トピックス

2003.02.28|その他

定例記者会見録 2003年2月

2月28日

○総合選対本部設置—-まずは統一地方選と衆参補選に向けて魂を入れ る

○都知事選—-5者協議で候補者の人選を進める

○自由党との合流問題—-統一地方選、衆参補選後には結論を得る方向 で

○政府イラク訪問団はただのアリバイ作りに過ぎず、三枚舌外交になる だけ

○責任ある国会同意のためには、日銀新総裁の見識と方針を知る必要が ある

○理想の都知事像—-人権感覚、多様性と寛容性、そして職務遂行能力

総合選挙対策本部の設置と今後の取り組み

【幹事長】まず、昨日、常設の総合選挙対策本部を設置しました。今ま で、前回の中野幹事長の下で秋の衆参統一補欠選挙を戦うための臨時の 選対本部を設けたことはありましたが、振り返れば我が党は常設でそう いった選対本部を置いていることが多いわけで、もちろん菅代表が本部 長にご就任いただき、私が事務総長、そして前川忠夫・前参議院議員が 事務局長という形で、江田五月議員に選対の企画を担当していただくと いう体制を作りました。

従来、党内のいろんな意思決定機関との関係もあまり明確でなかった ように思いましたので、基本的なことの決定は常任幹事会で行うと。そ の常任幹事会決定をもとにしながら、運動体としての選対本部であると いうことを明確にして設置したものです。

ちょっと看板が間に合いませんでしたので手で書いたものでしたが、 間もなく立派なものが出来上がると思います。

とりあえずは、春の統一地方自治体選挙、そして衆参の統一補欠選挙 を対象にしますが、その先、つまり衆議院総選挙できちんとした結果を 出すための重要な組織であると考えています。形は出来ましたので、次 は魂を入れる作業ということになります。

衆参の補欠選挙については、今4つの選挙が予定されていますが、茨 城県の中村喜四郎前衆議院議員の後は自由党の加藤さんを我が党も推薦 することになっています。その他の選挙区はまだ決まっていませんの で、その擁立作業を急ぎたいと思っていますが、是非「最低2つは勝て るように」と言ったら、「そういうときには、『全部勝つ』と言うもん だ」と、角田参院会長に今日怒られました(笑)。

まあ、建て前はそうなんでしょうが、今我々が議席を持っているのは その4つのうちの1つです。つまり、故・石井紘基議員のところは我が 党が議席を持っていたわけですが、あとは全て自民党ないしは中村喜四 郎さんの議席です。

それをひっくり返すのはなかなか大変なことだとは思います。もちろ ん4つ全部取れればいいわけですが、最低でも2つは取れるようにしっ かり頑張っていきたいと思っています。

それから、東京都知事選挙について、今日、4者協議(北橋幹事長代 理、赤松選対委員長、海江田都連会長、田中都議会幹事長)をやりまし た。

「4者」のはずが私も入るという形に2回連続でなりましたが、その場で海江田都連会長から都連としての意見の集約が紹介されました。

「都連としては知事選挙をやるべきだと意見集約をした」というのが都連会長のお話でした。

それを受けて、我が党でも候補者を出したほうが望ましいというのが 従来からのスタンスで、菅代表もかなり明確にそのことを述べておられ ますので、その5者でこれから候補者を具体的に擁立できるように人選 を進めることを決めました。

次回の協議が来週の金曜日(3月7日)ということになりますので、 それまでに候補者の名前を挙げられるように、それぞれの立場で努力し ていくということにしました。

具体的な名前もいくつか出ましたが、いずれも想像で言ってる段階 で、ご本人に当たったりというところまで詰まっていませんので、今後 の作業ということになります。

それから明日、全国幹事長・選対責任者会議を開くというのも、統一 地方選挙の前に、党内のいろんなことについてご説明しておこうという ことです。

併せて、統一地方選挙を戦うに当たって、しっかり意思統一をしてお こうということで開催させていただくことにしました。

野党連携と自由党との合流問題

【幹事長】次に、2番目に大きな話として、野党連携の話があります。 もちろん、野党が国会の内外で協力しなければいけないということで、 昨日も4党で幹事長・国対委員長会談を開きました。

3月3日(月)には12時10分から、これは主としてサラリーマン の医療費窓口負担の3割への引き上げ問題で院内集会を開くことも確認 されています。予算の詰めの段階ですから、しっかりと結束を示してい きたい。

そして、大島問題を筆頭に「政治とカネ」の問題、健保の問題、森山 法務大臣と名古屋刑務所の問題、加えて、昨日の会談で私が提案してご 賛同いただき、4党の共通認識になりましたが、日銀の総裁予定者を予 め国会に呼んできちんと話を聞くという問題。そういった問題について 4党できちんと追及していくということが確認されました。

その4党の中でも、特に自由党との関係は、ここ2週間ほど党の内外 で大きな議論になっていますが、今の予定では月曜日に幹事長同士が集 まって、両者間で基本的な話し合いの枠組みについて合意する予定に なっています。

統一地方自治体選挙、衆参統一地方選挙後、合流問題の可否について 結論を得るということを明記して、しっかりと議論していきたいと思っ ています。

ただ、合流の可否を議論した結果、仮に合流しないということになっ ても、もちろん両党の協力関係をきちんと維持していくということが前 提の議論で、小選挙区における調整とか政権政策といったことについて は、合流の如何にかかわらずしっかり議論を継続していくということは 確認されていますので、そういう前提でしっかり議論していこうと考え ています。

自由党問題の今後の見通し

【記者】自由党との連携の話ですが、統一地方選後に合意の可否につい て結論を得るということですが、党内にはそれについての考え方で開き があると思います。それを集約していくための手続きや段取りをどう やって進めていこうと準備されているんでしょうか。

【幹事長】まだあまり決めていないのですが、今、(当選)期別の懇談 会をやっていますので、そこで必ず話題にして議論をしています。今日 も参議院の先生方と昼に集まりましたので、そこでも話題にしました。

かなり意見の広がりがあるのは事実で、もちろん選挙協力を始めしっ かり両党が協力していくなかで、政権交代を実現していかなければなら ない。そういう思いのところは我が党の中で確認ができていると思いま すが、具体的に合流するのか、合流せずに両党がしっかり協力していく 体制でいくのかということについては、我が党の中で様々な意見がある ということです。

一通り期別懇で聞いたうえで、もう少し詰めた議論をしなければいけ ないと思っていますが、4月の統一地方選挙末までとなりますとまだ1 カ月半またはそれ以上ありますので、もう少し丁寧に進めていきたいと 思います。具体的なプランはまだありません。まず協議会を設けてス タートしないと、出てこないわけです。

政府の対イラク三枚舌外交

【記者】石井副代表のイラク派遣団が昨日帰国しましたが、政府はこれ から政府としての訪問団を送るということになっています。従来から二 枚舌外交とお話されていましたが、今の時点で改めてそれについてどう 思われますか。

