トピックス

2002.07.31|その他

定例記者会見録 2002年7月

7月30日

○「政治とカネ」の問題に対する与党の危機感のなさに怒りすら覚える

○与党は堕ちるところまで堕ちた、必ず国民からしっぺ返しを食うだろう

○200日も議論をしても日本国にとって成果のあったものはほとんどない

○個人情報—-政府の修正案を見極めてから対応を考える

○個人情報も有事も対案の是非は政府案のできの良し悪しによる

○今回と同じ有事法制では結果は同じだが、与党内はバラバラ

今国会の閉会を控えて

【政調会長】この国会も明日で終わりですが、私自身の考えは今日の内閣不信任案に対する本会議の私の賛成討論のなかで大体尽きているわけですが、やはり「政治とカネ」の問題についてあまりにも危機感がないということが、実は個人的には一番気になっているというか、非常に怒りすら覚えています。

10数年前のリクルート事件後の自民党の危機感に比べると雲泥の差があると、それだけ危機感すら感じられないところまで堕ちたんだと。堕ちるに堕ちたということだと思います。これは、国民から必ずしっぺ返しを受けるであろうと思っています。

その他、個別の法案の話は、私も含めて申し上げてきたところですので、これ以上申し上げることはありません。200日近くやってきて疲労感・徒労感は残りますが、ほとんど成果のない国会、「成果のない」というのは民主党にとって成果がないということではなくて、日本国にとってやるべきことがやられずに、まあ議論はそれなりにしたんだろうとは思いますが、実のある議論は少なかったと思っています。

皆さんも非常にお疲れ様でしたと申し上げておきたいと思います。

与党3党党首会談と個人情報保護法案

【記者】個人情報保護法案について、昨日、与党3党の党首が会談をして臨時国会に修正案を出すということで合意しましたが、もう報道等で中身はご存じだと思いますけれど、修正案への評価と対応を伺えますか。

【政調会長】まだちょっと気が早いと思いますね。いろいろ議論していても、それがどういう形で書かれてくるのかによっても違いますので、我々は我々で問題点をきちんと詰める作業を、事実上はもうすでにできてるんですが、野党4党の実務者で続けていくことにしています。

もちろん、いつまでも先延ばしにして済む話ではありません。個人情報の保護は重要な課題ですから、そういう意味で与党のほうがどういう法案を作るのかを見極めて、我々の対応を考えたいと思っています。

しかし、いずれにしても、もう少し議論の土台になるような法案を出していただきたい。今日も私は申し上げたんですが、昨年の12月の段階である政府高官などは「これはちょっとまずい法案だな」ということを言っていたわけですね。

ところがそのまま放置して、同じ案でまた議論を始めたと。それで200日間議論したけれども、結果は何も得られなかったということですから、やはり議論のベース、これは有事法制もそうなんですが、きちんと与党がそれなりのものを出してこないと、また結果先送りになってしまう。しかし、そんなに悠長なことは言ってられない話じゃないですかと。

個人情報の保護について、きちんとした法制がないということは決して望ましい話ではありませんので、そこはしっかり政府・与党が責任を持って法案を出していただきたいと思います。 我々としては、せめて各論・中身の議論に入れるような態勢を、是非、政府・与党のほうでも作ってもらいたいと思っています。

民主党の対案提出

【記者】それに関連するんですが、今日、鳩山代表が本会議後、記者団に「個人情報保護法案と有事法制については対案を提出したい」とおっしゃったんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

【政調会長】まあ、「対案」ということの意味ですよね。ちょっとそれは詳しく話を聞いておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが。

まあ、個人情報保護法案については対案を出すということも一つの考え方だし、ある意味ではいつでも出せる状況にあるんですが、やはり政府の案を見極めて次の国会の冒頭から修正案が用意されるのであれば、それを見極めてから判断をすると。

それがかなり現実的といいますか、議論の土台になり得るものであるならば、あえて対案を出さずとも修正案で議論したらいいと思いますね。

しかし、それが話にならないといいますか、多少手を入れたくらいではモノにならないような法案であれば、「我々の考え方はこういうことです」ということで、対案を出すということが意味を持ってくるんだと思います。 だから、相手の出方次第という部分はあると思います。

与党の有事法制へのバラバラの対応

【記者】有事法制のほうは?

