、そ ういうふうに思っています。

最近の小泉総理をお見受けしてると、非常に幅がないといいますか、 余裕がないといいますか、そういったことが答弁等でもうかがわれるわけで、かなりストレスを感じておられるのか、追い詰められておられる のかという感じがしますが、もう少し総理としての余裕を持ってしっかり対応していただきたいと思います。

もっとも、今日の野党4党党首会談で一致したように、そもそも総理としては不適格な状態になっているのかもしれませんが。

有事法制に関する質問主意書を提出

【政調会長】それから、有事関連3法案について、昨日の全議員政策懇 談会で我々が論点整理をしたメモを出していろいろとご議論いただいて、これは委員会でこれから審議していく際のポイントになるわけです が、できればこれを質問主意書の形で内閣に提出したいと思っています。

やはり何らかの形で問題点を少しでもクリアにしておくことが大事で、質問主意書ということになれば、内閣として回答を出してくるわけですので、国会がこういう状況であるということも考え合わせると、それと並行する形で質問主意書という形で出しておくことも必要になってくるんじゃないかと思っています。

今後、質問主意書の回答をもとにして、また委員会でもかなり深めた 議論も可能になるわけで、もちろん質問主意書の答え1回で全て答えが 満たされるわけではありませんが、少しでもクリアにするという意味 で、そういうことも必要だと考えています。

BSE対策特別措置法案

【記者】BSE(狂牛病)対策の法案ですが、委員長提案ということで今日のNC(ネクストキャビネット)で了承されたんでしょうか。

【政調会長】ええ。もちろん、我々は農水省や武部大臣の責任問題ということがありますから、そのことはきちんと委員会で追及していただくという前提で、委員長提案にするということについて了解しました。

瀋陽総領事館事件

【記者】北朝鮮の亡命者5人が韓国に出国しましたが、今回の総領事館 事件に関する日本の主権問題について、きちんと深追いすべきだとお考えでしょうか。それとも、そこまですべきではないとお考えですか。

【政調会長】まだ党内でそこまで議論してませんので私個人の意見とい うことになりますが、まず事実関係を明確にするということが重要だと思うんですね。小泉さんの問題は、そこをうやむやにして国威と国威のぶつかり合いみたいにしてしまったことだと思います。

事実関係という意味では、総領事館に武装警官が入ったのかどうかという問題には、2つのシチュエーションがあって、1つは女性2人と子供が入ったときに武装警官が入ったかどうかということですが、これは ビデオで明らかです。

彼らも本来入っちゃいけないと認識していたことはあの場面でもよく分かるわけですね。総領事館の敷地の外から一生懸命捕まえようとしていたと。しかし、そのあとやって来た武装警官がグッと中に入って外に 押し返したわけですが、本来入っちゃいけないという認識は彼らも持っていたと思われます。

そこはビデオで明らかになっていますので、別に帽子を拾ったからといって、それで事後了解したということにはなりませんから、完全に敷地内に入っているということがはっきりしている以上、それについては 日本として「間違っている」ということは明確に述べるべきだと思って います。

問題は、2人の男性を引き戻すところで、これはビデオもないしはっ きりしない、今の段階ではよく分からないわけです。ここは両国政府で事実関係をよく詰めたらいいと思います。

一生懸命食い止めなかったという意味では、中国側に「黙認した」と言われる余地はあると思いますが、今後詳細な事実関係が出てくるかもしれませんから、そこはきちんと突き合わせて、その上でどうだったのかという判断をすればいい。

でも、少なくとも前段の3人の女性の部分については、明らかに主権侵害をしているということ、これはいかに説明してもそれ以上の答えはありませんから、そこはきちんと中国に対して言うべきだと思います。

地方公聴会の延期

【記者】今日午前中に、与党側は地方公聴会は延期ということで決めましたが、これは審議に応じる1つの条件になりますか。

【政調会長】 確かに、今回のきっかけは有事法制特別委員会ですが、今 や国会全体の話になっているわけです。ですから、それは1つの要素になるかもしれませんが、全体の判断は党としても野党4党としても、私が申し上げる立場にはありません。

質問主意書を提出する意味

【記者】有事法制についてですが、今、政調会長は質問主意書を出すというお話でしたが、それは審議を十分尽くすべきだという考えで出されるんでしょうか。

【政調会長】委員会での審議については、今回、与党が勝手に公聴会の 日程を設定するということがありましたので、それに対して我々は「元に戻せ」ということで抗議をしているわけです。

ただ、委員会の審議に限らず一般論としても、この法案をそのまま通 してしまうということは非常に問題がありますから、いろんな論点につ いて何らかの形で政府の考えは確認しておく必要があると。最低限ね。 そういうふうに思っています。

そういう意味で、質問主意書ということを申し上げたわけです。

【記者】この前、論点整理メモを作成されてますが、質問主意書はどういう形で提出するんですか。

【政調会長】基本的にメモの論点について全部出します。今の時点での 我々の疑問点が網羅されてるわけですから。

【記者】誰の名前で?