【幹事長】前回か前々回、この場で「三枚舌」外交にならないように と、つまり国内向けとアメリカ向けを使い分けをしているわけですが、 イラク向けにまた違うことを言ったら三枚舌になってしまうわけです。

今、政府が訪問団を送るということは、石井副代表が行かれたことも かなり影響しているとは思いますが、アリバイ証言に過ぎません。事実 上、アメリカの武力行使についてOKと言っているに等しいと私は思い ますが、そういうなかでイラクに送るというのは「政府も平和のための 最後まで努力をしましたよ」ということを国際的に、あるいは国内的に もデモンストレーションするために行くんだと考えざるを得ません。

大島農水相の大臣としての資質

【記者】大島農水大臣問題についてお伺いしたいのですが、大島氏は大 臣として信任に足る人物だと民主党としてお考えかでしょうか。

【幹事長】今、国会のなかでいろいろ質疑をされています。これから締 めくくり総括という場もあり、そこには総理も出席します。それから参 議院に予算が移れば参議院で総理出席のもとでテレビも入り、世の中的 にも非常に注目されるなかで質疑が行われるわけです。3月10日の週 には参考人を呼ぶということも決まっています。そういうなかで、我々 としては事実関係を積み重ねて、真相究明をしていきたいと考えていま す。

今の段階で信任に足るかどうかと問われれば、私としてはかなり大島 さんの責任が問われる事態になってきていると思いますが、そういった 作業も残されていますのであまり幹事長の立場で言い切ってしまわない ほうがいいと思います。「限りなくクロに近いグレー」だと申し上げて おきます。

【記者】その大島問題で衆議院の法制局の問題がありますが、衆議院議 長に対する何らかの追及も考えておられますか?

【幹事長】具体的なことはずっと国対で詰めていますし、これからの質 疑もありますので、私はそこまで承知していませんが、党としてそこま では決めていないのではないかと思います。しかし、議論の状況如何に よっては、そういうこともあり得るという状況だと思います。

次期日銀総裁候補の参考人招致

【記者】昨日の野党4党幹事長会談で、4党一致して日銀新総裁に内定 した福井さんの参考人招致を求めることで一致したようですが、仮にそ の参考人招致が実現した場合に具体的に何を追及というか明らかにして いくつもりでしょうか。

【幹事長】追及と言いますと少し気の毒な感じもしますが、国会同意人 事という制度は本来、国会議員が責任を共有するわけです。そのために は中身つまり日銀総裁としてどういう政策をお取りになるのか、どうい う基本的なお考えをお持ちなのかということを自らが分かったうえで同 意するしないということになるわけですが、今の段階ではそれが全く分 かりません。

福井さんが在野のときにいろいろ言っておられたことはそれなりに承 知しておりますが、それが総裁候補となればそのお考えそのままなのか どうかということも分からないわけですから、やっぱり常識の問題とし て私は国会で予め意見を聞くべきだと思います。

与党の一部にもそういう意見があると聞いていますが、与党も含めて 国会というものをきちんと機能させるためには最低限必要だという認識 に達するべきだと思います。

都知事候補の理想像

【記者】知事選の候補者の件ですが、具体的な名前というのは無理だと 思いますので、民主党幹事長として、現時点で考える候補者の理想像に ついてお聞かせください。

【幹事長】そういうふうに聞かれてお話をしていると、「具体的な当て があるのか」と言われてしまいがちで、代表の轍を踏まないようにとい いますか、代表の腹のなかにはもう候補者があるのかもしれませんが、 そこは全く分かりません。代表にお聞きしたところ、具体的なイメージ があるわけではないとおっしゃっていました。

従って、慎重にしなければならないのですが、やはり石原さんが知事 として都民の支持もかなり高いものがありますが、しかし一方でご発言 などを見ておりますと私の立場から見ても、かなり問題があると思うん ですね。

石原さん自身のものの見方、考え方というのが発言の端々に出るわけ で、やはり1つは人権感覚があること、それから多様性について寛容で あること。これは知事の職とは関係ないのではないかと言われるかもし れませんが、知事として1000万都民のトップに立つものとしてそう いう感覚がなければ困ると思います。私は石原さんのお考えというのは 非常に偏っているという印象を受けていますので、そうではない人柄が 望ましいのではないかと思っています。

もう1つは知事としての手腕の問題で、都知事もいろいろやっておら れるのでしょうけれども、私の印象ではカジノとかいくつかの問題でマ スコミに登場するのですが、知事としてどれだけの実績を上げておられ るのかというのは再検証が必要だと思っています。

そういったことについてきちんと対応できる人、つまり能力のある人 です。もちろん石原知事が能力がないと言っているつもりはありません が、能力のある人ということが知事として求められるのだと思います。

日本海呼称問題

【記者】日本と韓国の間にある日本海の呼称で韓国側で異論が出ている ようですが、現時点での幹事長の見解をお聞かせください。

【幹事長】日本では日本海という名前が常識として通用しているわけで すね。私はあまり歴史的なことは存じませんが、国際的にもそういう名 前が今まで通用してきているわけですから、我々の立場から見るとそれ を変える必要性というのはあまり認められないわけです。

ただ、この問題が非常に政治的なイシューになりますと日韓関係にも 影響しますので……まぁ難しい問題を質問をしましたね。

【記者】自民党の幹事長がそのことについておっしゃっていますが・・ ・。

【幹事長】だんだん答えているうちに難しいなあと再認識しました。日 本人からすれば日本海ということで問題があるとは考えませんね。ただ 韓国でそれが問題だというなら、何が問題なのか私もよく承知しており ませんので経緯等について勉強をしたいとは思います。それ以上は今申 し上げませんが、私自身は今の段階では問題であるとは思っておりませ ん。

自由党との政党文化の違い

【記者】改めて自由党との協議機関の設置について、藤井幹事長との間 でやり取りがあったようですが、両党の間でのこれまでの経緯を見ても なかなか大変なのかなという感じがしましたが、今後の見通しはいかが でしょうか。

【幹事長】藤井幹事長がどう思っておられるか分かりませんが、藤井幹 事長と私の間では、きちんと非常に深い信頼と友情で結ばれている—- 大先輩の藤井先生を友情というのは失礼ですね—-信頼関係で結ばれて いると思っています。お互い率直に話し合いのできるそういう土壌はあ ると思っています。

私も自由党のその他の議員の皆さん、若い議員の皆さんとも意見交換 を繰り返していきたいと思っています。

【記者】党内文化もいろいろ違うようですけれども、その点については ?