【政調会長】まず、政府のほうが本当に臨時国会で何らかの議論をしたいと考えてるのかどうかですね、そこがよく分からないわけです。

それから、国民保護法制の部分についてある程度まとまった考え方が示されるのかどうか、そこがはっきりしません。むしろ来年度通常国会だという説もあるわけで、そこは相手の出方次第ということだと思います。

今日、町村さん(自民党幹事長代理)は、内閣不信任案への反対討論のなかでかなり挑発的なことをいろいろおっしゃっていましたが、あの有事法制の原案をもう一度ベースにするということであれば、結果は一緒じゃないでしょうか。

今回の政府案については、自民党を含めて与党内にも「相当できが悪い」という話があったわけですから、やはりそれなりのものに代えて出してもらわないと、議論が前を向いて進んでいかないと。そういうふうに思っています。

本来であれば、今国会で廃案にするという選択肢は十分考えられたと思うんですが、それを与党が選択せず、そのまま継続審議ということであれば、前国会における個人情報保護法案と同じように思考停止に陥って、何だかんだ言って結局、与党のなかがまとまらないということなんじゃないでしょうか。

私も私なりに政府・与党のいろんな人の意見を確認しましたが、人によって言うことが全然違うことに驚き呆れたわけで、まあ、「結局まとまってないな」というなかで、単なる先送りをしたなというふうに思っています。

まあ、「町村氏もよく言うよ」という感じですね。

7月25日

○女性政策—-文部科学部門との調整のうえ、地方政策会議にかける予定

○政治資金規正法改正案を審議しない小泉政権の正体が見えた

○住基ネット凍結法案—-与党の賛同者にも意見を述べてもらいたい

○代表選—-前の会見で言ったことに付け加えることはない

女性政策

【政調会長】今日のネクストキャビネット(NC)で、女性政策について議論しました。これは、経緯を言うと、私の下で水島議員や石毛議員が中心になってずっと検討してきていたものが、ほぼでき上がりつつあるわけですが、今週土曜日の地方政策担当者会議でもこれを議題にかけることになっています。

ただ、ややご意見が文部科学部門から出てまいりまして、もともと先週中にご意見をいただくということになっていたので、いただいたものは調整し終わったんですが、また新たにご意見が出てきたということで、今日は中野NC文部科学大臣がいらっしゃいませんでしたので、中野大臣にもう一度部門の意見を集約していただいて、中野大臣と私で明日の昼頃まで、ぎりぎりまで詰めようということにしました。

形式的には、私に一任をいただいていますので、明日の段階で詰まればいいんですが、多少積み残せば、(案)を付けたままの形で政策担当者会議にかけて、そこでの意見も聞きながら最終案としてまとめると。しかし、私に最終的に一任されている、こういうことです。

政治資金規正法改正案と住基ネット凍結法案

【政調会長】】国会もこういう状況ですので、私から特に申し上げることはありませんが、衆議院側としては、残された二つの大きな課題、つまり「政治とカネ」の問題ですね。

これについては政治資金規正法改正案が依然として吊されて審議すらされない状態ですので、この国会で最も時間を割いたのが政治とカネの問題であったことを考えれば、それを委員会に下ろさないことは考えられないことだと思っています。

小泉政権の正体見たりという感じがしますが、是非残された時間でしっかり審議をさせていただきたいと思っています。

それから、もう一つは住基ネット凍結法案ですが、こちらは委員会に下りる方向だと聞いていますが、残された期間、しっかり審議をし、是非与党のなかで我々に賛同していただく方も意見を委員会で述べていただいて、採決まで持っていきたいと考えています。