【政調会長】まだ決めてませんが、別に私でもいいし、誰でもいいんで すけど、まあ大した問題じゃないと思いますけどね。

【記者】タイミングとしてはいつ頃?

【政調会長】できたら明日と思ってるんですが、少なくとも国対委員長、代表、幹事長には主意書を出すことについて了解を取っておかない といけません。まあ、いろんな意味があるかもしれませんから。

そういう意味で、了解が取れれば早いほうがいいと思っています。基 本的に回答期限が1週間ですから、明日出せば来週の金曜日に閣議決定ということになりますから。

まあ、私の経験だとあまり大した答えは返ってこないと思います。木で鼻をくくったような答えしか返ってこないでしょう。

【記者】郵政関連法案についても出すんですか。

【政調会長】私は聞いてません。ただ、質問主意書は個人で勝手に出せ ますから。

【記者】NCを通さなくてもいいんですか。

【政調会長】いいんです。質問主意書については一応、国対に通知すれば、議員個人の権利ですので、基本的に党として制約はしないという考 え方に立っています。

まあ、時々変な主意書が出たりしますけどね。党の考え方と全然違うような。

【記者】今日のNCでは、有事法制については何か議論したんでしょうか。

【政調会長】若干、経過説明のような話はありましたが、それ以上のことはありませんでした。「政策」を議論しておりますので。

5月16日

○有事法制—-おそれ事態や予測事態の定義を法律に明記すべき

○報道機関の責務と表現の自由の不可侵の双方を規定しないとバランス を欠く

○今後、論点整理をしたうえで党内論議を進めるが、修正協議は相手次第

有事法制特別委員会質疑

【政調会長】昨日突然言われまして、今日、有事法制に関する質問を30分だけしました。私の前回の質問の中で、政府の統一見解を求めたも のに対する答えが出てきて、それが委員会で説明されましたので、それ に関して30分だけ、野党としては今日、私から質問をさせていただいたということです。

政府見解の中身にについても更に議論していかなければいけないと思 いますが、私が驚いたのは、官房長官と議論しているなかで「武力攻撃 のおそれのある事態」や「予測される事態」の定義を法律に書けばいいじゃないかということを申し上げました。

その際の官房長官のお答えは、「定義はまた変わる」というような趣 旨のお話で、政府見解を出しながら、それが将来また変わり得るという ような、非常に軽く考えてるんじゃないかという印象を受けました。

今日出された定義はそんなに具体的な定義じゃなくて非常に抽象的な 定義で、あの程度のものであっても将来また変わるというのでは全く安 心できないわけですが、定義の中身は「武力攻撃事態」の定義ですから、法律の一番基本のところですよね。

それが将来変わり得るというのでは、これはとても安心して議論がで きないなという感じを受けました。私としては、これはきちんと法律の中に書くべきだと、余計に思うわけです。

いずれにしても、これから有事法制に関する議論が進んでいきます が、私の感じでは、先週の議論は論点がやや発散しました。これは政府の答弁に責任があると思うんですが、これからそれがどうなっていくのかということだと思います。

併せて私としては、ある程度論点をまとめて党内の議論をしていく必要があるんじゃないかと、そんなふうに感じています。

先週の会見では、政府があれだけお粗末な答弁をしましたので、「こんな状態ではとても賛成できない」ということを申し上げましたが、これからの政府の誠意ある対応があるのか、あるいはどんどん突っ走って いくのか、それによって我々の対応も決まってくると思っています。

論点整理のポイント

【記者】今、論点整理をするということをおっしゃいましたが、これまでの政府の答弁の中で重要な部分というのは?

【政調会長】10点ぐらいあるだよね、まだ。だから、ちょっとここで 申し上げるには至っていません。

前回、私が7日に質問した点もその中には入るわけですが、それに加 えて、周辺事態法との関係とか米軍の扱いとか、あるいは本当に2年間 で残りの法律が出てくるのかということを含めて、少なくとも今の段階 でそれぐらいの論点が出てきてるということです。

あと、法律の適用関係もありますよね。私の後で枝野政調会長代理に 詰めてもらったんですが、自衛隊法88条の関係。そういう根本的な問 題を更に議論していかなければいけないと思います。