【幹事長】挑発してるわけ?(笑)

まあ、党としていろいろな考え方、私も党内文化、政党文化という言 葉を好んで使うほうですが、民主党というのはよく議論をする政党です ね。他党のことを、雑談で言うのはともかくとして、ここで私が申し上 げるのは適当ではないと思いますが、いろいろな政党文化の違いという ことも乗り越えていかないと、結局合流したときにそれがかえって足枷 になってはいけない。そういう意味で2カ月という期間があるのだと 思っています。

2月21日

○予算委—-森山法相、大島農水相の責任を徹底追及

○北朝鮮があるからイラクでは米国に協力すべきという論理は間違い

○企業献金について所属議員の現状・意見を聞いて今後の方針をまとめたい

○参院が決算や行政監視に比重を移していくことは望ましい方向

○自由党との協議機関設置を含め、協力関係強化を今後も進めたい

森山法務大臣に対する集中審議

【幹事長】今、予算委員会で森山法務大臣に対する我が党の厳しい質疑が続いています。現在、質問を行っている原口議員に引き続いて山花議員も予定されていますので、現段階であまりとやかく言わないほうがいいかもしれません。

ただ、非常に無責任な逃げの答弁が続いている。そして平謝りに謝っている。そういう印象を強く持ちます。

非常に重大な問題ですから、今日の野党の質疑をもう1回総括したうえで、今後どういう形でケリを付けていくのか改めてしっかり協議する必要があると考えています。

いずれにしても、法務大臣の責任は免れないと思っています。

大島農水大臣に対する集中審議

【幹事長】それから、昨日の大島農水大臣の予算委員会での質疑ですが、これは前国会に引き続いて新たな事件が出てきて、野田国対委員長でしたか、「疑惑のデパート」という表現も使われましたがまさしくそういうことで、こういう形で行きますと、「秘書の管理が十分でなかった」とか「任せていました」とかそういうことではもちろん説明できないわけで、ご本人も相当深く関与していたのではないかということが強く疑われるわけです。

今日の野田委員長の会見でも言われているように、問題がないということであれば事実解明について、きちんと自ら主導権を発揮すべきであると。参考人招致をまず認めて、そういうなかで自らが農水大臣を続けていることについて、それが妥当であるということをきちんと説明する責任があると思っています。

これから、予算委員会で竹中大臣の問題もありますので、いろんな問題が出てきましたので、もちろん、「政治とカネ」の問題は大島農水大臣だけではありませんし、そういったことについて、政府に対して説明責任を求めていく、追及していくということについて、今週の審議を踏まえて党内で、そして野党間でもしっかり協議していきたいと考えています。

イラク問題と米国追従のための間違ったロジック

【幹事長】それから、イラク問題ですが、度々この場でも触れていますが、最近になって、1つは政府の二枚舌がますます明らかになってきたということです。

「新たな国連決議を求める」と言いながら、その中身について触れようとしない。つまり、武力行使に道を開くための決議であるということは誰が見ても明らかなんですが、政府はそのことを国会その他の場では明確に認めようとしない。そういう意味で、二枚舌だと思います。

加えて、最近外務省サイド、今日も毎日新聞に栗山元駐米大使が発言されていましたし、外務省そのものではありませんが、日本国際フォーラムという有識者会議からも緊急提言が出されました。

それらに基本的に共通しているのは、北朝鮮問題があるからイラクではアメリカに対してものが言えないんだと。アメリカに理解を示さなければいけないんだという論理です。これは分かりやすいようでいて、私は全く理解できないと思っています。

その日本国際フォーラムは今井敬さん(元経団連会長)が会長で、いろんな高名な学者の方々も名を連ねておられますが、その提言に即して言いますと、まず「国際社会は、平和的措置によって脅威を取り除くことができない場合には、最後の手段として武力を行使せざるを得ません。ただ『反戦平和』だけを叫んだり、『イラクも悪いが、さりとて米国の軍事力行使も悪い』といった他人事のような発言は、自らの立脚点を放棄し、警棒と凶器の区別をしない誤りを犯すものです」と書いてあります。

私はここに論理のすり替えがあると思います。つまり、「国際社会は、平和的措置によって脅威を取り除くことができない場合には、最後の手段として武力を行使せざるを得ません」という部分をこういうふうに言うんであれば正しいと思います。

「自衛権行使の場合を除いては、武力行使を認める国連決議があった場合に限って武力によって問題を解決することを国際社会は認めています」というべきであって、こういう書き方だと、国連決議がなくても、そういうものが認められるというようなことを「国際社会は」という言い方で逃げてるわけです。

しかし、そこはそうではなくて、国際的なルールはあくまでも自衛権の行使以外は国連決議が必要だということをきちんと踏まえなければいけないと思います。そこを、意図的だとは思いますが、すり替えて議論しているということが1つです。

もう1つは北朝鮮との関係で、「一部に、ドイツやフランスのように日本も米国から距離を取ることによって、外交の「自主性」を発揮せよとの主張がありますが、ドイツやフランスの置かれている立場と日本のそれとの間には大きな懸隔があります。いま日米同盟は試練の秋を迎えています。日本はこのような時にこそ、自主的な判断によって米国支持の旗幟を鮮明にすべきです。イラクと北朝鮮という二つの難問の解決に当たらなければならない米国に対して『イラクへの武力行使には反対するが、北朝鮮の危機には断固として対処してほしい』などと日本が要求するのは、道理にも正義にも反しているといわなければなりません」と言われています。私はここは極めて問題のある箇所だと思っています。

ここで展開されるのは、イラクへの武力行使に反対すると北朝鮮の危機にアメリカに「断固対処してほしい」と言えなくなるということですね。しかし、「断固として対処してほしい」ということで議論をすり替えているわけで、武力行使を北朝鮮において行うかどうかがまさしく議論になっているわけです。

私は北朝鮮に関しても、国際ルールが当然適用されるわけで、国連安保理の決議か、あるいは自衛権の行使で説明できないようなアメリカ単独の武力行使は北朝鮮においてもなされるべきではないということを前提に議論すべきだと思います。

ここでの議論は、場合によっては認めるんだと。北朝鮮についてもアメリカ単独の武力行使を認めるんだという前提に立っているように思われますが、私はそれはそうではないと。

従って、イラクに対しても北朝鮮に対しても、自衛権の行使で説明できない以上は国連安保理の決議が要るという首尾一貫した態度で臨むべきだと考えています。

随分立派な先生方が名前を連ねておられる緊急アピールにしては、論理がすり替えられているし、お粗末な中身だなと。残念ながら、そう言わざるを得ないと思っています。

いずれにしましても、私も武力行使そのものを否定しているわけではなくて、すべての手段がなくなり、そして安保理のなかでその認識が共有されて、武力行使を容認する明確な決議があった場合には、武力行使をしてでも大量破壊兵器を排除すべきであると申し上げているわけで、それはイラクであれ北朝鮮であれ、北朝鮮の場合はこれからの議論ですからまだ先の長い話ですが、どこの国であっても、単独で武力行使をすべきではないと考えています。

自由党との選挙区調整

【幹事長】それから昨日、自由党の藤井幹事長と両選対委員長ともに3原則(1)両党が候補者を立てている選挙区は極力一本化、(2)一方のみが候補者を立てている選挙区は原則として新たな候補者を立てない、(3)両党ともに候補者を立てていない選挙区は事前協議のうえ候補者を決定)の確認をしました。これから2週間くらいの間に3原則に基づいて、さらなる選挙協力のできる選挙区を、これは我が党の議員の場合ですと、1人ひとり確認も取らなければいけません。