代表選挙

【記者】民主党の代表選挙についてですが、政調会長に出てほしいという声が再燃してるんですけれど、どういう態度をとるというか……

【政調会長】いろんな声があることは大変光栄だと思いますが、私の意見は終始一貫変わりませんので、付け加えることは特にありません。

【記者】付け加えるっていうは……

【政調会長】この間の記者会見で申し上げたことに付け加えることはないということです。

7月18日

○政治とカネ—-自民有識者懇提言は評価できる部分もあるが実効性疑問

○今国会で政治資金の問題を議論しない免罪符になることが最大の問題

○NCで了承されなければ党憲法調査会答申は民主党の見解ではない

○有事関連法案は改めて政府が国会に出し直すべき

○民主党案—-政府案の問題点を明確にすれば十分だが、総合的に判断

政治とカネ

【政調会長】自民党の「政治資金等に関する有識者懇談会」から「政治資金等に関する提言」というものが出てきましたが、私は中身について割と評価しています。

例えば、インターネットを利用して国会議員の政治資金の情報公開を義務付けるというのは、我々は同じような内容の法案を今の国会に出しています。

それから、政党支部から政治家個人の資金管理団体などへの迂回献金の制限ですとか、そういった点は割と評価できると思っています。

しかし、公共事業受注額が一定割合を超えた企業の寄付限度額を制限するというのは、我々の考え方からすると甘すぎるということになりますし、今ちょっと触れた政党支部から政治家個人の資金管理団体への迂回献金の問題も、考え方自体は認めたとしても、じゃあ政党支部の活動と資金管理団体の活動をきちんと分けられるのかというと、そこの線引きはかなり曖昧です。現実ね。

そうすると、その線引きを変えることでいくらでも対応できるということになりかねないわけです。そういう問題があるということを申し上げておかなければいけないと思います。

もう少し具体的に言いますと、私の場合でも、地元の事務所は一つなんですが、これは政党支部と後援会の事務所を兼ねています。

それじゃあ、その事務所の借賃をどういうふうに計上すべきなのかと。私も非常に悩みましたが、結局折半ということにしました。

しかし、それは考え方としてはいろいろあるわけで、例えば100万円のうち50万円・50万円で持つのではなくて、政党支部が100万円全部を持つことにすれば、政党支部から資金管理団体にカネが流れなくても、事実上流れているのと同じことになるということです。そういう意味で、果たして実効性があるのかという感じがします。

それから、労働組合の経理の透明性を確保するというようなことも、基本的には結構なことだと私は思いますが、それが組合活動に対する不当な介入になってはいけないわけで、その辺をもう少し注意深く見ていかなければいけないと思っています。

ただ、何よりも問題なのは、いずれにしても年内に法改正をやりたいというようなことが伝えられていますが、これは今国会で政治資金の問題を議論しない免罪符に使われかねないというところが最大の問題で、我々も法案をすでに用意しているわけですが、「5増5減」の公職選挙法改正案も衆議院のほうは審議が終わりましたので、是非担当委員会で「政治とカネ」の問題を精力的に議論をして成案を得るということにしていただきたいと思っています。

これだけ「政治とカネ」の問題が大きく取り上げられながら結局何もなしで、あっせん利得処罰法をちょこっと直して私設秘書を加えただけでは、有権者に対して責任を果たしたことにならないと思っています。

党憲法調査会

【記者】今月中に民主党の憲法調査会が答申を出すということなんですが、これはネクストキャビネット(NC)ではどのように取り扱われるんでしょうか。あるいは取り扱われないんでしょうか。

【政調会長】これは前回の党役員会で、私から鳩山代表に確認しておきましたが、私が申し上げたのは、憲法調査会は代表の私的諮問機関ですから、調査会が取りまとめて代表に答申する段階では、これはまだ党のものではありません。

党の正式な決定にするには、代表がその案をNCに下ろして、そしてNCで決定したときに、憲法改正に対する党の見解ということになるわけで、代表にお願いしたのは、NCでもかなり議論になるだろうし、場合によっては全議員協議会というようなことも考えなければいけないかもしれないので、もし党の見解として最終的にまとめるおつもりであれば、十分な時間的余裕を持ってNCに下ろしてくださいと私から申し上げ、代表からは「それはよく分かりました」というお答えがありました。

ただ、全体の日程を見ると本当に可能なのかどうか、私もやや心配しているところです。代表に対する諮問というレベルであれば間もなくできるんでしょうが、それは党の正式決定ではないということです。

いずれにしても、前回の中間報告もNCでは全く議論していませんので、あれは党の見解じゃないんですね。ただ、マスコミの扱いは党の見解のように扱ったところもあったと思いますので、その辺の誤解を招かないようにしておかないと混乱すると思っています。

有事法制

【記者】有事法制について、民主党は「法案の出し直し」を求めるということですが、それは廃案ということですか。

【政調会長】伊藤英成NC大臣からもご説明があると思いますが、廃案ということです。

【記者】それじゃあ、修正協議に応じることもないと?