政府統一見解

【記者】統一見解が出たからといって、政府案に対する状況が変わった わけではないということですか。

【政調会長】今日は、その10〜15ぐらいある論点のうちの二つにつ いて、まず第一段階の回答が示されたということですよね。

今日の質疑でも申し上げたんですが、「おそれ」と「予測」の定義の 問題は、今日示されたものは一歩前進だと思っています。ただ、あの程 度のことはやはり法律に書くべきではないかと考えています。

それを解釈だけでやってしまって、「おそれ」とか「予測」というこ とだけで出てくるというのは問題があるんじゃないかと考えています。 そういうわけで、「法律に書くべきではないか」と今日申し上げたわけ ですね。

それから、もう一つの指定公共機関、メディア規制の部分について も、個別には政令や法律で規定していくということですが、他方でNH K以外の民放も入る、新聞についてもインターネットなんかの可能性は 排除しないということですので、具体的にはこれから規定するとして も、今回の有事法制の中に義務規定が入ってるわけですから、それだけ を書いておくというのはややバランスを欠いているのではないかと。

もしそういう責務があるということで義務規定を置いておくのであれ ば、今日、官房長官も自らおっしゃった、「報道規制や表現の自由の侵 害はしない」ということも同時に法律に書いておくべきではないかと。

その二つ、責務と規制するものではないということの二つが並んでる ことによって、これから法律を具体的に作っていくなかで、報道規制が 起こり得ないということになるんじゃないかと思います。

修正協議の可能性

【記者】まだ修正協議に応じるような段階には遠く及ばないということ ですか。

【政調会長】修正協議に応じるかというのは、まさしく与党の態度にか かってくるわけでしょ。もうすでに委員会審議を次のステップに進める ような、そういう話も出てきてるわけですから、そういう状況の中では 修正協議はあり得ないわけですよね。

もう一つは、修正協議をやるんであれば、まず党内での議論をこなし ていかなければいけませんし、その前提として論点をまとめなければい けませんから、そういったことも含めて、これから党内である程度議論 をこなしながら、もし相手が十分時間をかけて議論しようということで あれば、それは修正協議ということもあるかもしれません。

しかし今のようにどんどん日程を決めて、絶対この国会で成立させる んだというような話ですと、残念ながらそういう議論の余地というのはなくなってくると。

我々のポジションは、もともと具体的な法案を見て、論点を整理しな がら賛否を決めていくということを党として確認をしていますが、そこ は変わっていないわけです。

それが、連休明けのお粗末な政府側の答弁の中で、「とてもこれでは 無理ですね」、「こういうことが続くようでは無理ですね」という、代表・幹事長や私の言い方になったわけですが、これから政府が悔い改め てきちんと答弁をしたり、論点について誠意ある対応をしてくるんであれば、元のポジションに戻るということになるわけです。それは相手次 第です。

今後の進め方

【記者】論点整理というのは、党内でどのように進めていくんでしょう か。

【政調会長】今晩、役員レベルで今後の進め方について議論することに なると思いますが、相手方がどんどん進めるという意思決定をしてしま えば、例えば委員会の理事会で強硬に公聴会なんかを決めてしまうとい うことであれば、そういう余地はないのかもしれませんが、そういうことはないという前提で申し上げると、論点をある程度まとめて、党内で の全議員に呼び掛けての意見交換の場を来週くらいには作っていかなけ ればいけないと私は思っています。

自由党案

【記者】自由党が対案をまとめましたが、それについての対応は?

【政調会長】まだよく議論してません。私も昨日、自由党の藤井幹事長 からご説明をいただきまして受け取ってはきましたが、基本的に我々は立場が違います。

「立場が違う」という意味は、自由党は政府案に反対するという前提 で対案を出しておられますが、我々は今の段階では反対すると決めておりませんので、ちょっと次元が噛み合ってないわけですよね。

安全保障基本法案のほうは自由党の従来のご主張ですから、それは横 に置くとして、有事法制についての考え方も、政府案のような具体的なものというよりは考え方を整理したものですので、もう少し先になって から取り扱いについて党内でも議論したいと思っています。

我々としても、政府案を検討せずに反対ということを決めてしまえ ば、自由党の案というのは議論の一つの材料になると思いますが、今は そういう状況じゃありませんので。

もちろん、自由党のほうからは「弾力的に考えるから、必ずしも固執 しない」というお話もいただいてますので、あまり硬直的に考える必要 はないのかもしれませんが、しかし反対を前提とした案だと思います。

5月9日

○テロ対策—-基本計画の延長問題を含め特別委で政府の説明を聞きたい

○個人情報保護法—-対案を出せば採決につながる、廃案を基本に

○有事法制のような重要法案を強行採決すれば小泉政権の性格が問われる

有事法制と特別委員会審議

【政調会長】有事法制に関する委員会審議が、今日で3日目を迎えまし た。昨日は、やや特定の問題について議論しましたので、総括的な議論 という意味では、火曜日と今日の2日間ということになります。