自由党の推薦は必要ないという議員も、あまりいないだろうとは思いますが場合によってはそういう方もいらっしゃるかもしれませんから、1人ひとり確認を取りながらできるだけ多くの選挙区で我々からすれば自由党の推薦をいただき、自由党の議員に対して推薦ができるようにしたいと考えています。

今後、両党で選挙区の問題はそういう形で進め、それ以外の将来の合流をも視野に入れた協議というものも、早く立ち上げていきたいと考えています。

企業・団体献金のあり方

【幹事長】それから、あと2点だけ申し上げますが、議員懇談会のなかで、企業・団体献金のあり方について意見交換をしていただきました。

その後、(当選)期別懇談会もやり、先般は衆議院の当選4回以上の方々に集まっていただきましたが、そのときにも、この企業・団体献金の話をしましたが、いろんな意見が出ています。

直ちに企業・団体献金を党が受けるのをやめるべきだという主張はあまり聞かれませんが、しかし現状でいいということでもない。我が党としていろんなことをやっていかなければいけないというお声も出ています。

いずれにしても、この問題は議員1人ひとりに関わってくる問題ですから、先ほどの正副幹事長会議で私から提案しておきましたが、全議員に対してアンケート調査のようなものをして、それぞれの考え方を把握したうえで、党としての方針をまとめていきたいと考えています。

国民運動委員長問題

【幹事長】最後に、岡崎トミ子国民運動委員長の韓国における行動について、党の内外からもいろんなご議論もあります。

私が聞いているのは、今日の午前中、岡崎委員長に対し、参議院執行部として海外渡航を許可した立場から厳重に注意をしたという話を聞いています。これはもちろん党の処分ではなく、事実行為として参議院の執行部が行われ、参議院議員総会でこの問題に関する釈明があったと聞いています。

で、先ほど彼女から私に電話がありまして、これだけいろんな議論を呼び、報道もされ批判も出ているなかで、ご自身も軽率な行動があったということはお認めになっているわけで、国民運動委員長として少し休みたいというお話がありました。つまり、職務を停止したいということです。

それはご本人のお申し出ですので、私も受けさせていただいて、当面の間、国民運動委員長代理である鎌田さゆりさんが代行するということにしたいと思っています。

私は岡崎さんが従軍慰安婦問題に長年取り組んでこられ、真剣にこの問題に対して法案提出の責任者にもなり、あるいは韓国にも何度か行かれて元慰安婦の方とも会われて、真摯にこの問題に対応されていることには心から敬意を表しています。

今回のことは、そういう行動のなかで、行動そのものではなくて、元慰安婦の方々に対して説明に行ったその場所が、反日デモではないんですが、日の丸にバッテンをしたようなものが出ていて、非常に世の中の誤解を招いたと。大変残念なことだと思いますが、このことによって彼女自身の今までの活動、あるいは今後の活動が制約されるものではなくて、従軍慰安婦問題については引き続きリーダーシップを発揮していただきたい。日韓関係のために働いていただきたいと思っています。

国民運動委員長の職務停止の理由

【記者】今の話でちょっと分からなかったのですが、岡崎議員の職務を停止する理由は何でしょうか?

【幹事長】彼女からの申し出です。

【記者】それを受けられたということですか。

【幹事長】はい、そうです。

【記者】で、その停止する理由は?

【幹事長】私に彼女が言われたことは、彼女自身が写真報道もありましたけれどもそういった彼女の取った行動が軽率だったと。そのことによって党の皆さんに迷惑をかけたということを反省し、自らしばらく国民運動委員長としての職務を控えたいということでした。

【記者】それはいつ頃連絡があったんでしょうか?

【幹事長】先ほどですね。2時半過ぎだったかな、私の携帯に直接電話をいただきました。仙台に着かれたということで連絡があったと思います。

自由党との協議機関の先行き

【記者】自由党との協議機関をできるだけ早く立ち上げたいということでしたが、自由党側からの返事と1回目の会合の目途は?

【幹事長】まだ自由党から正式なお返事が来ていませんのでこれからです。会合は返事がないと分かりませんから。OKかどうか、こういうやり方でいいかどうかもまだ決まっていません。

今後の自由党との協力関係

【記者】自由党との小選挙区一本化調整が進むことによって、民主党と自由党との合流問題の機運が高まっていくと思われますか。今後の展開はどのようになると見ていらっしゃいますか?

【幹事長】見通しについては私は分かりません。ただ、先日の全議員懇談会で統括されたように、これから合流のあり方について、つまり完全に1つの党になるということなのか、あるいは比例統一名簿なのか、あるいは党は別だが協力はしっかりしていくのか、そういうことについて党内の意見交換をしながら、皆さんどういうふうにお考えかということも確認し、自由党とは話し合いを進めていきたいと考えています。

いずれにしろ、当面は共通の政権政策とか外部の応援団作りとかそういうことをやり、雰囲気を作りながら党内の議論をしていきたいと考えています。

参議院のあり方と決算・行政監視

【記者】今日の午前中に参議院で決算の本会議がありましたが、それをお聞きになって総理の答弁などについてはどのように思われましたか?

【幹事長】ごめんなさい、私見ておりません。

【記者】今回初めての試みになるようですが、会期内に決算の審査を終えるということで、その意義についてどのようにお考えかでしょうか?

【幹事長】非常に意義のあることだと思います。ある意味では今までできていなかったことのほうが問題で、決算も時期が空いてしまいますと責任者、例えば大臣も代わったり、あるいは議論する議員の側も選挙を経て代わっていたりしますので、年度が終了すれば速やかに決算審議を行うというのはある意味当然のことだと思います。

今回、参議院で決算について特に力を入れるということは、私は望ましい方向に向かっていると思います。私自身の持論は、衆議院は予算や法案の審議を中心に行い、参議院は事後的なチェックつまり決算あるいは行政監視・監察などを中心に役割分担をしていけばいいのではないでしょうか。

もちろん、憲法の問題もありますので、完璧に役割を分けることはできませんが、方向性としてはそのほうがいいのではないかと以前から思っておりますので、参議院のほうで特に決算に力を入れることは望ましい方向だと思います。

【記者】民主党としては早期提出については財政法の改正が必要との認識を示しているが、法改正の目途は立っているのでしょうか?

【幹事長】これは参議院のほうでいろいろお話をしていただいていますが、民主党だけで法改正ができるわけではありません。

ただ、決算を重視しているのは我が党だけではありませんので、それが参議院全体の意思になって参議院のなかでそういう方向で法案が出されるということになってくれば、衆議院でそれに対して反対はないわけですから、道は開けると期待しています。

山梨3区補選の候補者擁立

【記者】明日、山梨県連の会合に出席されますが、山梨3区の補選の候補者擁立についてはどのように?