【政調会長】それは私が度々否定しているところです。もう国会も終わってしまいますし、そういう場はありません。

【記者】与党は今国会での成立を断念しましたが、今後民主党として緊急事態法制の民主党案を作るお考えはあるんでしょうか。

【政調会長】我々は、政府案のどこに問題があるかということを明確にしていますので、それで十分だと思っています。

だからといって、絶対に対案を作らないということではありませんが、政府案があるわけで、これが廃案になる状況と継続審議になる状況とでは大分違うと思いますが、その辺は総合的に判断していくことになると思います。

7月11日

○道州制の形等、地方分権の基本的考え方についてNCで議論

○議員年金—-年金と退職金をきちんと分けたうえで、それぞれの水準を検討

○住基ネット—-与党の意思を見極めて凍結法案の中身を決定

○代表選には次期総理になる自覚と実力のある人が立つべき

○サポーター票の開票時期—-一度決めたルールをあとで変更すべきで ない

地方分権政策

【政調会長】地方分権政策について、今日、ワーキングチーム(WT) からネクストキャビネット(NC)にカチッとしたものが出てまいりま したので、1時間近く議論しました。ただ、今日はきちんと議論を詰め られませんでしたので、来週別途2時間ぐらい時間を取ってNCで議論 するということにしました。

分権政策についてはこれまで我が党にはかなり議論の積み上げがあります。政府と比べて相当充実したものを持っているという自負はありま すが、もう少しまとめて形にしたいということで、今日だけでは時間的 に十分ではないということで別途時間を取ることにしました。代表から も「平成の廃県置州」ということが「10の基本方針」のなかでいわれ てますので、その肉付けもしなければいけません。

例えば、道州制を導入するということについては党内にほぼ異論がないと思うんですが、道州制というときの具体的なイメージもかなり開きがありまして、かなり強い道州にするという考え方と調整機関的なものにするという考え方と両論ありますので、少し基本的なところの議論を深めなければいけません。

基本的に、基礎自治体に権限と財源を集中するということについては 異論があるわけではありませんが、国と道州との分配の問題等々、もう 少し議論を深めたいと思っています。

国会議員年金

【政調会長】それから、国会議員年金についてですが、ワーキングチームでずっと議論を続けてきましたが、これまでの議論の集約として、今 日のNCで基本的な考え方だけ整理いたしました。

この議員年金については、私も予算委員会で取り上げたことがあるんですが、国庫負担割合が7割であるということについてどう考えるかということと、そうは言っても退職金の性格もあって単なる年金ではないのだから国庫負担の割合が5割を超えていてもおかしくないんだという見方とがあります。

その辺の議論の整理をどうするかということで、やはり退職金と年金 はきちんと区別すべきだということを確認しました。本来、性格の違う ものが一つになってることで、議論が分かりにくくなっている。従って、退職金と年金を区別すると。

そのうえで、年金については、現在公務員の年金などは国と本人が1対1の割合です。そういう意味で、7割ではなくて5割を国が負担すると。つまり、議員本人の拠出が5割、国の拠出が5割、全体として10割になるわけです。そういうような形で運営できるような制度設計をすべきだと。

そして、退職金の分はどの程度の水準がいいのかということについて は、これはこれで他の制度とのバランスを見ながら議論していくと。一 番の極論としては、退職金はゼロでいいといいんじゃないかと、当然こういう意見もあろうかと思います。

あるいは、もっと増やすべきだという意見もあるかもしれませんが、 議論を分かりやすくするために、まず退職金と年金を制度的に分けたうえで議論していこうということを確認しました。それで、年金のほうは 1対1にするということです。