私の見た範囲での印象は、あまりにも準備不足でまともに答えられない大臣の姿、総理も含めてまともな返事が返ってこないという状況で す。

法案として出してきてるわけなんで、ちゃんと詰めた議論をしている はずですから、もう少しきちんとした答弁を期待していたんですが、残 念ながら大いに期待外れというのが、この2日間です。

こういう状況が続くようでは、我々としてはとても賛成するわけにい きませんし、修正協議という議論も—-私の質疑の中で総理からはそういう趣旨のご発言もありましたが—-それは国会での議論がきちんとな され、一定の答えが返ってくるということが前提になっての話ですから、今のような質疑が続く限りは、そういうことにはならないと思いま す。

もちろん、今日で質疑が終わったわけではありませんので、国会情勢も不透明ではありますが、今後の委員会審議の中で政府がどういう誠意を見せるかということを見極めたうえで、我々としての態度を決めていくということになりますが、現状ではとても修正協議に入れるような状況ではないと思っています。

まあ、それにしてももう少し何とかならんのかねという感じはいたします。

テロ特措法に基づく自衛隊派遣の延長問題

【政調会長】それから、テロ対策特措法に基づく自衛隊派遣の延長問題 についてですが、5月19日で基本計画の期限が切れるということで、 14日の閣議でその延長を決定するという報道もあります。 法律の解釈論として、今回は国会の事後承認は要らないというのが政府 の見解のようですが、本当にそうなのかということはもう少し詰める必要があるのではないかと。

つまり、基本計画の期限が切れるという場合に、「中身は変わらない から事後承認は要らない」というふうに法律の解釈として成り立つのか どうか、ここはもう少し検証する必要があると思います。

いずれにしても、いろんな議論があるわけで、米軍のイラク攻撃とい うこともかなり情報としてはありますし、あるいはイージス艦やP3C を出すという話もあります。

そういった、いろんな状況がありますので、そしてかつ、この半年間 の活動について我々は必ずしも十分な情報を得ているわけではありませ んので、テロ対策特別委員会を開催して、こういったことについて政府 からしっかりと説明を聞きたいと思っています。

もちろん、具体的な開催のタイミングについては現場(委員会の理事 等)にお任せしてありますが、14日の閣議決定ということが事実であ れば、それまでに特別委員会を開くことが必要になってくるんではないかと思います。

個人情報保護法の民主党案

【記者】今日のネクストキャビネット(NC)の冒頭に、鳩山代表が個 人情報保護法案について触れて、作家の城山三郎さんから民主党の対案というようなお話もあったようですが、これはもう正式に代表からのご指示はあったんでしょうか。

【政調会長】具体的に私に対してはそういうお話はありません。

ただ、NCでの代表のお話は、城山さんからそういうふうに言われたという言い方だったと思うんですね。民主党として対案を作るということを明言したわけではなかったと、私はそういう理解で聞いていまし た。もう一度確認する必要はありますが。

基本的に我々は、廃案ということを言ってるわけですし、対案を作る タイミングの問題もあると思うんですね。廃案になれば、政府のほうも 一から出直しということになるわけですから、対案というよりは新しい 法案を我々も作るということになります。 逆に言いますと、対案を作るということはこの国会で議論するということにもなりかねませんので、政府がこの国会で法案をどうしようとしてるのかということを見極める必要があります。

まあ、彼ら自身が自分で廃案にするということはないんだろうと思い ますが、継続審議にするのか、この国会で勝負してくるのかと言うこと を見極めながら、こちらの対応を考えていかなければいけないということです。

こちらが早く対案を出すことが、かえって国会での採決ということにつながってもいけないわけですから、その見極めは必要だと思っていま す。

それから、対案といっても、一部を修正すればいいというようなもの ではなくて、出すのであれば抜本的なものを出さなければいけないと 思っていますが、今そういうところまで決めたわけではありません。

有事法制審議の行方

【記者】先ほど岡田さんは、今のままでは賛成できないということと、 修正協議に応じられる状態ではないという2点をおっしゃいましたが、 それとは別に、民主党の有事法制に対する基本方針を世に問うというよ うなことは考えてらっしゃいますか。

【政調会長】どういう意味?

【記者】対案は出さないということですが、対案を出す以外の方法で修 正案でもなしに、民主党ならこうするというようなことを……

【政調会長】ちょっと分かりにくいですが、今私がさっき言ったことに 尽きるわけですね。 つまり、今の状況では、我々は賛成できませんし、そして、こういう 曖昧な答弁が繰り返されるなかでは、修正協議というようなことにもな らないと。

彼らがきちんとした誠意を示して、そしてきちんとした答弁をしない 限り、そういうことにはならないとうことを申し上げてるわけです。

【記者】問題は、武力攻撃事態の定義の部分ですかね?