【幹事長】明日も現地で申し上げようと思っていますが、我が党は後藤斎さんが前回の選挙で山梨3区から出馬されて惜敗し、比例で当選されています。

私としては後藤さんが決意をし、選挙区から出ていただくことを期待しますけれども、最終的にはご本人の判断です。しかも、国会も非常に重要な場面になっていますので、後藤さんご自身もそう簡単にその責任を放棄して議席をなくしていいのかというお気持ちもおありだと思いますから、私としては期待しますが、最後はご本人の判断ということだと思います。

党としてはこういう場合は選挙区から出ていただくことが望ましいといいますか、本人に判断を委ねながらも出ていただくことが—-言い方が難しいですが —-望ましいというか、もともと認めているわけですから、私としては後藤さんに頑張っていただきたいと思っています。

【記者】後藤先生が立候補しなかった場合は、他に候補者を立てることはあるんでしょうか?

【幹事長】仮定の議論には答えないほうがいいと思います。

大島農水大臣疑惑に対する民主党の今後の対応

【記者】大島問題で4人の参考人招致を要求していますが、それが拒否された場合は審議拒否の戦術を取るおつもりですか?

【幹事長】これも仮定に仮定を重ねた話ですよね。ただ、私は総理自身もきちんと説明しなさいと。大島さん自身も疑惑の解明については別に否定しているわけではありませんから、そういう意味で総理がしっかりと与党を説得して予算委員会の場に参考人を出すという決断を総理主導ですることを期待していますし、そうなるだろうと考えています。

もしそういうことでなければ、言葉とは裏腹に総理ご自身が隠そうとしているということだと思います。

審議拒否の可能性

【記者】かつて審議拒否という手法が取られて予算審議が遅れるということがありましたが、今回は比較的与党のペースでスムーズに進んでいるように見えます。戦術として何か手法を変えたのでしょうか?

【幹事長】「民主党また審議拒否か」なんて書かれると困りますので、ここはうまく答えたいと思いますが、国会は議論することが基本ですから基本的にはしっかりと議論していくということだと思います。

その議論の結果、先ほど申し上げたような問題点、疑問点が予算委員会のなかで浮かび上がっていく。それを最終的にどういうふうに単なる疑問ではなく、問題がないのであればしっかりと説明責任を果たしてもらう、問題があれば責任を追及していくと詰める議論に来ているのだと思います。

審議拒否の問題は仮定の問題ですからお答えいたしません。絶対ないという立場にもありませんし、やるという立場にもありません。基本は審議を通じてしっかり議論していくということです。

統一補選の候補者擁立状況

【記者】山梨3区と統一補選について、候補者擁立を見送ることはあるのでしょうか?

【幹事長】今、補選になる選挙区は4つあります。そのなかではっきり決まっているところは実はまだありません。茨城は自由党さんがお決めになって、我が党も今日か明日推薦することになるだろうと思いますが、あとの3つはまだ決まっていませんので、早く決めたいと思っています。もちろん、基本的に候補者を出すということで進めています。

【記者】基本的にはということは?

【幹事長】今、一生懸命候補者を立てるために努力中です。(記者のなかで)どこか出たいところがあれば選対に推薦しておきますが。

森山法相と大島農水相に対する今後の対応

【記者】また仮定の話になるかもしれませんが、森山法務大臣と大島農水大臣の件でどのように区切りをつけていくおつもりでしょうか?また、必要であれば不信任案を出すという手法もあると思いますがそれも考えていらっしゃるんでしょうか?

【幹事長】あらゆる手段はあり得ると思います。

統一補選における候補者見送りの可能性

【記者】統一補選の候補者擁立について、先ほど「基本的に」とおっしゃっいましたが候補者を出さない可能性もあるということでしょうか?

【幹事長】立てるという方針のもとで今、作業を進めています。しかし、結果までは私が保証するわけにはいきませんので、それ以上のことは言えませんし言う必要もないと思います。

2月14日

○国会論戦—-総理は自分が何をすべきか分からなくなっているのでは

○イラク問題—-新たな国連決議なき米国の武力行使には反対

○医療費3割負担阻止を3月までの活動の軸にしたい

○WTO交渉—-10年前のコメの部分開放時の失敗がまず反省されるべき

○自民党は知事候補すら立てられないところまで地力がなくなっている

○権限ある大臣が「絶対儲かる」と発言することはいずれの結果でも問題

○議員年金—-3倍返しは説明不能、まず政治家自身が身を正すべき

国会論戦

【幹事長】まず、国会では引き続き予算委員会が行われていますが、今 のところ各メディアからも評価していただいています。テレビ放映され ていない部分も含めて、非常にいい戦いができているのではないかと 思っています。

やはり国会というのは、議論して始めて国会ですので、やや残念なの は我々のほうはかなり準備をして一生懸命やっているつもりなんです が、お答えのほうが十分でないということで、その典型が総理の答弁と いうことになります。

恐らく、総理ご自身は自分が何をやっていいのか分からなくなってい るのではないかという気がします。その他の閣僚も含めて、もっと正々 堂々、正面から議論していただきたいと思っています。

支持率の回復

【幹事長】そういう国会での活動も理由の1つになっていると思います が、各種調査による民主党の支持率も少し戻しつつあります。

もちろん、まだまだ不十分、民主党の力を十分反映していないとは思 いますが、全体的に上向きになってきていることは大変嬉しいことだと 思っています。

以前、「3月末までに支持率2桁」と申し上げました。一部、そうい う2桁に乗った調査もあります。自民党と肩を並べるというと一挙に ハードルが高くなってしまいますが、自民党の半分ぐらいのところまで は早く持っていきたいと思っています。

そのためにも、菅代表にもどんどん外に出ていっていただき、あるい は国会でも、これは代表だけではなくて、全員野球で頑張っていきたい と思っています。

イラク情勢

【幹事長】それから、イラク情勢については、今日(14日)の国連査 察委員会と国際原子力機関(IAEA)の追加報告を待たなければいけ ませんので、現段階でコメントすることは特にありませんが、「イラク 問題に関する民主党の現時点での考え方」ということで、『次の内閣』 で整理しました。

まず、我々の基本認識として、イラク自身に大量破壊兵器に関する疑 惑があり、これにきちんと対処することは外交上重要な課題であると。 そういう前提に立って、イラクがこれまでの国連決議に従わずにきたこ とは非常に問題であるという認識を共有すると。

そのうえで、我々としては、国際協調が重要であるという観点から、 武力行使によらない平和的解決のために、あくまでも国連に努力を促し ていく。そして、アメリカに対しては単独主義的な行動をとらないよう 自制を促し、慎重な対応をとるよう強く求める—-。こんなふうに考え ています。

また、イラクについては、査察への全面協力を通じて、自らの疑惑の 完全な払拭に努めるべきであると。我々は査察の続行を求め、同時に邦 人保護を始めとする危機管理に万全を尽くすべきだと考えています。