そういう前提だけ今日は確認しましたので、そのうえで、退職金の水準はどの程度にするのか、あるいは年金の水準はどの程度がいいのかと いうことについて議論していくということになりました。

住基ネット凍結法案

【政調会長】あと、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)施行凍結 法案についてですが、我が党として法案を出すこと自体はすでに決めて いますが、与党のほうで署名運動が始まってまして、その与党案(3年 間の凍結)と我々の案(個人情報保護法が整備されるまで凍結)で少し開きがあります。

そういう意味で、まあ、あまり本質的な話ではないんですが、どちらの案をとるかということについて、明日の野党4党政策責任者会議で最終的な意思決定をしようと。

ただ、早く法案を出さないと会期末に間に合いませんので、今日1日与党の動きを見極めて、そのうえで意思決定をしようということにしま した。

署名をした人を始め、与党がきちんと凍結について真面目に考えているのであれば、今与党のなかで署名している案を中心に据えてもいいんじゃないかとも思いますが、まあ、今日1日見極めをしたうえで、明日 決定をしようということにしました。

与党が署名だけしても、本気でやる気がないんなら、もともとの我々の凍結案を出したらいいんじゃないかと思っています。

住基ネット凍結与党案への対応

【記者】住基ネット凍結法案なんですが、与党案に乗っかって野党案を 出さないということもあり得るんでしょうか。

【政調会長】その場合は与党案じゃなくなるんでしょうね。だって与党 案として出てくるはずがないでしょ。今も与党案としてあるわけじゃな くて、有志で勝手に作ってるだけですから。

【記者】議員立法として、名前を一緒に載せる可能性はあるんでしょう か。

【政調会長】与党が?

【記者】与党の議員が準備した法案に野党が名前を載せるという……

【政調会長】与党の議員が準備したわけじゃないんですよね。

【記者】櫻井よし子さんが……

【政調会長】ええ。

【記者】3年間延期ということに関しては、他の野党にはちょっと苦しいという意見があるようですけれども。

【政調会長】それも含めて、明日の政策責任者会議で議論します。ただ、それほど大した違いはありませんから、与党の一部が本気でやると いうのであれば、合わせてもいいんじゃないかと思いますが、その辺の 見極めをつける必要があるんじゃないかと思います。

我々がちょっと違う案を出したことを口実に、「だから協力できな かったんだ」というふうには言われないようにしたいとは思っています。

【記者】与党案と野党案の違いというのは?

【政調会長】実質的にはないんですよ。「3年間」と法律に書き込むかどうかの問題でしょ?

代表選挙出馬の意思

【記者】代表選挙についてなんですが、政調会長に出馬して欲しいとい う声が少なくないんですが、改めて伺いますが、現段階でそういうこと は考えていないと?

【政調会長】何度も申し上げているように、民主党の代表選挙というの は、次の総理を選ぶ予備選です。そういう意味で、直ちに総理大臣が務まるだけの自覚と実力がある人が代表選挙に立つべきだと思っています。

私はそういう自覚も実力も、現時点ではあると思っていません。

【記者】関連して、実質的に鳩山代表と菅幹事長がかなり出馬されるよ うな発言をされていて、それ以外の方にもそういう発言をされている方がいて党内も代表選モードなんですが、そういった今の状況をどうご覧になりますか。

【政調会長】いろいろと議論はあると思います。確かに、終盤国会の大 事なときですから、国会に専念すべきだという意見も分かりますが、しかしさっきも言いましたように、次の総理大臣を決めることにつながる 大事な問題ですし、民主党にとって、やはりこれから我々が政権政党になり得るかどうか、次なる衆議院選挙はまず間違いなく今度選ばれる代 表の下であるわけですね。任期の問題からいえば、必ずそうなるわけで すから。

そういう重要な問題について、国会開会中だからといって「完全に控えろ」というのは無理な話だし、それは結局新しい人が出てくる余地を狭くしてしまいますので、昼間はちゃんと国会に出て、夜いろんな活動 をすることは自由ではないかと私は思いますね。