【政調会長】私は、武力攻撃事態の定義の話を含む2点について理事会 協議をお願いしましたが、それで済む話ではないと思います。論点はた くさんあります。

私も論点整理をしようと思って議論したんですが、この2日間を見る 限り、審議前よりもむしろ疑問点が広がったというのが実態だと思いま すから、そういうものについて、きちんとした答えが示されるというの が議論の前提だということです。

【記者】今国会中での採決ということは?

【政調会長】まあ、来週以降、政府がどれくらい悔い改めて真面目な対 応をするかにもよると思いますが、率直に言って、今の状況から言って 採決に至るとは私にはとても思えませんし、もし、こういう基本的な法 案について十分な議論をせずに強行採決をするということであれば、小 泉政権の性格そのものが問われるような、そういう事態だと思います ね。

そして、そういうふうにならないことを私としては非常に望みます。 大事な法案ですから、しっかり議論するという基本姿勢を貫いていただ きたい。

別に我々は先延ばしにすることを目的にして言ってるわけではなく て、誰がご覧になってもこの3日間のいろんな疑問が解けたと思われな いんじゃないでしょうか。

そういう、我々だけじゃなくて国民も含めて疑問があるなかで、強行 採決をするというようなことは、特にこういう国民の権利義務に関わる 法案ですから、それは避けるべきだと思います。

自由党との安保協議

【記者】自由党との安保協議のほうは?

【政調会長】まだ、藤井さんと相談してないので、また相談しなければ いけないと思ってますが、協議というか、安全保障の議論をするという ことなので、私と藤井さんが会えばいいんじゃないかなと思っています。

まあ、せいぜいあと1人、2人一緒に議論すればいいんじゃないかな と思っていますが、自由党のご意見をよく聞いてみたいと思っていま す。

国会承認の必要性

【記者】テロ特措法に基づく自衛隊派遣の延長問題ですが、政調会長 は、これは国会承認が必要だというお考えですか。

【政調会長】私も法律を見てみましたが、これはちょっと専門家の意見 を聞かないとやや微妙です。そういう意味でも、委員会で政府の見解も 聞いてみたいなと思います。法制局も含めてね。必ず国会承認をしなけ ればいけないと結論付けているわけではありません。

党内の意見集約

【記者】有事法制についてですが、この3日間の審議を踏まえて、拡大 役員会等の形で党内の意見集約をするという予定は?

【政調会長】まあ、臨機応変にやっていきたいと思っていますが、政府 側が今後どういう対応を取ってくるのかということにもよりますから、 今簡単に一つの結論が出るわけではないですね。 ですから、もう少し時間が必要だと思います。先ほど申し上げたのは、 今の時点での私の感触です。

5月2日

○訪韓報告—-盧武鉉氏ら多くの要人と面会、意義あるものだった

○口利きビジネスが蔓延しているのは自民党だけではなく政治全体の問題

○収支報告書をネット公開、政治の信頼を取り戻す一助となれば幸い

○有事法制—-基本的人権、報道の自由、民主的統制等の観点から質問

○私学助成は憲法違反と言われても仕方ない、助成には憲法改正が必要

○政府・与党が重要4法案の優先順位を定めなければ結局全部通らなくなる

○鈴木氏の進退問題について、総理はもっとはっきりと言うべき

訪韓報告

【政調会長】初めに、訪韓のご報告ですが、昨日の夜日本に帰ってきました。実質、3泊3日という感じでした。

今回、割と多くの人に会えたと思います。大統領選挙は、新千年民主党のほうは盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんが予備選に圧勝して大統領候補に決まったわけですが、日本の政治家としては初めて、大統領候補である盧武鉉さんにお会いして、20分ぐらいお話ができました。

まず、対日関係については慎重な物言いだという感じがしました。「まだ全てを語るのは早い」ということを言われたうえで、日本のマスコミも近々インタビューされるそうですが、具体的な問題にはまだあまり触れたくないという感じがしました。

靖国の問題も軽く触れられましたし、竹島(独島)の問題とかいろいろ言われたんですが、例えば竹島については、「自分が大臣をやってるときに、経済水域をもっと厳しくやれという意見もあったけれど、感情的に物を言うべきじゃないと冷静に対応した」と言われました。国民の感情を煽り立てるのではなくて、言うべきことは言わなければいけないということを強調されている姿が、非常に印象的でした。

ただ、民主党以外の、例えば金鍾泌(キム・ジョンピル)さんとか、ハンナラ党その他何人かの方々やマスコミ関係者とのお話を含めて、「大統領選挙までまだ時間があるので、どうなるか分からない。これから本格的に、彼に対する攻撃が始まる」ということで、当然のことですが、慎重な見方をする人が多かったということです。