そして、国連決議がないままに、アメリカが武力行使をした場合、 我々はこれに反対するということを明確にしておきたいと思います。

武力行使を容認する国連決議が採択された場合には、イラクの政治体 制転覆を目的とする武力行使を支援すべきではないという基本的な考え 方に立ちます。武力行使に当たっては、市民の犠牲を防ぎ、大量破壊兵 器や運搬手段の廃棄に限定してなされるべきであるというのが我々の考 え方です。

医療費3割負担問題

【幹事長】それから、前回申し上げた、サラリーマンの医療費の窓口負 担の3割負担への引き上げ問題についてですが、これは全党的な取り組 みが必要だと考えています。

そういう意味で、岡崎トミ子国民運動委員長に具体的な指示を出し て、広報委員会、政策調査会、組織委員会など関係部署と連携しなが ら、国民運動委員長を中心にきちんとした体制をつくっていただきたい とお願いをしておきました。

ビラを作ったり、都道府県連に連絡をして、例えば地方議会への働き かけとか署名運動とか、いろんな展開をそれぞれの都道府県連を中心に やっていただきたい。これを3月までの民主党の活動の軸にしたいと考 えています。

WTOのコメの関税引上げについての民主党の対応

【記者】WTOの米の関税引き上げについて、農業団体から大きな反発 の声も挙がっていますし、自民党の農林族からの反発もありますが、民主党としてはどのように対応していきたいとお考えでしょうか?

【幹事長】民主党のなかで、『次の内閣』でまだ結論を出しているわけ ではありません。従って、断定的なことを今申し上げる立場にはありま せん。

ただ、私的な意見も含めて申し上げますと、確かに農業の環境に対す るプラスの要素とか、それぞれ国の固有の状況があるということを踏ま えて対応していかなくてはならない問題だと基本的に考えていますの で、今回の提案は日本にとって非常に厳しいものだと受け止めていま す。これからしっかりと国際交渉の場で交渉していかなくてはならない と思います。

ただ、10年前にコメの部分自由化が出されたときに、莫大な補助金 をバラ撒いて結果どうなったか、コメ作りの生産性が上がったかという とほとんど効果がなかった。それが温泉とか不要なハコモノ施設にいつ のまにか消えてしまった。

あるいはそういうことによって、族議員や業者などで懐を肥やした方 もいるかもしれませんが、日本の農業のためにはほとんど役に立ってい ないということ。つまり、10年という時間を無駄に過ごして、そして 無駄な費用を使ったということは厳しく反省されなければならない。それは政府の責任であり、同時に与党自民党の大きな責任だと。そのこと を抜きにして、この問題は語れないと思います。

神奈川県知事選について

【記者】神奈川県知事選について浅尾議員とお話をされたようですが、 どんな内容だったんでしょうか?

【幹事長】なかなか中身までは言うべきではないと思いますが、私が申 し上げたことだけ言っておきますと、浅尾さん自身が今まで民主党の議 員として活動してきたということ、そして今回のことは仮に彼自身が知 事職というものに対して彼なりの考え方をもっているとしても、そうい う次元ではもはや論じられない状況になっていると。

政局といいますか、政党間のもっと言えば民主党を揺さぶるための材 料として自民党が使ってきているという現実を踏まえたうえで、自らの 出処進退を決めていただきたいということを申し上げておきました。

【記者】関連してですが、かねてから岡田幹事長は浅尾さんの件につい ては「彼は出ないよ」というふうにおっしゃっていましたが、今日お会 いになられて印象は変わられましたか?

【幹事長】変わってないです。

【記者】彼はそれを明言されたんでしょうか?

【幹事長】話の中身は私から申し上げるべきではないと思いますが、私 の印象は全く変わっておりません。

【記者】今の発言をお伺いすると、慰留をしているように聞こえますが ?

【幹事長】彼自身が出る意欲を示したとか、そういうことはありませ ん。私は、私の思いを一方的に彼にお話をしたということです。

ただ、皆さんもご存知のように、浅尾さんは「出ない」と明言もして いないわけです。そういう状況のなかで、私の思いを伝えたということ です。そのときの私の受けた印象は、彼自身は出るつもりはないという 印象を受けていますし、そう信じています。

【記者】民主党の国会議員に対して、自民党が介入してきたことについてどう思いますか?

【幹事長】前回も申し上げたのですが、堕ちも堕ちたりと。つまり、そこまで人がいないのか、民主党の人材がいるということでもあるのです が、知事候補すら立てられない自民党の状況はそれだけ地力が弱ってい るということだと思います。

三重県知事選挙でも自主投票になったわけですが、私は是非候補者をお立てになるべきだと自民党にはお勧めしたのですが、結局自主投票になってしまいました。それだけ地力が弱ってきているということではないでしょうか。

【記者】浅尾さんについては、自民党側も民主党を離党するのであれば 擁立を検討してもいいというような話をしているようですが、今日のお 話し合いのなかでは離党についての話は何か出たんでしょうか。

【幹事長】彼は知事選に出るとは言っていないわけですから、それを前 提にした話は全くありません。

【記者】知事選を前提にしなくても離党という話は今日は全然出なかったんでしょうか?

【幹事長】全くありません。

浅尾さんとは私も随分長い付き合いで、これはあまり公にしないほう がいいのかもしれませんが、彼が参議院選挙に出ると言ったときには私 は「とにかくもう一度衆議院で頑張れ。長い目で見ればあなたのために はそれがいいのではないか」と。別に参議院がいかんというわけではあ りませんが、5年前そう申し上げました。

そのことは彼もよく覚えていたし、私も浅尾さんという政治家を、能 力だけではなく人間性も含めて非常に評価しているので、私の目から見ると彼が出るということはあり得ないと思っています。

民主党からのイラク派遣について

【記者】イラク問題に関連して、民主党からイラクに議員を派遣すると いうことを検討されていると思いますが、それについてはどうお考えで しょうか。

【幹事長】まだ結論は出てないんです。行く以上、きちんとした人に会 えないといけないということもあります。

お名前を言ってもいいと思いますが、石井一副代表ご自身が行かれる可能性があるということで、今各方面といろいろと話をしておられるということです。まだ決定はされておりませんが、行かれる場合にはお1 人ではなくて、2〜3人の複数で行っていただくということになると思いますが、(追加報告を受けて)月曜日までにはっきりするのではと思っています。

竹中大臣の「投資信託は儲かる」発言は問題

【記者】今日の予算委員会で話題になっていましたが、竹中大臣の「投 資信託は絶対儲かる」という発言についてどう思われますか?