総理になる自覚と実力

【記者】先ほど「総理になる自覚と実力がある人が代表選に立つべきだ」とおっしゃいましたが、今言われている世代交代論は時期尚早だというお考えなんでしょうか。

【政調会長】いえ、それは本人の問題ですから。本人が自分は実力があり自覚があると思われるのであれば、立たれればいいんじゃないでしょ うか。

【記者】本人がそう自覚して代表選に出るのは勝手ですが、実際にその人にその資質があるかどうかは別問題ですよね。つまり、立ちたいと思ってる人が自分は総理大臣の資質があると思っていても、その人が本当にふさわしいかどうかは別問題ですよね。

【政調会長】それは誰であっても、その人にそれだけの資質があるかどうかということは、まさしくそこを基準に選挙がなされるわけですから。立候補することは自由でしょ。あと皆さんが誰を選ぶかというのは、それを見極めて投票されるわけですから。資質がないから立つのはおかしいということではないと思いますね。

サポーター票の開票時期

【記者】細かいんですが、サポーター票の開票方法について意見が出て まして、国会議員票の開票前に開かないと民意と懸け離れた結果が出て はまずいということなんですが、それについては……。

【政調会長】その意見はよく分かるんですが、一度決めたルールをあと で変えるというのはおかしいんじゃないかと。

もちろん、まだ正式には代表選は始まってませんが、手続きを踏んで 決めたきたことですから、今回は決めたとおりにやるべきではないか と。

ご提案は次回以降の問題として考えるべきではないかと思っていま す。

7月4日

○「産業活性化戦略」についてNCで議論、民主党の政策として検討進める

○石油公団改革を見ても分かるように、小泉内閣の特殊法人改革は形だけ

○郵政改革—-小泉氏が総理であることの意味が見いだせない

○有事法案は出し直すべき、論点を整理して問題点を分かりやすく説明する

○有事法案の修正協議は100%なし、議論は国会で行うべき

○代表提案の10の基本方針を党として了承、今後の政策論議の指針となる

産業活性化戦略

【政調会長】今日のネクストキャビネット(NC)で「産業活性化戦略」について議論いたしました。これは私の下でシンクタンクにも入っ てもらって、約3カ月間にわたってこれからの経済の再生のためには、 産業をいかに活性化していくかと。短期的には景気対策もありますが、 産業の活性化が基本であるという視点でいろいろと検討してまいりまし た。

今日は、その第1回の報告を事務局長の長妻議員からしてもらいまして、いろいろご意見も出ました。

ただ、あまり議論をしていくと、丸まって平板なものになってしまい ますし、とはいえ、やはり党として出したほうが、政調会長の私的諮問 機関として出したというよりはいいだろうということで、各NC大臣か ら今週中にご意見をペーパーで出していただいて、手を加えるというこ とにしました。

石油公団改革

【政調会長】次に、石油公団改革についてですが、まあ、いろんな議論 があります。確かに、石油公団の廃止を含めて、全く前進がないという わけでもないんですが、しかしやはり小泉構造改革の重要な柱である特 殊法人改革の、いわば最初に出てくるのが石油公団改革です。

そういう意味では、あまりにも実がないといいますか、例えば行政改 革の視点から見たときに、結局、石油公団と金属鉱業事業団という既存 の二つの公団をくっつけて独立行政法人にするだけで、人も減らない。

そして、業務の中身は多少変わるとしても、それほど変わるわけでは ないというなかで、基本的姿勢として、小泉内閣の特殊法人改革が形だ けになっているということを民主党としてきちんと打ち出していくべき だという意見がNCのなかで圧倒的多数を占めました。

現場(経済産業部門)では「半歩前進」という点を評価すべきだとい う意見もあるんですが、我々として反対ということを、NCの段階で確 認しました。

ただ、部門ではいろんな意見があったということなので、そこはもう 少し丁寧に説明をしたほうがいいと考えてまして、北橋NC経済産業大 臣にさらに汗をかいていただくということになりました。