その他にも、朴元大統領のお嬢さんで最近新党を立ち上げた朴槿恵(パク・クンヘ)さん、それから、民主党は大統領候補選が最後2人になりましたが、その負けたほう、鄭東泳(チョン・ドンヨン)さんとも、かなり話ができました。鄭東泳さんとは何度もお会いしていて、お互い1953年生まれということもあって親しく話ができる関係なんですが、選挙のお礼ということで4月30日に済州(チェジュ)島に行ってたにもかかわらず、最終便で帰ってきてくれまして、夜の10時半ぐらいから1時間半ぐらい話をしました。

これから、韓国の民主党と日本の民主党との間で、彼と私が中心になってより深く議員交流を進めていこうというご提案もいただきましたので是非実現していきたいと思いますが、そういういろいろな人たちと意見交換ができたことは大変良かったと思います。

政治とカネ—-収支報告書のインターネット公開

【政調会長】次に、政治とカネの問題についてですが、先般の鈴木宗男さんの秘書の逮捕に始まって、井上参院議長の秘書の疑惑、そしてご本人の議長辞任と議員辞職ということで、相変わらず政治とカネにまつわる事件が相次いでいます。

政治とカネの問題は前半国会の焦点だったわけですが、これで終わりということではなくて、後半国会でも重要なテーマとして議論をしていかなければいけないと思っています。

特徴的なことは、一つは私が当選する前にリクルート事件がありましたが、あれはリクルート社の未公開株の売買ということで、自民党の派閥の領袖クラスが次々に名前が挙がったわけですが、今回は一つの事件ではなくて、別々の事件なんですね。

加藤さん、鈴木さん、そして今回の井上さんも公共事業の談合とそれに対する口利きという、そういう共通点はありますが、それが一つの事件ではなくて、別々の事件としてこの国会中に三つも出てきたと。これはやっぱり公共事業に関わる口利きビジネスが全国的に蔓延していることの結果だと言わざるを得ないと思います。

これは自民党の問題、深刻な問題ですから、国会で厳しく追及したいと思いますが、それだけではなくて、政治というものに対する信頼が大きく揺らいでるということですから、これは国会全体として、我々民主党も自民党を責めるだけではなくて、政治全体の信頼を取り戻すために一体何をすべきかということをもっと真剣に考えていかなければいけないと思っています。

12年前、私が初当選したのは平成2年だったんですが、その後の政治改革のなかで政治資金規正法の改正もかなりやりました。そのとき、かなりの進展があるんじゃないかと期待したんですが、今の状況を見ると別の抜け穴ができたりして、あまり事態は変わっていないと思いますし、非常に大きな危機感を感じます。

そこで、そういったことも踏まえて、自分自身の政治資金収支報告書をホームページに載せることにいたしました。これから、毎年定例化していきたいと思っています。載せればいろんなご批判もあるでしょうが、政治の実態を知っていただくには一番いいんじゃないかと思っています。

私の場合、後援会と党支部と二つあるわけですが、それぞれについて分かりやすく、どういう実態にあるかを示したつもりです。

ちなみに、昨年、私自身の政治団体を一本化しました。そうでないと、資金管理団体とは別の政治団体でパーティーを開いて、そのお金が資金管理団体に繰り入れられたり、他のところに行ったりと、お金の流れが非常に見えにくくなるんですね。政治団体を一つにすればそういったことがなくなって、分かりやすくなるわけです。

ですから、後援会と党支部の二つを見れば、私に関するお金のことは全部ここに出てくるということになります。

それからもう一つは、2〜3年前から試験的にやってきたことですが、後援会と党支部いずれも地元の公認会計士に監査していただいて、会計士としての監査報告書を出していただいています。

私自身あまり承知してなかったんですが、たまたま、数日前に21世紀臨調が公認会計士の監査を義務付けるべきだという答申を出されましたが、こういうことをするなかで、透明性を高めて説明責任を果たすことが、政治に対する国民の信頼を果たすことだと思っています。

有事法制

【政調会長】それから、有事法制の話ですが、訪韓直前に7日に特別委員会で質問することが決まりましたので、飛行機のなかで大体の論点を考えて、今日の午前中に整理しました。

最初のバッターですので、あまり細かい技術的なことを聞くつもりはありませんが、基本的に民主党は有事法制の必要性は認めているということをきちんと強調したうえで、しかし今回の政府案にはいろいろと問題があるということを具体的に指摘する—-。こういう考え方で進めたいと思っています。