【幹事長】私は最初に聞いたときから、すごく違和感がありました。閣 僚が「絶対儲かる」なんて、「絶対儲かる」なんてこと、普通ならまず 言えないはずですよね。マンゴーでしたか、最近もありましたよね、儲 け話。

「絶対儲かる」なんて言っただけで詐欺ですよね。それを閣僚が言われる、しかも権限がある閣僚が言われるわけですから、それがもし実現 するなら権限を行使して利益を得たということになりますし、実現しな いなら詐欺だし、どちらにしても大変問題な発言だと思います。

彼は買ったんですか?買ったとすれば非常に問題ですよね。他の閣僚はどうなんでしょうかね。買っていれば同罪だし、買ってなければ竹 中さんをいかに信用していないかということの表れですし、これまたどちらに転んでもひどい話ではないかと思います。

イラク訪問団について与党側からの声

【記者】イラクへの訪問団派遣について、政府内には微妙な時期にイラ クに行くのはプロパガンダに利用されるのではないかという懸念の声も あるようですが、それについてどのように?

【幹事長】大きなお世話ですね。政党として判断をして行くわけですか ら、そのことについてとやかく言われる筋合いはない。もちろん、そういう批判を浴びないように、きちっとした対応をしてくるということは 必要だし前提だと思いますが、我々はそれができるという前提で物事を 考えています。

共産党の不破議員の次期衆院選不出馬表明

【記者】共産党の不破さんが次期衆院選には出ないと表明されましたが、それについてのコメントと、世代交代という形だと思いますが自民党もなかなか世代交代が進まない、民主党は若いですが定年制の議論が進まないということについてどう思われますか。

【幹事長】まず、不破さんが次期衆院選に出ないというお話は、私も非常に複雑な気持ちで先ほどお聞きしました。

私が子供のころから颯爽とご活躍されていていたという印象です。子供のころからというと言い過ぎかもしれませんが、政治家になる前からテレビその他で不破さんの言論は論理的かつ厳しい口調で攻め立てておられる。私と立場は全く違いますが、尊敬できる部分が非常にあったものですからひとつの時代が終わったのかなと少し寂しい気もします。

世代交代という話ですが、志位共産党委員長は私と同じ世代ですから、そういう形で全体的に政界が若返っているのかもしれませんが、我が党に関して言えば70歳以上の方はほとんどおりませんので元々若い 政党です。定年制の導入はもうちょっと私が幹事長として実力がついたら考えていきます。あまり急ぐと失敗するかもしれませんので。もちろん、私のメニューのなかには入っています。

議員年金についての党内での今後取り組み

【記者】議員年金について、プロジェクトチームをつくって議論を進め ていくという話がなかなか進んでいないようですが、その現状をどうお 考えでしょうか。

【幹事長】私は『次の内閣』のなかでどういう状況になっているのか把 握しておりませんので、進んでいないということについてはコメントできません。

ただ、この問題は、以前私が予算委員会で小泉さんに質問をしており まして、是正すべきではないかということを言っております。党内にも 指示をして、当時島さんが責任者だったと思いますが、この問題を議論 する場をつくり議論をしてもらったという経緯もあります。

私としても3倍返しというのは説明できないと思っていますので、党 の議論はこれからですが世の常識にかなった線にする。政治家自らが襟 を正すということがなければ、私は今度の年金制度改革の議論などとて もできないと思いますので、是非そういう方向で議論が進むことを期待 しています。

私なんて議員年金がどうなってもいいように、国民年金基金にまで入っています。自営業の方は国民年金と任意で入る国民年金基金しかな いわけですから、それと比べればはるかに恵まれているということは言 えますね。

2月7日

○質問者が心配になるような答弁では総理や国会の責任を果たしていない

○イラク問題—-安保理が決定することであり、その決定は尊重すべき

○新たな決議がなければイラク攻撃は支持できないと米国に明言すべき

○能力や見識のある国会議員が地方の首長として活躍することは評価できる

予算委員会質疑の感想

【幹事長】それでは、定例記者会見を始めます。私から申し上げるべきことは、まず予算委員会が昨日から始まりましたが、我が党の菅代表始め、前原議員、枝野政調会長、原口議員と順次発言され、それぞれの持ち味を活かした良い質疑だったと思います。

私の代表質問、あるいは伊藤英成副代表の代表質問を含めて、総理の通り一遍の答弁が目立ちますが、国民に対する責任をしっかり果たすという意味で、丁寧なご答弁をいただきたいなと。 何を訊いても同じ答えというのでは、何のために国会を開いているのか分かりませんので、もう少し元気を出してやっていただきたいと。

訊いてるほうが心配になるような、ああいう状況では国会としての責任、総理としての責任を果たしていないと言われても仕方がないと思っています。

まだ国会は始まったばかりですので、これから我々の出した予算案も含めて、しっかり国民の皆さんに伝わるように、審議の活性化に向けて努力をしていきたいと考えています。

国連安保理外相級会合

【幹事長】次に、昨日も少し出ていましたが、国連安保理外相級会合での議論については、これをどう評価するかということですが、いろんな疑惑が深まったということは事実ですが、それが果たして決定的なのかどうか。

それはいろんな見方があるわけで、私は前から申し上げているとおり、それを最後に決めるのは安保理の場で、そこで決まったことが尊重されるべきだと思っています。

これから、安保理の議論がどういうふうに展開していくのか。そこに集まった国々が、これで明らかに今までの数々の決議で違反があり、これを守らせるためには武力行使しかないと決めるのであれば、それは安保理が決めたことですから、日本国としては、それを尊重すべきだと思います。

ただ、どこまで支援するかということは国益判断というのものがもう1枚加わります。しかし、「新たな安保理決議がなければ武力行使は駄目だ」と言ってきたのであれば、逆に決議があれば、それは尊重されるべきだと思います。

そして、もし国連決議が得られないということであれば、前々から申し上げているように、明確な決議を得ないアメリカ、あるいはいくつかの国の単独行動というのは、それは支持できないということを明確に言うべきだと思っています。

総理も昨日来、従来の形式答弁を変えて、「新たな安保理決議が望ましい」と。ただ、「望ましいけど必須ではない」という趣旨で言っておられるように思います。 やはり私は、代表質問でも申し上げたとおり、これは決議1441号をどういうふうに読むかということであって、査察の状況とかイラクの対応で変わる話ではありません。

1441号が武力行使を認めているのかいないのか、これは2つに1つであって、認めていないのであれば新たな決議が要ると論理的には当然なるわけで、ここを総理がどう考えるのか依然として明らかではありません。

「望ましい」と言うからには、1441号が「不十分」だとは考えてるんでしょうが、不十分ならそれは新たな決議が必要だという結論になるはずです。「不可欠」ではなく「望ましい」という言い方は、非常に曖昧な、日本国政府の態度を表しているということだと思います。

ときどき、「朝鮮半島のこともあるから」という議論も、与党サイドから出ることもありますが、朝鮮半島も基本的には国連安保理での議論を軸にして対応していくべきであって、朝鮮半島の問題でいろんな意味でアメリカに依存するから、イラクでは正論が言えないという論理は成り立たないと考えています。

韓国次期大統領の特使らとの意見交換

【幹事長】あと、私から申し上げておくべきことは、今、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領の特使としてアメリカを経由して、鄭大哲(チョン・デチョル)新千年民主党最高委員始め何人かの方が日本に来ておられますが、明日の朝、民主党と、私あるいは伊藤英成『次の内閣』外務大臣等々とも、朝食会の形で意見交換をすることになっています。

もともと韓国の新千年民主党と、我が党は友好関係にあり、政策的な協議も2年続けて行ってきておりますので、ここでお互いの意見を率直に述べ合い協力するなかで、北朝鮮の問題に対処していく第一歩にしたいと思っています。

代表も引き続いて韓国に行かれますので、両党で緊密な連絡を取りながら、この日本の安全にとっても、あるいは北東アジアの安全にとっても大変重要なこの問題に対応していきたいと思っています。

菅代表の訪韓に期待すること

【記者】日曜日から菅代表が訪韓され、盧武鉉次期大統領と会談されますが、その会談に幹事長は何を期待されますか?