郵政関連法案

【政調会長】それから、郵政関連法案についてですが、昨日、臨時NC を開催させていただいて、我が党の考え方といいますか、法案に対する 態度を決めたわけです。

昨年来、随分丁寧に議論をしてまいりまして、一つひとつ確認しながら進んでまいりました。ただ、政府と与党の話し合いといいますか、調 整が「難航」いたしまして、そこがはっきり固まらないものですから、 我が党の対応もきちんとは決めかねるということで、昨日に至ったわけです。結果は非常に分かりやすいものになったと思っています。

小泉総理はいろいろ胸を張っておられるのかもしれませんが、明らかに後退していると。そもそも、郵政公社というのは橋本内閣のときの成 果でありまして、しかも、そのとき想定されていたなかでも最低に近い出来じゃないかと思っています。

しかも、さらに法案修正までやったということですから、小泉総理が 一番重要だと言っていた郵政改革で、小泉さんが総理であることの意味というのが一体どこに見いだされるのかと。ほとんど見受けられないと いう感じがします。

信書便法案のほうも、実質的に民間業者が入ってこられない、しかも 本来、法律事項にすべき信書の定義等についても省令・告示に委ねるということで、極めて法的安定性がないといいますか、民間業者から見た らとても入ってこられないような法案になっているということで、非常に問題があると考えています。

有事法制

【政調会長】それから、今日、拡大役員会で有事法制についての議論を 少ししました。まだ会期が1カ月近くありますので急ぐわけではありませんし、もちろん、有事法制特別委員会では、今まで出された瓦委員長の秘書問題始めいろんな疑惑についてさらに追及していきますが、同時に法案の中身についてもしっかり審議をしていく必要があると考えていますが、我々としては、今の法案は非常に大きな問題があるということで、「出直しを求める」ということです。

しかし、どこに大きな問題があると我々が考えているかということ は、やはり国会を閉じるに当って明確にしておく必要がありますので、これから国会の会期末に向けて、そこの論点整理はしていきたいと。そして、論点整理のためにも審議はしていく必要があると考えています。

以前、私のほうで24点の質問主意書を出してありますし、そのもと となった論点は全議員政策懇談会で民主党として「こういう問題がある」ということを確認したものですが、あのなかには、やや技術的な問 題もありますので、もう少し骨太の分かりやすい論点整理をしたいと。

国民の皆さんにも何が問題なのか納得していただけるよう分かりやすく整理をして、民主党の考え方として、タイミングを見て出していきた いと考えています。

そういう方針について今日、基本的に拡大役員会の場で了解していた だいたということです。

「尊厳ある国家」をめざす10の基本方針

【政調会長】あと、「10の基本方針」について、この前のブリーフで も申し上げましたが、最終的に原案どおりということで、その確認を今 日のNCでしておきました。

これは、代表が基本的な政策の方向性を示されたものですので、今後 NCで政策を議論していく際に指針になるわけですし、そのなかでより 具体的に詰めるものがあれば、それぞれの部門会議で取り上げていくと いうことにしてあります。

いずれにしても、「代表の」10の基本方針から、「民主党の」10 の基本方針になったということです。

「10の基本方針」の位置付け

【記者】今、「代表の基本方針から党の基本政策になった」とおっしゃいましたが、外交・安保の項目にある「東アジア不戦共同体構想」というのは具体的にどういうものなんでしょうか。

【政調会長】具体的にどういう内容を盛り込むかということは、これから部門で議論していただく課題です。基本的に東アジア地域について戦 争の起こらない、そういう仕組みに変えていくということです。

【記者】基本方針の位置付けを確認させていただきたいんですが、これは現在の第3次NCにおける基本方針なんでしょうか。それとも、現NCとは無関係に、民主党の基本方針なんでしょうか。

【政調会長】民主党の基本方針です。

修正協議の可能性

【記者】先ほど、有事法制の論点整理をするということでしたが、その論点整理をもとに、一部で言われている与野党協議機関で修正協議をするということではないんですか。

【政調会長】それは100%ありません。我々の考え方をまとめるとい うことです。協議をするつもりはありません。

基本的には、国会という公の場で議論をしながら、まあ、それが次の 国会になるのか、向こう側がいつ出し直すのかによるんですが、そういうものが出てくれば、また国会の場で議論していくということが基本で あって、いくつかの政党が公の場を離れて協議をするという発想は我々にはありません。




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