特に、小泉総理は自衛隊の効率的な運用というところに重点が行っていて、基本的人権を守るという視点が欠落してるんじゃないかと思えますので、その辺の基本認識を確認したうえで、まずは「始まりと終わり」を明確化すべきだと。

つまり、「武力攻撃のおそれのある場合」とか「予測される場合」というようなことが書かれてますが、本来の武力攻撃事態じゃないのに、法律が適用されるということになると、この法律は権利義務関係が通常と違って制限されるわけですから、本当に攻撃された場合やむを得ない制限というのはあると思うんですが、そうじゃないのにこの法律が悪用されるおそれあるわけです。「それはなかなか考えにくい」という話もあるかもしれませんが、それはやや歴史に対する洞察を欠いているわけで、武力集団たる自衛隊に対してしっかりとシビリアン・コントロールしていくためには、法律適用の要件を明確化しておく必要がありますし、それが終わったときにはすぐに打ち切って平常に戻すということが大事ですから、そういう意味で「始めと終わり」が明確化することは大事だと思っています。

それからもう一つは、メディア規制の問題で、まあNHKさんはご指名で入ってるわけですが、法案には「必要な措置を実施しなければならない」というふうに非常に一般的に書いてありますので、政府が説明するような、避難命令を報道するというようなことに限らず、幅広く網がかかる危険性があります。

しかも、それはNHKだけじゃなくて、他のメディアにも適用される可能性もあります。民放や新聞も「公共的機関」や「公益的事業を営む者」に入るかもしれないんですが、緊急事態だからこそ報道の自由が確保されないと、大変恐ろしいことが起こる可能性があるわけです。ですから、ここはもっときちんと規制を一定程度かける、例えばさっき言ったような、避難命令をきちんと放送しなさいとか、そういうことを具体的に法律に書くべきであって、制限的に列挙しておかないと、一般的に網をかけるような規制はかなり危険性が大きいということです。

あと、基本理念の部分、ここには「万全の措置を求める」とあるんですが、万全の措置というと、国家権力をかなり広範囲に拡大するということにつながりかねません。

それから、武力行使時の自衛隊に既存の法令が適用されないという話もあって、これもどうなのかと。違法性が阻却されて刑法の適用がない場合があるというような話ならまだ分かるかもしれませんが、適用自体がそもそもないということだとすると、武力行使時は無法状態でいいということになりかねませんので、この辺はきちんとした政府の説明を求めたいと思っています。

その他、いろいろと議論していくことはありますので、少し骨太の議論をしたいと考えていますが、最初に言いましたように、我々は入口で反対というわけではありません。基本的には法整備がいるという考えですので、そのことは明確に申し上げたうえで、具体的な内容について議論し、政府の対応によって賛否は決めるということになります。

憲法観

【記者】明日は憲法記念日ですが、政調会長の憲法観をお話しいただけますか。

【政調会長】私の基本的な考え方は、憲法は法律よりも上位にあって、国の基本を定める重要なものであると思います。

ただ、憲法が現実に合わなくなった場合に、現実が間違ってれば別なんですが、現実が正しいけれどそれに憲法が合わなくなってきたというときに、無理に解釈変更をしてそれを読み込んでいくよりは、きちんと憲法改正すべきだと思います。それが成熟した民主国家のあるべき姿だと思っています。

【記者】具体的に改正すべき点はどこでしょうか。

【政調会長】まあ私も政調会長という立場ですし、党でもいろいろと議論している最中ですから、そういう意味では慎重にお話しなければいけないんですが、明らかにおかしいのは私学助成のところですよね。これは憲法違反だといわれても仕方がない現実です。もし、私学に対する助成が必要だというのであれば、それは憲法を変えるべきだと思います。

それから、国際貢献のところですね。国連決議に基づいてPKO(平和維持活動)をするということについては、もっと幅広く認めてもいいんじゃないかと私は思っています。

あと、憲法改正の規定はややきつすぎると思いますね。国会で3分の2、そして国民投票ということですが、国民投票をするんであれば、国会で3分の2というところまで求めるというのは、理念としては違和感を感じますね。2分の1でいいんじゃないかと、最終的に国民投票で担保されるのであればね。

ただ、ここは党内で議論してませんから、具体的にいろんな意見がこれから出るんだろうと思います。

口利きビジネスへの対処として今国会で取り組むべきこと

【記者】公共事業に関わる口利きビジネスの蔓延ということを先ほどおっしゃいましたが、少なくとも今国会でやるべきことはどういったことでしょうか。

【政調会長】例えば、せっかく資金管理団体を一つに絞ったのに、政党支部のほうが制限なく増えて、自民党は6000ぐらいの支部を持っています。そういう政党支部の数を絞り込むとか、インターネットで収支報告書を明らかにして、誰でもアクセスできるようにする。

あるいは公共事業を受注している企業からの献金を禁止するといったことですね。我々はこういった法案を出しましたが、これは最低限のことです。

それからもう一つは談合ですね。談合に対していかに公正取引委員会の権限を強化して規制するかと、こういう法案を我々は用意していますが(官製談合防止法案)、これらは最低限やらなければいけないことです。

しかし、参議院の議長が公共事業の口利きビジネスに関連して辞めるという事態ですから、国会全体としてこの問題について超党派で取り組んで規制強化を考えるというようなことも必要ではないかと思っています。

【記者】規制強化とは、あっせん利得法に私設秘書を加えるとか?