【幹事長】< まず第1には、具体的なテーマの以前の問題として、韓国の次のリーダーと日本の次のリーダー、「次」という意味は、少し時差はあるかもしれませんが、韓国の盧武鉉さんが大統領の間に我々は政権党になることを目指していますので、お互いが人間的な信頼関係を築き上げるということがまず最も重要なことだと思っています。

盧武鉉氏は日本にも一度しか来られたことがないということで、日本との交流もあまり従来の韓国大統領のように濃くないとも言われています。私も昨年の5月に訪韓したときに、40分間ほどお会いして少しお話をさせていただきました。立派な方だと感銘を受けましたが、ぜひ菅さんとの間で人間関係、信頼関係ができることをまず望みたいと思います。

そのうえで、特に1つは北朝鮮問題について、日米韓の連携が大事になりますが、そのなかで韓国とアメリカの間には、かなり意見の開きがありますので、日本が両国の接着剤としての役目を果たすということも非常に期待されていると思います。そのためにまず率直な意見交換を行って欲しいというのが2番目です。

その他、経済などはむしろ韓国が最近はお手本になっていますので、V字型経済再生の秘訣を聞いてくるというのもあるのではないかと思います。

日銀総裁人事

【記者】20日には日銀総裁の人事が決まろうとしていますが、首相はデフレ克服に積極的な人が望ましいという考えを示しています。民主党としてはどんな方が望ましいとお考えでしょうか?

【幹事長】日銀総裁を選ぶのは総理の権限で、基本的には日銀の独自性は担保されていますが、そこの人事権行使というのはできます。

ただ、「政府と日銀が一体で経済の問題、デフレの問題など対応しなければいけない」というフレーズを総理は最近よく使われます。もちろん、政府と日銀が今の経済の状況についての見方、基本的な考え方がバラバラであることは望ましくないと思いますし、デフレの問題が深刻であるということも事実でありますが、総理の話を聞いてなかなか額面どおりには受け取れません。

つまり、デフレは日銀の問題だ、日銀の総裁に責任があるんだ、速水さんが悪い—-そういうことの裏返しとして「デフレ退治に熱心な方が望ましい」と言っているとも受け取れますので、一般論としてデフレの問題に真剣に取り組む人が望ましいというのは分かりますが、あまり素直に受け取れないところがあります。

しかし、今までの経緯を見ていると、むしろ日銀としては「政府がやることをやってくれよ」「日銀としてはかなりのことをやっているんだ」というイメージといいますか、政府に対する要望といいますか、そういうことが速水さんの言葉の端々から伺えます。

私はかなり日銀の言っていることも正しいと思います。そういう意味では速水さんに私は同情しています。別に同郷だから言っているのではありませんが(笑)。

【記者】具体的にはどんな方が望ましいと?

【幹事長】どんな人物か、私が言ったから影響があるわけではないのですが、一般論としてはまず金融についてしっかりとした見識をお持ちの方ということでしょうね。

人気に走って、3月の株価を上げるためにふさわしい人材がいいとか、そういう冗談か本当か分からないようなことを言う人もいますが、経済や金融の状況に後がないなかで総裁になられるわけですから、日銀総裁として基本的な見識をお持ちの方ということがまず第一ではないでしょうか。人気先行で見識のない人を総裁や副総裁にしてしまっては大変なことになると思います。

民主党議員の知事選や市長選への転出

【記者】松沢議員が神奈川県知事選に立候補を表明され、今朝、釘宮議員も大分市長選に立候補されるようで代表が慰留もされたようですが、このように党内から地方の首長に人材が流出することについてどのようにお考えでしょうか?

【幹事長】まず、釘宮さんの話はご本人も決めてはいないということですので、釘宮さんのことについては私は今の時点では触れません。議員の身分に関わるというか、個人の大変な問題ですから憶測で物は言いたくありません。

松沢さんの話は、一般論として申し上げますと、いろいろな議論があるんだろうと思いますが、民主党には若くて非常に能力や見識のある議員がたくさんいます。そういう議員は国会でずっとやっていくというだけでなく、いろいろな多様な選択肢を持って、特に知事とか市長とかそういったところで活躍されるというのは、基本的には望ましいことだと思っています。

国の政治を変えるといっても、国会のなかだけではなくて地方から国を変えていくということも当然必要なわけで、そういう意味で民主党の基本的な理念や考え方を共有する人に地方で活躍していただくことは積極的に評価していいと私は考えています。

松沢さんに関して言えば、私が申し上げたのは「また戻ってこいよな」と。もちろん、彼はそのことについてイエスもノーも言いませんでしたが、地方でしっかりと経験を積んでまた別の形で、議員になるかどうかは別として、国政にその経験を活かしてもらいたいと思っています。

私は三重県の北川正恭さんを間近で見ておりますので、8年前に彼を知事に送り出して、今その知事を辞めて、議員になるわけではありませんが、国の政治を変えていくためにこれから尽力していきたいという姿を見ておりますので、ちょっと松沢さんがそれとダブって見えたわけです。

医療費3割負担についての今後の野党4党の取り組み

【記者】サラリーマンの医療費窓口負担の3割への引き上げについてですが、与党内でも現行の健康保険法改正案に賛成しておきながら今頃にになって反対しているという状況になっています。来週には3割負担への引き上げ凍結のための法案を野党4党で提出することになっていますが、今後野党4党としてどのように運動を展開していくんでしょうか?

【幹事長】基本的には野党4党で合意できていることでありますので、4党でまとまって国会の場で活動していくと同時に、国民運動委員会とか党のいろいろなところと相談していかなければなりませんが、国民に直接訴える活動をやっていかなければならないと思っています。

ただ、引き上げ開始の4月1日までにやらないと意味がありませんので、党の運動として特に力を入れていきたいと考えています。

【記者】自民党が反対していることについてはどうお考えでしょうか?

【幹事長】先の採決のとき自民党内にもいろいろとありましたが、結局は言うだけで皆さん改正案に賛成をしておられるわけで、そういう意味ではあまり当てにならないなと思っています。

「本気でやるなら我々の法案に共同提出したらどうですか」「そのくらいの気持ちがあれば本気かな」とも思いますが、ただ言っているだけではとてもまともに取り合う気持ちにはなれません。




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