【政調会長】いや、そういう既存の法律以外でもう少し大きな枠組みのなかで考えていく必要委があるんじゃないかと思っています。

収支報告書のインターネット公開

【記者】政調会長、今回インターネットで収支報告書を公開するということですが、他の民主党議員も同じように公開していく用意はありますか。

【政調会長】これは、私個人が従来から考えていたことですから、他の人に強制する話ではありません。ただ、法案が通れば、要旨だけではなくて全体を出すということが我々の主張ですから、もちろん民主党に限らず国会議員全員がするということになります。

まあ、法案が通る前に民主党議員全員がするというのは、それは個々人の意思に委ねられていることですし、ある意味で不利になることは間違いないんですよね。不利という言い方はおかしいかもしれませんが、相手と同じ土俵でなくなりますから、そういう意味では慎重に考えなければいけないと思います。

後半国会審議の優先順位

【記者】連休明けから、有事法制も含めた重要法案の審議が本格的に始まりますが、そういったものよりも、政治とカネに関する議論を優先していくべきだとお考えでしょうか。

【政調会長】両方やるべきでしょうね。一緒に並行してできない話じゃないですから。政治とカネの問題の事実究明、そしてさっき言った法的な対応、制度改正ですね。それから今言った重要法案というのは並行して進めていくということでいいんだと思います。

ただ、大きな塊だけでいっても四つぐらいあるわけでしょ。健康保健法改正案(医療制度改革関連法案)、メディア規制法案(個人情報保護法案・人権擁護法案)、有事法制、郵政関連法案と。

それらのなかで、会期内でどういう優先順位を付けて議論していくのかと、これは我々の考えはありますけれど、政府として、そして総理としての考え方を示したうえで、野党の審議協力を求めていかないと、結局全部できないということになるでしょうね。

【記者】今のお話は、このまま4法案の審議を推し進めていけば、今国会では全て収まらないということですか。 【政調会長】そうなるでしょうね。まず我々は、メディア規制法と健保法はいずれも廃案にするという方針を立ててやってます。

残りの2法案は有事法制と郵政関連法案ですが、有事法制は相当慎重に中身の議論をしなければいけない。会期末に間に合うか間に合わないかというのは結果論ですが、いずれにせよしっかりとした議論をしなければいけないと思うんですね。

郵政関連法案は、来年には郵政公社発足を迎えていますし、小泉総理の目玉ですから、法案が目玉だと私は思いませんが、相当いい加減な法案だと私は思いますが、そういう状況のなかで、総理としてどういう優先順位を考えるのか。

それを優先順位を付けずに、政治とカネの問題を別にしても四つ並行して進めるとすると、結局全て通らないという事態は十分あり得ると思います。

まあ、政治とカネの問題は、自民党はもっと危機感を持たないと。一人は参議院の議長でしょ?総理と同格の人ですよね。それから元幹事長でしょ?

次の総理候補とまで言われた。もう一人は議運(議院運営委員会)の委員長でしょ?これも国会のナンバー3なんですよね、議長、副議長に次ぐ。

そういう、昔で言えば副将とか侍大将ぐらいが討ち死にしてるわけですから、そういう事態をもっと深刻に考えるべきだと思いますね。足軽が何人かやられたっていう話じゃなくて。

そういう意味で、自民党の骨格に直接影響するような深刻な事態が生じてるということですね。そこが腐ってたということですから。

鈴木宗男議員の進退問題

【記者】鈴木宗男さんの進退についてはどのようにお考えでしょうか。

【政調会長】ご本人が「私辞めます」というのは、もちろんご本人のお考えなんですが、やっぱり総理ご自身がもっとはっきり言われるべきですよね。自民党総裁ですし、議運の委員長にしたのは、それは国会内の話だとしても、自民党総裁としての責任があるわけですから。

そういう人が不祥事を起こして秘書まで逮捕されたというなかで、「本人にお任せします」というのでは、自民党総裁としての、あるいは議運という公的な立場という意味では、日本国総理大臣としての責任を果たしていないと言われても仕方がないと思います。




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